JP5890239B2 - 鞍乗り型車両のシート構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、シートの排水性向上を図った鞍乗り型車両のシート構造を提供することを目的としている。
この構成によれば、排水路により、雨水が車幅方向両端側まで導かれ、排水性を向上させることができる。また、排水路の一方の側壁を膨出部により形成することで、排水路の形状を複雑化することなく生産性の向上及び軽量化を図ることができる。
また、上記構成において、前記バックレスト部(10C)は、車幅方向両側端部まで延出して形成されるとともに、前記シート本体部(10D)より車幅方向外側に前記バックレスト部(10C)の側縁部(10t,10t)が設けられるようにしても良い。この構成によれば、排水路の上方をバックレスト部で覆って外観性を向上させながら、バックレスト部の側縁部で同乗者の足当たり性を確保し、シートとしての機能を向上させることができる。
また、上記構成において、前記バックレスト部(10C)は、その前縁部の左右両側に前方に延出する左右一対の延出部(10n,10n)が形成され、前記シート表皮(19)を押えるように前記バックレスト部(10C)に形成されたシート押え部(21c)が、前記延出部(10n,10n)の前縁(10s)に沿う形状を含むように形成されていても良い。この構成によれば、シート押え部が、延出部の前縁に沿う形状を含むように形成されるため、シート表皮を均一に押えることができる。
また、上記構成において、前記膨出部(17p)は、側面視で前記タンデムシート(10B)の前部の上面より高く、前記バックレスト部(10C)は、車両前後方向で前記メインシート(10A)の後端よりも前方から前記タンデムシート(10B)の前端よりも後方まで延びるようにしても良い。
また、上記構成において、前記バックレスト部(10C)は、底板(21)が設けられ、前記底板(21)は、前記膨出部(17p)の上面に沿って略球面状に上方に膨出するように形成されるとともに前記膨出部(17p)の上方に近接配置された底板膨出部(21a)を備えるようにしても良い。
また、バックレスト部は、車幅方向両側端部まで延出して形成されるとともに、シート本体部より車幅方向外側にバックレスト部の側縁部が設けられるので、排水路の上方をバックレスト部で覆って外観性を向上させながら、バックレスト部の側縁部で同乗者の足当たり性を確保し、シートとしての機能を向上させることができる。
また、膨出部にバックレスト部をシート本体部に固定する固定部が形成されているので、固定部を膨出部に形成することで、固定部が大型化することなく軽量化を図ることができる。
また、バックレスト部は、その前縁部の左右両側に前方に延出する左右一対の延出部が形成され、シート表皮を押えるようにバックレスト部に形成されたシート押え部が、延出部の前縁に沿う形状を含むように形成されているので、シート表皮を均一に押えることができる。
図1は、本発明の一実施形態を適用した自動二輪車1を示す左側面図である。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、シート10に着座した乗員が足を載せる低床のステップフロア68を有するスクータ型車両であり、車体フレーム(不図示)の前方に前輪2を有し、駆動輪である後輪3は、車両後部に配置されるユニットスイングエンジンU(ユニットスイングパワーユニット)に軸支されている。車体フレームは、樹脂製の車体カバーCによって覆われている。
前輪2を操向する操舵系は、車体フレームの前端部を構成するヘッドパイプに回動自在に軸支されるステアリングシャフトと、このステアリングシャフトの上部に連結されるハンドル25とを有している。上記ステアリングシャフトの下端は、左右一対のフロントフォーク26,26(手前側の符号26のみ図示)に連結されており、前輪2は、フロントフォーク26,26の下端に設けられた車軸2Aで軸支され、ハンドル25による操作によって操向される。
エンジンEは、水冷式の4サイクル単気筒エンジンであり、シリンダ軸線が略水平に前方へ延びるように配置されている。エンジンEは、ユニットスイングエンジンUの前部に配置されるクランクケース30の前面に、シリンダ及びシリンダヘッドを結合して構成されている。なお、符号37はシリンダヘッドの下面の排気ポートに接続された排気管であり、エンジンEの下方を通って後方に延び、後述するアーム部の外側面に固定されたマフラーに接続される。
