JP2005116327A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 リチウム二次電池の電池容量及び初期効率等を改善するような、リチウム二次電池用の添加剤を提供する。
【解決手段】 正極、負極活物質として炭素性物質を用いる負極、並びに、溶媒及びリチウム塩を含有する電解質を有するリチウム二次電池であって、前記炭素性物質表面にフラーレン類が存在し、前記電解質がさらに添加剤を含有することを特徴とする。炭素性物質の表面にフラーレン類を存在させ、かつ、電解質に添加剤を含有させることにより、リチウム二次電池の初期効率を著しく改善することができるようになる。
【選択図】 無し

Description

本発明は、所定のリチウム二次電池に関する。特に、初期効率の高い高容量のリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、起電力物質であるリチウムの原子量が小さいためエネルギー密度が高い。このため、リチウム二次電池は、携帯電話や携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の電気機器の電源として用いられてきた。しかし、近年、これら携帯情報端末間や携帯電話間で動画のような大容量のデータを有線又は無線により高速通信する技術が確立されたこと等によって、これら電気機器の消費電力も大きくなる傾向にある。このため、電源として用いるリチウム二次電池の電池容量もより高くすることが強く望まれている。
リチウム二次電池の電池容量を上げるために様々な方法が試みられているが、このような方法の一つとして、特許文献1を挙げることができる。特許文献1では、フラーレンに水素を付加した水素化フラーレンをカーボン負極の添加剤として用いることにより、リチウムイオン電池の初期効率を上げることができる(初期充電時の電池容量の損失を低減できる)と報告している。
国際公開第00/31811号パンフレット
上記報告をもとに本発明者及びその共同研究者が検討を行ったところ、水素化フラーレンは不安定で溶媒中で分解しやすい傾向があるため、必ずしもカーボン負極への添加を安定して行うことができず、電池性能が不十分又は不安定になりやすいことが判明した。
このような実情に鑑みつつ、本発明者及びその共同研究者は、フラーレンの電子受容体としての性質を利用すれば、上記リチウム二次電池の高容量化が安定的に達成できるのではないかと考え鋭意検討を続けてきた。そして、所定のフラーレン誘導体をカーボン等の炭素性物質表面に存在させることによって、リチウム二次電池の初期効率を安定して改善できることを見出した(特願2002−292747号明細書)。
しかしながら、リチウム二次電池の高容量化への要請は非常に厳しく、さらなる高容量化が望まれているのが実情である。
本発明者は、リチウム二次電池の電池容量をさらに上げるべく、リチウム二次電池の負極活物質として用いる炭素性物質の表面にフラーレン類を存在させたリチウム二次電池において、さらなる電池容量の向上を試みた。その結果、電解質中に添加剤を含有させることによってリチウム二次電池の初期効率をさらに高くすることができ、ひいてはリチウム二次電池の電池容量を高くすることができることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、正極、負極活物質として炭素性物質を用いる負極、並びに、溶媒及びリチウム塩を含有する電解質を有するリチウム二次電池であって、前記炭素性物質表面にフラーレン類が存在し、前記電解質がさらに添加剤を含有することを特徴とするリチウム二次電池に存する。
尚、本発明において「フラーレン類」とは、炭素からなる球殻構造を分子内に有する物質をいう。例えば、球殻状炭素分子であるフラーレン、フラーレンを構成する炭素に有機基等や無機元素等の基が結合したフラーレン誘導体は、「フラーレン類」に包含される概念である。
また、本発明において、「フラーレン類が炭素性物質表面上に存在する」状態としては、例えば、フラーレンやフラーレン誘導体の分子が単独又は凝集体で炭素性物質表面に吸着しているような場合を挙げることができる。
さらに、本発明における電解質中の「添加剤」とは、電解質中の溶媒のように、電解質の主成分として含有されるものではなく、リチウム二次電池の初期効率の上昇を有効に達成できる程度に含有されているものをいう。
本発明によれば、リチウム二次電池の負極活物質として用いる炭素性物質の表面にフラーレン類存在させ、かつ、電解質に添加剤を含有させることにより、リチウム二次電池の充放電における初期効率、ひいてはリチウム二次電池の電池容量を改善できる。
本発明では、負極活物質として用いる炭素性物質の表面にフラーレン類を存在させ、さらに電解質中に添加剤を含有させる。本発明で所定の負極及び電解質を用いることにより、リチウム二次電池の初期効率が向上し、ひいてはリチウム二次電池の容量が向上する理由は、以下のように考えることができる。
通常、負極活物質として用いる炭素性物質と電解質の界面においては電気化学的還元雰囲気下において、電解質(特に電解質に含有させる溶媒)の還元分解が生じる。この分解の結果、分解生成物である有機物、リチウム化合物が炭素性物質表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)と称される被膜を形成する。このSEIは、炭素性物質と電解質の直接の接触を遮断することにより、電解質の還元分解反応を実質的に停止し、電池を電気化学的に安定化させる。
このSEIを形成する反応の大半は、負極が初めて電気化学的還元状態にさらされる最初の充電過程において進行する。しかし、SEIを形成する過程において上記還元分解に消費された電力は、エネルギーとして活物質中に蓄積されているわけではないので、放電によって取り出すことはできない。すなわち、初期充電で投入された電力のうちSEI形成に消費された分は損失となり、初期効率を低下させ、その損失の分だけ電池容量が低下することになる。また、炭素性表面と電解質の間の還元分解反応は初期充電後においても徐々に進行し、この反応は、リチウム二次電池の保存安定性、サイクル特性等の低下の要因ともなる。
本発明においては、電解質との間でリチウムの吸蔵放出が行われる炭素性物質表面にフラーレン類を直接存在させることによって、リチウム二次電池の初期効率の改善、ひいては電池容量を上昇させることができるようになる。この作用機構は定かではないが、炭素性物質表面と電解質の間にフラーレン類が存在することにより、炭素性物質表面と電解質の直接の接触が遮断されて最初からSEIが形成されているのと同様な効果を有している可能性、フラーレン類を存在させることによって反応面や構造面からSEIの形成反応が起こりにくくなっている可能性、等が考えられる。
但し、負極活物質として用いる炭素性物質表面にフラーレン類を存在させた場合においても、初期充電時における炭素性物質表面上での電解質(特に電解質に含有させる溶媒)の還元分解反応を完全に抑制することができていないのが実情である。このため、フラーレン類を炭素性物質表面に存在させた場合においても、未だに初期充電で消費される電力が存在する。これは、炭素性物質表面をフラ−レン類が膜状に完全被覆しているのではなくフラ−レン類が炭素性物質表面で点在しており、Liのインタカレ−ト時に抵抗にはならない反面、炭素性物質表面での電解液の還元反応を完全に抑制することができなくなるためと思われる。このため、本発明においては、電解質中に添加剤を含有させる。そして、初期充電時において、他の電解質の構成成分に優先して上記添加剤が炭素性物質表面で還元分解してSEIを形成するようにして初期効率を一層上昇させるのである。
以下、本発明に用いるリチウム二次電池の説明をする。
A.負極
A−1.負極活物質、フラーレン類
(負極活物質)
負極活物質とは、負極においてLiの吸蔵・放出を行う材料をいう。
本発明においては、負極活物質として、炭素性物質を少なくとも用いる。負極活物質は、炭素性物質を主成分とすることが好ましい。ここで、炭素性物質を主成分とするとは、負極活物質全体のうち、炭素性物質が50重量%以上含有されていることを意味する。負極活物質中での炭素性物質の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%とする(負極活物質全体を炭素性物質とする)。負極活物質のうち炭素性物質の割合が多くなればなる程、本発明の効果が顕著に発揮されるようになる。
なお、本発明においては、便宜上、フラーレン類を表面に存在させた炭素性物質を負極活物質と呼ぶ場合がある。
炭素性物質としては、例えば、グラファイト等の黒鉛材料;石炭系コークス、石油系コークス;石炭系ピッチ若しくは石油系ピッチの炭化物、又はこれらピッチを酸化処理したものの炭化物;ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物を挙げることができる。さらに上記炭素性物質を一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等を挙げることもできる。
これら炭素性物質は、2種類以上を併用してもよい。
上記炭素性物質のうち、好ましいのは、コークス及びグラファイト等の黒鉛材料であるが、容量が大きい点で、グラファイト等の黒鉛材料が特に好ましい。
黒鉛材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末及びその精製品、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。このような黒鉛材料ならどれでもよいが、容量の点から好ましいのは人造黒鉛又は天然黒鉛である。電池性能を制御し易いという観点から特に好ましいのは人造黒鉛である。
尚、黒鉛材料は、表面をアモルファス処理してもよい。
