JP2003188396A - 光吸収層の形成方法および装置 - Google Patents

光吸収層の形成方法および装置

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JP2003188396A
JP2003188396A JP2001402901A JP2001402901A JP2003188396A JP 2003188396 A JP2003188396 A JP 2003188396A JP 2001402901 A JP2001402901 A JP 2001402901A JP 2001402901 A JP2001402901 A JP 2001402901A JP 2003188396 A JP2003188396 A JP 2003188396A
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Shinsuke Takeuchi
伸介 武内
Tomoyuki Kume
智之 久米
Takashi Komaru
貴史 小丸
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光吸収層の結晶化の不良による密着性の低下
に起因する太陽電池特性の劣化を防止して、品質の良い
光吸収層を形成する。 【構成】 化合物半導体による薄膜太陽電池における裏
面電極となるMo電極上にGaを含むIb族系金属元素
およびIIIb族系金属元素からなるプリカーサ薄膜を
形成して、Se雰囲気中で熱処理することによってCI
GS系の光吸収層を形成するに際して、Mo電極とプリ
カーサ薄膜との間にGa濃度をプリカーサ薄膜よりも低
くしたIb族系金属元素およびIIIb族系金属元素か
らなる緩衝用薄膜を形成したうえで、その緩衝用薄膜と
プリカーサ薄膜とをSe雰囲気中で熱処理することによ
ってCIGS系の光吸収層を形成するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物半導体による薄
膜太陽電池における光吸収層の形成方法および装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図1は、一般的な化合物半導体による薄
膜太陽電池の基本構造を示している。それは、SLG
(ソーダライムガラス)基板1上にプラス電極となるM
o電極層2が成膜され、そのMo電極層2上に光吸収層
5が成膜され、その光吸収層5上にZnS,CdSなど
からなるバッファ層6を介して、マイナス電極となるZ
nO:Alなどからなる透明電極層7が成膜されてい
る。
【0003】その化合物半導体による薄膜太陽電池にお
ける光吸収層4としては、現在18%を超す高いエネル
ギー変換効率が得られるものとして、Cu,(In,G
a),SeをベースとしたI−III−VI2族系のC
u(In+Ga)Se2によるCIGS薄膜が用いられ
ている。
【0004】そのCIGS薄膜は、それを蒸着法によっ
て形成すれば成膜の品質が良くなって高いエネルギー変
換効率が得られるが、成膜に時間を要して製品のスルー
プットが悪くなってしまう。
【0005】また、スパッタ法によってCIGS薄膜を
形成するようにすれば、高速での成膜が可能であり、タ
ーゲットの寿命が長いことにより原料供給回数が少な
く、ターゲット自体が安定なために成膜の品質に再現性
があるが、蒸着法に匹敵するエネルギー変換効率が得ら
れていないのが実状である。
【0006】その理由として、例えば、Cu,In,S
eの各単体ターゲットを用いてCIGS薄膜を形成する
に際して、主にSeターゲットから放出されるSeの負
イオンが成膜に衝撃によるダメージを与え、形成される
CIGS薄膜中に多くの欠陥を生じさせる原因となると
考えられている(T.Nakada et al.“C
uInSe2 Films for Solar Ce
lls by Multi−Source Sputt
ering of Cu,In and Se−Cu
Binary Aloy”Proc.4th Phot
ovoltaic Science and Engi
neering Conf.1989.371−375
の文献参照)。
【0007】そのために、スパッタ法によりSeを供給
する方法でCIGS薄膜を形成した太陽電池の光電変換
効率は6−8%程度にとどまっている。
【0008】また、このSeの負イオンによるダメージ
を回避するために、CIGS薄膜を形成する際に、Se
供給のみをスパッタ法ではなく蒸着法で行う試みがなさ
れ、光電変換効率が10%を超す太陽電池が得られたと
いう報告がある(T.Nakada et al.“M
icrostructure Characteriz
ation for Sputter−Deposit
ed CuInSe2Films and Photo
voltaic Devices”Jpn.Appl.
