JP4470735B2 - 二次電池電極用スラリー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とをセパレーターを介して配置し、電解液とともに容器内に収納した構造を有する。正極および負極(両者を総称して「二次電池電極」、略称して「電極」と記すことがある。)は、電極活物質(以下、単に「活物質」と記すことがある。)と、必要に応じて使用される導電性付与剤などとを二次電池電極用バインダーポリマー(以下、単に「バインダー」と記すことがある。)によりアルミニウムや銅などの集電体に結着させたものである。電極は、通常、バインダーを液状媒体に溶解または分散させ、これに活物質、導電性付与剤などを混合して得られる二次電池電極用スラリー組成物(以下、単に「スラリー組成物」と記すことがある。)を集電体に塗布して、該液状媒体を乾燥などにより除去して、混合層として結着させて形成される。
高度に分散したスラリー組成物を得る方法として、特開平8−195201号公報には、増粘剤溶液に結着剤を分散させた混合液に、活物質および導電性付与剤を添加して混練、分散させる方法が提案されている。しかしながらこの製造方法では導電性付与剤の分散が不十分になったり、電極表面の平滑性が依然十分でないなどの問題があった。
さらに、特開2000−348713号公報には、活物質と導電性付与剤とに、増粘剤を少なくとも2回以上に分割添加して混練し、次いで結着剤を添加して混練する、水を媒体とするスラリー組成物の製造方法が提案されている。しかし、この方法でも、結着剤の種類によっては、結着剤自体の分散が十分でないため粘度の経時変化が大きかったり、結着性が低下したりする問題があった。
本発明者らは活物質や導電性付与剤が高度に分散したスラリー組成物を得る方法を鋭意検討した結果、溶媒に溶解し難いポリマーバインダーを分散させた分散液と活物質とを混練し、次いで、この混練液に、該溶媒に可溶なポリマーバインダーを溶解させた溶液を混合する手順を採ることにより、高度に分散したスラリー組成物が得られ、このスラリー組成物を用いて電極を製造すると凝集塊のない平滑な混合層を有する電極が得られることを見出し、この知見に基づいて更に検討を進め、本発明を完成するに到った。
さらに、本発明によれば、上記のように製造されたスラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥することよりなる二次電池電極の製造方法が提供される。
本発明で用いる溶媒(SA)および溶媒(SB)としては、水および、大気圧下での沸点が80〜350℃である非水系溶媒が好ましい。このような非水系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリンなどの炭化水素類;2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジンなどのアミン類;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトンなどのラクトン類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルホキシド・スルホン類などが挙げられる。これらの中でも、水およびアミド類がより好ましく、N−メチルピロリドンが特に好ましい。
溶媒(SA)に対する不溶分を上記のように多量に含有するポリマー(A)は、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび/または共役ジエンと、多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体である。
多官能エチレン性不飽和モノマーの割合は、ポリマー(A)製造用モノマー全量に対し、通常、0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
(メタ)アクリル酸メチル(アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを表す。以下同様。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸エステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;アルキル基にリン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基などを有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物およびジカルボン酸無水物;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;などが挙げられる。
共役ジエンを用いる場合は、多官能エチレン性不飽和モノマーを用いない場合でも、重合温度、重合転化率および分子量調整剤の量などの重合条件を適宜調整することにより架橋重合体を得ることができる。
ポリマー(A)が上記範囲のTgを有するようにするために、ポリマー分子の構成繰り返し単位として、例えばアクリル酸2−エチルヘキシル(単独重合体のTgは−85℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、メタクリル酸n−デシル(同−65℃)、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの、単独重合体のTgが0℃以下となる単量体の繰り返し単位を持つことが好ましい。
ポリマー(A)は、異なる単量体組成のポリマー(A)の混合物であってもよい。また、ポリマー(A)の溶媒(SA)分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、溶媒(SA)に対する不溶分が50重量%未満のポリマーが少量含まれてもよい。
ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径である。
ポリマー(B)の製造には、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび/または共役ジエンが用いられ、それらの具体例としては、前記ポリマー(A)の製造に用いられるものとして例示したものが挙げられる。これらのモノマーは単独でまたは2種以上を組合わせ用いることができる。
