JP2004098860A - 自動二輪車におけるフューエルリッド装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体フレーム1に支持される燃料タンク2を覆うボディカバー4に,燃料タンク2の給油口6が臨む給油窓7を開口させ,この給油窓7を開閉するフューエルリッド8と,このフューエルリッド8を,その閉じ位置Cでロックするロック機構19とを備えたものにおいて,フューエルリッド8の内面に補強部材10を結合し,この補強部材10を車体フレーム1にヒンジ結合すると共に,該補強部材10と車体フレーム1との間でロック機構19を構成した。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,車体フレームに支持される燃料タンクを覆うボディカバーに,前記燃料タンクの給油口が臨む給油窓を開口し,この給油窓を開閉するフューエルリッドと,このフューエルリッドを,その閉じ位置でロックするロック機構とを備えた,自動二輪車におけるフューエルリッド装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のかゝる自動二輪車におけるフューエルリッド装置では,例えば特許文献1に開示されるように,合成樹脂製のフューエルリッドを合成樹脂製のボディカバーに直接ヒンジ連結すると共に,これらフューエルリッド及びボディカバー間でロック機構を構成している。
【0003】
【特許文献1】
実用新案登録第2,536,622号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かゝる自動二輪車におけるフューエルリッド装置では,悪戯によるフューエルリッドの開放を防ぐために,ヒンジ及びロック機構の支持部の剛性を充分に確保する必要がある。そこで,従来の上記フューエルリッド装置では,その支持部の剛性確保のために合成樹脂製のボディカバー及びフューエルリッドの板厚を比較的厚く設定しているが,それらを厚肉に成形することは重量増やコスト高を招くことになる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ボディカバー及びフューエルリッドを特に厚肉に成形しなくても,ヒンジ及びロック機構の支持部の剛性を充分に確保して,悪戯によるフューエルリッドの開放を防ぐことができる,前記自動二輪車におけるフューエルリッド装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,車体フレームに支持される燃料タンクを覆うボディカバーに,前記燃料タンクの給油口が臨む給油窓を開口し,この給油窓を開閉するフューエルリッドと,このフューエルリッドを,その閉じ位置でロックするロック機構とを備えた,自動二輪車におけるフューエルリッド装置において,フューエルリッドの内面にその剛性を強化する補強部材を結合し,この補強部材を車体フレームに開閉可能に軸支すると共に,該補強部材と車体フレームとの間で前記ロック機構を構成したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,補強部材により剛性を強化されたフューエルリッドは,外力を受けても変形を小さく抑えることができ,また上記補強部材及びロック機構は車体フレーム側に強固に支持され,その支持には,ボディカバーは一切関与しないので,ボディカバーが悪戯により変形されても,フューエルリッドによりタンクキャップを正常に覆い続けてタンクキャップの開放を防ぐことができる。以上によりボディカバー及びフューエルリッドの薄肉化が可能で,重量軽減及びコストの低減を図ることができる。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記フューエルリッドを合成樹脂製とし,これに固着される前記補強部材を,車体フレームに固着される高剛性の台座の一端部にヒンジ連結すると共に,この台座の他端部と補強部材間で前記ロック機構を構成したことを第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,車体フレームに固着される共通の台座上にフューエルリッド及びロック機構を組み付けて,フューエルリッド装置組立体を構成することが可能となり,組立性の向上を図ることができる。
【0010】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記燃料タンクを,その底部がスクータ型自動二輪車のステップフロワの下方にくるように配設し,前記ステップフロワの中央部に,前記給油窓を開口したボディカバーを配設したことを第3の特徴とする。
【0011】
この3の特徴によれば,燃料タンクのステップフロワ下方への配置により自動二輪車の低重心化を図ることができ,しかもユーザがボディカバーやフューエルリッドを踏みつけることがあっても,フューエルリッドの無用な開きを防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1は本発明のフューエルリッド装置を備えた自動二輪車の側面図,図2は図1の2矢視拡大図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図3の4−4線断面図,図5は図4の5−5線断面図,図6はフューエルリッドの開放状態を示す,図3との対応図,図7は図6の7−7線断面図である。
【0014】
尚,以下の説明において,前後,左右とは,自動二輪車Sを基準にして言うものとする。
【0015】