Phys.34 1995.4715−4721の文献
参照)。
【0009】しかしながら、この方法では、CuやIn
の単体ターゲットの表面が蒸着によるSe蒸気によって
汚染されて、その表面にCuSeやInSeといった化
合物が生成されてしまい、スパッタリングが不安定にな
っている。
【0010】また、従来、CIGS薄膜による光吸収層
を形成する他の方法として、金属プリカーサ(前駆体)
薄膜を用いて、H2Seガス等のSeソースを用いた熱
化学反応でSe化合物を生成するセレン化法がある。
【0011】米国特許第4798660号明細書には、
DCマグネトロンスパッタリング法により、金属裏面電
極層→純Cu単独層→純In単独層の順に積層する構造
で形成した金属薄膜層をSe雰囲気、望ましくはH2S
eガス中でセレン化することで均一な組成のCIS単相
からなる光吸収層を形成することが開示されている。
【0012】米国特許第4915745号明細書には、
Cu−Ga合金層および純In層からなる積層プリカー
サ薄膜をSe雰囲気で熱処理してCIGS薄膜を形成す
ることが開示されている。この場合、CIGS薄膜に含
まれるGa成分が光吸収層の下側のMo電極層側に偏析
して、それが接着剤として作用して光吸収層とMo電極
層との間の密着性が高められて、太陽電池の特性が向上
するようになる。
【0013】特開平10−135495号明細書には、
金属プリカーサとして、Cu−Gaの合金ターゲットを
用いてスパッタ成膜された金属薄膜と、Inターゲット
を用いてスパッタ成膜された金属薄膜との積造構造によ
るものが示されている。
【0014】それは、図2に示すように、SLG(ソー
ダライムガラス)基板1に成膜されているMo電極層2
上にCIGS薄膜による光吸収層5を形成するに際し
て、先にCu−Gaの合金ターゲットT1を用いた第1
のスパッタ工程SPT−1によってCu−Ga金属薄膜
31を成膜し、次いで、InターゲットT2を用いた第
2のスパッタ工程SPT−2によってIn金属薄膜32
を成膜して、金属薄膜31,32による積層構造の金属
プリカーサ3′を形成するようにしている。そして、熱
処理工程HEATにおいて、その金属プリカーサ3′を
Se雰囲気中で熱処理することにより、CIGS薄膜に
よる光吸収層5を形成するようにしている。
【0015】しかし、Cu−Ga金属薄膜31とIn金
属薄膜32との積層構造による金属プリカーサ3′を形
成するのでは、成膜時やそのストック時に、その積層の
界面で固層拡散(固体間の拡散)による合金化反応が進
行して、Cu−In−Gaの3元合金が形成されてしま
う。また、後で行われるSe化工程においても合金化反
応は進行する。この金属プリカーサ3′の積層の界面に
おける合金化反応の進行をサンプル間で一様に管理する
ことは難しく(温度や時間等の合金化反応に関与するパ
ラメータの管理が必要となる)、得られる光吸収層5の
品質がばらついてしまう。そして、In層が凝集し、面
内での組成不均一が生じやすいものになってしまう。
【0016】そのため、Ga濃度をMo電極層2との界
面から表面に向かって低くなるようにGa濃度勾配をも
たせるようにすることが提案されている。
【0017】しかし、このような従来の光吸収層の形成
方法では、GaがMo電極層2とCu−In−Ga層と
の界面に偏析するために、Mo電極層2とCIGS薄膜
による光吸収層5との密着不良の問題をきたして、電池
特性の劣化の要因となっている。
【0018】その密着性改善策として、Mo電極層2上
にインジウムや鉛を電着して緩衝層とすることが考えら
れているが、さほどの効果が得られていない。また、M
o電極層2との界面にGa、TiまたはTeを積層した
うえで、CuInSe2を形成することで一応の効果が
得られているが、その理由は解明されていない(特開平
2−94669公報および特開平5−315633公報
参照)。
【0019】一般的に、裏面電極材料としてMoが採用
されている理由としては、導電率の観点からは最適材料
ではないが、それがCuInSe2と比較的反応しにく
く、入手しやすいためである。
【0020】また、特開平10−330936号明細書
には、スパッタリングにより成膜される基材の温度上昇
