JP4797394B2 - フラーレン類表面修飾基材及びその製造方法 - Google Patents

フラーレン類表面修飾基材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材表面にフラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材及びその製造方法に関する。
1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。そして、数多くのフラーレン及びフラーレン誘導体が合成され、その実用化の可能性が研究されてきた。
上記実用化の可能性に関する研究のうちでも、電気電子機器、自動車、建築資材、工業機械の部品など、様々な製品へ応用される表面処理剤としての適用は、フラーレン類の用途として大きく期待される分野の一つであると本発明者は考えている。なぜなら、フラーレン類は、極めて特異的な結合構造、化学的性質、電子状態等に由来する様々な機能を有する。このため、フラーレン類を表面処理剤として利用すれば、フラーレン類が有する上記様々な機能が有効に発揮されるようになると考えられるからである。
特に、上記表面処理剤としての用途を考えた場合、有望な用途としてリチウム二次電池を挙げることができる。リチウム二次電池は、起電力物質であるリチウムの原子量が小さいためエネルギー密度が高く、携帯電話や携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の電気機器の電源として用いられている。
リチウム二次電池にフラーレン誘導体を用いる技術として、水素化C60又は水素化C70をグラファイトやカーボンの表面に吸着させて負極に用いる技術がある(特許文献1)。この技術においては、水素化C70を溶解させたジクロロナフタレン溶液にSFG44グラファイトを加え、その後上記ジクロロナフタレンをデカンテーションにより除去して、上記グラファイト表面に水素化C70を吸着させている(同文献p.9第13行目から第19行目)。
国際公開第00/31811号パンフレット
しかしながら、水素化C70で表面処理されたグラファイトを、デカンテーションで溶媒を除去することによって得る上記方法は、溶液の除去という操作が必要であり工程の面では手間がかかる傾向にある。
また、上記方法においては、溶媒中に溶解した分子状態の水素化C70がグラファイト表面へ吸着することによってグラファイト表面が処理される。このため、グラファイトの表面処理の精密な制御(表面処理量の制御やグラファイト表面に存在する水素化C70の粒径の制御)が困難となる傾向にある。
さらに、フラーレン及びフラーレン誘導体の種類によってはグラファイト表面に吸着しないものも多いため、上記デカンテーションを用いる方法は、表面処理方法としては適用範囲が極めて狭い方法であると考えられる。
このため、フラーレン類をグラファイト等の基材表面に存在させる際に、表面処理を精密に行う新しい方法の開発が望まれている。
本発明者は、上記実情に鑑み、基材表面をフラーレン類で処理する際に基材上に存在するフラーレン類の粒径等を精密に制御できる方法について鋭意検討を行った。その結果、フラーレン類が溶解した溶媒Aに溶媒Aと比較してフラーレン類の溶解性が低い溶媒Bを接触させることによりフラーレン類を析出させて、この析出物を基材表面に存在させるようにすれば、基材表面に存在することとなるフラーレン類の制御を良好にできることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させた後、上記溶媒Aよりも上記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させて、上記基材表面に上記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法に存する。
また、本発明の他の要旨は、フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、上記溶媒Aよりも上記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、上記組成物βと上記組成物αとを接触させて、上記基材表面に上記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法に存する。
また、本発明の他の要旨は、フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、上記溶媒Aよりも上記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させ、その後基材を含有させることにより、上記基材表面に上記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法に存する。
さらに、本発明のさらに他の要旨は、上記フラーレン類表面修飾基材の製造方法によって製造されることを特徴とするフラーレン類表面修飾基材に存する。
さらに、本発明のさらに他の要旨は、上記基材が炭素性物質であり、上記フラーレン類表面修飾基材がリチウム二次電池用負極材料であることを特徴とするフラーレン類表面修飾基材に存する。
また、本発明のさらに他の要旨は、上記フラーレン類表面修飾基材を含有することを特徴とするリチウム二次電池用の負極に存する。
そして、本発明のさらに他の要旨は、上記負極を用いることを特徴とするリチウム二次電池に存する。
なお、本発明において「フラーレン類」としては、通常、
(イ)フラーレン
(ロ)フラーレン誘導体、フラーレンを有する錯体、金属内包フラーレン(メタロフラーレン)等のフラーレン骨格を有する物質
(ハ)フラーレン類が有する球殻構造同士が直接又は少なくとも1つの原子を介して結合した状態にある複数のフラーレン骨格を分子内に有するフラーレン類、
(ニ)上記(イ)、(ロ)、(ハ)のフラーレン類を任意に混合したもの
を挙げることができる。
ここで、フラーレンとは複数の炭素で構成される球殻状又は略球殻状分子を指し、フラーレン骨格とは複数の炭素で構成される球殻構造又は略球殻状の構造をいう。なお、上記球殻状又は略球殻状分子及び上記球殻構造又は略球殻状の構造においては、これを構成する炭素の一部が欠損していてもよい。
また、本発明において、「基材表面にフラーレン類が存在する」とは、フラーレン類表面修飾基材製造後の実際の用途に用いられる前の状態において、フラーレン類が上記球殻構造又は略球殻状の構造を維持した状態で基材表面上に存在することをいう。つまり、フラーレン類表面修飾基材が実際に用いられる用途(例えばリチウム二次電池)によっては、フラーレン類の上記球殻構造又は略球殻状の構造の全部又は一部が欠損または破壊される場合があるが、このようなフラーレン類表面修飾基材であっても、本発明におけるフラーレン類表面修飾基材に含まれるものである。
