JP2004330056A - 電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ - Google Patents
電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004330056A JP2004330056A JP2003128579A JP2003128579A JP2004330056A JP 2004330056 A JP2004330056 A JP 2004330056A JP 2003128579 A JP2003128579 A JP 2003128579A JP 2003128579 A JP2003128579 A JP 2003128579A JP 2004330056 A JP2004330056 A JP 2004330056A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- filter cartridge
- solution
- filter
- chemical solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01D—SEPARATION
- B01D67/00—Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
- B01D67/0081—After-treatment of organic or inorganic membranes
- B01D67/0093—Chemical modification
- B01D67/00931—Chemical modification by introduction of specific groups after membrane formation, e.g. by grafting
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01D—SEPARATION
- B01D67/00—Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
- B01D67/0081—After-treatment of organic or inorganic membranes
- B01D67/0093—Chemical modification
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01D—SEPARATION
- B01D61/00—Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01J—CHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
- B01J43/00—Amphoteric ion-exchange, i.e. using ion-exchangers having cationic and anionic groups; Use of material as amphoteric ion-exchangers; Treatment of material for improving their amphoteric ion-exchange properties
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01J—CHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
- B01J45/00—Ion-exchange in which a complex or a chelate is formed; Use of material as complex or chelate forming ion-exchangers; Treatment of material for improving the complex or chelate forming ion-exchange properties
-
- G—PHYSICS
- G03—PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
- G03F—PHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
- G03F7/00—Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
- G03F7/26—Processing photosensitive materials; Apparatus therefor
- G03F7/30—Imagewise removal using liquid means
- G03F7/3092—Recovery of material; Waste processing
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01D—SEPARATION
- B01D2323/00—Details relating to membrane preparation
- B01D2323/30—Cross-linking
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01D—SEPARATION
- B01D2323/00—Details relating to membrane preparation
- B01D2323/38—Graft polymerization
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01J—CHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
- B01J2220/00—Aspects relating to sorbent materials
- B01J2220/50—Aspects relating to the use of sorbent or filter aid materials
- B01J2220/62—In a cartridge
-
- G—PHYSICS
- G03—PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
- G03F—PHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
- G03F7/00—Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
- G03F7/26—Processing photosensitive materials; Apparatus therefor
- G03F7/42—Stripping or agents therefor
- G03F7/422—Stripping or agents therefor using liquids only
- G03F7/425—Stripping or agents therefor using liquids only containing mineral alkaline compounds; containing organic basic compounds, e.g. quaternary ammonium compounds; containing heterocyclic basic compounds containing nitrogen
Abstract
【課題】半導体産業において使用される電子素子基板表面処理用の薬液、特にアミン、アンモニウム塩などの塩基性化合物やフッ酸(HF)などを構成成分として含む液の精製に好ましく利用することのできるフィルターカートリッジを提供する。
【解決手段】本発明にかかる電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去するために用いるフィルターカートリッジは、処理対象の薬液の構成成分及び除去すべき金属不純物の種類に応じて、除去対象の金属不純物の存在形態に適合する官能基が導入されたフィルター材料を組み込んだことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明にかかる電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去するために用いるフィルターカートリッジは、処理対象の薬液の構成成分及び除去すべき金属不純物の種類に応じて、除去対象の金属不純物の存在形態に適合する官能基が導入されたフィルター材料を組み込んだことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体産業において使用される電子素子基板表面処理用の薬液、特にアミン、アンモニウム塩などの塩基性化合物やフッ酸(HF)などを構成成分として含む液の精製に好ましく利用することのできるフィルターカートリッジ、並びにかかるフィルターカートリッジを用いて上記薬液を精製処理して、薬液中に微量存在する各種金属不純物を効率よく除去する方法に関する。本発明によって、精製処理することのできる薬液としては、例えば、基板洗浄剤として用いられるアンモニア/過酸化水素混合水溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などを挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造技術の進歩に伴い、半導体素子の高密度化、線幅の微細化が著しい速度で進んでいる。これに伴い、半導体製造工程に用いられる薬液、例えばフォトレジスト、シンナー、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液、絶縁材、ARC(Anti Reflective Coating)などの溶液、及び洗浄液としての超純水、有機溶剤、アンモニア/過酸化水素混合水溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液などの清浄度に関する要求、特にこれら薬液中の微量微粒子数や、微量金属及び金属イオン不純物濃度は、近年ますます著しく厳しいレベルが要求されるようになってきている。ITRS2000(International Technology Roadmap for Semiconductors 2000)によると、DRAM1/2Pitchレベルとして、2003年には130nm、2005年には100nmになるという予測が報告されており、即ち、近い将来には、上記薬液中における含有不純物として、1/2Pitchレベル以上のサイズの微粒子を除去することが要求されることが予想されている。これは、厳格な微粒子清浄度が直接に半導体素子製造収率に影響してくるためである。また、半導体製造工程に用いられる薬液に要求される微量金属及び金属イオンの濃度も、2005年には、ウエハ表面での清浄度として2×109atoms/cm2が要求されると予想されており、使用薬液の清浄度に関する要求規格が年々厳しくなるのは必至である。即ち、半導体製造技術の進歩、製品性能及び収率の向上は、製造プロセスで使用される薬液から微粒子、微量金属、金属イオンなどの不純物を除去し清浄化する技術の進歩に依存することが多く、半導体産業におけるこれまでの急速な発展と、今後の確実な成長を考える上で、使用薬液の微粒子及び微量金属、金属イオンの濃度に関して前述のレベルを達成する技術を開発することが必要不可欠である。
【0003】
半導体製造に用いられる塩基性化合物を含む薬液、例えば、基板洗浄液として用いられるアンモニア/過酸化水素混合水溶液(SC−1と称される)、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、或いはフォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などは、アミン(例えば、アンモニア、1級〜3級アミン)、アンモニウム塩(例えば、アンモニアの塩、1級〜3級アミン塩、4級アンモニウム塩)などの塩基性化合物やフッ酸(HF)などを主構成成分として含有する。例えば、SC−1はアンモニアと過酸化水素を含んでおり、フォトレジスト現像液は4級アンモニウム塩を含んでおり、フォトレジスト剥離液は一般にアンモニア、ヒドロキシルアミン、NH3F、フッ酸などを含む。アミンやアンモニウム塩は、水中或いは溶剤中において、金属配位子として遷移金属等と金属錯体を形成する性質を持っている。また、特にアミンは塩基としての性質、即ち水酸化物イオンを生成する性質を持っている。同様に、フッ酸も、遷移金属等と金属錯体を形成する性質を持っている。従って、アミン、アンモニウム塩などの塩基性成分やフッ酸を構成成分として含む薬液中においては、溶存する金属不純物の存在形態はそれぞれの金属種及び薬液の性状によって異なり、これが微量金属不純物の除去、即ち薬液の精製を困難にしている。
【0004】
Si基板のエッチングに用いるHF薬液中の鉄及び銅イオンに注目し、HF薬液からこれらの重金属イオンを除去する方法として、被エッチング物質と同じ物質、即ちSi粒子をイオン交換樹脂と混合してフィルターを作製し、このフィルターを通して薬液を処理するという方法が提案されている(特許文献1)。この技術は、CuイオンのSi粒子への吸着と、Feイオンのイオン交換樹脂による除去とを利用した効率的な金属不純物の除去方法ではあるが、イオン交換樹脂及び微細に粉砕したSi粒子を用いたフィルターカートリッジでは、除去効率を十分なレベルまで上げることは困難であった。その主な理由は、Si粒子表面へのCuイオンの吸着は、被吸着金属イオンの酸化反応律速であり、上記手法によってデザインされたフィルターカートリッジでは、実使用液流速において金属吸着サイトとなるSi粒子表面の表面積が不十分であるためである。また、特許文献2及び3においては、過酸化水素水の精製方法として、カチオン交換樹脂を充填したカラムと、アニオン交換樹脂或いはキレート剤を吸着させたアニオン交換樹脂を充填したカラムとで粗過酸化水素水を処理することで、液中の金属不純物及び陰イオン類を同時に除去する方法が提案されている。しかしながら、この場合、ビーズ状のイオン交換樹脂を用いているので、金属イオンの除去に関しては、イオン交換樹脂の細孔内での金属イオンの拡散が律速段階となり、金属不純物を含む剥離液やアンモニア/過酸化水素溶液を実使用の流速で処理して十分な金属不純物除去効率を得るためには、膨大なサイズの装置を構築する必要があり、スペース上の問題からコンパクトな装置が求められる半導体製造プロセスのPOU(point of use)では使用されていなかった。
【0005】
また、アンモニア/過酸化水素溶液や剥離液から金属不純物を除去することが困難であることから、金属不純物のウエハ表面への付着防止剤として、これらの薬液に金属キレート剤や錯化剤を添加することで、シリコンウエハ表面への金属汚染の速度を低減させる方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、この方法では、錯化剤の酸化分解によってウエハ表面の汚染が発生したり、錯化剤自体によってウエハ表面の汚染が発生し、期待されるほどの効果は得られなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−31267号公報
【特許文献2】
特開2002−80207号公報
【特許文献3】
特開平10−7407号公報
【特許文献4】
特開2002−114744号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、既存の技術では、半導体製造工程で使用される塩基性化合物やフッ酸などを含む各種薬液から、金属不純物を、使用直前(POU,point of use)に、実プロセスに適用可能な液流量及び金属除去効率で除去することはできなかった。即ち、現在の半導体産業において、既存の薬液清浄化技術の限界を超える新規且つ有用な金属不純物の除去技術の開発が強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、半導体製造工程において、金属不純物として最も問題となる鉄、銅、カルシウムに着目し、処理対象薬液中でのこれら被吸着金属種の存在形態に関して鋭意研究を重ねた結果、実プロセスにおいて支配的となる金属不純物の存在形態を考慮した化学吸着による吸着除去条件を見出した。更に、本発明者らは、イオン交換反応の反応律速となるイオン交換体表面における境界相でのイオンの拡散に注目し、単位体積あたりの基材表面積の極めて大きな多孔質膜基材や織布、不織布などの繊維基材に、各種のイオン交換基やキレート基を導入することによって、高い液流量においても金属吸着効率の極めて大きいイオン交換材料、キレート材料を提供することを可能にした。この表面積の大きな基材から形成されるイオン交換体やキレート体を用いてフィルターカートリッジを組み立てることにより、より小型でコンパクトなフィルターカートリッジを形成することが可能になり、半導体製造プロセスにおいて通常行われているPOUでの濾過通液操作によって、各種薬液中の金属不純物を吸着除去して、薬液の清浄度を飛躍的に向上させることができることを見出した。即ち、本発明は、これまで困難であった塩基性化合物やフッ酸などを含む各種の電子素子基板表面処理液、例えば半導体製造プロセスにおいて重要な薬液であるアンモニア/過酸化水素溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などのようなアンモニア等のアミン類に代表される塩基性化合物やフッ酸などを含む薬液から、金属不純物、特に鉄及び/又は銅及び/又はカルシウムを、通液濾過のみによる単純な操作で吸着除去することを可能にした。
