JP2003273135A - 化合物半導体薄膜の製造方法 - Google Patents
化合物半導体薄膜の製造方法Info
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Abstract
つきを低減し、また目的のIII族元素濃度を制御しうる
I、III、VI族元素からなる化合物半導体薄膜の製造方
法を提供する。 【解決手段】 成膜室3にMo膜が形成された基板1が入
れられIn-Ga-Seターゲット21およびCuターゲット23のス
パッタを、基板温度約150℃〜450℃で行う。この
とき、In-Ga-Se化合物ターゲット21の組成比として、Ga
/(In+Ga)の元素比(原子数の比)は、0.1〜0.3と
する。また、In-Ga-Se化合物ターゲット21に含まれるII
I族元素対VI族元素の比を2:3とする。形成した前駆
体膜を、熱処理室5にて、Se蒸着源25を用いてSe
蒸気を前駆体膜上へ照射しながら、基板温度約550℃
で熱処理する。
Description
の製造方法に関するもので、さらに詳しくは特に薄膜太
陽電池の分野において利用し得る、I、III、VI族元素
からなる化合物半導体薄膜の製造方法に関するものであ
る。
体薄膜として代表的なものに、カルコパイライト構造を
もつCu、In、Ga、Seから成る、Cu(In,Ga)Se
2(以下CIGSとよぶ)薄膜がある。これらの製造方法に
は、真空中で物理的蒸着法を用いた方法が多く用いられ
ている。その中で、特にスパッタ法は、成膜制御性が優
れ大面積基板上へ均一で、再現性の高い成膜ができる特
長がある。尚、本発明においてI、III、VI族元素と
は、元素の周期律表で言うIb、IIIb、VIb族元素を
意味しており、以下同様である。
含んだCu−Ga合金ターゲットと、In(またはIn
−Se)からなるターゲットを用いて、Cu−Ga層お
よびIn(またはIn−Se)層からなる積層前駆体膜
をスパッタ法により作製した後、セレンを含む雰囲気中
で熱処理する方法がある。このとき、特定のIII族元
素、例えばその一例としてGaに注目したとすると、所
望のGa濃度をもったCIGS膜を得るには、所望のG
a含有量をもったCu−Ga合金ターゲットを使用し、
スパッタ成膜する。またGa含有量の異なる複数のCu
−Ga(またはCu)ターゲットを用いたスパッタ成膜
により、CIGS膜中のGa含有量を制御することがで
きる。
を使用するために、GaとCuを合金化してターゲット
を作製する必要があるが、Cu−Ga二元系からなる均
一相を得るには、Cuに対するGaの固溶度は限定され
ている。そのため、ある固溶度以外のGa含有量をもつ
ターゲットは、ターゲット内部においてGaの分布が不
均一であり偏析が生じる。その結果、これらのターゲッ
トを用いてCIGS膜を作製した場合、成膜バッチ間によ
り、組成のばらつきが生じ再現性が低下する。図11に
成膜ロット数に対するCIGS膜中のGa/III族元素比の変
動を示す。Ga/III族元素比とは、全III族元素の原子数
に対するGa元素の原子数の比であり、図11に示した
例では、全III族元素は、GaとInであるから、Ga/I
II族元素比は、図11の縦軸にGa/(Ga+In)比として示し
た。図11から明らかなように、Cu1-xGaxターゲッ
トを用いた場合、x=0.25の場合はこれらのターゲ
ットを用いてCIGS膜を作製した場合、成膜バッチ間によ
り、Ga/(Ga+In)比である組成のばらつきが生じないが、
x=0.10の場合や、x=0.40の場合は組成のば
らつきが大きいことがわかる。
が25atmic%(原子%)含まれたCu‐Ga合金ターゲット
(x=0.25の場合に相当する)では、組成偏析が少
なく、最も再現性の優れた成膜ができる。そのため、組
成再現性の優れたCIGS膜の製造を行うには、Cuに対す
るGa含有量が限定されるため、CIGS膜中のGa濃度を
変化させることができない。また更には、膜厚方向にG
a濃度を特定の範囲で変化させた光吸収層として特性の
優れた化合物半導体の前駆体薄膜などを作成しようとし
ても、膜厚方向にGa濃度を意図するように所望の範囲
で制御することが困難であるという問題がある。
トを積層したものを前駆体として作製し、これらを熱処
理することによりCIGS膜を作製する方法では、カルコパ
イライト構造をもつCIGS相において同一サイトに入るG
aとInが同時に供給されないため、熱処理後において
も膜厚方向で組成ばらつきが生じる。具体的には、Mo
膜基板(ガラスの表面にMo膜が形成された基板)上
へ、In-Seターゲットを用いたスパッタ成膜とCu-Gaター