ポリマー(B)は、フッ素含有ポリマーであってもよい。フッ素含有ポリマーは、フッ素含有単官能エチレン性モノマー単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含むポリマーである。フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、三フッ化塩化ビニル、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどが挙げられるが、フッ化ビニリデンが好ましい。フッ化ビニリデン以外のフッ素含有モノマーを使用する場合は、その全量が全フッ素含有モノマーの好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下となるようにフッ化ビニリデンと併せて使用する。
フッ素含有単官能エチレン性モノマーと共重合可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの1−オレフィン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物;などのフッ素を含まない単官能エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
上記ポリマー(B)の製造方法は特に限定されない。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、溶液重合法などの公知の重合法により得ることができる。
リチウムイオン二次電池の場合、負極活物質、正極活物質とも、通常のリチウムイオン二次電池電極の製造に使用されるものであればいずれであっても用いることができる。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料、ポリアセンなどの導電性高分子などが例示される。
導電性付与剤の使用量は、活物質100重量部あたり、通常、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
本発明方法において、ポリマー(A)を溶媒(SA)に分散させるための、および、ポリマー(B)を溶媒(SB)に溶解させるための混合機や混練時間は特に限定されない。これらを行う場合の混合機としては、例えば、攪拌機付き混合槽、プラネタリーミキサー、リボンブレンダーが用いられる。
ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液に導電性付与剤を含有せしめた混合液を調製する際は、混合液の固形分濃度が30〜40重量%、特には33〜38重量%となるように溶媒(SB)量を調節して混練するのが好ましい。なお、ここで固形分濃度とは、ポリマー(B)と導電性付与剤との合計量の混合液全量に対する割合である。固形分濃度がこの範囲であると導電性付与剤を均一に混合することが容易になる。
スラリー組成物の最適な粘度は、集電体に塗布する塗工機の種類や塗工ラインの形状によっても異なるが、温度23℃においてBrookfield L型粘度計でローター番号4、回転数30rpmで1分間回転後の粘度が、通常、1500〜8000mPa・s、好ましくは2000〜6000mPa・sである。スラリー組成物の粘度が過度に低いと、経時に伴ってスラリーに沈降が生じたり塗工時に液ダレを起こすおそれがあり、逆に、粘度が過度に高いと、塗膜の厚みムラや混合層表面の平滑性低下を起こす可能性がある。
高剪断の混合機での混合条件は特に限定されないが、混合温度は、通常、15〜50℃、混合時間は、通常、60〜180分である。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物が無くなるように混合し、分散させることが好ましい。
二次電池電極は、本発明方法で得られた二次電池電極用スラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥する方法により製造することができる。すなわち、二次電池電極は、集電体に、バインダー、活物質、および必要により加えられた導電性付与剤、増粘剤などを均一に含有する混合層を結着させて形成される。
上記方法で得られる二次電池電極は、正極、負極のいずれにも使用することができるが、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのが特に好ましい。
集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものである。
集電体に塗布されたスラリー組成物の乾燥方法も特に制限されず、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥方法が例として挙げられる。
さらに、乾燥後の電極をロールプレスなどの方法でプレスすることにより電極の活物質の密度を高めてもよい。
電解液は、通常の二次電池に用いられるものであれば、液状でもゲル状でもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを選択すればよい。
電解質としては、リチウムイオン二次電池では、従来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2などが挙げられる。
また、ニッケル水素二次電池では、例えば、従来公知の濃度が5モル/リットル以上の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下で記す「部」および「%」は、特記しない限り重量基準である。
実施例および比較例における操作および試験は以下の方法によった。
〔スラリー構成成分およびスラリー組成物の特性〕
(1)ガラス転移温度(Tg)
ポリマーのTgは、示差走査型熱量計(DSC)により、昇温速度10℃/分で測定した。
(2)N−メチルピロリドン(NMP)不溶分量
ポリマーのNMP不溶分量は、ポリマー0.2gをNMP20ミリリットルに60℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾燥して求めた重量の、浸漬前の重量に対する百分率で示した。
ポリマーの平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その平均値として算出される個数平均粒子径として求めた。単位は(μm)である。
(4)ポリマー組成
ポリマーを構成する各繰り返し単位の含有量は、1H−および13C−NMR測定により求めた。単位は(モル%)である。
シャーレに採取した活物質20gをスパチュラーで掻き回しながらNMPを0.5mlづつ滴下し、活物質の粉末が固いケーキ状にまとまるNMP量を測定し、活物質100g当りの重量に換算する。3回の測定の平均値を吸液量とする。
(6)スラリー組成物粘度、スラリー粘度維持率
