JP2005183632A - 電気化学デバイス及びこれを用いた電気二重層コンデンサ又は電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 集電体上に電極材料層を有する電気化学デバイスであって、前記電極材料層が、電極材料、バインダー及びフラーレン類を含有し、前記電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対する前記フラーレン類の含有量が0.001重量部以上、2.5重量部以下である。
【選択図】
Description
このようなフラーレン類の用途としては、例えば、フラーレン類のリチウム二次電池への適用が提案されている(特許文献1、2)。リチウム二次電池は、集電体上に電極材料層を有する電極を用いるのが一般的である。特許文献1、2は、上記電極材料層中にフラーレンを含有させるというものである。以下、それぞれの文献について説明する。
電極材料層と集電体との接着性を向上させること、電極材料層自体の機械的強度を向上させることにより、充放電時の電池反応に直接関与しないバインダー量を低減できる。そして、バインダー量を低減できる分だけ活物質密度を大きくすることができるので、結果として電池容量が高くなる等の電池性能の改善に結びつくと考えられる。
加えて、上記従来の技術においては、フラーレンを電極の導電剤として用いる旨記載されているが、フラーレンを電極の導電剤として用いることは必ずしも有効でない。
すなわち、フラーレンの体積抵抗値は、一般的に、リチウム二次電池において導電剤として通常用いられるアセチレンブラックの体積抵抗率と比較して、極めて高い値となる。
例えば、C60の電気抵抗率は、108〜1014Ω・cm(C60の電気抵抗率が記載された文献としては、例えば、「フラーレンの化学と物理 篠原久典・齋藤弥八 著 名古屋大学出版会 1997年1月15日 初版第一刷発行 pp.122」を挙げることができる。)である。一方、アセチレンブラックの電気抵抗率は、電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(商品名:デンカブラック)を例にとると、0.14〜0.25Ω・cm程度(デンカブラックの電気抵抗率が記載された文献としては、「電気化学工業株式会社ホームページ、[2002年10月17日検索]、インターネット<URL :
http://www.denka.co.jp/product/main/yuki/black/3.htm>」を挙げることができる。)となる。これら電気抵抗率の値から、電極の導電剤として通常用いられるアセチレンブラックと比較して、フラーレンはその電気抵抗率がはるかに高いことがわかる。
さらに、本発明の第3の要旨は、上記電気化学デバイスを電極とする電池に存する。
そして、本発明の第4の要旨は、集電体上に電極材料層を有する電気化学デバイスを電極に用いたリチウム二次電池の製造方法であって、電極材料、バインダー及びフラーレン類を溶媒に溶解又は分散させた電極材料層形成用塗料を前記集電体上に塗布した後に、前記溶媒を除去することによって、前記電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対する前記フラーレン類の含有量が0.001重量部以上、2.5重量部以下となる前記電極を製造する工程、を有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法に存する。
1.電気化学デバイス
本発明の電気化学デバイスは、集電体上に電極材料層を有する電気化学デバイスであって、前記電極材料層が、電極材料、バインダー及びフラーレン類を含有し、前記電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対する前記フラーレン類の含有量が0.001重量部以上、2.5重量部以下であることを特徴とする。
1−1.集電体
集電体とは、一般に電池や電気二重層コンデンサ等において電気を取り出す端子のことをいう。外部に電流を取り出す端子(集電体)は、電極材料層と接触するように形成されるのが通常である。無論、電極材料層と集電体との間に別の層を設けてもよい。上記別の層を設ける形態としては、電極材料層中にフラーレン類を含有させて電極材料層の機械的強度を確保し、上記別の層を用いて電極材料層と集電体との接着性を確保する場合が挙げられる。
本発明においては、集電体としては、電池や電気二重層コンデンサ等で用いられている従来公知のものを用いることができる。
1−2.電極材料層
電極材料層は、電極材料、バインダー及びフラーレン類を含有する。そして、電極材料層中での上記フラーレン類の含有量は、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対して0.001重量部以上、2.5重量部以下とする。(1)電極材料
電極材料としては、一般に、電池の放電時又は充電時に必要に応じて反応を起こすことによって電気の運び手となるイオン又は電子を吸蔵・放出するような物質、又は、電解液との界面で電気二重層を形成するような物質をいう。ここで、電池においては、電極材料のことを活物質と呼ぶのが通常である。このため、本明細書において、本発明の電気化学デバイスを電池に用いる場合について説明する際には、「電極材料」のことを「活物質」と言い換える場合がある。
このように、電気化学デバイスの電極材料としては、この電気化学デバイスが用いられる用途によって所望の材料を適宜用いればよい。これら電極材料の詳細については、本発明の電気化学デバイスが用いられる具体的用途ごとに後程説明する。