ゲットを用いたスパッタ成膜とにより、作製した前駆体
膜をSe蒸気中にて熱処理を行うと、膜厚方向でのGa濃
度を意図するように所望の範囲で制御することが出来
ず、膜厚方向でGa過剰領域とGa不足領域をもったCIGS膜
が形成されてしまうという問題がある。このような方法
で作製されたCIGS膜膜厚方向の組成分布として、2次イ
オン質量分析により膜厚方向に対して各元素からの単位
時間当たりのイオンカウント数(c.p.s=カウント数/
秒)を調べたものを図12に示す。Gaの過剰領域と不
足領域が明確に分かれて、Gaの膜厚方向の濃度を所望
の範囲で制御することができないことが分かる。
して太陽電池を作製すると、表面側のバンドギャップが
低下し、性能評価を行うと開放電圧が低くなり、太陽電
池としての特性が劣化してしまう。
になされ、その目的とするところは、スパッタリング法
を用い、Ga等の目的とする特定のIII族元素の供給量
の自由な制御が可能であり、組成再現性にすぐれ、ま
た、膜厚方向でのバンドギャップ制御につながる膜厚方
向でGa等の目的とする特定のIII族元素が過剰に偏析
するなどといったIII族元素の膜厚方向における組成分
布のばらつきを低減し、さらにはGa等の目的とする特
定のIII族元素濃度を膜厚方向で制御しながらCIGS膜を
形成することにより、太陽電池光吸収層として最適な膜
厚方向でのバンドギャップ制御が可能な、組成分布をも
ったCu(In,Ga)Se2膜をはじめとしたI、III、VI族元素
からなる化合物半導体薄膜の製造方法を提供することに
ある。
発明の化合物半導体薄膜の製造方法は、次の方法であ
る。
を含む前駆体薄膜を少なくともスパッタリング法を用い
て形成する工程と、前記前駆体薄膜をVI族元素を含んだ
雰囲気中で熱処理する工程からなる化合物半導体薄膜の
製造方法であって、前記基板上に前記前駆体薄膜を形成
する工程において、III族元素の供給には、少なくとも
複数種のIII族元素を同時に含むターゲットを用いてス
パッタ成膜することを特徴とする化合物半導体薄膜の製
造方法。
くとも複数種のIII族元素を同時に含むターゲットを用
いてスパッタ成膜することにより、組成再現性が優れ、
所定のIII族元素、例えばGa元素の供給量の自由な制
御が可能であり、所定のIII族元素、例えばGa元素の
濃度が所望の自由な濃度に設定できる化合物半導体薄膜
の製造方法を提供できる。
半導体薄膜の製造方法においては、前駆体薄膜を形成す
る工程が、複数種のIII族元素を同時に含むターゲット
を用いてスパッタ成膜を行う工程と、少なくともI族元
素を含むターゲットを用いてスパッタ成膜を行う工程と
を含む複数の工程により前駆体薄膜を形成することが好
ましい。
長がしやすく、カルコパイライト構造が容易に形成さ
れ、より組成ずれの少ない化合物半導体薄膜が製造でき
好ましい。
載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、前駆体薄
膜を形成する工程の複数種のIII族元素を同時に含むタ
ーゲットを用いてスパッタ成膜を行う工程において、タ
ーゲット中に含まれる複数種のIII族元素の各元素の組
成比が異なった複数のターゲットを用いてスパッタ成膜
を行うことが好ましい。
のIII族元素、例えばGaとInの膜厚方向の組成割合
を制御した前駆体薄膜の形成が可能となり、従って、例
えば太陽電池の光吸収層として最適なバンドギャップを
有する化合物半導体薄膜の製造が可能になり、好まし
い。尚、かかる太陽電池においては、光吸収層として、
太陽光に最適なバンドギャップを持たせることが好まし
く、バンドギャップが大きすぎても、小さすぎても特性
が低下してしまう。従って、複数種のIII族元素、例え
ばGaとInの膜厚方向の組成割合を特定の範囲に制御
することにより、最適なバンドギャップを有する化合物
半導体薄膜を製造し得ることは、極めて有用な技術とな
る。
れかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、
複数種のIII族元素を同時に含むターゲットを用いてス
パッタ成膜を行う工程での基板温度が、20℃〜500
℃であることが好ましい。
膜が剥がれやすくなり、あまりに温度が高すぎると、用
いている基板などの素材が軟化したりする傾向が生じる
が、上記基板温度を採用することにより、生成した膜の
接着性も良好で、基板の軟化などによる変形も生じるこ
とがなく良好な化合物半導体薄膜を製造でき、好まし
い。尚、より好ましい基板温度は、150℃〜450
℃、更により好ましくは300℃〜450℃である。
半導体薄膜の製造方法においては、少なくともI族元素
