JP6499678B2 - 車両のシート構造 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、カバーを伝う水が乗員に付着する事態を抑制することを目的とする。
また、前記複数のフランジ部は、前記カバー本体部に対し、前記フランジの幅よりも広い間隔を空けて取り付けられるので、各フランジ部の間からの水排出性を向上できる。
なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体の各方向と同一である。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号RHは車体右方を示す。
このシート10は、自動二輪車1の燃料タンク2とリアカウル3との間に配置され、乗員が着座する乗員用シートである。このシート10は、シートロック機構を介して車体に着脱自在に取り付けられる。なお、図1中、符号4は、シートロック機構のロック状態を解除するために車両キーが差し込まれて回転操作されるキーシリンダの露出箇所である。以下、シート10について詳述する。
シート10は、このシート10の底板を構成するシート底板11(図4)と、シート底板11の上に配置されるクッション12(図5〜図7)と、クッション12を上方から覆う表皮として機能するカバー13(図2〜図7)とを備えている。本実施形態では、シート底板11とクッション12との間にスペーサ20を介挿している。なお、自動二輪車1の仕様に応じて、スペーサ20が省略される場合や、スペーサ20、シート底板11及びクッション12の形状が変更される場合がある。
シート底板11は、硬質合成樹脂などの剛性を有する材料で一体に形成され、シートフレームとして機能する。シート底板11は、前方に行くほど幅狭となり、後方に行くほど幅広となる形状に形成されている。つまり、シート底板11は、シート10を平面視で見たときと同じ外形状に形成される。
また、シート底板11の後端部は、カバー13の前面に沿って前方に緩やかに凹んだ湾曲形状に形成される。これによって、シート底板11には、後部左右から後方に膨出する左右一対の後方突出部11Rが形成される。なお、図4に示すように、後方突出部11Rは、カバー13の後述する袋部14Eによって覆われる。
この構成によれば、使用者は、工具を用いてロック部材21Bを挿通方向に押し込むことで両部材(シート底板11及びカバー13)を固定し、ロック部材21Bをロック位置よりも奥に押し込むことで両部材の固定を解除する。従って、カバー13の着脱が容易である。なお、クリップの構造は、この構造に限定されず、公知のクリップを広く適用可能である。また、取付部材21はクリップに限定されず、カバー13をシート底板11に取り付け可能な部材を広く適用可能である。
クッション12は、熱可塑性エラストマーからなる樹脂製の繊維(連続線状体とも称する)12Aを曲がりくねらせてループを形成し、各ループの接触部分を融着などで接合し、三次元網状構造に構成したものである。
つまり、このクッション12は、熱可塑性エラストマー網状体で構成される。これにより、クッション性及び耐久性に優れ、且つ、通気性に優れたクッションが得られる。特に、ウレタン製の従来の車両用クッションと比べ、格段に通気性に優れたクッションが得られる。
なお、クッション12は、熱可塑性エラストマー網状体に限定されない。要は、クッション12に三次元網状構造を適用することで、所望のクッション性及び通気性などを得ることができる。
このように、クッション12及びカバー13が通気性を有するので、シート10自体の通気性、放熱性及び水排出性が得られる。しかも、クッション12及びカバー13を樹脂で形成するので、天然繊維を使用する場合と比べて、水に強い構造にすることができる。
また、メッシュ100は三層以外の多層構造にしてもよい。また、表層101又は裏層102を1枚のメッシュ生地に変更する等、各層101〜103の一部或いは全てを編地以外で構成してもよい。また、多層構造に限らず、公知のメッシュ素材を使用してもよい。
ここで、カバー13におけるフランジ部14を除く部分(カバー本体部15に相当)は、図7に示すように、シート底板11の側縁部11Sの位置までしか形成されておらず、シート底板11の下面は覆わない。
仮に、シート10内部の水が袋部13F内に浸入した場合は、袋部13Fの開口から排出される。袋部13Fの開口は、シート底板11の下方に開口するので、シート10下から排出され、乗員には付着しない。
帯部200は、メッシュ100よりも高強度なシート材で形成され、例えばPVCレザーなどの合成樹脂製のシート材で形成される。これによって、メッシュ100を有するカバー13の強度を帯部200によって補強できる。
図4に示すように、側方第1フランジ部14A及び側方第2フランジ部14Bは、先端側ほど幅狭となる三角形状に形成され、先端が、取付部材21によってシート底板11に取り付けられる。
同図4に示すように、右側の後方フランジ部14Cと右側の側方第2フランジ部14Bとは、シート底板11の下方に折り曲げると先端同士が重なり、同一の取付部材21によってシート底板11に取り付けられる。これによって、右側の後方フランジ部14Cと右側の側方第2フランジ部14Bとは共締めによって固定され、カバー13の着脱作業の容易化及び部品点数の削減が可能になる。