(2)フラーレン類
フラーレン類としては、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレンを有する錯体、金属内包フラーレン(メタロフラーレン)等のフラーレン骨格を有する物質、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。ここでフラーレンとは球殻状又は略球穀状炭素分子を指し、フラーレン骨格とは球殻状又は略球殻状の構造をいう。なお、上記フラーレン又はフラーレン骨格が有する球殻又は略球殻状の構造においては、これを構成する炭素の一部
が欠損していてもよい。
フラーレンとしては、本発明の目的を満たす限り限定されないが、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体等を挙げることができる。
これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体であり、特に好ましいのはC60及び/又はC70である。C60、C70は溶媒への溶解性も高いため、バインダー溶液との親和性に優れており、溶媒が揮発した後にバインダーと均一に混合しやすいという利点がある。また、C60、C70は工業的に得やすい利点もある。当然上記フラーレンは複数を併用してもよいが、併用する場合、好ましいのはC60とC70とをともに用いることである。この組み合わせで用いることにより、バインダーに対する均一分散性が高くなるからである。
フラーレンは、通常、抵抗加熱法、レーザー加熱法、アーク放電法、燃焼法などにより得られたフラーレン含有スートから抽出分離することによって得られる。この際、スートからフラーレンを完全に分離する必要は必ずしもなく、性能を損なわない範囲でスート中のフラーレンの含有率を調整することができる。
C60分子を例に取ると、3員環形成の付加反応としては(6−5)開環系フレロイドや(6−6)閉環系メタノフラーレンが挙げられる。フレロイドやメタノフラーレンにおいて付加された炭素原子はメチレン基であるが、このメチレン基の2個の水素を所定の置換基で置換すれば、より高次の誘導体が得られる。窒素原子により3員環を形成する場合はアザフレロイドとなり、窒素原子が有する3つの結合手のうち、フラーレン部分に結合する2つの結合手以外の結合手に結合する基を置換することにより多様な誘導体を得ることができる。
例えば、求核付加反応においては、有機リチウム試薬やグリニャール試薬などとの反応により、アルキル基やフェニル基などをフラーレンに導入することができる。また、例えば、同じく炭素求核剤であるシアン化ナトリウムとの反応によれば、シアノ基をフラーレンに導入することができる。このように、導入される基は用いられる試薬により変更することができる。上記求核付加反応や、シアン化ナトリウムとの反応により合成されるフラーレン誘導体は、アニオンとして塩を形成することもできるが、アニオンを求電子剤で捕捉することにより1,2―ジヒドロフラーレン誘導体とすることが多い。プロトンで捕捉すれば1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の1置換体を得ることができ、求電子剤の種類によれば第2の置換基としてメチル基やシアノ基を有する1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の2置換体を得ることができる。求核付加反応では他にシリルリチウムとの反応やアミンとの反応によりフラーレン誘導体を合成することもできる。
フラーレン誘導体を得るために、フラーレンに直接結合させる基又はフラーレンを環化付加した場合に付加した環を構成する元素が形成する基の式量としては、通常1以上、好ましくは6以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは20以上とする。式量を6以上とすれば、立体的に比較的大きい基(例えば、式量7となるLi)をフラーレン骨格に結合させることができ、フラーレン誘導体が安定化するものと考えられる。また、式量の上限は特に制限されず、上記基がポリマーのような高分子量のものであってもよい。但し、立体障害の点からは、式量を1000以下にすることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは200以下とする。
カリウムである。
カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルルを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
脂肪族炭化水素基のうち、脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば何でもよいが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素(エポキシ基)、カルボニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素である。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボキシル基、エステル基としては、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば何でもよいが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、
チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
上記した所定の基のうち、特に好ましいのは、水素原子、ナトリウム、カリウム、酸素、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ビフェニリル基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。上記基の中で、酸素は結合手が2つあるが、それぞれの結合手がフラーレンを構成する炭素原子と結合してエポキシ基を形成する。
特に好ましいフラーレン誘導体の例としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレン、ビフェニルフラーレン(単数又は複数のビフェニリル基がフラーレンの球殻構造に結合したフラーレン誘導体)からなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
上記フラーレン誘導体は、常温常湿(25℃/50%RH)においては、粉末状であり、その2次粒径は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、一方通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。上記範囲とすることによりバインダーへの分散性が良好になる。
(3)バインダー
バインダーとしては、特に制限はないが、電解液等に対して安定であることが好ましい。バインダーとしては、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。
(4)その他材料
電極材料層中に含有される、電極材料、フラーレン類、及びバインダー以外の材料としては、電気化学デバイスが用いられる用途によって求められる性能に従い、適宜選択できる。このような材料としては、例えば、導電剤、補強剤等の添加剤や、充填材等を挙げることができる。
上述の通り、上記他の材料は、電気化学デバイスが用いられる用途によって適宜選択されることとなる。このため、本発明の電気化学デバイスが用いられる具体的な用途を説明する際に、その他材料について詳細に説明する。
(5)フラーレン類の含有量
本発明においては、フラーレン類が電極材料層中で微量に含まれることを特徴の一つとする。
本発明の電気化学デバイスが用いられる具体的な用途としては、特に制限はないが、例えば、電池や電気二重層コンデンサ等を挙げることができる。以下、本発明の電気化学デバイスを電池及び電気二重層コンデンサに用いる場合について説明する。
本発明の電気化学デバイスが用いられる電池としては、例えば、アルカリ電池、マンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、ポリマーリチウム電池、金属リチウム二次電池等のリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池を挙げることができる。これら電池の中でも好ましいのは、リチウム二次電池である。リチウム二次電池の電極は、通常、電極材料層が集電体上に形成された形態を有するため、電極材料層と集電体との接着性を向上させたいという要請が強い。そして、リチウム二次電池は、容量密度に優れ、電気電子機器を中心として広く用いられているため、電極材料層と集電体との接着性や電極材料層の強度を向上させることができれば、さらに容量密度を上げることができ、産業上、極めて有用である。
リチウム二次電池は、基本的には、正極、負極、及び電解質を有する。本発明の電気化学デバイスは、リチウム二次電池の正極及び/又は負極として用いられるが、負極に用いることが好ましい。これは、負極の電極材料(通常、負極の活物質としては、炭素性物質が用いられる。)とフラーレン類との親和性がよいと考えられるためである。
(1)正極
正極は、通常、Liを吸蔵・放出し得る電極材料(電池における電極材料は、活物質と通常呼ばれる。また、本明細書においては、正極の活物質を特に正極活物質をいう場合がある。)、バインダー、及びフラーレン類を含有する電極材料層を集電体上に形成してなる。
これらリチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属サイトの一部は他の元素で置換されていてもよい。遷移金属サイトの一部を他の元素で置換することにより、リチウム二次電池の安全性を向上させることができるようになる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属の一部を他の元素で置換することにより、結晶構造の安定性を向上させるこ
とができる。この際の該遷移金属サイトの一部を置換する他元素(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくは、Co、Alである。なお、遷移金属サイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。置換元素による置換割合は通常ベースとなる遷移金属元素の2.5モル%以上、好ましくはベースとなる遷移金属元素の5モル%以上であり、通常ベースとなる遷移金属元素の30モル%以下、好ましくはベースとなる遷移金属元素の20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定化が十分図れない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。
