JP2003223895A - 二次電池電極用スラリー組成物、二次電池電極および二次電池 - Google Patents
二次電池電極用スラリー組成物、二次電池電極および二次電池Info
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Abstract
つ、使用量が少なくても結着性が良好なバインダーを含
有する電極用スラリー組成物を提供すること。 【解決手段】 N−メチルピロリドンに対する不溶分量
が50重量%以上であるフッ素非含有ポリマー(A)
と、N−メチルピロリドンに対する不溶分量が5重量%
以下であるフッ素非含有ポリマー(B)と、フッ素含有
ポリマー(C)と、前記ポリマー(C)を溶解する液状
媒体と、電極活物質と、を含有してなる二次電池電極用
スラリー組成物。
Description
リー組成物、それを用いて得られる二次電池電極および
該電極を有する二次電池に関する。
どの携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源と
して、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池
などの二次電池が多く用いられている。近年、携帯端末
には、より快適な携帯性が求められて小型化、薄型化、
軽量化、高性能化が急速に進み、二次電池にも小型化に
加えて一層の高性能化が要求されている。二次電池の高
性能化に向けて、電極、電解液、その他の電池部材の改
良が検討されており、特に重要な電極については、電極
活物質(以下、単に「活物質」ということがある。)や
集電体そのものの検討の他、活物質などを集電体に結着
するためのバインダーとなるポリマーの検討が鍵になっ
ている。電極は、通常、水や有機液体等の液状媒体にバ
インダーとなるポリマーを分散または溶解させ、これに
活物質および必要に応じて導電性カーボン等の導電付与
剤を混合して二次電池電極用スラリー組成物を得、この
二次電池電極用スラリー組成物を集電体に塗布し、乾燥
して製造される。
(サイクル特性)、および高レートでの充放電容量の維
持率(レート特性)の向上が必要である。電池容量は、
活物質の充填量に強く影響される。一方、レート特性は
電子の移動の容易さに影響されるのでレート特性の向上
にはカーボンなどの導電付与剤の増量が効果的である。
電池という限られた空間内で活物質と導電付与剤を増量
するには、バインダー量を低減する必要がある。しかし
ながら、バインダー量を低減すると活物質の結着性が損
なわれ、繰り返し充放電により集電体から活物質が剥離
してサイクル特性が悪化するという問題があった。この
ように、これまで、電池の高容量化やレート特性の向上
と、活物質の結着性やサイクル特性の向上とを両立させ
ることは困難であり、使用量が少なくても活物質を強く
結着できるバインダーが求められていた。
バインダーとしてはポリビニリデンフルオライド系重合
体などのフッ素系ポリマーが工業的に汎用されている。
フッ素系ポリマーをバインダーとして用いると流動性が
良く、固形分の沈降性の少ないスラリーが得られ、電極
の製造が容易であるが、結着力や柔軟性が不足している
ので多量に使用しなければならず、電池の高容量化やレ
ート特性の向上が難しいという問題があった。上記のフ
ッ素系ポリマーの欠点を改善するため、フッ素系ポリマ
ーを減量して他のポリマーと併用することが試みられて
いる。例えば、ブタジエン系ポリマーとの併用(特開平
6−215761号公報)、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ゴム(NBR)または水素化NBRとの併
用(特開平9−63590号公報)、アクリル系ポリマ
ーとの併用(特開平9−199132号公報)などであ
る。しかし、これらいずれによっても結着性が不十分
で、電池の高容量化やレート特性の向上とサイクル特性
の両立は困難であった。
明の目的は、流動性が良く、固形分の沈降性が少なく、
かつ、使用量が少なくても結着性が良好なバインダーを
含有する二次電池電極用スラリー組成物、および該スラ
リー組成物を用いて製造される電極を提供することであ
る。また本発明の他の目的は、電池の高容量化とレート
特性の向上を達成した二次電池を提供することである。
を達成すべく鋭意研究した結果、N−メチルピロリドン
に対する不溶分量が異なる2種のフッ素非含有ポリマー
と、フッ素含有ポリマーとからなるバインダーを用いる
ことにより、上記目的にかなう二次電池電極用スラリー
組成物および二次電池を安定して製造できることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
(5)が提供される。 (1) N−メチルピロリドンに対する不溶分量が50
重量%以上であるフッ素非含有ポリマー(A)と、N−
メチルピロリドンに対する不溶分量が5重量%以下であ
るフッ素非含有ポリマー(B)と、フッ素含有ポリマー
(C)と、前記ポリマー(C)を溶解する液状媒体と、
電極活物質と、を含有してなる二次電池電極用スラリー
組成物。 (2) 前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)の配
合割合が、(A)/(B)の重量比で、1/10〜10
/1であり、かつ、前記ポリマー(C)の配合量が、前
記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)の合計量に対し
て5〜80重量%となる量である前記(1)記載の二次
電池電極用スラリー組成物。 (3) 前記ポリマー(A)のガラス転移温度が−80
℃〜0℃である前記(1)または(2)記載の二次電池
電極用スラリー組成物。 (4) 前記ポリマー(B)のガラス転移温度が−80
℃〜0℃である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
二次電池電極用スラリー組成物。 (5) N−メチルピロリドンに対する不溶分量が50
重量%以上であるフッ素非含有ポリマー(A)と、N−
メチルピロリドンに対する不溶分量が5重量%以下であ
るフッ素非含有ポリマー(B)と、フッ素含有ポリマー