を抑制して、高速での成膜を可能にするべく、同種の材
料による一対のターゲットを対向して設けて、その対向
する空間を囲むように磁界をかけることにより、その空
間にスパッタプラズマを捕捉して、その空間に対面する
ように側方に配設した基材上に成膜させるようにした対
向ターゲット式のスパッタリング装置が開示されてい
る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、化合物半導体による薄膜太陽電池における裏面電
極となるMo電極上にGaを含むIb族系金属元素およ
びIIIb族系金属元素からなるプリカーサ薄膜を形成
して、Se雰囲気中で熱処理することによってCIGS
系の光吸収層を形成するに際して、Gaの融点が高いた
めに、CuInGaSe2中のGa濃度が高くなって結
晶化が不充分となり、Mo電極に対する密着性が悪くな
る(剥離しやすくなる)とともに、電池特性が劣化して
しまうことである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、化合物半導体
による薄膜太陽電池における裏面電極となるMo電極上
にGaを含むIb族系金属元素およびIIIb族系金属
元素からなるプリカーサ薄膜を形成して、Se雰囲気中
で熱処理することによってCIGS系の光吸収層を形成
するに際して、光吸収層の結晶化の不良による密着性の
低下に起因する電池特性の劣化を防止するべく、Mo電
極とプリカーサ薄膜との間にGa濃度をプリカーサ薄膜
よりも低くしたIb族系金属元素およびIIIb族系金
属元素からなる緩衝用薄膜を形成したうえで、その緩衝
用薄膜とプリカーサ薄膜とをSe雰囲気中で熱処理する
ことによってCIGS系の光吸収層を形成するようにし
ている。
【0023】
【実施例】本発明による光吸収層の形成方法にあって
は、図3に示すように、SLG基板1に成膜されている
Mo電極層2上にCIGS薄膜による光吸収層4を形成
するに際して、Ga濃度20%のCu−Gaの合金ター
ゲット(Ga/Cu+Ga:20wt%)T1およびI
nターゲットT2を設けた対向ターゲット式のArスパ
ッタによって、各ターゲット材料の各スパッタ粒子が混
り合った状態でCu+Ga+Inの緩衝用薄膜3を形成
する第1のスパッタ工程SPTIと、Ga濃度34%の
Cu−Gaの合金ターゲット(Ga/Cu+Ga:34
wt%)T3およびInターゲットT2を設けた対向タ
ーゲット式のArスパッタによって、各ターゲット材料
の各スパッタ粒子が混り合った状態でCu+Ga+In
のプリカーサ薄膜4を形成する第2のスパッタ工程SP
T2と、緩衝用薄膜3およびプリカーサ薄膜4をSe雰
囲気中で熱処理して、CIGS{Cu(In+Ga)S
e2}薄膜による光吸収層5を形成する熱処理工程HE
ATとをとるようにしている。
【0024】ここでは、緩衝用薄膜3を1000Åの膜
厚をもって、プリカーサ薄膜4を4000Åの薄膜をも
ってそれぞれ形成するようにして、Cu+Ga+Inの
トータル膜厚が5000Åとなるようにしている。
【0025】形成される光吸収層5のバンドエンジニア
リングを考えた場合には、この構造ではCIGS薄膜の
表面がワイドギャップとなるが、緩衝用薄膜3を100
0Åの膜厚とすることで、熱処理によるセレン化工程後
には光吸収層5に最適なバンド構造になる。
【0026】図4は、対向ターゲット式のスパッタリン
グによって、Cu−Gaの合金ターゲットT3およびI
nターゲットT2における各スパッタ粒子が混り合った
状態でCu+Ga+Inのプリカーサ薄膜4が形成され
るときのスパッタ粒子の状態を示している。
【0027】一対に設けられたCu−Gaの合金ターゲ
ットT3およびInターゲットT2のスパッタリングを
同時に行わせると、一方のターゲットからスパッタされ
た粒子が他方のターゲット表面に到達する。これにより
各ターゲット表面では双方のターゲット材料による金属
元素Cu,Ga,Inが混り合った状態になり、その状
態でさらにスパッタリングが行われて、双方のターゲッ
ト材料が混り合ったスパッタ粒子が先にスパッタリング
によって形成されている緩衝用薄膜3上に付着堆積して
Cu+Ga+Inのプリカーサ薄膜4が形成される。
