JPH0577553B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動二輪車や自動三輪車の如き騎乗
形車両に用いられるシートロツク装置に関する。

一般に自動二輪車は、シートの下方に設置した
小物入れや工具等の盗難や悪戯を防止するため、
施錠式のシートロツク装置を備えている。

この種のシートロツク装置としては、シリンダ
状をなした装置本体のキー孔に、ロツクキーを差
し込んで回動させることにより、フレームに対す
るシートの施錠固定および施錠解除を行うように
したものが知られており、従来、このシートロツ
ク装置は、そのキー孔を車体側方に向けた姿勢
で、シートの下方に設置されている。

ところで、シートの下方に、このシートの略全
長に亘る長さのサイドカバーを配置した自動二輪
車では、車体のデザイン上、シートとサイドカバ
ーとをなるべく近接して設け、シートからサイド
カバーへの連続部分に一体感を持たせたいといつ
た要望がある。

ところが、このようにシートとサイドカバーと
を近接させると、上記のようなシートロツク装置
を設けたものでは、そのキー孔を車体側方に露出
させるためのスペースが得られなくなるため、サ
イドカバーに孔を開けたり、あるいはサイドカバ
ーの一部を切り欠かざるを得なくなり、デザイン
面は勿論のこと、外観的にも問題が生じてくる。

この対策としては、キー孔を有する装置本体
を、サイドカバーを避けてシートの後端付近に配
置することが考えられる。

しかしながら、このようにすると、特に二人用
のダブルシートでは、シートの後部側方にシート
の側面に沿つて後方に延びるグラブバーやキヤリ
ア等の部品が配置されることが多いために、キー
孔がこれら部品と近接したり、重なり合つた位置
関係に配置されることがあり得る。このため、キ
ー孔にロツクキーを抜き差しする際に、グラブバ
ー等の部品が邪魔な存在となり、ロツクキーの操
作性が妨げられるといつた問題が生じてくる。

本発明は、このような事情にもとづいてなされ
たもので、サイドカバーにキー孔を露出させるた
めの孔や切り欠きを設ける必要がなくて、外観や
デザイン的な面でも好都合となり、しかも、ロツ
クキーの操作性を良好に維持できるとともに、シ
ートをロツクするための主要部品をシート側に組
み込んだにも拘らず、前席部と後席部の位置を高
くすることなくクツシヨン材の厚みを充分に確保
して良好な座り心地のが得られ、かつまた、シー
トロツク用の主要部品がフレーム側に大きく張り
出すこともなく、このフレームとの干渉を防止で
きるとともに、フレーム構造の簡略化にも寄与す
る騎乗形車両のシートロツク装置の提供を目的と
する。

すなわち、本発明は、上記目的を達成するた
め、フレームに、乗員が跨がる前席部とこの前席
部に一体に連なる後席部とを有するシートを設
け、このシートの下方に、少なくともシートの全
長に亘る長さのサイドカバーを配置するととも
に、上記シートの後席部の側方に、この後席部の
側面に沿つて後方に延びるグラブバーを配置した
騎乗形車両において、 上記シートは、クツシヨン材を支持するシート
底板を備え、このシート底板は、前席部と後席部
とに亘つて前後方向に延びる基板部と、この基板
部の左右側縁部から下向きに延びる一対の側壁部
とを有し、このシート底板の基板部に、上記前席
部と後席部との間の境界部分に位置して上向きに
凹む窪み部を設け、この窪み部に、上記フレーム
側の係止部に係合されたロツク位置および上記係
止部との係合が解除されたロツク解除位置とに亘
つて移動可能なロツク爪と、このロツク爪よりも
前方に位置して、ロツク爪をロツク位置に施錠
し、かつこの施錠を解除してロツク爪をロツク解
除位置に操作するためのロツク装置本体を設け、
このロツク装置本体と上記ロツク爪との間を、シ
ート底板に沿つて前後方向に延びるロツドを介し
て連動させるとともに、上記ロツク装置本体は、
上記ロツク爪の施錠およびこの施錠を解除する際
にロツクキーが差し込まれるキー孔を有し、この
キー孔を、上記グラブバーよりも前方にて上記シ
ートの側面に略面一に露出させたことを特徴とし
ている。

