JP2004237936A - 自動二輪車のシート構造 - Google Patents
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Abstract
【効果】同乗者用シートの剛性向上により同乗者用シート側の底板の剛性を大きくできるために同乗者用シートを無理に開けることを防止できて盗難防止効果を高めることができ、従来のようなシート施錠機構をシート後部に設ける必要がなく、本発明では、シート施錠機構を一つにすることができる。更に、運転者用シートは底板のリブが少ないので、着座感をより向上させることができるとともに重量増加を抑えることができる。
【選択図】 図18
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの底板に発泡成形材を用いた自動二輪車のシート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車のシート構造としては、複数のシート施錠機構を備えるもの(例えば、特許文献1参照。)、シートの底板に発泡成形材を用いたもの(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−239970公報(第3頁、図2)
【特許文献2】
特開2001−114147公報(第3−5頁、図2、図3、図13)
【0004】
特許文献1の図2を以下の図26で説明する。なお、符号は振り直した。
図26は従来の自動二輪車のシート構造を示す分解斜視図(従来例1)であり、ラゲッジボックス301の前部にシートヒンジ302を介してシート303を開閉自在に取付け、このシート303の底面に第1コ字金具304及び第2コ字金具305を取付け、第1コ字金具304を受けるためにラゲッジボックス301の側部に第1シート施錠機構306を配置し、第2コ字金具305を受けるためにラゲッジボックス301の後部に第2シート施錠機構307を配置したシート開閉構造が記載されている。
【0005】
特許文献2の図2を以下の図27で説明し、図3を以下の図28で説明し、図13を以下の図29で説明する。
図27は従来の自動二輪車のシート構造を示す断面図(従来例2)であり、底板311にクッション材312を載せ、このクッション材312を表皮材313で覆ったシート314を示す。
【0006】
底板311は内層311aを発泡層、外層311b,311bを発泡部分をほとんど含まない緻密な層としたサンドイッチ構造を成すものであり、運転者が着座する箇所に対応させた前部316と、この前部316の後方に傾斜させて設けた中間部317と、この中間部317の後方に同乗者が着座する箇所に対応させて設けた後部318とからなる。
【0007】
図28は従来のシートを示す底面図(従来例2)であり、シート314の下面321のほぼ全体に格子状に複数のリブ322を形成したことを示す。
図29は従来のシートの別の実施の形態(従来例2)を示す底面図であり、シート324の底板325を、発泡層を内層に有するサンドイッチ構造とするとともに、厚肉にすることで下面326から補強用のリブを廃止したことを示す。なお、328は車体側に開閉自在に取付けたシート324を車体側に係止する係止部材である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図26では、ラゲッジボックス301にシート303を開閉自在に取付けるために、第1シート施錠機構306及び第2シート施錠機構307を用いて、大型のシート303の盗難防止効果を図っているが、盗難防止効果を発揮しつつシート施錠機構を一つにできれば、部品数が減らせてコストが下げられる。
【0009】
また、図27及び図28では、下面321のほぼ全体にリブ232を形成してシート314の全体的な剛性アップを図り、図29では、底板325の下面326に補強用のリブを設けず、底板325を厚肉にすることでシート324の剛性を高める。これにより、シート314,324の盗難防止効果を高められるが、重量アップ及びコストアップとなる。
【0010】
更に、例えば、シート314,324の底板311,325の剛性を部分的に変化させることができれば、着座感を満足させながら盗難防止効果を発揮できる構造にすることが可能になる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、自動二輪車のシート構造を改良することで、シートの盗難防止効果を高め、コスト低減、重量低減及び着座感向上を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、運転者用シートと同乗者用シートとを前後に連結したタンデムシートの底板に発泡成形材を用いた自動二輪車において、運転者用シート側の底板のリブより同乗者用シート側の底板のリブを密に配置したことを特徴とする。
【0013】
底板を発泡成形したので軽量化でき、また、運転者用シート側のリブより同乗者用シート側のリブを密に配置したことで、同乗者用シート側の底板の剛性を大きくできるために同乗者用シートを無理に開けることを防止できて盗難防止効果を高めることができる。
更に、運転者用シートはリブが少ないので、着座感をより向上させることができるとともに重量増加を抑えることができる。
【0014】
同乗者用シートの盗難防止効果が高まれば、従来のようなシート施錠機構をシート後部に設ける必要がなく、本発明では、シート施錠機構を一つにすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0015】
請求項2は、タンデムシート下方に配置した収納ボックスにタンデムシートを開閉自在に取付けるためのシートヒンジを底板の左右一側に設け、収納ボックス側に備えるシートキャッチに係合するシートフックを底板の左右他側に設けたことを特徴とする。