なお、例えば、フラーレンやフラーレン誘導体の分子が単独又は凝集体で基材表面に吸着しているような場合は「フラーレン類が基材表面に存在している」状態である。また、例えば基材が多孔体であるような場合には、フラーレン類が存在可能な孔の中の領域は、基材表面に含まれるものとする。
本発明によれば、フラーレン類を基材表面に存在させる際に、表面処理を精密に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明のフラーレン類表面修飾基材の製造方法の大きな特徴は、フラーレン類の溶解性が低い溶媒Bを接触させてフラーレン類を基材表面に晶析させる点にある。このような手法を用いることにより、基材表面へのフラーレン類の修飾を均一に行いやすくなる利点がある。また、上記手法を用いることにより、微粒子のフラーレン類を修飾させやすくなる。このため、フラーレン類の添加量(修飾量)を少なくした場合においても、フラーレン類による表面修飾効果が十分に発揮されやすくなる。
フラーレン類表面修飾基材において、フラーレン類の修飾による効果は、フラーレン類と基材又は他の物質との界面で発現されると考えられる。この場合、フラーレン類を微粒化して基材表面に存在させれば、フラーレン類の比表面積を増加させることができる。このため、フラーレン類の添加量(修飾量)を少なくしてもより効率的に表面修飾効果を得やすくなり、系の設計においても有利となる。
本発明のフラーレン類表面修飾基材の製造方法は、大きく3つに分けることができる。以下それぞれの製造方法を「第1の製造方法」、「第2の製造方法」、「第3の製造方法」として、さらに詳細に説明する。
A.第1の製造方法
第1の製造方法(以下製法1という場合がある。)は、
基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させた後、
前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
以下、製法1についてさらに詳細に説明するが、説明の便宜上、製法1のうち、「基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させる」工程を工程1と、「前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させる」工程を工程2と呼ぶ。
A−1.基材
基材は、一定の形状を保持するものであれば特に限定されず、例えば板状や粉体状の形態を挙げることができる。
基材表面にフラーレン類を存在させた後に熱処理するような場合、基材に耐熱性が必要となる場合もあるため、基材の融点は、通常100℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは500℃以上とする。一方、基材の融点は、通常4000℃以下、好ましくは3500℃以下、より好ましくは3000℃以下とする。
基材が板状の場合における基材の膜厚は、用途によっても大きく異なるものであるが、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上である。一方、基材の膜厚は、通常1m以下、好ましくは10cm以下、より好ましくは1cm以下、最も好ましくは1mm以下である。
上述の通り、基材は粉体状であってもよい。基材が粉体状であるとは、基材が粒子状であることを意味する。ここで、基材が粒子状であるとは、基材が一つの粒子からなる場合(一次粒子である場合)及び、基材が複数の粒子が凝集して形成されている場合(二次粒子である場合)のいずれの場合も含む。
基材が粒子状の場合における基材の粒径は、用途によっても大きく異なるものであるが、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上であり、一方、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
なお、基材の形状が不定形である場合(例えば、基材がH型鉄鋼、住宅建設用のプラスチック部材等である場合)は、フラーレン類で被覆したその基材(部材)の該当部分における、基材の実効的な厚みを考えれば良い。同様に、直径が1mmより大きい粒子状の基材は、粉体(粒子)というよりは塊というべきものである。このため、このような基材は板状と同様に考えればよい。例えば、直径1mの球体に対しては、厚みが1mの板状の基材と同様に考えればよい。
基材の材料としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されるものであり、有機材料または無機材料のいずれを使用することもできる。このような基材の材料としては、例えば、金属、金属化合物、半導体、ガラス類、セラミック類、炭素性物質、及び高分子材料からなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
無機材料としては、金属(純金属および合金)、金属化合物、半導体(例えばSi、Ge、GaAsに代表されるIII−V族半導体、Zn−Seに代表されるII−VI族半導体)、ガラス類、コンクリート、アスファルト、各種セラミック類、各種岩石、木等の木材等を挙げることができる。
これらの中でも機能性が高いことから、金属、金属化合物、半導体、ガラス類、セラミック類が好ましい。
金属としては、例えば純金属および合金を挙げることができる。具体的には、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Li(リチウム)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、In(インジウム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Y(イットリウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の単体または合金を挙げることができる。
金属化合物としては、例えば、金属の酸化物、金属の複合酸化物、金属の硫化物、金属の弗化物、金属の塩化物、その他金属塩のイオン性結晶を挙げることができる。金属化合物としては、具体的には、酸化鉄、酸化銀、酸化アルミ(アルミナ)、酸化銅、酸化チタン(チタニア)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化イットリウム、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステン、窒化タングステン、炭化クロム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、酸化マンガン、酸化バナジウム等を挙げることができる。