【0009】
本発明は、最も広い態様においては、電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去するために用いるフィルターカートリッジであって、処理対象の薬液の構成成分及び除去すべき金属不純物の種類に応じて、除去対象の金属不純物の存在形態に適合する官能基が導入されたフィルター材料を組み込んだことを特徴とするフィルターカートリッジに関する。本発明にかかるフィルターカートリッジは、特に、アミン及び/又はアンモニウム塩及び/又はフッ酸を構成成分として含む各種薬液から金属不純物を除去するのに極めて好ましく用いることができる。
【0010】
本発明のより好ましい態様によれば、アンモニア及び過酸化水素を含む液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、4級アンモニウム基又はアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、フォトレジスト現像液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、アミノ基を含むキレート基、特にイミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンとの組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0012】
更に、本発明の更に他の態様によれば、フォトレジスト剥離液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基とアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0014】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、被処理液中の除去対象金属不純物の存在形態に合わせて選択された所定のイオン交換基及び/又はキレート基を導入した繊維材料及び/又は多孔質膜材料によって構成されるフィルター材料を組み込んだことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかるフィルター材料を構成することのできる繊維材料を形成するための基材として用いることのできる繊維基材としては、高分子素材の繊維や、その集合体である織布又は不織布などを好適に用いることができる。高分子素材繊維材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート等のようなポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、セルロース、及びこれらの共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)等に代表されるオレフィン共重合体を挙げることができる。これらの材質で作られた繊維材料は、表面積が大きく、微量イオンの除去容量を大きくすることができ、更に軽量で成形加工するのが容易である。繊維の具体的な形状としては、長繊維及び加工品、短繊維及び加工品、並びにこれらの切断単体などが挙げられる。長繊維としては例えば連続フィラメントが挙げられ、短繊維としては例えばステープルファイバーが挙げられる。長繊維及び短繊維の加工品としては、これらの繊維から製造される種々の織布及び不織布が挙げられる。また、織布/不織布材料は、後述する放射線グラフト重合用の基材として好適に用いることができると共に、軽量でフィルター状に加工することが容易であるので、本発明に係るフィルターカートリッジを形成するのに用いる繊維基材として好適である。
【0016】
本発明において、繊維基材にイオン交換基及び/又はキレート基を導入する手段としては、グラフト重合法を用いることができ、中でも放射線グラフト重合法を好適に用いることができる。放射線グラフト重合法とは、有機高分子基材に放射線を照射してラジカルを生成させ、それにグラフトモノマーを反応させることによって、所望のグラフト重合体側鎖を基材の高分子主鎖上に導入することのできる方法であり、グラフト鎖の数や長さを自由にコントロールすることができ、また各種形状の既存の高分子材料に重合体側鎖を導入することができるので、本発明の目的のために用いるのに最適である。放射線グラフト重合法を用いた場合には、イオン交換基及び/又はキレート基は、これらの基を有する重合体側鎖の形態で高分子基材に導入される。
【0017】
本発明の目的のために好適に用いることのできる放射線グラフト重合法において、用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が適している。放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、重合性単量体(グラフトモノマー)と接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後、モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などが挙げられるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0018】
繊維や繊維の集合体である織布/不織布は本発明に係るフィルター材料を製造するための有機高分子基材として用いるのに最も適した素材であるが、これはモノマー溶液を保持し易いので、含浸気相グラフト重合法において用いるのに適している。なお、多孔膜基材に放射線グラフト重合法によってイオン交換基及び/又はキレート基などの官能基を導入した場合には、基材の機械的強度の低下を招くため、ある程度以上の官能基を導入することはできないが、織布/不織布などの繊維基材は、それに放射線グラフト重合法によってイオン交換基及び/又はキレート基などの官能基を導入しても機械的強度の低下を招くことがないので、多孔膜基材を用いる場合と比べて遙かに大量の官能基を導入することが可能である。
【0019】
本発明において、繊維基材に導入することのできるイオン交換基としては、カチオン交換基として、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基として、4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基、1級、2級又は3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基を挙げることができる。また、キレート基としては、イミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸基、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びプロリンなどから誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基などを挙げることができる。
【0020】
本発明にかかるフィルターカートリッジを構成する繊維材料を製造するには、上記のイオン交換基及び/又はキレート基を有する重合性単量体(モノマー)を、繊維基材の主鎖上にグラフト重合する方法と、それ自体はイオン交換基及び/又はキレート基を有していないが、これらの基に変換可能な官能基を有する重合性単量体を繊維基材の主鎖上にグラフト重合した後に、グラフトされた重合体側鎖上の官能基をイオン交換基及び/又はキレート基に変換する方法のいずれをも採用することができる。この目的で用いることのできるイオン交換基を有する重合性単量体としては、例えば、スルホン酸基を有する重合性単量体として、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩等;カルボキシル基を有する重合性単量体として、アクリル酸、メタクリル酸等;アミン系イオン交換基を有する重合性単量体として、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)等;を挙げることができる。また、それ自体はイオン交換基及び/又はキレート基を有していないが、イオン交換基及び/又はキレート基に変換可能な官能基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸グリシジル、スチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、クロロメチルスチレンなどを挙げることができる。例えば、繊維基材にスチレンをグラフト重合した後に、硫酸やクロロスルホン酸を反応させてスルホン化することによって、強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基をグラフト重合体側鎖上に導入することができる。また、例えば、クロロメチルスチレンを繊維基材にグラフト重合した後に、基材をイミノジエタノール水溶液に浸漬することによって、キレート基であるイミノジエタノール基をグラフト重合体側鎖上に導入することができる。更に、例えば繊維基材にp−ハロアルキルスチレンをグラフト重合し、形成されたグラフト重合体側鎖上のハロゲンをヨウ素で置換した後、イミノジ酢酸ジエチルを反応させてヨウ素をイミノジ酢酸ジエチル基で置換し、更に水酸化ナトリウム水溶液でエステル結合を加水分解することによって、グラフト重合体側鎖上にキレート基であるイミノジ酢酸基を導入することができる。
【0021】
本発明において用いられる繊維基材は、0.1μm〜50μmの平均繊維径及び0.1μm〜100μmの平均孔径を有することが好ましい。更に本発明の好ましい態様においては、繊維基材は、0.1μm〜20μmの平均繊維径及び1μm〜20μmの平均孔径を有することが好ましい。更に好ましい態様においては、繊維基材の平均繊維径は、0.2μm〜15μmがより好ましく、0.5μm〜10μmが更に好ましい。また、本発明に係る繊維基材の平均孔径は、1.0μm〜10μmがより好ましく、1.0μm〜5μmが更に好ましい。なお、本発明において繊維基材の平均孔径とは、バブルポイント法によって測定された値を指す。上記のように、より小さな平均繊維径及び平均孔径を有する繊維基材を用いてフィルターカートリッジを構成すると、各種金属不純物に対する除去能が飛躍的に増大することが分かった。
【0022】
また、本発明に係るフィルターカートリッジには、多孔質膜基材に所定の官能基を導入した多孔質膜材料をフィルター材料として組み込むこともできる。本発明において用いることのできる多孔質膜材料としては、多孔質高分子膜又は無機物を含む既存の多孔性分子膜を挙げることができる。膜の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート等のようなポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、セルロース、及びこれらの共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)等に代表されるオレフィン共重合体を挙げることができる。
【0023】
本発明において用いられる多孔質膜材料は、0.02μm〜数μm、より好ましくは0.02μm〜0.5μmの平均孔径を有していることが好ましい。なお、本発明においては、多孔質膜の平均孔径とは、上記に説明した繊維基材の平均孔径の測定方法と同様の方法によって測定された値を指す。
【0024】
多孔質膜基材へ所定の官能基を導入する方法としては、上述の繊維材料に関して説明したグラフト重合法、特に放射線グラフト重合法を利用することができる。また、他の手法として、架橋重合法を用いる化学修飾法によって、多孔質膜基材へ官能基を導入することもできる。例えば、特表平9−512857号公報に開示されているように、多孔質膜基体に、溶媒中にポリビニルアルコールなどの各種官能基を有するポリマーを含む溶液と、パーサルフェートなどの遊離ラジカル重合開始剤とを含浸させて、紫外線照射又は加熱によって溶媒中のポリマーを架橋して不溶化させることで、多孔質膜基体の表面上に官能基を化学的に結合させることによって、多孔質膜基体の表面に各種の官能基を導入することができる。このような手法で作製された複合多孔質膜は、多孔質膜基体の構造特性を維持する一方で、その表面にカチオン交換基、アニオン交換基、キレート基などが導入される。ポリマー溶液を構成するポリマーとしては、上記のポリビニルアルコールの他にも、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアミン、ビニルホスホン酸、4−ビニルピリジン或いはこれらの混合物などの水溶性重合体を用いることができ、それぞれのポリマーが有する官能基が、多孔質膜基体の表面上に導入される。また、上記の目的で用いることのできる遊離ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アンモニウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、ナトリウムパーサルフェート、カリウムパーオキシジホスフェート、ベンゾフェノン、ベンゾールパーオキシドなどを挙げることができる。
【0025】
なお、上述の架橋重合法による表面改質法は、織布・不織布などの繊維材料に各種の官能基を導入する手段としても、採用することができる。
【0026】
本発明によれば、グラフト重合等によって官能基を導入した繊維基材又は多孔質膜基材を用いてフィルターカートリッジを作成しているので、従来の樹脂ビーズなどを組み込んだフィルターカートリッジと比べて極めて小さなユニットで大きな流量の薬液を処理することが可能になり、更に半導体製造装置においてPOUでの薬液の精製が可能になる。これによって、ケミカルデリバリーシステムや装置からの汚染物を含めた不純物を、薬液がウエハに直接接触する前に除去することが可能になり、薬液の清浄度が飛躍的に向上する。
【0027】
本発明は、更に、半導体産業において用いられる各種薬液の構成成分並びにその性状と、除去対象の金属不純物の当該薬液中での存在形態との関係に着目し、金属不純物の存在形態に適合した最適の官能基によって金属不純物を除去することを特徴とする。
【0028】
例えば、基板洗浄剤として用いられるアンモニア/過酸化水素混合液(APM又はSC−1と称される)は、アンモニア、過酸化水素、純水の混合液で、その組成によって7〜12程度のpHを有する。この薬液中においては、銅は、銅イオン1分子に対してアンモニア4分子が配位子として配位結合した四配位型の金属錯体を形成し、+2価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中の銅を除去するには、カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するカチオン交換基としては、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基が好ましい。一方、鉄については、薬液のpHに対応して、鉄イオン1分子に対して水酸化物イオンが4分子、アンモニアが2分子配位した六配位型の金属錯体と、水酸化物イオンが3分子、アンモニアが3分子配位した六配位型の金属錯体との、二種類の金属錯体の混合物を形成し、それぞれ−1価及び0価の電荷を帯びた錯イオン混合物として薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中の鉄を除去するには、アニオン交換基若しくはキレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するアニオン交換基としては、4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基が好ましく、またキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更に、カルシウムについては、水酸化物の形態で存在し、+1価の電荷を帯びたイオンとして薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中のカルシウムを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としては、スルホン酸基が好ましい。以上のことから、アンモニア/過酸化水素混合液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基である4級アンモニウム基、或いは、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0029】