【0028】その際、各ターゲットT3,T2からスパ
ッタされたCu−Ga粒子およびIn粒子の一部は他方
のターゲット表面に到達することなく、直接基材に向け
て飛び出すが、スパッタ粒子の飛び出し角度の確率から
して、混合されていないCu−Ga粒子およびIn粒子
の付着はきわめて少なく、混合されたスパッタ粒子によ
る基材への付着が支配的となる。
【0029】このように、本発明によれば、従来のよう
にCu−Ga薄膜とIn薄膜とが積層された金属プリカ
ーサとしてではなく(図2参照)、最初から各ターゲッ
トT3,T2からスパッタされたCu−Ga粒子および
In粒子が混り合った単層の金属プリカーサを形成させ
ることができる。
【0030】したがって、積層構造の金属プリカーサに
比べて、Cu,Ga,Inの金属元素が薄膜中に均一に
配され、金属元素間での固層拡散による合金化促進を抑
制できるようになる。また、後で行われる熱処理工程に
おいて、その金属プリカーサのセレン化を均等に行わせ
ることができるようになる。
【0031】結果として、化合物半導体による薄膜太陽
電池の性能劣下の要因となる異相(本来作成しようとし
ている結晶構造とは異なる結晶相)の抑制にも効果があ
る。また、このような金属プリカーサの成膜されたプリ
カーサ薄膜4はアモルファス疑似構造であることも高品
質なCIGS薄膜による光吸収層を得ることができる要
因となる。そして、そのプリカーサ薄膜4が3元合金の
堆積構造なので、電池としてのショートが生じにくいも
のとなる。
【0032】また、各ターゲットT3,T2の同時スパ
ッタによって、プリカーサ薄膜4の形成を高速で行わせ
ることができるようになる。
【0033】以上のことは、一対のターゲットT1,T
2を用いた対向ターゲット式のスパッタリングによって
緩衝用薄膜3を形成させる場合にも同様である。
【0034】そして、このようにCu,Ga,Inの金
属元素が薄膜中に均一に配された単層構造の緩衝用薄膜
3およびプリカーサ薄膜4をSe雰囲気中で熱処理する
ことによってセレン化することで、高品質なCu(In
+Ga)Se2のCIGS薄膜による光吸収層(p型半
導体)5を得ることができるようになる。
【0035】本発明によって光吸収層5を形成したとき
の太陽電池の光電変換効率が15%以上であることが確
認されている。
【0036】そして、その際、特に本発明によれば、G
a濃度の低い緩衝用薄膜3をMo電極層2とプリカーサ
薄膜4との間に介在させているので、セレン化時に他の
元素と比べて拡散速度の遅いGaによる結晶化の不良と
なる層の形成が抑制される。それにより、積層構造の薄
膜に比べ、構成元素を薄膜中に均一に配置することがで
き、構成元素間での固層拡散による合金化促進や後工程
のセレン化における構成元素の分布の不均一を抑制する
ことができ、光吸収層5の結晶化の不良による密着性の
低下に起因する電池特性の劣化を防止できるようにな
る。
【0037】結果として、CIGS太陽電池の性能劣化
の要因とされている異相(本来形成しようとして結晶構
成とは異なる結晶による相)の抑制にも効果がある。
【0038】このように合金化した単相構造の緩衝用薄
膜3およびプリカーサ薄膜4をセレン化法で熱処理する
ことで、Mo電極層2との界面での密着性が向上して、
後工程での膜剥離を生ずることがない高品位なCu(I
n+Ga)Se2による光吸収層(pタイプ半導体薄
膜)5が得られるようになる。
【0039】図5は、H2Seガス(濃度5%のArガ
ス希釈)を用いた熱処理によって、熱化学反応(気相S
e化)を生じさせて緩衝用薄膜3およびプリカーサ薄膜
4からCIGS薄膜による光吸収層5を形成する際の炉
内温度の特性の一例を示している。
【0040】ここでは、加熱を開始してから炉内温度が
100℃に達したら炉安定化のために10分間予熱する
ようにしている。そして、安定したランプアップ可能な
時間として30分かけて、炉内温度をSLG基板の反り
が発生しないように、かつ高熱処理で高品質結晶にする
ことができる500〜520℃にまで上げる。その際、
炉内温度が230〜250℃になった時点t1からH2
Seガスの熱分解によるSeの供給が開始される。そし