半導体としては、例えば、Si、Ge、GaAsに代表されるIII−V族、Zn−Seに代表されるII−VI半導体を挙げることができる。
半導体化合物としては、上記半導体の酸化物、上記半導体の複合酸化物、上記半導体の硫化物、上記半導体の弗化物、上記半導体の塩化物を挙げることができる。
ガラス類としては、各種のケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、石英ガラスを挙げることができる。
セラミック類としては、金属の酸化物、金属の複合酸化物に分類されるものが多いが、結晶構造、組成がより不定形となっている場合が多い。さらには各種陶磁器を挙げることができる。
上記無機材料のうち、より具体的には、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の金属、顔料として用いられる酸化鉄、アルミナ、シリカ、及びチタニア、リチウム二次電池の正極活物質として用いられるリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、酸化マンガン(MnO)、酸化バナジウム(V25、V613)等の金属化合物が特に好ましい。
本願発明の表面処理の効果が顕著に発揮される点で好ましいのは、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の金属、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物等の金属化合物である。
有機材料としては、有機化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素性物質や高分子材料を挙げることができる。
例えばフラーレン類表面修飾基材の用途としてリチウム二次電池を考慮した場合は、機能性が高いことから、炭素性物質が好適に用いられる。また、高分子材料の耐熱性を向上させるためにフラーレン類を用いる場合には、当然ながら基材としては高分子材料が用いられる。
炭素性物質としては、例えば、グラファイト等の黒鉛材料、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチもしくは石油系ピッチの炭化物、またはこれらのピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等を挙げることができる。さらに、上記炭素性物質を一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等を挙げることもできる。
これらの炭素性物質の中でも、好ましいのはコークスおよびグラファイト等の黒鉛材料であるが、例えばリチウム二次電池等に用いた場合に容量が大きい点から、グラファイト等の黒鉛材料が特に好ましい。
黒鉛材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末およびその精製品、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。これらの中でも、容量の点から、人造黒鉛または天然黒鉛が好ましく、リチウム二次電池等に用いた場合には電池性能を制御しやすいことから人造黒鉛が特に好ましい。これらの黒鉛材料は、表面をアモルファス処理したものであってもよい。
高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、セロファン、セルロイド、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
これら高分子材料の中でも、工業的な観点から好ましいのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、セロファン、セルロイド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂である。
A−2.フラーレン類
フラーレン類としては、例えば、フラーレン、フラーレン誘導体等のフラーレン骨格を有する物質を用いることができる。以下、これらフラーレン骨格を有する物質の代表例として、フラーレン及びフラーレン誘導体について説明する。なお、フラーレン、フラーレン誘導体を用いる場合においては、本発明の要旨の範囲内で、フラーレンとフラーレン誘導体との混合物を任意の割合で用いてもよい。
フラーレンとは球殻状炭素分子を指す。用いるフラーレンとしては、本発明の目的を満たす限り限定されないが、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等を用いることができる。また、フラーレンの具体例としては、上記C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等の2量体、3量体等を挙げることもできる。これらフラーレンは、本発明の要旨の範囲内において、複数種類を任意の割合で併用してもよいことはいうまでもない。
これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体である。C60、C70は溶媒への溶解性も高いため、基材の表面処理が行いやすいという利点がある。また、C60、C70は工業的に得やすい利点もある。好ましいのはC60とC70とをともに用いることである。この組み合わせで用いることにより、基材表面に対する均一分散性が高くなるからである。C60及びC70を用いる場合においても、他のフラーレン(例えば、C76、C78、C84)がフラーレン類に含有されていてもよいことはいうまでもない。
60およびC70を併用する場合、C60:C70の重量比を、通常99:1〜1:99、特に95:5〜10:90、中でも90:10〜20:80の範囲とすることが好ましい。上記範囲内で用いることにより、C60とC70との相互作用が良好となり、分散安定性が向上するからである。
フラーレンは、通常、抵抗加熱法、レーザー加熱法、アーク放電法、燃焼法などにより得られたフラーレン含有スートから抽出分離することによって得られる。この際、スートからフラーレンを完全に分離する必要は必ずしもなく、性能を損なわない範囲でスート中のフラーレンの含有率を調整することができる。
