JP2014111732A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体のグラフト共重合体、その製造方法及びそれを用いた金属イオン吸着材 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体のグラフト共重合体、その製造方法及びそれを用いた金属イオン吸着材 Download PDF

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Abstract

【課題】金属イオンを、効率よく吸着し回収することを可能にする、エチレン−ビニルア
ルコール系共重合体のグラフト共重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(1)前記グラフト共重合体は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に、アミノ基を有するグラフト鎖が導入されている。前記グラフト共重合体が多孔質体であり、表面に形成された細孔の平均細孔径が0.01μm〜50μmの範囲内にあることが好ましい。(2)前記グラフト共重合体は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を準備する工程と、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、アミノ基を有するグラフト鎖を導入し、アミノ基を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備えることにより製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、白金族金属イオンをはじめとする種々の金属イオンを、効率よく吸着し回収
することを可能にする、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に、アミノ基を有するグ
ラフト鎖が導入されたグラフト共重合体、その製造方法およびエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いた金属イオン吸着材料に関する。
近年、レアメタルなどの金属資源はその需要の高まりと、資源ナショナリズムによる供給制限とが相まって、供給不安、価格の高騰など市場は不安定である。そのような状況において、使用済みの製品をリサイクルする技術や仕組みの構築、更には、回収や製錬工程で極力ロスを少なくする技術開発が精力的に行われている。
金属を含有する材料から金属を分離回収する方法としては、金属含有材料を酸又はアル
カリに溶解し、その溶液を電気分解して陰極に金属を析出させる方法、排水中に含まれて
いる金属イオンを硫酸アルミニウムや消石灰のような凝集剤により凝集沈殿させる方法、
金属イオン含有溶液から、ジブチルカルビトールのような有機溶剤を用いて金属イオンを
抽出させる方法、キレート形成やイオン交換により金属を回収させる方法、金属イオンを
含有する溶液から金属イオン吸着材を用いて金属イオンを吸着して回収する方法などが知
られている。
これらの中でも、金属イオン吸着材を用いて金属イオンを吸着して回収する方法は、工
業的な実施に適していると考えられ、金属イオン吸着材についての種々の検討が行われて
いる。
金属イオンを金属イオン吸着材に吸着及び溶離させて回収する方法としては、金属イオ
ン吸着材と金属イオンを含有する溶液を接触させて、金属イオン吸着材に金属イオンを吸
着させ、続いて金属イオンと溶離液とを接触させて、金属イオン吸着材から金属イオンを
溶離させる方法が知られている。
このような金属イオン吸着材として、イオン交換樹脂やキレート樹脂が知られているが
、これらの樹脂は、一般的には三次元架橋構造を有する疎水性の高分子母体にイオン交換
基やキレート形成基が導入された構造であることから、樹脂内部でのイオンの拡散に長時
間を要し、吸着速度が遅い、樹脂内部に取り込まれたイオンが溶離し難いなどの欠点があ
った。
このような課題を克服するため、特許文献1には、アミン系ポリマーと親水性ポリマー
を含むポリマーブレンドを含んでなる液中物質移動材料が開示されている。この文献では
、液中に含まれる目的物質の捕集・除去だけでなく、液中物質移動材料から目的物質を放
出させることができることが記載されている。また、この文献では、親水性ポリマーとし
てポリビニルアルコールを用いた場合、液中物質移動材料に熱処理を施すと、親水性ポリ
マー分子間の結晶水が除去されて水素結合が強固なものとなると記載されている。
一方、キレート形成基などの導入方法として、放射線を用いたグラフト重合も知られて
いる(非特許文献1)。しかしながら、一般にグラフト重合の基材として用いられるポリ
エチレンは、放射線照射にて発生したラジカルが失活し易いため、得られたグラフト体の
グラフト率が変動し易く、性能にバラツキが発生しやすいという懸念があった。
また、特許文献2では、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に電離放射線を照射し
て、4級アンモニウム基を有するグラフト鎖を導入した陰イオン交換体が開示されている
。この文献には、実施例において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して電離
放射線を照射し、その結果グラフト率60%で4級アンモニウム基を導入している。
国際公報第2007−018138号パンフレット 特開2010−1392号公報
「グラフト重合のおいしいレシピ」(斎藤恭一、須郷高信共著、丸善株式会社 2008年2月15日発行)
しかしながら、特許文献1のポリビニルアルコールを用いた液中物質移動材料は、熱処
理によってアミン系ポリマーとの相互作用が大きくなり、捕集性能が向上するかもしれな
いが、アミン系ポリマーとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドは実用的な耐水性
に欠ける。
また、特許文献2で得られた陰イオン交換体では十分な吸着性能が発現しない。さらに、記載の4級アンモニウム塩を吸着基とした場合、十分な吸着性能を発現させるため官能基を増やすと親水性が増大し、樹脂が膨潤してしまうため、吸着材作製後の取り出しが困難となるだけでなく、また作製できたとしても金属イオンを含む水溶液中での使用が困難となるなどの問題点を有していた。
従って、本発明の目的は、耐水性を有するとともに、金属イオンの吸着性と溶離性に優
れる金属イオン吸着材として有用なグラフト共重合体およびその製造方法を提供すること
にある。
本発明の別の目的は、このような金属イオン吸着材を用いて、金属イオン、特に白金族
金属イオンを高収率で回収するための回収方法を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、親水性であるエチ
レン−ビニルアルコール系共重合体にアミノ基を有するグラフト鎖を導入することにより
、耐水性を維持しつつも、樹脂内部でのイオン拡散性を達成することが可能であり、その
結果、優れた金属イオンの吸着性および溶離性を達成できることを見出し、本発明を完成
した。さらに、多孔質なエチレン-ビニルアルコール系共重合体を出発原料とすることで
、高いグラフト率、高い金属イオンの吸着性能を達成できることを見出し、本発明に至っ
た。
すなわち、本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に、アミノ基を有するグ
ラフト鎖が導入されたグラフト共重合体、および、そのグラフト共重合体で構成された金
属イオン吸着材である。
前記グラフト共重合体は、多孔質体であってもよく、表面に形成された細孔の細孔径の平均値が0.01μm〜50μmであってもよい。