エアクリーナボックス35は、シリンダヘッドの上面の吸気ポートに接続されたスロットルボディに、不図示のコネクティングチューブを介して接続されている。
シート10は、その下方に配置された収納ボックスの上面に全長に亘って設けられた開口を開閉自在に塞いでおり、運転者が着座するメインシートとしての前部シート10Aと、前部シート10Aよりも一段高く形成されて同乗者が着座するタンデムシートとしての後部シート10Bと、これらの前部シート10A及び後部シート10Bとは別体に前部シート10A及び後部シート10Bの間の上方に設けられたバックレスト部10Cとを有している。前部シート10A及び後部シート10Bは一体に設けられてシート本体部10Dを構成している。バックレスト部10Cは、運転者の腰部の後部及び両側部を支持する。
収納ボックスの後方において車体フレームを構成する左右一対のシートレールの後部には、グラブレール48が固定されている。
左右のステップカバー55,55の底部には、前部シート10Aに着座した運転者が足を載せるステップフロア68がそれぞれ形成されている。
フロントフォーク26,26には、前輪2を上方から覆うフロントフェンダー65が設けられている。ボディサイドカバー59,59の下方には、後輪3を上方から覆うリヤフェンダー66が設けられている。
後部シート10Bの同乗者が足を載せる可倒式の左右一対のタンデムステップ67,67(手前側の符号67のみ図示)は、車体フレームにステーを介して支持されている。
ウインドスクリーン61の後方には、ハンドル25の前方に設けられたメータを前方から覆ってメータの視認性を高めるメータバイザ204(フロントカバー50を構成する部品である。)が設けられている。なお、符号205はリヤコンビネーションランプである。
収納ボックス44は、車体フレームを構成する左右のシートレール間に配置され、燃料タンク40の後部の近傍から伝動ケースMの上方まで、シートレールに沿って後上がりに延在し、燃料タンク40の近傍に配置される前部収納部44Aと、ユニットスイングエンジンUの上方、詳しくは伝動ケースMの上方に配置される後部収納部44Bと、これらの前部収納部44A及び後部収納部44Bのそれぞれの間に配置された中間収納部44Cとが、樹脂成形によって一体に形成されている。
収納ボックス44の上面は、その全長に亘って開口しており、この開口は、乗員用のシート10によって開閉自在に塞がれている。つまり、収納ボックス44は、シート10の下方に上方が開口する有底箱状に形成され、シート10によって開閉自在に構成されている。
後部収納部44Bは、単一のヘルメットHL2を収容可能なヘルメット収納部であるとともに、このヘルメット収納部に仕切り板662を介して設けられた上方に開口する比較的浅い底の上方開口収納部661を有し、この上方開口収納部661がバッグ等の比較的小物を収納するのに適した小物専用スペースとされている。
中間収納部44Cは、前部シート10Aの下方に配置された浅底の収納空間である。
シート10は、前後に延びるシート本体部10Dと、このシート本体部10Dの前後方向中間部の上部に取付けられたバックレスト部10Cとからなる。
シート本体部10Dを構成する前部シート10Aは、前部座面10eと、この前部座面10eの左右に形成された前部側面10f,10f(手前側の符号10fのみ図示)とを有する。
シート本体部10Dを構成する後部シート10Bは、後部座面10hと、この後部座面10hの左右側縁及び後縁から下方に延びる後部側面10jとを有する。
バックレスト部10Cは、前部シート10Aに着座した運転者の後方に位置する中央部10mと、この中央部10mの左右両端から前方に延びる延出部10n,10nとからなり、中央部10mの前面10pが運転者の腰部の後部を支持し、延出部10n,10nの内面10q,10q(奥側の符号10qのみ図示)が運転者の腰部の両側部を支持する。
前部シート10Aの前部座面10eに対して後部シート10Bの後部座面10hは高い位置に形成され、これらの前部シート10Aと後部シート10Bとの間にバックレスト部10Cが設けられている。バックレスト部10Cの延出部10n,10n(手前側の符号10nのみ図示)は中央部10mから前方斜め下方に延びている。なお、符号210は車体フレーム側に設けられたシート施錠機構に係合されるようにシート10における樹脂製の底板17の後部下面に取付けられたストライカである。