【0016】
シートヒンジとシートキャッチ及びシートフックとを1組だけタンデムシートの全長のほぼ中央に配置しても、同乗者用シートの剛性が高いために、タンデムシートの後部を無理に開けるのを防止することができ、盗難防止効果を高めることができる。
【0017】
請求項3は、タンデムシートを閉じた状態では、収納ボックスに設けた凹部に係合することでタンデムシートを開けるのを防止するストッパ部を底板の前部に備えることを特徴とする。
底板の前部にストッパ部を備えることで、タンデムシートの後部に加えて、タンデムシートの前部の盗難防止効果を高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の側面図であり、自動二輪車10は、ヘッドパイプ11を前端に取付けた車体フレーム12と、ヘッドパイプ11に回転可能に取付けたハンドル軸13と、このハンドル軸13の下部に取付けたフロントフォーク14と、このフロントフォーク14の下端に取付けた前輪16と、この前輪16を操舵するためにハンドル軸13の上部に取付けたハンドル17と、ハンドル軸13、ヘッドパイプ11及びフロントフォーク14の前部を覆うフロントカバー18と、このフロントカバー18の後部に取付けたフロントインナカバー21と、前述の車体フレーム12の後部上部に取付けた収納ボックスとしてのラゲッッジボックス22と、このラゲッジボックス22の上方に開閉自在に配置したタンデムシート23と、車体フレーム12の後部下部に取付けたパワーユニット24と、このパワーユニット24の後端部に取付けた後輪26とからなる。
【0019】
ここで、31は前輪16の上方を覆うフロントフェンダ、32はハンドル17の前方を覆うハンドルカバー、33はハンドルカバー32に取付けたウインドスクリーン、34はハンドルカバー32の後部に取付けたハンドルインナカバー、36はバックミラー、37,37(手前側の符号37のみ図示)はフロアステップ、38,38(手前側の符号38のみ図示)はフロアステップ37,37を支持するステップ支持フレーム、41,42はパワーユニット24を構成するエンジン及び動力伝達機構、43はスタンド、44はパワーユニット24の後端と車体フレーム12の後端とに渡したリヤクッションユニット、46は車体カバー、47は後輪26の上方を覆うリヤフェンダである。
【0020】
自動二輪車10は、タンデムシート23の底板の形状に特徴があり、この形状によって、タンデムシート23の剛性アップを図り、盗難防止効果を高め、更に、タンデムシート23の着座感を向上させる。
【0021】
図2は本発明に係る自動二輪車の後部を示す要部側面図であり、車体カバーを取外すとともにタンデムシート23を断面で表した。
ラゲッジボックス22の上方に開閉自在にタンデムシート23を配置するためのシートヒンジ51は、車体フレーム12の後部を構成するリヤフレーム12Aに取付けるとともに、ラゲッジボックス22の車体右方(図においてはラゲッジボックス22の奥側)に配置したものであり、タンデムシート23を閉じたときにタンデムシート23の施錠を行うとともにタンデムシート23側と係合するシートキャッチ52は、リヤフレーム12Aに取付けるとともに、ラゲッジボックス22の車体左方(図においてはラゲッジボックス22の手前側)に配置したものである。
【0022】
シートキャッチ52に係合するシートフック53は、タンデムシート22の底に設けた底板54に取付けた部材である。
タンデムシート23は、運転者が腰掛ける運転者用シート23Aと、この運転者用シート23Aに対して一段高く形成された同乗者が腰掛ける同乗者用シート23Bとからなる。
【0023】
図3は本発明に係る自動二輪車の平面図であり、リヤフレーム12Aを左右一対の左フレーム67及び右フレーム68から構成し、左フレーム67にシートキャッチ52を取付け、右フレーム68にシートヒンジ51を取付けたことを示す。なお、71は左フレーム67及び右フレーム68の各後端に渡したクロスパイプ、72,72は同乗者が足を載せるためにステップ支持フレーム38,38(図1参照)に折り畳み可能に取付けた同乗者用ステップ(図では折りたたんだ状態にある。)である。
【0024】
図4は本発明に係るシートヒンジの取付け状態を示す斜視図(図中の矢印(front)は車体前方を表す。以下同じ。)であり、リヤフレーム12Aの右フレーム68にヒンジブラケット74を介してシートヒンジ51を取付けたことを示す。
【0025】
シートヒンジ51は、ヒンジブラケット74に取付けた車体側ヒンジ76と、この車体側ヒンジ76にヒンジ軸77を介してスイング可能に取付けたシート側ヒンジ78とからなり、タンデムシート23(図2参照)を閉じた状態では、パイプで構成したシート側ヒンジ78を立上げ、このシート側ヒンジ78の上端にタンデムシート23を取付ける。なお、81,82はシート側ヒンジ78を通すためにラゲッジボックス22のフランジ部83に形成した切欠き部、84は後述するヒンジカバー(不図示)を取付けるためにシート側ヒンジ78に取付けたステーである。
【0026】
図5は本発明に係るシートヒンジの斜視図であり、想像線で示したシート側ヒンジ78はタンデムシート23(図2参照)を閉じたときの状態、実線で示したシート側ヒンジ78はタンデムシートを開いたときの状態を示す。
【0027】
シートヒンジ51は、タンデムシートを開いたときにシート位置を固定するためのストッパとなるストッパピン85を車体側ヒンジ76に移動可能に取付け、ストッパピン85に係合する係合片86をシート側ヒンジ78に一体的に取付けたものである。なお、87は係合片86の先端部に形成した凹部であり、この凹部87にストッパピン85側が嵌る。
【0028】