前記グラフト共重合体は、粒子径が10μm〜2000μmの粒子状であってもよい。
また、高度な吸着性を達成する観点から、アミノ基の導入量は5.0mmol/g以上であることが好ましい。
本発明は、前記グラフト共重合体の製造方法についても包含し、前記製造方法は、
エチレン−ビニルアルコール系共重合体を準備する工程と、
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、アミノ基を有するグラフト鎖を
導入し、アミノ基を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、を備
える。
この製造方法において、グラフト鎖は、電離放射線を用いて、導入されてもよいし、前
記水溶性ポリマーはポリビニルアルコールであってもよい。
さらに本発明は、金属イオン回収方法についても包含し、前記回収方法は、前記金属イ
オン吸着材と、目的とする金属イオンを含有する金属イオン含有液とを接触させ、前記吸
着材に金属イオンを吸着させる吸着工程と、
金属イオンを吸着した吸着材を回収し、前記吸着材と溶離液とを接触させ、吸着材から
金属イオンを溶離させる溶離工程とを備える。
前記回収方法では、溶離工程における金属イオンの溶離率が80%以上であるのが好ま
しい。
なお、本発明において、アミノ基は、4級アンモニウム基を含まない意味で用いられて
いる。
また、本発明において、多孔質とは、粒子中に複数個の細孔が存在することを意味している。なお、この細孔は、連続構造であってもよく、独立構造であってもよい。
本発明のグラフト共重合体は、親水性のエチレン−ビニルアルコール系共重合体に対し
て、アミノ基を有するグラフト鎖を導入しているため、耐水性を維持しつつも、金属イオ
ンを樹脂内部で速やかに拡散させることが可能である。
特に、本発明のグラフト共重合体は、金属イオン吸着材として有用であり、前記グラフ
ト共重合体で構成された金属イオン吸着材は、耐水性を有するだけでなく、金属イオンの
吸着性及び溶離性に優れ、高収率で金属イオンを回収することができる。
また、本発明の金属イオン吸着材は、耐水性を有しているだけでなく、高い溶離性をも
有しているため、繰り返しの使用に耐え、高い再利用性を達成することが可能である。
また、本発明のグラフト共重合体の製造方法では、上記のような優れた性能を有するグ
ラフト共重合体を、効率よく製造することができる。
(グラフト共重合体)
本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体に、アミノ基を有するグラフト鎖が
導入されたグラフト共重合体である。アミノ基の優れた吸着/溶離特性により、本発明のグラフト共重合体は高い金属イオン吸着/溶離性能を示す。アミノ基の導入量、すなわち、該グラフト共重合体が単位質量あたりに保有するアミノ基のモル数は特に限定されないが、金属イオン吸着性能の観点から、5.0mmol/g以上であることが好ましく、5.5mmol/g以上であることがより好ましく、6.0mmol/g以上であることがさらに好ましい。導入量が5.0mmol/g未満の場合、金属イオンの吸着性能が充分に得られないことがある。なお、本発明におけるアミノ基は、それらの一部またはすべてが塩(但し、第4級アンモニウムを除く)の状態で存在してもよい。一方、官能基のモル数が20mmol/gを超える場合、粒子の膨潤を抑制することが難しく、また製造上も困難な場合が多い。
本発明のグラフト共重合体は、官能基を効率的に利用する観点から、多孔質体であることが好ましい。多孔質体は、少なくとも表面に細孔が形成されていればよく、構造の内部まで細孔が形成されている必要はない。表面に形成される細孔は、その細孔径の平均値が0.01μm〜50μm程度であってもよく、好ましくは0.05μm〜20μm、より好ましくは0.2μm〜10μm程度であってもよく、さらに好ましくは、0.2μm〜7μmであってもよい。これら細孔の細孔径の平均値は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。細孔径の平均値が0.05μm以下の場合、官能基が内部まで効率的に使用できず目的の金属イオン吸着能が得られなかったり、グラフト率が上がらず金属イオン吸着能が充分に得られないことがある。一方、細孔径の平均値が50μm以上の場合、グラフト共重合体が脆くなり取り扱いが困難となるおそれがある。
本発明のグラフト共重合体の形状は、特に限定されず、グラフト共重合体の適用箇所に
応じて、繊維やその集合である織布や不織布、粒子、シート、フィルムあるいはそれらの
加工品など各種の形状から選択することができる。これらのうち、金属イオンとの吸着性
を向上する観点から、粒子状であることが好ましい。
グラフト共重合体が粒子状の場合、適宜粉砕により目的の粒子径に調整すれば良いが、
粒子径は10μm〜2000μmが好ましく、30μm〜1500μmがさらに好ましく
、40μm〜1000μmが最も好ましい。粒子径が10μm以下の場合、微粉が舞い易
いなど取り扱いが難しい。粒子径が2000μm以上の場合、金属イオンの吸着性能が充
分に得られないことがある。
(グラフト共重合体の製造方法)
本発明のグラフト共重合体の製造方法は、
エチレン−ビニルアルコール系共重合体を準備する工程と、
前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、アミノ基を有するグラフト鎖を
導入し、アミノ基を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、
を備えている。
(エチレン−ビニルアルコール系共重合体)
本発明のグラフト共重合体の基材として用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重
合体は、上記の性質を有するグラフト共重合体を得ることができる限り特に限定されない
が、例えば、そのエチレン含有量は、10〜60モル%程度であってもよく、20〜50
モル%程度が好ましい。エチレン含量が10モル%未満の場合、得られるグラフト共重合
体の耐水性が低下する虞がある。一方、エチレン含量が60モル%を越えると製造が難し
く入手が困難である。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のけん化度は、90モル%以上が好まし
く、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が特に好ましい。けん化度が90モ
ル%未満の場合、成形性が悪くなったり、得られるグラフト共重合体の耐水性が低下する
虞がある。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメルトフローレート(MFR)(21
0℃、荷重2160g)についても特に限定されないが、0.1g/分以上が好ましく、
0.5g/分以上がより好ましい。0.1g/分未満の場合、耐水性や強度が低下する虞
がある。なお、メルトフローレートの上限は通常用いられる範囲であればよく、例えば、
25g/分以下であってもよい。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で
別の不飽和単量体単位を含んでいてもよい。該不飽和単量体単位の含量は、10モル%以
下であることが好ましく、5%モル以下であることがより好ましい。
このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、単独で又は2種以上組み合わせ
て用いることができる。
このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、グラフト鎖を導入するに際し、
その用途に応じて、フィルム、シート、容器、粒子、粉体などの各種形状であればよい。
