JP3957174B2 - 自動二輪車のシート開閉構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、大型のシートを車体側に開閉自在に取付けた自動二輪車のシート開閉構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車のシート開閉構造としては、例えば、特開2001−239970公報「スクータ型車両のシート取付け構造」に記載されたものが知られている。
上記公報の図2を以下の図25で説明する。なお、符号は振り直した。
図25は従来のシート開閉構造を示す斜視図であり、ラゲッジボックス301の前部にシートヒンジ302を介してシート303を開閉自在に取付け、このシート303の底面に第1コ字金具304及び第2コ字金具305を取付け、第1コ字金具304を受けるためにラゲッジボックス301の側部に第1シート施錠機構306を配置し、第2コ字金具305を受けるためにラゲッジボックス301の後部に第2シート施錠機構307を配置したシート開閉構造が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記技術のように、第1シート施錠機構306及び第2シート施錠機構307を設けると、大型のシート303を無理に開けることを防止できるが、このような施錠機構の個数を1個にすることができれば、部品自体のコスト及び取付けのコスト等を低減でき、また、第1シート施錠機構306と第2シート施錠機構307とを連結する第2ワイヤ308が不要になり、ワイヤに係るコストをも削減できる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、自動二輪車のシート開閉構造を改良することで、特に大型シートを備えた自動二輪車において、シート施錠機構、即ちシートキャッチを1個に減らすことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、シート下方に物品収納箱を設け、シートの左右側方に設けたシートヒンジのヒンジ軸を介してシートを開閉自在とした自動二輪車のシート開閉構造において、ヒンジ軸を、その延長線が側面視で前下がりにするとともに上面視で延長線の前部を後部よりも車体内方に位置するように傾斜させ、シートヒンジよりも前方で、シート底板前部に凸部を設け、物品収納箱前部に凹部を設け、ヒンジ軸の延長線を凹部に対して下方に配置することで、シートを閉じた状態で、凸部が凹部に左右方向から係合するようにしたことを特徴とする。
【0006】
従来、大型のシートでは、シートの撓みによる盗難防止のために、シートを閉じたときに、シートを車体側に係合するシートキャッチを2箇所に取付けていたが、本発明では、物品収納箱とシートとの係合を、物品収納箱側の凹部とシート側の凸部とでも行えるため、シートキャッチ1個を省くことができ、盗難防止機能を維持しつつコストを低減することができる。
また、ヒンジ軸の延長線を凹部の下方を通るようにしたことで、シートを閉じて収納箱側の凹部とシート側の凸部とを係合させた状態では、シートを無理に開けようとしてシートの前部に上向きの力を作用させても、シートがヒンジ軸を中心にして回転しにくいため、シートが開けにくく、盗難防止効果をより高めることができる。
【0007】
請求項2は、凹部に、下方に臨む傾斜面を備え、凸部に、傾斜面の下にもぐり込む円弧状の係合面を備え、この係合面の円弧の中心を、延長線上に位置させたことを特徴とする。
凹部に凸部が係合した状態で、シートの前部を無理に開こうとしても、凹部と凸部との係合部によって阻止することができる。
【0008】
請求項3は、凹部を物品収納箱上部開口フランジ部に形成したことを特徴とする。
凹部を物品収納箱上部開口フランジ部に形成するため、凹部を特別に形成するのに比べて、凹部形成のための物品収納箱の形状変更を小さくすることができ、コストを抑えることができる。
【0009】
また、フランジ部は、物品収納箱の上部縁部の剛性を高める部分であるから、この剛性の高いフランジ部に凹部を設けることで、凹部にシート側の凸部を介して外力が作用した場合に、凹部の変形を抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る自動二輪車の側面図であり、自動二輪車10は、ヘッドパイプ11を前端に取付けた車体フレーム12と、ヘッドパイプ11に回転可能に取付けたハンドル軸13と、このハンドル軸13の下部に取付けたフロントフォーク14と、このフロントフォーク14の下端に取付けた前輪16と、この前輪16を操舵するためにハンドル軸13の上部に取付けたハンドル17と、ハンドル軸13、ヘッドパイプ11及びフロントフォーク14の前部を覆うフロントカバー18と、このフロントカバー18の後部に取付けたフロントインナカバー21と、前述の車体フレーム12の後部上部に取付けた物品収納箱としてのラゲッッジボックス22と、このラゲッジボックス22の上方に開閉自在に配置したタンデムシート23と、車体フレーム12の後部下部に取付けたパワーユニット24と、このパワーユニット24の後端部に取付けた後輪26とからなる。
【0011】