電極材料層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。
バインダーとしては、上記具体例で説明した物質を1種類単独で用いてもよく、複数種を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
が低下する傾向にある。一方、高すぎると正極製造用の塗料の粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂としては、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーが挙げられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
電極材料層中に含有されるフラーレン類の種類及びその量については既に説明したのでここでは説明を省略する。
(イ)予め所定量のバインダーを溶媒に溶解させたバインダー溶液を作製し、その溶液に所定量のフラーレン類を添加してフラーレン類含有バインダー溶液を得る方法
(ロ)予め所定量のフラーレン類を溶媒に溶解させてフラーレン類溶液を作製し、その溶液に所定量のバインダーを添加してフラーレン類含有バインダー溶液を得る方法
上記(イ)、(ロ)の方法はいずれを用いてもよい。これらの方法のうち、溶媒存在下でフラーレン類をより効率的にバインダーと均一に混合した状態を得、溶媒除去後のバイ
ンダー中でフラーレン類を均一に分散させるためには、経験的には、(イ)の方法が好ましい傾向にある。
集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーターやエクストルージョン型のダイコーター、リバースロール、グラビアコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーター、ブレードコーター、及びナイフコーターが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーター、簡便な点からはブレードコーターが最も好ましい。
(2)負極
負極は、通常、Liを吸蔵・放出し得る活物質(本明細書においては、負極の活物質を負極活物質という場合がある。)、バインダー、フラーレン類、及び必要に応じて導電剤等の添加剤を含有する電極材料層を集電体上に形成してなる。電極材料層中のフラーレン類、バインダー、添加剤等の種類や含有量等は、正極で説明したものと同様のものを用いることができる。
さらに上記炭素性物質を一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等を挙げることもできる。
黒鉛材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末及びその精製品、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。このような黒鉛材料ならどれでもよいが、容量の点から好ましいのは人造黒鉛又は天然黒鉛である。電池性能を制御し易いという観点から特に好ましいのは人造黒鉛である。無論、上記黒鉛材料は、2種以上を適宜用いてもよい。
黒鉛材料の平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が過度に小さいと、黒鉛材料の比表面積が増えることとなり不可逆容量が増え電池容量が低下してしまう。一方、平均粒径が過度に大きいと電極材料層の膜厚が制限され均一な電極材料層を基材の上に形成させることが難しくなる。
負極に使用される集電体としては、電気化学的に溶出等の問題が生じず、電池の集電体として機能しうる各種のものを使用でき、通常は銅、ニッケル、ステンレス等の金属や合金が用いられる。好ましくは、銅を使用する。集電体の形状としては、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。
(3)電解質
リチウム二次電池に使用される電解質は、通常、支持電解質であるリチウム塩を非水系溶媒に溶解してなる電解液を有する。
。
電解液に含有させる支持電解質であるリチウム塩としては、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、LiSO3CF2等を挙げることができる。これらのうちでは特にLiPF6及びLiClO4が好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
(4)セパレータ
電解質は、正極と負極との内部、及び正極と負極との間に存在するが、正極と負極との間には、正極と負極との短絡防止のために、多孔質フィルムのような支持体(セパレータ)を存在させるのが好ましい。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜を用いる。
(5)ケース
上記のようにして得られた正極及び負極は、セパレータを介して積層され、これら正極、負極、セパレータ中に電解質を含浸させて電池要素が製造される。そして、この電池要素は、通常、ケースに収納される。
電池要素を収納するケースは、通常、コインセル、乾電池等の金属缶、及び形状可変性を有するケースを挙げることができる。本発明においては、上記いずれのケースを用いても良い。リチウム二次電池を軽量化する観点からは、形状可変性を有するケースを用いることが好ましい。