また、半導体製造プロセスにおいて用いられるフォトレジスト現像液は、一般に主成分として4級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を含む。強塩基性であるTMAHを含む水溶液は、pH12〜14程度となり、水酸化物イオンの濃度が極めて高くなる。かかる薬液中においては、銅は、水酸化物錯体を形成し、−1価若しくは−2価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト現像液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としては、アミノ基を含む官能基が好ましく、イミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンが更に好ましい。また、鉄は、水酸化物錯体を形成し、−1価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト現像液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミノ基を含む官能基が好ましく、イミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンが更に好ましい。更にカルシウムは、水酸化物イオンと結合して+1価のイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、フォトレジスト現像液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、好ましくはアミノ基を含む官能基、特にイミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンとを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0030】
また、半導体製造プロセスにおいて用いられるフォトレジスト剥離液は、アンモニア、ヒドロキシルアミン、NH3F、フッ酸や各種有機溶剤を含んでいる。かかる薬液中においては、銅は、アンモニア・フッ素錯体、アンモニア錯体、フッ素錯体などを形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト剥離液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にアンモニア・フッ素錯体、アンモニア錯体、フッ素錯体などを形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト剥離液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、フォトレジスト剥離液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0031】
また、半導体製造プロセスにおいて基板洗浄液として用いられる希フッ酸液(DHF)は、純水中にフッ酸(HF)を含み、1〜5程度のpHを有する。かかる薬液中においては、銅は、フッ素錯体を形成し、+1価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、希フッ酸液中の銅を除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にフッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、希フッ酸液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のカルシウムイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、希フッ酸液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0032】
また、半導体製造プロセスにおいて基板洗浄液として用いられるバッファードフッ酸液(BHF)は、純水中にフッ酸(HF)及びアンモニアを含んでおり、6〜10程度のpHを有する。かかる薬液中においては、銅は、アンモニア・フッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、バッファードフッ酸液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にアンモニア・フッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、バッファードフッ酸液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のカルシウムイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、バッファードフッ酸液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0033】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、上記のように、処理対象の薬液の性状及び当該薬液中に含まれる金属不純物の存在形態に対応した最適の官能基を導入した繊維材料及び/又は多孔質膜材料の組み合わせを選択し、これを積層した状態でプリーツ状に折り込むか、或いはインナーコアの周りに円筒状に巻き付けることによって形成することができる。本発明にかかる所定の官能基を導入したフィルターカートリッジは、半導体製造プロセスにおける各種薬液の供給ライン或いはPOUでこれまで設置されていた微粒子状不純物除去のためのフィルターカートリッジに置き換えて或いはこれと組合わせて用いることで、従来と全く同一の装置及び操作で、微粒子状の不純物と、微量金属不純物とを同時に効率よく除去することを可能にする。即ち、本発明は、単一の濾過工程で微量金属不純物の除去を達成したことにより、半導体素子製造において現在使用されている実装置への適用が非常に容易となり、この点からも、本発明が半導体産業に及ぼす効果は多大である。
【0034】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、半導体素子製造プロセスの各種薬液供給ラインにおいて、薬液タンクを循環する経路の途中に設置することにより、薬液中の金属不純物を大きく低減することができる。また、本発明にかかるフィルターカートリッジを、薬液供給ライン中のPOUに設置することにより、各種薬液中の金属不純物及び微粒子状不純物を効率的に除去することができる。更に、この場合には、薬液中に元々含まれている金属不純物を除去することができるのに加えて、配管、継ぎ手などの薬液移送経路からの汚染に対処することも可能になる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理対象の薬液の種類及び除去対象となる金属不純物の種類に対応した最適の官能基を導入したフィルターカートリッジによって薬液を処理することにより、金属不純物の除去を極めて効率的に行うことができる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の一具体例を示すものであり、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0037】
実施例1
スルホン酸型カチオン交換不織布の作製
ポリエチレン繊維からなる不織布(DuPont社製、商品名タイベック:平均繊維径0.5〜10μm、平均孔径5μm(バブルポイント法によって測定した値)、目付65g/m2、厚さ0.17mm)83gに、窒素雰囲気下で電子線を150kGy照射した。この照射済不織布にスチレンを含浸させてガラス容器内に入れ、真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合を行った。グラフト済不織布を取り出し、トルエン中60℃で3時間処理してホモポリマーの除去を行った。更に不織布をアセトンで洗浄した後、50℃で12時間乾燥することによって、スチレングラフト不織布136gを得た。グラフト率は64%であった。
【0038】
得られたスチレングラフト不織布を、クロロスルホン酸/ジクロロメタン混合液(重量比2:98)に浸漬し、0℃で1時間スルホン化反応を行った。不織布を取り出し、メタノール/ジクロロメタン混合液(重量比1:9)、メタノール、純水で順次洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.27mm、イオン交換容量328meq/m2のスルホン酸型カチオン交換不織布1を得た。
【0039】
実施例2
4級アンモニウム型アニオン交換不織布の作製
実施例1と同じ不織布213gに対し、実施例1と同様の条件で電子線を照射した後、ガラス容器中でクロロメチルスチレン(450g、セイミケミカル製、商品名CMS−AM)に浸漬した。容器を真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出してアセトン(3リットル)で3回洗浄した後、50℃で12時間乾燥することにより、クロロメチルスチレングラフト不織布430gを得た。グラフト率は102%であった。得られたグラフト不織布を、30%トリメチルアミン水溶液(600mL)、エタノール(1リットル)及び純水(2.8リットル)の混合液に浸漬し、50℃で24時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。不織布を取出し、純水、0.5mol/L塩酸、更に純水で順次洗浄し、乾燥することによって、厚さ0.31mm、イオン交換容量395meq/m2の4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を得た。
【0040】
実施例3
イミノジエタノール型キレート不織布の作製
実施例1と同様の条件で電子線を照射した不織布83gに、クロロメチルスチレン(セイミケミカル製、商品名CMS−14)を含浸し、ガラス容器に入れ、真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出し、トルエン中、60℃で3時間処理してホモポリマーを除去した。不織布を更にアセトンで洗浄した後、50℃で12時間減圧乾燥することにより、クロロメチルスチレングラフト不織布154gを得た。グラフト率は85%であった。この不織布を、イミノジエタノール/イソプロピルアルコール(重量比4:6)の混合溶液に浸漬し、70℃で12時間反応させた。不織布を取出し、メタノール、純水で順次洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.28mm、イミノジエタノール基導入量が285meq/m2のイミノジエタノール型キレート不織布3を得た。
【0041】
実施例4
アミドキシム型キレート不織布の作製
実施例1と同様の条件で電子線を照射した不織布18.8gに、アクリロニトリル/トルエン混合液(容積比2:1)を含浸し、ガラス容器に入れ、真空ポンプで減圧にした後、60℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出し、ジメチルホルムアミド中、40℃で30分間処理してホモポリマーを除去した。不織布を更にメタノールで洗浄した後、50℃で12時間減圧乾燥することにより、グラフト率13%の不織布20.6gを得た。この不織布を、純水(220mL)−メタノール(220mL)混合液中のヒドロキシルアミン塩酸塩(12g)溶液に浸漬し、80℃で4時間反応させた。不織布を取出し純水で洗浄し、3%アンモニア水に浸漬して、60℃で2時間反応させた。不織布を取出し、再び純水で洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.21mm、21.3gのアミドキシム型キレート不織布4を得た。
【0042】
以下、モデル溶液の通液試験による金属除去性能の試験を行った。モデル溶液と濾過後の流出液中の金属不純物濃度を比較することにより、性能を評価した。金属不純物濃度は、原子吸光分析法(日立製作所株式会社製Z−9000)により求めた。
【0043】
実施例5
通液試験(アンモニア含有液からの銅の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1を用いて通液試験を行った。カチオン交換不織布1を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、銅を140ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜20mL/分の流速で通液して、流出液中の銅濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の銅濃度は1.0〜4.0ppbの範囲に低下しており、良好な銅不純物の除去性能を示した。
【0044】
比較例1
通液試験(アンモニア含有液からの鉄の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、鉄を175ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜40mL/分の流速で通液して、流出液中の鉄濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は173〜174ppbの範囲であり、全く除去されていなかった。実施例5及び比較例1の結果を合わせて図1に示す。
【0045】
実施例6
通液試験(アンモニア含有液からの鉄の除去)
実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を用いて通液試験を行った。アニオン交換不織布2を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、鉄を100ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜50mL/分の流速で通液して、流出液中の鉄濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は28.0〜34.0ppbの範囲に低下しており、良好な鉄不純物の除去性能を示した。実施例6の結果を図2に示す。
【0046】
上記実施例5〜6及び比較例1の結果並びに図1及び図2を参照すると、アンモニアを含む薬液中の鉄不純物を除去するには、アニオン交換基を導入したフィルターカートリッジが最適であり、一方、アンモニアを含む薬液中の銅不純物を除去するには、カチオン交換基を導入したフィルターカートリッジが最適であることが分かった。従って、カチオン交換基を導入したフィルターとアニオン交換基を導入したフィルターとを組合わせてフィルターカートリッジを構成することにより、アンモニアを含む薬液から、鉄不純物及び銅不純物の両方を単一の操作で除去することができることが分かる。
【0047】
実施例7
通液試験(循環液からの金属除去)
実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、フィルターホルダー2に取り付けて、図3に示すように循環槽1に接続した。循環槽1には、試験液として、鉄を100ppb含む1.5%アンモニア水溶液1000mLを入れ、この溶液を、ポンプ3によって20mL/分の流速でフィルターを通して循環した。循環槽1内の鉄の経時変化を分析した結果を図4に示す。図4より、迅速な鉄濃度の低下が認められる。
【0048】
実施例8
通液試験(アンモニア含有液からの鉄、銅、カルシウムの除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むアンモニア含有液の金属除去性能試験を行った。カチオン交換不織布1とアニオン交換不織布2を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に、4級アンモニウム基をCl型に、それぞれ変換した。試験液として、鉄を19ppb、銅を17.5ppb、カルシウムを7.8ppb含む3%アンモニア水溶液を、1.0〜40mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の各金属濃度を測定した。結果を図5に示す。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は1.5ppb、銅濃度は0.1ppb、カルシウム濃度は0.2ppbにそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0049】
実施例9