ここで、31は前輪16の上方を覆うフロントフェンダ、32はハンドル17の前方を覆うハンドルカバー、33はハンドルカバー32に取付けたウインドスクリーン、34はハンドルカバー32の後部に取付けたハンドルインナカバー、36はバックミラー、37,37(手前側の符号37のみ図示)はフロアステップ、38,38(手前側の符号38のみ図示)はフロアステップ37,37を支持するステップ支持フレーム、41,42はパワーユニット24を構成するエンジン及び動力伝達機構、43はスタンド、44はパワーユニット24の後端と車体フレーム12の後端とに渡したリヤクッションユニット、46は車体カバー、47は後輪26の上方を覆うリヤフェンダである。
【0012】
自動二輪車10は、(1)ラゲッジボックス22の上方にタンデムシート23を開閉自在に取付けるシートヒンジ51とこのシートヒンジ51の側方を覆うヒンジカバー(不図示。後で詳述する。)の構造、(2)ラゲッジボックス22とタンデムシート23との係合構造、及び(3)ラゲッジボックス22内の仕切り構造に特徴があり、それぞれの構造について以下に詳述する。
【0013】
図2は本発明に係る自動二輪車の後部を示す要部側面図であり、車体カバーを取外すとともにタンデムシート23を断面で表した。
ラゲッジボックス22の上方に開閉自在にタンデムシート23を配置するためのシートヒンジ51は、車体フレーム12の後部を構成するリヤフレーム12Aに取付けるとともに、ラゲッジボックス22の車体右方(図においてはラゲッジボックス22の奥側)に配置したものであり、タンデムシート23を閉じたときにタンデムシート23の施錠を行うとともにタンデムシート23側と係合するシートキャッチ52は、リヤフレーム12Aに取付けるとともに、ラゲッジボックス22の車体左方(図においてはラゲッジボックス22の手前側)に配置したものである。
【0014】
シートキャッチ52に係合するシートフック53は、タンデムシート22の底に設けた底板54に取付けた部材である。
タンデムシート23は、運転者が腰掛ける運転者用シート23Aと、この運転者用シート23Aに対して一段高く形成された添乗員が腰掛ける添乗員用シート23Bとからなる。
【0015】
図3は本発明に係る自動二輪車の正面図であり、車体の前部中央に正面視がほぼ三角形状のヘッドランプ56を取付け、このヘッドランプ56の両側方及び下方をV字状のフロントサブカバー57で覆い、このフロントサブカバー57の左右に信号灯としてのウインカ58,61を配置したことを示す。なお、63はメータバイザ、64,64はウインカ58,61用のバルブ、65はフロントカバー18の開口部である。
【0016】
ウインカ58,61は、縦長でほぼ三角形状とし、バルブ64,64を配置した下部だけでなく上部をも発光させるようにして視認性を高めるとともにイルミネーション的な効果をも発揮させるものである。
【0017】
図4は本発明に係る自動二輪車の平面図であり、リヤフレーム12Aを左右一対の左フレーム67及び右フレーム68から構成し、左フレーム67にシートキャッチ52を取付け、右フレーム68にシートヒンジ51を取付けたことを示す。なお、71は左フレーム67及び右フレーム68の各後端に渡したクロスパイプ、72,72は添乗員が足を載せるためにステップ支持フレーム38(図1参照)に折り畳み可能に取付けた添乗員用ステップ(図では折りたたんだ状態にある。)である。
【0018】
ウインカ58,61は、それらの内側部58A,61Aを平面視でフロントフェンダ31の左右の側部31A,31Bと連続させるように配置してデザインの一体感を得るようにしたものである。
【0019】
図5は本発明に係るシートヒンジの取付け状態を示す斜視図(図中の矢印(front)は車体前方を表す。以下同じ。)であり、リヤフレーム12Aの右フレーム68にヒンジブラケット74を介してシートヒンジ51を取付けたことを示す。
【0020】
シートヒンジ51は、ヒンジブラケット74に取付けた車体側ヒンジ76と、この車体側ヒンジ76にヒンジ軸77を介してスイング可能に取付けたシート側ヒンジ78とからなり、タンデムシート23(図2参照)を閉じた状態では、パイプで構成したシート側ヒンジ78を立上げ、このシート側ヒンジ78の上端にタンデムシート23を取付ける。なお、81,82はシート側ヒンジ78を通すためにラゲッジボックス22のフランジ部83に形成した切欠き部、84は後述するヒンジカバー(不図示)を取付けるためにシート側ヒンジ78に取付けたステーである。
【0021】
図6は本発明に係るシートヒンジの斜視図であり、想像線で示したシート側ヒンジ78はタンデムシート23(図2参照)を閉じたときの状態、実線で示したシート側ヒンジ78はタンデムシートを開いたときの状態を示す。
【0022】
シートヒンジ51は、タンデムシートを開いたときにシート位置を固定するためのストッパとなるストッパピン85を車体側ヒンジ76に移動可能に取付け、ストッパピン85に係合する係合片86をシート側ヒンジ78に一体的に取付けたものである。なお、87は係合片86の先端部に形成した凹部であり、この凹部87にストッパピン85側が嵌る。
【0023】
シート側ヒンジ78は、ヒンジ軸77側からJ字状に延ばした一対のJフレーム91,91と、これらのJフレーム91,91の各先端に取付けたシート取付パイプ92と、このシート取付パイプ92のほぼ中央に取付けたシート取付片93とからなる。なお、94はJフレーム91,91間に渡したパイプ、96,96は補強部材である。
【0024】