先ず,図1及び図2において,スクータ型自動二輪車Sの車体フレーム1は,フロントフォーク9を操向可能に支持するヘッドパイプ1hと,このヘッドパイプ1hの下端部から後方へ延び,中間部から後端部に亙り二股状となるメインフレーム1mと,ヘッドパイプ1hの下端部側面及びメインフレーム1mの中間部側面に前後両端部を溶接されて,メインフレーム1mの下方を迂回するU字状の左右一対のサイドフレーム1s,1sとからなっており,左右のサイドフレーム1s,1s上に燃料タンク2と,この燃料タンク2の左右両側に張り出す一対のステップフロワ3,3とが取り付けられ,この両ステップフロワ3,3間には,メインフレーム1mの前部及び燃料タンク2をトンネル状に覆う合成樹脂製のボディカバー4が連結される。その際,自動二輪車Sの低重心化のために,燃料タンク2は,その底部がステップフロワ3,3の下方にくるように配置される。
【0016】
タンクキャップ5が螺着される,燃料タンク2の筒状の給油口6は,メインフレーム1mを避けて,燃料タンク2上面の一側部に配置されており,この給油口6向かって開口する給油窓7が前記ボディカバー4に明けられており,この給油窓7には,これを開閉する合成樹脂製のフューエルリッド8が設けられる。
【0017】
図3〜図5に示すように,上記フューエルリッド8の裏面には,複数のボス8a,8aが一体に形成されており,これらボス8a,8aに,フューエルリッド8を補強する鋼板製の補強部材10がビス11,11により結合される。
【0018】
メインフレーム1mの一側面には取り付け座12が溶接により一体に結合されており,この取り付け座12に鋼板製で高剛性の台座13が複数のボルト14,14及びナット15,15により固着される。そのナット15,15は取り付け座12に予め溶接されたウェルディングナットである。
【0019】
この台座13は,前記給油口6の一側方においてそれを前後に挟むように屈曲した前端部13a及び後端部13bを備えており,その前端部13aにはヒンジ軸16が取り付けられ,このヒンジ軸16には,前記補強部材10の一端部に一体に連設されたヒンジアーム17が回動自在に支承され,このヒンジアーム17がヒンジ軸16周りに回動することにより,フューエルリッド8は給油窓7を閉鎖する閉じ位置C(図3及び図4参照)と,給油窓7を開放する開き位置O(図6及び図76参照)との間を回動するようになっている。ヒンジ軸16には,ヒンジアーム17をフューエルリッド8の開放方向に付勢する,捩じりコイルばねからなる開きばね18が装着される。
【0020】
また前記補強部材10の他端部には,下方に突出するコ字状のラッチ20が固設されており,このラッチ20と協働してフューエルリッド8を,その閉じ位置Cでロックするラッチキャッチ21のベース板22が台座13の後端部13bに複数のボルト23,23により固着される。これらラッチ20及びラッチキャッチ21によりロック機構19が構成される。
【0021】
ラッチキャッチ21は,従来周知のものであって,ラッチ20を受容し得るU字状溝25を持った前記ベース板22と,このベース板22に回動可能に軸支され,上記U字状溝25と協働してラッチ20を保持するロック爪部材26とを備え,このロック爪部材26は,ラッチ20を保持するロック方向にばね付勢されると共に,操作ワイヤ27が接続され,その操作ワイヤ27の牽引により,ラッチ20を解放する方向に回動するようになっている。操作ワイヤ27は,エンジンキーにより作動されるコンビネーションスイッチ(図示せず)に連動していて,該スイッチが所定のフューエルリッド開位置に操作されたとき牽引されるようになっている。
【0022】
而して,台座13と,これに取り付けられるフューエルリッド8及びロック機構19とでフューエルリッド装置組立体28が構成され,この組立体28の組立て後,その台座13が取り付け座12に固着されるものである。
【0023】
前記補強部材10は,フューエルリッド8が閉じ位置Cに保持されるとき,タンクキャップ5の上面に対峙していて,それ自体でタンクキャップ5の開放を拘束するように構成される。したがって,フューエルリッド8が万一破損しても,タンクキャップ5の悪戯による開放を阻止し得るようになっている。
【0024】
尚,図中,符号29は,燃料タンク2の給油口6の頸部に装着された燃料受け皿であり,給油中,給油口6から漏れた燃料を受けて,図示しない排出管へ排出するものである。
【0025】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0026】
燃料タンク2への給油に際しては,先ず,エンジンキーによりコンビネーションスイッチを所定のフューエルリッド開位置に操作することにより操作ワイヤ27を牽引して,ロック爪部材26を開き位置へ回動すれば,ラッチ20が解放されるので,図6及び図7のように,フューエルリッド8は開きばね18の付勢力をもって上方へ回動して,給油窓7を開放することができる。そこで,給油口6からタンクキャップ5を外せば,給油窓7を通して,給油口6から燃料タンク2への給油を行うことができる。
【0027】
給油後,給油口6にタンクキャップ5を施し,フューエルリッド8を開きばね18の付勢力に抗して,図3及び図4のように閉じると,ラッチ20がラッチキャッチ21のベース板22のU字状溝25に受容されると共に,ロック爪部材26により保持され,ロック状態となる。
【0028】