通液試験(フォトレジスト現像液からの鉄、銅、カルシウムの除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例3で作製されたイミノジエタノール型キレート不織布3とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むフォトレジスト現像液の金属除去試験を行った。カチオン交換不織布1とキレート不織布3を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に、イミノジエタノール基をフリー型に、それぞれ変換した。試験液として、鉄を21ppb、銅を16ppb、カルシウムを53ppb含むフォトレジスト現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38%水溶液)を、20mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の金属濃度を分析した。流出液の鉄濃度は3.9ppb、銅濃度は1.6ppb、カルシウム濃度は0.3ppbにそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0050】
実施例10
通液試験(フォトレジスト剥離液からの鉄、銅の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例4で作製されたアミドキシム型キレート不織布4とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むフォトレジスト剥離液の金属除去試験を行った。カチオン交換不織布1とキレート不織布4を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に変換した。試験液として、鉄を6.2ppb、銅を5.9ppb添加したフォトレジスト剥離液(三菱ガス化学株式会社製、ELM−C30)を、20mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の各金属濃度を測定した。流出液の鉄濃度は1.8ppb、銅濃度は1.4ppb以下にそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0051】
実施例11
プリーツ型フィルターカートリッジの作製及び通液試験
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2とを、有効幅220mmで2枚重ね合わせた状態で、山高さ10mm、山数58のプリーツを作製した。このプリーツ状積層膜の有効面積は0.26m2であった。このプリーツを、カチオン交換不織布1が外側に、アニオン交換不織布2が内側になるように、高密度ポリエチレン製のフィルターインナーコア(直径46mm、長さ220mm)に巻き付け、フィルターケージ(内径76mm、高さ220mm)の中に挿入し、ボトムキャップ及びトップキャップを用いて熱溶着法によって封止することにより、機能性積層膜を備えたフィルターカートリッジを得た。このフィルターカートリッジを、実施例8と同様にNaOH、純水、塩酸、純水、アンモニアの順で処理して、スルホン酸基をアンモニア型に、4級アンモニウム基をCl型に、それぞれ変換した。このフィルターカートリッジを用いて、試験液として、鉄を19ppb、銅を17.5ppb、カルシウムを7.8ppb含む3%アンモニア水溶液を、10mL/分の流速で通液して、流出液の各金属濃度を測定した。流出液の鉄濃度は0.7ppb、銅濃度は0.1ppb以下、カルシウム濃度は0.1ppb以下にそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0052】
比較例2
実施例1で作成したスルホン酸型カチオン交換不織布1を直径47mmのディスク状に切り出し、5%塩酸で処理した後、純水で脱酸した。得られたH型スルホン酸型カチオン交換不織布をホルダーに取り付けた。TMAHを1.2wt%含むpH13.4の水溶液に鉄を不純物として8.3ppb添加して試験液を調整し、これを5.0〜40mL/分の流速で通液した。濾液中の鉄濃度を分析したところ、8.0〜8.5ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は全く観察されなかった。
【0053】
次に、実施例2で作成された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を直径47mmのディスク状に切り出し、0.5%水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、純水で洗浄した。更に5%塩酸、純水の順で洗浄して得られたCl型4級アンモニウム型アニオン交換不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の鉄濃度は8.1〜8.4ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は観察されなかった。
【0054】
更に、実施例4で作成されたアミドキシム型キレート不織布4を直径47mmのディスク状に切り出し、0.5%水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、純水で洗浄し、更に5%塩酸で処理した後、純水で洗浄した。得られたH型アミドキシム型キレート不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の鉄濃度は8.2〜8.3ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は観察されなかった。
【0055】
以上の実験により、フォトレジスト現像液中の鉄不純物は、スルホン酸基、アミドキシム基、4級アンモニウム基では除去できないことが分かる。
【0056】
比較例3
比較例2と同様に調整されたH型スルホン酸型カチオン交換不織布のディスク状試験片をホルダーに取り付けた。フォトレジスト剥離液(三菱ガス化学株式会社製、ELM−C30)に銅を不純物として170ppbの濃度になるように添加した溶液を、20mL/分の流速で通液し、濾液中の銅濃度を分析したところ、145ppbであった。また、比較例2で調整したものと同じCl型4級アンモニウム型アニオン交換不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の銅濃度は137ppbであった。更に、実施例3で作成されたイミノジエタノール型キレート不織布3を、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、イミノジエタノール基をフリー型に変換した。得られたイミノジエタノール型キレート不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の銅濃度は83ppbであった。
【0057】
以上の実験により、アンモニア及びフッ酸を含むフォトレジスト剥離液中の銅不純物は、スルホン酸基、4級アンモニウム基では除去できず、またイミノジエタノール基では除去効率が悪いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5及び比較例1の実験結果を示すグラフである。
【図2】実施例6の実験結果を示すグラフである。
【図3】実施例7において用いた循環通液試験装置の概念図である。
【図4】実施例7の実験結果を示すグラフである。
【図5】実施例8の実験結果を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体産業において使用される電子素子基板表面処理用の薬液、特にアミン、アンモニウム塩などの塩基性化合物やフッ酸(HF)などを構成成分として含む液の精製に好ましく利用することのできるフィルターカートリッジ、並びにかかるフィルターカートリッジを用いて上記薬液を精製処理して、薬液中に微量存在する各種金属不純物を効率よく除去する方法に関する。本発明によって、精製処理することのできる薬液としては、例えば、基板洗浄剤として用いられるアンモニア/過酸化水素混合水溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などを挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造技術の進歩に伴い、半導体素子の高密度化、線幅の微細化が著しい速度で進んでいる。これに伴い、半導体製造工程に用いられる薬液、例えばフォトレジスト、シンナー、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液、絶縁材、ARC(Anti Reflective Coating)などの溶液、及び洗浄液としての超純水、有機溶剤、アンモニア/過酸化水素混合水溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液などの清浄度に関する要求、特にこれら薬液中の微量微粒子数や、微量金属及び金属イオン不純物濃度は、近年ますます著しく厳しいレベルが要求されるようになってきている。ITRS2000(International Technology Roadmap for Semiconductors 2000)によると、DRAM1/2Pitchレベルとして、2003年には130nm、2005年には100nmになるという予測が報告されており、即ち、近い将来には、上記薬液中における含有不純物として、1/2Pitchレベル以上のサイズの微粒子を除去することが要求されることが予想されている。これは、厳格な微粒子清浄度が直接に半導体素子製造収率に影響してくるためである。また、半導体製造工程に用いられる薬液に要求される微量金属及び金属イオンの濃度も、2005年には、ウエハ表面での清浄度として2×109atoms/cm2が要求されると予想されており、使用薬液の清浄度に関する要求規格が年々厳しくなるのは必至である。即ち、半導体製造技術の進歩、製品性能及び収率の向上は、製造プロセスで使用される薬液から微粒子、微量金属、金属イオンなどの不純物を除去し清浄化する技術の進歩に依存することが多く、半導体産業におけるこれまでの急速な発展と、今後の確実な成長を考える上で、使用薬液の微粒子及び微量金属、金属イオンの濃度に関して前述のレベルを達成する技術を開発することが必要不可欠である。
【0003】
半導体製造に用いられる塩基性化合物を含む薬液、例えば、基板洗浄液として用いられるアンモニア/過酸化水素混合水溶液(SC−1と称される)、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、或いはフォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などは、アミン(例えば、アンモニア、1級〜3級アミン)、アンモニウム塩(例えば、アンモニアの塩、1級〜3級アミン塩、4級アンモニウム塩)などの塩基性化合物やフッ酸(HF)などを主構成成分として含有する。例えば、SC−1はアンモニアと過酸化水素を含んでおり、フォトレジスト現像液は4級アンモニウム塩を含んでおり、フォトレジスト剥離液は一般にアンモニア、ヒドロキシルアミン、NH3F、フッ酸などを含む。アミンやアンモニウム塩は、水中或いは溶剤中において、金属配位子として遷移金属等と金属錯体を形成する性質を持っている。また、特にアミンは塩基としての性質、即ち水酸化物イオンを生成する性質を持っている。同様に、フッ酸も、遷移金属等と金属錯体を形成する性質を持っている。従って、アミン、アンモニウム塩などの塩基性成分やフッ酸を構成成分として含む薬液中においては、溶存する金属不純物の存在形態はそれぞれの金属種及び薬液の性状によって異なり、これが微量金属不純物の除去、即ち薬液の精製を困難にしている。
【0004】
Si基板のエッチングに用いるHF薬液中の鉄及び銅イオンに注目し、HF薬液からこれらの重金属イオンを除去する方法として、被エッチング物質と同じ物質、即ちSi粒子をイオン交換樹脂と混合してフィルターを作製し、このフィルターを通して薬液を処理するという方法が提案されている(特許文献1)。この技術は、CuイオンのSi粒子への吸着と、Feイオンのイオン交換樹脂による除去とを利用した効率的な金属不純物の除去方法ではあるが、イオン交換樹脂及び微細に粉砕したSi粒子を用いたフィルターカートリッジでは、除去効率を十分なレベルまで上げることは困難であった。その主な理由は、Si粒子表面へのCuイオンの吸着は、被吸着金属イオンの酸化反応律速であり、上記手法によってデザインされたフィルターカートリッジでは、実使用液流速において金属吸着サイトとなるSi粒子表面の表面積が不十分であるためである。また、特許文献2及び3においては、過酸化水素水の精製方法として、カチオン交換樹脂を充填したカラムと、アニオン交換樹脂或いはキレート剤を吸着させたアニオン交換樹脂を充填したカラムとで粗過酸化水素水を処理することで、液中の金属不純物及び陰イオン類を同時に除去する方法が提案されている。しかしながら、この場合、ビーズ状のイオン交換樹脂を用いているので、金属イオンの除去に関しては、イオン交換樹脂の細孔内での金属イオンの拡散が律速段階となり、金属不純物を含む剥離液やアンモニア/過酸化水素溶液を実使用の流速で処理して十分な金属不純物除去効率を得るためには、膨大なサイズの装置を構築する必要があり、スペース上の問題からコンパクトな装置が求められる半導体製造プロセスのPOU(point of use)では使用されていなかった。
【0005】
また、アンモニア/過酸化水素溶液や剥離液から金属不純物を除去することが困難であることから、金属不純物のウエハ表面への付着防止剤として、これらの薬液に金属キレート剤や錯化剤を添加することで、シリコンウエハ表面への金属汚染の速度を低減させる方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、この方法では、錯化剤の酸化分解によってウエハ表面の汚染が発生したり、錯化剤自体によってウエハ表面の汚染が発生し、期待されるほどの効果は得られなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−31267号公報
【特許文献2】
特開2002−80207号公報
【特許文献3】
特開平10−7407号公報
【特許文献4】
特開2002−114744号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、既存の技術では、半導体製造工程で使用される塩基性化合物やフッ酸などを含む各種薬液から、金属不純物を、使用直前(POU,point of use)に、実プロセスに適用可能な液流量及び金属除去効率で除去することはできなかった。即ち、現在の半導体産業において、既存の薬液清浄化技術の限界を超える新規且つ有用な金属不純物の除去技術の開発が強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、半導体製造工程において、金属不純物として最も問題となる鉄、銅、カルシウムに着目し、処理対象薬液中でのこれら被吸着金属種の存在形態に関して鋭意研究を重ねた結果、実プロセスにおいて支配的となる金属不純物の存在形態を考慮した化学吸着による吸着除去条件を見出した。更に、本発明者らは、イオン交換反応の反応律速となるイオン交換体表面における境界相でのイオンの拡散に注目し、単位体積あたりの基材表面積の極めて大きな多孔質膜基材や織布、不織布などの繊維基材に、各種のイオン交換基やキレート基を導入することによって、高い液流量においても金属吸着効率の極めて大きいイオン交換材料、キレート材料を提供することを可能にした。この表面積の大きな基材から形成されるイオン交換体やキレート体を用いてフィルターカートリッジを組み立てることにより、より小型でコンパクトなフィルターカートリッジを形成することが可能になり、半導体製造プロセスにおいて通常行われているPOUでの濾過通液操作によって、各種薬液中の金属不純物を吸着除去して、薬液の清浄度を飛躍的に向上させることができることを見出した。即ち、本発明は、これまで困難であった塩基性化合物やフッ酸などを含む各種の電子素子基板表面処理液、例えば半導体製造プロセスにおいて重要な薬液であるアンモニア/過酸化水素溶液、希フッ酸(DHF)液、バッファードフッ酸(BHF)液、フォトレジスト現像液、フォトレジスト剥離液などのようなアンモニア等のアミン類に代表される塩基性化合物やフッ酸などを含む薬液から、金属不純物、特に鉄及び/又は銅及び/又はカルシウムを、通液濾過のみによる単純な操作で吸着除去することを可能にした。
【0009】
本発明は、最も広い態様においては、電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去するために用いるフィルターカートリッジであって、処理対象の薬液の構成成分及び除去すべき金属不純物の種類に応じて、除去対象の金属不純物の存在形態に適合する官能基が導入されたフィルター材料を組み込んだことを特徴とするフィルターカートリッジに関する。本発明にかかるフィルターカートリッジは、特に、アミン及び/又はアンモニウム塩及び/又はフッ酸を構成成分として含む各種薬液から金属不純物を除去するのに極めて好ましく用いることができる。
【0010】