炭素性物質は、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が過度に小さいと、炭素性物質の比表面積が増えることとなり不可逆容量が増え電池容量が低下する場合がある。一方、平均粒径が過度に大きいと活物質層の膜厚が制限され均一な活物質層を炭素性物質の上に形成させることが難しくなる場合がある。
炭素性物質の比表面積は、通常0.1m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上とする。比表面積が過度に小さいと電池のレート特性が低下する。一方、炭素性物質の比表面積は、通常30m/g以下、好ましくは20m/g以下、より好ましくは10m/g以下とする。比表面積が過度に大きいと電池の初期効率が低下する。比表面積の測定はBET法に従う。
炭素性物質以外に用いることができる負極活物質としては、けい素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケルなどの酸化物、あるいは硫酸塩さらには金属リチウムやLi−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cdなどのリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、けい素、錫などの金属などを挙げることができる。これら負極活物質の粒径は、通常1〜50μm、好ましくは5〜30μmである。あまりに大きすぎても小さすぎても初期効率、レート特性、サイクル特性等の電池特性が低下する傾向にある。無論、上記した中から選ばれる2種以上の材料を炭素性物質とともに負極活物質としてもよい。
(フラーレン類)
本発明においては、炭素性物質表面にフラーレン類を存在させる。このようなフラーレン類としては、例えばフラーレン及びフラーレン誘導体を挙げることができる。
(a)フラーレン
フラーレンとは球殻状の炭素分子であり、本発明の目的を満たす限り限定されないが、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体等を挙げることができる。これらフラーレンは複数種類を同時に用いてもよい。
本発明において、これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体である。C60、C70は工業的に得やすく、また炭素性物質表面に対する親和性にすぐれているので特に好ましい。また、これらフラーレンの複数を併用してもよく、このように複数を併用する場合は、C60およびC70を併用することが好ましい。この組み合わせで用いることにより、炭素性物質表面に対する被覆が均一に行いやすくなる。
このように、C60およびC70を併用する場合、C60を100重量部とした場合におけるC70の下限は通常5重量部以上であり、好ましくは7重量部以上、より好ましくは10重量部以上とする。上記範囲内で用いることにより、C60とC70との相互作用が良好となり、分散安定性が向上するからである。
一方、同様にC60を100重量部とした場合におけるC70の上限は、通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下であり、より好ましくは80重量部以下、さらに好ましくは70重量部以下とする。C70の含有量を上記範囲内とすることにより、C60とC70との相互作用が不十分となり併用する意義が薄れる場合があるといった不都合を防止することができるからである。
フラーレンは、例えば、抵抗加熱法、レーザー加熱法、アーク放電法、燃焼法などにより得られたフラーレン含有スートから抽出分離することによって得られる。この際、スートからフラーレンを完全に分離する必要は必ずしもなく、性能を損なわない範囲でスート中のフラーレンの含有率を調整することができる。
フラーレンは、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その二次粒径は、通常10nm以上、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
(b)フラーレン誘導体
一般に、フラーレン誘導体とは、上記のフラーレンを構成する少なくとも1つの炭素に有機化合物の一部分を形成する原子団や無機元素からなる原子団が結合した化合物をいう。フラーレン誘導体としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン等を用いることができる。
本発明においては、フラーレンを構成する1以上の炭素に式量が6以上の基が結合したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。フラーレンを構成する炭素のうち、式量が6以上の基が結合する炭素としては、C60分子を例に取れば、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子を好ましく挙げることができる(図1参照)。これは、上記(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。式量が6以上の基は、(6−6)結合のいずれかの炭素又は両方の炭素に結合する場合が考えられ、両方の炭素に結合する場合は、両方の炭素に同一の基が結合する場合、異なる基が結合する場合、及び、両方の炭素が環の一部となるように環化付加する場合を挙げることができる。環化付加する場合としては、C60分子を例に取ると、例えば以下の3つのケースを挙げることができる。
まず、酸素が付加して酸素と2つの炭素とで3員環を形成するケース(下記構造式(1))を挙げることができる。
Figure 2005116327
次に、2つのフェニル基(下記構造式(2)中ではPhで表してある)が結合した炭素が付加して炭素の3員環を形成するケース(下記構造式(2))を挙げることができる。
Figure 2005116327
さらに、ジエンが結合するケース(下記構造式(3))を挙げることもできる。
Figure 2005116327
本発明においては、フラーレン誘導体は、式量が6以上の基を有することが好ましい。式量が1となる水素原子が結合した水素化フラーレンは溶媒中で不安定となる場合があり、リチウム二次電池への添加を安定して行いにくくなる場合がある。また、式量が4となるHeはフラーレンを構成する炭素に結合させにくくなる場合がある。これに対し、式量が6以上と立体的に大きい基(例えば、式量7となるLi)にすれば、リチウム二次電池の起電力物質であるリチウムとの相互作用が強まると考えられる。
尚、フラーレン誘導体が式量6以上の基を有するとは、図2(a)に示すように、フラーレンを構成する炭素元素の少なくとも1つに、R1で示す基が結合しており、R1を構成する単数又は複数の原子の原子量の合計が6以上であることを意味する。式量が6以上
の基がフラーレンを構成する複数の炭素に結合しているような場合においても、前記基を構成する原子の原子量の合計が6以上となればよい。例えば、図2(b)は、式量6以上の基R2がフラーレンを構成する2つの炭素に結合して環構造を形成する(環化付加している)例であり、この場合、R2を構成する単数又は複数の原子の原子量の合計が6以上となる。
式量が6以上の基の式量は、6以上であればよいが、好ましいのは式量が16以上の基である。また、式量の上限は特に制限されず、前記基がポリマーのような高分子量のものであってもよい。但し、立体障害の点からは、式量を1000以下にすることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは200以下とする。
式量が6以上の基としては特に制限はないが、工業的に得やすい点から、アルカリ金属原子、カルコゲン原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、酸素を含む特性基、硫黄を含む特性基、及び窒素を含む特性基からなる群から選ばれる1つであることが好ましい。
アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウムである。
カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルルを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フッ素、塩素、臭素である。尚、ハロゲン原子を含む基、例えばヨードシル基を用いてもよい。
脂肪族炭化水素基のうち、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
脂肪族炭化水素基のうち、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、シクロヘキシル基である。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
複素環基としては、例えばフリル基、フルフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フリル基、ピリジル基である。
酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば何でもよいが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素(エポキシ基)、カルボニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素(エポキシ基)である。
その他、酸素を含む特性基としては以下のようなものが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキ
シ基、ブトキシ基、フェノキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボン酸、エステル基としては、例えばカルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセトキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロロホルミル基、オキサル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、ホルミル基、アセチル基である。
また、酸素を含む特性基としては、例えばアセトニル基、フェナシル基、サリチル基、サリチロイル基、アニシル基、アニソイル基を挙げることもできる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、アセトニル基、サリチル基である。
硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば何でもよいが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
窒素を含む特性基としては、窒素を含む基であれば何でもよいが、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、ヒドロキシアミノ基、アセチルアミノ基、ベンザミド基、スクシンイミド基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、ウレイド基、ウレイレン基、アミジノ基、グアニジノ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、アミノ基、シアノ基、シアナート基である。
以上述べた式量が6以上の基は、さらに他の基で置換されていてもよい。
上記した式量が6以上の基のうち、特に好ましいのは、ナトリウム、カリウム、酸素、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、フェニル基、ビフェニリル基、プロピル基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。上記基の中で、酸素は結合手が2つあるが、上記構造式(1)のようなエポキシ形でフラーレンと結合している。
特に好ましいフラーレン誘導体の例としては、例えば、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレン等を挙げることができるが、電池特性を向上させる点で最も好ましいのは、酸化フラーレン、水酸化フラーレンである。
上記式量が6以上の基は、フラーレンを構成する炭素原子のうちの1つ以上に結合していればよい。一方、フラーレンに結合する上記基の数は、フラーレンの最大置換量となることが可能である。ここで、最大置換量としては、例えば、フッ素が置換基である場合を例に取ると、C60では48個となり、C70では54個となる。但し、過度に置換量が多いとリチウム二次電池の初期効率を上げるというフラーレン誘導体の性能が十分発揮されないこともあるため、フラーレンに結合する上記基の数は、通常36個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは4個以下である。フラーレンに結合させる上記式量が6以上の基の数は、リチウム二次電池に求められる性能に従って適宜選べばよい。
フラーレン誘導体は、フラーレンに対して従来公知の方法を用いて合成することができる。例えば、求核剤との反応(求核付加反応)、環化付加反応、光付加(環化)反応、酸化反応等を利用して、所望のフラーレン誘導体を得ることができる。
このようにして得られた式量6以上の基を有するフラーレン誘導体は、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その二次粒径は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
(炭素性物質とフラーレン類との関係)
本発明においては、上記フラーレン類が上記炭素性物質表面に存在している。
ここで、フラーレン類は、ファンデルワールス力等によって炭素性物質表面に付着して存在している。フラーレン類は炭素性物質表面全体を覆ってもよいが、炭素性物質表面上でフラーレン類が覆っている部分と覆っていない部分が併存していてもよい。炭素性物質表面上でフラーレン類が存在する部分と存在しない部分が併存することによって、リチウム二次電池の充放電時にLiの吸蔵・放出がよりスムースに行われるようになる。
炭素性物質表面上でのフラーレン類の存在量は、炭素性物質の重量に対して、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上とする。存在量が過度に少ないと、電池容量を上昇させる効果が不十分となる場合がある。一方、フラーレン類の存在量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下とする。存在量が過度に多いと、電池特性が不十分となる場合がある。
炭素性物質表面に存在するフラーレン類の膜厚(フラーレン類が炭素性物質表面上で点在する場合は、それぞれ点在しているフラーレン類部分それぞれの膜厚)は、通常0.7nm以上とする。0.7nm以上とすれば、フラーレン類の1分子以上からなる膜を形成することができるようになる。一方、上記フラーレン類の膜厚は、通常1.5μm以下、好ましくは0.05μm以下である。膜厚が過度に厚いと負極活物質として用いる場合に抵抗値が高くなる場合がある。
(フラーレン類を炭素性物質表面に存在させる方法:製造方法)
フラーレン類を炭素性物質表面に存在させる方法(以下製造方法という場合がある)としては、上記態様を達成しうるものであれば特に限定されるものではない。
以下、上記製造方法の一例として、フラーレン類を単分子又は複数の単分子が凝集体した状態で炭素性物質表面に吸着させる場合の製造方法について説明する。
フラーレン類を炭素性物質表面に存在させる方法としては、例えば、フラーレン類を気体状にして炭素性物質に修飾させる気相中反応、フラーレン類及び炭素性物質を溶媒に溶解又は分散させて炭素性物質の表面にフラーレン類を修飾する液相中反応、固体状の炭素性物質に固体状のフラーレン類を接触させて表面修飾を行う固相中反応等、様々な方法を用いることができる。これらの方法の中でも、最も簡易な方法は液相中反応である。
(a)液相中反応
液相中反応の具体例としては、フラーレン類を溶解させた溶液に炭素性物質を混合し、所定時間撹拌した後、デカンテーションにより溶液を除去、乾燥により処理粉体を得る方法がある。この方法においては、表面修飾がフラーレン類の炭素性物質への吸着効果によってなされる傾向が強く、修飾量を極微量にでき、フラーレン類を炭素性物質表面に薄く均一に付着できるようになると推測される。但し、この方法は、簡便ではあるものの、未反応のフラーレン類がデカンテーションにより除去した溶媒中に残留していることもあり、フラーレン類による炭素性物質の表面修飾量を把握しづらい場合がある。
液相中反応の他の具体例としては、修飾する炭素性物質に、フラーレン類を溶解させた
溶液を、所望の修飾割合となる分量だけ投入、撹拌の後、溶剤を蒸発させて除去することにより処理粉体を得る方法を挙げることができる。この方法においては、投入したフラーレン類を全て表面修飾に用いるため、修飾量をコントロールできる利点がある。
液相中反応の後、自然乾燥又は所定の温度まで昇温して乾燥を行い、フラーレン類が溶解している溶媒を除去すれば、炭素性物質表面にフラーレン類が存在したリチウム二次電池用負極材料を得ることができる。
(b)固相中反応
炭素性物質が粉体状である場合の固相中処理の具体例としては、微粒子状のフラーレン類と炭素性物質とを混合し、高速で撹拌、せん断することにより、フラーレンを炭素性物質表面に存在させる手法が挙げられる。この手法は、その撹拌方法により、気流中で粒子を衝突させるジェットミル法、比較的高密度になっている粉体をブレードで強力に撹拌するプラネタリー撹拌法等に分類される。
(c)気相中反応
炭素性物質が粉体状である場合の気相中処理の具体例としては、フラーレン類を好ましくは真空中で加熱し昇華させることにより、対向して設置された炭素性物質表面に堆積させる、いわゆる真空蒸着法が挙げられる。
A−2.炭素性物質、フラーレン類以外の負極の説明
負極は、通常、上記フラーレン類が表面に存在する負極活物質を含有する活物質層を集電体上に形成してなる。そして、活物質層は、炭素性物質表面にフラーレン類が存在する負極活物質を少なくとも含有し、通常、これら材料にさらに、バインダー及び必要に応じて導電剤等の添加剤を有する。
活物質層中の負極活物質の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは98重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向にある。
活物質層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。
他の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。
また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常10,000〜3,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000程度である。低すぎると塗膜の強度が低下する傾向にある。一方、高すぎると負極製造用の塗料の粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂としては、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーが挙げられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