以下本発明の一実施例を、自動二輪車に適用し
た図面にもとづいて説明する。

図中符号１はアルミ合金製のフレームであり、
このフレーム１の前端のヘツドパイプ２には、前
輪３を有するフロントフオーク４が枢支されてい
る。

ヘツドパイプ２から後方に延びる左右のタンク
レール５，５と、後方下向きに延びる左右のダウ
ンチユーブ６，６の後端部相互は、ブラケツト
７，７によつて連結されている。これらタウンレ
ール５，５、ダウンチユーブ６，６およびブラケ
ツト７，７とによつて囲まれる空間部分には、Ｖ
形エンジン８が搭載されている。

なお、第１図中符号９は燃料タンク、１０はラ
ジエータ、１１はカウリング、１２はリヤアー
ム、１３は後輪を夫々示す。

タンクレール５，５の途中には、後方に向つて
延びる左右のシートレール１４，１４が接続され
ている。このシートレール１４，１４の後端側下
面と上記ブラケツト７，７との間には、バツクス
テー１５，１５が架設されている。そして、シー
トレール１４，１４の後端部には、このシートレ
ール１４，１４よりもさらに後方に延びる左右の
補助パイプ１６，１６が連設されている。

補助パイプ１６，１６は、第３図に示すよう
に、その前端の偏平部１７をバツクステー１５，
１５にボルト締めするとともに、中間部の外側面
に溶接した外側ブラケツト１８，１８を、上記シ
ートレール１４，１４の後端のボス部１９，１９
にボルト締めすることによりフレーム１に固定さ
れている。そして、これらシートレール１４，１
４および補助パイプ１６，１６上には、これら両
者間に跨がつてシート２０が取り外し可能に載置
されている。

シート２０は、合成樹脂製のシート底板２１上
に、ウレタンフオーム等からなるクツシヨン材２
２を積層し、このクツシヨン材２２の周囲をビニ
ールレザー等のシート表皮２３で被覆することに
より構成されている。そして、このシート２０
は、運転車用の前席部２４と、この前席部２４に
連なる同乗者用の後席部２５とを有した二人乗り
用の、いわゆるダブルシートとなつている。

このシート２０のシート底板２１は、第３図や
第５図に示すように、前席部２４と後席部２５と
に亘つて前後方向に延びる基板部２１ａと、この
基板部２１ａの左右両側縁部から下向きに延びる
一対の側壁部２１ｂ，２１ｃとを一体に有してい
る。このため、シート底板２１は、その基本断面
形状が下向きに開放された略コ字状をなしてい
る。

シート２０の下方は、左右両側から合成樹脂製
のサイドカバー２６，２７によつて覆われてい
る。サイドカバー２６，２７は、シート２０の全
長に亘る長さを有しており、このシート２０の下
方を通る後部シリンダ２８の排気管２９，２９お
よびこの排気管２９，２９に連なる消音器３０，
３０を側方から覆い隠している。また、サイドカ
バー２６，２７の上縁部は、シート２０の左右両
側下縁部に沿うように形成され、このシート２０
の左右両側部に対して一体的に連続して設けられ
ているとともに、このサイドカバー２６，２７の
後部は、シート２０の後方に回り込むシートカウ
ルをも兼用している。

サイドガバー２６，２７の前端部には、タンク
レール５，５とシートレール１４，１４とで挾ま
れた空間部分にまで延びるカバー部３１，３１が
突設されている。車体左側のカバー部３１は、サ
イドカバー２６と一体であるのに対して、右側の
カバー部３１は、サイドカバー２７に対して取り
外し可能に取り付けられ、上記空間部分に配した
バツテリ３２の脱着を容易に行えるようになつて
いる。