ところで,合成樹脂製のフューエルリッド8は,その裏面に固着された補強部材10により剛性を強化されているから,例えばユーザの踏みつけ等による外力を受けても,変形を小さく抑えることができる。しかも,上記補強部材10に一体に連なるヒンジアーム17は,メインフレーム1mに固着された高剛性の台座13にヒンジ結合されると共に,ロック機構19は,上記台座13及び補強部材10間に構成されるから,給油窓7を有するボディカバー4はフューエルリッド8及びロック機構19の支持に一切関与しておらず,したがって,例えば悪戯やユーザによる踏みつけによりボディカバー4が変形しても,フューエルリッド8の無用な開きを防ぐことができるから,フューエルリッド8によりタンクキャップ5を適正に覆い続けてタンクキャップ5の開放を防ぐことができる。その結果,ボディカバー4及びフューエルリッド8の薄肉化が可能となり,重量軽減及びコストの低減に寄与に得る。
【0029】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,本発明は,車体フレームに支持される燃料タンクを覆うボディカバーに,前記燃料タンクの給油口が臨む給油窓を開口し,この給油窓を開閉するフューエルリッドと,このフューエルリッドを,その閉じ位置でロックするロック機構とを備えた,自動二輪車におけるフューエルリッド装置において,フューエルリッドの内面にその剛性を強化する補強部材を結合し,この補強部材を車体フレームに開閉可能に軸支すると共に,該補強部材と車体フレームとの間で前記ロック機構を構成したので,補強部材により剛性を強化されたフューエルリッドは,外力を受けても変形を小さく抑えることができ,また上記補強部材及びロック機構は車体フレーム側に強固に支持され,その支持には,ボディカバーは一切関与しないので,万一ボディカバーが悪戯により変形されても,フューエルリッドによりタンクキャップを正常に覆い続けてタンクキャップの開放を防ぐことができ,以上によりボディカバー及びフューエルリッドの薄肉化が可能で,重量軽減及びコストの低減を図ることができる。
【0031】
また本発明の第2特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記フューエルリッドを合成樹脂製とし,これに固着される前記補強部材を,車体フレームに固着される高剛性の台座の一端部にヒンジ連結すると共に,この台座の他端部と補強部材間で前記ロック機構を構成したので,車体フレームに固着される共通の台座上にフューエルリッド及びロック機構を組み付けて,フューエルリッド装置組立体を構成することが可能となり,組立性の向上を図ることができる。
【0032】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第1又は第2の特徴に加えて,前記燃料タンクを,その底部がスクータ型自動二輪車のステップフロワの下方にくるように配設し,前記ステップフロワの中央部に,前記給油窓を開口したボディカバーを配設したので,燃料タンクのステップフロワ下方への配置により自動二輪車の低重心化を図ることができ,しかもユーザがボディカバーやフューエルリッドを踏みつけることがあっても,フューエルリッドの無用な開きを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフューエルリッド装置を備えた自動二輪車の側面図
【図2】図1の2矢視拡大図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】フューエルリッドの開放状態を示す,図3との対応図
【図7】図6の7−7線断面図
【符号の説明】
1・・・・・車体フレーム
2・・・・・燃料タンク
3・・・・・ステップフロワ
4・・・・・ボルトカバー
6・・・・・給油口
7・・・・・給油窓
8・・・・・フューエルリッド
10・・・・補強部材
13・・・・台座
19・・・・ロック機構
C・・・・・フューエルリッドの閉じ位置
O・・・・・フューエルリッドの開き位置
S・・・・・自動二輪車
Claims (3)
- 車体フレーム(1)に支持される燃料タンク(2)を覆うボディカバー(4)に,前記燃料タンク(2)の給油口(6)が臨む給油窓(7)を開口し,この給油窓(7)を開閉するフューエルリッド(8)と,このフューエルリッド(8)を,その閉じ位置(C)でロックするロック機構(19)とを備えた,自動二輪車におけるフューエルリッド装置において,
フューエルリッド(8)の内面にその剛性を強化する補強部材(10)を結合し,この補強部材(10)を車体フレーム(1)に開閉可能に軸支すると共に,該補強部材(10)と車体フレーム(1)との間で前記ロック機構(19)を構成したことを特徴とする,自動二輪車におけるフューエルリッド装置。 - 請求項1記載の自動二輪車におけるフューエルリッド装置において,
前記フューエルリッド(8)を合成樹脂製とし,これに固着される前記補強部材(10)を,車体フレーム(1)に固着される高剛性の台座(13)の一端部(13a)にヒンジ連結すると共に,この台座(13)の他端部(13b)と補強部材(10)間で前記ロック機構(19)を構成したことを特徴とする,自動二輪車におけるフューエルリッド装置。 - 請求項1又は2記載の自動二輪車におけるフューエルリッド装置において,
前記燃料タンク(2)を,その底部がスクータ型自動二輪車のステップフロワ(3)の下方にくるように配設し,前記ステップフロワ(3)の中央部に,前記給油窓(7)を開口したボディカバー(4)を配設したことを特徴とする,自動二輪車におけるフューエルリッド装置。
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