また、グラフト鎖を効率的に導入する観点から、グラフト鎖を導入するために多孔体化さ
れ、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体として用いられるのが好ましい。
多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、発泡剤などの気孔形成材とエチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体とを溶融混合することにより多孔質化させてもよいが、
細孔のサイズを制御する観点から、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体はエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混練などにより混合し、
溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程と、前記複合体から水溶性ポリマーを抽出する
工程と、によって形成するのが好ましい。
なお、本発明において、「溶融物の冷却固化」とは、溶融物を凝固浴など用いることな
く、冷却固化することを意味している。
本発明に用いられる水溶性ポリマーは、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と溶融
混合できる限り特に限定されず、一般に知られている水溶性ポリマーが利用できる。当該
水溶性ポリマーは、例えば、デンプン;ゼラチン;セルロース誘導体;ポリビニルアミン
、ポリアリルアミン等の水溶性アミン系ポリマー;ポリアクリル酸;ポリイソプロピルア
クリルアミド等のポリアクリルアミド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコールな
どが挙げられる。これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール系共重合体との溶融混練
のし易さに優れ、空隙の制御が容易であることから、特にポリビニルアルコールが好適に
用いられる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとの質量割合は、必要とする多孔質の程度に応じて、適宜決めることができるが、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体:水溶性ポリマーは、99.9:0.1〜20:80程度であってもよく、好ましくは、99.9:0.1〜30:70程度であってもよい。
本発明に用いられるポリビニルアルコールは、本発明の効果が得られる限り、ビニルア
ルコール単位及びビニルエステル系単量体に由来する構造単位以外の構造単位を有するこ
とができる。当該構造単位は、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレ
ン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸N−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸N−
ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル
、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル基を有する不飽
和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸N−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸N−ブチル、メタクリル
酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル基を有する不飽和単量
体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−
ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン
酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩)
;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタ
クリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミ
ンおよびその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−
プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i
−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステア
リルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパンなどのビニルエ
ーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル
、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハ
ロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン
、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカ
ルボン酸及びその塩またはエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合
物、酢酸イソプロペニルである。当該構造単位の含有量は、10モル%未満である。
本発明に用いられるポリビニルアルコールの粘度平均重合度(JIS K6726に準
拠して測定)は特に限定されないが、好ましくは100〜10,000であり、より好ま
しくは200〜7,000であり、さらに好ましくは300〜5,000である。粘度平
均重合度が上記範囲から逸脱すると、得られる多孔質体の表面積が低下する虞がある。
本発明に用いられるポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されないが、好ましく
は50モル%以上であり、より好ましくは60〜98モル%であり、特に好ましくは70
〜95モル%である。けん化度が50モル%未満になると水溶性が低下し成形後の熱水抽
出での抽出性が悪くなる。けん化度が98モル%より高いポリビニルアルコールは溶融混
合が難しい。
本発明の多孔質エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、例えば、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体と水溶性ポリマーを溶融混練にて混合して溶融物を冷却固化させた
複合体(コンパウンド)を得た後に、この複合体から水溶性ポリマーを抽出することによ
って得られる。溶融混練する方法は特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、ブラベン
ダー、ニーダーなど公知の混練機を用いることができる。目的とする形状を得るために、
必要に応じて各段階で粉砕などを実施しても良い。例えば、冷却固化させた複合体を粉砕して粒子化した後に、粒子化した複合体から水溶性ポリマーを抽出してもよく、また、水溶性ポリマーを抽出した多孔質化されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体を粉砕して、粒子化してもよい。