バインダーの使用量は、負極活物質100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると活物質層の強度が低下する傾向にあり、バインダーの量が多すぎると電池容量が低下する傾向にある。
活物質層中には、必要に応じて、導電性材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有させてもよい。
負極に使用される集電体としては、電気化学的に溶出等の問題が生じず、電池の集電体として機能しうる各種のものを使用でき、通常は銅、ニッケル、ステンレス等の金属や合金が用いられる。好ましくは、銅を使用する。集電体の厚さは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなる傾向にあり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体としての容量が低下する。二次電池の重量を低減させる、すなわち重量エネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの炭素性物質を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで重量も自在に変更可能となる。また、このような穴あきタイプの炭素性物質の両面に接触層を形成した場合、この穴を通しての塗膜のリベット効果により塗膜の剥離がさらに起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗膜と炭素性物質との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなることがある。また、活物質層との接着性を向上させるため、集電体の表面を予め粗面化処理することができる。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理や粗面ロールにより圧延するなどの方法、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤ−ブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。
集電体上に活物質層を有する負極は、上記リチウム二次電池用負極材料を、バインダーを溶解しうる溶剤を用いて分散塗料化し、その塗料を集電体上に塗布、乾燥することにより製造することができる。
活物質層を形成する際に使用する溶剤としては、例えばN−メチルピロリドンや、ジメチルホルムアミドを挙げることができ、好ましくはN−メチルピロリドンである。塗料中の溶剤濃度は、少なくとも10重量%より大きくするが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上である。また、上限としては、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。溶剤濃度が低すぎると塗布が困難になることがあり、高すぎると塗布膜厚を上げることが困難になると共に塗料の安定性が悪化することがある。
分散塗料化には通常用いられる分散機が使用でき、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、二軸混練機などが使用できる。
集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーターやエクストルージョン型のダイコーター、リバースロール、グラビアコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーター、ブレードコーター、及びナイフコーターが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーター、簡便な点からはブレードコーターが最も好ましい。
上記塗料を集電体上に塗布した後、塗膜を例えば120℃程度の温度で10分間程度の時間乾燥させることよって活物質層が形成される。
活物質層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。活物質層の厚さが過度に薄いと、電池の容量が小さくなりすぎる。一方、過度に厚いとレート特性が低下しることとなる。
B.正極
リチウム二次電池の正極は、通常集電体上に正極活物質を含有する正極活物質層を有する。使用される正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物が挙げられ、具体的には、LiNiO、LiNiCoO等のリチウムニッケル複合酸化物、LiCoO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiMn等のリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。これら複合酸化物の遷移金属サイトの一部は他の元素で置換されていてもよい。遷移金属の一部を他の元素で置換することにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。この際の該遷移金属サイトの一部を置換する他元素(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくはAlである。なお、遷移金属サイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。置換元素による置換割合は通常ベースとなる遷移金属元素の2.5モル%以上、好ましくはベースとなる遷移金属元素の5モル%以上であり、通常ベースとなる遷移金属元素の30モル%以下、好ましくはベースとなる遷移金属元素の20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定化が十分図れない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。リチウム遷移金属複合酸化物のうち、より好ましいものはリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物であり、特に好ましいものはLiCoOである。正極活物質の粒径は、レート特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で通常1μm以上、一方、通常30μm以下、好ましくは10μm以下である。
正極は、通常正極活物質とバインダーとを有する活物質層を集電体上に形成してなる。正極に使用されるバインダーの種類や活物質層の形成方法は負極の場合と同様とすればよい。
また、正極においては、集電体の材質は、通常、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼等の金属、これら金属の合金等を用いることができる。この場合、正極の集電体としては、通常アルミニウムが用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは通常1μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。正極集電体は、上記集電体の材質と膜厚以外の事項(例えば形状)については、上記負極集電体と同様にしてもよい。
C.電解質
C−1.溶媒とリチウム塩
リチウム二次電池に使用される電解質は、通常支持電解質であるリチウム塩を溶媒(以下、非水系溶媒と呼ぶ場合がある。)に溶解してなる電解液を有する。
非水系溶媒としては、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、アセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。以上の非水系溶媒は、複数種を併用することができる。
非水系溶媒として好ましくは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチルラクトン、及びアセトニトリルを挙げることができる。
非水系溶媒は、溶媒とリチウム塩との合計量に対して、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有される。非水系溶媒を複数用いる
場合は、それぞれの含有量が20重量%以上含有される。
なお、非水系溶媒は、粘度が1mPa・s以上であることが好ましい。
電解質に使用する支持電解質であるリチウム塩としては、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiClO、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、LiSOCF等を挙げることができる。これらのうちでは特にLiPF及びLiClOが好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
C−2.添加剤
本発明においては、電解質に添加剤を含有させる。電解質中に添加剤を含有させることにより、初期充電時の炭素性物質表面上での電解質中の溶媒等の電力損失につながるような還元分解が抑制され、初期効率を上昇させることができるようになる。
(添加剤の性状)
本発明における添加剤は、常温(25℃)/常湿(50RH%)において、通常、液体又は固体である。ただ、上記添加剤は、電解質中に含有される場合には、溶媒中に溶解するか液体の状態となることが好ましい。
(添加剤の含有量)