(C)とを有するバインダーと、電極活物質と、を含有
する混合層が集電体に結着してある二次電池電極。 (6) 前記(5)記載の電極を有する二次電池。
(7)〜(10)が提供される。 (7)前記二次電池電極がリチウムイオン正極である前
記(1)記載の二次電池電極用スラリー組成物。 (8)前記ポリマー(A)がアクリルゴムである前記
(7)記載の二次電池電極用スラリー組成物。 (9)前記ポリマー(B)が5〜80mol%のエチレ
ン単位を含有するポリマーである前記(7)記載の二次
電池電極用スラリー組成物。 (10)液状媒体がN−メチルピロリドンである前記
(7)記載の二次電池電極用スラリー組成物。
組成物(以下、単に「スラリー組成物」と記すことがあ
る。)は、電極活物質、それを集電体に結着するための
バインダーとなる重合体および液状媒体を含有してなる
ものである。本発明の二次電池電極用スラリー組成物に
おいて、バインダー全体としては液状媒体にある程度溶
解するが、完全には溶解しない特定のポリマーの組合せ
を使用する。その理由は、バインダーが液状媒体に溶解
することによりスラリー組成物が塗工に好適な高粘度に
なるようにし、かつ、バインダーがスラリー組成物中で
繊維状および粒子状を保持することによりバインダーが
活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害することのな
いようにするためである。
非含有ポリマーであるポリマー(A)およびポリマー
(B)と、フッ素含有ポリマーであるポリマー(C)と
を用い、液状媒体としてポリマー(C)を溶解するもの
を使用する。なお、本発明においてフッ素非含有ポリマ
ーとは実質的にフッ素含有モノマー単位を含まないポリ
マーであり、フッ素含有モノマー単位含有量は全モノマ
ー単位に対し1モル%以下である。ポリマー(A)は、
液状媒体や電解液によって溶解され難いポリマーとする
ためにN−メチルピロリドン(以下、「NMP」と記す
ことがある。)に対する不溶分、すなわちゲルを含有す
ることが必要である。ポリマー(A)のNMP不溶分量
は50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好
ましくは70重量%以上である。NMP不溶分量が過度
に小さいと電池のサイクル特性が低下するおそれがあ
る。本発明においてNMP不溶分量は、NMP20ミリ
リットルにポリマー0.2gを温度60℃で72時間浸
漬した後、80メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾
燥して求めた重量を浸漬前のポリマー重量(0.2g)
で除して求められる百分率で表わす。液状媒体に不溶性
のフッ素非含有ポリマー(A)は、通常、ガラス転移温
度(以下、「Tg」と記すことがある。)が−80〜0
℃であり、好ましくは−60〜−5℃、より好ましくは
−50〜−10℃である。
量を有するようにするためには、多官能エチレン性不飽
和モノマーを含有するモノマーを用いて架橋重合体を形
成させることが好ましい。多官能エチレン性不飽和モノ
マーの使用量は、ポリマー(A)製造のための全モノマ
ー使用量に対する割合が、通常、0.3〜5重量%、好
ましくは0.5〜3重量%になるようにする。
ては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレ
ンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジ
メタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ
メタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ジ
エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル
類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのト
リアクリル酸エステル類;ブタジエン、イソプレンなど
のジエン類などが挙げられる。上記の各特性を備えたポ
リマー(A)の例としては、アクリル酸2−エチルヘキ
シル−メタクリル酸−アクリロニトリル−エチレングリ
コールジメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−
アクリル酸−トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト共重合体などのアクリルゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエンゴムなどが挙げられる。
05〜1000μm、好ましくは0.01〜100μ
m、より好ましくは0.05〜10μmである。粒子径
が大きすぎるとバインダーとして必要な量が多くなりす
ぎ、電極の内部抵抗が増加する。逆に、粒子径が小さす
ぎると活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害してし
まう。ここで、粒子径は、透過型電子顕微鏡写真で無作
為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算
術平均値として算出される個数平均粒子径である。
量%以下のフッ素非含有ポリマーである。ポリマー
(B)が持つ好適なポリマー構造は、特に制限はない
が、重合体を構成する繰り返し単位の中でエチレン単位
含有量が5〜95モル%存在することが好ましく、35
〜90モル%存在することがより好ましく、40〜80
モル%存在することが特に好ましい。エチレン単位含有
量が過度に少ないと、ポリマー(B)の溶液がチクソト
ロピー性でなくなり電極用スラリーを塗工しにくくなる
おそれがあり、逆に、過度に多いと、ポリマー(B)が
電極用スラリー組成物の液状媒体に溶解し難くなる。
ー(B)は、エチレンを原料モノマーの一部として用い
てエチレン単位含有量が上記範囲になるよう重合したも
のでもよいし、あるいは、ブタジエンなどの共役ジエン
類のモノマーを原料モノマーの一部に用いて得られた重