また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を溶解せず、水溶性ポリマーを抽出する
ことができる限り、抽出に用いられる溶媒は特に限定されず、水、各種有機溶媒、水と有
機溶媒との混合物などを用いることができるが、水溶性ポリマーを利用している観点から
、溶媒としては水、特に熱水を用いるのが好ましい。熱水の温度は、40℃〜120℃が
好ましく、50℃〜100℃がさらに好ましい。
このようにして得られた多孔質なエチレン−ビニルアルコール系重合体粒子は、多孔質
体であるが、少なくとも粒子の表面に細孔が形成されていればよく、粒子内部まで細孔が
形成されている必要はない。表面に形成される細孔は、その細孔径の平均値が0.01μm〜50μm程度であってもよく、好ましくは0.05μm〜20μm、より好ましくは0.2μm〜10μm程度であってもよく、さらに好ましくは、0.2〜7μmであってもよい。これら細孔の細孔径の平均値は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。中でも細孔が大きい多孔質な粒子を用いることにより、低線量の電離放射線の照射でも高いグラフト率が達成でき、目的とする金属イオンの吸着性能が得られ易い。
グラフト重合に用いるエチレン−ビニルアルコール系重合体の形態としては、グラフト
共重合体の形状と同様に、特に限定されないが、金属イオン吸着材の使用を考慮し、粒子
状であることが好ましい。粒子状である場合、適宜粉砕などにより目的の粒子径の粒子を
用いることができるが、平均粒子径としては10μm〜2000μmであることが好まし
く、30μm〜1500μmがさらに好ましく、40μm〜1000μmが最も好ましい
。平均粒子径が10μm以下の場合、微粉が飛散し易いなど取り扱いが難しい。平均粒子径が2000μm以上の場合、グラフト率が上がらず目的の金属イオン吸着能が充分に得られないことがある。
上記の多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、アミノ基を有するグ
ラフト鎖を導入する方法としては、種々の公知の方法が可能であり、例えば、重合開始剤
を用いたラジカル重合を利用してグラフト鎖を導入する方法、電離放射線を用いてラジカ
ルを発生させ、グラフト鎖を導入する方法などが挙げられる。これらのうち、グラフト鎖
の導入効率が高い観点から、電離放射線を用いて、グラフト鎖を導入する方法が好ましく
用いられる。特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、後述の実施例において示
すように、従来放射線グラフト法で利用されてきたエチレンと比べて、放射線照射によっ
て発生したラジカルの安定性が高い。
アミノ基を有するグラフト鎖を導入する場合、アミノ基を有する不飽和単量体をグラフ
ト化させてもよいし、電離放射線を用いて反応性基を有する不飽和単量体をグラフト化さ
せた後にアミノ基に変換してもよい。
本発明のグラフト鎖に導入されるアミノ基の構造としては、特に限定されず、例えば、
脂肪族アミノ基;ピリジン基、インドール基、トリアジン基などの芳香族アミノ基などが挙げられるが、金属イオンの吸着および溶離の観点から脂肪族アミノ基が好ましい。さらに、金属イオンの吸着/溶離特性のバランスから低級アミン(1級および2級)であることが好ましい。
電離放射線としては、α線、β線、γ線、加速電子線、紫外線などがあるが、実用的に
は加速電子線またはγ線が好ましい。
電離放射線を用いて、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の基材に不飽和単量体をグラフト重合させる方法としては、基材と不飽和単量体とを共存下放射線を照射する混合照射法と、基材のみに予め放射線を照射した後、不飽和単量体と基材とを接触させる前照射法のいずれでも可能であるが、後者の方法である前照射法がグラフト重合以外の副反応を生成しにくい特徴を有する。
グラフト重合の際に、基材と不飽和単量体とを接触させる方法としては、液状の不飽和
単量体あるいは不飽和単量体溶液と直接接触させる液相重合法と、不飽和単量体の蒸気あ
るいは気化状態で接触させる気相グラフト重合法とがあるが、目的に応じて選択可能であ
る。
電離放射線を照射する線量としては、特に限定されないが、5〜230kGyが好まし
く、10〜190kGyがより好ましく、15〜140kGyがさらに好ましい。20〜
90kGyが最も好ましい。5kGy未満の場合、線量が少な過ぎるためグラフト率が低
下し目的の金属イオン吸着能が得られないことがある。230kGy以上の場合、処理工
程にコストがかかる、照射時に樹脂が劣化するなどの懸念がある。
グラフト重合に用いるアミノ基を有する不飽和単量体としては、特に限定されないが、
例えば、化学式(1)で示される不飽和単量体を用いることができる。
Figure 2014111732
式(1)において、Rは水素またはメチル基である。また、Xは隣接するカルボニル
基とエステル結合またはアミド結合を形成する成分であり、化学的安定性の観点からR
はメチル基であることが好ましい。
式(1)において、Rが含有するアミノ基としては、例えば、アミノ基、1−アミノ
N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチ
ルアミノ基、ピロリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基等の炭素数2〜20の脂肪族ア
ミノ基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、キノ
リン基、イソキノリン基、インドール基、トリアゾール基等の炭素数2〜20の芳香族ア
ミノ基が挙げられる。
不飽和単量体は具体的には、例えば、アミノ基または置換アミノ基を有する不飽和単量
体{例えば、アミノアルキル(メタ)アクリレート[例えば、N,N−ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN
−モノまたはジC1−4アルキルアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレートなど]、
アミノアルキル(メタ)アクリルアミド[例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノまたはジC1−4アルキルアミ
ノC1−4アルキル(メタ)アクリルアミドなど]、ビニルピリジン[(2−ビニルピリ
ジン、4−ビニルピリジンなど)、N−ビニルカルバゾールなど]などが挙げられる。
また、グラフト重合させる不飽和単量体としては、重合後、アミノ基に変換可能な反応
性基を有するものであればよく、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリ
レート、クロロエチルメタクリレート、クロロエチルアクリレート、クロロメチルスチレンなどが用いられる。官能基をアミノ基に変換する方法としては、例えば、多価アミ
ンをエポキシ基に付加させる方法が挙げられる。多価アミンとしては、例えば、エチレン
ジアミン、トリメチレンジアミン、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、プロピレン
ジアミン、テトラメチレンジアミン、3−メチルアミノプロピルアミン、1,3−ジアミ
ノ−2−プロパノール、2−メチル−1,2−プロパンジアミン、N−メチルエチレンジ
アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、ヘキサメチレンヘプタミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン2−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、ベンジルアミン、2−アミノベンゾイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールなどが挙げられる。これらの中でも、反応の容易さから特に低分子の多価アミンが好ましい。
上記アミノ基をグラフト鎖に導入する方法の中でも、グリシジルメタクリレート、グリ
シジルアクリレートをグラフト重合した後、エポキシ基をアミノ基に変換する方法が、多
量にアミノ基を導入させる方法として好ましい。また、エポキシ基導入時やアミノ基導入
時にエポキシとエチレン−ビニルアルコール系共重合体の水酸基が一部架橋反応すること
により、適度に耐水性が付与できる点でも、グリシジルメタクリレート、グリシジルアク
リレートを介したアミノ基の導入方法が好ましい。
上記不飽和単量体以外にも性能を損なわない範囲で他の不飽和単量体を併用しても構わ
ない。例えば、グラフト鎖の膨潤を抑制するために、多官能不飽和単量体として、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1−(アクリ
ロイルオキシ)−3−(メタクロイルオキシ)−2−プロパノール、ビスメチレンアクリ
ルアミドなどを用いることができる。
グラフト重合により導入する不飽和単量体の量(グラフト率)は、特に限定されないが
、エチレン−ビニルアルコール系重合体100質量部に対して30〜900質量部(30
〜900%)であることが好ましく、90〜800質量部(90〜800%)であること
がより好ましく、120〜700質量部(120〜700%)であることがさらに好まし
く、150〜600質量部(150〜600%)であることが特に好ましい。グラフト率が30質量部未満の場合は、金属イオン吸着性能が不十分である場合が多い。グラフト率が900質量部を超える場合は、一般的に合成が難しい。
本発明のグラフト共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、架橋剤、無機微粒
子、光安定剤、酸化防止剤などの添加剤を含んでいても良い。
本発明のグラフト共重合体は、成形体、塗料、接着剤等の広範な用途に使用できる。成
形体としては、食品、医薬品、化粧品などの包装材料として有用に用いることが可能であ
るが、優れた金属イオン吸着能を有しているため、特に、金属イオン吸着材として用いるのが好ましい。
(金属イオン回収方法)
本発明の金属イオン吸着材は、各種金属(特に白金族金属)を、簡単な操作で、高効率
かつ低コストで金属イオンとして回収することができる。金属イオン回収方法としては、
本発明の金属イオン吸着材を用いる限り特に限定されず、金属イオン吸着材の形状に応じ
てさまざまな回収方法を利用することができる。
例えば、金属イオン回収方法は、本発明の金属イオン吸着材と、目的とする金属イオン
を含有する金属イオン含有液とを接触させ、前記吸着材に金属イオンを吸着させる吸着工
程と、
金属イオンを吸着した吸着材を回収し、前記吸着材と溶離液とを接触させ、吸着材から
金属イオンを溶離させる溶離工程とを備えていてもよい。
吸着工程および溶離工程においては、必要に応じて、液体中で吸着材を撹拌してもよい
本発明の金属イオン吸着材の回収対象となる金属としては、特に限定されないが、白金
族金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)、金、銀
、銅、ニッケル、クロム、バナジウム、コバルト、鉛、亜鉛、水銀、カドミウム等が挙げ
られ、とりわけ白金族金属、金の回収に好適である。
前記回収方法においては、金属イオンを非常に高い効率で、吸着および/または溶離す
ることが可能であり、例えば、金属イオンの吸着量は、例えば、100mg/g以上であ
ってもよく、好ましくは150mg/g以上であってもよく、より好ましくは200mg
/g以上であってもよい。
また、吸着した金属イオンの溶離率は、例えば,80%以上であってもよく、好ましく
は90%以上であってもよく、より好ましくは95%以上であってもよい。なお、これら
の吸着量および溶離率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何
ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りの
ない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
[細孔の平均細孔径の算出]
得られた吸着材を40℃、12時間真空乾燥した後、走査型電子顕微鏡を用い粒子表面を観察した。表面に形成されている細孔から任意に5
0個選択し、それぞれの細孔の長径を計測した。50個の長径の値を平均し、平均値を導出した。但し、1nm以下の場合、傷、付着物等との区別がつかないため、選択から除外した。
[グラフト率]
以下に示す式に従い算出した。
グラフト率[w/w(%)]=100×(付与したグラフト鎖の重量)/(基材の重量
[官能基量]
官能基導入反応を行う前後の質量変化をWとする。以下に示す式に従い算出した。
官能基量[mmol/g]=(反応基質1分子あたりの窒素原子数[個]×W[g]/反応基質分子量[g/mol])/(反応後の樹脂粒子質量)×1000
[金属吸着量]
吸着材50mgを金属濃度が100mg/Lである1規定の塩酸溶液200mLに投入し、25℃にて60分間攪拌する。その後、溶液1mLをサンプリングし50mLにメスアップした後、ICP発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ製、IRIS−AP)にて測定した金属濃度をC(mg/L)とする。以下の式より、金属吸着量を求める。
サンプル1gあたりの金属吸着量(mg/g)=(100−50×C)/0.25
[溶離率]
吸着測定後のサンプルを溶液から取り出して付着液をふき取り、チオウレア水溶液20mLに25℃にて10分間浸漬して金属を溶離させ、溶離液1mLをサンプリングし50mLにメスアップした後、ICP発光分析装置で金属濃度を測定し、これをD(mg/L)とする。以下の式より、溶離率を求めた。
溶離率=D/(20−10×C)×100(%)
[実施例1]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、F101)90
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA205)10質量部を
ラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させ
たコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。
さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみ
を抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の
細孔の細孔径平均値は0.60μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ281%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したジエチレントリアミンの53質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.51μm、官能基量は9.6mmol/gであった。
[実施例2]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、E105)50
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA205)50質量部を
ラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させ
たコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。
さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみ
を抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の
細孔の細孔径の平均値は1.56μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ216%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したジエチレントリアミンの53質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は1.45μm、官能基量は8.8mmol/gであった。
[実施例3]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、L104)60
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA217)40質量部を
ラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させ
たコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。
さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみ
を抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の
細孔の細孔径の平均値は0.83μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ366%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したエチレンジアミンの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.71μm、官能基量は7.7mmol/gであった。
[実施例4]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、G156)70
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA403)30質量部を
ラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させ
たコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。
さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみ
を抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の
細孔の細孔径平均値は0.95μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ174%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したジエチレントリアミンの53質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.84μm、官能基量は8.5mmol/gであった。
[実施例5]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、F101)99
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA205)1質量部をラ
ボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させた
コンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。さ
らに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを
抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細
孔の細孔径の平均値は0.15μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ278%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したエチレンジアミンの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜500μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.10μm、官能基量は7.2mmol/gであった。
[実施例6]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、F101)40
質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA203)60質量部を
ラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させ
たコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子を作製した。
さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみ
を抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の
細孔の細孔径平均値は3.46μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ303%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したエチレンジアミンの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径1000μm〜1400μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は2.85μm、官能基量は7.4mmol/gであった。
[実施例7]
実施例1の多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子に30kGyのγ線を
照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの1
0質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後
、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ132%
であった。さらに、該粒子を80℃に調整したジエチレントリアミンの53質量%イソプ
ロパノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾
燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体か
らなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子
径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を
表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.58μm、官能基量は6.2mmol/gであった。