シート側ヒンジ78は、ヒンジ軸77側からJ字状に延ばした一対のJフレーム91,91と、これらのJフレーム91,91の各先端に取付けたシート取付パイプ92と、このシート取付パイプ92のほぼ中央に取付けたシート取付片93とからなる。なお、94はJフレーム91,91間に渡したパイプ、96,96は補強部材である。
【0029】
シート取付パイプ92は、両端部にタンデムシートの底板54(図2参照)に当てる取付端部98,98と、底板54にボルトで取付けるために取付端部98,98に開けた取付穴101,101とを備える。
シート取付片93は、底板54に当てる部分であり、底板54にボルトで取付けるための取付穴102を備える。
【0030】
図6は本発明に係るシートヒンジの要部を示す要部斜視図であり、シートヒンジ51における車体側ヒンジ76の側壁104,105にそれぞれ長穴106を開け、これらの長穴106,106にストッパピン85を通し、このストッパピン85とヒンジ軸77とに引張コイルスプリング107を渡したことを示す。
【0031】
この引張コイルスプリング107により、ストッパピン85が、カラー108を介して係合片86の凹部87に嵌ったときに、ストッパピン85が凹部87に引張コイルスプリング107の弾性力によって押付けられ、凹部87からストッパピン85を外れにくくする、即ち、開いたタンデムシート23(図2参照)を閉じにくくする。
【0032】
111はタンデムシートを開けるときの操作力を軽減するために開方向に弾性力を発生させる巻きスプリングであり、ヒンジ軸77に巻き付けるとともに中央部112をシート側ヒンジ78のパイプ94の下部に当てるとともに、両端部113,113を車体側ヒンジ76の底板114に当てたものである。
【0033】
図2に戻って、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78,特にシート側ヒンジ78のシート取付パイプ92を、運転者用シート23Aと同乗者用シート23Bとに跨るように底板54に取付けたことを示す。タンデムシート23の運転者用シート23Aと同乗者用シート23Bとの連結部は、底板54が屈曲しているためタンデムシート23では最も剛性が小さくなる部分であり、上記したシート取付パイプ92によってタンデムシート23を補強することができる。
【0034】
図7(a),(b)は本発明に係るシートヒンジのヒンジ軸の傾きを示す説明図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
(a)において、ヒンジ軸77は、この延長線116を、例えば、シート側ヒンジ78の取付端部98,98を通る直線117よりも前下がりとして、延長線116と直線117とのなす角度を角度θ1としたものである。
(b)において、ヒンジ軸77は、延長線116を、前部が後部よりも車体内方に位置するように車体前後方向に延びる直線118に対して角度θ2だけ傾斜させたものである。
【0035】
図8は本発明に係るシートキャッチの取付状態を示す斜視図であり、リヤフレームの左フレーム67にキャッチブラケット121,122を介してシートキャッチ52を取付け、ラゲッジボックス22の側面123を窪ませ、シートキャッチ52の上部をラゲッジボックス22のフランジ部83の下方に配置したことを示す。なお、124はシートキャッチ52にシートフック53が係合するときに、シートフック53を通すためにフランジ部83に開けた通孔である。
【0036】
シートフック53は、薄肉の板状部材からなり、通孔124は、フランジ部83の長手方向に沿って長穴状に開口している。このため、ラゲッジボックス22の内部にシートフック53が突出することがなく、ラゲッジボックス22の容積を大きくすることができる。
【0037】
図9(a),(b)は本発明に係るシートキャッチの説明図であり、(a)はシートフック53が係合した状態を示す側面図、(b)はシートフック53の係合が解除した状態を示す側面図である。
(a)において、シートキャッチ52は、扁平なほぼ箱状のハウジング127と、このハウジング127にピン128で回転可能に取付けた施錠爪131と、この施錠爪131の回転を規制するためにハウジング127にピン132で回転可能に取付けたストッパ部材133と、これらの施錠爪131及びストッパ部材133のそれぞれに渡した引張コイルばね134とからなる。
ハウジング127は、施錠爪131の時計回りの回転を規制するストッパ片136を設けた部材である。
【0038】
施錠爪131は、シートフック53に係合する上爪138と、この上爪138から離して配置した下爪141と、ハウジング127のストッパ片136に先端を当てるようにしたL字アーム142と、引張コイルばね134の一端を取付けるスプリング取付アーム143とを備える。
【0039】
ストッパ部材133は、先端を施錠爪131の段部145に当てることで施錠爪131の回転を止める側方突出部146と、引張コイルばね134の他端を取付けるとともにワイヤ147の先端を取付けた下部アーム148とからなる。
ワイヤ147は、タンデムシートの施錠を解除するためのシリンダ錠(不図示)に連結したものである。
【0040】
以上に述べたシートキャッチ52の作用を次に説明する。
(a)において、タンデムシートが閉じ、施錠爪131の上爪138にシートフック53が係合した状態で、まず、ワイヤ147に連結したシリンダ錠をキーで回し、(b)に示したように、ワイヤ147を矢印▲1▼に示すように引く。
【0041】
この結果、ストッパ部材133は、ピン132を中心に矢印▲2▼のように回転し、ストッパ部材133の側方突出部146が施錠爪131の段部145から外れる。従って、施錠爪131は回転を拘束するものがなくなり、引張コイルばね134の弾性力によって矢印▲3▼のように回転し、上爪138がシートフック53から外れて上爪138とシートフック53との係合が解除される。