合体を水素化することにより上記範囲のエチレン単位含
有量を有するようにしたものでもよい。後者の方法によ
る場合、耐酸化性を低下させないために、不飽和結合の
割合が小さいことが好ましいので、ヨウ素価は15以下
であることが好ましい。
重合可能なモノマー単位を有していてもよい。共重合可
能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、ア
クリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル
酸エトキシエチルなどのアクリル酸エステル類;メタク
リル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタク
リル酸n−ラウリルなどのメタクリル酸エステル類;2
−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン類;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル
化合物;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソ
ブテン、3−メチル−1−ブテンなどのα−オレフィン
モノマー;などが挙げられる。ポリマー(B)は、ブロ
ック重合体であってもランダム重合体であってもよい。
ポリマー(B)の好ましい例としては、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体水素化物、エチレン−アクリル
酸メチル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体などが挙げられる。
くは−80〜0℃であり、より好ましくは−60〜−5
℃であり、特に好ましくは−40〜−10℃である。T
gが高すぎるとポリマー(B)が活物質などと集電体上
に形成する混合層に柔軟性がなく、電池の充放電を繰り
返すと混合層にクラックが生じて活物質が集電体から脱
落しやすくなるおそれがある。また、Tgが低すぎると
電池容量が低下する可能性がある。
するフッ素含有ポリマーは、フッ素含有モノマー単位を
50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ま
しくは80モル%以上含み、液状媒体に可溶性のポリマ
ーである。フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリ
デン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピ
レン、三フッ化塩化ビニル、フッ化ビニル、パーフルオ
ロアルキルビニルエーテルなどが挙げられるが、フッ化
ビニリデンが好ましい。フッ化ビニリデン以外のフッ素
含有モノマーを使用する場合は、その全量が全フッ素含
有モノマーの好ましくは30モル%以下、より好ましく
は20モル%以下となるようにフッ化ビニリデンと併せ
て使用する。ポリマー(C)は、フッ素含有モノマーと
共重合可能なフッ素非含有モノマー単位を50モル%以
下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モ
ル%以下有していてもよい。フッ素非含有モノマー単位
の含有量が多すぎると、電解液に対する耐溶剤性が低下
して電極から活物質が脱落しやすくなるおそれがある。
ーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの
1−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、p−
t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン
などの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル
(アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルの略記。
以後同様。)などの不飽和ニトリル化合物;(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル
酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド
化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、
クロトン酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有ビニ
ル化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリ
ル酸グリシジルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリルジメチルアミノエチル、(メタ)アク
リル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和
化合物;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メ
タ)アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和化
合物;3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパン硫酸な
どの硫酸基含有不飽和化合物;(メタ)アクリル酸−3
−クロロ−2−燐酸プロピル、3−アリロキシ−2−ヒ
ドロキシプロパン燐酸などの燐酸基含有不飽和化合物な
どが挙げられる。
リマー(C)の製法は特に限定されない。例えば、乳化
重合法、懸濁重合法、分散重合法または溶液重合法など
の公知の重合法により重合して得ることができる。ポリ
マー(A)は乳化重合法で製造することが、液状媒体に
分散したときの粒子径の制御が容易であるので好まし
い。
活物質100重量部に対して、通常、0.1〜5重量
%、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.