シート取付パイプ92は、両端部にタンデムシートの底板54(図2参照)に当てる取付端部98,98と、底板54にボルトで取付けるために取付端部98,98に開けた取付穴101,101とを備える。
シート取付片93は、底板54に当てる部分であり、底板54にボルトで取付けるための取付穴102を備える。
【0025】
図7は本発明に係るシートヒンジの要部を示す要部斜視図であり、シートヒンジ51における車体側ヒンジ76の側壁104,105にそれぞれ長穴106を開け、これらの長穴106,106にストッパピン85を通し、このストッパピン85とヒンジ軸77とに引張コイルスプリング107を渡したことを示す。
【0026】
この引張コイルスプリング107により、ストッパピン85が、カラー108を介して係合片86の凹部87に嵌ったときに、ストッパピン85が凹部87に引張コイルスプリング107の弾性力によって押付けられ、凹部87からストッパピン85を外れにくくする、即ち、開いたタンデムシート23(図2参照)を閉じにくくする。
【0027】
111はタンデムシートを開けるときの操作力を軽減するために開方向に弾性力を発生させる巻きスプリングであり、ヒンジ軸77に巻き付けるとともに中央部112をシート側ヒンジ78のパイプ94の下部に当てるとともに、両端部113,113を車体側ヒンジ76の底板114に当てたものである。
【0028】
図2に戻って、本発明では、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78,特にシート側ヒンジ78のシート取付パイプ92を運転者用シート23Aと添乗員用シート23Bとを跨るように底板54に取付ける。タンデムシート23の運転者用シート23Aと添乗員用シート23Bとの連結部は、底板54が屈曲しているためタンデムシート23では最も剛性が小さくなる部分であり、上記したシート取付パイプ92によってタンデムシート23を補強することができる。
【0029】
図8(a),(b)は本発明に係るシートヒンジのヒンジ軸の傾きを示す説明図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
(a)において、ヒンジ軸77は、この延長線116を、例えば、シート側ヒンジ78の取付端部98,98を通る直線117よりも前下がりとして、延長線116と直線117とのなす角度を角度θ1としたものである。
(b)において、ヒンジ軸77は、前部が後部よりも車体内方に位置するように車体前後方向に延びる直線118に対して角度θ2だけ傾斜させたものである。
【0030】
図9は本発明に係るシートキャッチの取付状態を示す斜視図であり、リヤフレームの左フレーム67にキャッチブラケット121,122を介してシートキャッチ52を取付け、ラゲッジボックス22の側面123を窪ませ、シートキャッチ52の上部をラゲッジボックス22のフランジ部83の下方に配置したことを示す。なお、124はシートキャッチ52にシートフック53が係合するときに、シートフック53を通すためにフランジ部83に開けた通孔である。
【0031】
シートフック53は、薄肉の板状部材からなり、通穴124は、フランジ部83の長手方向に沿って長穴状に開口している。このため、ラゲッジボックス22の内部にシートフック53が突出することがなく、ラゲッジボックス22の容積を大きくすることができる。
【0032】
図10(a),(b)は本発明に係るシートキャッチの説明図であり、(a)はシートフック53が係合した状態を示す側面図、(b)はシートフック53の係合が解除した状態を示す側面図である。
(a)において、シートキャッチ52は、扁平なほぼ箱状のハウジング127と、このハウジング127にピン128で回転可能に取付けた施錠爪131と、この施錠爪131の回転を規制するためにハウジング127にピン132で回転可能に取付けたストッパ部材133と、これらの施錠爪131及びストッパ部材133のそれぞれに渡した引張コイルばね134とからなる。
ハウジング127は、施錠爪131の時計回りの回転を規制するストッパ片136を設けた部材である。
【0033】
施錠爪131は、シートフック53に係合する上爪138と、この上爪138から離して配置した下爪141と、ハウジング127のストッパ片136に先端を当てるようにしたL字アーム142と、引張コイルばね134の一端を取付けるスプリング取付アーム143とを備える。
【0034】
ストッパ部材133は、先端を施錠爪131の段部145に当てることで施錠爪131の回転を止める側方突出部146と、引張コイルばね134の他端を取付けるとともにワイヤ147の先端を取付けた下部アーム148とからなる。
ワイヤ147は、タンデムシートの施錠を解除するためのシリンダ錠(不図示)に連結したものである。
【0035】
以上に述べたシートキャッチ52の作用を次に説明する。
(a)において、タンデムシートが閉じ、施錠爪131の上爪138にシートフック53が係合した状態で、まず、ワイヤ147に連結したシリンダ錠をキーで回し、(b)に示したように、ワイヤ147を矢印▲1▼に示すように引く。
【0036】
この結果、ストッパ部材133は、ピン132を中心に矢印▲2▼のように回転し、ストッパ部材133の側方突出部146が施錠爪131の段部145から外れる。従って、施錠爪131は回転を拘束するものがなくなり、引張コイルばね134の弾性力によって矢印▲3▼のように回転し、上爪138がシートフック53から外れて上爪138とシートフック53との係合が解除される。