て、高熱処理によって高品質結晶とするために炉内温度
を500〜520℃に保った状態で、40分間熱処理す
るようにしている。
【0041】その際、加熱を開始してから炉内温度が1
00℃に達した時点から、低温でH2Seガスをチャー
ジして、炉内一定圧力に保った状態で熱処理する。そし
て、熱処理が終了したt2時点で、不要なSeの析出を
防ぐため、炉内を100Pa程度の低圧でArガスに置
換するようにしている。
【0042】図6は、本発明を適用して光吸収層を実際
に形成するための量産用の装置の一例を示している。
【0043】それは、ヒータ8によって内部が一定温度
に保持され、内部に予め多数用意されている基材(SL
G基板にMo電極層が成膜されているもの)9を順次供
給する基材供給室P1と、連続して供給される基材9を
搬送しながら、対向ターゲット式のスパッタリング部S
PT1において基材9に緩衝用薄膜3を形成し、続けて
対向ターゲット式のスパッタリング部SPT2において
その基材9の緩衝用薄膜3上にプリカーサ薄膜4を形成
するスパッタリング室P2と、そのスパッタリング室P
2から次々と送り出されてくる緩衝用薄膜3およびプリ
カーサ薄膜4が形成された基材9′を一時貯えて冷却す
る基材冷却室P3とからなるインライン成膜装置Aと、
基材冷却室P3において冷却した基材9′を複数一括し
てSe雰囲気中で熱処理するアニール装置Bとによって
構成されている。基材9,9′の搬送は、図示しないコ
ントローラの制御下において、スパッタリング部SPT
1、SPT2の動作状態に同期して行われるようになっ
ている。
【0044】なお、インライン成膜装置Aにおいて、G
a組成比の違うCu−Gaターゲットを複数用いること
で、傾斜プロファイルを実現できるようになる。
【0045】本発明は、対向ターゲット式のスパッタリ
ングによって緩衝用薄膜3およびプリカーサ薄膜4を形
成するに際して、一対のターゲット材料として、Cu−
Ga合金とInの組み合せに限らず、その他Cu−Ga
合金またはCu−Al合金とIn−Cu合金の組合せ、
CuとInまたはAlの組合せ、CuとIn−Cu合金
の組合せが可能である。基本的には、Ib族金属−II
Ib族金属の合金、Ib族金属、IIIb族金属のうち
の2種類を組み合せて用いるようにすればよい。
【0046】
【効果】以上、本発明にあっては、化合物半導体による
薄膜太陽電池における裏面電極となるMo電極上にGa
を含むIb族系金属元素およびIIIb族系金属元素か
らなるプリカーサ薄膜を形成して、Se雰囲気中で熱処
理することによってCIGS系の光吸収層を形成するに
際して、Mo電極とプリカーサ薄膜との間にGa濃度を
プリカーサ薄膜よりも低くしたIb族系金属元素および
IIIb族系金属元素からなる緩衝用薄膜を形成したう
えで、その緩衝用薄膜とプリカーサ薄膜とをSe雰囲気
中で熱処理することによってCIGS系の光吸収層を形
成するようにしたもので、光吸収層の結晶化の不良によ
る密着性の低下に起因する電池特性の劣化を防止して、
品質の良い光吸収層を形成することができるという利点
を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な化合物半導体による薄膜太陽電池の基
本的な構造を示す正断面図である。
【図2】従来の光吸収層の形成方法における金属プリカ
ーサを成膜してCIGS薄膜を形成するプロセスを示す
図である。
【図3】本発明の光吸収層の形成方法における緩衝用薄
膜およびプリカーサ薄膜を成膜してCIGS薄膜を形成
するプロセスを示す図である。
【図4】本発明における対向ターゲット式のスパッタリ
ングによってプリカーサ薄膜が形成されるときのスパッ
タ粒子の状態を示す図である。
【図5】本発明により緩衝用薄膜およびプリカーサ薄膜
をSe雰囲気中で熱処理してCIGS薄膜を形成する際
の加熱特性の一例を示す図である。
【図6】本発明を適用して光吸収層を実際に形成するた
めの量産用の光吸収層形成装置の一例を示す簡略構成図
である。
【符号の説明】
1 SLG基板 2 Mo電極層 3 緩衝用薄膜 4 プリカーサ薄膜 5 光吸収層 6 バッファ層 7 透明電極層 T1 Ga濃度の低いCu−Gaの合金ターゲット T2 Inターゲット T3 Ga濃度の高いCu−Gaの合金ターゲット SPT1 第1の対向ターゲット式スパッタリングによ