添加剤の含有量は、リチウム塩と溶媒との合計量に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.2重量%以上とする。添加量を上記範囲とすれば、電解液の還元分解抑制効果が良好となり初期効率の向上が確実に得られるようになる。一方、添加剤の含有量は、リチウム塩と溶媒との合計量に対して、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2重量%以下とする。上記範囲内とすれば、電解質中のLiイオン伝導度が低下しレ−ト特性等の電池特性が劣化することがなくなる。
(添加剤の分子量)
また、初期充電時において負極表面で還元分解する際、添加剤として分子量の小さいものを用いると、添加剤の還元分解時に炭酸ガス等のガス発生が顕著であること場合がるため、添加剤の分子量は、所定量以上であることが好ましい。このため、添加剤の分子量は、通常50以上、好ましくは55以上、より好ましくは85以上、さらに好ましくは100以上とする。一方、添加剤の分子量は、通常500以下とする。添加剤の分子量が過度に大きいと、初期充電時において炭素性物質表面で添加剤が効率的に分解せず、充分な電解液還元分解抑制効果が得られず初期効率の向上が見られない場合がある。
(添加剤の構造)
本発明で用いられる添加剤は、炭素性物質表面においてフラーレン類とともに又は単独で良好なSEIを形成するような性質を有するものであれば特に制限されないが、分子内に炭素と酸素との二重結合を分子内に1つ以上有する化合物、及び/又は硫黄と酸素との二重結合を分子内に1つ以上有する化合物であることが好ましい。これは、添加剤が炭素と酸素との二重結合又は硫黄と酸素との二重結合を分子内に有するようにすることにより、充電時における炭素物質表面での添加剤の還元分解が起こりやすくなり効率的にSEI形成が起こるためではないかと推測される。
(a)分子内に炭素と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物
分子内に炭素と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物としては、例えば、カルボニル系化合物、エステル系化合物、カーボネート系化合物を挙げることができる。
(a−1)カルボニル系化合物
カルボニル系化合物は、分子内に、カルボニル基を含む化合物をいう。このような化合
物としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
R1−(C=O)−R2 (1)
但し、R1、R2はそれぞれ独立して炭素数が1から10のアルキル基、又は炭素数が6から16の芳香族炭化水素基を表す。また、R1、R2は互いに連結して、炭素数が2から10のアルキレン基となっていてもよい。
R1及びR2にアルキル基を用いる場合、アルキル基を構成する炭素数は、通常1以上10以下、好ましくは1以上4以下とする。炭素数をこの範囲とすれば、添加剤の融点(性状)を良好に制御できるようになる。
炭素数1以上10以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を挙げることができる。これらアルキル基のうち、添加剤の融点(性状)を制御する点から、炭素数1以上4以下のアルキル基を用いるのが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。
なお、上記アルキル基においては、水素の全部又は一部を、更に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び沃素原子のハロゲン原子で置換してもよい。
R1及びR2に芳香族炭化水素基を用いる場合、アルキル基を構成する炭素数は、6以上16以下の芳香族炭化水素基を挙げることができる。なかでも、炭素数が6以上10以下のものが好ましい。A1をこのような炭素数の芳香族炭化水素基とすることにより、添加剤の融点を良好に制御することができるようになる。
炭素数が6以上16以下の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−インデニル基、2−インデニル基、3−インデニル基、4−インデニル基、5−インデニル基、6−インデニル基、7−インデニル基等を挙げることができる。
フラーレン類との親和性の観点から、これら芳香族炭化水素基の中でも好ましいのは、炭素数が6以上10以下の芳香族炭化水素基である。このような芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−インデニル基、2−インデニル基、3−インデニル基、4−インデニル基、5−インデニル基、6−インデニル基、7−インデニル基を挙げることができる。これら芳香族炭化水素基は分子量が小さく添加剤の粘度や融点を低くする傾向があるため、添加剤を溶媒として用いることができるようになる。これら芳香族炭化水素基の中でも最も好ましいのは、添加剤の粘度や融点を低く抑える傾向が顕著となる点で、芳香族炭化水素基として最も分子量が小さいフェニル基である。
芳香族炭化水素基には前述のように置換基が結合していてもよい。置換基を有する芳香族炭化水素基としては、添加剤の融点や極性の度合いを考慮して、具体的には、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、及びカルボキシフェニル基を好ましく挙げることができる。
R1及びR2は互いに連結してアルキレン基を形成してもよい。添加剤の構造を小さく
して融点を制御する観点から、R1とR2とから構成されるアルキレン基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、特に好ましくは5以下とする。工業的に合成しやすいという観点からは、R1とR2との合計炭素数が3以上、5以下とすることが特に好ましい。これらアルキレン基は、その基が有する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよい。置換基として用いるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、好ましいのはフッ素である。また、置換基として用いるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、メチル基、エチル基である。R1及びR2が互いに連結して形成するアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、及びペンタメチレン基が好ましく挙げられる。
上記一般式(1)で表される具体的な化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、バレロフェノン、フェニルプロピルケトン、フェニルブチルケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。これら化合物のうち、初期効率を向上させる効果の点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、バレロフェノン、フェニルプロピルケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが好ましく、シクロヘキサノンが特に好ましい。
(a−2)エステル系化合物
エステル系化合物は、分子内に、「−(C=O)−O−」の構造を有する化合物をいう。このような化合物としては、分子量を所定の値以上とする観点から、例えば、上記構造を環内に有するスピロ化合物や酸無水物を挙げることができる。ここで、スピロ化合物とは、2個の環をもつ有機化合物で、1個の炭素原子だけが2個の環に共有されている構造を持つものをいう。
「−(C=O)−O−」の構造を有するスピロ化合物としては、スピロジラクトン類、例えば1,6−ジオキサ−スピロ[4.4]−ノナン−2,7ジオンを挙げることができる。
酸無水物としては、通常化学構造上、以下の特徴のものを使用できる。即ち、分子内に2個のカルボニル基が1個の酸素原子を間に挿んで並列するものであり、個々のカルボニル基の炭素は上記酸素原子とカルボニル酸素原子以外に1個の炭素原子と結合する。具体的には、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
R3−(C=O)−O−(C=O)−R4 (2)
(ここで、R3及びR4は、カルボニル炭素と結合する炭素原子を末端とする有機残基である。また、有機残基R3とR4とは互いに結合して環状構造を形成してもよい)
有機残基R3及びR4としては、それぞれ又は全体として、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基等であってもよい。また、エステル基やエーテル基等を有する有機残基であってもよい。
R3、R4にそれぞれ用いるものとしては、例えば、炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6〜16の芳香族炭化水素基を挙げることができる。これら炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6〜16の芳香族炭化水素基としては、上記R1、R2で説明したものと同様のものを用いることができる。
好ましくは、有機残基R3とR4とは互いに結合して環状構造を形成する。このような環状構造の酸無水物、すなわちカルボニル基が環構成の一部をなす化合物は、ガス発生の抑制効果が特に大きい。
R3、R4が互いに結合して環構造を形成する場合、R3、R4としては、例えば、炭素数2から10のアルキレン基、炭素数2から7のアルケニレン基、炭素数6から12のフェニレン基を挙げることができる。