5〜2重量%である。全バインダー量が少なすぎると電
極から活物質が脱落しやすくなるおそれがあり、逆に多
すぎると活物質がバインダーに覆い隠されて電池反応が
阻害される可能性がある。
は、通常、10/1〜1/10、好ましくは1/5〜5
/1、より好ましくは1/3〜3/1である。ポリマー
Aの重量比率を小さくしすぎると結着性、柔軟性が低下
するおそれがあり、逆に大きくしすぎるとスラリー組成
物の流動性が低下する可能性がある。また、ポリマー
(C)の配合量は、ポリマー(A)とポリマー(B)の
合計量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜60
重量%、より好ましくは20〜50重量%である。ポリ
マー(C)の配合量をポリマー(A)とポリマー(B)
の合計量の80重量%より大きくすると、結着性、柔軟
性が低下してサイクル特性が低下するおそれがある。逆
に、5重量%より小さくするとスラリー組成物の活物質
沈降性が改善されない可能性がある。
用いる液状媒体は、ポリマー(C)を溶解する液体であ
れば特に制限されないが、常圧における沸点が好ましく
は80℃以上350℃以下、より好ましくは100℃以
上300℃以下のものである。かかる液状媒体の例とし
ては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げら
れる。中でもN−メチルピロリドンが、集電体への塗布
性やポリマー(A)の分散性が良好なので特に好まし
い。本発明において液状媒体の量は、バインダーや後述
する電極活物質および導電付与剤の種類に応じ、塗工に
好適な粘度になるように調整して用いる。バインダー、
電極活物質および導電付与剤を合わせた固形分の濃度は
50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%であ
る。
配合される電極活物質は、二次電池の種類により異な
る。リチウムイオン二次電池の場合、負極活物質、正極
活物質とも、通常のリチウムイオン二次電池電極の製造
に使用されるものであればいずれであっても用いること
ができる。負極活物質としては、アモルファスカーボ
ン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビ
ーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材
料、ポリアセン等の導電性高分子などが例示される。
NiO2、LiMnO2、LiMn 2O4などのリチウ
ム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質M
oS 3などの遷移金属硫化物;Cu2V2O3、非晶質
V2O−P2O5、MoO3、V2O5、V6O13な
どの遷移金属酸化物;が例示される。さらに、ポリアセ
チレン、ポリp−フェニレンなどの導電性高分子など有
機系化合物を用いることもできる。
は、通常のニッケル水素二次電池で使用されるものであ
れば、いずれも用いることができ、負極活物質として
は、水素吸蔵合金を用いることができる。また、正極活
物質としては、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル
などを用いることができる。
は、必要に応じて導電付与剤が添加される。導電付与剤
としては、リチウムイオン二次電池ではグラファイト、
活性炭などのカーボンが用いられる。ニッケル水素二次
電池で用いられる導電付与剤は、正極では酸化コバル
ト、負極ではニッケル粉末、酸化コバルト、酸化チタ
ン、カーボンなどを挙げることができる。上記両電池に
おいて、カーボンとしては、アセチレンブラック、ファ
ーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレン類を挙げ
ることができる。中でも、アセチレンブラック、ファー
ネスブラックが好ましい。導電付与剤の使用量は、活物
質100重量部あたり、通常、1〜20重量部、好まし
くは2〜10重量部である。
は、スラリー中に、電極活物質の凝集体が残らないよう
な混合機と、必要にして十分な分散条件とを選択する必
要がある。分散の程度は粒ゲージにより測定可能である
が、少なくとも100μmより大きい凝集物が無くなる
ように混合分散すべきである。混合機としては、ボール
ミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散
機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバート
ミキサーなどが例示される。
電体に、本発明の二次電池電極用スラリーを塗布し、乾
燥することにより、バインダーおよび活物質を、さらに
必要により加えられた導電付与剤、増粘剤などを含有す
る混合層を結着させてなるものである。本発明の二次電
池電極は、正極、負極のいずれにも使用することがで
き、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次