本発明のより好ましい態様によれば、アンモニア及び過酸化水素を含む液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、4級アンモニウム基又はアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、フォトレジスト現像液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、アミノ基を含むキレート基、特にイミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンとの組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0012】
更に、本発明の更に他の態様によれば、フォトレジスト剥離液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基とアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
【0014】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、被処理液中の除去対象金属不純物の存在形態に合わせて選択された所定のイオン交換基及び/又はキレート基を導入した繊維材料及び/又は多孔質膜材料によって構成されるフィルター材料を組み込んだことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかるフィルター材料を構成することのできる繊維材料を形成するための基材として用いることのできる繊維基材としては、高分子素材の繊維や、その集合体である織布又は不織布などを好適に用いることができる。高分子素材繊維材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート等のようなポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、セルロース、及びこれらの共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)等に代表されるオレフィン共重合体を挙げることができる。これらの材質で作られた繊維材料は、表面積が大きく、微量イオンの除去容量を大きくすることができ、更に軽量で成形加工するのが容易である。繊維の具体的な形状としては、長繊維及び加工品、短繊維及び加工品、並びにこれらの切断単体などが挙げられる。長繊維としては例えば連続フィラメントが挙げられ、短繊維としては例えばステープルファイバーが挙げられる。長繊維及び短繊維の加工品としては、これらの繊維から製造される種々の織布及び不織布が挙げられる。また、織布/不織布材料は、後述する放射線グラフト重合用の基材として好適に用いることができると共に、軽量でフィルター状に加工することが容易であるので、本発明に係るフィルターカートリッジを形成するのに用いる繊維基材として好適である。
【0016】
本発明において、繊維基材にイオン交換基及び/又はキレート基を導入する手段としては、グラフト重合法を用いることができ、中でも放射線グラフト重合法を好適に用いることができる。放射線グラフト重合法とは、有機高分子基材に放射線を照射してラジカルを生成させ、それにグラフトモノマーを反応させることによって、所望のグラフト重合体側鎖を基材の高分子主鎖上に導入することのできる方法であり、グラフト鎖の数や長さを自由にコントロールすることができ、また各種形状の既存の高分子材料に重合体側鎖を導入することができるので、本発明の目的のために用いるのに最適である。放射線グラフト重合法を用いた場合には、イオン交換基及び/又はキレート基は、これらの基を有する重合体側鎖の形態で高分子基材に導入される。
【0017】
本発明の目的のために好適に用いることのできる放射線グラフト重合法において、用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が適している。放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、重合性単量体(グラフトモノマー)と接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後、モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などが挙げられるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0018】
繊維や繊維の集合体である織布/不織布は本発明に係るフィルター材料を製造するための有機高分子基材として用いるのに最も適した素材であるが、これはモノマー溶液を保持し易いので、含浸気相グラフト重合法において用いるのに適している。なお、多孔膜基材に放射線グラフト重合法によってイオン交換基及び/又はキレート基などの官能基を導入した場合には、基材の機械的強度の低下を招くため、ある程度以上の官能基を導入することはできないが、織布/不織布などの繊維基材は、それに放射線グラフト重合法によってイオン交換基及び/又はキレート基などの官能基を導入しても機械的強度の低下を招くことがないので、多孔膜基材を用いる場合と比べて遙かに大量の官能基を導入することが可能である。
【0019】
本発明において、繊維基材に導入することのできるイオン交換基としては、カチオン交換基として、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基として、4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基、1級、2級又は3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基を挙げることができる。また、キレート基としては、イミノジ酢酸及びそのナトリウム塩から誘導される官能基、各種アミノ酸基、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、リジン及びプロリンなどから誘導される官能基、イミノジエタノールから誘導される官能基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基などを挙げることができる。
【0020】
本発明にかかるフィルターカートリッジを構成する繊維材料を製造するには、上記のイオン交換基及び/又はキレート基を有する重合性単量体(モノマー)を、繊維基材の主鎖上にグラフト重合する方法と、それ自体はイオン交換基及び/又はキレート基を有していないが、これらの基に変換可能な官能基を有する重合性単量体を繊維基材の主鎖上にグラフト重合した後に、グラフトされた重合体側鎖上の官能基をイオン交換基及び/又はキレート基に変換する方法のいずれをも採用することができる。この目的で用いることのできるイオン交換基を有する重合性単量体としては、例えば、スルホン酸基を有する重合性単量体として、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩等;カルボキシル基を有する重合性単量体として、アクリル酸、メタクリル酸等;アミン系イオン交換基を有する重合性単量体として、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)等;を挙げることができる。また、それ自体はイオン交換基及び/又はキレート基を有していないが、イオン交換基及び/又はキレート基に変換可能な官能基を有する重合性単量体としては、メタクリル酸グリシジル、スチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、クロロメチルスチレンなどを挙げることができる。例えば、繊維基材にスチレンをグラフト重合した後に、硫酸やクロロスルホン酸を反応させてスルホン化することによって、強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基をグラフト重合体側鎖上に導入することができる。また、例えば、クロロメチルスチレンを繊維基材にグラフト重合した後に、基材をイミノジエタノール水溶液に浸漬することによって、キレート基であるイミノジエタノール基をグラフト重合体側鎖上に導入することができる。更に、例えば繊維基材にp−ハロアルキルスチレンをグラフト重合し、形成されたグラフト重合体側鎖上のハロゲンをヨウ素で置換した後、イミノジ酢酸ジエチルを反応させてヨウ素をイミノジ酢酸ジエチル基で置換し、更に水酸化ナトリウム水溶液でエステル結合を加水分解することによって、グラフト重合体側鎖上にキレート基であるイミノジ酢酸基を導入することができる。
【0021】
本発明において用いられる繊維基材は、0.1μm〜50μmの平均繊維径及び0.1μm〜100μmの平均孔径を有することが好ましい。更に本発明の好ましい態様においては、繊維基材は、0.1μm〜20μmの平均繊維径及び1μm〜20μmの平均孔径を有することが好ましい。更に好ましい態様においては、繊維基材の平均繊維径は、0.2μm〜15μmがより好ましく、0.5μm〜10μmが更に好ましい。また、本発明に係る繊維基材の平均孔径は、1.0μm〜10μmがより好ましく、1.0μm〜5μmが更に好ましい。なお、本発明において繊維基材の平均孔径とは、バブルポイント法によって測定された値を指す。上記のように、より小さな平均繊維径及び平均孔径を有する繊維基材を用いてフィルターカートリッジを構成すると、各種金属不純物に対する除去能が飛躍的に増大することが分かった。
【0022】
また、本発明に係るフィルターカートリッジには、多孔質膜基材に所定の官能基を導入した多孔質膜材料をフィルター材料として組み込むこともできる。本発明において用いることのできる多孔質膜材料としては、多孔質高分子膜又は無機物を含む既存の多孔性分子膜を挙げることができる。膜の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート等のようなポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、セルロース、及びこれらの共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)等に代表されるオレフィン共重合体を挙げることができる。
【0023】
本発明において用いられる多孔質膜材料は、0.02μm〜数μm、より好ましくは0.02μm〜0.5μmの平均孔径を有していることが好ましい。なお、本発明においては、多孔質膜の平均孔径とは、上記に説明した繊維基材の平均孔径の測定方法と同様の方法によって測定された値を指す。
【0024】
多孔質膜基材へ所定の官能基を導入する方法としては、上述の繊維材料に関して説明したグラフト重合法、特に放射線グラフト重合法を利用することができる。また、他の手法として、架橋重合法を用いる化学修飾法によって、多孔質膜基材へ官能基を導入することもできる。例えば、特表平9−512857号公報に開示されているように、多孔質膜基体に、溶媒中にポリビニルアルコールなどの各種官能基を有するポリマーを含む溶液と、パーサルフェートなどの遊離ラジカル重合開始剤とを含浸させて、紫外線照射又は加熱によって溶媒中のポリマーを架橋して不溶化させることで、多孔質膜基体の表面上に官能基を化学的に結合させることによって、多孔質膜基体の表面に各種の官能基を導入することができる。このような手法で作製された複合多孔質膜は、多孔質膜基体の構造特性を維持する一方で、その表面にカチオン交換基、アニオン交換基、キレート基などが導入される。ポリマー溶液を構成するポリマーとしては、上記のポリビニルアルコールの他にも、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアミン、ビニルホスホン酸、4−ビニルピリジン或いはこれらの混合物などの水溶性重合体を用いることができ、それぞれのポリマーが有する官能基が、多孔質膜基体の表面上に導入される。また、上記の目的で用いることのできる遊離ラジカル重合開始剤としては、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アンモニウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、ナトリウムパーサルフェート、カリウムパーオキシジホスフェート、ベンゾフェノン、ベンゾールパーオキシドなどを挙げることができる。
【0025】
なお、上述の架橋重合法による表面改質法は、織布・不織布などの繊維材料に各種の官能基を導入する手段としても、採用することができる。
【0026】
本発明によれば、グラフト重合等によって官能基を導入した繊維基材又は多孔質膜基材を用いてフィルターカートリッジを作成しているので、従来の樹脂ビーズなどを組み込んだフィルターカートリッジと比べて極めて小さなユニットで大きな流量の薬液を処理することが可能になり、更に半導体製造装置においてPOUでの薬液の精製が可能になる。これによって、ケミカルデリバリーシステムや装置からの汚染物を含めた不純物を、薬液がウエハに直接接触する前に除去することが可能になり、薬液の清浄度が飛躍的に向上する。
【0027】
本発明は、更に、半導体産業において用いられる各種薬液の構成成分並びにその性状と、除去対象の金属不純物の当該薬液中での存在形態との関係に着目し、金属不純物の存在形態に適合した最適の官能基によって金属不純物を除去することを特徴とする。
【0028】
例えば、基板洗浄剤として用いられるアンモニア/過酸化水素混合液(APM又はSC−1と称される)は、アンモニア、過酸化水素、純水の混合液で、その組成によって7〜12程度のpHを有する。この薬液中においては、銅は、銅イオン1分子に対してアンモニア4分子が配位子として配位結合した四配位型の金属錯体を形成し、+2価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中の銅を除去するには、カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するカチオン交換基としては、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基が好ましい。一方、鉄については、薬液のpHに対応して、鉄イオン1分子に対して水酸化物イオンが4分子、アンモニアが2分子配位した六配位型の金属錯体と、水酸化物イオンが3分子、アンモニアが3分子配位した六配位型の金属錯体との、二種類の金属錯体の混合物を形成し、それぞれ−1価及び0価の電荷を帯びた錯イオン混合物として薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中の鉄を除去するには、アニオン交換基若しくはキレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するアニオン交換基としては、4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基が好ましく、またキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更に、カルシウムについては、水酸化物の形態で存在し、+1価の電荷を帯びたイオンとして薬液中に溶解する。従って、アンモニア/過酸化水素混合液中のカルシウムを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としては、スルホン酸基が好ましい。以上のことから、アンモニア/過酸化水素混合液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基である4級アンモニウム基、或いは、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0029】
また、半導体製造プロセスにおいて用いられるフォトレジスト現像液は、一般に主成分として4級アンモニウム塩であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を含む。強塩基性であるTMAHを含む水溶液は、pH12〜14程度となり、水酸化物イオンの濃度が極めて高くなる。かかる薬液中においては、銅は、水酸化物錯体を形成し、−1価若しくは−2価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト現像液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としては、アミノ基を含む官能基が好ましく、イミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンが更に好ましい。また、鉄は、水酸化物錯体を形成し、−1価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト現像液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミノ基を含む官能基が好ましく、イミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンが更に好ましい。更にカルシウムは、水酸化物イオンと結合して+1価のイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、フォトレジスト現像液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、好ましくはアミノ基を含む官能基、特にイミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンとを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0030】