を含むターゲットを用いてスパッタ成膜を行う工程での
基板温度が、20℃〜500℃であることが好ましい。
膜が剥がれやすくなり、あまりに温度が高すぎると、用
いている基板などの素材が軟化したりする傾向が生じる
が、上記基板温度を採用することにより、生成した膜の
接着性も良好で、基板の軟化などによる変形も生じるこ
とがなく良好な化合物半導体薄膜を製造でき、好まし
い。尚、より好ましい基板温度は、150℃〜450
℃、更により好ましくは300℃〜450℃である。
れかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、
前駆体薄膜をVI族元素を含んだ雰囲気中で熱処理する工
程における基板温度が、400℃〜600℃であること
が好ましい。
膜を構成するための各元素の拡散が生じにくくなり、カ
ルコパイライト構造の結晶が生じにくくなり、あまりに
温度が高すぎると、用いている基板などの素材が軟化し
たりする傾向が生じるが、上記基板温度を採用すること
により、良好なカルコパイライト構造の半導体薄膜が得
られ、基板の軟化などによる変形も生じることがなく良
好な化合物半導体薄膜を製造でき、好ましい。尚、高い
範囲の基板温度を採用する場合には、必要に応じて熱処
理時間を短くすることにより、基板の軟化などを防止し
うる。
れかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、
I族元素として、CuおよびAgから選ばれた少なくと
も1種を含み、III族元素としてIn、Ga、Alから選
ばれた少なくとも2種類を含み、VI族元素として、S
e、SおよびTeから選ばれた少なくとも1種を含むこ
とが好ましい。
パイライト構造の半導体薄膜が得られ、好ましい。
れかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、
複数種のIII族元素を同時に含むターゲットにおいて、I
II族元素の1種がGaであり、前記ターゲットに含まれ
る全III族元素のうちGa元素の含有率(Gaの原子数/
全III族元素の原子数)が、0.05以上0.50以下
であることが好ましい。
により、良好なカルコパイライト構造の半導体薄膜が得
られ易く、また、化合物半導体薄膜のバンドギャップが
あまりに大きすぎても、小さすぎても、太陽電池の光吸
収層として、太陽光を効率よく吸収し電気エネルギーに
変換する効率が低下するが、Ga元素の含有率を上記の
範囲とすることにより、太陽電池の光吸収層として、太
陽光を効率よく吸収し電気エネルギーに変換する効率が
良好となるバンドギャップを有する化合物半導体薄膜を
製造でき好ましい。尚、より好ましい全III族元素のう
ちGa元素の含有率(Ga/全III族元素の原子数の比)
は0.1〜0.3である。
れかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法においては、
複数種のIII族元素を同時に含むターゲットが、III族元
素としてInおよびGaを少なくとも含み、且つ更にVI
族元素も同時に含んでいるIII族元素及びVI族元素を含
む化合物ターゲットであることが好ましい。
組成のばらつきが少なく組成再現性が良好な化合物半導
体薄膜を製造でき、好ましい。
物半導体薄膜の製造方法においては、複数種のIII族元
素を同時に含み、且つ更にVI族元素も同時に含んでいる
III族元素とVI族元素を含む化合物ターゲットにおけるI
II族元素およびVI族元素の割合が、原子数比でIII族元
素:VI族元素=2:3であることが好ましい。
囲とすることにより、例えばGa2Se3やIn2Se3な
どの如く、化学的に安定した化合物とすることができ、
組成変化が少なく、好ましい。
別の製造方法は、次の方法である。
素を含む前駆体薄膜を少なくともスパッタリング法を用
いて作製する工程と、前記前駆体薄膜をVI族元素を含ん
だ雰囲気中で熱処理する工程からなる、I、III、VI族
元素を含む化合物半導体薄膜の製造方法であって、前記
基板上に前記前駆体薄膜を形成する工程において、III
族元素の供給には、含まれているIII族元素の種類が異
なる複数のターゲットを用いて、スパッタ成膜すること
を特徴とする化合物半導体薄膜の製造方法。
定のIII族元素、例えばInを一定のレートでスパッタ
リングしInの濃度を膜厚方向で一定にしながら、別の
特定のIII族元素、例えばGaのスパッタ電力を制御す
る事により、Gaのスパッタリングレートを変化させる
ことができ、Ga濃度を膜厚方向でコントロールして変
化させることが出来る。従って、所望のバンドギャップ
を有する化合物半導体薄膜を容易に製造することができ