【0042】
タンデムシートはシートヒンジによって開く方向に力を与えたものであるから、上爪138とシートフック53との係合が解除されると、タンデムシートが少し開く(ポップアップ)のに伴って、シートフック53は矢印▲4▼のように上昇する。
【0043】
また、タンデムシートを閉じる場合には、まず、(b)において、タンデムシートを押し下げてシートフック53を矢印▲4▼とは反対の向きに下降させると、シートフック53は施錠爪131の下爪141に当たり下爪141を押し下げる。この結果、施錠爪131は矢印▲3▼とは反対の向きに回転し、引張コイルばね134の弾性力で矢印▲2▼とは反対の向きに回転力を与えたストッパ部材133の側方突出部146の先端が、(a)に示したように、施錠爪131の段部145に掛かる。従って、施錠爪131の時計回りの回転が規制されるため、施錠爪131とシートフック53とは係合状態を維持する。
【0044】
図10(a),(b)は本発明に係るシートヒンジのヒンジカバーを説明する断面図であり、(a)はラゲッジボックス、シートヒンジ、タンデムシート、車体カバー及びヒンジカバーの断面図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
(a)ではシートヒンジ51にヒンジカバー153を取付け、このヒンジカバー153でシートヒンジ51の側方、詳しくは車体カバー46に設けた切欠き部154を覆ったことを示す。なお、156,157はヒンジブラケット74にラゲッジボックス22の底を取付けるボルト及びナット、158,161はリヤフレーム12Aに設けたブラケット162にラゲッジボックス22の底を取付けるボルト及びナット、163,164はヒンジブラケット74にシートヒンジ51を取付けるボルト及びナット、166はラゲッジボックス22とタンデムシート23との隙間を塞ぐシールラバーである。
【0045】
切欠き部154は、タンデムシート23を開けるときに、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78が車体側方へ大きく揺動するのを許容するために設けたものであり、シートヒンジ51のヒンジ軸77をラゲッジボックス22の開口部168よりも外側で下方に設けたこと、及びシートヒンジ51の側方の車体カバー46に切欠き部154を設けたことにより、タンデムシート23を大きく開けることができ、ラゲッジボックス22に対する物の出し入れを楽に行うことができる。また、開口部168の全面をラゲッジボックス22として利用することができ、幅広の物や、より多くの物を同時に収納可能となる。
【0046】
(b)では、ラゲッジボックス22のフランジ部83に切欠き部81,82を設け、これらの切欠き部81,82にそれぞれスポンジラバー169を取付け、タンデムシートを閉じたときに、切欠き部81,82にスポンジラバー169を介してシートヒンジのJフレーム91,91を当てたことを示す。
【0047】
図11(a),(b)は本発明に係る車体カバーの切欠き部を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
(a)において、車体カバー46の切欠き部154は、縁の全体に段部154aを設けた部分であり、特に、段部154aのうち、前側段部154c及び後側段部154dにヒンジカバー153(図10(a)参照)の内面を当てる。
【0048】
(b)において、前側段部154c及び後側段部154dは、それぞれをV字断面として中央を窪ませた部分であり、これらの前側段部154c及び後側段部154dに、詳しくは、車体カバー46の内面から突出させた上部突出部172,172(図13にて詳述する。)及び下部突出部173,173(不図示。図13にて詳述する。)を当てることで、ヒンジカバー153(図10(a)参照)のセンタリングを行う。なお、前側段部154c及び後側段部154dの断面形状としては、V字状に限らず、U字状としてもよい。
【0049】
このように、切欠き部154の縁に前側段部154c及び後側段部154dを設けたことで、ヒンジカバー153の車体前後方向のセンタリングを行うことができ、ヒンジカバー153を車体カバー46に合わせるときの位置決め精度を向上させることができる。
【0050】
以上に述べたシートヒンジ51及びヒンジカバー153の作用を次に説明する。
図12(a)〜(c)は本発明に係るヒンジカバーの開動作を説明する作用図であり、(a)はヒンジカバー153が閉じた状態を示す断面図、(b)はヒンジカバー153がわずかに開いた状態を示す断面図、(c)はヒンジカバー153が大きく開いた状態を示す断面図である。
(a)において、ヒンジカバー153は、シート側ヒンジ78のステー84にほぼU字形とした弾性材としてのU字ばね171を介して取付けた部材であり、内面上部に設けた一対の上部突出部172,172(一方の上部突出部172のみ図示)と、内面下部に設けた一対の下部突出部173,173(一方の下部突出部173のみ図示)と、U字ばね171を取付けるために上部突出部172,172と下部突出部173,173との間から側方に延ばした側方延出部174とを備える。なお、176,177はU字ばね171をステー84に取付けるビス及びナット、dはヒンジカバー153と車体カバー46との隙間である。
【0051】
(a)では、ヒンジカバー153の上部突出部172,172及び下部突出部173,173は、車体カバー46の切欠き部154の縁、詳しくは、前側段部154c(図11(a)参照)及び後側段部154d(図11(a)参照)に当たった状態にある。このとき、U字ばね171は、U字の2つの端部を開いて撓ませた状態にあり、この撓みにより発生する弾性力で切欠き部154の縁にヒンジカバー153を押付ける。
