JP4412443B2 - リチウムイオン二次電池負極用増粘剤およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極用増粘剤およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池負極用増粘剤、リチウムイオン二次電池負極用スラリー、リチウムイオン二次電池負極およびリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型パソコン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源に用いられている二次電池には、リチウムイオン二次電池が多用されている。携帯端末は、より快適な携帯性が求められて小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進み、様々な場で利用されるようになった。この動きは今も続き、電池にも、小型化、薄型化、軽量化、高性能化がなお要求されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とをセパレーターを介して設置し、LiPF6 、LiBF6 のようなリチウム塩をエチレンカーボネート等の有機液体に溶解させた電解液と共に容器内に収納した構造を有するもので、負極は、活物質であるリチウムイオン吸蔵・放出可能な炭素質材料、および、必要に応じて導電付与剤のアセチレンブラックなどを、銅などの集電体に二次電池電極用バインダーにより相互に結着したものである。正極は、活物質であるLiCoO2など、および、必要に応じて前記同様の導電付与剤を、アルミニウムなどの集電体に二次電池電極用バインダーにより相互に結着したものである。
上記負極および正極は、通常、バインダーおよび増粘剤を水に溶解、または分散させ、これに活物質、必要に応じて導電付与剤などを混合して得られる電極用スラリー(以下、単にスラリーということがある。)を集電体に塗布して、水を乾燥することにより、混合層として結着させて形成される。
これまで、水媒体用のバインダーとして、スチレン−ブタジエンゴムなどのジエン系ゴムが使用されている。増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロポキシセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(CMC−Na)、ポリアクリル酸ソーダなどが挙げられるが、この中でCMC−Naがよく用いられている。しかし、CMC−Naはじめ上記の増粘剤は電気抵抗が大きくなる欠点があり、電池のサイクル特性を損なう問題を有していた。
最近では、携帯端末の使用時間の延長や充電時間の短縮などの要望が高まり、電池の高容量化と充電速度(レート特性)の向上が急務となっている。電池容量は、活物質の量に強く影響され、レート特性は電子の移動の容易さに影響される。電池という限られた空間内で活物質を増加させるには、バインダーおよび増粘剤の量を抑えることが有効であるが、バインダーおよび増粘剤の量を少なくすると活物質の結着が損なわれるので減量には限りがある。また、バインダーおよび増粘剤は非導電性で電子の移動を妨げる。そのため導電付与剤を増加してレート特性の向上を図ろうとすると、それに伴って活物質使用量を制限することになるので電池容量の向上は望みにくい。
このように、これまで、電池の高容量化とレート特性の向上とを両立させることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記状況のもと本発明者らは、電池容量の高い二次電池であるリチウムイオン二次電池を基に、さらに電池の高容量化とレート特性の向上とを実現すべく鋭意研究した結果、負極用スラリーの増粘剤として、特定のモノマーを重合して得られる共重合体を添加すると、従来の増粘剤より添加量を削減でき、バインダーの結着性を損なうことなく、電池容量とレート特性が向上することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、
(1)(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体からなるリチウムイオン二次電池負極用増粘剤、
(2)前記共重合体が、濃度2重量%でpH7の水溶液の粘度が温度25℃において300〜20,000mPa・sである上記(1)に記載のリチウムイオン二次電池負極用増粘剤、
(3)(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体と、水不溶のバインダーと、負極活物質と、水とを含有するリチウムイオン二次電池負極用スラリー、
(4)負極活物質100重量部に対して、前記共重合体0.1〜4重量部、水不溶のバインダー0.1〜4重量部および水40〜130重量部を含有する上記(3)に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー、
(5)集電体に、少なくとも前記共重合体と、水不溶のバインダーと、負極活物質とを含有する混合層を結着してあるリチウムイオン二次電池負極、および、
(6)上記(5)に記載のリチウムイオン二次電池負極を有するリチウムイオン二次電池、
が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
本発明では、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレネーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体Aを、リチウムイオン二次電池負極用スラリーにおける増粘剤として使用する。