R3、R4が互いに連結して炭素数2から10のアルキレン基を形成する場合には、上記R1、R2で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、R3とR4とが互いに連結して形成する炭素数2から7のアルケニレン基を形成する場合は、炭素数は、通常2以上、一方、通常7以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下とする。
炭素数2から7のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基であり、より好ましくはビニレン基、プロペニレン基であり、更に好ましくはビニレン基である。これらアルケニレン基は、有する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよい。置換基として用いるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、好ましいのはフッ素である。また、置換基として用いるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、メチル基、エチル基である。
R3とR4とが互いに連結して形成する炭素数6から12のフェニレン基を形成する場合は、炭素数は、通常6以上、一方、通常12以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下とする。
炭素数6から12のフェニレン基としては、1.2−フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ブチルフェニレン基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、1.2−フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基である。
用いる酸無水物の分子量は、一般的に300以下が好ましい。分子量が大きすぎると、酸無水物ユニットの効果よりも他の構造による充放電へ阻害要因の影響が高まり、イオン伝導を阻害し逆効果となることがある。さらに、充放電時の不可逆容量を抑制し、サイクル寿命の観点から、分子中に水酸基、カルボキシル基およびアミノ基等の官能基を持たない構造のものが効率の点で有効である。
特に好ましい酸無水物の具体例としては、コハク酸無水物、無水メチルコハク酸、無水2,2−ジメチルコハク酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水グルタル酸、無水メチルグルタル酸、無水3,3−テトラメチレングルタル酸、3−オキサビシクロ(3.1.0)ヘキサン−2,4−ジオン、無水3,3−ジメチルグルタル酸、ジヒドロクマリン等が挙げられる。
使用する酸無水物は、無論複数種を併用してもよい。
(a−3)カーボネート系化合物
カーボネート化合物は、分子内に、「−O−(C=O)−O−」の構造を有する化合物をいう。このような化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
R5−O−(C=O)−O−R6 (3)
但し、R5、R6はそれぞれ独立して炭素数が1から10のアルキル基、または炭素数が6から16の芳香族炭化水素基を表す。また、R5、R6は互いに連結して、炭素数が2から10のアルキレン基、又は炭素数2から7のアルケニレン基、炭素数6から12のフェニレン基となっていてもよい。
R5、R6に使用できる炭素数が1から10のアルキル基、または炭素数が6から16
の芳香族炭化水素基は、上記一般式(1)で説明したものと同様のものを用いることができる。
ここで、R5とR6とが連結することによって、上記一般式(3)で表される化合物は、環状カーボネートとなる。環状カーボネートにおいてはカルボニル基が分子骨格上外部を向いた形で固定されており、フラーレン類骨格に対して配位しやすく強い相互作用を示すことが可能となる。従って、環状カーボネートを用いると炭素性物質表面上のフラーレン類と強く相互作用を起こし、良好なSEIが形成されるものと推定される。
上記一般式(3)において、R5とR6とが互いに連結して形成する炭素数が2から10のアルキレン基についても上記一般式(1)で説明したものと同様のものを用いることができる。
R5とR6とが互いに連結して形成する炭素数2から7のアルケニレン基を形成する場合は、炭素数は、通常2以上、一方、通常7以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下とする。
炭素数2から7のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基であり、より好ましくはビニレン基、プロペニレン基であり、更に好ましくはビニレン基である。これらアルケニレン基は、有する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよい。置換基として用いるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、好ましいのはフッ素である。また、置換基として用いるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、メチル基、エチル基である。
R5とR6とが互いに連結して形成する炭素数6から12のフェニレン基を形成する場合は、炭素数は、通常6以上、一方、通常12以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下とする。
炭素数6から12のフェニレン基としては、1.2−フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ブチルフェニレン基等を挙げることができるが、添加剤の融点を制御する点から好ましいのは、1.2−フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基である。
上記一般式(3)で表される具体的な化合物としては、ビニレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、フェニルエチルカーボネート、カテコ−ルカ−ボネ−ト等が挙げられる。これらカーボネートのうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、フェニルエチルカーボネートであり、より好ましくは、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネートである。
(b)分子内に硫黄と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物
分子内に硫黄と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物としては、例えば、スルホキシド化合物、スルホン化合物を挙げることができる。
スルホキシド化合物とは、分子内に、「−(S=O)−」の構造を有する化合物をいう。このような化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
R7−(S=O)−R8 (4)
但し、R7、R8はそれぞれ独立に、炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が1から10のアルコキシ基、又は炭素数が6から16の芳香族炭化水素基を表す。R7とR8とは互いに連結して、硫黄原子を含有する5又は6員環を形成していてもよい。
R7及びR8に用いる炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6から16の芳香族炭化水素基としては、上記一般式(1)においてR1、R2で説明したものと同様のものを用いることができる。
R7及びR8に炭素数が1から10のアルコキシ基を用いる場合、炭素数は通常1以上、一方通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下とする。炭素数をこの範囲とすれば、添加剤の融点を良好に制御できるようになる。
炭素数1以上10以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等を挙げることができる。これらアルコキシ基のうち、添加剤の融点を制御する点から、メトキシ基又はエトキシ基を用いるのが好ましい。
また、R7とR8とは互いに連結して、硫黄原子を含有する5又は6員環を形成していてもよい。このようなものとして、例えば、2価の遊離基である1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、−O−(CH−、−O−(CH−O−などを挙げることができる(n、mは、通常、それぞれ2〜4の整数である。nは、3又は4であることが好ましく、mは、2又は3であることが好ましい)。これらのうちで、本発明の効果が
より発揮される点からより好ましいのは、硫黄原子と結合する酸素原子が多く、立体障害の小さな−O−(CH−、−O−(CH−O−である。
スルホン化合物としては、分子内に、「−(SO)−」の構造を有する化合物をいう。このような化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
R9−(SO)−R10 (5)
但し、R9、R10はそれぞれ独立に、炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が1から10のアルコキシ基、又は炭素数が6から16の芳香族炭化水素基を表す。R7とR8とは互いに連結して、硫黄原子を含有する5又は6員環を形成していてもよい。
R9、R10としては、一般式(4)で説明したR7、R8と同様のものと用いることができる。
