JP4470735B2 - 二次電池電極用スラリー組成物の製造方法 - Google Patents

二次電池電極用スラリー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池電極用スラリー組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、粘度の経時変化が少なく、集電体に塗工して塗膜表面の平滑な電極が得られる二次電池電極用スラリー組成物の製造方法に関する。
ノート型パソコン、携帯電話、PDAなどの携帯端末が広く普及しており、これらの電源にリチウムイオン二次電池が多用されている。最近、携帯端末の使用時間の延長や充電時間の短縮などの要望が高まり、これに伴い電池の高性能化、特に容量の増大と充電速度(レート特性)の向上が強く求められている。
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とをセパレーターを介して配置し、電解液とともに容器内に収納した構造を有する。正極および負極(両者を総称して「二次電池電極」、略称して「電極」と記すことがある。)は、電極活物質(以下、単に「活物質」と記すことがある。)と、必要に応じて使用される導電性付与剤などとを二次電池電極用バインダーポリマー(以下、単に「バインダー」と記すことがある。)によりアルミニウムや銅などの集電体に結着させたものである。電極は、通常、バインダーを液状媒体に溶解または分散させ、これに活物質、導電性付与剤などを混合して得られる二次電池電極用スラリー組成物(以下、単に「スラリー組成物」と記すことがある。)を集電体に塗布して、該液状媒体を乾燥などにより除去して、混合層として結着させて形成される。
ところが、スラリー組成物中の各成分の分散が不十分であったり、スラリー組成物の粘度が経時変化したりしてスラリー組成物の分散状態が不均一になるという問題があった。不均一なスラリー組成物を用いて電極を作成すると、電極の表面が平滑にならないで電池性能が低下したり、活物質の結着性が低下して集電体から活物質が剥離する問題が生じる。
高度に分散したスラリー組成物を得る方法として、特開平8−195201号公報には、増粘剤溶液に結着剤を分散させた混合液に、活物質および導電性付与剤を添加して混練、分散させる方法が提案されている。しかしながらこの製造方法では導電性付与剤の分散が不十分になったり、電極表面の平滑性が依然十分でないなどの問題があった。
また、特開平9−204917号公報にはスラリー組成物の製造方法として、各成分を混練する工程と、混練して得たスラリー組成物を所定時間放置して増粘させる工程と、増粘したスラリー組成物を再び混練する工程とを有する方法が提案されている。しかしこの方法では工程が煩雑であり、またスラリー組成物の製造に長時間を要して生産性が低下するなどの問題があった。
さらに、特開2000−348713号公報には、活物質と導電性付与剤とに、増粘剤を少なくとも2回以上に分割添加して混練し、次いで結着剤を添加して混練する、水を媒体とするスラリー組成物の製造方法が提案されている。しかし、この方法でも、結着剤の種類によっては、結着剤自体の分散が十分でないため粘度の経時変化が大きかったり、結着性が低下したりする問題があった。
かかる状況のもとで、本発明の目的は、粘度の経時変化が少なく、結着性が良好で、かつ、表面が平滑な混合層を有する電極を与える二次電池電極用スラリー組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは活物質や導電性付与剤が高度に分散したスラリー組成物を得る方法を鋭意検討した結果、溶媒に溶解し難いポリマーバインダーを分散させた分散液と活物質とを混練し、次いで、この混練液に、該溶媒に可溶なポリマーバインダーを溶解させた溶液を混合する手順を採ることにより、高度に分散したスラリー組成物が得られ、このスラリー組成物を用いて電極を製造すると凝集塊のない平滑な混合層を有する電極が得られることを見出し、この知見に基づいて更に検討を進め、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、溶媒(SA)に対する不溶分を50重量%以上90重量%以下含有する、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーと多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体であるポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質とを混練し、次いで、得られた混練液と、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーの重合体であるポリマー(B)の溶媒(SB)溶液とを混練することよりなる二次電池電極用スラリー組成物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のように製造されたスラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥することよりなる二次電池電極の製造方法が提供される。
本発明の二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、溶媒(SA)に対する不溶分を50重量%以上90重量%以下含有する、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーと多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体であるポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質とを混練し、次いで、得られた混練液と、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーの重合体であるポリマー(B)の溶媒(SB)溶液とを混練することよりなる。