(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物としては、下記一般式(I)で表される単量体である。
【0007】
【化1】
Figure 0004412443
【0008】
ここで、R は水素またはメチル基であり、アルキレン基R は炭素数2〜30、好ましくは2〜10,より好ましくは2〜4である。整数nは1〜100、好ましくは4〜50、より好ましくは8〜25である。また、R は炭素数1〜40、好ましくは10〜30、より好ましくは12〜20の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基である。R の炭素数、nおよびR の炭素数のいずれも大きすぎると、後述の負極用スラリーが高粘度で塗布しにくくなる可能性がある。
【0009】
(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物の具体例としては、アクリル酸ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アクリル酸ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、アクリル酸ポリオキシプロピレンテトラデシルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンデシルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンシクロヘキシルエチルエーテル、メタクリル酸ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシプロピレン−2,4−ビス(α−メチルベンジル)フェニルエーテルなどが挙げられる。共重合体Aに占める(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物由来繰り返し単位の含有量は、通常、0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%である。(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物由来繰り返し単位の含有量が過度に少ないと、水溶液の粘度増加効果が不足するおそれがある。逆に、上記単量体由来繰り返し単位の含有量が過度に多いと、高粘度になって塗布性が悪くなる可能性がある。
【0010】
共重合体Aのもう一方の必須の原料単量体であるエチレン性不飽和カルボン酸には特に制限がなく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの不飽和ジカルボン酸;ジカルボン酸の酸無水物およびモノアルキルエステルなどを使用することができる。これらの中でもアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。共重合体Aに占めるエチレン性不飽和カルボン酸由来の繰り返し単位の含有量は、通常、20〜99.9重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸由来繰り返し単位の含有量が少なすぎても、多すぎても、水溶液の粘度増加作用が不足するおそれがある。
【0011】
共重合体Aは、上記の(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸に加えて必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体由来の繰り返し単位を含有してもよい。そのような他の単量体としては、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、芳香族ビニル、エチレン性不飽和ニトリル、グリシジル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、アミノ基含有単量体などがある。これらの中でも、エチレン性不飽和カルボン酸エステルが、共重合体Aのガラス転移温度(以下、Tgと記すことがある。)調整や併用するバインダーとの相溶性改良などに有用である。
【0012】
上記エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nーブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nーブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル;
【0013】
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸n-アミル、クロトン酸イソアミル、クロトン酸 n-ヘキシル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸エステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有メタクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのアルコキシ基含有メタクリル酸エステル;などのエチレン性不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸エステルの中でもアルキル基部分の好ましい炭素数は1〜8、より好ましくは1〜4である。
また、これらのアルキル基にリン酸基、スルホン酸基またはホウ酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルもエチレン性不飽和カルボン酸エステルの例として挙げられる。