また、半導体製造プロセスにおいて用いられるフォトレジスト剥離液は、アンモニア、ヒドロキシルアミン、NH3F、フッ酸や各種有機溶剤を含んでいる。かかる薬液中においては、銅は、アンモニア・フッ素錯体、アンモニア錯体、フッ素錯体などを形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト剥離液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にアンモニア・フッ素錯体、アンモニア錯体、フッ素錯体などを形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、フォトレジスト剥離液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、フォトレジスト剥離液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0031】
また、半導体製造プロセスにおいて基板洗浄液として用いられる希フッ酸液(DHF)は、純水中にフッ酸(HF)を含み、1〜5程度のpHを有する。かかる薬液中においては、銅は、フッ素錯体を形成し、+1価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、希フッ酸液中の銅を除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にフッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、希フッ酸液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のカルシウムイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、希フッ酸液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0032】
また、半導体製造プロセスにおいて基板洗浄液として用いられるバッファードフッ酸液(BHF)は、純水中にフッ酸(HF)及びアンモニアを含んでおり、6〜10程度のpHを有する。かかる薬液中においては、銅は、アンモニア・フッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、バッファードフッ酸液中の銅を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。また、鉄は、同様にアンモニア・フッ素錯体を形成し、−1価若しくは0価の電荷を帯びた錯イオンとして薬液中に溶解する。従って、バッファードフッ酸液中の鉄を除去するには、キレート基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入するキレート基としてはアミドキシム基又はホスホン酸基が好ましい。更にカルシウムは、+2価のカルシウムイオンとして薬液中に溶解しており、これを除去するには、強酸性カチオン交換基を導入した繊維材料若しくは多孔質膜材料で構成したフィルターが有効である。この目的でフィルター基材に導入する強酸性カチオン交換基としてはスルホン酸基が好ましい。以上のことから、バッファードフッ酸液中の鉄、銅及びカルシウムの金属不純物を除去するためには、強酸性カチオン交換基とキレート基、特にアミドキシム基又はホスホン酸基とを組合わせて導入したフィルターカートリッジが好ましい。
【0033】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、上記のように、処理対象の薬液の性状及び当該薬液中に含まれる金属不純物の存在形態に対応した最適の官能基を導入した繊維材料及び/又は多孔質膜材料の組み合わせを選択し、これを積層した状態でプリーツ状に折り込むか、或いはインナーコアの周りに円筒状に巻き付けることによって形成することができる。本発明にかかる所定の官能基を導入したフィルターカートリッジは、半導体製造プロセスにおける各種薬液の供給ライン或いはPOUでこれまで設置されていた微粒子状不純物除去のためのフィルターカートリッジに置き換えて或いはこれと組合わせて用いることで、従来と全く同一の装置及び操作で、微粒子状の不純物と、微量金属不純物とを同時に効率よく除去することを可能にする。即ち、本発明は、単一の濾過工程で微量金属不純物の除去を達成したことにより、半導体素子製造において現在使用されている実装置への適用が非常に容易となり、この点からも、本発明が半導体産業に及ぼす効果は多大である。
【0034】
本発明にかかるフィルターカートリッジは、半導体素子製造プロセスの各種薬液供給ラインにおいて、薬液タンクを循環する経路の途中に設置することにより、薬液中の金属不純物を大きく低減することができる。また、本発明にかかるフィルターカートリッジを、薬液供給ライン中のPOUに設置することにより、各種薬液中の金属不純物及び微粒子状不純物を効率的に除去することができる。更に、この場合には、薬液中に元々含まれている金属不純物を除去することができるのに加えて、配管、継ぎ手などの薬液移送経路からの汚染に対処することも可能になる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理対象の薬液の種類及び除去対象となる金属不純物の種類に対応した最適の官能基を導入したフィルターカートリッジによって薬液を処理することにより、金属不純物の除去を極めて効率的に行うことができる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の一具体例を示すものであり、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0037】
実施例1
スルホン酸型カチオン交換不織布の作製
ポリエチレン繊維からなる不織布(DuPont社製、商品名タイベック:平均繊維径0.5〜10μm、平均孔径5μm(バブルポイント法によって測定した値)、目付65g/m2、厚さ0.17mm)83gに、窒素雰囲気下で電子線を150kGy照射した。この照射済不織布にスチレンを含浸させてガラス容器内に入れ、真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合を行った。グラフト済不織布を取り出し、トルエン中60℃で3時間処理してホモポリマーの除去を行った。更に不織布をアセトンで洗浄した後、50℃で12時間乾燥することによって、スチレングラフト不織布136gを得た。グラフト率は64%であった。
【0038】
得られたスチレングラフト不織布を、クロロスルホン酸/ジクロロメタン混合液(重量比2:98)に浸漬し、0℃で1時間スルホン化反応を行った。不織布を取り出し、メタノール/ジクロロメタン混合液(重量比1:9)、メタノール、純水で順次洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.27mm、イオン交換容量328meq/m2のスルホン酸型カチオン交換不織布1を得た。
【0039】
実施例2
4級アンモニウム型アニオン交換不織布の作製
実施例1と同じ不織布213gに対し、実施例1と同様の条件で電子線を照射した後、ガラス容器中でクロロメチルスチレン(450g、セイミケミカル製、商品名CMS−AM)に浸漬した。容器を真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出してアセトン(3リットル)で3回洗浄した後、50℃で12時間乾燥することにより、クロロメチルスチレングラフト不織布430gを得た。グラフト率は102%であった。得られたグラフト不織布を、30%トリメチルアミン水溶液(600mL)、エタノール(1リットル)及び純水(2.8リットル)の混合液に浸漬し、50℃で24時間反応させることにより、4級アンモニウム化を行った。不織布を取出し、純水、0.5mol/L塩酸、更に純水で順次洗浄し、乾燥することによって、厚さ0.31mm、イオン交換容量395meq/m2の4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を得た。
【0040】
実施例3
イミノジエタノール型キレート不織布の作製
実施例1と同様の条件で電子線を照射した不織布83gに、クロロメチルスチレン(セイミケミカル製、商品名CMS−14)を含浸し、ガラス容器に入れ、真空ポンプで減圧にした後、50℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出し、トルエン中、60℃で3時間処理してホモポリマーを除去した。不織布を更にアセトンで洗浄した後、50℃で12時間減圧乾燥することにより、クロロメチルスチレングラフト不織布154gを得た。グラフト率は85%であった。この不織布を、イミノジエタノール/イソプロピルアルコール(重量比4:6)の混合溶液に浸漬し、70℃で12時間反応させた。不織布を取出し、メタノール、純水で順次洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.28mm、イミノジエタノール基導入量が285meq/m2のイミノジエタノール型キレート不織布3を得た。
【0041】
実施例4
アミドキシム型キレート不織布の作製
実施例1と同様の条件で電子線を照射した不織布18.8gに、アクリロニトリル/トルエン混合液(容積比2:1)を含浸し、ガラス容器に入れ、真空ポンプで減圧にした後、60℃で3時間グラフト重合反応を行った。不織布を取出し、ジメチルホルムアミド中、40℃で30分間処理してホモポリマーを除去した。不織布を更にメタノールで洗浄した後、50℃で12時間減圧乾燥することにより、グラフト率13%の不織布20.6gを得た。この不織布を、純水(220mL)−メタノール(220mL)混合液中のヒドロキシルアミン塩酸塩(12g)溶液に浸漬し、80℃で4時間反応させた。不織布を取出し純水で洗浄し、3%アンモニア水に浸漬して、60℃で2時間反応させた。不織布を取出し、再び純水で洗浄し、乾燥することにより、厚さ0.21mm、21.3gのアミドキシム型キレート不織布4を得た。
【0042】
以下、モデル溶液の通液試験による金属除去性能の試験を行った。モデル溶液と濾過後の流出液中の金属不純物濃度を比較することにより、性能を評価した。金属不純物濃度は、原子吸光分析法(日立製作所株式会社製Z−9000)により求めた。
【0043】
実施例5
通液試験(アンモニア含有液からの銅の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1を用いて通液試験を行った。カチオン交換不織布1を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、銅を140ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜20mL/分の流速で通液して、流出液中の銅濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の銅濃度は1.0〜4.0ppbの範囲に低下しており、良好な銅不純物の除去性能を示した。
【0044】
比較例1
通液試験(アンモニア含有液からの鉄の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、鉄を175ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜40mL/分の流速で通液して、流出液中の鉄濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は173〜174ppbの範囲であり、全く除去されていなかった。実施例5及び比較例1の結果を合わせて図1に示す。
【0045】
実施例6
通液試験(アンモニア含有液からの鉄の除去)
実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を用いて通液試験を行った。アニオン交換不織布2を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、ホルダーに取り付けた状態で、試験液として、鉄を100ppb含む1.5%アンモニア水溶液を、5.0〜50mL/分の流速で通液して、流出液中の鉄濃度を測定した。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は28.0〜34.0ppbの範囲に低下しており、良好な鉄不純物の除去性能を示した。実施例6の結果を図2に示す。
【0046】
上記実施例5〜6及び比較例1の結果並びに図1及び図2を参照すると、アンモニアを含む薬液中の鉄不純物を除去するには、アニオン交換基を導入したフィルターカートリッジが最適であり、一方、アンモニアを含む薬液中の銅不純物を除去するには、カチオン交換基を導入したフィルターカートリッジが最適であることが分かった。従って、カチオン交換基を導入したフィルターとアニオン交換基を導入したフィルターとを組合わせてフィルターカートリッジを構成することにより、アンモニアを含む薬液から、鉄不純物及び銅不純物の両方を単一の操作で除去することができることが分かる。
【0047】
実施例7
通液試験(循環液からの金属除去)
実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を、直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、フィルターホルダー2に取り付けて、図3に示すように循環槽1に接続した。循環槽1には、試験液として、鉄を100ppb含む1.5%アンモニア水溶液1000mLを入れ、この溶液を、ポンプ3によって20mL/分の流速でフィルターを通して循環した。循環槽1内の鉄の経時変化を分析した結果を図4に示す。図4より、迅速な鉄濃度の低下が認められる。
【0048】
実施例8
通液試験(アンモニア含有液からの鉄、銅、カルシウムの除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むアンモニア含有液の金属除去性能試験を行った。カチオン交換不織布1とアニオン交換不織布2を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に、4級アンモニウム基をCl型に、それぞれ変換した。試験液として、鉄を19ppb、銅を17.5ppb、カルシウムを7.8ppb含む3%アンモニア水溶液を、1.0〜40mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の各金属濃度を測定した。結果を図5に示す。この液流速の範囲内では、流出液の鉄濃度は1.5ppb、銅濃度は0.1ppb、カルシウム濃度は0.2ppbにそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0049】
実施例9
通液試験(フォトレジスト現像液からの鉄、銅、カルシウムの除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例3で作製されたイミノジエタノール型キレート不織布3とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むフォトレジスト現像液の金属除去試験を行った。カチオン交換不織布1とキレート不織布3を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に、イミノジエタノール基をフリー型に、それぞれ変換した。試験液として、鉄を21ppb、銅を16ppb、カルシウムを53ppb含むフォトレジスト現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38%水溶液)を、20mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の金属濃度を分析した。流出液の鉄濃度は3.9ppb、銅濃度は1.6ppb、カルシウム濃度は0.3ppbにそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0050】
実施例10
通液試験(フォトレジスト剥離液からの鉄、銅の除去)
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例4で作製されたアミドキシム型キレート不織布4とを積層させた複合膜によって、複数の金属不純物を含むフォトレジスト剥離液の金属除去試験を行った。カチオン交換不織布1とキレート不織布4を、それぞれ直径47mm(有効面積13.1cm2)のディスク状に切り出し、2枚づつ交互に重ね合わせてホルダーに取り付けた。この積層膜に、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、スルホン酸基をアンモニア型に変換した。試験液として、鉄を6.2ppb、銅を5.9ppb添加したフォトレジスト剥離液(三菱ガス化学株式会社製、ELM−C30)を、20mL/分の流速でホルダーに通液して、流出液の各金属濃度を測定した。流出液の鉄濃度は1.8ppb、銅濃度は1.4ppb以下にそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0051】