フラーレンは、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その二次粒径は、通常10nm以上、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
フラーレン誘導体とは、上記のフラーレンを構成する少なくとも1つの炭素に有機化合物の一部分を形成する原子団や無機元素からなる原子団が結合した化合物をいう。
フラーレン誘導体の骨格として用いるフラーレンとしては、上記のC60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等を用いることができる。つまり、フラーレン誘導体としては、C60の誘導体、C70の誘導体、C74の誘導体、C76の誘導体、C78の誘導体、C80の誘導体、C82の誘導体、C84の誘導体、C86の誘導体、C88の誘導体、C90の誘導体、C92の誘導体、C94の誘導体、C96の誘導体、C98の誘導体、及びC100の誘導体を挙げることができる。これらフラーレン誘導体は、本発明の要旨の範囲内において、複数種類を任意の割合で併用してもよいことはいうまでもない。
この他フラーレン誘導体の具体例としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレン、ビフェニルフラーレン(単数又は複数のビフェニリル基がフラーレンの球殻構造に結合したフラーレン誘導体)等を用いることができる。フラーレン誘導体を得るために用いるフラーレンとしては、本発明の目的を満たす限り限定されず、上記具体的に示したフラーレンのいずれを用いてもよい。
本発明で用いるフラーレン誘導体は、フラーレンを構成する1以上の炭素に所定の基が結合していたものである。フラーレンを構成する炭素のうち、所定の基が結合する炭素としては、C60分子を例に取れば、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子を好ましく挙げることができる。これは、上記(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。結合される基は、(6−6)結合のいずれかの炭素又は両方の炭素に結合する場合が考えられ、両方の炭素に結合する場合は、両方の炭素に同一の基が結合する場合、異なる基が結合する場合、及び、両方の炭素が環の一部となるように環化付加する場合を挙げることができる。
環化付加する場合としては、3員環、4員環、5員環、6員環を形成する各種の反応があり、環の構成分子にさらに置換基を有するものを用いることにより様々なフラーレン誘導体を得ることができる。
60分子を例に取ると、3員環形成の付加反応としては(6−5)開環系フレロイドや(6−6)閉環系メタノフラーレンが挙げられる。フレロイドやメタノフラーレンにおいて付加された炭素原子はメチレン基であるが、このメチレン基の2個の水素を所定の置換基で置換すれば、より高次の誘導体が得られる。窒素原子により3員環を形成する場合はアザフレロイドとなり、窒素原子が有する3つの結合手のうち、フラーレン部分に結合する2つの結合手以外の結合手に結合する基を置換することにより多様な誘導体を得ることができる。
60分子における5員環を形成する付加としては、ピラゾリン縮合体、オキサゾリジン縮合体、ジヒドロフラン縮合体、ピロリジン縮合体などを形成するものが挙げられる。また、C60分子における6員環を形成する付加としては、ジエン類を付加する反応が知られている。そして、上記5又は6員環を形成する原子に結合する基を置換することによって、より高次の誘導体が得られることとなる。また、5又は6員環においては、環を形成する原子数が多いことから、置換基を導入できる部位も複数あり多様な誘導体を形成することが可能となる。
フラーレン誘導体を合成する他の方法としては、以下のような方法を挙げることができる。
例えば、求核負荷反応においては、有機リチウム試薬やグリニャール試薬などとの反応により、アルキル基やフェニル基などをフラーレンに導入することができる。また、例えば、同じく炭素求核剤であるシアン化ナトリウムとの反応によれば、シアノ基をフラーレンに導入することができる。このように、導入される基は用いられる試薬により変更することができる。上記求核付加反応や、シアン化ナトリウムとの反応により合成されるフラーレン誘導体は、アニオンとして塩を形成することもできるが、アニオンを求電子剤で捕捉することにより1,2―ジヒドロフラーレン誘導体とすることが多い。プロトンで捕捉すれば1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の1置換体を得ることができ、求電子剤の種類によれば第2の置換基としてメチル基やシアノ基を有する1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の2置換体を得ることができる。求核付加反応では他にシリルリチウムとの反応やアミンとの反応によりフラーレン誘導体を合成することもできる。
また、酸化反応、還元反応によれば水素化フラーレンや酸化フラーレン、水酸化フラーレンを得ることができる。またラジカル反応によりフッ素などのハロゲンを導入することも可能である。
フラーレン誘導体を得るために、フラーレンに直接結合させる基又はフラーレンを環化付加した場合に付加した環を構成する元素が形成する基の式量としては、通常1以上、好ましくは6以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは20以上とする。式量を6以上とすれば、立体的に比較的大きい基(例えば、式量7となるLi)をフラーレン骨格に結合させることができ、フラーレン誘導体が安定化するものと考えられる。また、式量の上限は特に制限されず、上記基がポリマーのような高分子量のものであってもよい。但し、立体障害の点からは、式量は、1000以下にすることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは200以下とする。
フラーレン誘導体を得るために、フラーレンに直接結合させる基又はフラーレンを環化付加した場合に付加した環を構成する元素が形成する基としては、特に制限はないが、工業的に得やすい点から、水素原子、アルカリ金属原子、カルコゲン原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、酸素を含む特性基、硫黄を含む特性基、及び窒素を含む特性基からなる群から選ばれる1つであることが好ましい。
アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウムである。
カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルルを挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。尚、ハロゲン原子を含む基、例えばヨードシル基を用いてもよい。
脂肪族炭化水素基のうち、脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
脂肪族炭化水素基のうち、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、シクロヘキシル基である。
芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
複素環基としては、例えばフリル基、フルフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フリル基、ピリジル基である。
酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば何でもよいが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素(エポキシ基)、カルボニル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素である。
その他、酸素を含む特性基としては以下のようなものが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボキシル基、エステル基としては、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロロホルミル基、オキサル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、ホルミル基、アセチル基である。
また、例えばアセトニル基、フェナシル基、サリチル基、サリチロイル基、アニシル基、アニソイル基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、アセトニル基、サリチル基である。
硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば何でもよいが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基を挙げることができる。工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
窒素を含む特性基としては、窒素を含む基であれば何でもよいが、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、ヒドロキシアミノ基、アセチルアミノ基、ベンザミド基、スクシンイミド基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、ウレイド基、ウレイレン基、アミジノ基、グアニジノ基を挙げることができるが、工業的に合成し易い点から好ましいのは、アミノ基、シアノ基、シアナート基である。
以上述べた所定の基は、さらに他の基で置換されていてもよい。
上記した所定の基のうち、特に好ましいのは、水素原子、ナトリウム、カリウム、酸素、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ビフェニリル基、エトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。上記基の中で、酸素は結合手が2つあるが、それぞれの結合手がフラーレンを構成する炭素原子と結合してエポキシ基を形成する。
特に好ましいフラーレン誘導体の例としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレン、ビフェニルフラーレン(単数又は複数のビフェニリル基がフラーレンの球殻構造に結合したフラーレン誘導体)からなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができるが、基材の表面安定性を向上させる点で特に好ましいのは、酸化フラーレン、水酸化フラーレンであり、最も好ましいのは酸化フラーレンである。
上記所定の基は、フラーレンを構成する炭素原子のうちの1つ以上に結合していればよい。一方、フラーレンに結合する上記基の数は、通常36個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは12個以下である。
上記フラーレン誘導体は、常温常湿(25℃/50%RH)においては、粉末状であり、その2次粒径は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、一方通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
A−3.工程1
製法1においては、上記基材及び上記フラーレン類を溶媒Aに含有させる。
(1)溶媒A
溶媒Aとしては、フラーレン類を所定量溶解するような溶媒を用いる。溶媒Aとして好ましいのは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が0.01mg/ml以上となるような溶媒である。溶媒Aとしてより好ましくは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が0.1mg/ml以上となるような溶媒である。溶媒Aとしてさらに好ましくは、フラーレン類の溶媒A中での溶解度が1mg/ml以上となるような溶媒である。上記範囲とすれば、溶媒Aとして様々な溶媒を用いることができるようになり、フラーレン類の溶媒A中での濃度を自由に制御することができるようになる。
例えば、フラーレン類を溶解させる際に使用する溶媒として工業的に最も使用されるトルエンや1,2,4−トリメチルベンゼン中でのC60の溶解度は、それぞれ2.9mg/ml、17.9mg/mlである。また、テトラヒドロフランは基材上に存在するフラーレン類の粒径を小粒径にすることを可能とする有望な溶媒の一つであるが、テトラヒドロフラン中でのC60の溶解度は0.037mg/mlである。従って、フラーレン類の溶解度が上記範囲となる溶媒を溶媒Aとして用いれば、様々な溶媒を溶媒Aとして用いることができるようになる。