先ず、本発明で使用する材料について説明する。
本発明で用いる溶媒(SA)および溶媒(SB)としては、水および、大気圧下での沸点が80〜350℃である非水系溶媒が好ましい。このような非水系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリンなどの炭化水素類;2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジンなどのアミン類;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトンなどのラクトン類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルホキシド・スルホン類などが挙げられる。これらの中でも、水およびアミド類がより好ましく、N−メチルピロリドンが特に好ましい。
これらの溶媒(SA)および(SB)は、それぞれ、一種単独で、または二種以上を組合わせて用いることができる。なお、ポリマー(A)の分散液に用いる溶媒(SA)と、ポリマー(B)の溶液に用いる溶媒(SB)は同じ組成であることが好ましいが、それぞれ異なっていても、ポリマー(A)の分散液とポリマー(B)の溶液を混合した後の溶媒組成に対し、ポリマー(A)の不溶分が50重量%以上であり、かつポリマー(B)が可溶であれば用いることができる。
本発明では、二種のポリマーをバインダーとして用いる。ポリマーバインダーの一方の成分であるポリマー(A)としては、溶媒(SA)に不溶な成分を50重量%以上90重量%以下含有するポリマーを用いる。ポリマー(A)の溶媒(SA)に不溶な成分は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上であり、かつ好ましくは87重量%以下である。溶媒(SA)に対する不溶分がこの範囲であると、ポリマー(A)がスラリー組成物中で粒子状または繊維状を保持し、その結果、活物質の表面を膜状に覆い隠して電池反応を阻害することがなくなると推測される。溶媒(SA)に対する不溶分が過度に少量であるとポリマー(A)が膜状化することに加え、活物質の結着持続性が低下して繰り返し充放電による容量減が起こるおそれがある。逆に、溶媒(SA)に対する不溶分が過度に多量であるポリマー(A)を用いると、バインダーの結着性低下などのおそれがある。
ここで、溶媒(SA)に対する不溶分の量は、溶媒20ミリリットルにポリマー0.2gを温度60℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾燥して求めたポリマー重量の浸漬前のポリマー重量に対する百分率として表わされる。
溶媒(SA)に対する不溶分を上記のように多量に含有するポリマー(A)は、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび/または共役ジエンと、多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体である。
多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル類などが好ましい。また、1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエン類も用いることができる。これらの多官能エチレン性不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を組合わせ用いることができる。
多官能エチレン性不飽和モノマーの割合は、ポリマー(A)製造用モノマー全量に対し、通常、0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
ポリマー(A)の製造に用いる単官能エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、3−メチル−1−ブテンなどのα−オレフィン類;(メタ)アクリロニトリル(アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの意。)などの不飽和ニトリル化合物;
(メタ)アクリル酸メチル(アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを表す。以下同様。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸エステル類;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;アルキル基にリン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基などを有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物およびジカルボン酸無水物;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;などが挙げられる。
共役ジエン類としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらの単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンは、単独でまたは2種以上を組合わせ用いることができる。
共役ジエンを用いる場合は、多官能エチレン性不飽和モノマーを用いない場合でも、重合温度、重合転化率および分子量調整剤の量などの重合条件を適宜調整することにより架橋重合体を得ることができる。
ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−80〜0℃、より好ましくは−60〜−5℃である。Tgが高すぎると、電極の柔軟性が低下し、充放電を繰り返した際に活物質の集電体からの剥離が起きやすくなる。また、Tgが低すぎると電池容量が低下する場合がある。
ポリマー(A)が上記範囲のTgを有するようにするために、ポリマー分子の構成繰り返し単位として、例えばアクリル酸2−エチルヘキシル(単独重合体のTgは−85℃)、アクリル酸n−ブチル(同−54℃)、メタクリル酸n−デシル(同−65℃)、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの、単独重合体のTgが0℃以下となる単量体の繰り返し単位を持つことが好ましい。
ポリマー(A)の好ましい例としては、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/アクリロニトリル/ジエチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/トリメチロールプロパントリメタクリレート共重合体などのアクリルゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。
ポリマー(A)は、異なる単量体組成のポリマー(A)の混合物であってもよい。また、ポリマー(A)の溶媒(SA)分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、溶媒(SA)に対する不溶分が50重量%未満のポリマーが少量含まれてもよい。
ポリマー(A)の平均粒径は、好ましくは0.005〜1000μm、より好ましくは0.01〜100μm、特に好ましくは0.05〜10μmである。平均粒径が大きすぎるとバインダーとして必要な量が多くなりすぎ、電極の内部抵抗が増加する。逆に、平均粒径が小さすぎると活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害してしまう。
ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径である。
ポリマー(A)の製造方法は特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法または溶液重合法などの公知の重合法により重合して得ることができるが、乳化重合法で製造することが、溶媒(SA)に分散したときの粒子径の制御が容易であるので好ましい。
ポリマーバインダーのもう一方の成分であるポリマー(B)は、スラリー組成物の媒体である溶媒(SB)に可溶なポリマーである。ポリマー(B)は、溶媒(SB)に不溶な成分を含まなければ限定されないが、スラリー組成物を集電体に塗布して混合層を形成しやすいようにスラリーの粘度を増加させるポリマーバインダーが好ましい。
ポリマー(B)の製造には、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび/または共役ジエンが用いられ、それらの具体例としては、前記ポリマー(A)の製造に用いられるものとして例示したものが挙げられる。これらのモノマーは単独でまたは2種以上を組合わせ用いることができる。
上記ポリマー(B)の例としては、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体およびその水素化物、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル/エチレン共重合体、アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。
ポリマー(B)は、フッ素含有ポリマーであってもよい。フッ素含有ポリマーは、フッ素含有単官能エチレン性モノマー単位を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含むポリマーである。フッ素含有モノマーとしては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、三フッ化塩化ビニル、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどが挙げられるが、フッ化ビニリデンが好ましい。フッ化ビニリデン以外のフッ素含有モノマーを使用する場合は、その全量が全フッ素含有モノマーの好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下となるようにフッ化ビニリデンと併せて使用する。
上記フッ素含有ポリマーは、フッ素非含有モノマー単位を50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下有していてもよい。フッ素非含有モノマー単位の含有量が多すぎると、電解液に対する耐溶剤性が低下して電極から活物質が脱落しやすくなるおそれがある。
フッ素含有単官能エチレン性モノマーと共重合可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの1−オレフィン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物;などのフッ素を含まない単官能エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
本発明において、ポリマー(B)は、異なる組成のポリマー(B)の混合物であってもよい。また、ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液には、本発明の効果を損なわない範囲において、溶媒(SB)に不溶なポリマーを少量含んでいてもよい。