好ましい。
合物半導体薄膜の製造方法においては、前駆体薄膜を形
成する工程が、III族元素の種類が異なる複数のターゲ
ットを用いてスパッタ成膜を行う工程と、少なくともI
族元素を含むターゲットを用いてスパッタ成膜を行う工
程とを含む、複数の工程により前駆体薄膜を形成するこ
とが好ましい。
長がしやすく、カルコパイライト構造が容易に形成さ
れ、より組成ずれの少ない化合物半導体薄膜が製造でき
好ましい。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、III族元素の種類が異なる複数のターゲットを用
いてスパッタ成膜を行う工程の基板温度が、20℃〜5
00℃であることが好ましい。
膜が剥がれやすくなり、あまりに温度が高すぎると、用
いている基板などの素材が軟化したりする傾向が生じる
が、上記基板温度を採用することにより、生成した膜の
接着性も良好で、基板の軟化などによる変形も生じるこ
とがなく良好な化合物半導体薄膜を製造でき、好まし
い。尚、より好ましい基板温度は、150℃〜450
℃、更により好ましくは300℃〜450℃である。
合物半導体薄膜の製造方法においては、少なくともI族
元素を含むターゲットを用いてスパッタ成膜を行う工程
での基板温度が、20℃〜500℃であることが好まし
い。
膜が剥がれやすくなり、あまりに温度が高すぎると、用
いている基板などの素材が軟化したりする傾向が生じる
が、上記基板温度を採用することにより、生成した膜の
接着性も良好で、基板の軟化などによる変形も生じるこ
とがなく良好な化合物半導体薄膜を製造でき、好まし
い。尚、より好ましい基板温度は、150℃〜450
℃、更により好ましくは300℃〜450℃である。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、前駆体薄膜をVI族元素を含んだ雰囲気中で熱処理
する工程における基板温度が、400℃〜600℃であ
ることが好ましい。
膜を構成するための各元素の拡散が生じにくくなり、カ
ルコパイライト構造の結晶が生じにくくなり、あまりに
温度が高すぎると、用いている基板などの素材が軟化し
たりする傾向が生じるが、上記基板温度を採用すること
により、良好なカルコパイライト構造の半導体薄膜が得
られ、基板の軟化などによる変形も生じることがなく良
好な化合物半導体薄膜を製造でき、好ましい。尚、高い
範囲の基板温度を採用する場合には、必要に応じて熱処
理時間を短くすることにより、基板の軟化などを防止し
うる。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、I、III、VI族元素を含む化合物半導体薄膜にお
ける、I族元素がCuおよびAgから選ばれた少なくと
も1種であり、III族元素がIn、Ga、Alから選ばれ
た少なくとも2種類であり、VI族元素がSe、Sおよび
Teから選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
パイライト構造の半導体薄膜が得られ、好ましい。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、III族元素の種類が異なる複数のターゲットのう
ち、少なくとも1つのターゲットがGaを含んだターゲ
ットであり、別の少なくとも1つのターゲットがInを
含んだターゲットであることが好ましい。
り、太陽電池の光吸収層として、太陽光を効率よく吸収
し電気エネルギーに変換する効率が良好となる最適のバ
ンドギャップを有する化合物半導体薄膜を容易に製造す
ることができ好ましい。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、III族元素の種類が異なる複数のターゲットが、
それぞれIII族元素のほかに更にVI族元素も同時に含ん
でいるIII族元素及びVI族元素を含む化合物ターゲット
であることが好ましい。
発しやすく、蒸発により失われやすいので、VI族元素も
同時に含んでいる化合物ターゲットを用いることによ
り、VI族元素の蒸発による不足分を補い、最適な組成の
化合物半導体薄膜を製造することができ、好ましい。
のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法におい
ては、III族元素及びVI族元素を含む化合物ターゲット
におけるIII族元素およびVI族元素の割合が、原子数比
でIII族元素:VI族元素=2:3であることが好まし
い。
囲とすることにより、例えばGa2Se3やIn2Se3な
どの如く、化学的に安定した化合物とすることができ、