溶媒Aを選ぶ際には、上記のようにフラーレン類の溶解度を考慮する必要はあるが、もう一つ重要なのは、溶媒Bとの溶解度の差を考慮して溶媒Aを選ぶことである。溶媒Aと溶媒Bとの溶解度の関係の好ましい範囲については後述するが、例えば、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml以上となるような溶媒であっても、溶媒Bとして用いることは可能である。つまり、例えば、溶媒Aとしてフラーレン類の溶解度が比較的高い溶媒を用いる場合、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml付近の溶媒を溶媒Bとして用いることも可能である。このような溶媒Bの例としては、例えば、テトラヒドロフラン(C60の溶解度:0.037mg/ml)をあげることができる。
用いる溶媒が溶媒Aとなり得るか否かの判断方法として、例えば、以下(イ)から(ニ)に示すような方法を挙げることができる。
(イ)対象となる溶媒中に十分な量(例えば、溶解度が確実に0.01mg/ml以上となる位の十分な量)のフラーレン類を添加する。
(ロ)フラーレン類を添加した溶媒に対して、十分攪拌又は超音波分散等行うことによってフラーレン類を溶媒中で十分に分散させる。ここで、「十分に攪拌」又は「十分に超音波分散」の具体的な例としては、30分以上の攪拌、又は、30分以上の超音波分散を挙げることができる。
(ハ)上記(ロ)の操作によって得られた分散液においては、溶媒中に未溶解のフラーレン類が存在する場合がある。このため、上記分散液をろ過する。
(ニ)上記分散液のろ液の濃度を測定する。濃度の測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、高速液体クロマトグラフィーや分光光度計で濃度測定を行えばよい。但し、上記測定方法においては、測定可能な濃度範囲が限られる場合がある。このため、上記ろ液を適当な濃度まで希釈し、希釈液の濃度の測定を行うことによって、ろ液中のフラーレン類の濃度を見積もってもよい。
なお、フラーレン類の溶媒に対する溶解度の測定は、通常は、大気圧、常温(25±5℃)、常湿(50±20%RH)の下で行えばよい。但し、溶媒として、常温・常湿で固体の状態のものを用いる場合には、上記溶解度の測定を、用いる溶媒の融点以上、沸点以下の温度で行えばよい。
上記測定方法のより具体的な例として以下の方法を挙げることができる。すなわち、フラーレン類1gを、1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)99gに投入し、大気圧下、常温・常湿環境にて1時間攪拌する。ここで、フラーレン類1gがTMB99g中に完全に溶解すると、溶解度は8.8mg/mlとなる。攪拌後、上記溶液を0.1μm孔径のフィルターでろ過し、得られたろ液をTMBで40倍に希釈する。そして、この希釈液に対して高速液体クロマトグラフィー測定を実施し、ピーク面積から溶解度を算出する。
溶媒Aとしては、例えば、ベンゼン系溶媒、ナフタレン系溶媒、複素環系溶媒、アルカン系溶媒、ハロアルカン系溶媒、極性系溶媒等を挙げることができる。
ベンゼン系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3、5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、テトラリン、o−クレゾール、ベンゾニトリル、フルオロベンゼン、ニトロベンゼン、ヨードベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、アニソール、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、及び1,2,4−トリクロロベンゼン等を挙げることができる。これらベンゼン系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、及びo−ジクロロベンゼンである。溶解度が高く、フラーレン溶液を保管する場合に小容量での保管が可能となる点から特に好ましいのは、トルエン、1,2,4−トリメチルベンゼンである。
ナフタレン系溶媒としては、1−メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、1−フェニルナフタレン,1−クロロナフタレン、及び1−ブロモー2−メチルナフタレン等を挙げることができる。これらナフタレン系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、1−メチルナフタレン、1−フェニルナフタレンである。
複素環系溶媒としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、2−メチルチオフェン、ピリジン、キノリン、及びチオフェン等を挙げることができる。これら複素環系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、テトラヒドロフラン、キノリンである。
アルカン系溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、デカリン、cis−デカリン、及びtrans−デカリン等を挙げることができる。これらアルカン系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカン、デカリンである。
ハロアルカン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、及び1,1,2,2−テトラクロロエタンを挙げることができる。これらハロアルカン系溶媒の中でも工業的に好ましいのは、ジクロロメタン、クロロフォルムである。
極性系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
また、その他溶媒Aとしては、二硫化炭素を挙げることができる。
(2)工程1の具体的手順
工程1は、前記基材及び前記フラーレン類を溶媒Aに含有させるような方法であればよく、特に限定はされない。工程1の好ましい具体例としては、前記フラーレン類を前記溶媒A中に含有させた後に、前記基材を前記溶媒Aに含有させる工程を挙げることができる。
さらに、上記好ましい具体例においては、工程1を、フラーレン類を溶媒Aに含有させる工程1−1の後に、基材を上記溶媒Aに含有させる工程1−2に分けることができる。より具体的には、工程1−1では、通常フラーレン類を溶媒Aに溶解させる。また、工程1−2においては、通常フラーレン類が溶媒Aに溶解した溶液に基材を投入することとなる。
(2−1)工程1−1
<各成分の量比>