スラリー組成物の粘度は、スラリー組成物の調製後23℃に貯蔵し、1時間後と24時間後に、温度23℃においてBrookfield L型粘度計でローター番号4、回転数30rpmで1分間回転後に測定した。単位は(mPa・s)である。また、24時間目の粘度値の1時間目の粘度値に対する百分率をスラリー粘度維持率(%)とした。
(7)リチウムイオン二次電池正極の作製
実施例、比較例において調製したリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物をアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、乾燥機にて温度120℃で15分間乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、120℃で2時間減圧乾燥した後、2軸のロールプレスによって電極密度が3.2g/cm3となるように圧縮してリチウムイオン二次電池正極を得た。
JIS B0601に基づいて、電極混合層の表面の20μm四方の算術平均粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡で観測した。
(9)剥離強度
上記(7)に記す方法で得たリチウムイオン二次電池正極から、長さ100mm、幅25mmの長方形を塗布方向が長辺となるように切り出して試験片とする。試験片の混合層全面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端のセロハンテープ端と集電体箔端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力(N/cm)を測定する。応力が大きいほど混合層の剥離強度が大きいと判断する。
(10)リチウムイオン二次電池の製造
負極としては金属リチウムを使用した。上記(7)に記す方法で得たアルミニウム正極および金属リチウム負極を直径15mmの円形に切抜き、正極の電極層面側に直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター、負極の金属リチウムを順に積層し、外装容器底面に正極のアルミニウム箔が接触するように配置し、さらに負極の上にエキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に下記の電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップを被せて固定し、電池缶を封止して直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池を製造した。電解液はエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=33/67(20℃での体積比)にLiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。
電池容量の測定は、25℃で充放電レートを0.1Cとし、定電流法(電流密度:0.5mA/g−活物質)で1.2Vに充電し、3Vまで放電する充放電を各5回繰り返し、その都度電池容量を測定する。繰り返し測定した電池容量の平均値を評価結果とする。単位は〔mAh/g:活物質当たり(以下、電池容量に関しては同じ)〕である。
測定条件を、定電流量を1Cに変更したほかは、電池容量の測定と同様に定電流法で充放電を行い、3サイクル目の放電容量〔単位=mAh/g〕を測定した。3サイクル目における0.1Cでの放電容量に対する1Cでの放電容量の割合を百分率で算出した。この値が大きいほど、高速充放電が可能なことを示す。
実施例および比較例においてバインダーとして用いた各ポリマーの組成(単位:モル%)を表1に示す。ポリマーA−1,2およびB−1〜3はいずれも乳化重合法により製造した。ポリフッ化ビニリデンは市販品を使用した。
0.4部のポリマーA−1をNMP15.6部に分散させた分散液とコバルト酸リチウム(LiCoO2、活物質(i)、吸液量15.6g)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練して混合液aを調製した。混合液aの固形分濃度は86.6%であった。別途、6.3部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させた溶液に導電性付与剤のアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック粒状)3部を添加して固形分濃度35.1%で前記と同種のプラネタリーミキサーで混練し、NMP1.8部を加えて固形分濃度29.6%の混合液bを作製した。前記プラネタリーミキサーを用いて混合液aに混合液bを加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目2200mPa・s、24時間目2270mPa・sで、スラリー粘度変化率は103%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表2に記す。
表2に示す成分および量の配合で実施例1と同様にしてスラリー組成物を調製した。混合液bの調製における表記のNMP量の内、ポリマー(B)溶解に6.3部を用い、導電性付与剤混合後に残量を添加した。ただし、実施例3においてはポリマー(B)の溶解に表記量をすべて用いた。スラリー組成物、スラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した。試験結果を表2に記す。
23.7部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させ、さらに、0.4部のポリマーA−1を分散させ、さらに、アセチレンブラック3部ならびに活物質(i)100部を添加し、2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで90分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目13400mPa・s、24時間目2010mPa・sで、スラリー粘度変化率は15%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