共重合体Aに占めるエチレン性不飽和カルボン酸エステル由来繰り返し単位の含有量は、通常、0〜79.9重量%が好ましく、好ましくは0〜69.9重量%、より好ましくは0〜59.9重量%である。この含有量が大きすぎると十分な水溶液粘度が得られないおそれがある。
共重合体AのTgは、通常、−100〜200℃、好ましくは−50〜100℃、より好ましくは−10〜80℃で、Tgが過度に低いと凝集力が小さくなって結着性が低下するおそれがあり、逆に、過度に高いと共重合体の強度が弱くなって結着性が低下する可能性がある。
【0014】
増粘剤である共重合体Aを得る重合法としては特に制限されず、通常の乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、溶液重合法などを用いることができる。
乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの水媒体の重合を行うに際しては、乳化剤、分散剤、重合開始剤、分子量調整剤などの重合副資材を適宜使用することができる。
共重合体Aの重合のための乳化剤としては、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性乳化剤を用いることが好ましい。重合性乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン燐酸エステルナトリウムなどのアニオン性重合性乳化剤;ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルなどのノニオン性重合性乳化剤が挙げられる。
【0015】
また、上記共重合体Aの重合に際して、通常の乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などで用いられるアニオン性乳化剤やノニオン性乳化剤も使用できる。具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩などのアニオン性乳化剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのノニオン性乳化剤などが例示される。これらは単独で、または2種類以上を併せて用いられる。分散剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロポキシセルルースなどの繊維素誘導体:ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
乳化剤や分散剤の添加量は任意に設定でき、単量体総量100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0016】
重合開始剤は、通常の乳化重合、分散重合、懸濁重合などで用いられるものでよい。例えば、水溶性のものとしては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素などが挙げられる。また、油溶性のものとしては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などがあり、これらは単独または酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などの還元剤と併用したレドックス系重合開始剤によっても重合でき、また、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノイック酸)、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物などを使用することもでき、これらは単独または2種類以上を併せて使用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体総量100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0017】
また、共重合体Aの重合度調整のために連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマーなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができ、単量体100重量部に対して、通常、0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
重合温度および重合時間は、重合法や使用する重合開始剤の種類などにより任意に選択できるが、通常約50〜200℃であり、重合時間は0.5〜20時間程度である。アミン類などの添加剤を重合助剤として用いることもできる。
【0018】
増粘剤である共重合体Aの重合反応終了後の水溶液のpHは、安定な水溶性を確保するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物やアンモニア水などでpH調整し、pH6以上、好ましくは6.5〜12、より好ましくは7〜10にする。pHが過度に低いと増粘剤としての効果が小さくなるおそれがある。アルカリ金属水酸化物は、濃度1〜20重量%の水溶液として使用することが好ましい。
共重合体Aの水溶液の粘度は、濃度2重量%で、pH7の、温度25℃にけるBrookfield型粘度計による測定で、通常、300〜20,000mPa・s、好ましくは500〜10,000mPa・s、より好ましくは1,000〜8,000mPa・sである。粘度が300mPa・s未満だと、後述の負極スラリーを作製したときの塗布性が悪く、必要な厚みに塗工できないおそれがある。
【0019】
本発明においてリチウムイオン二次電池負極用スラリーとして、上記増粘剤の共重合体Aと、水不溶のバインダーと、負極活物質と、必要に応じて導電付与剤とを混合した水性分散液を使用する。