組成変化が少なく、好ましい。
ては、上記記載の製造方法により作製され、膜厚方向に
おいて基板側へ向かってバンドギャップが増加した勾配
をもち、さらには膜表面付近では表面側に向かって増加
するバンドギャップ勾配をもったI、III、VI族元素か
らなる化合物半導体薄膜が提供できる。かかる化合物半
導体薄膜は、太陽電池の光吸収層として有用な半導体薄
膜であり、太陽電池に適用した場合に、変換効率、電流
密度、開放電圧などの特性が優れた太陽電池を提供しう
る半導体薄膜である。
ために、本発明の化合物半導体薄膜とその製造方法に関
わる実施の形態例を挙げて、更に本発明を説明するが、
以下に示す実施の形態例は代表的なものであり、本発明
はこれらの実施の形態のみに限定されるものではない。
施するために用いる製造装置の概略を示したものであ
る。Mo膜が形成されたガラス基板1をローダ室(供給
室)2に配置し、ローダ室2を高真空に排気してから、
成膜室3に送りこみ、搬送ガイド4に沿って基板1を搬
送し、Mo膜上に所定の成分のスパッタ成膜を行いなが
ら熱処理室5を通し、アンローダ室(取り出し室)6に
送る。
よびCuターゲット23が設置され、各々、RF電源22お
よびDC電源24から電力が供給され、各ターゲットのス
パッタリングにより、Mo膜上に当該ターゲット成分の
スパッタ成膜を行う。続く熱処理室5にはSe蒸着源25
が設置されている。各ターゲット上での製膜中の基板加
熱は基板ヒータ11および12により行い、熱処理室5
では基板ヒータ14により加熱する。
板温度変化と各元素を供給する工程を示すグラフを示し
た。まず最初に、成膜室3に基板1が入るとIn-Ga-Seタ
ーゲット21およびCuターゲット23のスパッタを、基
板温度約150℃〜450℃、より好ましくは約300
℃〜450℃で行う。
ット21の組成比として、Ga/(In+Ga)の元素比
(原子数の比)は、0.05〜0.5、より好ましくは
0.1〜0.3であることが好ましい。また、In−G
a−Se化合物ターゲット21に含まれるIII族元素、
対VI族元素の比(原子数の比)は2:3が好ましい。す
なわち(In1-xGax)2Se3でのxは0.05〜0.
5の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3が
好ましい。
熱処理室5にて、Se蒸着源25を用いてSe蒸気を前
駆体膜上へ照射しながら、基板温度約550℃で熱処理
する。Se蒸気を前駆体膜上へ照射しながら熱処理する
のは、形成された薄膜を熱処理によって結晶化させる際
に、Seが蒸発しやすいので、Seの再蒸発を抑えて結
晶成長させるためである。
組成分布を調べた結果を示す。また成膜ロット数に対す
るGa/III族元素比、この例の場合にはGa/(Ga+In)元素比
の変動を図4に示す。本発明方法によれば、Ga/(Ga+In)
元素比を変えても、膜厚方向でGa等の目的のIII族元
素が過剰に偏析するなどといったIII族元素の膜厚方向
における組成分布のばらつきを低減でき、さらにはGa
等の目的のIII族元素濃度を制御しながらCIGS膜を形成
することが可能となることがわかる。
施するために用いる製造装置の概略を示したものであ
る。また図6に成膜室3および熱処理室5での、基板温
度変化と各元素を供給する工程を示すグラフを示した。
図5の製造装置も、Mo膜が形成されたガラス基板1を
ローダ室(供給室)2に配置し、ローダ室2を高真空に
排気してから、成膜室3に送りこみ、搬送ガイド4に沿
って基板1を搬送し、Mo膜上に所定の成分のスパッタ
成膜を行いながら熱処理室5を通し、アンローダ室(取
り出し室)6に送る工程を含む装置である。
形成されているガラス基板1上へ、基板温度を約150
℃〜450℃、より好ましくは約300℃〜450℃の
範囲で、In-Ga-Se化合物ターゲット21a[ここで、
(In1-xGax)2Se3でありx=0.1〜0.3のタ
ーゲットを用いるのが特に好ましい。]のスパッタを行
い、次に基板温度を約150℃〜450℃、より好まし
くは約300℃〜450℃の範囲で、Cuターゲット2
3をスパッタし、In、Ga、Seからなる薄膜が形成
された基板上へCuを供給する。次に、基板温度を約1
50℃〜450℃、より好ましくは約300℃〜450
℃の範囲で、In−Ga−Se化合物ターゲット21b
[ここで、(In1-yGay)2Se3でありy=0.2〜
0.6のターゲットを用いるのが特に好ましい。]のス
パッタを行う。このとき、In−Ga−Se化合物ター
ゲット21aおよび21bの組成比として、Ga/(In+
Ga)の元素比が、それぞれ0.1〜0.3および0.