上記ポリマー(B)の製造方法は特に限定されない。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、溶液重合法などの公知の重合法により得ることができる。
ポリマー(A)およびポリマー(B)を合わせたポリマーバインダーの総量は、活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。バインダー総量が少なすぎると電極から活物質が脱落しやすくなるおそれがあり、逆に多すぎると活物質がバインダーに覆い隠されて電池反応が阻害される可能性がある。
ポリマー(A)とポリマー(B)の重量比は、好ましくは5/1〜1/5、より好ましくは3/1〜1/3、特に好ましくは2/1〜1/2である。ポリマー(A)の割合を過度に大きくすると、結着性は向上するものの、スラリー組成物の流動性が低下し、電極に塗布して得られる混合層が平滑でなくなるおそれがある。逆に、ポリマー(A)の割合を過度に小さくするとバインダーが活物質の表面を覆い隠して電池反応を阻害する可能性がある。
本発明で使用する電極活物質は、二次電池の種類により異なる。
リチウムイオン二次電池の場合、負極活物質、正極活物質とも、通常のリチウムイオン二次電池電極の製造に使用されるものであればいずれであっても用いることができる。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料、ポリアセンなどの導電性高分子などが例示される。
正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS3などの遷移金属硫化物;Cu223、非晶質V2O−P25、MoO3、V25、V613などの遷移金属酸化物;が例示される。さらに、ポリアセチレン、ポリp−フェニレンなどの導電性高分子など有機系化合物を用いることもできる。
ニッケル水素二次電池の場合、負極活物質、正極活物質とも、通常のニッケル水素二次電池で使用されるものであれば、いずれも用いることができ、負極活物質としては、水素吸蔵合金を用いることができる。また、正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケルなどを用いることができる。
ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液は、導電性付与剤を含有せしめたものであることが好ましい。導電性付与剤としては、リチウムイオン二次電池ではカーボンが用いられる。ニッケル水素二次電池で用いられる導電性付与剤は、正極では酸化コバルト、負極ではニッケル粉末、酸化コバルト、酸化チタン、カーボンなどを挙げることができる。
上記両電池において、導電性付与剤であるカーボンとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン類を挙げることができる。中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。
導電性付与剤の使用量は、活物質100重量部あたり、通常、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
次に、スラリー組成物の製造プロセスについて説明する。本発明においては、溶媒(SA)に対する不溶分を50重量%以上90重量%以下含有するポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質とを混練して混合液を調製し、これとは別個に、ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液を調製し、次いで、これら両液を混練するという手順を採ることが肝要である。これに対して、ポリマー(A)とポリマー(B)とを先に混合する手順を採ったり、活物質とポリマー(B)とを先に混合する手順を採ると、粘度の経時変化が大きくなったり、結着性が低下したりするおそれがある。
ポリマー(A)と活物質との混合液を調製するための溶媒(SA)量は、活物質の種類により異なり、活物質が吸着可能な「吸液量」に対して好ましくは80〜120重量%、より好ましくは85〜110重量%、特に好ましくは90〜100重量%となる量である。該混合液の溶媒量が活物質の吸液量の80重量%より少ないと、混練時に活物質が粉体状になるため、せん断が効かず、活物質とポリマー(A)との混合が不均一になり、その結果、流動性の劣ったスラリー組成物となるおそれがある。逆に、該混合液の溶媒量が活物質の吸液量の120重量%より多いと、混合液の粘度が低くて剪断が効かず、その結果、流動性の劣ったスラリー組成物となるおそれがある。
活物質の吸液量は、ASTM D 281に準じて次の方法で測定することができる。すなわち、シャーレに採取した活物質20gをスパチュラーで掻き回しながら溶媒を0.5mlづつ滴下し、活物質の粉末が固いケーキ状にまとまる溶媒量を求め、活物質100g当りの重量に換算する。この測定を3回行い、平均値を吸液量とする。
本発明方法において、ポリマー(A)を溶媒(SA)に分散させるための、および、ポリマー(B)を溶媒(SB)に溶解させるための混合機や混練時間は特に限定されない。これらを行う場合の混合機としては、例えば、攪拌機付き混合槽、プラネタリーミキサー、リボンブレンダーが用いられる。
また、ポリマー(A)を分散させる方法としては、溶媒(SA)が非水系溶媒である場合は、製造効率の良さなどから、通常の方法によってポリマー(A)の粒子が水に分散されたポリマーの水分散体を製造した後、ポリマーの水分散体中の水を非水系溶媒に置換する方法が好ましい。置換方法としては、ポリマー(A)の水分散体に非水系溶媒を加えた後、分散媒中の水分を、例えば蒸留法または分散媒相転換法により除去する方法などが挙げられる。