【0037】
タンデムシートはシートヒンジによって開く方向に力を与えたものであるから、上爪138とシートフック53との係合が解除されると、タンデムシートが少し開く(ポップアップ)のに伴って、シートフック53は矢印▲4▼のように上昇する。
【0038】
また、タンデムシートを閉じる場合には、まず、(b)において、タンデムシートを押し下げてシートフック53を矢印▲4▼とは反対の向きに下降させると、シートフック53は施錠爪131の下爪141に当たり下爪141を押し下げる。この結果、施錠爪131は矢印▲3▼とは反対の向きに回転し、引張コイルばね134の弾性力で矢印▲2▼とは反対の向きに回転力を与えたストッパ部材133の側方突出部146の先端が、(a)に示したように、施錠爪131の段部145に掛かる。従って、施錠爪131の時計回りの回転が規制されるため、施錠爪131とシートフック53とは係合状態を維持する。
【0039】
図11(a),(b)は本発明に係るシートヒンジのヒンジカバーを説明する断面図であり、(a)はラゲッジボックス、シートヒンジ、タンデムシート、車体カバー及びヒンジカバーの断面図、(b)は(a)のb−b線断面図である。(a)ではシートヒンジ51にヒンジカバー153を取付け、このヒンジカバー153でシートヒンジ51の側方、詳しくは車体カバー46に設けた切欠き部154を覆ったことを示す。なお、156,157はヒンジブラケット74にラゲッジボックス22の底を取付けるボルト及びナット、158,161はリヤフレーム12Aに設けたブラケット162にラゲッジボックス22の底を取付けるボルト及びナット、163,164はヒンジブラケット74にシートヒンジ51を取付けるボルト及びナット、166はラゲッジボックス22とタンデムシート23との隙間を塞ぐシールラバーである。
【0040】
切欠き部154は、タンデムシート23を開けるときに、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78が車体側方へ大きく揺動するのを許容するために設けたものであり、シートヒンジ51のヒンジ軸77をラゲッジボックス22の開口部168よりも外側で下方に設けたこと、及びシートヒンジ51の側方の車体カバー46に切欠き部154を設けたことにより、タンデムシート23を大きく開けることができ、ラゲッジボックス22に対する物の出し入れを楽に行うことができる。また、開口部168の全面をラゲッジボックス22として利用することができ、幅広の物や、より多くの物を同時に収納可能となる。
【0041】
(b)では、ラゲッジボックス22のフランジ部83に切欠き部81,82を設け、これらの切欠き部81,82にそれぞれスポンジラバー169を取付け、タンデムシート23を閉じたときに、切欠き部81,82にスポンジラバー169を介してシートヒンジ51のJフレーム91,91を当てたことを示す。
【0042】
図12(a),(b)は本発明に係る車体カバーの切欠き部を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
(a)において、車体カバー46の切欠き部154は、縁の全体に段部154aを設けた部分であり、特に、段部153aのうち、前側段部153c及び後側段部153dにヒンジカバー153(図11(a)参照)の内面を当てる。
【0043】
(b)において、前部段部154c及び後部段部154dは、それぞれをV字断面として中央を窪ませた部分であり、これらの前部段部154c及び後部段部154dに、詳しくは、車体カバー46の内面から突出させた上部突出部172,172(図14にて詳述する。)及び下部突出部173,173(不図示。図14にて詳述する。)を当てることで、ヒンジカバー153のセンタリングを行う。なお、前部段部154c及び後部段部154dの断面形状としては、V字状に限らず、U字状としてもよい。
【0044】
このように、切欠き部154の縁に前部段部154c及び後部段部154dを設けたことで、ヒンジカバー153の車体前後方向のセンタリングを行うことができ、ヒンジカバー153を車体カバー46に合わせるときの位置決め精度を向上させることができる。
【0045】
以上に述べたシートヒンジ51及びヒンジカバー153の作用を次に説明する。
図13(a)〜(c)は本発明に係るヒンジカバーの開動作を説明する作用図であり、(a)はヒンジカバー153が閉じた状態を示す断面図、(b)はヒンジカバー153がわずかに開いた状態を示す断面図、(c)はヒンジカバー153が大きく開いた状態を示す断面図である。
(a)において、ヒンジカバー153は、シート側ヒンジ78のステー84にほぼU字形とした弾性材としてのU字ばね171を介して取付けた部材であり、内面上部に設けた一対の上部突出部172,172(一方の上部突出部172のみ図示)と、内面下部に設けた一対の下部突出部173,173(一方の下部突出部173のみ図示)と、U字ばね171を取付けるために上部突出部172,172と下部突出部173,173との間から側方に延ばした側方延出部174とを備える。なお、176,177はU字ばね171をステー84に取付けるビス及びナット、dはヒンジカバー153と車体カバー46との隙間である。
【0046】