実施例11
プリーツ型フィルターカートリッジの作製及び通液試験
実施例1で作製されたスルホン酸型カチオン交換不織布1と、実施例2で作製された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2とを、有効幅220mmで2枚重ね合わせた状態で、山高さ10mm、山数58のプリーツを作製した。このプリーツ状積層膜の有効面積は0.26m2であった。このプリーツを、カチオン交換不織布1が外側に、アニオン交換不織布2が内側になるように、高密度ポリエチレン製のフィルターインナーコア(直径46mm、長さ220mm)に巻き付け、フィルターケージ(内径76mm、高さ220mm)の中に挿入し、ボトムキャップ及びトップキャップを用いて熱溶着法によって封止することにより、機能性積層膜を備えたフィルターカートリッジを得た。このフィルターカートリッジを、実施例8と同様にNaOH、純水、塩酸、純水、アンモニアの順で処理して、スルホン酸基をアンモニア型に、4級アンモニウム基をCl型に、それぞれ変換した。このフィルターカートリッジを用いて、試験液として、鉄を19ppb、銅を17.5ppb、カルシウムを7.8ppb含む3%アンモニア水溶液を、10mL/分の流速で通液して、流出液の各金属濃度を測定した。流出液の鉄濃度は0.7ppb、銅濃度は0.1ppb以下、カルシウム濃度は0.1ppb以下にそれぞれ低下しており、いずれの金属不純物も良好に除去できることが分かった。
【0052】
比較例2
実施例1で作成したスルホン酸型カチオン交換不織布1を直径47mmのディスク状に切り出し、5%塩酸で処理した後、純水で脱酸した。得られたH型スルホン酸型カチオン交換不織布をホルダーに取り付けた。TMAHを1.2wt%含むpH13.4の水溶液に鉄を不純物として8.3ppb添加して試験液を調整し、これを5.0〜40mL/分の流速で通液した。濾液中の鉄濃度を分析したところ、8.0〜8.5ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は全く観察されなかった。
【0053】
次に、実施例2で作成された4級アンモニウム型アニオン交換不織布2を直径47mmのディスク状に切り出し、0.5%水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、純水で洗浄した。更に5%塩酸、純水の順で洗浄して得られたCl型4級アンモニウム型アニオン交換不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の鉄濃度は8.1〜8.4ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は観察されなかった。
【0054】
更に、実施例4で作成されたアミドキシム型キレート不織布4を直径47mmのディスク状に切り出し、0.5%水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、純水で洗浄し、更に5%塩酸で処理した後、純水で洗浄した。得られたH型アミドキシム型キレート不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の鉄濃度は8.2〜8.3ppbの範囲であり、鉄不純物の除去は観察されなかった。
【0055】
以上の実験により、フォトレジスト現像液中の鉄不純物は、スルホン酸基、アミドキシム基、4級アンモニウム基では除去できないことが分かる。
【0056】
比較例3
比較例2と同様に調整されたH型スルホン酸型カチオン交換不織布のディスク状試験片をホルダーに取り付けた。フォトレジスト剥離液(三菱ガス化学株式会社製、ELM−C30)に銅を不純物として170ppbの濃度になるように添加した溶液を、20mL/分の流速で通液し、濾液中の銅濃度を分析したところ、145ppbであった。また、比較例2で調整したものと同じCl型4級アンモニウム型アニオン交換不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の銅濃度は137ppbであった。更に、実施例3で作成されたイミノジエタノール型キレート不織布3を、1%NaOH水溶液、純水、5%塩酸水溶液、純水、3%アンモニア水溶液をこの順番で通液して、イミノジエタノール基をフリー型に変換した。得られたイミノジエタノール型キレート不織布について、上記と同様に通液試験を行ったところ、濾液中の銅濃度は83ppbであった。
【0057】
以上の実験により、アンモニア及びフッ酸を含むフォトレジスト剥離液中の銅不純物は、スルホン酸基、4級アンモニウム基では除去できず、またイミノジエタノール基では除去効率が悪いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5及び比較例1の実験結果を示すグラフである。
【図2】実施例6の実験結果を示すグラフである。
【図3】実施例7において用いた循環通液試験装置の概念図である。
【図4】実施例7の実験結果を示すグラフである。
【図5】実施例8の実験結果を示すグラフである。
Claims (10)
- 電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去するために用いるフィルターカートリッジであって、処理対象の薬液の構成成分及び除去すべき金属不純物の種類に応じて、除去対象の金属不純物の存在形態に適合する官能基が導入されたフィルター材料を組み込んだことを特徴とするフィルターカートリッジ。
- 処理対象の薬液が、アミン及び/又はアンモニウム塩及び/又はフッ酸を構成成分として含むものである請求項1に記載のフィルターカートリッジ。
- フィルター材料が、カチオン交換基、アニオン交換基、キレート基及びこれらの組み合わせから選択される官能基を導入した繊維材料又は多孔質膜材料によって構成される請求項1又は2に記載のフィルターカートリッジ。
- 繊維材料が、織布基材又は不織布基材により構成される請求項3に記載のフィルターカートリッジ。
- 官能基が、グラフト重合法又は架橋重合法によって基材に導入されている請求項1〜4のいずれかに記載のフィルターカートリッジ。
- アンモニア及び過酸化水素を含む液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、4級アンモニウム基又はアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジ。
- フォトレジスト現像液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基と、アミノ基を含むキレート基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジ。
- アミノ基を含むキレート基が、イミノジエタノール基、ジエチレントリアミン基又はポリエチレンイミンである請求項7に記載のフィルターカートリッジ。
- フォトレジスト剥離液から鉄、銅及びカルシウムを除去するためのフィルターカートリッジであって、強酸性カチオン交換基とアミドキシム基又はホスホン酸基との組み合わせからなる官能基が導入されていることを特徴とするフィルターカートリッジ。
- 請求項1〜9に記載のフィルターカートリッジに、処理対象の薬液を通液することを特徴とする、電子素子基板表面処理用の薬液を処理して薬液中に含まれている金属不純物を除去する方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003128579A JP2004330056A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ |
CNA2004800121867A CN1787969A (zh) | 2003-05-07 | 2004-04-28 | 用于处理电子器件衬底表面的流体用滤筒 |
PCT/JP2004/006190 WO2004099086A1 (en) | 2003-05-07 | 2004-04-28 | Filter cartridge for fluid for treating surface of electronic device substrate |
US10/554,585 US20070007196A1 (en) | 2003-05-07 | 2004-04-28 | Filter cartridge for fluid for treating surface of electronic device substrate |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003128579A JP2004330056A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004330056A true JP2004330056A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33432047
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003128579A Pending JP2004330056A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20070007196A1 (ja) |
JP (1) | JP2004330056A (ja) |
CN (1) | CN1787969A (ja) |
WO (1) | WO2004099086A1 (ja) |
Cited By (19)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007128064A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-05-24 | Air Products & Chemicals Inc | 残留物を除去するための水性洗浄組成物及びそれを使用する方法 |
JP2007130540A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | Japan Atomic Energy Agency | 強酸性領域で使用可能なキレート吸着材 |
US20120052449A1 (en) * | 2010-08-25 | 2012-03-01 | Fujifilm Corporation | Method of forming pattern |
JP2013061426A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Nomura Micro Sci Co Ltd | フォトレジスト膜形成用樹脂溶液の不純物除去方法、不純物除去用濾過部材及び不純物除去用濾過装置 |
JP2014111732A (ja) * | 2012-10-30 | 2014-06-19 | Kuraray Co Ltd | エチレン−ビニルアルコール系共重合体のグラフト共重合体、その製造方法及びそれを用いた金属イオン吸着材 |
KR101537831B1 (ko) * | 2007-10-29 | 2015-07-17 | 이케이씨 테크놀로지, 인코포레이티드 | 신규한 니트릴 및 아미드옥심 화합물 및 제조 방법 |
JP2015521101A (ja) * | 2012-05-01 | 2015-07-27 | インテグリス・インコーポレーテッド | 有機溶剤精製器およびその使用方法 |
JP2016182554A (ja) * | 2015-03-26 | 2016-10-20 | 東京応化工業株式会社 | 濾過材料、濾過フィルター、濾過方法、フェニルイミン化合物の製造方法、アルコキシフェニルイミン化合物の製造方法、化合物 |
JP2016192473A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 株式会社Screenホールディングス | 基板処理装置および基板処理方法 |
KR20170022919A (ko) | 2015-08-20 | 2017-03-02 | 도오꾜오까고오교 가부시끼가이샤 | 여과 재료, 여과 필터 및 여과 방법 |
US9943825B2 (en) | 2012-10-30 | 2018-04-17 | Kuraray Co., Ltd. | Porous graft copolymer particles, method for producing same, and adsorbent material using same |
JP2018521839A (ja) * | 2015-06-26 | 2018-08-09 | インテグリス・インコーポレーテッド | グラフト化ポリスルホン膜 |
WO2019013155A1 (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-17 | 富士フイルム株式会社 | フィルタユニット、精製装置、製造装置、及び、薬液 |
WO2019131629A1 (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-04 | 日産化学株式会社 | 溶液中の金属不純物を除去する金属除去剤及び金属除去方法 |
WO2019150990A1 (ja) * | 2018-02-05 | 2019-08-08 | 富士フイルム株式会社 | 薬液、薬液の製造方法、基板の処理方法 |
JP2020116524A (ja) * | 2019-01-24 | 2020-08-06 | 倉敷繊維加工株式会社 | カルボン酸誘導体を含む薬液を濾過する方法 |
US10816141B2 (en) | 2017-08-16 | 2020-10-27 | SCREEN Holdings Co., Ltd. | Chemical solution feeder, substrate treatment apparatus, method for feeding chemical solution, and method for treating substrate |
KR20210102991A (ko) * | 2019-02-08 | 2021-08-20 | 엔테그리스, 아이엔씨. | 리간드-개질된 필터 및 액체 조성물로부터 금속을 감소시키는 방법 |
JP7469737B2 (ja) | 2019-03-28 | 2024-04-17 | 日産化学株式会社 | エポキシ樹脂中の金属不純物を除去する金属吸着剤及び金属除去方法 |
Families Citing this family (21)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2921518B1 (fr) * | 2007-09-26 | 2009-12-11 | Commissariat Energie Atomique | Procede d'elaboration de membranes conductrices de protons de pile a combustible par radiogreffage |
WO2009058278A1 (en) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Ekc Technology, Inc | Methods of cleaning semiconductor devices at the back end of line using amidoxime compositions |
WO2009058275A1 (en) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Ekc Technology, Inc. | Methods of post chemical mechanical polishing and wafer cleaning using amidoxime compositions |
US8802609B2 (en) | 2007-10-29 | 2014-08-12 | Ekc Technology Inc | Nitrile and amidoxime compounds and methods of preparation for semiconductor processing |
WO2009058272A1 (en) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Ekc Technology, Inc. | Copper cmp polishing pad cleaning composition comprising of amidoxime compounds |