【0052】
(b)において、ヒンジカバー153と車体カバー46との隙間d((a)参照)は上部より下部の方が大きく設定されているので、タンデムシート23を開き始めて、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78が想像線の位置から実線の位置へ矢印のようにわずかに揺動すると、U字ばね171の撓みが小さくなり、弾性力が小さくなって、ヒンジカバー153の上部突出部172,172は切欠き部154の縁に押付けられたまま、切欠き部154の縁と上部突出部172,172との接触部を中心にしてヒンジカバー153の下部が矢印のようにわずかに開き、下部突出部173,173は切欠き部154の縁から離れる。
【0053】
(c)において、シート側ヒンジ78が更に揺動すると、U字ばね171の撓みはほとんどなくなり、ヒンジカバー153はシート側ヒンジ78とともに揺動するため、上部突出部172,172及び下部突出部173,173は、共に切欠き部154の縁から離れる。
【0054】
このように、ヒンジカバー153と車体カバー46との隙間は上部より下部の方が大きく設定され、ヒンジカバー153を切欠き部154の縁から下部突出部173,173側を先に離れるようにしたことで、車体カバー46とヒンジカバー153のそれぞれの表面を連続させるために車体カバー46に設けたカバー段部181に、ヒンジカバー153の下部が干渉することなしにヒンジカバー153を移動させることができる。
【0055】
図13は本発明に係るラゲッジボックスの斜視図であり、ラゲッジボックス22のフランジ部83の前部に凹部184を一体成形したことを示す。
凹部184は後述するタンデムシート側の凸部と係合してタンデムシート、詳しくは、タンデムシートの前部の無理な開閉を防止する部分である。
【0056】
図14は本発明に係るタンデムシートの底面を示す底面図であり、タンデムシート23の底板54の前部に、車幅方向内方に突出するストッパ部としての凸部186を一体成形したことを示す。なお、187,188はシートヒンジ51を取付けるためにシートヒンジ51の取付端部98,98(図5参照)を当てるシート側取付部、191はシートヒンジ51を取付けるためにシートヒンジ51のシート取付片93(図5参照)を当てるシート側取付部、193…(…は複数個を示す。以下同じ。)はタンデムシート23をシートヒンジ51に取付けるための取付ボルト、194はシートフック53を取付けるフック取付部、196,196はタンデムシート23にシートフック53を取付けるための取付ボルトである。図では、底板54の下面54aに形成したリブを省略したが、図17で詳細に説明する。
【0057】
図15(a),(b)は本発明に係るラゲッジボックスとタンデムシートとの係合を説明する断面図であり、(a)は係合状態を示す断面図、(b)はタンデムシートを閉じるときの作用を示す断面図である。
(a)において、ラゲッジボックス22の凹部184はタンデムシート23の凸部186を受ける傾斜面184Aを備える。
タンデムシート23の凸部186は、ラゲッジボックス22の傾斜面184Aの下にもぐり込む円弧状の係合面186Aを備える。
【0058】
図中の200は上記の係合面186Aの円弧の中心であって係合面186Aの回転中心でもある回転中心点である。この回転中心点200は、ラゲッジボックス22の凹部184とタンデムシート23の凸部186との係合部分を係合部201とすると、この係合部201を通る紙面に平行な平面に図7(a),(b)に示したヒンジ軸77の延長線116が交わる点である。
【0059】
図7(a),(b)に示したように、本発明では、シートヒンジ51のヒンジ軸77を側面視で前下がりにするとともに、平面視でヒンジ軸77の前部が後部よりも車体内方に位置するように傾斜させたことで、図15(a)において、回転中心点200を係合部201に対して下方に配置するようにした。
以上に述べたラゲッジボックス22の凹部184とタンデムシート23の凸部186との係合の作用を次に説明する。
【0060】
図15(b)において、タンデムシート23を開けた状態から、次第に閉じていくと、タンデムシート23は回転中心点200を中心にして回転し、これに伴って凸部186の係合面186Aがラゲッジボックス22の凹部184の傾斜面184Aにもぐり込んで、(a)に示したように、凹部184に凸部186が係合する。この状態で、例えば、タンデムシート23の前部を無理に開こうとしても、係合部201によって阻止することができる。
【0061】
図15(a)に戻って、例えば、凸部186の回転中心点を200Aとして、係合部201の直下に配置すれば、タンデムシート23の前部を無理に開こうとして上方に力を作用させたときに回転中心点200Aの回りにタンデムシート23を回転させるモーメントが発生しない。回転中心点200は、上記の回転中心点200Aにより近づけた点であるから、タンデムシート23を回転させるモーメントをより小さくすることができ、係合部201で凹部184に凸部186を強固に係合することができる。
【0062】
図中の200Bはヒンジ軸を前下がりにせず、ヒンジ軸の前部が後部よりも車体内方に位置するように傾斜させずに、正面視でラゲッジボックス22の開口部168の側方に配置した回転中心点を示す。
【0063】
この回転中心点200Bを中心にしてタンデムシート23を閉じても、タンデムシート23側に設けた凸部はほぼ上下方向に移動するだけで、ラゲッジボックス側に設けた凹部内に係合させることはできない。
【0064】
図13では、ラゲッジボックス22のフランジ部83の前部に凹部184を成形したが、これに限らず、ラゲッジボックス22の側部のフランジ部83に凹部を設け、タンデムシート23側に設けた凸部と係合させるようにしてもよい。また、タンデムシート23側に凹部を設け、ラゲッジボックス22側に凸部を設けてもよい。