形状可変性ケースの材料としては、アルミニウム、ニッケルメッキした鉄、銅等の膜厚の薄い金属、合成樹脂等を用いることができる。好ましくは、ガスバリア層と樹脂層とが設けられたラミネートフィルム、特に、ガスバリア層の両面に樹脂層が設けられたラミネートフィルムである。このようなラミネートフィルムは、高いガスバリア性を有すると共に、高い形状可変性と薄さを有する。その結果、外装材の薄膜化・軽量化が可能となり、電池全体としての容量を向上させることができる。
イ素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を使用することができる。好ましくは、軽量で加工性に優れるアルミニウムである。
樹脂層に使用する樹脂としては、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー類、熱硬化性樹脂、プラスチックアロイ等各種の合成樹脂を使うことができる。これらの樹脂にはフィラー等の充填材が混合されているものも含んでいる。
(6)リチウム二次電池の用途
リチウム二次電池が電源として使用される電気機器としては、例えば、携帯用パーソナルコンピュータ、ペン入力パーソナルコンピュータ、モバイルパーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)等を挙げることができる。
2−2.電気二重層コンデンサ
本発明の電気化学デバイスは、電気二重層コンデンサの電極として用いることができる。
(1)電極
電気二重層コンデンサの電極は、通常、集電体上に電極材料層が形成された形態を有する。
電気二重層コンデンサに用いる集電体の材料としては、通常、アルミニウムが用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは、通常1μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。集電体の厚みが薄すぎると機械的強度が弱くなる。一方、集電体の厚みが厚すぎると電気二重層コンデンサの中で集電体が占めるスペースが大きくなってしまい、電気二重層コンデンサのエネルギー密度が小さくなる。
すなわち、
(イ)炭素系粉末とガラスフリットを混合して得た混合物を、加熱によりガラスフリット
を溶融し、しかる後冷却・固化したもの
(ロ)炭素系粉末、タールもしくはピッチ、バインダ及び溶剤を混合し、これを成形したもの
(ハ)活性炭と、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンなどのバインダとを混合したもの
(ニ)炭素系粉末と結合材との混合成形体
(ホ)活性炭繊維の織布又は不織布を一定形状に打ち抜いたもの
(ヘ)活性炭粉末にバインダーを混合しシート成形したもの
をあげることができる。これらのうちで、最も一般的に用いられているのは、(ヘ)の形態である。以下この形態についてさらに説明する。
電気二重層コンデンサの静電容量は、その電極材料である活性炭の構造及び物性に大きく左右され、活性炭への要求特性として、大きな比表面積を持つこと、導電性が大きく内部抵抗が低いこと、かさ密度が大きいこと、が挙げられる。これらの要求特性には、特に活性炭の細孔容積及び細孔径分布等の細孔構造が大きな影響を与えるものと考えられている。
電極材料層はバインダーを含有する。バインダーとしては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられる。バインダーは活性炭に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、一方、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは10重量%以下含有される。
電極の作製は、公知の方法を採用することができる。具体例の一つとして、以下の方法を挙げることができる。
(2)電解液
電気二重層コンデンサの電解液としては、有機溶媒系のものと水溶液系のものがある。有機溶媒系電解液の溶媒としてはプロピレンカーボネートが一般的であり、支持電解質としてはこれまで知られている種々の第4級ホスホニウム塩、第4級アンモニウム塩のいず
れもが使用できる。水溶液系電解液としては、希硫酸が一般的であるが、その他の無機物、たとえば4フッ化ホウ酸、硝酸なども使用できる。さらに水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの無機塩を溶質(支持電解質)とする水溶液も便宜に使用できる。それぞれの支持電解質の濃度は5〜95重量%の範囲で適宜選択することができる。
(3)セパレータ
セパレータは、通常、多孔質フィルムのような支持体である。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜である。
(4)電気二重層コンデンサの製造方法
電気二重層コンデンサの製造方法としては、従来公知の方法を用いればよい。具体的な製造方法としては、例えば、2つの電極をセパレータを介して重ね、外装容器に収納して、その中に電解液を注入することにより電気二重層コンデンサユニットセルを製造する方法を挙げることができる。
(5)用途
本発明の電気化学デバイスを用いた電気二重層コンデンサの用途としては、例えば、ビデオやオーディオ機器のタイマーやプログラム等のメモリーバックアップ、携帯機器等の電池交換時の補助電源、時計や表示灯等太陽電池を使用した機器の蓄電源、小型モータやセルモータの起動電源を挙げることができる。この他、本発明の電気化学デバイスを用いた電気二重層コンデンサの用途は、電気自動車の実用化に向けて、電源用二次電池の補助電源、あるいは二次電池の負荷を平滑化する目的でも用いることができる。