[実施例8]
実施例1のグラフト共重合体粒子(グラフト率281%)を80℃に調整したN,N’
−ジメチルエチレンジアミンの49質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、4時間反応さ
せた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフ
トしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た
。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級
し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は0.46μm、官能基量は6.5mmol/gであった。
[実施例9]
実施例1のエチレン−ビニルアルコール系共重合体とビニルアルコール系重合体の溶融混合コンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径150μm〜300μmの粒子を作製した。さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔の平均細孔径は0.60μmであった。該多孔質粒子に60kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの60質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、120分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ389%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したN−(2−アミノエチル)ピペラジンの65質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、3時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の平均細孔径は0.49μm、官能基量は9.1mmol/gであった。
[実施例10]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、F101)60質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA205)40質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径106μm〜212μmの粒子を作製した。さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔の平均細孔径は1.37μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの30質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、120分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ364%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製エポミンSP−200)の50質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、3時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径150μm〜300μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の平均細孔径は1.09μm、官能基量は4.5mmol/gであった。
[実施例11]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、G156)40質量部とビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA706)60質量部をラボプラストミルにて、210℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子を作製した。さらに得られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌してビニルアルコール系重合体のみを抽出し、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体粒子を得た。該多孔質粒子の細孔の平均細孔径は6.87μmであった。該多孔質粒子に30kGyのγ線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、120分攪拌しグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ398%であった。さらに、該粒子を80℃に調整したエチレンジアミンの30質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、3時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥させることで目的のアミノ基がグラフトしたエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる耐水性の金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径710μm〜1000μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。なお、該吸着材の細孔の細孔径平均値は5.92μm、官能基量は5.1mmol/gであった。
[比較例1]
市販のポリエチレン(株式会社プライムポリマー社製 7000F)を粉砕した後、篩
を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。該粒子に30kGyのγ線を
照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレートの4
0質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。その後
、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ7%であ
った。さらに、該粒子を80℃に調整したジエチレントリアミンの53質量%イソプロパ
ノール溶液に浸漬し、4時間反応させた。反応後、該粒子をメタノールで洗浄し、乾燥さ
せることで金属イオン吸着材を得た。得られた金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径4
25μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1
に示す。なお、該吸着材の官能基量は1.2mmol/gであった。
[比較例2]
市販のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(株式会社クラレ社製、F101)を粉
砕した後、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び
溶離率を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
市販のビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA117)を粉砕した後