バインダーとしては、水不溶で、電極活物質や集電体に対する結着性を有し、柔軟性のある粒子を使用する。そのようなバインダーとしてゴム質重合体の粒子が好ましい。
ゴム質重合体としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム(MBR)、アクリルゴムなどのTgが5℃以下のゴム質重合体が挙げられる。これらは1種または2種以上混合して使用することができ、ラテックス状態で使用することが好ましい。
ゴム質重合体のなかでは、SBRが好ましく、特に、スチレン単量体単位の含有率が20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%で、ゲル含有率が20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%のSBRが好ましい。スチレン単量体単位は、少なすぎると電池容量が低下するおそれがあり、多すぎるとTgが高くなって結着性が低下する可能性がある。また、ゲルは少なすぎても多すぎても結着性が低下するおそれがある。ここで、ゲル含有率は、テトラヒドロフランに溶解させ、80メッシュの金網で採取した不溶分のSBR全体に対する割合である。
【0020】
上記ゴム質重合体は、乳化重合により製造されたものが粒子径および粒子形状の点で好ましい。ゴム質重合体粒子は、平均粒子径が、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜2μmであり、形状は球形のものが好ましい。平均粒子径が大きすぎると、バインダーとして必要な量が多くなりすぎて電極の内部抵抗が増加するおそれがある。逆に、平均粒子径が小さすぎると電極活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害する可能性がある。なお、粒子径は、透過型電子顕微鏡写真でゴム質重合体粒子100個の粒子の径を測定し、その平均値として算出される個数基準の平均粒子径である。
また、ゴム質重合体の粒子構造としては、コア−シェル構造や、いいだこ状構造、ラズベリー状構造などの異形構造を持ったもの(「接着」34巻1号第12〜23頁、特に第17頁記載の図参照)であってもよい。
【0021】
本発明において二次電池負極は、上記リチウムイオン二次電池負極用スラリーを集電体に塗布してから媒体の水を乾燥などの方法で除去することにより、少なくとも共重合体A、バインダーおよび負極活物質を含み、必要に応じてこれに導電付与剤などを加えた混合層を結着させて形成される。
負極活物質100重量部あたりの共重合体Aの使用量は、通常、0.1〜4重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。共重合体Aが過度に少ないと二次電池負極用スラリーの粘度が低すぎて混合層の厚みが薄くなるおそれがあり、逆に、共重合体Aが過度に多いと放電容量が低下する可能性がある。
また、負極活物質100重量部あたりのバインダーの使用量は、通常、0.1〜4重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。バインダーが過度に少ないと結着性が低下するおそれがあり、逆にバインダーが過度に多いと放電容量が低下する可能性がある。
上記負極用スラリーにおける水の量は、負極活物質100重量部あたり、通常、40〜130重量部、好ましくは70〜150重量部である。
【0022】
負極用スラリーに添加される負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料;ポリアセン等の導電性高分子;AxMyOp(但し、AはLi、MはCo、Ni、Al、SnおよびMnから選択される少なくとも一種の原子、Oは酸素原子を表し、x、y、zはそれぞれ1.10≧x≧0.05、4.00≧y≧0.85、5.00≧z≧1.50の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物やその他の金属酸化物や、LixMyNz(但し、Liはリチウム原子を表し、MはMn、Fe、Co、Sn、B、Al、Ti、W、Si、Cu、V、Cr及びNiから選択される少なくとも一種の原子を表し、Nは窒素原子を表わす。また、x、y、及びzはそれぞれ7.0≧x≧1.0、4≧y≧0、5≧z≧0.5の範囲の数である。)で表されるリチウムニトリド金属化合物;リチウム金属、リチウム合金などのリチウム系金属;TiS、LiTiSなどの金属化合物などが例示される。
【0023】
負極用スラリーに必要に応じて配合される導電付与剤としては、金属粉、導電性ポリマー、アセチレンブラックなどが挙げられる。導電付与剤の使用量は、負極活物質100重量部当たり、通常、1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部である。
【0024】
負極用スラリーの媒体としては、上記の水の他、次に記す有機液体を液状媒体の好ましくは20重量%以下となる範囲で併用しても良い。そのような有機液体は、常圧における沸点が100℃以上300℃以下のものが好ましく、例えば、n−ドデカン(216)、テトラリン(207)、などの炭化水素類;2−エチル−1−ヘキサノール(184)、1−ノナノール(214)などのアルコール類;ホロン(197)、アセトフェノン(202)、イソホロン(215)などのケトン類;酢酸ベンジル(213)、酪酸イソペンチル(184)、γ−ブチロラクトン(204)、乳酸メチル(143)、乳酸エチル(154)、乳酸ブチル(185)などのエステル類;o−トルイジン(200)、m−トルイジン(204)、p−トルイジン(201)などのアミン類;N−メチルピロリドン(204)、N,N−ジメチルアセトアミド(194)、ジメチルホルムアミド(153)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(189)、スルホラン(287)などのスルホキシド・スルホン類などの有機分散媒が挙げられる。なお、化合物名の後に記載された( )内の数字は常圧での沸点(単位は℃)であり、小数点以下は四捨五入又は切り捨てされた値である。