フラーレン類と溶媒Aとの量比は特に制限されず、使用するフラーレン類及び溶媒Aの種類やこれらを接触させる手法、更には後述する基材を分離する際の溶媒A、溶媒Bの除去の有無やその手法等によって、適宜選択することが可能である。通常は、得られるフラーレン類の粒径に応じて、その特性及び工程上支障無い範囲で、溶媒Aに対するフラーレン類の比率を適当に調整すればよい。特に、フラーレン類を溶媒Aに溶解させて溶液とする場合には、フラーレン類の比率を広範な範囲から選択することにより、希薄な溶液から濃厚な溶液、飽和溶液、更には溶け残ったフラーレン類の固相系が存在する飽和溶液まで、所望の状態の溶液を得ることが可能である。
具体的に、溶媒Aに対するフラーレン類の比率は、表面処理の均一性や工業生産性等を考慮して、通常0.002重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.05重量%以上とする。一方、未溶解フラーレン類や均一性の低下を抑制する観点からは、その上限は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下とする。上記範囲とすれば、フラーレン類が溶媒A中に均一に溶解しやすくなる。
また、溶媒Aに対するフラーレン類の比率は、表面処理の均一性や工業生産性等を考慮して、通常0.0176mg/ml以上、好ましくは0.044mg/ml以上、より好ましくは0.088mg/ml以上、更に好ましくは0.44mg/ml以上とする。一方、未溶解フラーレン類や均一性の低下を抑制する観点からは、その上限は通常88mg/ml以下、好ましくは44mg/ml以下、より好ましくは17.6mg/ml以下とする。上記範囲とすれば、フラーレン類が溶媒A中に均一に溶解しやすくなる。
なお、フラーレン類を溶媒Aに溶解させる際には、溶解速度の向上等の観点から、溶媒Aとフラーレン類との2元系において実施するのが最も好ましいが、製品段階での他成分の必要性等によって、更に他の成分を加えても良い。その場合、使用する他の成分の溶媒Aに対する量比は、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下、また、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上とする。
<溶解の手法>
フラーレン類を溶媒Aに溶解させる手法は特に制限されないが、通常はフラーレン類を溶媒Aと混合すればよい。フラーレン類を溶媒Aと混合する際には、適当な分散方法を用いてフラーレン類を溶媒A中に溶解させることが好ましい。分散方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、短時間でフラーレン類を均一に溶媒A中に含有させやすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の量比が高い場合や、溶媒Aの粘度が高い場合は、接触(混合)不良によって溶媒A中でのフラーレン類の不均一化が生じ易いので、適当な溶解方法を適用することが好ましい。
フラーレン類と溶媒Aとを混合させる際の温度としては、特に制限はないが、通常10℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。なお、溶媒Aの融点が常温よりも高い場合には、加熱して溶媒Aを融解させ、液体の状態とした上で、これに上述の手法でフラーレン類を溶解させることが好ましい。
また、フラーレン類と溶媒Aとを混合させる時間としては、特に制限はないが、通常20分以上、好ましくは60分以上、一方、通常72時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下とする。
<フラーレン類と溶媒Aとの混合によって得られる組成物>
上述の操作によって、通常溶媒A中にフラーレン類が溶解した液体状の組成物が得られる。この組成物において、フラーレン類の一部が溶解せず溶け残った状態で容器内に存在する場合、この未溶解分を分離精製して用いても構わない。分離精製方法の例としては、ろ過、遠心分離などの方法が挙げられる。
(2−2)工程1−2
<各成分の量比>
工程1−1によって得られたフラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と、基材と、の量比は特に制限されず、フラーレン類の基材への表面修飾量に応じて調整すればよい。
具体的に、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物を100重量部とした場合において、この組成物に対する基材の比率は、工業生産性を考慮して、通常1重量部以上、好ましくは5重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは40重量部以上とする。一方、均一性の低下を抑制する観点からは、その上限は通常400重量部以下、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下とする。上記範囲とすれば、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に、基材を均一に分散させやすくなるので、組成物の均一性が良好となる。
<基材を含有させる手法>
基材を、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物に含有させる手法は特に制限されない。通常は、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を分散させることとなる。ここで、基材が板状又は比較的大きな塊状の性状を有する場合には、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を分散させるというよりは、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物中に基材を投入する操作を行うこととなる。なお、基材が板状の場合には、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物を基材に塗布するような手法を用いてもよい。
また、基材を、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物に含有させる他の手法の例として、以下の方法を挙げることができる。すなわち、あらかじめ基材を溶媒Aに分散させた分散液を作製する。そして、この分散液を、上記フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物に含有させてもよい。