電池の正極に用いるのがより好ましい。集電体は、導電
性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウ
ムイオン二次電池では、鉄、銅、アルミニウム、ニッケ
ル、ステンレスなどの金属製のものであるが、特に正極
にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、本発明のバ
インダー組成物の効果が最もよく現れる。ニッケル水素
二次電池では、パンチングメタル、エキスパンドメタ
ル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ
樹脂板などを挙げることができる。集電体の形状は特に
制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程
度のシート状のものである。
されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、
リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、
エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げら
れる。塗布するスラリー量も特に制限されないが、液状
媒体を乾燥して除去した後に形成される、活物質、バイ
ンダーなどからなる混合層の厚さが、通常、0.005
〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般
的である。乾燥方法も特に制限されず、例えば温風、熱
風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子
線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥速度は、
通常は応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活
物質層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の
中で、できるだけ早く液状媒体が除去できるように調整
する。更に、乾燥後の集電体をプレスすることにより電
極の活物質の密度を高めてもよい。プレス方法は、金型
プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。
や電解液を含み、セパレーター等の部品を用いて、常法
に従って製造されるものである。具体的な製造方法とし
ては、例えば、負極と正極とをセパレーターを介して重
ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして
電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口す
る。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円
筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
のであれば、液状でもゲル状でもよく、負極活物質、正
極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するも
のを選択すればよい。電解質としては、リチウムイオン
二次電池では、従来より公知のリチウム塩がいずれも使
用でき、LiClO4、LiBF4、LiPF6、Li
CF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB1
0Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、L
iB(C2H5)4、LiCF3SO3、LiCH3S
O3、LiC4F9S3、Li(CF3SO2)2N、
低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられる。ま
た、ニッケル水素二次電池では、例えば、従来公知の濃
度が5モル/リットル以上の水酸化カリウム水溶液を使
用することができる。
れるものではない。具体例としてはプロピレンカーボネ
ート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、
ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロ
ラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、1,
2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキ
シエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒド
ロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなど
のスルホキシド類等が挙げられ、これらは単独もしくは
二種以上の混合溶媒として使用することができる。
