JP6835164B2 - 電極材料及び電極 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池を提供することを目的とする。
<一般式1>
本発明の二次電池は、下記一般式1で表される有機化合物を電極活物質として用いることを特徴とする。
前記一般式1のArの置換基としては、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記一般式1のArが、置換又は無置換の1,1−ビナフタレン、置換又は無置換のアントラセン、及び置換又は無置換のトリフェニレンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前期一般式1中のnは、2〜8の自然数であり、2〜6の自然数が好ましい。
前記一般式1で表される有機化合物を電極活物質として用いることにより、エネルギー密度が大きく、サイクル特性の良好な二次電池を得ることができる。前記二次電池は、電極活物質として用いる前記一般式1で表される有機化合物が安定化されているので、充放電サイクルが安定化し、寿命が長くなる。
前記合成方法としては、下記反応式5に示すように、Ar−(X)nで表されたハロゲン化アリール化合物のアルカリ加水分解処理による合成方法や、ハロゲン化アリールのメトキシ化、脱メチル化を経た合成方法が上げられる。なお、前記反応式5中、XはCl、Br、Iなどのハロゲン原子を表し、nは2〜8の自然数を表す。
下記反応式6−1に示すように、水酸基を有する低分子芳香族化合物は、二次電池内での酸化反応により、キノンへと変化する。次に、下記反応式6−2に示すように、キノンはリチウムイオンと反応し、二次電池用正極活物質として機能する。即ち、6つのリチウムイオンと外部回路を通った6電子がキノンと反応することで二次電池として電子を放出し(放電)、逆の反応が進行することで二次電池として電子を蓄える(充電)。この充放電機構を繰り返すことで二次電池の充放電が成立する。
前記正極は、正極集電体と正極活物質を含有する正極層とからなり、前記負極は、負極集電体と負極活物質を含有する負極層とからなる。
前記電極層は、正極の電極層と負極の電極層とからなり、それぞれの電極層は、電極活物質を含有しており、好ましくは、電極活物質と、結着剤と、導電助剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分金属酸化物や酸化還元化合物などの添加剤を含有してなる。
前記電極活物質としては、正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかである。
前記電極活物質は、前記一般式1で表される有機化合物を含む。
前記一般式1で表される有機化合物は、正極及び負極のいずれの電極活物質としても使用できるが、一般的に負極に用いられる材料のエネルギー密度の観点から、正極活物質として使用することが好ましい。
前記負極活物質の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム金属では薄膜状のもの以外に、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のものなどが挙げられる。
前記酸化還元化合物の具体例としては、例えば、下記式(R−1)〜(R−12)で示される化合物が挙げられる。なお、前記式中のnは、繰り返し単位数を表す自然数である。
前記結着剤は、各構成材料間の結びつきを強めるために含有されている。
前記結着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜20質量%が好ましい。
前記導電助剤は、集電体と電極活物質間の電子のやり取りを助けるために含有されている。
前記導電助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C60、C70等のフラーレン;単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノカーボン類;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック類;比表面積の大きい活性炭、メソポーラスカーボン、気相成長させた炭素繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電助剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着剤100質量部に対して、100質量部〜800質量部が好ましい。
前記集電体は、導電体で形成され電池の電極から発生する電荷を集めることができる部材であり、正極集電体と負極集電体がある。
前記集電体の形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記集電体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス等の金属箔、金属平板、メッシュ状電極、炭素電極などが挙げられる。なお、前記電極活物質と前記集電体とを化学結合させてもよい。
前記電解質は、負極と正極との両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般に室温(25℃)で10−5S/cm〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。
前記電解質としては、例えば、電解質塩を溶剤に溶解した電解液を用いることができる。
前記電解質塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3Cなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質塩の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mol/L〜3.0mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2.0mol/Lがより好ましい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤;トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等のアンモニウム系、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、ピペリジニウム系、ピロリジニウム系イオン液体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質として固体電解質を用いることもできる。
前記固体電解質に用いられるポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体;アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体;ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、又はこれらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。
なお、前記固体電解質は、これらのポリマーに電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、前記ポリマーのみでそのまま用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために前記正極と前記負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、セロハン、ポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布などが挙げられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙などが挙げられる。
前記セパレータの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状などが挙げられる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記セパレータの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータは、電解質を含ませて構成することも好ましい。なお、前記電解質として、イオン伝導性高分子等の固体電解質を用いる場合には、前記セパレータそのものを省略することもできる。
前記外装容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、ステンレス鋼、ステンレス鋼又は鉄にニッケルなどのめっきを施した金属などが挙げられる。
前記封止容器の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、周囲が反り上がった底の浅い皿状、有底円筒形、有底角柱状などが挙げられる。
前記外装容器の構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。前記積層構造としては、例えば、ニッケル、ステンレス鋼、及び銅の三層構造などが挙げられる。
前記外装容器の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の二次電池は、図1に示したように、外装容器6の中には、負極集電体3、負極層1、電解質を含んだセパレータ5、正極層2、及び正極集電体4がこの順に積層されている。
本発明の二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池が好適である。
前記二次電池の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、スマートフォン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源、などが挙げられる。
<二次電池の作製>
−正極の作製−
前記化合物4と、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック)と、結着剤としてのポリ(フッ化ビニリデン)(株式会社クレハ製、KFポリマーL#1120)とを混合した。そこに、N−メチルピロリドン(関東化学株式会社製、脱水溶剤)を17mL加え、全体が均一になるまで混練して黒色のペーストを得た。なお、混合質量比は、化合物4:導電助剤:結着剤=2:6:2とした。
次に、得られたペーストを、ブレードコート治具を用いてアルミニウム箔(住軽アルミ箔株式会社製、厚み20μm)上に均一に塗工した。得られた塗工膜を、予め100℃に設定しておいた温風乾燥器内に入れて、20分間乾燥させ、正極層を作製した。得られた電極層を直径16mmの円形状に打ち抜き、円形状正極とした。
次に、電解質として1.0mol/LのLiPF6を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(体積比1:2)を400μmL充填した。
最後に、ステンレス鋼製の外装容器の蓋を被せ、密閉した。以上により、実施例1の二次電池を作製した。
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、表1の実施例2〜16の欄に示す化合物No.の有機化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜16の二次電池を作製した。
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、下記比較化合物1に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の二次電池を作製した。
<二次電池の作製>
実施例1において、前記化合物4を、下記比較化合物2に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の二次電池を作製した。
実施例及び比較例の各二次電池について、定電流(1Cレート;1Cレートとは二次電池の全容量を1時間かけて充電又は放電する電流値)下で、カットオフ電圧を充電4.5V、放電1.4Vとして充放電を行った。その結果、表1に示す正極活物質あたりの放電容量を確認した。なお、正極活物質あたりの放電容量は自動電池評価装置(1024B―7V0.1A−4:エレクトロフィールド社製)により測定した。なお、図2に、実施例1の二次電池の1C充放電200サイクル目の電圧−放電容量をプロットした図を示した。
これに対して、比較例1の二次電池は、容量劣化が小さいものの、理論的に蓄えられる容量が小さいため、放電容量は小さいことがわかった。
また、比較例2の二次電池は、理論容量は大きいものの、正極活物質の母核となるベンゼン環が実施例で使用した前記一般式1で表される有機化合物と比較して小さいため、電解液への正極活物質の溶出が生じ、放電容量は小さいことがわかった。
<二次電池の作製>
実施例1において、正極として用いた電極を負極として使用し、負極活物質としての効果を確認した。なお、前記正極としては、実施例1における化合物No.4の有機化合物をLiCoO2(Strem Chemicals Inc.製)とした正極を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例17の二次電池を作製した。
<二次電池の作製>
実施例17において、負極活物質として用いた化合物No.4の有機化合物を、前記比較化合物2とした以外は、実施例17と同様にして、比較例3の二次電池を作製した。
実施例17及び比較例3の各二次電池について、定電流(1Cレート;1Cレートとは二次電池の全容量を1時間かけて充電又は放電する電流値)下で、カットオフ電圧を充電4.3V、放電3.0Vとして充放電を行った。その結果、表2に示す負極活物質あたりの放電容量を確認した。なお、負極活物質あたりの放電容量は自動電池評価装置(1024B―7V0.1A−4:エレクトロフィールド社製)により測定した。なお、図3に、実施例17及び比較例3の二次電池の1C充放電200サイクル後の電圧−放電容量をプロットした図を示した。
<1> 電極活物質が、下記一般式1で表される有機化合物を含むことを特徴とする二次電池である。
<一般式1>
<2> 正極と、負極と、電解質とを有してなり、
前記正極の電極活物質及び前記負極の電極活物質の少なくともいずれかが、前記一般式1で表される有機化合物を含む前記<1>に記載の二次電池である。
<3> 前記正極の電極活物質が、前記一般式1で表される有機化合物を含む前記<2>に記載の二次電池である。
<4> 前記一般式1におけるArの置換基が、OH基、該OH基が酸化されたカルボニル基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の二次電池である。
<5> ハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の二次電池である。
<6> 前記一般式1におけるArが、置換又は無置換の1,1−ビナフタレン、置換又は無置換のアントラセン、及び置換又は無置換のトリフェニレンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の二次電池である。
<7> リチウムイオン二次電池である前記<1>から<6>のいずれかに記載の二次電池である。
2 正極層
3 負極集電体
4 正極集電体
5 セパレータ
6 外装容器
10 負極
11 正極
Claims (4)
- リチウムイオン二次電池に用いられる電極材料であって、
以下の化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする電極材料。
- 正極及び負極の少なくともいずれかに用いられる請求項1に記載の電極材料。
- 正極に用いられる請求項2に記載の電極材料。
- 請求項1から3のいずれかに記載の電極材料が含まれることを特徴とする電極。
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