バックレスト部10Cは、その前縁10sが後方に凸となるように略円弧状に湾曲し、後縁10uが後方に凸に湾曲する略円弧形状の曲線と、この曲線の両端から前方に広がるように延びる左右の略直線とから形成され、バックレスト部10Cの車幅方向の端部である左右の側縁部10t,10tは、シート本体部10Dよりも車幅方向外側に突出している。従って、これらの左右に突出した側縁部10t,10tを、後部シート10Bに着座した同乗者が足で挟んで体を容易に支えることができる。
図6及び図7に示すように、底板17は、前部シート10A(図5参照)を構成するとともにバックレスト部11C(図5参照)の一部の下方に位置する前部底板17aと、後部シート10B(図5参照)を構成する後部底板17bと、これらの前部底板17a及び後部底板17bのそれぞれを一体に接続する中間底板17cとからなる。
前部底板17aは、左右が前部に突出するとともに車幅方向の中央部ほど大きく隆起した前端部17eと、この前端部17eから連続して後方に延びる底壁部17fと、これらの前端部17e及び底壁部17fの車幅方向外側を前後に延びる左縁部17g及び右縁部17hとから形成され、底壁部17fの上面には格子状のリブ17jが形成され、左縁部17g及び右縁部17hにはバックレスト部10Cをビスで固定するための前部ボス部17kがそれぞれ形成されている。また、左縁部17g及び右縁部17hは、後部に車幅方向内側に窪んだ側部窪み部17d,17dが形成され、これらの側部窪み部17d,17dにバックレスト部10cの側縁部10t,10t(図5参照)が位置する。
中間底板17cは、前部底板17aの底壁部17fの後縁及び後部底板17bの基部17mの前縁から上方に略球状に膨出する膨出部17pと、この膨出部17pの前部の左右にバックレスト部10Cをビスで固定するために形成された後部ボス部17q,17qと、これらの後部ボス部17q,17qを車幅方向に連結する連結部17sとを備える。
後部ボス部17qは、ビスが通される2つのビス挿通穴17r,17rが形成されている。連結部17sは、車幅方向に延びる前壁部17t及び上壁部17vを備え、これらの前壁部17tと上壁部17vとの角部17uが車幅方向に直線状に延びている。
シート表面を構成するシート表皮を貼る際には、シート表皮を伸ばして皺のない滑らかな面にする必要がある。上記した角部17uは、シート表皮を当てることでシート表皮の張力を均一にすることが可能な部分である。
図8及び図9に示すように、底板21は、後縁が後方に凸に突出する底板本体部21Aと、この底板本体部21Aの左右両端部から前方に延びる底板延出部21B,21Bとからなる。
底板本体部21Aは、上方に膨出する底板膨出部21aと、この底板膨出部21aの前部及び両側部に一体に形成された平坦部21bと、この平坦部21bの両端部の前方に下方に突出するように形成されたシート押え部21cとを備える。
図6、図7、図8、図9において、底板21の底板膨出部21a、平坦部21b、隆起部21mは、それぞれ底板17の膨出部17p、後部ボス部17q、前部ボス部17kの上方に間隙を介して配置されている。
上記のビス228,232は、底板21を樹脂で成形する際にインサート成形される。
シート押え部21c,21cは、平坦部21bの両端部の前方に且つ平坦部21bに近接させて設けられているので、底板21の機能的な部分をコンパクトに配置することができる。また、シート押え部21c,21cは、剛性の高い平坦部21bの近傍に配置されるとともに左右の隆起部21m,21m間に配置されるため、ビス228,232が底板17側と締結された場合に、シート押え部21c,21cの上下方向の撓みが抑制され、シート押え部21c,21cからシート表皮19(図10参照)に確実に押し付け力を伝えることができる。
シート本体部10Dは、底板17と、この底板17の上面に貼り付けられたクッション材18と、このクッション材18に貼り付けられてクッション材18の表面を覆うとともに周縁が底板17の周縁に取付けられたシート表皮19とからなる。
底板17の前端部17eは、上方に凸に湾曲することで収納ボックス44(図2参照)の前部収納部44A(図2参照)の上部を形成し、底板17の膨出部17pは、上方に凸に湾曲することで収納ボックス44の後部収納部44B(図2参照)の上部を形成している。