(a)では、ヒンジカバー153の上部突出部172,172及び下部突出部173,173は、車体カバー46の切欠き部154の縁に当たった状態にある。このとき、U字ばね171は、U字の2つの端部を開いて撓ませた状態にあり、この撓みにより発生する弾性力で切欠き部154の縁にヒンジカバー153を押付ける。
【0047】
(b)において、ヒンジカバー153と車体カバー46との隙間d((a)参照)は上部より下部の方が大きく設定されているので、タンデムシート23を開き始めて、シートヒンジ51のシート側ヒンジ78が想像線の位置から実線の位置へ矢印のようにわずかに揺動すると、U字ばね171の撓みが小さくなり、弾性力が小さくなって、ヒンジカバー153の上部突出部172,172は切欠き部154の縁に押付けられたまま、切欠き部154の縁と上部突出部172,172との接触部を中心にしてヒンジカバー153の下部が矢印のようにわずかに開き、下部突出部173,173は切欠き部154の縁から離れる。
【0048】
(c)において、シート側ヒンジ78が更に揺動すると、U字ばね171の撓みはほとんどなくなり、ヒンジカバー153はシート側ヒンジ78とともに揺動するため、上部突出部172,172及び下部突出部173,173は、共に切欠き部154の縁から離れる。
【0049】
このように、ヒンジカバー153と車体カバー46との隙間は上部より下部の方が大きく設定され、ヒンジカバー153を切欠き部154の縁から下部突出部173,173側を先に離れるようにしたことで、車体カバー46とヒンジカバー153のそれぞれの表面を連続させるために車体カバー46に設けたカバー段部181に、ヒンジカバー153の下部が干渉することなしにヒンジカバー153を移動させることができる。
【0050】
図14は本発明に係るラゲッジボックスの斜視図であり、ラゲッジボックス22のフランジ部83の前部に凹部184を一体成形したことを示す。
凹部184は後述するタンデムシート側の凸部と係合してタンデムシートの無理な開閉を防止する部分である。
【0051】
図15は本発明に係るタンデムシートの底面を示す底面図であり、タンデムシート23の底板54の前部に、車幅方向内方に突出する凸部186を一体成形したことを示す。なお、187,188はシートヒンジ51を取付けるためにシートヒンジ51の取付端部98,98(図6参照)を当てるシート側取付部、191はシートヒンジ51を取付けるためにシートヒンジ51のシート取付片93(図6参照)を当てるシート側取付部、193…(…は複数個を示す。以下同じ。)は取付穴、194はシートフック53を取付けるフック取付部、196,196は取付穴である。
【0052】
図16(a),(b)は本発明に係るラゲッジボックスとタンデムシートとの係合を説明する断面図であり、(a)は係合状態を示す断面図、(b)はタンデムシートを閉じるときの作用を示す断面図である。
(a)において、ラゲッジボックス22の凹部184はタンデムシート23の凸部186を受ける傾斜面184Aを備える。
タンデムシート23の凸部186は、ラゲッジボックス22の傾斜面184Aの下にもぐり込む円弧状の係合面186Aを備える。
【0053】
図中の200は上記の係合面186Aの円弧の中心であって係合面186Aの回転中心でもある回転中心点である。この回転中心点200は、ラゲッジボックス22の凹部184とタンデムシート23の凸部186との係合部分を係合部201とすると、この係合部201を通る紙面に平行な平面に図8(a),(b)に示したヒンジ軸77の延長線116が交わる点である。
【0054】
図8(a),(b)に示したように、本発明では、シートヒンジ51のヒンジ軸77を側面視で前下がりにするとともに、平面視でヒンジ軸77の前部が後部よりも車体内方に位置するように傾斜させたことで、図16(a)において、回転中心点200を係合部201に対して下方に配置するようにした。
以上に述べたラゲッジボックス22の凹部184とタンデムシート23の凸部186との係合の作用を次に説明する。
【0055】
(b)において、タンデムシート23を開けた状態から、次第に閉じていくと、タンデムシート23は回転中心点200を中心にして回転し、これに伴って凸部186の係合面186Aがラゲッジボックス22の凹部184の傾斜面184Aにもぐり込んで、(a)に示したように、凹部184に凸部186が係合する。この状態で、例えば、タンデムシート23の前部を無理に開こうとしても、係合部201によって阻止することができる。
【0056】
(a)に戻って、例えば、凸部186の回転中心点を200Aとして、係合部201の直下に配置すれば、タンデムシート23の前部を無理に開こうとして上方に力を作用させたときに回転中心点200Aの回りにタンデムシート23を回転させるモーメントが発生しない。回転中心点200は、上記の回転中心点200Aにより近づけた点であるから、タンデムシート23を回転させるモーメントをより小さくすることができ、係合部201で凹部184に凸部186を強固に係合することができる。
【0057】
図中の200Bはヒンジ軸を前下がりにせず、ヒンジ軸の前部が後部よりも車体内方に位置するように傾斜させずに、正面視でラゲッジボックス22の開口部168の側方に配置した回転中心点を示す。
【0058】
この回転中心点200Bを中心にしてタンデムシート23を閉じても、タンデムシート23側に設けた凸部はほぼ上下方向に移動するだけで、ラゲッジボックス側に設けた凹部内に係合させることはできない。
【0059】