【0065】
図16は本発明に係るタンデムシートの断面図であり、タンデムシート23の底板54は、運転者用シート23A及び同乗者用シート23Bの両方の下部を覆うように設けた部材であり、運転者用シート23Aの底である底板前部54Aと、この底板前部54Aから後方斜め上方へ延ばした底板中間部54Bと、この底板中間部54Bから後方へ同乗者用シート23Bの底として延ばした底板後部54Cとからなり(底板前部54A、底板中間部54B、底板後部54Cの境界の目安として図17に曲線C1,C2を示す。)、底板54のリブの密度を前側より後側を大きくすることにより、軽量化と後側シートである同乗者用シート23Bの剛性を向上させた。また、底板54の前側はリブの密度が後側より小さく、ごつごつ感がない着座感を得ることができる。
【0066】
図17は本発明に係るタンデムシートの底面図であり、底板54の下面54aを、底板前部54Aの下面である前部下面54bと、底板中間部54Bの下面である中間部下面54cと、底板後部54Cの下面である後部下面54dとから構成し、中間部下面54cの後端から後部下面54dに亘って前後に延びるように下面縦リブ235…(太線で示した。)を形成し、前部下面54bの後端から中間部下面54c、後部下面54dに亘って前後に並ぶように窪み部236…を形成したことを示す。(窪み部236…のそれぞれには大きさの異なるものが含まれるが同一符号とした。)なお、237,237,238は整備要領書を止めておくためのフック、241,241は整備要領書の横ずれを防ぐ横ずれ防止用突起、242、243は底板54の周縁近傍にほぼ環状に設けた外周リブである。
【0067】
下面縦リブ235は、主に底板54の後部下面54dの前後方向の曲げ剛性を高めるための部分であり、この下面縦リブ235…により、同乗者用シート23Bの剛性を高めることができる。
【0068】
図18は本発明に係る底板の平面図であり、底板54の上面54eを、底板前部54Aの上面である前部上面54fと、底板中間部54Bの上面である中間部上面54gと、底板後部54Cの上面である後部上面54hとから構成し、前部上面54fに格子状に前部上面縦リブ244…及び前部上面横リブ245…を形成し、中間部上面54gに後方へ凸に湾曲した湾曲前リブ246及び湾曲後リブ247を形成し、後部上面54hに後部上面縦リブ251…、格子状の後部上面副縦リブ252…及び後部上面副横リブ253…を形成したことを示す。
【0069】
このように、底板54の上面54eでは、前部上面54fに前部上面縦リブ244…及び前部上面横リブ245…、後部上面54hに後部上面縦リブ251…、格子状の後部上面副縦リブ252…及び後部上面副横リブ253…を形成し、且つ前部上面縦リブ244…及び前部上面横リブ245…より後部上面縦リブ251…、格子状の後部上面副縦リブ252…及び後部上面副横リブ253…を間隔を密にしたことで、底板後部54Cの剛性を大きくし、また、運転者用シート23Aに着座したときの着座感を良好とし、合わせて重量増、コスト増を抑えることができる。
【0070】
また、底板後部54Cにおいては、下面54a(図17参照)の下面縦リブ235…(図17参照)に加えて、後部上面縦リブ251…、格子状の後部上面副縦リブ252…及び後部上面副横リブ253…を形成したことで、同乗者用シート23Bの剛性をより一層高めた。
【0071】
図19(a),(b)は本発明に係るシートの断面図であり、(a)は図16のa−a線断面図、(b)は図16のb−b線断面図である。
(a)において、底板前部54Aは、前部上面54fに前部上面縦リブ244…を備える。
前部上面縦リブを、説明の都合上、前部上面縦リブ244A及び前部上面縦リブ244Bと区別すると、車幅方向(図の左右方向)の中央側の前部上面縦リブ244Aは、その高さH1を車幅方向の端部側の前部上面縦リブ244Bの高さH2よりも低くした部分であり、前部底板54Aの中央部の剛性を端部側よりも小さくして、中央部から端部側に次第に剛性を高めるようにした。
【0072】
ここで、256はタンデムシート23を閉じたときにラゲッジボックス22のフランジ部83と底板54との隙間を塞ぐために底板54の縁部内側に取付けたシールラバーである。
【0073】
(b)において、底板後部54Cは、後部下面54dに下面縦リブ235…を備え、後部上面54hに後部上面縦リブ251…を備え、下面縦リブ235…のそれぞれと、後部上面縦リブ251…のそれぞれとは車幅方向にオフセットさせたものであり、後部上面縦リブ251の一つを後部上面縦リブ251A、その高さをH3とし、下面縦リブ235の一つを下面縦リブ235A、その高さをH4としたときに、高さH3を高さH4よりも低くすることで、同乗者用シート23Bに着座したときの着座感、いわゆる、ごつごつ感を抑えることができる。
【0074】
図20は図17の20−20線断面図であり、底板54の前部下面54bの後端部、中間部下面54c及び後部下面54dに窪み部236…を設けたことを示す。ここで、説明の都合上、窪み部を前部下面54bから後部下面54dへ順に、窪み部236A,236B,236C,236D,236E,236F,236Gとすると、中間部下面54cでは、型による底板54の形成を容易にするために窪み部236Cを前後に長く形成し、後部下面54dでは、同乗者用シート23Bの前後方向(図の左右方向)の剛性を一定にするために窪み部236D〜236Gの長さを同一にした。
窪み部236A〜236Gは、底板54の剛性の低下を極力抑えながら底板54の軽量化を図るものである。
【0075】