導電性付与剤を使用する場合は、予めポリマー(B)の溶液に導電性付与剤を分散させ、混合液として用いるのが好ましい。
ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液に導電性付与剤を含有せしめた混合液を調製する際は、混合液の固形分濃度が30〜40重量%、特には33〜38重量%となるように溶媒(SB)量を調節して混練するのが好ましい。なお、ここで固形分濃度とは、ポリマー(B)と導電性付与剤との合計量の混合液全量に対する割合である。固形分濃度がこの範囲であると導電性付与剤を均一に混合することが容易になる。
本発明の製造方法では、上記のようにして調製したポリマー(A)の分散液と活物質とを混練してなる混合液と、ポリマー(B)の溶液とを混練してスラリー組成物を製造する。混練に際し、バインダーや電極活物質および導電性付与剤の種類に応じ、塗工に好適な粘度になるように溶媒(SA)または(SB)を追加してもよい。
スラリー組成物の最適な粘度は、集電体に塗布する塗工機の種類や塗工ラインの形状によっても異なるが、温度23℃においてBrookfield L型粘度計でローター番号4、回転数30rpmで1分間回転後の粘度が、通常、1500〜8000mPa・s、好ましくは2000〜6000mPa・sである。スラリー組成物の粘度が過度に低いと、経時に伴ってスラリーに沈降が生じたり塗工時に液ダレを起こすおそれがあり、逆に、粘度が過度に高いと、塗膜の厚みムラや混合層表面の平滑性低下を起こす可能性がある。
ポリマー(A)の分散液と活物質とを混練してなる混合液とポリマー(B)の溶液とを混練するとき、ならびにポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と活物質とを混練して混合液を調製するとき、およびポリマー(B)の溶媒(SB)溶液に導電性付与剤を分散させるときの混合機や混練時間は特に限定されないが、高剪断の混合機を用いて活物質や導電性付与剤の粒子とバインダーのポリマーとを均一に混合させることが好ましい。
高剪断の混合機としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどが例示されるが、この中でもプラネタリーミキサーが好ましい。
高剪断の混合機での混合条件は特に限定されないが、混合温度は、通常、15〜50℃、混合時間は、通常、60〜180分である。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物が無くなるように混合し、分散させることが好ましい。
本発明方法によって得られたスラリー組成物は、粘度の経時変化が少なく、結着性が良好であり、表面が平滑で厚さが均一な二次電池電極混合層を与える。
二次電池電極は、本発明方法で得られた二次電池電極用スラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥する方法により製造することができる。すなわち、二次電池電極は、集電体に、バインダー、活物質、および必要により加えられた導電性付与剤、増粘剤などを均一に含有する混合層を結着させて形成される。
上記方法で得られる二次電池電極は、正極、負極のいずれにも使用することができるが、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのが特に好ましい。
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池では、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製のものであるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、本発明の方法により製造されたスラリー組成物の効果が最もよく現れる。ニッケル水素二次電池では、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などを挙げることができる。
集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものである。
スラリー組成物の集電体への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。塗布するスラリー組成物量も特に制限されないが、液状媒体を乾燥して除去した後に形成される、活物質、バインダーなどからなる乾燥後の混合層の厚さが、通常、0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般的である。
集電体に塗布されたスラリー組成物の乾燥方法も特に制限されず、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥方法が例として挙げられる。
さらに、乾燥後の電極をロールプレスなどの方法でプレスすることにより電極の活物質の密度を高めてもよい。
二次電池は、上記方法で得られた二次電池電極、電解液、セパレーターなどの部品を用いて、常法に従って製造して製造することができる。例えば、負極と正極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
電解液は、通常の二次電池に用いられるものであれば、液状でもゲル状でもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを選択すればよい。
電解質としては、リチウムイオン二次電池では、従来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3CO2などが挙げられる。