また、シート２０の後席部２５の側方から後方
にかけての範囲には、グラブバー５５が配置され
ている。グラブバー５５は、後席部２５の側面に
沿つて後方に延びており、その左右の前端部は、
第６図や第８図に示すように、外側ブラケツト１
８，１８にボルト締めされている。

ところで、上記シート２０の取り付け構造につ
いて説明を加えると、第３図に示すように、シー
ト底板２１の前端部には、シートレール１４，１
４の間に架設した支持ブラケツト３３の下方に入
り込むフツク状の舌片３４が突設されている。こ
の舌片３４は、第４図に示すように、支持ブラケ
ツト３３の下縁部に形成した凹部３５に嵌合し、
シート２０の前端の上下および左右方向の位置決
めをなしている。

また、第３図に示すように、シート底板２１の
基板部２１ａは、前席部２４と後席部２５との間
の境界部分で上向きに窪んでおり、この窪み部３
６の左右両側には、一対のブラケツト３７，３７
が離間対向してボルト締めされている。

上記補助パイプ１６，１６には、ブラケツト３
７，３７に対応して内側ブラケツト３８，３８が
溶接されている。内側ブラケツト３８，３８の外
周にはフランジ部３９が設けられており、このフ
ランジ部３９の上面が上記ブラケツト３７，３７
に対向しているとともに、このフランジ部３９の
上面に設けた凹所４０，４０内に、ブラケツト３
７，３７から下方に延びる位置決め片４１，４１
が嵌入合致し、シート２０の後部の前後左右方向
の位置決めをなしている。

したがつて、シート２０は、前端の舌片３４を
後方から凹部３５に差し込んだ後、位置決め片４
１，４１を上方から凹所４０，４０内に差し込む
ことにより、フレーム１に対して取り外し可能に
載置されている。

一方、このようなシート２０には、このシート
２０をフレーム１から取り外し不能に施錠するロ
ツク機構４２が設けられている。

ロツク機構４２は、第３図や第５図に示すよう
に、ブラケツト３７，３７の間に回動可能に架設
された枢軸４３を備えている。枢軸４３は、窪み
部３６に位置し、この枢軸４３上には、回動アー
ム５３および左右のロツク爪４４，４４が溶接さ
れている。ロツク爪４４，４４は、その下端部後
面にフツク状をなした係止段部４５を有し、この
係止段部４５が内側ブラケツト３８，３８に突設
した係止部としてのピン４６，４６に前方から係
脱可能に係止されるようになつている。

すなわち、ロツク爪４４，４４は、その係止段
部４５がピン４６，４６に係止されたロツク位置
と、このピン４６，４６との係止が解除されたロ
ツク解除位置との間に亘つて、上記枢軸４３を支
点として前後方向に回動可能に設けられている。

また、シート底板２１の窪み部３６には、ブラ
ケツト３７，３７よりも前方に位置して、シリン
ダ状のロツク装置本体４７が設置されている。ロ
ツク装置本体４７は、窪み部３６の一側において
左右方向に沿つた姿勢で配置されており、その一
端面には、例えばメインスイツチと共通のロツク
キー（図示せず）が差し込まれるキー孔４８が開
設されている。

このロツク装置本体４７は、第７図に示すよう
に、キー孔４８側の端部がシート底板２１の側壁
部２１ｂおよびシート表皮２３を貫通して設けら
れており、そのキー孔４８が開口された端面が、
シート２０の前席部２４と後席部２５との境界部
分の側面に略面一の状態で露出されている。この
ことから、キー孔４８は、上記グラブバー５５よ
りも前方においてシート２０の側方に露出されて
いる。

なお、ロツク装置本体４７がシート２０を貫通
する部分の外周には、シート表皮２３の開口周縁
を押さえ込む筒状のホルダ５０が被挿されてい
る。そして、上記キー孔４８にロツクキーを差し
込んで回動させると、ロツク装置本体４７から導
出された回動軸５１が軸回り方向に回動するよう
になつている。この回動軸５１に固定した回動レ
バー５２と回動アーム５３とは、ロツド５４によ
つて連動されており、このロツド４３は、シート
底板２１の基板部２１ａに沿つて前後方向に延び
ている。