るスパッタ工程 SPT2 第2の対向ターゲット式スパッタリングによ
るスパッタ工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小丸 貴史 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA10 FA06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物半導体による薄膜太陽電池におけ
    る裏面電極となるMo電極上にGaを含むIb族系金属
    元素およびIIIb族系金属元素からなるプリカーサ薄
    膜を形成して、Se雰囲気中で熱処理することによって
    CIGS系の光吸収層を形成する方法にあって、Mo電
    極とプリカーサ薄膜との間にGa濃度をプリカーサ薄膜
    よりも低くしたIb族系金属元素およびIIIb族系金
    属元素からなる緩衝用薄膜を形成したうえで、その緩衝
    用薄膜とプリカーサ薄膜とをSe雰囲気中で熱処理する
    ことによってCIGS系の光吸収層を形成するようにし
    たことを特徴とする光吸収層の形成方法。
  2. 【請求項2】 Ib族系金属元素がCuであり、III
    b族系金属元素がAl,GaまたはInであることを特
    徴とする請求項2の記載による光吸収層の形成方法。
  3. 【請求項3】 緩衝用薄膜とプリカーサ薄膜とをスパッ
    タ法によって形成するようにしたことを特徴とする請求
    項1の記載による光吸収層の形成方法。
  4. 【請求項4】 対向ターゲット式スパッタ法によって、
    一対に設けられた異種ターゲット材料の各スパッタ粒子
    が混ざり合った状態で緩衝用薄膜とプリカーサ薄膜とを
    形成するようにしたことを特徴とする請求項2の記載に
    よる光吸収層の形成方法。
  5. 【請求項5】 一対のターゲット材料として、Ib族系
    金属−IIIb族系金属の合金、Ib族系金属、III
    b族系金属のうちの2種類を組み合せて用いたことを特
    徴とする請求項4の記載による光吸収層の形成方法。
  6. 【請求項6】 ヒータによって内部が一定温度に保持さ
    れ、内部に予め多数用意されている基板にMo電極層が
    成膜されている基材を順次供給する基材供給室と、連続
    して供給される基材を搬送しながら、第1の対向ターゲ
    ット式のスパッタリング部において基材に緩衝用薄膜を
    形成し、続けて第2の対向ターゲット式のスパッタリン
    グ部においてその基材の緩衝用薄膜上にプリカーサ薄膜
    を形成するスパッタリング室と、そのスパッタリング室
    から次々と送り出されてくる緩衝用薄膜およびプリカー
    サ薄膜が形成された基材を一時貯えて冷却する基材冷却
    室とからなるインライン成膜装置と、基材冷却室におい
    て冷却した基材を複数一括してSe雰囲気中で熱処理す
    るアニール装置とによって構成された光吸収層形成装
    置。
  7. 【請求項7】 第1および第2の各対向ターゲット式の
    スパッタリング部における一対のターゲット材料とし
    て、Gaを含むIb族系金属−IIIb族系金属の合
    金、Ib族系金属、IIIb族系金属のうちの2種類を
    組み合せて用いたことを特徴とする請求項6の記載によ
    る光吸収層の形成装置。
  8. 【請求項8】 第1の対向ターゲット式のスパッタリン
    グ部におけるターゲット材料のGa濃度を、第2の対向
    ターゲット式のスパッタリング部におけるターゲット材
    料のGa濃度よりも低くしたことを特徴とする請求項7
    の記載による光吸収層の形成装置。
JP2001402901A 2001-12-20 2001-12-20 光吸収層の形成方法および装置 Pending JP2003188396A (ja)

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