この電解質を溶解させる溶媒は特に限定されるものではない。具体例としてはエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられ、これらは単独もしくは二種以上の混合溶媒として使用することができる。
また、ニッケル水素二次電池では、例えば、従来公知の濃度が5モル/リットル以上の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。
[実施例]
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下で記す「部」および「%」は、特記しない限り重量基準である。
実施例および比較例における操作および試験は以下の方法によった。
〔スラリー構成成分およびスラリー組成物の特性〕
(1)ガラス転移温度(Tg)
ポリマーのTgは、示差走査型熱量計(DSC)により、昇温速度10℃/分で測定した。
(2)N−メチルピロリドン(NMP)不溶分量
ポリマーのNMP不溶分量は、ポリマー0.2gをNMP20ミリリットルに60℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩でろ過し、篩上の成分を乾燥して求めた重量の、浸漬前の重量に対する百分率で示した。
(3)平均粒径
ポリマーの平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その平均値として算出される個数平均粒子径として求めた。単位は(μm)である。
(4)ポリマー組成
ポリマーを構成する各繰り返し単位の含有量は、1H−および13C−NMR測定により求めた。単位は(モル%)である。
(5)活物質の吸液量
シャーレに採取した活物質20gをスパチュラーで掻き回しながらNMPを0.5mlづつ滴下し、活物質の粉末が固いケーキ状にまとまるNMP量を測定し、活物質100g当りの重量に換算する。3回の測定の平均値を吸液量とする。
(6)スラリー組成物粘度、スラリー粘度維持率
スラリー組成物の粘度は、スラリー組成物の調製後23℃に貯蔵し、1時間後と24時間後に、温度23℃においてBrookfield L型粘度計でローター番号4、回転数30rpmで1分間回転後に測定した。単位は(mPa・s)である。また、24時間目の粘度値の1時間目の粘度値に対する百分率をスラリー粘度維持率(%)とした。
〔二次電池電極の特性〕
(7)リチウムイオン二次電池正極の作製
実施例、比較例において調製したリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物をアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、乾燥機にて温度120℃で15分間乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、120℃で2時間減圧乾燥した後、2軸のロールプレスによって電極密度が3.2g/cm3となるように圧縮してリチウムイオン二次電池正極を得た。
(8)算術平均粗さ(Ra)
JIS B0601に基づいて、電極混合層の表面の20μm四方の算術平均粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡で観測した。
(9)剥離強度
上記(7)に記す方法で得たリチウムイオン二次電池正極から、長さ100mm、幅25mmの長方形を塗布方向が長辺となるように切り出して試験片とする。試験片の混合層全面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端のセロハンテープ端と集電体箔端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力(N/cm)を測定する。応力が大きいほど混合層の剥離強度が大きいと判断する。
〔二次電池の特性〕
(10)リチウムイオン二次電池の製造
負極としては金属リチウムを使用した。上記(7)に記す方法で得たアルミニウム正極および金属リチウム負極を直径15mmの円形に切抜き、正極の電極層面側に直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーター、負極の金属リチウムを順に積層し、外装容器底面に正極のアルミニウム箔が接触するように配置し、さらに負極の上にエキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に下記の電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップを被せて固定し、電池缶を封止して直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池を製造した。電解液はエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=33/67(20℃での体積比)にLiPF6を1モル/リットルの濃度で溶解した溶液を用いた。
(11)電池容量
電池容量の測定は、25℃で充放電レートを0.1Cとし、定電流法(電流密度:0.5mA/g−活物質)で1.2Vに充電し、3Vまで放電する充放電を各5回繰り返し、その都度電池容量を測定する。繰り返し測定した電池容量の平均値を評価結果とする。単位は〔mAh/g:活物質当たり(以下、電池容量に関しては同じ)〕である。
(12)レート特性
測定条件を、定電流量を1Cに変更したほかは、電池容量の測定と同様に定電流法で充放電を行い、3サイクル目の放電容量〔単位=mAh/g〕を測定した。3サイクル目における0.1Cでの放電容量に対する1Cでの放電容量の割合を百分率で算出した。この値が大きいほど、高速充放電が可能なことを示す。