【0025】
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されないが、負極では銅を用いた場合に、本発明のリチウムイオン二次電池負極用スラリーの効果が最もよく現れる。集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状が好ましい。
【0026】
負極用スラリーの集電体への塗布方法は、特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。塗布する量も特に制限されないが、溶媒または分散媒を乾燥などの方法によって除去した後に形成される活物質、導電付与剤、バインダーおよび増粘剤の混合層の厚みが0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般的である。
【0027】
水などの液状媒体の乾燥方法は特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による通気乾燥;真空乾燥;赤外線、遠赤外線、電子線などの照射線乾燥などが挙げられる。乾燥条件は、応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離しない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く液状媒体が除去できるように調整するとよい。
更に、電極の活物質の密度を高めるために、乾燥後の集電体をプレスすることは有効である。プレス方法としては、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。
【0028】
一方、本発明において正極は、リチウムイオン二次電池に通常使用される正極が使用される。例えば、正極活物質としては、TiS、TiS、非晶質MoS、Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物やLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMnなどのリチウム含有複合金属酸化物などが使用される。正極活物質を負極におけると同様の導電付与剤とSBR、NBR、アクリルゴムなどのバインダーと、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデンなどのバインダーとを水や上記の常圧における沸点が100℃以上300℃以下の液状媒体などに混合して調製した正極用スラリーを集電体に塗布して液状媒体を乾燥させて正極とする。
【0029】
リチウムイオン二次電池には、電解質を溶媒に溶解させた電解液を使用する。
電解液は、通常のリチウムイオン二次電池に用いられるものであれば、液状でもゲル状でもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを選択すればよい。
電解質としては、例えば、従来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCFSO、LiCS0、Li(CFSON、低級脂肪族カルボン酸リチウムなどが挙げられる。
【0030】
この電解質を溶解させる溶媒(電解液溶媒)は特に限定されるものではない。具体例としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチルラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4―メチル−1,3―ジオキソランなどのオキソラン類;アセトニトリルやニトロメタンなどの含窒素化合物類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機酸エステル類;リン酸トリエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの無機酸エステル類;ジグライム類;トリグライム類;スルホラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、ナフタスルトンなどのスルトン類などが挙げられ、これらは単独もしくは二種以上混合して使用できる。ゲル状の電解液を用いるときは、ゲル化剤としてニトリル系重合体、アクリル系重合体、フッ素系重合体、アルキレンオキサイド系重合体などを加えることができる。
【0031】
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法としては、例えば、次の製造方法が例示される。すなわち、負極と正極とを、ポリプロピレン多孔膜などのセパレータを介して重ね合わせ、電池形状に応じて巻く、折るなどして、電池容器に入れ、電解液を注入して封口する。電池の形状は、公知のコイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角型、扁平型など何れであってもよい。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、実施例および比較例における部および%は、特記しない限り重量基準である。
実施例及び比較例中の試験および評価は以下の方法で行った。
〔増粘剤またはバインダーの評価〕
(1)水溶液の粘度
増粘剤の水溶液粘度は、濃度2%でpH7の水溶液を25℃にてBrookfield粘度計BM型を使用して測定した。
(2)ゲル含有率