TW200946448A (en) * | 2007-10-29 | 2009-11-16 | Ekc Technology Inc | Stabilization of hydroxylamine containing solutions and method for their preparation |
WO2009058274A1 (en) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Ekc Technology, Inc. | Chemical mechanical polishing and wafer cleaning composition comprising amidoxime compounds and associated method for use |
WO2009085072A1 (en) * | 2007-12-31 | 2009-07-09 | Ekc Technology, Inc | Composition comprising chelating agents containing amidoxime compounds |
WO2009152217A1 (en) * | 2008-06-12 | 2009-12-17 | University Of Toledo | Anti-biofouling materials and methods of making the same |
US20100105595A1 (en) * | 2008-10-29 | 2010-04-29 | Wai Mun Lee | Composition comprising chelating agents containing amidoxime compounds |
US7838483B2 (en) | 2008-10-29 | 2010-11-23 | Ekc Technology, Inc. | Process of purification of amidoxime containing cleaning solutions and their use |
US20100210160A1 (en) * | 2009-02-18 | 2010-08-19 | 3M Innovative Properties Company | Hydrophilic porous substrates |
JP2012531531A (ja) | 2009-06-23 | 2012-12-10 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 官能化不織布物品 |
CN103730409B (zh) * | 2012-10-16 | 2016-12-28 | 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 | 半导体器件的制作方法、清洗方法和清洗系统 |
CN103787443B (zh) * | 2012-10-29 | 2015-08-19 | 冠宇水资源科技股份有限公司 | 用以去除总溶解性固体的流过式吸附器 |
JP6118577B2 (ja) * | 2013-02-14 | 2017-04-19 | 株式会社Screenホールディングス | 基板処理装置 |
US10315814B2 (en) * | 2017-08-04 | 2019-06-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Transfer cap |
US10344904B2 (en) * | 2017-08-09 | 2019-07-09 | Milliken Infrastructure Solutions, Llc | Strengthened polyethylene tubular member |
SG11202100982SA (en) | 2018-08-21 | 2021-02-25 | Fujifilm Electronic Materials Usa Inc | Method for processing chemical liquid |
JPWO2020130005A1 (ja) * | 2018-12-20 | 2021-11-04 | 日産化学株式会社 | リソグラフィー用塗布膜形成組成物の製造方法 |
CN112517517A (zh) * | 2020-12-17 | 2021-03-19 | 上海中欣晶圆半导体科技有限公司 | 硅片清洗装置及降低硅片清洗装置中过滤器累积污染的方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61164614A (ja) * | 1985-01-16 | 1986-07-25 | Yuasa Battery Co Ltd | 濾過筒 |
JP3355827B2 (ja) * | 1994-11-22 | 2002-12-09 | ソニー株式会社 | 処理液による半導体処理方法及び半導体処理装置 |
JP2000228387A (ja) * | 1998-12-01 | 2000-08-15 | Tadahiro Omi | ウエット洗浄装置 |
JP4064046B2 (ja) * | 1999-10-21 | 2008-03-19 | 株式会社荏原製作所 | 有機高分子材料及びその製造方法並びにそれから構成される重金属イオン除去剤 |
-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003128579A patent/JP2004330056A/ja active Pending
-
2004
- 2004-04-28 CN CNA2004800121867A patent/CN1787969A/zh active Pending
- 2004-04-28 US US10/554,585 patent/US20070007196A1/en not_active Abandoned
- 2004-04-28 WO PCT/JP2004/006190 patent/WO2004099086A1/en active Application Filing
Cited By (30)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8772214B2 (en) | 2005-10-14 | 2014-07-08 | Air Products And Chemicals, Inc. | Aqueous cleaning composition for removing residues and method using same |
JP2007128064A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-05-24 | Air Products & Chemicals Inc | 残留物を除去するための水性洗浄組成物及びそれを使用する方法 |
JP2007130540A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | Japan Atomic Energy Agency | 強酸性領域で使用可能なキレート吸着材 |
KR101537831B1 (ko) * | 2007-10-29 | 2015-07-17 | 이케이씨 테크놀로지, 인코포레이티드 | 신규한 니트릴 및 아미드옥심 화합물 및 제조 방법 |
US20120052449A1 (en) * | 2010-08-25 | 2012-03-01 | Fujifilm Corporation | Method of forming pattern |
US8663907B2 (en) * | 2010-08-25 | 2014-03-04 | Fujifilm Corporation | Method of forming pattern |
JP2013061426A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Nomura Micro Sci Co Ltd | フォトレジスト膜形成用樹脂溶液の不純物除去方法、不純物除去用濾過部材及び不純物除去用濾過装置 |
JP2015521101A (ja) * | 2012-05-01 | 2015-07-27 | インテグリス・インコーポレーテッド | 有機溶剤精製器およびその使用方法 |
JP2014111732A (ja) * | 2012-10-30 | 2014-06-19 | Kuraray Co Ltd | エチレン−ビニルアルコール系共重合体のグラフト共重合体、その製造方法及びそれを用いた金属イオン吸着材 |
US9943825B2 (en) | 2012-10-30 | 2018-04-17 | Kuraray Co., Ltd. | Porous graft copolymer particles, method for producing same, and adsorbent material using same |
JP2016182554A (ja) * | 2015-03-26 | 2016-10-20 | 東京応化工業株式会社 | 濾過材料、濾過フィルター、濾過方法、フェニルイミン化合物の製造方法、アルコキシフェニルイミン化合物の製造方法、化合物 |
JP2016192473A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 株式会社Screenホールディングス | 基板処理装置および基板処理方法 |
JP2018521839A (ja) * | 2015-06-26 | 2018-08-09 | インテグリス・インコーポレーテッド | グラフト化ポリスルホン膜 |
KR20170022919A (ko) | 2015-08-20 | 2017-03-02 | 도오꾜오까고오교 가부시끼가이샤 | 여과 재료, 여과 필터 및 여과 방법 |
WO2019013155A1 (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-17 | 富士フイルム株式会社 | フィルタユニット、精製装置、製造装置、及び、薬液 |
JPWO2019013155A1 (ja) * | 2017-07-10 | 2020-07-02 | 富士フイルム株式会社 | フィルタユニット、精製装置、製造装置、及び、薬液 |
US10816141B2 (en) | 2017-08-16 | 2020-10-27 | SCREEN Holdings Co., Ltd. | Chemical solution feeder, substrate treatment apparatus, method for feeding chemical solution, and method for treating substrate |
TWI721284B (zh) * | 2017-08-16 | 2021-03-11 | 日商斯庫林集團股份有限公司 | 藥液供給裝置、基板處理裝置、藥液供給方法以及基板處理方法 |
WO2019131629A1 (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-04 | 日産化学株式会社 | 溶液中の金属不純物を除去する金属除去剤及び金属除去方法 |
JPWO2019131629A1 (ja) * | 2017-12-25 | 2020-12-24 | 日産化学株式会社 | 溶液中の金属不純物を除去する金属除去剤及び金属除去方法 |
US11732190B2 (en) | 2018-02-05 | 2023-08-22 | Fujifilm Corporation | Chemical solution, method for manufacturing chemical solution, and method for treating substrate |
WO2019150990A1 (ja) * | 2018-02-05 | 2019-08-08 | 富士フイルム株式会社 | 薬液、薬液の製造方法、基板の処理方法 |
JPWO2019150990A1 (ja) * | 2018-02-05 | 2021-01-28 | 富士フイルム株式会社 | 薬液、薬液の製造方法、基板の処理方法 |
JP2020116524A (ja) * | 2019-01-24 | 2020-08-06 | 倉敷繊維加工株式会社 | カルボン酸誘導体を含む薬液を濾過する方法 |
JP7229023B2 (ja) | 2019-01-24 | 2023-02-27 | 倉敷繊維加工株式会社 | カルボン酸誘導体を含む薬液を濾過する方法 |
JP2022519624A (ja) * | 2019-02-08 | 2022-03-24 | インテグリス・インコーポレーテッド | 配位子修飾フィルター及び液体組成物から金属を低減するための方法 |
KR20210102991A (ko) * | 2019-02-08 | 2021-08-20 | 엔테그리스, 아이엔씨. | 리간드-개질된 필터 및 액체 조성물로부터 금속을 감소시키는 방법 |
JP7384915B2 (ja) | 2019-02-08 | 2023-11-21 | インテグリス・インコーポレーテッド | 配位子修飾フィルター及び液体組成物から金属を低減するための方法 |
KR102646311B1 (ko) * | 2019-02-08 | 2024-03-13 | 엔테그리스, 아이엔씨. | 리간드-개질된 필터 및 액체 조성물로부터 금속을 감소시키는 방법 |
JP7469737B2 (ja) | 2019-03-28 | 2024-04-17 | 日産化学株式会社 | エポキシ樹脂中の金属不純物を除去する金属吸着剤及び金属除去方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN1787969A (zh) | 2006-06-14 |
WO2004099086A1 (en) | 2004-11-18 |
US20070007196A1 (en) | 2007-01-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004330056A (ja) | 電子素子基板表面処理液用フィルターカートリッジ | |
US7291578B2 (en) | Hybrid anion exchanger for selective removal of contaminating ligands from fluids and method of manufacture thereof | |
KR102646311B1 (ko) | 리간드-개질된 필터 및 액체 조성물로부터 금속을 감소시키는 방법 | |
JP2003251118A (ja) | 高容量金属捕捉能を有するフィルターカートリッジ | |
JPWO2003014205A1 (ja) | 焼結体、樹脂粒子及びその製造方法 | |
JP6912244B2 (ja) | フィルターカートリッジ及びフィルター | |
JP4064046B2 (ja) | 有機高分子材料及びその製造方法並びにそれから構成される重金属イオン除去剤 | |
JP2003112060A (ja) | イオン吸着樹脂および多孔質イオン吸着体 | |
US6447684B2 (en) | Filtration and purification system for pH neutral solutions | |
TWI248829B (en) | Filter cartridge | |
JP2003251120A (ja) | 微粒子・金属不純物精密濾過用フィルターカートリッジ | |
KR100380340B1 (ko) | 산 수용액의 여과 및 정제 시스템 | |
JP3386929B2 (ja) | 分離機能性繊維の製造方法とそれを用いて製造されたイオン交換繊維及びガス吸着材 | |
KR100742769B1 (ko) | 분리기능성 재료 | |
JP2002018245A (ja) | 耐汚染性多孔質濾過膜 | |
JP2002346400A (ja) | アニオン交換体及びその製造方法 | |
JP4081503B2 (ja) | 混床式イオン交換樹脂 | |
TW202039404A (zh) | 有機溶劑的製造方法 | |
JP2001038202A (ja) | ガス吸着剤 | |
JP3017244B2 (ja) | 複数の重金属イオンを同時に除去する方法 | |
JP3734545B2 (ja) | 半導体ウエハ処理液の精製膜及び方法 | |
JP2002355564A (ja) | イオン吸着体 | |
CN1533303A (zh) | 电脱盐装置 | |
JP7259919B1 (ja) | 有機溶媒の不純物除去方法 | |
JP2005349241A (ja) | 水中の陽イオンを高速かつ高効率で除去する材料とこの材料を用いた廃水の2次処理 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090127 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090526 |