実施例および比較例においてバインダーとして用いた各ポリマーの組成(単位:モル%)を表1に示す。ポリマーA−1,2およびB−1〜3はいずれも乳化重合法により製造した。ポリフッ化ビニリデンは市販品を使用した。
Figure 0004470735
実施例1
0.4部のポリマーA−1をNMP15.6部に分散させた分散液とコバルト酸リチウム(LiCoO2、活物質(i)、吸液量15.6g)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練して混合液aを調製した。混合液aの固形分濃度は86.6%であった。別途、6.3部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させた溶液に導電性付与剤のアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック粒状)3部を添加して固形分濃度35.1%で前記と同種のプラネタリーミキサーで混練し、NMP1.8部を加えて固形分濃度29.6%の混合液bを作製した。前記プラネタリーミキサーを用いて混合液aに混合液bを加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目2200mPa・s、24時間目2270mPa・sで、スラリー粘度変化率は103%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表2に記す。
実施例2〜6
表2に示す成分および量の配合で実施例1と同様にしてスラリー組成物を調製した。混合液bの調製における表記のNMP量の内、ポリマー(B)溶解に6.3部を用い、導電性付与剤混合後に残量を添加した。ただし、実施例3においてはポリマー(B)の溶解に表記量をすべて用いた。スラリー組成物、スラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した。試験結果を表2に記す。
Figure 0004470735
表2に見られるように、吸液量の異なる3種の活物質に対して溶媒に難溶なポリマーと可溶なポリマーの両者をバインダーに用い、本発明の方法に則って製造したスラリー組成物は、製造1時間後および24時間後共に低くて安定した粘度(経時変化が少)を示し、これらのスラリー組成物を塗布して作製した電極混合層は表面が平滑で、剥離強度は十分大きくて結着性は良好であった。また、これらの電極を用いたリチウムイオン二次電池は高容量で、かつ、高レート特性であった(実施例1〜6)。
比較例1
23.7部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させ、さらに、0.4部のポリマーA−1を分散させ、さらに、アセチレンブラック3部ならびに活物質(i)100部を添加し、2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで90分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目13400mPa・s、24時間目2010mPa・sで、スラリー粘度変化率は15%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
比較例2
16.9部のNMPに0.2部のポリマーB−1と0.2部のポリマーB−3を溶解させ、次いで0.4部のポリマーA−1を添加して分散させ、この分散液とアセチレンブラック3部と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練し、NMPを6.8部加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目12800mPa・s、24時間目2120mPa・sで、スラリー粘度変化率は17%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
比較例3
NMP16.1部に0.1部のポリマーB−1と0.1部のポリマーB−3を溶解させ、この溶液とアセチレンブラック3部と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで30分間混練し、これに、0.1部のポリマーB−1と0.1部のポリマーB−3をNMP3部に溶解した溶液を加えて、さらに30分間混練した。ここに、NMP4.6部に0.4部のポリマーA−1を分散させた分散液を添加して、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目18400mPa・s、24時間目2050mPa・sで、スラリー粘度変化率は11%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
比較例4
NMP15.8部に0.2部のポリマーB−1をと0.2部のポリマーB−3を溶解させ、この溶液と活物質(i)100部とを2対のスパイラルフック型攪拌翼を有するプラネタリーミキサーで60分間混練して混合液cを調製した。混合液cの固形分濃度は86.4%であった。別途、NMP7.9部に0.4部のポリマーA−1を分散させた分散液にアセチレンブラック3部を添加してプラネタリーミキサーで分散し、固形分濃度30.0%の混合液dを作製した。前記プラネタリーミキサーを用いて混合液cに混合液dを加えて、さらに30分間混練してリチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物を得た。スラリー組成物の固形分濃度は81.4%であった。スラリー粘度は、1時間目8950mPa・s、24時間目1980mPa・sで、スラリー粘度変化率は22%であった。
この24時間経過後のスラリー組成物を用いて作製した二次電池電極および二次電池の特性を試験した結果を表3に記す。