クッション材18は、底板17の中間底板17cより前方に配置された前部クッション材18aと、中間底板17cより後方に配置された後部クッション材18bとを備える。
バックレスト部10Cは、底板21と、この底板21の上面に貼り付けられたクッション材22と、このクッション材22の表面を覆うとともに周縁が底板21の周縁に取付けられたバックレスト表皮23とからなる。
図11(A)に示すように、シート本体部10Dの底板17には、左右一対の後部ボス部17q,17q(一方の符号17qのみ図示)が形成され、また、バックレスト部10Cの底板21には、後部ボス部17q,17qに対向するように平坦部21bと、下方に突出するように形成された左右一対のシート押え部21c,21c(一方の符号21cのみ図示)とが形成され、バックレスト部10Cの平坦部21bに一体的に設けられた複数のビス228が後部ボス部17q,17qに通され、これらのビス228の先端にナット229がそれぞれねじ結合されるとともに、バックレスト部11Cに設けられた左右一対のシート押え部21c,21cでシート本体部10Dのシート表皮19が押さえ付けられ、シート表皮19の張力を均一にしている。
上記の図9(A),(B)に示したように、バックレスト部10Cは、ビス228及びナット229と、ビス232及びナット233とでシート本体部10Dに固定されている。
左右一対のシートレール14,14に収納ボックス44が取付けられ、この収納ボックス44の上部開口がシート10のシート本体部10Dで上方から塞がれ、このシート本体部10Dの上部にバックレスト部10Cが取付けられている。なお、符号231は収納ボックス44とシート本体部10Dとの間を密封するためにシート本体部10Dの底板17の周縁に取付けられたラバー製のシール部材である。
バックレスト部10Cは、中央部10mの下縁10wがほぼ直線状に車幅方向に延び、中央部10mの上縁10xが車幅方向の中央で最も高くなる山形に形成され、左右の延出部10n,10nが中央部10mの下縁10wよりも下方に延び、これらの延出部10n,10nの下部でシート本体部10Dの両側部を外側方から覆っている。
図13(A)に示すように、シート本体部10Dの底板17に設けられた左縁部17g及び右縁部17hにそれぞれ前部ボス部17kが形成され、一方、バックレスト部10Cの延出部10n,10nに位置する底板21にビス232,232が取付けられ、これらのビス232,232がシート本体部10Dの前部ボス部17k,17kに挿入されるとともにビス232,232の先端部にそれぞれナット233がねじ込まれることで、バックレスト部10Cの前部がシート本体部10Dに固定されている。
シート本体部10Dの底板17の左縁部17g及び右縁部17hは、断面がコ字形状になっているので剛性が高く、このような剛性の高い左縁部17g及び右縁部17hに前部ボス部17k,17kを設けることで、シート本体部10Dにバックレスト部10Cを強固に固定することができる。
シート押え部21cの底壁21kは、ほぼ水平に形成され、この底壁21kの下面がシート表皮19に当たっている。
シート10と収納ボックス44(図12参照)との間をシールするシール部材231よりも車幅方向内側にシート押え部21c,21cが形成されている。シール部材231が取付けられる底板17の左縁部17g及び右縁部17hに対してシート押え部21c,21cの下方に位置する底壁部17fは低くなっているので、シート押え部21c,21cによってシート表皮19を左縁部17g及び右縁部17hよりも下方に押し付けてシート表皮19の張力を容易に発生させることができる。
シート本体部10Dの底板17に設けられた膨出部17pの上方に、バックレスト部10Cの底板21の底板膨出部21aが配置され、底板膨出部21aに設けられた平坦部21bの前縁から下方に前壁21pが延びているので、平坦部21bと前壁21pとがほぼ直交するため、前壁21pで平坦部21bの全体を補強することができる。従って、複数のビス228を強固に支持することができるとともに、シート本体部10Dにバックレスト部10Cを取付けたときに、バックレスト部10Cの変形を抑制することができる。
図15(A)に示すように、底板21側の複数のビス228がそれぞれ底板17の左右一対の後部ボス部17q,17pに挿入され、ナット229でねじ結合されている。