SBRのゲル含有率は、pHが7のSBRラテックスを水平に保ったガラス板に、乾燥後の厚みが2mmになるように流延し、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内で48時間自然乾燥させる。得られたフィルムを2mm×2mmに裁断し、その約0.3gを箱形の80メッシュ金網(重量:Ag)に精秤(重量:Bg)して入れる。金網ごとガラスビーカーに入れ、テトラヒドロフラン100mlを注ぎ込んで室温で48時間静置後、金網を引き上げて重量既知のアルミ皿(重量:Cg)にのせて、ドラフト内で48時間放置する。この後、アルミ皿ごと乾燥重量(重量:Dg)を測定し、次式で求める。
ゲル含有率(%)=〔(D−C−A)/B〕×100
〔スラリー性状の評価〕
(3)分散性
実施例4〜6、比較例3〜5に記す負極スラリーを用い、JIS K 5400に準拠して、100μmの粒ゲージを用いて分散度を測定し、測定値が70μm未満の時は「良」、測定値が20μm以上の時は「不良」とした。
(4)混合性
実施例4〜6、比較例3〜5に記す負極スラリーを調製するとき、負極活物質、バインダーおよび増粘剤の混合状態についてJIS K 5400に準拠して評価した。均等に混合するときは「良」、均等に混合しにくいときは「不良」と判定した。
【0033】
(5)保存安定性
実施例4〜6、比較例3〜5に記す負極スラリーを用い、JIS K 5400の塗料の常温貯蔵安定性に準拠して10日間の保存安定性を評価した。スラリーの状態に変化が認められなかったものは「安定」、スラリーの状態が変化しているときは変化の状態によりゲル化または二相分離と判定し、表中にそれぞれ、「ゲル」および「二相」と記載した。
(6)塗布性
実施例4〜6、比較例3〜5に記す負極スラリーを銅箔(厚さ18μm)に、それぞれ隙間200μmのフィルムアプリケータを用いてJIS K 5400に準拠して塗布し、均一に塗布できたかどうかを目視で判定した。均一に容易に塗布できたスラリーは「良」、均一に塗布することが困難であったものは「不良」と判定した。
【0034】
〔電極の評価〕
(7)電極およびコイン型電池の製造
負極は、実施例4〜6、比較例3〜5に記す負極スラリーを銅箔(厚さ18μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃、15分間乾燥機で乾燥した後、さらに真空乾燥機にて667Pa、120℃で2時間減圧乾燥した後、2軸のロールプレスによって活物質密度が1.4g/cm となるように圧縮して作製した。
また、正極は、リチウム金属を用いた。
これらの電極を直径15mmの円形に切り抜き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、金属リチウムが接触するように配置し、セパレーターとは反対の金属リチウム上にエキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介させて外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池を製造した。電解液はエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート=1/2(20℃での体積比)にLiPF が1モル/リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。
【0035】
(8)折り曲げ試験
上記(7)と同様にして作製した負極から幅3cm×長さ9cmの負極片を切り取り、長さ方向の中央(4.5cmの所)を直径1mmのステンレス棒を当て、塗布面を外にして180°折り曲げたときの折り曲げ部分の塗膜の状態を、10枚の負極片についてテストし、下記基準で評価した。
○:10枚全てにひび割れまたは剥がれが全く生じていない。
×:1枚以上に1箇所以上のひび割れまたは剥がれが生じた。
(9)ピール強度
負極片を上記(8)と同様にして切り取り、活物質層表面にテープ(セロテープ:ニチバン製、JIS Z 1522に規定)を貼り付け、負極を押さえて、テープを50mm/分の速度でで180°方向に剥離したときの強度(gf/cm)を各10回づつ測定し、その平均値を求めた。
【0036】
〔電池の評価〕
(10)放電容量
電池容量の測定は、25℃で充放電レートを0.1Cとし、定電流法(電流密度:0.5mA/gカーボン)で1.2Vに充電し、0.0Vまで放電する充放電を各5回繰り返し、その都度電池容量を測定した。繰り返し測定した電池容量の平均値を評価結果とした。単位は(mAh)である。
(11)充放電レート特性
温度40℃において0Vから1.2Vまで、0.1Cおよび1Cの定電流法によって50サイクル目の放電容量〔単位=mAh/g(活物質当たり)〕を測定し、50サイクル目における0.1Cでの放電容量に対する1Cでの放電容量の割合を百分率で表す。この値が大きいほど、高速充放電が可能なことを示唆する。
【0037】
実施例1
滴下装置、撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素導入管を付した反応容器に、水200部および反応性乳化剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩1部を入れて攪拌し、窒素雰囲気下にて80℃まで加熱した後、過硫酸カリウム0.2部を40部の水に溶解した水溶液を添加し、同時に、アクリル酸ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰り返し単位:8)10部、メタクリル酸57部、アクリル酸エチル33部、反応性乳化剤〔2〕0.5部および水100部を混合して調製したエマルジョン状態の混合物を滴下装置から一定速度で滴下して重合を開始した。滴下を1.5時間で全て終了した。この間、反応温度を80℃に保ち、さらに80℃で2時間撹拌を続けた後、30℃まで冷却して重合反応を終了し、共重合体aを得た。固形分濃度から求めた重合転化率は98%であった。共重合体aの水性分散液に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整した。これの25℃、固形分濃度2wt%の粘度は、1800mPa・sであった。