2〜0.6であり、後にスパッタするターゲット21b
のGa/(In+Ga)の元素比が、先にスパッタするタ
ーゲット21aのGa/(In+Ga)の元素比よりも大
きいか、または同一であることが好ましい。このとき、
ターゲット21aからのInとGaの供給量が、ターゲ
ット21bからのInとGaの供給量よりも多いことが
好ましい。さらにIn−Ga−Se化合物ターゲット2
1aおよび21bに含まれるIII族元素、対VI族元素の比
は2:3が好ましい。以上の様な条件を採用することに
より、太陽電池の光吸収層として極めて好適なバンドギ
ャップを有する層とすることができる。
熱処理室5にて、Se蒸着源25を用いてSe蒸気を前
駆体膜上へ照射しながら、基板温度約550℃で熱処理
する。尚、図5において、22a及び22bはRF電源、
24はDC電源、11〜14は基板ヒータを示している。
組成分布を調べた結果を示す。
層として、Mo/Cu(In,Ga)Se2/CdS/
ZnO/ITO構造の太陽電池セルを作製した。尚、M
oはガラス基板上に形成された電極、Cu(In,G
a)Se2は光吸収層、CdSはバッファー層、ZnO
が窓層、ITOはインジウム−錫酸化物からなる透明電
極である。作成した太陽電池セルの電流電圧特性の測定
結果から、変換効率15.2%、電流密度35.1mA/cm2、開放
電圧0.62V、曲性因子0.70という値が得られた。
素比を変えても、膜厚方向でGa等の目的のIII族元素
が過剰に偏析するなどといったIII族元素の膜厚方向に
おける組成分布の大幅なばらつきを低減でき、膜厚方向
でGa等の目的のIII族元素濃度を所望の範囲に制御し
ながら変化させたCIGS膜を形成することが可能となるこ
とがわかる。
施するために用いる製造装置の概略を示したものであ
る。また図9に成膜室3および熱処理室5での、基板温
度変化と各元素を供給する工程を示すグラフを示した。
図8の製造装置も、Mo膜が形成されたガラス基板1を
ローダ室(供給室)2に配置し、ローダ室2を高真空に
排気してから、成膜室3に送りこみ、搬送ガイド4に沿
って基板1を搬送し、Mo膜上に所定の成分のスパッタ
成膜を行いながら熱処理室5を通し、アンローダ室(取
り出し室)6に送る工程を含む装置である。
形成されているガラス基板1上へ、基板温度を約150
℃〜450℃、より好ましくは約300℃〜450℃の
範囲で、In2Se3化合物ターゲット26aおよびGa2
Se3化合物ターゲット27aのスパッタを行う。このと
き、In2Se3化合物ターゲット26aおよびGa2Se
3化合物ターゲット27aのスパッタによる基板上への供
給レート(体積比)が、それぞれ7:3から9:1であ
ることが好ましい。
り好ましくは約300℃〜450℃の範囲で、Cuター
ゲット23をスパッタし、In、Ga、Seからなる薄
膜が形成された基板上へCuを供給する。
より好ましくは約300℃〜450℃の範囲で、In2
Se3化合物ターゲット26bおよびGa2Se3化合物
ターゲット27bのスパッタを行う。このとき、In2
Se3化合物ターゲット26bおよびGa2Se3化合物
ターゲット27bのスパッタによる基板上への供給レー
ト(体積比)が、それぞれ4:6から8:2であること
が好ましい。さらに後で成膜するIn2Se3化合物ター
ゲット26bのスパッタによる供給レートに対するGa
2Se3化合物ターゲット27bのスパッタによる供給レ
ートの割合が、先に成膜するIn2Se3化合物ターゲッ
ト26aのスパッタによる供給レートに対するGa2Se
3化合物ターゲット27aのスパッタによる供給レートの
割合よりも多いか、同じであることが好ましい。このと
き、ターゲット26aおよび27aからのInとGaの
供給量が、ターゲット26bおよびターゲット27bか
らのInとGaの供給量よりも多いことが好ましい。以
上の様な条件を採用することにより、太陽電池の光吸収
層として極めて好適なバンドギャップを有する層とする
ことができる。
熱処理室5にて、Se蒸着源25を用いてSe蒸気を前
駆体膜上へ照射しながら、基板温度約550℃で熱処理
する。尚、図8において、22c、22d、22e及び
22fはRF電源、24はDC電源、11〜14は基板ヒー
タを示している。
おける組成分布を調べた結果を示す。
素比を変えても、膜厚方向でGa等の目的のIII族元素
が過剰に偏析するなどといったIII族元素の膜厚方向に
おける組成分布の大幅なばらつきを低減でき、膜厚方向
でGa等の目的のIII族元素濃度を所望の範囲に制御し
ながら変化させたCIGS膜を形成することが可能となるこ
とがわかる。