Figure 0004470735
表3に示すように、上記発明例(実施例1〜6)と同じ成分を同じ量使用しても、本発明と異なる手順で製造したスラリー組成物はいずれも不具合を呈した。すなわち、溶媒以外の全成分を全量の溶媒に順次添加して混練する方法で、あるいは、約7割量の溶媒に順次添加して混練してから残量の溶媒を加える方法で得られたスラリー組成物は、粘度の初期値が高い上にその後急激に低下して安定せず、電極混合層は表面が粗く、剥離強度が著しく小さく、これらの電極を用いた二次電池は、電池容量、レート特性ともに低かった(比較例1、2)。
また、ポリマー(B)と導電性付与剤と活物質とを先に混合した混合液にポリマー(A)を分散させた液を加える方法で調製したスラリー組成物は、粘度の初期値が8〜9倍と高く、経時で激しく低下した。このスラリー組成物を用いて得られた電極および二次電池は、比較例1および2と同様な欠陥を呈した(比較例3)。
さらに、ポリマー(B)を溶解して活物質を分散させた混合液に、別途調製したポリマー(A)および導電性付与剤を分散させた液を添加して混練する、本発明とは逆の配合手順を採ると、スラリー組成物の粘度は本発明例の約4倍の初期値を示した後に大きく低下し、電極および二次電池は比較例1〜3と同様な欠点を有するものであった(比較例4)。
本発明方法によって得られるスラリー組成物は、粘度の経時変化が少なく、結着性が良好であり、この組成物を集電体に塗布して乾燥すると、表面が平滑で厚さが均一な混合層を有する二次電池電極が形成される。
上記の二次電池電極は、正極、負極のいずれにも使用することができるが、正極に使用するのが好ましく、リチウムイオン二次電池の正極に用いるのが特に好ましい。

Claims (16)

  1. 溶媒(SA)に対する不溶分を50重量%以上90重量%以下含有する、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーと多官能エチレン性不飽和モノマーとの架橋共重合体であるポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質とを混練し、次いで、得られた混練液と、単官能エチレン性不飽和モノマーおよび共役ジエンの中から選ばれた少なくとも一種のモノマーの重合体であるポリマー(B)の溶媒(SB)溶液とを混練することよりなる二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。
  2. ポリマー(A)の溶媒(SA)に対する不溶分が50重量%以上87重量%以下である請求1に記載のスラリー組成物の製造方法。
  3. ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−80℃〜0℃の範囲である請求または2に記載のスラリー組成物の製造方法。
  4. ポリマー(A)の平均粒径が0.005μm〜1,000μmの範囲である請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  5. ポリマー(B)が、フッ素含有単官能エチレン性モノマー単位を50モル%以上含有するフッ素含有ポリマーを含む請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  6. ポリマー(A)とポリマー(B)との総量が、活物質100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲である請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  7. ポリマー(A)とポリマー(B)の重量比[(A)/(B)]が5/1〜1/5の範囲である請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  8. 溶媒(SA)および溶媒(SB)が、水および、大気圧下での沸点が80℃〜350℃である非水系溶媒の中から選ばれる請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  9. 溶媒(SA)と溶媒(SB)が同一の組成を有するものである請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  10. ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液が、さらに導電性付与剤を含有せしめたものである請求1〜のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  11. 導電性付与剤を含有せしめた、ポリマー(B)の溶媒(SB)溶液が、固形分濃度30〜40重量%で混練を行って得られたものである請求項10に記載のスラリー組成物の製造方法。
  12. 導電性付与剤の量が活物質100重量部当たり1〜20重量部である請求項10または11に記載のスラリー組成物の製造方法。
  13. ポリマー(A)の溶媒(SA)分散液と電極活物質との混練における溶媒(SA)の量が、電極活物質の吸液量の80〜120重量%である請求1〜12のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  14. 請求1〜13のいずれかに記載の製造方法で製造された二次電池電極用スラリー組成物。
  15. 請求項14に記載のスラリー組成物を、集電体に塗布して乾燥することよりなる二次電池電極の製造方法。
  16. 集電体上に、該スラリー組成物に由来する厚さ0.005mm〜5mmの混合層を形成せしめる請求項15に記載の二次電池電極の製造方法。
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