が、本発明はこれらに限定されない。なお、以下で記す
「部」および「%」は、特記しない限り重量基準であ
る。実施例および比較例における操作および試験は以下
の方法によった。
選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その平均値
として算出される個数平均粒子径として求めた。 (2)ガラス転移温度(Tg) バインダーとなる重合体のTgは、示差走査型熱量計
(DSC)により、昇温速度10℃/分で測定した。 (3)エチレン単位含有量 ポリマーのエチレン単位含有量は、1H−および13C
−NMR測定により求めた。
P20ミリリットルに60℃、72時間浸漬した後、8
0メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾燥して求めた
重量の、浸漬前の重量に対する百分率で示した。 (5)スラリー粘度 温度23℃においてBrookfield L型粘度計
でローター番号4、回転数6rpmで1分間回転後の粘
度を求めた。 (6)スラリー沈降性 スラリーを高さ40mm、容積5ccの円筒ガラス瓶に
高さ25mmになるように仕込み、密栓をして静置し、
24時間後にガラス瓶中のスラリーの上部5mm相当を
サンプリングし、固形分濃度を測定した。下式により固
形分濃度の変化率を求めた。変化率の値が小さいほどス
ラリー沈降性の度合いが小さい。 変化率(%)={1−(経時上層固形分濃度/初期固形
分濃度)}×100
池正極用スラリー組成物をアルミニウム箔(厚さ20μ
m)にドクターブレード法によって均一に塗布し、12
0℃、15分間乾燥機で乾燥した。さらに真空乾燥機に
て0.6kPa、120℃で2時間減圧乾燥した後、2
軸のロールプレスによって電極密度が3.2g/cm3
となるように圧縮してリチウムイオン二次電池正極を得
た。得られた正極を幅3cm×長さ9cmの矩形に切っ
て机上に置き、長手方向の中央(4.5cmの所)の上
に短手方向に横たえた直径1mmのステンレス丸棒を半
周巻いて180°折り曲げたときの折り曲げ部分外側の
塗膜(混合層)の状態を、10枚の電極片について個別
に観察し、10枚全てにひび割れまたは剥がれが全く生
じていない場合を○、1枚以上に1箇所以上のひび割れ
または剥がれが生じた場合を×と評価した。
極から、長さ100mm、幅25mmの長方形を塗布方
向が長辺となるように切り出して試験片とする。試験片
の混合層面全面にセロハンテープを貼り付けた後、試験
片の一端のセロハンテープ端と集電体箔端を垂直方向に
引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応
力を測定する。応力が大きいほど混合層の集電体への結
着力が大きいと判断する。単位は(N/cm)である。
す方法で得た正極および負極を直径15mmの円形に切
り抜き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピ
レン製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、互い
に活物質が対向し、外装容器底面に正極のアルミニウム
箔が接触するように配置し、さらに負極の上にエキスパ
ンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置し
たステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、
高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に
収納した。この容器中に下記の電解液を空気が残らない
ように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装
容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶ
せて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約
2mmのコイン型電池を製造した。電解液はエチレンカ
ーボネート/エチルメチルカーボネート=33/67
(20℃での体積比)にLiPF6を1モル/リットル
の濃度で溶解した溶液を用いた。
し、定電流法(電流密度:0.5mA/g−活物質)で
1.2Vに充電し、3Vまで放電する充放電を各5回繰
り返し、その都度電池容量を測定する。繰り返し測定し
た電池容量の平均値を評価結果とする。単位は(mAh
/g)である。 (11)レート特性 測定条件を、定電流量を1Cに変更したほかは、電池容
量の測定と同様に各定電流量における3サイクル目の放
電容量〔単位=mAh/g:活物質当たり(以下、電気
容量に関しては同じ)〕を測定した。3サイクル目にお
ける0.1Cでの放電容量に対する1Cでの放電容量の
割合を百分率で算出した。この値が大きいほど、高速充
放電が可能なことを示す。