元素にInおよびGaを用いたがAlが含まれたターゲットを
使用してもよい。また、実施の形態1、2、3では、C
uターゲットを用いたが、その代わりにCuとSeから
なる化合物ターゲット、好ましくはCu2Se化合物タ
ーゲットを用いてもよい。
の供給にはCuターゲットのスパッタのみ行ったが、C
uターゲットのスパッタと同時に、別に設けたSe蒸着
源によるSe蒸着を同時に行ってもよい。
て、組成再現性が優れ、かつGa等の目的のIII族元素
の供給量の自由な制御が可能であり、また膜厚方向での
バンドギャップ制御につながる、膜厚方向でのGa等の
目的のIII族元素の組成分布の制御が可能な、I−III−
VI族からなる化合物半導体薄膜の製造方法を提供するこ
とができる。
化合物半導体薄膜の製造方法を提供できる。
形態を実施するために用いる製造装置の概略図。
形態の基板温度変化と各元素を供給する工程を示すグラ
フ。
一実施形態の成膜後のCu−In−Ga−Se膜の膜厚
方向における組成分布を示すグラフ。
一実施形態の成膜ロット数に対するGa/(Ga+In)元素比の
変動をを示すグラフ。
実施形態を実施するために用いる製造装置の概略図。
実施形態の基板温度変化と各元素を供給する工程を示す
グラフ。
別の一実施形態の成膜後のCu−In−Ga−Se膜の
膜厚方向における組成分布を示すグラフ。
の一実施形態を実施するために用いる製造装置の概略
図。
の一実施形態の基板温度変化と各元素を供給する工程を
示すグラフ。
る更に別の一実施形態の成膜後のCu−In−Ga−S
e膜の膜厚方向における組成分布を示すグラフ。
る比較の実施形態の成膜ロット数に対するGa/(Ga+In)元
素比の変動をを示すグラフ。
る比較の実施形態の成膜後のCu−In−Ga−Se膜
の膜厚方向における組成分布を示すグラフ。
Claims (19)
- 【請求項1】 基板上にI族元素およびIII族元素を含
む前駆体薄膜を少なくともスパッタリング法を用いて形
成する工程と、前記前駆体薄膜をVI族元素を含んだ雰囲
気中で熱処理する工程からなる化合物半導体薄膜の製造
方法であって、 前記基板上に前記前駆体薄膜を形成する工程において、
III族元素の供給には、少なくとも複数種のIII族元素を
同時に含むターゲットを用いてスパッタ成膜することを
特徴とする化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項2】 前駆体薄膜を形成する工程が、複数種の
III族元素を同時に含むターゲットを用いてスパッタ成
膜を行う工程と、少なくともI族元素を含むターゲット
を用いてスパッタ成膜を行う工程とを含む、複数の工程
により前駆体薄膜を形成する請求項1記載の化合物半導
体薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 前駆体薄膜を形成する工程の複数種のII
I族元素を同時に含むターゲットを用いてスパッタ成膜
を行う工程において、ターゲット中に含まれる複数種の
III族元素の各元素の組成比が異なった複数のターゲッ
トを用いてスパッタ成膜を行う請求項1又は2のいずれ
かに記載の化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 複数種のIII族元素を同時に含むターゲ
ットを用いてスパッタ成膜を行う工程での基板温度が、
20℃〜500℃である請求項1〜3のいずれかに記載
の化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 少なくともI族元素を含むターゲットを
用いてスパッタ成膜を行う工程での基板温度が、20℃
〜500℃である請求項2に記載の化合物半導体薄膜の
製造方法。 - 【請求項6】 前駆体薄膜をVI族元素を含んだ雰囲気中
で熱処理する工程における基板温度が、400℃〜60
0℃である請求項1〜5のいずれかに記載の化合物半導
体薄膜の製造方法。 - 【請求項7】 I族元素として、CuおよびAgから選
ばれた少なくとも1種を含み、III族元素としてIn、G
a、Alから選ばれた少なくとも2種類を含み、VI族元
素として、Se、SおよびTeから選ばれた少なくとも
1種を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物半
導体薄膜の製造方法。 - 【請求項8】 複数種のIII族元素を同時に含むターゲ
ットにおいて、III族元素の1種がGaであり、前記タ
ーゲットに含まれる全III族元素のうちGa元素の含有
率(Ga元素の原子数/全III族元素の原子数)が、0.