一般式(4)又は(5)で表される具体的な化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、メタンスルフィン酸メチル、エタンスルフィン酸エチル、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、1,2−プロピレングリコールサルファイト、1,3−ブチレングリコールサルファイト、ジフェニルサルファイト、エチレンサルファイト、ビニレンサルファイト、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジベンジルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、3−メチルスルホレン、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸アセチル、メタンスルホン酸テトラヒドロフルフリル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、プロパンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸エチルメチル、硫酸メチルフェニル、エチレングリコール硫酸エステル、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、及び1,4−ブタンジオール硫酸エステルを挙げることができる。
これらのうち、初期効率を向上させる点から、テトラメチレンスルホシキド、エチレンサルファイト、スルホラン、プロパンサルトン、エチレングリコール硫酸エステル(ジオキソチオランジオキシド)が好ましく、テトラメチレンスルホシキド、エチレンサルファイト、スルホラン、プロパンサルトン、エチレングリコール硫酸エステル(ジオキソチオランジオキシド)がより好ましい。
D.セパレータ
電解質は、正極と負極との内部、及び正極と負極との間に存在するが、正極と負極との間には、正極と負極との短絡防止のために、多孔質フィルムのような支持体を存在させるのが好ましい。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜である。
E.リチウム二次電池のその他の要素
正極、負極、及び電解質を有する電池要素はケースに収納される。電池要素としては、例えば、正極と負極とを電解質を介して積層した積層体を巻回した形態、正極と負極と電解質を介して平板状に積層した形態、又は前記平板状に積層した電池要素を複数個用意してさらに積層した形態を挙げることができる。
電池要素を収納するケースは、通常、コインセルや乾電池用の金属缶や形状可変性を有するケースを挙げることができる。
F.リチウム二次電池の用途
リチウム二次電池が電源として使用される電気機器としては、例えば、携帯用パーソナルコンピュータ、ペン入力パーソナルコンピュータ、モバイルパーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)等を挙げることができる。また、リチウム二次電池は、電気自動車用の電源として用いることもできる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[炭素性物質の表面処理]
フラーレン類として、C60を酸化反応することにより製造した酸化フラーレン(フラーレンに結合している酸素数は、1〜9個であった)を用いた。また、炭素性物質として、粒径18μm、比表面積5m/gの人造黒鉛を用いた。
上記酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに、固形分0.01重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積300ミリリットルのガラス容器中に投入した。この容器にさらに上記人造黒鉛9.99gを入れ、約12時間撹拌後、60℃にて加熱乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛(これを単に修飾粉体という場合がある。)を得た。
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下単にSEMという。)観察においては、修飾粉体表面に酸化フラーレンの存在が確認された。酸化フラーレンは、黒鉛表面上で点在していた。
[負極電極の作製]
上記修飾粉体を90重量部、ポリフッ化ビニリデン樹脂(KFポリマー#1300:呉羽化学工業株式会社製、)10重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)150重量部を混練し、負極塗料とした。
上記負極塗料作成後、すぐにこの塗料を銅箔(厚み 20μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)にて塗布、乾燥させ、100kN/mの線圧にてロールプレス処理
し、負極を得た。
[電池の作製]
上記負極電極をφ13mmに打ち抜きコインセルで電池特性を評価した。
コインセルを作成する際、対極にはLi金属箔(厚さ0.5mm、φ14mm)、電解液、及びセパレータを用いた。尚、用いた電解液及びセパレータは以下の通りである。
電解液は、非水系溶媒として、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネート(いずれも三菱化学(株)製)を1:1の割合(体積%)を用い、リチウム塩として、LiPFを用いた。リチウム塩の濃度は、1mol/lとした。
上記電解液に添加剤としてシクロヘキサノン(分子量:108)を電解液に対して1重量%添加しスタ−ラ−で攪拌して電池特性測定用の電解質を得た。
セパレータは、膜厚16μmのポリエチレンシ−ト(東燃化学(株)製)を用いた。
(実施例2)
添加剤としてコハク酸無水物(分子量:100)を1重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(実施例3)
添加剤としてコハク酸無水物を0.1重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(実施例4)
添加剤としてコハク酸無水物を10重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(実施例5)
添加剤としてジフェニルカ−ボネ−ト(分子量:214)を1重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(実施例6)
添加剤としてプロパンサルトン(分子量:122)を1重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(実施例7)
添加剤としてエチレンサルファイト(分子量:60)を1重量%添加した以外は実施例1と同様に電池を作製した。
(比較例1)
実施例1において、電解液中に添加剤を存在させなかったこと以外は実施例1と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
[試験例]
実施例1〜7及び比較例1で得られた電池の電池特性を評価した。
電池特性は、上記コインセルの充放電を行い1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を測定することにより評価した。充電条件は、0.3mA/cmで3mVまで定電流充電し0.03mA/cmまで定電圧充電した。放電条件は0.3mA/cmで1.5Vまで定電流放電した。初期効率は、(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)から算出した。
上記のようにして測定した1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を表−1に示す。
Figure 2005116327
表−1より、酸化フラ−レンで表面修飾された負極活物質からなる負極電極は電解液に添加剤を用いることにより、初期効率が0.3〜1%程度上昇することがわかる。
(実施例8)
(1)正極電極の作製
正極活物質として、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO、BET表面積0.60m/g、平均粒径5μm)を90重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、アセチレンブラック5重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学株式会社製)80重量部を混練し、正極塗料とした。
この塗料をアルミニウム箔(厚み 20μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)にて塗布、乾燥させ、100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、正極を得た。ついで所定のサイズに裁断し平板状の正極とした。
(2)炭素性物質の表面処理
フラーレン類として、C60を酸化反応することにより製造した酸化フラーレン(フラーレンに結合している酸素数は、1〜9個であった)を用いた。また、炭素性物質として、粒径18μm、比表面積5m/gの人造黒鉛を用いた。
上記酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに、固形分0.01重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積300ミリリットルのガラス容器中に投入した。この容器にさらに上記人造黒鉛9.99gを入れ、約12時間撹拌後、60℃にて加熱乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛(これを単に修飾粉体という場合がある。)を得た。