、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。該粒子に30kGyのγ
線を照射し、空気中で1時間放置した後、80℃窒素置換したグリシジルメタクリレート
の40質量%イソプロパノール溶液に浸漬し、90分攪拌しグラフト重合を実施した。そ
の後、得られた粒子をメタノールで洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ0%
であり、グラフト重合は全く進行していなかった。該粒子を用いて、Pdの吸着量及び溶
離率を評価したが、粒子が激しく膨潤し、取り出すことができなかった。
[比較例4]
市販のビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA117)90質量部と
ビニルアルコール系重合体(株式会社クラレ社製、PVA205)10質量部をラボプラ
ストミルにて、230℃の温度で3分間溶融混練した後、溶融物を冷却固化させたコンパ
ウンドを粉砕し、篩を用いて粒子径212μm〜425μmの粒子を作製した。さらに得
られた粒子を100℃の熱水中で2時間攪拌したところ、そのほとんどが溶解してしまい
、粒子を取り出すことができなかった。
[比較例5]
比較例2で得られた粒子径425μm〜710μmのエチレン−ビニルアルコール系共重合体に100kGyの電子線を照射し、空気中で1時間放置した後、70℃窒素置換した塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムの30質量%水溶液に浸漬し、24時間攪拌しながらグラフト重合を実施した。その後、得られた粒子を水で洗浄し乾燥した後、グラフト率を評価したところ33%(官能基量:1.2mmol/g)であった。得られた耐水性の金属イオン吸着材を、篩を用いて粒子径425μm〜710μmの粒子に分級し、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1で得られた粒子径425μm〜710μmのエチレン−ビニルアルコール系共
重合体に30kGyの電子線を照射し、空気中で1時間放置した後、70℃窒素置換した
塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムの30質量%水溶液に浸漬し、24時間攪拌
しながらグラフト重合を実施したところ、粒子が激しく膨潤し、取り出すことができなか
った。
[比較例7]
金属イオン吸着材として、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンSA10A
)を用いて、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。
[比較例8]
金属イオン吸着材として、陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンWA20)
を用いて、Pdの吸着量及び溶離率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014111732
実施例1〜11から明らかなように、本発明の金属イオン吸着材は、金属イオンを吸着し、かつ、効率的に溶離することができるため、金属イオンを分離回収する際に非常に有効である。
比較例1のように、ポリエチレンを重合基材として用いた場合、ラジカル安定性に劣る
ため、十分なグラフト率が得られず、金属イオン吸着性能も発現しない。比較例2のよう
に、エチレン−ビニルアルコール共重合体そのものでは、金属イオン吸着性能は発現しな
い。一方、比較例3、4のように、ビニルアルコール重合体を基材とした場合は、耐水性
に劣る。他方、4級アンモニウム塩を吸着基とすると、比較例5のように官能基導入量が
少ない場合では吸着量が足りず、比較例6のように吸着基導入量を増加させた場合は膨潤
が激しく、粒子の形状で取り出すことは不可能である。また、比較例7、8に示した市販
の陰イオン交換材料では吸着、溶離性能の両物性を満足することはできない。
本発明によれば、高い金属イオン吸着性をもちながら、吸着した金属イオンを容易に溶
離することができ、工業的に使用可能な新規なグラフト共重合体、およびそれを用いた金
属イオン吸着材を提供することができる。さらに、そのような性質を有する金属イオン回
収方法を提供することもできる。該金属イオン吸着材は、例えば、白金族金属、金、銀、
銅、ニッケル、クロム、バナジウム、コバルト、鉛、亜鉛、水銀、カドミウム等のイオン
を効率よく回収することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲
で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含ま
れる。

Claims (12)

  1. エチレン−ビニルアルコール系共重合体に、アミノ基を有するグラフト鎖が導入された
    グラフト共重合体。
  2. 請求項1のグラフト共重合体において、グラフト共重合体が多孔質体であり、表面に形成された細孔径の平均値が0.01μm〜50μmの範囲内にある、グラフト共重合体。
  3. 請求項1または2のグラフト共重合体において、アミノ基の導入量が5.0mmol/g以上であるグラフト共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項のグラフト共重合体において、グラフト共重合体が、平均
    粒子径が10μm〜2000μmの粒子状であるグラフト共重合体。
  5. エチレン−ビニルアルコール系共重合体を準備する工程と、
    前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体に対して、アミノ基を有するグラフト鎖を
    導入し、アミノ基を有するグラフト鎖が導入されたグラフト共重合体を得る工程と、
    を備える、グラフト共重合体の製造方法。
  6. 請求項5の製造方法において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が多孔質であるグラフト共重合体の製造方法。
  7. 請求項6の製造方法において、多孔質なエチレン−ビニルアルコール系共重合体が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体と水溶性ポリマーとを溶融混合し、溶融物を冷却固化させた複合体を得る工程と、
    前記複合体から水溶性ポリマーを抽出する工程と、
    から形成されるグラフト共重合体の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項の製造方法において、電離放射線を用いて、グラフト鎖を導入するグラフト共重合体の製造方法。
  9. 請求項7または8の製造方法において、水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであるグラフト共重合体の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに一項に記載のグラフト共重合体を用いてなる金属イオン吸着材。
  11. 請求項10に記載の金属イオン吸着材と、目的とする金属イオンを含有する金属イオン含有液とを接触させ、前記吸着材に金属イオンを吸着させる吸着工程と、
    金属イオンを吸着した吸着材を回収し、前記吸着材と溶離液とを接触させ、吸着材から
    金属イオンを溶離させる溶離工程とを備える、金属イオン回収方法。
  12. 請求項11の回収方法において、溶離工程における金属イオンの溶離率が80%以上である金属イオン回収方法。
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