図14では、ラゲッジボックス22のフランジ部83の前部に凹部184を成形したが、これに限らず、ラゲッジボックス22の側部のフランジ部83に凹部を設け、タンデムシート23側に設けた凸部と係合させるようにしてもよい。また、タンデムシート23側に凹部を設け、ラゲッジボックス22側に凸部を設けてもよい。
【0060】
以上の図8、図14、図15及び図16で説明したように、本発明は第1に、タンデムシート23の下方にラゲッジボックス22を設け、タンデムシート23の左右側方に設けたシートヒンジ51を介してタンデムシート23を開閉自在とした自動二輪車10のシート開閉構造において、ヒンジ軸77を側面視前下がりにするとともに上面視その前部が車体内方に向かって近接するように傾斜させ、タンデムシート23を閉じた状態で、タンデムシート23の底板54の前部に設けた凸部186がラゲッジボックス22の前部に設けた凹部184と係合するようにしたことを特徴とする。
【0061】
ラゲッジボックス22とタンデムシート23との係合を、凹部184と凸部186とでも行えるため、シートキャッチ1個を省くことができ、盗難防止機能を維持しつつコストを低減することができる。
【0062】
また、凹部184はラゲッジボックス22に一体成形したものであり、凸部186はタンデムシート23の底板54に一体成形したものであるから、凹部184及び凸部186の形成に要するコストを、シートキャッチ1個に要するコストに比べて大幅に低減することができる。
【0063】
本発明は第2に、ヒンジ軸77を係合部201の下方近傍を通るようにしたことを特徴とする。
ヒンジ軸77を係合部201の下方近傍を通るようにしたことで、タンデムシート23を閉じて凹部184と凸部186とを係合させた状態では、タンデムシート23を無理に開けようとしてタンデムシート23の前部に上向きの力を作用させても、タンデムシート23がヒンジ軸77の延長線116上にある回転中心点200を中心にして回転しにくいため、タンデムシート23が開けにくく、盗難防止効果をより高めることができる。
【0064】
本発明は第3に、凹部184をラゲッジボックス22の上部開口に設けたフランジ部83に形成したことを特徴とする。
凹部184をラゲッジボックス22のフランジ部83に形成するため、凹部を特別に形成するのに比べて、凹部184の形成のためのラゲッジボックス22の形状変更を小さくすることができ、コストを抑えることができる。
【0065】
また、フランジ部83は、ラゲッジボックス22の上部縁部の剛性を高める部分であるから、この剛性の高いフランジ部83に凹部184を設けることで、凹部184に凸部186を介して外力が作用した場合に、凹部184の変形を抑えることができる。従って、タンデムシート23をより一層開けにくくすることができる。
【0066】
図17は本発明に係るラゲッジボックス内の仕切りを説明する斜視図であり、ラゲッジボックス22内に差し替え位置が変更できる1枚の仕切り板211を設けたことを示す。なお、ラゲッジボックス22内に敷くカーペット(後で詳述する。)は省いた。
【0067】
仕切り板211は、ラゲッジボックス22内の前部に設けた前部仕切り板挿入部212と、ラゲッジボックス22内の中間部に設けた中間部仕切り板挿入部213とに差し替え可能である。なお、ラゲッジボックス22内を仕切らないときは、仕切り板211をラゲッジボックス22の背面214に沿わせておく。
【0068】
図18は本発明に係るラゲッジボックスの断面図であり、ラゲッジボックス22内に、ラゲッジボックス22の内部形状に沿うトレー状のカーペット221を敷き、且つ中間部仕切り板挿入部213でラゲッジボックス22内を仕切ったことを示す。
カーペット221は、収納物に傷が付かないように保護するものである。
【0069】
ラゲッジボックス22内を仕切らないときの仕切り板211は、ラゲッジボックス22の背面214とカーペット221の後壁222との間に挿入しておく。なお、224はラゲッジボックス22の前部底面、226はラゲッジボックス22の中間部及び後部の底面である中後部底面である。カーペット221の形状については詳細を後述する。
【0070】
図19は本発明に係るラゲッジボックスの前部及び中間部の平面図(図中の矢印(left)は車体左方、矢印(right)は車体右方を表す。以下同じ。)であり、仕切り板211(図18参照)を差し込むために、ラゲッジボックス22の前部底面224及び左右の側壁228,231の前部に挿入部233,234を形成し、中後部底面226に挿入溝236及び挿入部237を形成し、側壁228,231の中間部にそれぞれ挿入溝238,241を形成したことを示す。即ち、挿入部233,234は前部仕切り板挿入部212を構成する部分であり、挿入溝236、挿入部237及び挿入溝238,241は中間部仕切り板挿入部213を構成する部分である。
【0071】
図20(a),(b)は本発明に係る仕切り板挿入部を説明する断面図であり、(a)は図18のA−A線断面図、(b)は図18のB−B線断面図である。(a)は、前部底面224と側壁228とにL字状のL字壁245,245(一方のL字壁245のみ図示)を前後に並べて形成し、前部底面224と側壁231とにL字壁246,246(一方のL字壁246のみ図示)を前後に並べて形成し、L字壁245,245間及びL字壁246,246間をそれぞれ仕切り壁211(図18参照)を挿入する挿入溝247,248とした前部仕切り板挿入部212を示す。