【0038】
実施例2
実施例1において、アクリル酸ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰り返し数:8)を10部から40部に増加し、メタクリル酸57部をアクリル酸60部に変え、アクリル酸エチル33部を0部とした他は実施例1と同様に行って共重合体bを得た。固形分濃度から求めた重合転化率は98%であった。共重合体bの水性分散液に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整した。これの25℃、固形分濃度2wt%の粘度は、7000mPa・sであった。
【0039】
実施例3
実施例1において、アクリル酸ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰り返し単位:8)をアクリル酸ポリオキシプロピレンラウリルエーテル(PO繰り返し数:8)に変え、メタクリル酸をマレイン酸モノメチルに変えた他は実施例1と同様に行って共重合体cを得た。固形分濃度から求めた重合転化率は98%であった。共重合体cの水性分散液に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整した。これの25℃、固形分濃度2wt%の粘度は、2500mPa・sであった。
【0040】
比較例1
実施例1において、アクリル酸ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO繰り返し単位:8)を使用せず、アクリル酸エチルを33部から43部に増量した他は実施例1と同様に行って共重合体dを得た。固形分濃度から求めた重合転化率は98%であった。共重合体dの水性分散液に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整した。これの25℃、固形分濃度2wt%の粘度は、100mPa・sであった。
【0041】
比較例2
実施例1において、メタクリル酸を使用せず、また、アクリル酸エチルを33部から90部に変更した他は実施例1と同様に行って共重合体eを得た。固形分濃度から求めた重合転化率は98%であった。共重合体eの水性分散液に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えても共重合体eの粒子は溶解しなかった。
【0042】
実施例4
天然黒鉛48.5部、MCMB48.5部、共重合体a水溶液の固形分1部相当量および固形分濃度40%のSBR〔スチレン含有量36%、ゲル含有率60%〕ラテックスの固形分2部相当量を混合し、さらに水を加えて混合し、固形分濃度46%の負極スラリーaを得た。負極スラリーを用いて負極aを作製した。
作製した負極aとリチウム金属正極を組み込んだリチウムイオン二次電池aを作成した。負極スラリーa,負極aおよび二次電池aの試験結果を表1に記す。
【0043】
実施例5〜6、比較例3〜5
実施例4において、負極スラリーを調製するに当たって共重合体a水溶液の1部相当量の代わりに、表1に示す共重合体またはCMCと固形分相当量を使用した他は実施例4と同様に行い、負極スラリー、負極および二次電池を得た。得られた負極スラリー,負極および二次電池の試験結果を表1に記す。
【0044】
【表1】
Figure 0004412443
【0045】
表1に示すように、共重合体Aは従来の増粘剤であるCMC−Naに比して少量で使用することができ、これを含有するスラリーは分酸性、混合性、保存安定性および塗布性が良好で、そのため折り曲げ試験およびピール強度に優れた負極が得られ、これらの負極を用いることにより高放電容量と高充放電レート特性を併せ持つリチウムイオン二次電池を得ることができた(実施例1〜3)。
一方、共重合体Aの2種の原料単量体のいずれを欠いても、それにより得られた共重合体は負極用スラリーには適さないものであった(比較例3、4)。また、CMC−Naは5割増の量で用いたため、二次電池の放電容量、充放電レート特性とも本発明による二次電池より劣った(比較例5)。
【0046】
【発明の効果】
本発明の二次電池負極用スラリーを用いると、結着性に優れた負極が得られ、この負極を備えたリチウムイオン二次電池は、高い放電容量とレート特性とを有する。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体であって、前記共重合体が、濃度2重量%でpH7の水溶液の粘度が温度25℃において1,000〜20,000mPa・sであるリチウムイオン二次電池負極用増粘剤。
  2. 請求項1に記載の(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレンエーテル化合物およびエチレン性不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体と、水不溶のバインダーと、負極活物質と、水と含有するリチウムイオン二次電池負極用スラリー。
  3. 集電体に、少なくとも請求項1に記載の前記共重合体と、水不溶のバインダーと、負極活物質とを含有する混合層を結着してあるリチウムイオン二次電池負極。
  4. 請求項に記載のリチウムイオン二次電池負極を有するリチウムイオン二次電池。
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