このため、ロツクキーを時計回り方向に回す
と、ロツド５４が前方に引かれ、回動アーム５３
が同方向に回動されるので、ロツク爪４４，４４
の係止段部４５がピン４６，４６から前方に離脱
し、シート２０の施錠が解除されるようになつて
いる。

なお、ロツク爪４４，４４は、回動軸５１に設
けた復帰スプリング（図示せず）によつて、常時
ピン４６，４６に係合する方向に付勢されてい
る。

このような構成によれば、シート２０を取り外
し不能に施錠するロツク装置本体４７およびロツ
ク爪４４，４４をシート底板２１に取り付け、そ
のロツクキーが差し込まれるキー孔４８をシート
２０の側面に露出させたので、シート２０とサイ
ドカバー２６，２７との間にキー孔４８を導出さ
せるためのスペースを確保する必要はなく、この
シート２０の下方にサイドカバー２６，２７を連
続して設置できる。

したがつて、シート２０からサイドカバー２
６，２７へのつながりに一体感が得られ、しか
も、従来のようにサイドカバー２６，２７に孔を
開けたり、一部を切り欠く必要もないことから、
外観が向上し、デザイン的にも好都合となる。

しかも、シート２０の後席部２５の側方から後
方にかけての範囲には、グラブバー５５が配置さ
れているが、上記ロツク装置本体４７のキー孔４
８は、グラブバー５５よりも前方においてシート
２０の側面に露出されている。このため、キー孔
４８の周囲が広く開放されるので、キー孔４８に
ロツクキーを抜き差しする際や、このロツクキー
を回動させる際にグラブバー５５が邪魔となら
ず、ロツクキーの操作性を良好に維持することが
できる。

また、この構成によると、シート２０をロツク
したり、ロツクを解除するためのロツク爪４４，
４４、ロツク装置本体４７およびロツド５４のよ
うな主要部品は、シート底板２１に組み込まれて
いるので、フレーム１側には、ストツパ４４，４
４が引つ掛かるピン４６，４６のみを設ければ良
い。このため、フレーム１からロツク装置本体４
７やその連動機構を固定するためのブラケツト類
を省略でき、その分、フレーム１の構造や組み立
て作業を簡略化でき、コストの低減が可能とな
る。

そして、この場合、ロツク爪４４，４４、ロツ
ク装置本体４７およびロツド５４は、シート２０
の前席部２４と後席部２５との境界部分に位置
し、乗員の着座部分を外れているので、上記のよ
うにシート底板２１にシートロツク用の主要部分
を組み込んだにも拘らず、前席部２４および後席
部２５の位置を高くすることなくクツシヨン材２
２の厚みを充分に確保でき、座り心地を良好に維
持することができる。

それとともに、シート底板２１の基板部２１ａ
は、前席部２４と後席部２５との境界部分に上向
きに凹む窪み部３６を有し、この窪み部３６にロ
ツク爪４４，４４やロツク装置本体４７のような
シートロツク用の主要部分が取り付けられている
ので、これら主要部品がシート底板２１の下方に
向けて大きく張り出さずに済み、シートレール１
４，１４や補助パイプ１６，１６と干渉し合うの
を防止できる。このため、フレーム１側に格別な
逃げを設ける必要もなくなり、この点でもフレー
ム１の構造の簡略化に寄与するといつた利点があ
る。

なお、上述した実施例では、シートを着脱式と
したが、フレームに対して側方へ開閉式としても
良く、また、サイドカバーも左右両側に設ける必
要はなく、左右の一方側のみに設けても良い。