(A)フラーレン類
フラーレン類としてはC60を62%含有し、C70を23%含有するものを用いた。以下、MFと表記する。
(B)バインダー
呉羽化学社製のポリフッ化ビニリデン樹脂(KF#1300)を用いた。以下、PVDFと表記する。
(C)溶媒
三菱化学社製のN−メチル−2−ピロリドンを用いた。以下、NMPと表記する。
[フラーレン含有バインダー溶液の作成]
PVDFとNMPとを12:88の重量比で混合して、PVDFの12%NMP溶液を
作成した。その溶液12.4894gにMFを0.0103g加えて攪拌し、フラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は0.69部である。
得られたフラーレン含有バインダー溶液0.4675g、負極活物質(黒鉛材料)0.5049g、及びNMP0.7276gを乳鉢で混合して得られた負極の電極材料層形成用塗料を、集電体(銅箔、厚み20μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)で塗布、乾燥させて、銅集電体上に電極材料層を形成した。
このとき、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、0.070重量部となる。
正極については、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)90重量部、PVDF5重量部、アセチレンブラック5重量部、NMP80重量部を混合して、正極の電極材料層形成用塗料を得た。これを集電体(アルミ箔、厚み20μm)上にドクターブレードで塗布、乾燥させて、アルミ集電体上に電極材料層を形成した。さらにこの電極材料層を100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、正極の電極を得た。その後、この正極の電極を有効サイズが20mm×20mmになるよう裁断した。
セパレータは膜厚16μmのポリエチレン製シート(東燃化学社製)を用いた。
正極の集電体及び負極の集電体に電流取り出し用の端子をそれぞれ取り付けた後、上記セパレータを介して正極及び負極を積層し、ラミネートフィルムからなるケース(形状可変性ケース)に封入し、電解液を注入して密封した。
実施例に用いたラミネートフィルムは、ナイロン6/アルミニウム/ポリプロピレンの層比が25μm/40μm/40μmである。
電池特性は、下記条件にて充放電を行い、1回目の充電容量、1回目の放電容量及び初期効率を測定することにより評価した。
(充電条件)
電流密度1mA/cm2で4.2Vまで定電流充電後、電流密度が0.02mA/cm2に低下するまで定電圧充電を行う。
(放電条件)
電流密度0.4mA/cm2で3.0Vまで定電流放電を行う。
(初期効率)
(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)により求める。
電極材料層と集電体との接着性、電極材料層の機械的強度を評価するために、電極材料
層から負極活物質を除いたフラーレン含有バインダー塗膜を集電体上に作製し、以下の評価を行った。
(電極材料層と集電体との接着強度の測定方法)
上記フラーレン含有バインダー溶液をブレードコーターで集電体(銅箔、厚み20μm)上に塗布し、乾燥させて、約20μmの膜厚のフラーレン含有バインダー塗膜を得た。この集電体上に形成されたフラーレン含有バインダー塗膜を、幅15mm、長さ30mmの大きさに裁断した。次に、短辺側の一端を注意深く剥離した後、試験機(レオテック社製 FUDOH RHEO METER)のチャックに、剥離したフラーレン含有バインダー塗膜の端部と剥離した集電体の端部とをそれぞれ取り付けた。その後、引っ張り速度2cm/分で180度剥離試験を行い、検出された最大荷重を試験片の幅で割ることにより、剥離強度[N/cm]を算出した。
上記フラーレン含有バインダー溶液をブレードコーターで集電体(銅箔、厚み20μm)上に塗布し、乾燥させて、約40μmの膜厚のフラーレン含有バインダー塗膜を得た。この集電体上に形成されたフラーレン含有バインダー塗膜を、幅10mm、長さ20mmの大きさに裁断した。そして、集電体をフラーレン含有バインダー塗膜から注意深く取り除いて、フラーレン含有バインダー塗膜単体を得た。このフラーレン含有バインダー塗膜の厚みをマイクロメータで測定した後、フラーレン含有バインダー塗膜の両短辺を試験機(レオテック社製 FUDOH RHEO METER)のチャックに挟み、チャック間10mm、引っ張り速度2cm/分で引っ張り試験を行い、検出された最大荷重を試験片の元の断面積(幅×厚み)で割ることにより、引張り強度[MPa]を算出する。
得られた電池性能、180度剥離強度、引っ張り強度の結果を表−1に示す。
フラーレン含有バインダー溶液の作製及び負極の作製を以下のようにしたこと以外は実施例1と同様にして、リチウム二次電池の電池特性、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
[フラーレン含有バインダー溶液の作成]
MF0.0097gをNMP9.9956gに加えて攪拌し、MFのNMP溶液を作成した。この溶液とPVDF1.3648gを混合してフラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は0.71部である。