図15(B)に示すように、バックレスト部10Cの後部縁部とシート本体部10Dとに間隙33が設けられ、この間隙33に排水路10vが設けられている。
シート本体部10Dの後部シート10Bにおける前縁に溝状の排水路10vが形成され、この排水路10vの上方にバックレスト部10Cの後縁10uが位置している。排水路10vは、クッション材18及び膨出部17pで形成された断面V字状の溝にシート表皮19を貼り付けることで形成された断面V字状の溝であり、膨出部17p側の側壁19aと、他方の側壁19bとから形成されている。
上記したように、排水路10vの上方がほとんどバックレスト部10Cの後縁10uで覆われているため、排水路10vがほとんど外部に露出せず、外観性を向上させることができる。
バックレスト部10Cの底板21は、その周縁部21qが、周縁部21q以外の部分よりシート本体部10Dから大きく離れている。更に、周縁部21qよりバックレスト部10Cの中央側にシート本体部10D側に突出する複数の凸部21rが形成されている。このような周縁部21q、凸部21rによって、周縁部21qにバックレスト表皮23をタッカー(Tacker)を使用して複数のコ字状の針(Staple)235で固定したときに、針235がシート本体部10Dのシート表皮19に接触するのを防止している。
図17は、シート本体部10Dの排水路10vの作用を示す作用図である。
シート10の後部シート10Bにおける後部座面10hに雨がかかると、後部座面10h上の水滴238は、矢印Aで示すように、排水路10vに流れ込み、矢印Bで示すように、排水路10vに沿って前方斜め外側方に流れ、矢印Cで示すように、排水路10vからシート10の側方下方へ流れ落ちる。この結果、雨水は前部シート10Aの前部座面10eには流れ込まないため、前部座面10e上に雨水が溜まりにくくなり、雨が上がった後に前部座面10eの乾きを早くすることができる。また、後部座面10hについても、排水路10vによる排水性の向上によって雨水が溜まりにくくなる。
また、図5に示したように、バックレスト部10Cは、車幅方向両側端部まで延出して形成されるとともに、シート本体部10Dより車幅方向外側にバックレスト部10Cの側縁部10t,10tが設けられるので、排水路10vの上方をバックレスト部10Cで覆って外観性を向上させながら、同乗者がバックレスト部10Cの側縁部10t,10tを両足で挟んで体を支えることができ、同乗者の足当たり性を確保して、シートとしての機能を向上させることができる。
また、図7及び図11に示したように、膨出部17pにバックレスト部10Cをシート本体部10Dに固定する固定部としての後部ボス部17qが形成されているので、元々高くなっている膨出部17pに後部ボス部17qを高く形成しなくて済み、後部ボス部17qを大型化することがなく、底板17の軽量化を図ることができる。
また、図5及び図9に示したように、バックレスト部10Cは、その前縁部の左右両側に前方に延出する左右一対の延出部10n,10nが形成され、シート表皮19を押えるようにバックレスト部10Cに形成されたシート押え部21cが、延出部10n,10nの前縁10sに沿う形状(即ち、前壁21hの形状)を含むように形成されているので、シート表皮19、例えば、前部シート10Aの前部座面10eを覆うシート表皮19を、前部座面10eの中心部に前壁21hを向かせながら押えることができるため、シート表皮を均一に押えることができる。
例えば、上記実施形態において、図5及び図17に示したように、平面視で排水路10vの一部を外部に露出するように設けたが、これに限らず、平面視で排水路10vの全体をバックレスト部10Cの後縁10uで覆って外部に露出しないようにしても良い。これにより、自動二輪車1の外観性を更に向上させることができる。
さらに、本発明は、自動二輪車1に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
10 シート
10A 前部シート(メインシート)
10B 後部シート(タンデムシート)
10C バックレスト部
10D シート本体部
10n 延出部
10R 段差部
10s 延出部の前縁
10t 側縁部
10u バックレスト部の後縁
10v 排水路
17p 膨出部
17q 後部ボス部(固定部)
17t 前壁部
19 シート表皮