【0072】
(b)は、中後部底面226の左端に挿入溝236を形成し、中後部底面226の右端に横長でほぼ矩形とした矩形壁251,251(一方の矩形壁251のみ図示)を前後に並べて形成して矩形壁251,251間を仕切り壁211(図18参照)を挿入する挿入溝252とし、側壁228の傾斜部分に挿入溝238を形成し、側壁231の傾斜部分に挿入溝241を形成した中間部仕切り板挿入部213を示す。
【0073】
図21(a),(b)は本発明に係る仕切り板挿入部に差し込んだ仕切り板を示す断面図であり、(a)は前部仕切り板挿入部の断面図(図20(a)に対応する。)、(b)は中間部仕切り板挿入部の断面図(図20(b)に対応する。)である。
(a)において、仕切り板211は、ほぼ四角形状とした部材であり、ほぼ直線状で幅をW1とした第1辺255と、この第1辺255に対向する辺であって第1辺255の幅W1よりも幅W2を狭くした第2辺256と、これらの第1辺255及び第2辺256のそれぞれの端部を繋ぐ第3辺257及び第4辺258とを備え、第3辺257に傾斜部261を有し、第4辺258に傾斜部262を有する。
前部仕切り板挿入部212では、挿入溝247,248に、仕切り板211の第1辺255と、第3辺257の端部及び第4辺258の端部とを差し込む。
【0074】
(b)において、中間部仕切り板挿入部213では、挿入溝236及び挿入溝252に、仕切り壁211の第2辺256を差し込むとともに、挿入溝238に第3辺257の傾斜部261を差し込み、挿入溝241に第4辺258の傾斜部262を差し込む。
【0075】
以上の(a),(b)に示したように、本発明では、仕切板211の第1辺255の形状を前部仕切り板挿入部212のある前部底面224の形状に沿わせるとともに、第1辺255の幅W1を前部仕切り板挿入部212のある側壁228と側壁231との間隔にほぼ合わせ、仕切り板211の第2辺256の形状を中間部仕切り板挿入部213のある中後部底面226の形状に沿わせるとともに、第2辺256の幅W2を中間部仕切り板挿入部213のある側壁228と側壁231との間隔にほぼ合わせた。
【0076】
図22(a),(b)は本発明に係るカーペットの斜視図であり、(a)は折り畳む前の状態を示す斜視図、(b)は折り畳んだ状態を示す斜視図である。
(a)において、カーペット221は、底部265と、この底部265から立ち上げた側壁266,267及び前述の後壁222とからなり、側壁266,267及び底部265に、折り畳みを容易にするスリット271,272を設けたものである。
【0077】
スリット271,272は、図21(a)に示したL字壁245,245及びL字壁246,246を外部に露出させる部分でもある。なお、274,276は挿入溝236,238をそれぞれ外部に露出させるために側壁266に設けた開口部である。挿入溝252,241を外部に露出させる開口部も側壁267に設けるが図示しない。
【0078】
(b)において、カーペット221のスリット271,272から前側のカーペット前部277を折り畳んだ状態を示す。このように、カーペット221を折り畳み可能に形成したことで、汚れ物等と他の物とを分けて収納するときの使い勝手を向上させることができる。
【0079】
図23(a),(b)は本発明に係るラゲッジボックスの使用例を示す作用図であり、(a)は仕切り板を使用しない状態を示す作用図、(b)は前部仕切り板挿入部に仕切り板を差し込んだ状態を示す作用図である。
(a)において、ラゲッジボックス22内に、例えば、大型の鞄281及び中型のヘルメット282等の大きな物を収納する場合には、仕切り板211を使用しない。
【0080】
(b)において、ラゲッジボックス22内に、例えば、グローブ283等の小物と、比較的大きな鞄284、大型のヘルメット286を収納する場合には、前部仕切り板挿入部212に仕切り板211を差し込み、仕切り板211の前方の空間S1にグローブ283を収納し、仕切り板211の後方の比較的大きな空間S2に鞄284及びヘルメット286を収納する。
【0081】
図24(a),(b)は本発明に係るラゲッジボックスの他の使用例を示す作用図であり、(a)は中間部仕切り板挿入部に仕切り板を差し込んだ状態を示す作用図、(b)はカーペットの前部を折り畳むとともに、前部仕切り板挿入部に仕切り板を差し込んだ状態を示す作用図である。
(a)において、ラゲッジボックス22内に、比較的大きな物、例えば、中型のヘルメット282と大型のヘルメット286とを分けて収納する場合には、中間部仕切り板挿入部213に仕切り板211を差し込み、仕切り板211の前方の空間S3にヘルメット282を収納し、仕切り板211の後方の空間S4(仕切り板211の前方の空間S3よりも大きい)にヘルメット286を収納する。
【0082】
(b)において、ラゲッジボックス22内に、汚れた物、例えば、チェーン又はワイヤからなる車輪ロック装置287等を収納する場合には、カーペット221のカーペット前部277を折り畳んで前部仕切り板挿入部212に仕切り板211を差し込み、仕切り板211の前方の空間S1に車輪ロック装置287を収納する。
【0083】
このように、カーペット221を折り畳んで仕切り板211の前方の空間に汚れ物を収納すれば、この収納部分のラゲッジボックス22の壁面が汚れても容易に汚れを落とすことができ、また、カーペット221が汚れずに済むので都合がよい。