16.9部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させ、次いで0.4部のポリマーA−1を添加して分散させ、この分散液とアセチレンブラック3部と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練し、NMPを6.8部加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目12800mPa・s、24時間目2120mPa・sで、スラリー粘度変化率は17%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
NMP16.1部に0.1部のポリマーB−1と0.1部のポリマーB−3を溶解させ、この溶液とアセチレンブラック3部と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで30分間混練し、これに、0.1部のポリマーB−1と0.1部のポリマーB−3をNMP3部に溶解した溶液を加えて、さらに30分間混練した。ここに、NMP4.6部に0.4部のポリマーA−1を分散させた分散液を添加して、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目18400mPa・s、24時間目2050mPa・sで、スラリー粘度変化率は11%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
NMP15.8部に0.2部のポリマーB−1をと0.2部のポリマーB−3を溶解させ、この溶液と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練して混合液cを調製した。混合液cの固形分濃度は86.4%であった。別途、NMP7.9部に0.4部のポリマーA−1を分散させた分散液にアセチレンブラック3部を添加してプラネタリーミキサーで分散し、固形分濃度30.0%の混合液dを作製した。前記プラネタリーミキサーを用いて混合液cに混合液dを加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目8950mPa・s、24時間目1980mPa・sで、スラリー粘度変化率は22%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
さらに、ポリマー(B)を溶解して活物質を分散させた混合液に、別途調製したポリマー(A)および導電性付与剤を分散させた液を添加して混練する、本発明とは逆の配合手順を採ると、スラリー組成物の粘度は本発明例の約4倍の初期値を示した後に大きく低下し、電極および二次電池は比較例1〜3と同様な欠点を有するものであった(比較例4)。
上記の二次電池電極は、正極、負極のいずれにも使用することができるが、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのが特に好ましい。
Claims (16)
- 溶媒(SA)に対する不溶分を50重量%以上90重量%以下含有する、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーと多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体であるポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質とを混練し、次いで、得られた混練液と、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーの重合体であるポリマー(B)の溶媒(SB)溶液とを混練することよりなる二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)の溶媒(SA)に対する不溶分が50重量%以上87重量%以下である請求項1に記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−80℃〜0℃の範囲である請求項1または2に記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)の平均粒径が0.005μm〜1,000μmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(B)が、フッ素含有単官能エチレン性モノマー単位を50モル%以上含有するフッ素含有ポリマーを含む請求項1〜4のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)とポリマー(B)との総量が、活物質100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)とポリマー(B)の重量比[(A)/(B)]が5/1〜1/5の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- 溶媒(SA)および溶媒(SB)が、水および、大気圧下での沸点が80℃〜350℃である非水系溶媒の中から選ばれる請求項1〜7のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- 溶媒(SA)と溶媒(SB)が同一の組成を有するものである請求項1〜8のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液が、さらに導電性付与剤を含有せしめたものである請求項1〜9のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- 導電性付与剤を含有せしめた、ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液が、固形分濃度30〜40重量%で混練を行って得られたものである請求項10に記載のスラリー組成物の製造方法。
- 導電性付与剤の量が活物質100重量部当たり1〜20重量部である請求項10または11に記載のスラリー組成物の製造方法。
- ポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質との混練における溶媒(SA)の量が、電極活物質の吸液量の80〜120重量%である請求項1〜12のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法で製造された二次電池電極用スラリー組成物。
- 請求項14に記載のスラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥することよりなる二次電池電極の製造方法。
- 集電体上に、該スラリー組成物に由来する厚さ0.005mm〜5mmの混合層を形成せしめる請求項15に記載の二次電池電極の製造方法。
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