図21は図17の21−21線断面図であり、底板54に、シートヒンジ取付用の取付ボルト193を固定した状態を示す。
取付ボルト193は、タンデムシートを組み立てる前に、底板54の上面54e側から取付穴193aに圧入し且つ回り止めしたものである。図14に示した取付ボルト196についても同様に底板54に固定する。
【0076】
図22は本発明に係る底板の断面図であり、底板54は、発泡成形材、即ち、発泡性樹脂材料を射出成形により成形した部材であり、表層261,261と、これらの表層261,261の内側に形成した心層262とからなる。(図21以前の断面図では、心層262を省略した。)
表層261は気泡をほとんど含まず、心層262は気泡を多く含む。
【0077】
底板54の成形は、射出成形型のキャビティ内に発泡性樹脂材料を高圧で射出し、この発泡性樹脂材料の表面部が凝固し内部が凝固しない状態で、キャビティ内の圧力を下げる、又は可動型を移動させてキャビティの容量を増やすことにより、発泡性樹脂材料の内部の未凝固部を発泡させて行う。
【0078】
発泡性樹脂材料は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン)に発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウム)を加えたものである。
このように、底板54を発泡性樹脂材料で成形することで、底板54の板厚を大きくでき、底板54の剛性向上が容易に行え、しかも軽量にすることができる。
【0079】
図23は本発明に係る底板の周縁部を示す断面図であり、タンデムシート23を、底板54と、底板54に載せたクッション材265と、このクッション材265の外側を覆う表皮材266とから構成し、表皮材266の縁部266aを底板54の周縁部54kに設けた厚肉部54mの下面54aに固定用針267…で固定したことを示す。
厚肉部54mは、底板54の他の部分よりも板厚を少なくとも1.4倍とした部分である。即ち、厚肉部54mの板厚をT1、底板54の他の部分の板厚をT2とすると、T1≧1.4×T2となる。
【0080】
図24は本発明に係る底板を打ち込んだ固定用針の断面図(図23のA−A線での断面に相当)であり、断面コ字状の固定用針267を厚肉部54mに打ち込んで、厚肉部54mに表皮材266を固定したことを示す。
このように、底板54の周縁部54kを厚くすることで、固定用針267を抜けにくくすることができ、タンデムシート23の品質を高めることができる。
【0081】
以上に述べた底板54の作用を次に説明する。
図25は本発明に係る底板の作用を示す断面図であり、底板54は、運転者用シート23A側の上面のリブを同乗者用シート23B側の上面のリブよりも間隔を広く配置し、同乗者用シート23B側の下面にもリブを設け、ラゲッジボックス22とタンデムシート23とを前端部(凹部184と凸部186)及び中央部(施錠爪131とシートフック53)で連結し、また、シート側ヒンジ78のシート取付パイプ92を運転者用シート23Aと同乗者用シート23Bとに跨るように底板54に取付けた。
【0082】
この結果、同乗者用シート23Bは、底板前部54Aより底板後部54Cのリブを密に配置することにより、軽量化及び剛性向上が図れ、運転者用シート23Aは、前側のリブが少ないので着座感向上が図れるとともに、運転者用シート23Aの前後をラゲッジボックス22と連結させて盗難防止効果を高めることができ、同乗者用シート23Bは、後部底板54Cの剛性を大きくして、例えば、同乗者用シート23Bの後端部23cに手を掛けて矢印で示すように上方に無理に開けるのを防止することができる。従って、ラゲッジボックス22内の収納物の盗難防止効果を高めることができる。
【0083】
更に、前述したように、運転者用シート23Aと同乗者用シート23Bとの連結部に対応する底板中間部54Bは、シート取付パイプ92で補強することができる。
【0084】
以上の図2及び図18で説明したように、本発明は第1に、運転者用シート23Aと同乗者用シート23Bとを前後に連結したタンデムシート23の底板54に発泡成形材、即ち、発泡性樹脂材料を用いた自動二輪車10(図1参照)において、運転者用シート23A側の底板前部54Aの前部上面縦リブ244及び前部上面横リブ245より同乗者用シート23B側の底板後部54Cの後部上面縦リブ251を密に配置したことを特徴とする。
【0085】
底板54を発泡成形したので軽量化でき、また、運転者用シート23A側の底板前部54Aの前部上面縦リブ244及び前部上面横リブ245より同乗者用シート23B側の底板後部54Cの後部上面縦リブ251を密に配置したことで、同乗者用シート23B側の底板後部54Cの剛性を大きくできるために同乗者用シート23Bを無理に開けることを防止できて盗難防止効果を高めることができる。
更に、運転者用シート23Aは前部上面縦リブ244及び前部上面横リブ245が少ないので、着座感をより向上させることができるとともに重量増加を抑えることができる。
【0086】
同乗者用シート23Bの盗難防止効果が高まれば、従来のようなシート施錠機構をシート後部に設ける必要がなく、本発明では、シート施錠機構としてのシートキャッチ52及びシートフック53を1組にすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0087】
本発明は第2に、タンデムシート23下方に配置したラゲッジボックス22にタンデムシート23を開閉自在に取付けるためのシートヒンジ51を底板54の左右一側に設け、ラゲッジボックス22側に備えるシートキャッチ52に係合するシートフック53を底板54の左右他側に設けたことを特徴とする。
【0088】