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下単にSEMという。)観察においては、修飾粉体表面に酸化フラーレンの存在が確認された。酸化フラーレンは、黒鉛表面上で点在していた。
(3)負極1A、1Bの作製
上記修飾粉体を90重量部、ポリフッ化ビニリデン10重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン150重量部を混練し、負極塗料とした。
この塗料を銅箔(厚み 10μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)にて塗布、乾燥させ、100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、負極を得た。ついで所定のサイズに裁断し、負極1Aとした。
上記修飾粉体を、酸化フラーレンで修飾を行っていない炭素性物質(粒径18μm、比表面積5m/gの人造黒鉛そのもの)とした以外は、上記と同様にして負極1Bを作製した。
(4)電解質の作製
電解液は、非水系溶媒として、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネート(いずれも三菱化学(株)製)を1:1の割合(体積%)を用い、リチウム塩として、LiPFを用いた。リチウム塩の濃度は、1mol/lとした。
上記電解液に添加剤としてコハク酸無水物を電解液に対して1重量%添加しスタ−ラ−で攪拌して電池特性測定用の電解質を得た。
(5)リチウム二次電池電池の作製
上記正極及び負極1Aに電流取り出し用の端子を取り付けた後、膜厚16μmのポリエチレン製セパレータを介して積層して、ラミネートフィルムからなるケースに挿入し、ケースを密封する前に上記電解質を注液して、リチウム二次電池7Aを作製した。
上記負極1Aを上記負極1Bに変えた以外は、上記と同様にしてリチウム二次電池7Bを作製した。
(実施例9)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をビニレンカーボネート(分子量:86)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池9A、9Bを作製した。
(実施例10)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をシクロヘキサノンとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池10A、10Bを作製した。
(実施例11)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物を1,6−ジオキサ−スピロ[4.4]−ノナン−2,7ジオン(分子量:156)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池11A、11Bを作製した。
(実施例12)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をジフェニルカーボネートとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池12A、12Bを作製した。
(実施例13)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をエチレンサルファイトとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池13A、13Bを作製した。
(実施例14)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をプロパンサルトンとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池14A、14Bを作製した。
(実施例15)
実施例8の(4)においてコハク酸無水物をジオキソチオランジオキシド(分子量:124)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池15A、15Bを作製した。
[試験例]
実施例8〜15で得られたリチウム二次電池の電池特性を評価した。
電池特性は、上記リチウム二次電池の充放電を行い1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を測定することにより評価した。充電条件は、0.3mA/cmで4.2Vまで定電流充電し0.03mA/cmまで定電圧充電した。放電条件は0.3mA/cmで2.7Vまで定電流放電した。初期効率は、(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)から算出した。
上記のようにして測定した初期効率を表−2に示す。
Figure 2005116327
(実施例16)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をビニレンカーボネートとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池16A、16Bを作製した。(実施例17)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をシクロヘキサノンとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池17A、17Bを作製した。
(実施例18)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をフェニルエチルカーボネート(分子量:122)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池18A、18Bを作製した。
(実施例19)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をテトラメチレンスルホキシド(分子量:104)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池19A、19Bを作製した。
(実施例20)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をスルフォラン(分子量:120)とした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池20A、20Bを作製した。
(実施例21)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をプロパンサルトンとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池21A、21Bを作製した。
(実施例22)
実施例8の(2)、(3)における炭素性物質を粒径22μm、比表面積4m/gの天然黒鉛としたこと、及び、実施例8の(4)においてコハク酸無水物をジオキソチオランジオキシドとした以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池22A、22Bを作製した。
[試験例]
実施例16〜22で得られたリチウム二次電池の電池特性を評価した。
電池特性は、上記リチウム二次電池の充放電を行い1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を測定することにより評価した。充電条件は、0.3mA/cmで4.2Vまで定電流充電し0.03mA/cmまで定電圧充電した。放電条件は0.3mA/cmで2.7Vまで定電流放電した。初期効率は、(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)から算出した。
上記のようにして測定した初期効率を表−3に示す。
Figure 2005116327
本発明によれば、リチウム二次電池の負極活物質として通常用いる炭素性物質の表面に所定のフラーレン類を存在させることにより、かつ、電解質に添加剤を含有させることにより、リチウム二次電池の初期効率を著しく改善することができるようになる。
60の(6−6)結合を示す図である。 式量が6以上の基が結合したフラーレンの一例を示す図である。

Claims (5)

  1. 正極、負極活物質として炭素性物質を用いる負極、並びに、溶媒及びリチウム塩を含有する電解質を有するリチウム二次電池であって、前記炭素性物質表面にフラーレン類が存在し、前記電解質がさらに添加剤を含有することを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記添加剤の分子量が50以上であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記添加剤が、分子内に炭素と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物及び/又は硫黄と酸素との二重結合を1つ以上有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記溶媒及び前記リチウム塩の合計量に対して、前記添加剤が0.01重量%以上30重量%以下含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  5. 前記フラーレン類が、式量6以上の基を有するフラーレン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のリチウム二次電池。
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