05以上0.50以下である請求項1〜7のいずれかに
記載の化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項9】 複数種のIII族元素を同時に含むターゲ
ットが、III族元素としてInおよびGaを少なくとも
含み、且つ更にVI族元素も同時に含んでいるIII族元素
及びVI族元素を含む化合物ターゲットである請求項1〜
8のいずれかに記載の化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項10】 複数種のIII族元素を同時に含み、且
つ更にVI族元素も同時に含んでいるIII族元素とVI族元
素を含む化合物ターゲットにおけるIII族元素およびVI
族元素の割合が、原子数比でIII族元素:VI族元素=
2:3である請求項9に記載の化合物半導体薄膜の製造
方法。 - 【請求項11】 基板上にI族元素および複数種のIII
族元素を含む前駆体薄膜を少なくともスパッタリング法
を用いて作製する工程と、前記前駆体薄膜をVI族元素を
含んだ雰囲気中で熱処理する工程からなる、I、III、V
I族元素を含む化合物半導体薄膜の製造方法であって、 前記基板上に前記前駆体薄膜を形成する工程において、
III族元素の供給には、含まれているIII族元素の種類が
異なる複数のターゲットを用いて、スパッタ成膜するこ
とを特徴とする化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項12】 前駆体薄膜を形成する工程が、III族
元素の種類が異なる複数のターゲットを用いてスパッタ
成膜を行う工程と、少なくともI族元素を含むターゲッ
トを用いてスパッタ成膜を行う工程とを含む、複数の工
程により前駆体薄膜を形成する請求項11に記載の化合
物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項13】 III族元素の種類が異なる複数のター
ゲットを用いてスパッタ成膜を行う工程の基板温度が、
20℃〜500℃である請求項11〜12のいずれかに
記載の化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項14】 少なくともI族元素を含むターゲット
を用いてスパッタ成膜を行う工程での基板温度が、20
℃〜500℃である請求項12に記載の化合物半導体薄
膜の製造方法。 - 【請求項15】 前駆体薄膜をVI族元素を含んだ雰囲気
中で熱処理する工程における基板温度が、400℃〜6
00℃である請求項11〜14のいずれかに記載の化合
物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項16】 I、III、VI族元素を含む化合物半導
体薄膜における、I族元素がCuおよびAgから選ばれ
た少なくとも1種であり、III族元素がIn、Ga、Al
から選ばれた少なくとも2種類であり、VI族元素がS
e、SおよびTeから選ばれた少なくとも1種である請
求項11〜15のいずれかに記載の化合物半導体薄膜製
造方法。 - 【請求項17】 III族元素の種類が異なる複数のター
ゲットのうち、少なくとも1つのターゲットがGaを含
んだターゲットであり、別の少なくとも1つのターゲッ
トがInを含んだターゲットである請求項11〜16の
いずれかに記載の化合物半導体薄膜製造方法。 - 【請求項18】 III族元素の種類が異なる複数のター
ゲットが、それぞれIII族元素のほかに更にVI族元素も
同時に含んでいるIII族元素及びVI族元素を含む化合物
ターゲットである請求項11〜17のいずれかに記載の
化合物半導体薄膜の製造方法。 - 【請求項19】 III族元素及びVI族元素を含む化合物
ターゲットにおけるIII族元素およびVI族元素の割合
が、原子数比でIII族元素:VI族元素=2:3である請
求項18に記載の化合物半導体薄膜の製造方法。
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