以上詳述した本発明によれば、サイドカバーの
上縁をシートに連続させた状態で設置できるとと
もに、このサイドカバーにキー孔を露出させるた
めの孔を開けたり、あるいは一部を切り欠く必要
もないから、サイドカバーからシートへの連続部
分に一体感が得られる。このため、シート回りの
外観が向上するとともに、デザイン的な面でも好
都合となる。

しかも、キー孔は、シート後部のグラブバーよ
りも前方においてシートの側面に露出されている
ので、キー孔の周囲が広く開放される。このた
め、キー孔にロツクキーを抜き差しする際や、こ
のロツクキーを回動させる際にグラブバーが邪魔
とならず、ロツクキーの操作性を良好に維持する
ことができる。

また、ロツク爪やロツク装置本体のようなシー
トロツク用の主要部品は、シート底板に設置され
ているので、フレーム側には、ロツク爪が引つ掛
かるピンのような係止部を設けるだけで良く、大
掛かりな構成が不要となる。したがつて、フレー
ム構成を簡略化することができ、その分、コスト
の低減や軽量化が可能となる。そして、この場
合、上記シートロツク用の主要部品は、丁度乗員
の着座部分を外れているので、シート底板にシー
トロツク用の主要部品を組み込んだにも拘らず、
前席部や後席部の位置を高くすることなくクツシ
ヨン材の厚みを充分に確保でき、座り心地が良好
となる。

それとともに、上記シートロツク用の主要部品
は、シート底板の窪み部に位置するので、これら
主要部品がシート底板の下方に向けて大きく張り
出さずに済み、フレームとの干渉を防止できる。
このため、フレーム側に格別な逃げを設ける必要
もなくなり、この点でもフレームの構造の簡略化
に寄与するといつた利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は、自
動二輪車の側面図、第２図は、シート回りの側面
図、第３図は、シートの断面図、第４図は、第３
図中−線に沿う断面図、第５図は、第３図中
−線に沿う断面図、第６図は、第３図中−
線に沿う断面図、第７図は、第３図中−線
に沿う断面図、第８図は、第３図中−線に沿
う断面図である。 １……フレーム、２０……シート、２１……シ
ート底板、２１ａ……基板部、２１ｂ，２１ｃ…
…側壁部、２２……クツシヨン材、２４……前席
部、２５……後席部、２６，２７……サイドカバ
ー、３６……窪み部、４４……ロツク爪、４６…
…係止部（ピン）、４７……ロツク装置本体、４
８……キー孔、５４……ロツド、５５……グラブ
バー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フレームに、乗員が跨がる前席部とこの前席
   部に一体に連なる後席部とを有するシートを設
   け、 このシートの下方に、少なくともシートの全長
   に亘る長さのサイドカバーを配置するとともに、 上記シートの後席部の側方に、この後席部の側
   面に沿つて後方に延びるグラブバーを配置した騎
   乗形車両において、 上記シートは、クツシヨン材を支持するシート
   底板を備え、 このシート底板は、前席部と後席部とに亘つて
   前後方向に延びる基板部と、この基板部の左右側
   縁部から下向きに延びる一対の側壁部とを有し、 このシート底板の基板部に、上記前席部と後席
   部との間の境界部分に位置して上向きに凹む窪み
   部を設け、 この窪み部に、上記フレーム側の係止部に係合
   されたロツク位置および上記係止部との係合が解
   除されたロツク解除位置とに亘つて移動可能なロ
   ツク爪と、このロツク爪よりも前方に位置して、
   ロツク爪をロツク位置に施錠し、かつこの施錠を
   解除してロツク爪をロツク解除位置に操作するた
   めのロツク装置本体を設け、 このロツク装置本体と上記ロツク爪との間を、
   シート底板に沿つて前後方向に延びるロツドを介
   して連動させるとともに、 上記ロツク装置本体は、上記ロツク爪の施錠お
   よびこの施錠を解除する際にロツクキーが差し込
   まれるキー孔を有し、 このキー孔は、上記グラブバーよりも前方にて
   上記シートの側面に略面一に露出されていること
   を特徴とする騎乗形車両のシートロツク装置。