を下記に示す(単位:モル%)。 アクリルゴムa アクリル酸2−エチルヘキシル 70 メタクリロニトリル 25 メタクリル酸 4 ジエチレングリコールジアクリレート 1 アクリルゴムb アクリル酸ブチル 65 アクリロニトリル 26 メタクリル酸 8 ジエチレングリコールジアクリレート 1
コバルト酸リチウム(LiCoO2)100部と、フッ
素非含有ポリマー(A)成分としてアクリルゴムaをN
MPに分散した分散液を固形分基準で0.6部とを仕込
み、固形分濃度85%で2時間混練、分散した。次いで
導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社
製、HS−100)3部とフッ素非含有ポリマー(B)
成分として水素化NBRをNMPに溶解した溶液を固形
分基準で0.2部とを顔料分散機で分散、調製したカー
ボン塗料(固形分濃度35%)12.8部とフッ素含有
ポリマー(C)成分としてPVDFをNMPに溶解した
溶液を固形分基準で0.2部とをプラネタリーミキサー
に仕込み、固形分濃度80%で1時間混合してリチウム
イオン二次電池正極用スラリーを得た。スラリーの粘度
は7,800mPa・s、スラリー沈降性の変化率は3
時間で4.2%であった。このスラリーを用いて作製し
た電極および二次電池の特性を試験した結果を表1に記
す。
を用いてスラリーを調製し、スラリー、スラリーを用い
て作製した電極および二次電池の特性を試験した。試験
結果を表1および表2に記す。なお、固形分濃度はB型
粘度計ロータ番号4、6rpmの粘度で7000〜90
00mPa・sになるように調製した。
用スラリー組成物はいずれも沈降性が3時間で6%以下
と極めて沈降しがたく、これらを用いて作製された電極
は総て折り曲げ試験および結着力に優れ、これらの電極
を有する二次電池は高容量で高レート特性を示した(実
施例1〜5)。特に各実施例はバインダーの総量が少量
でもこれら本発明の効果が得られることを示している。
一方、表2に見られるように、NMP可溶性フッ素含有
ポリマーのみをバインダーとして用いたスラリー組成物
は、沈降しにくい長所があるものの、結着力が不十分
で、電極は折り曲げ試験が不良で、電池作成時に活物質
が剥離したため容量、レート特性は測定不可能であった
(比較例1)。NMP可溶性フッ素含有ポリマーと、N
MP不溶分5%以下のフッ素非含有ポリマーの2種を併
用するバインダーを使用したスラリー組成物は、沈降し
にくいが、フッ素含有ポリマーが2.7部では混合層の
結着力が不足するので、電極は折り曲げ試験が不良で、
二次電池は容量、レート特性ともに小さかった(比較例
2)。また、これら2種のバインダーを併用し、しかも
フッ素含有ポリマーを10部と多量用いると、混合層の
結着力は大きいが柔軟性が低下し、折り曲げ試験が不良
で、電池容量、レート特性ともに低下した(比較例
3)。NMP不溶分50%以上含有するフッ素非含有ポ
リマーと、NMP可溶性のフッ素含有ポリマーとの併用
バインダーを使用すると、スラリーは沈降しにくいもの
の、混合層の結着力は小さく、二次電池の容量およびレ
ート特性はある程度の改善が見られるに留まった(比較
例4)。また、NMP不溶分50%以上含有するフッ素
非含有ポリマーのみをバインダーに用いると、スラリー
組成物の沈降性が大きく、電極は結着力大きいものの、
電池容量およびレート特性は低かった(比較例5)。
沈降性が少なく、かつ、使用量が少なくても結着性が良
好なバインダーを含有する電極用スラリー組成物、およ
び該スラリー組成物を用いて製造される電極が提供され
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 N−メチルピロリドンに対する不溶分量
が50重量%以上であるフッ素非含有ポリマー(A)
と、 N−メチルピロリドンに対する不溶分量が5重量%以下
であるフッ素非含有ポリマー(B)と、 フッ素含有ポリマー(C)と、 前記ポリマー(C)を溶解する液状媒体と、 電極活物質と、を含有してなる二次電池電極用スラリー
組成物。 - 【請求項2】 前記ポリマー(A)と前記ポリマー
(B)の配合割合が、(A)/(B)の重量比で、1/
10〜10/1であり、かつ、前記ポリマー(C)の配
合量が、前記ポリマー(A)と前記ポリマー(B)の合
計量に対して5〜80重量%である請求項1記載の二次
電池電極用スラリー組成物。 - 【請求項3】 前記ポリマー(A)のガラス転移温度が
−80℃〜0℃である請求項1または2記載の二次電池
電極用スラリー組成物。 - 【請求項4】 前記ポリマー(B)のガラス転移温度が
−80℃〜0℃である請求項1〜3のいずれかに記載の
二次電池電極用スラリー組成物。 - 【請求項5】 N−メチルピロリドンに対する不溶分量
が50重量%以上であるフッ素非含有ポリマー(A)
と、 N−メチルピロリドンに対する不溶分量が5重量%以下
であるフッ素非含有ポリマー(B)と、 フッ素含有ポリマー(C)とを有するバインダーと、 電極活物質と、を含有する混合層が集電体に結着してあ
る二次電池電極。 - 【請求項6】 請求項5記載の電極を有する二次電池。
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