得られたフラーレン含有バインダー溶液0.4675gと負極活物質0.5049g、NMP0.7276gを乳鉢で混合して得られた負極の電極材料層形成用塗料を、集電体(銅箔、厚み20μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)で塗布、乾燥させて、銅集電体上に電極材料層を形成した。このとき、このとき、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、0.071重量部である。
MFを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム二次電池の電池特性、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた
結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、0.30重量部となる。
PVDFとNMPとを12:88の重量比で混合して、PVDFの12%NMP溶液を作成した。その溶液20.0215gにMFを0.0722g加えて攪拌し、フラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は3.0部である。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、1.00重量部となる。
PVDFとNMPとを12:88の重量比で混合して、PVDFの12%NMP溶液を作成した。その溶液20.0138gにMFを0.2403g加えて攪拌し、フラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は10.0部である。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、3.00重量部となる。
PVDFとNMPとを12:88の重量比で混合して、PVDFの12%NMP溶液を作成した。その溶液20.0096gにMFを0.7203g加えて攪拌し、フラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は30.0部である。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、0.30重量部となる。
MF0.0608gをNMP30.0029gに加えて攪拌し、MFのNMP溶液を作成した。この溶液とPVDF2.0034gを混合してフラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は3.0部である。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、1.00重量部となる。
MF0.1001gをNMP25.0033gに加えて攪拌し、MFのNMP溶液を作成した。この溶液とPVDF1.0022gを混合してフラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は10.0部である。
フラーレン含有バインダー溶液の作製を以下のようにしたこと、及び電池の作製を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フラーレン含有バインダー塗膜と集電体との180度剥離強度、フラーレン含有バインダー塗膜の引っ張り強度を評価した。得られた結果を表−1に示す。
なお、本実施例において、実施例1と同様に負極活物質とバインダー溶液中のバインダーの重量比が9:1となるように負極活物質を用いた場合には、電極材料層のうちフラーレン類を除く重量100重量部に対するMFの含有量は、2.98重量部となる。
MF0.1503gをNMP30.0029gに加えて攪拌し、MFのNMP溶液を作成した。この溶液とPVDF0.5036gを混合してフラーレン含有バインダー溶液を得た。この系のPVDF100部に対するMFの割合は29.8部である。
Claims (6)
- 集電体上に電極材料層を有する電気化学デバイスであって、前記電極材料層が、電極材料、バインダー及びフラーレン類を含有し、前記電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対する前記フラーレン類の含有量が0.001重量部以上、2.5重量部以下であることを特徴とする電気化学デバイス。
- 前記フラーレン類が、C60及び/又はC70である請求項1に記載の電気化学デバイス。
- 請求項1又は2に記載の電気化学デバイスを電極とする電気二重層コンデンサ。
- 請求項1又は2に記載の電気化学デバイスを電極とする電池。
- 前記電池がリチウム二次電池である請求項4に記載の電池。
- 集電体上に電極材料層を有する電気化学デバイスを電極に用いたリチウム二次電池の製造方法であって、
電極材料、バインダー及びフラーレン類を溶媒に溶解又は分散させた電極材料層形成用塗料を前記集電体上に塗布した後に、前記溶媒を除去することによって、前記電極材料層のうちフラーレン類を除く重量を100重量部としたときに、これに対する前記フラーレン類の含有量が0.001重量部以上、2.5重量部以下となる前記電極を製造する工程、
を有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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