これら間隔K1〜K3は、シート10内部に浸入した水分を、カバー本体部15とシート底板11との間から効率良く排出可能なスペースとなるので、フランジ幅よりも広く確保することで、水排出性を向上できる。
前方フランジ部14Dは、同じ幅で延びる長方形形状に形成され、取付部材21によって、シート底板11の前部中央に取り付けられる。
また、符号Yを付した二点鎖線は、停車時の足を示し、より具体的には、地面に足を付けたときの位置を示している。また、図2中、「A−A」線は側方第1フランジ部14Aを横断する断面線であり、「B−B」線は側方第2フランジ部14Bを横断する断面線である。
つまり、側方第1フランジ部14A及び側方第2フランジ部14Bは、運転者の足に対応する位置を避けて設置されている。これにより、カバー13の表面及び内面を伝って各フランジ部14A、14Bに付着する水分が、運転者の足に付着する事態を抑制することができる。
また、メッシュ100は、帯部200を介してクッション12の底板部を構成するシート底板11に支持されるので、カバー13の支持強度を確保し易くなる。
さらに、メッシュ100は、多層構造の立体編物で構成されているので、メッシュ100のクッション性を向上可能である。
また、カバー本体部15の側縁及び前縁から延出するフランジ部を設け、カバーを容易に着脱できるようにしてもよい。
また、異なるフランジ部14B、14Cがシート底板11の同じ取付箇所(孔部11H)に向けて延びて、共通の取付部材21によってシート底板11に取り付けられる。これにより、カバー13の着脱作業の容易化及び部品点数の削減が可能になる。
さらに、カバー13は、カバー13内外を連通するメッシュ100を有するので、メッシュ100を通ってシート10内に浸入した水分が、複数のフランジ部14を伝う際に、運転者(乗員)の足に付着する事態を抑制することができる。
例えば、シート10の形状は適宜に変更してもよい。また、上述の実施形態では、運転者専用のシングルシートに本発明を適用したが、運転者及び同乗者が乗車するタンデムシート、又は、同乗者専用のシングルシートに本発明を適用してもよい。
10 シート
11 シート底板
12 クッション
13 カバー
13F 袋部
14 フランジ部
14A 側方第1フランジ部
14B 側方第2フランジ部
14C 後方フランジ部
14D 前方フランジ部
15 カバー本体部
21 取付部材
21A クリップ本体
21B ロック部材
100 メッシュ管
200 帯部
Claims (5)
- クッション(12)を下方から覆うシート底板(11)と、前記クッション(12)を上方から覆い、シート底板(11)に取り付けられるカバー(13)とを備える車両のシート構造において、
前記カバー(13)は、前記シート底板(11)の側縁を超えずに前記側縁まで覆うカバー本体部(15)と、前記カバー本体部(15)から延出して前記シート底板(11)に取り付けられる複数のフランジ部(14)とを有し、
前記複数のフランジ部(14)は、前記カバー本体部(15)の側縁から前後方向に間隔を空けて延出し、それぞれ異なる取付部材(21)によって前記シート底板(11)に取り付けられる複数の側方フランジ部(14A、14B)と、前記カバー本体部(15)の後縁を含む位置であって、前記側方フランジ部(14A、14B)との間に前後方向に間隔を空けた位置から、前記側方フランジ部(14A、14B)のいずれかと同じ取付箇所(11H)に向けて延出し、前記同じ取付箇所(11H)で共通の前記取付部材(21)によって、前記シート底板(11)に取り付けられる後方フランジ部(14C)とを備えることを特徴とする車両のシート構造。 - 前記カバー本体部(15)から延出して前記シート底板(11)の前端若しくは後端に引っ掛かる袋部(13F、14E)を備え、
前記複数のフランジ部(14A〜14C)は、前記カバー本体部(15)の側縁及び後縁、若しくは側縁及び前縁から延出することを特徴とする請求項1に記載の車両のシート構造。 - 前記複数のフランジ部(14A〜14C)は、前記カバー本体部(15)に対し、前記フランジ(14A〜14C)の幅よりも広い間隔を空けて取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のシート構造。
- 前記取付部材(21)は、前記シート底板(11)に設けられた孔部(11H)を利用して前記シート底板(11)と前記フランジ部(14)とを相互に固定するクリップであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両のシート構造。
- 前記カバー(13)は、当該カバー(13)内外を連通するメッシュ(100)を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両のシート構造。
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