シートヒンジ51とシートキャッチ52及びシートフック53とを1組だけタンデムシート23の全長のほぼ中央に配置しても、同乗者用シート23Bの剛性が高いために、タンデムシート23の後部を無理に開けるのを防止することができ、盗難防止効果を高めることができる。
【0089】
本発明は第3に、タンデムシート23を閉じた状態では、ラゲッジボックス22に設けた凹部184に係合することでタンデムシート23を開けるのを防止する凸部186を底板54の前部に備えることを特徴とする。
底板54の前部に凸部186を備えることで、タンデムシート23の後部に加えて、タンデムシート23の前部の盗難防止効果を高めることができる。
【0090】
尚、本発明の底板に形成したリブは、その高さ、全長、隣同士の間隔を適宜変更しても差し支えない。また、リブは直線状としたが、これに限らず、曲線状に形成してもよい。
【0091】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の自動二輪車のシート構造は、運転者用シート側の底板のリブより同乗者用シート側の底板のリブを密に配置したので、底板の発泡成形による軽量化に加えて、同乗者用シート側の底板の剛性を大きくできるために同乗者用シートを無理に開けることを防止できて盗難防止効果を高めることができる。
更に、運転者用シートはリブが少ないので、着座感をより向上させることができるとともにタンデムシートの重量増加を抑えることができる。
【0092】
同乗者用シートの盗難防止効果が高まれば、従来のようなシート施錠機構をシート後部に設ける必要がなく、本発明では、シート施錠機構を一つにすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0093】
請求項2の自動二輪車のシート構造は、タンデムシート下方に配置した収納ボックスにタンデムシートを開閉自在に取付けるためのシートヒンジを底板の左右一側に設け、収納ボックス側に備えるシートキャッチに係合するシートフックを底板の左右他側に設けたので、シートヒンジとシートキャッチ及びシートフックとを1組だけタンデムシートの全長のほぼ中央に配置しても、同乗者用シートの剛性が高いために、タンデムシートの後部を無理に開けるのを防止することができ、盗難防止効果を高めることができる。
【0094】
請求項3の自動二輪車のシート構造は、タンデムシートを閉じた状態では、収納ボックスに設けた凹部に係合することでタンデムシートを開けるのを防止するストッパ部を底板の前部に備えるので、タンデムシートの後部に加えて、タンデムシートの前部の盗難防止効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車の後部を示す要部側面図
【図3】本発明に係る自動二輪車の平面図
【図4】本発明に係るシートヒンジの取付け状態を示す斜視図
【図5】本発明に係るシートヒンジの斜視図
【図6】本発明に係るシートヒンジの要部を示す要部斜視図
【図7】本発明に係るシートヒンジのヒンジ軸の傾きを示す説明図
【図8】本発明に係るシートキャッチの取付状態を示す斜視図
【図9】本発明に係るシートキャッチの説明図
【図10】本発明に係るシートヒンジのヒンジカバーを説明する断面図
【図11】本発明に係る車体カバーの切欠き部を示す説明図
【図12】本発明に係るヒンジカバーの開動作を説明する作用図
【図13】本発明に係るラゲッジボックスの斜視図
【図14】本発明に係るタンデムシートの底面を示す底面図
【図15】本発明に係るラゲッジボックスとタンデムシートとの係合を説明する断面図
【図16】本発明に係るタンデムシートの断面図
【図17】本発明に係るタンデムシートの底面図
【図18】本発明に係る底板の平面図
【図19】本発明に係るシートの断面図
【図20】図17の20−20線断面図
【図21】図17の21−21線断面図
【図22】本発明に係る底板の断面図
【図23】本発明に係る底板の周縁部を示す断面図
【図24】本発明に係る底板を貫通させた固定用針の断面図
【図25】本発明に係る底板の作用を示す断面図
【図26】従来の自動二輪車のシート構造を示す分解斜視図(従来例1)
【図27】従来の自動二輪車のシート構造を示す断面図(従来例2)
【図28】従来のシートを示す底面図(従来例2)
【図29】従来のシートの別の実施の形態を示す底面図(従来例2)
【符号の説明】
10…自動二輪車、22…ラゲッジボックス、23…タンデムシート、23A…運転者用シート、23B…同乗者用シート、51…シートヒンジ、52…シートキャッチ、53…シートフック、54…底板、184…凹部、186…ストッパ部(凸部)、244,245…運転者用シート側の底板のリブ(前部上面縦リブ、前部上面横リブ)、251…同乗者用シート側の底板のリブ(後部上面縦リブ)。
Claims (3)
- 運転者用シートと同乗者用シートとを前後に連結したタンデムシートの底板に発泡成形材を用いた自動二輪車において、
前記運転者用シート側の底板のリブより前記同乗者用シート側の底板のリブを密に配置したことを特徴とする自動二輪車のシート構造。 - 前記底板は、前記タンデムシート下方に配置した収納ボックスにタンデムシートを開閉自在に取付けるためのシートヒンジを左右一側に設け、収納ボックス側に備えるシートキャッチに係合するシートフックを左右他側に設けたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のシート構造。
- 前記底板は、前記タンデムシートを閉じた状態では、前記収納ボックスに設けた凹部に係合することでタンデムシートを開くのを防止するストッパ部を前部に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のシート構造。
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