【0084】
尚、本発明の実施の形態では、図16(a)に示したように、凸部186に円弧状の係合面186Aを設けたが、凸部186の形状はこれに限らず、要は凹部184内に係合できる形状であればよい。
【0085】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の自動二輪車のシート開閉構造は、ヒンジ軸を、その延長線が側面視で前下がりにするとともに上面視で延長線の前部が後部よりも車体内方に位置するように傾斜させ、シートヒンジよりも前方で、シート底板前部に凸部を設け、物品収納箱前部に凹部を設け、ヒンジ軸の延長線を凹部に対して下方に配置することで、シートを閉じた状態で、凸部が凹部に左右方向から係合するようにしたので、物品収納箱とシートとの係合を、凹部と凸部とでも行えるため、シートキャッチ1個を省くことができ、盗難防止機能を維持しつつコストを低減することができる。
また、ヒンジ軸の延長線を凹部の下方を通るようにしたので、シートを閉じて凹部と凸部とを係合させた状態では、シートを無理に開けようとしてシートの前部に上向きの力を作用させても、シートがヒンジ軸を中心にして回転しにくいため、シートが開けにくく、盗難防止効果をより高めることができる。
【0086】
請求項2の自動二輪車のシート開閉構造は、凹部に、下方に臨む傾斜面を備え、凸部に、傾斜面の下にもぐり込む円弧状の係合面を備え、この係合面の円弧の中心を、延長線上に位置させたので、凹部に凸部が係合した状態で、シートの前部を無理に開こうとしても、凹部と凸部との係合部によって阻止することができる。
【0087】
請求項3の自動二輪車のシート開閉構造は、凹部を物品収納箱上部開口フランジ部に形成したので、凹部を特別に形成するのに比べて、凹部形成のための物品収納箱の形状変更を小さくすることができ、コストを抑えることができる。
【0088】
また、フランジ部は、物品収納箱の上部縁部の剛性を高める部分であるから、この剛性の高いフランジ部に凹部を設けることで、凹部に凸部を介して外力が作用した場合に、凹部の変形を抑えることができ、シートをより一層開けにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車の後部を示す要部側面図
【図3】本発明に係る自動二輪車の正面図
【図4】本発明に係る自動二輪車の平面図
【図5】本発明に係るシートヒンジの取付け状態を示す斜視図
【図6】本発明に係るシートヒンジの斜視図
【図7】本発明に係るシートヒンジの要部を示す要部斜視図
【図8】本発明に係るシートヒンジのヒンジ軸の傾きを示す説明図
【図9】本発明に係るシートキャッチの取付状態を示す斜視図
【図10】本発明に係るシートキャッチの説明図
【図11】本発明に係るシートヒンジのヒンジカバーを説明する断面図
【図12】本発明に係る車体カバーの切欠き部を示す説明図
【図13】本発明に係るヒンジカバーの開動作を説明する作用図
【図14】本発明に係るラゲッジボックスの斜視図
【図15】本発明に係るタンデムシートの底面を示す底面図
【図16】本発明に係るラゲッジボックスとタンデムシートとの係合を説明する断面図
【図17】本発明に係るラゲッジボックス内の仕切りを説明する斜視図
【図18】本発明に係るラゲッジボックスの断面図
【図19】本発明に係るラゲッジボックスの前部及び中間部の平面図
【図20】本発明に係る仕切り板挿入部を説明する断面図
【図21】本発明に係る仕切り板挿入部に差し込んだ仕切り板を示す断面図
【図22】本発明に係るカーペットの斜視図
【図23】本発明に係るラゲッジボックスの使用例を示す作用図
【図24】本発明に係るラゲッジボックスの他の使用例を示す作用図
【図25】従来のシート開閉構造を示す斜視図
【符号の説明】
10…自動二輪車、22…物品収納箱(ラゲッジボックス)、23…シート(タンデムシート)、51…シートヒンジ、54…底板、77…ヒンジ軸、83…フランジ部、116…ヒンジ軸の延長線、184…凹部、184A…傾斜面、186…凸部、186A…係合面、201…係合部。
Claims (3)
- シート下方に物品収納箱を設け、シートの左右側方に設けたシートヒンジのヒンジ軸を介してシートを開閉自在とした自動二輪車のシート開閉構造において、
前記ヒンジ軸は、その延長線が側面視で前下がりにするとともに上面視で延長線の前部を後部よりも車体内方に位置するように傾斜させ、
前記シートヒンジよりも前方で、シート底板前部に凸部を設け、物品収納箱前部に凹部を設け、
前記ヒンジ軸の延長線を前記凹部に対して下方に配置することで、シートを閉じた状態で、前記凸部が前記凹部に左右方向から係合するようにしたことを特徴とする自動二輪車のシート開閉構造。 - 前記凹部は、下方に臨む傾斜面を備え、前記凸部は、前記傾斜面の下にもぐり込む円弧状の係合面を備え、この係合面の円弧の中心は、前記延長線上に位置することを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のシート開閉構造。
- 前記凹部は、物品収納箱上部開口フランジ部に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のシート開閉構造。
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