21c シート押え部
33 間隙
44 収納ボックス(収納部)
44B 後部収納部(ヘルメット収納部)
Claims (8)
- 運転者が座るメインシート(10A)及びこのメインシート(10A)の後方に同乗者が座るタンデムシート(10B)を一体的に構成するシート本体部(10D)と、このシート本体部(10D)と別体でシート本体部(10D)の上面に設けられるとともに前記メインシート(10A)、前記タンデムシート(10B)間に配置されるバックレスト部(10C)とからなるシート(10)を有する鞍乗り型車両のシート構造において、
前記シート(10)の下方に収納部(44)が設けられるとともに、この収納部(44)に且つ前記バックレスト部(10C)の下方に、ヘルメット(HL2)が収納可能なヘルメット収納部(44B)が形成され、このヘルメット収納部(44B)の一部を形成する前記シート本体部(10D)の上部に、略半球状に上方に膨出する膨出部(17p)が形成され、
前記バックレスト部(10C)の後縁(10u)と前記シート本体部(10D)とに間隙(33)が形成され、
前記バックレスト部(10C)の下方且つ前記シート本体部(10D)の上面であって前記ヘルメット収納部(44B)の後方に断面V字状の排水路(10v)が形成され、
この排水路(10v)は、その一方の側壁が前記膨出部(17p)により形成され、前記シート本体部(10D)の車幅方向両端側まで形成されるとともに、前記シート本体部(10D)の中央部から車幅方向外側にいくに従って下方に形成され、前記間隙(33)から浸入した水が前記排水路(10v)を通じてシート車幅方向両端部から排出されることを特徴とする鞍乗り型車両のシート構造。 - 前記シート本体部(10D)は、一体のシート表皮(19)で覆われ、前記タンデムシート(10B)が前記メインシート(10A)より一段上方に形成されるように、前記タンデムシート(10B)、前記メインシート(10A)間に段差部(10R)を有し、この段差部(10R)に前記バックレスト部(10C)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記バックレスト部(10C)は、車幅方向両側端部まで延出して形成されるとともに、前記シート本体部(10D)より車幅方向外側に前記バックレスト部(10C)の側縁部(10t,10t)が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記膨出部(17p)に前記バックレスト部(10C)を前記シート本体部(10D)に固定する固定部(17q)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記固定部(17q,17q)は、左右一対設けられ、前記膨出部(17p)の前半部に形成されるとともに前記一対の固定部(17q,17q)を連結する略平面状の前壁部(17t)が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記バックレスト部(10C)は、その前縁部の左右両側に前方に延出する左右一対の延出部(10n,10n)が形成され、前記シート表皮(19)を押えるように前記バックレスト部(10C)に形成されたシート押え部(21c)が、前記延出部(10n,10n)の前縁(10s)に沿う形状を含むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記膨出部(17p)は、側面視で前記タンデムシート(10B)の前部の上面より高く、前記バックレスト部(10C)は、車両前後方向で前記メインシート(10A)の後端よりも前方から前記タンデムシート(10B)の前端よりも後方まで延びることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
- 前記バックレスト部(10C)は、底板(21)が設けられ、前記底板(21)は、前記膨出部(17p)の上面に沿って略球面状に上方に膨出するように形成されるとともに前記膨出部(17p)の上方に近接配置された底板膨出部(21a)を備えることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のシート構造。
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