ここで、分散の方法としては、通常、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と、基材又は基材を分散させた分散液と、を混合する手法が用いられる。
フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と基材(又は基材を分散させた分散液)とを混合する際には、適当な分散方法を用いることが好ましい。分散方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、短時間で均一な分散液を得やすくなる。特に、基材と溶媒Aの密度が大きく異なる場合は基材の沈降によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な分散方法を適用することが好ましい。
フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と基材(又は基材を分散させた分散液)とを混合する際の温度としては、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。なお、溶媒Aの融点が常温よりも高い場合には、加熱して溶媒Aを融解させた状態において、これに上述の手法で基材を分散することが好ましい。
また、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた液体状の組成物と基材(又は基材を分散させた分散液)とを混合する時間としては、特に制限はないが、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常72時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下とする。
A−4.工程2
工程2においては、溶媒Aよりもフラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させる。
(1)溶媒B
溶媒Bとしては、溶媒Aと比較して、フラーレン類の溶解度が低い溶媒を用いる。通常、フラーレン類が溶解した溶媒A中に基材が分散された状態に、フラーレン類の溶解度が溶媒Aよりも低い溶媒Bを接触させると、フラーレン類と溶媒Bとの接触により、溶媒A中に溶解していたフラーレン類の析出が始まる。そして、この析出したフラーレン類が基材表面に添着する。この場合、析出したフラーレン類は一般的に小粒径なので、基材表面に小粒径のフラーレン類が存在するようになる。
溶媒Bは、溶媒Aよりもフラーレン類の溶解度が低ければよい。具体的には、溶媒A中へのフラーレン類の溶解度と溶媒B中へのフラーレン類の溶解度とが、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.5の関係にあることが好ましい。
フラーレン類の析出を良好に行う観点から、より好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.3とし、さらに好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.25とし、さらに好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.01とし、特に好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦1×10-4とし、最も好ましくは、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦1×10-5とする。なお、溶媒Aのフラーレン類の溶解度と溶媒Bのフラーレン類の溶解度とを比較する場合は、同一条件(例えば同一温度)で比較を行えばよい。
一方、溶媒Bの種類によってはフラーレン類を溶解しないものも存在するため、(フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)の下限値は0となる。
また、溶媒Aと溶媒Bとが相分離する関係にある場合には、フラーレン類の析出が進まない傾向となるため、溶媒Aと溶媒Bとが互いに相溶する関係にあることが好ましい。
溶媒Bとしては、例えば、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml未満の溶媒を挙げることができる。用いる溶媒が溶媒Bとなり得るか否かの判断方法(溶媒B中でのフラーレン類の溶解度の測定)は、溶媒Aの場合と同様の方法を用いればよい。
しかし、溶媒Bとして、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml未満の溶媒を必ず用いなければならないというわけではない。上記の通り、本発明においては、フラーレン類の溶解度が相対的に高い溶媒を溶媒A、フラーレン類の溶解度が相対的に低い溶媒を溶媒Bとして用いる。つまり、溶媒Aと溶媒Bとのフラーレン類の溶解度の差が重要となる。従って、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml以上の溶媒であっても、溶媒Bとして用いうる。より具体的には、フラーレン類の溶解度が0.01mg/ml付近の溶媒であっても溶媒Bとして用い得る。
溶媒Bとしては、例えば、アルコール系溶媒(具体的には1価または多価のアルコール系溶媒)、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニトロメタン、ニトロエタン、及び水を挙げることができる。
1価または多価のアルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールを挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンを挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等を挙げることができる。
これら溶媒Bのうち、工業的な観点から好ましいのは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、及び水である。
工業的に安価である点及び粘度が低い点から溶媒Bとしてより好ましいのは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、及びアセトンであり、より好ましいのは、メタノール、2−プロパノールである。
(2)工程2の具体的手順
工程2の具体的な手法は、基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させたものに、上記溶媒Bを含有(接触)させてフラーレン類を析出させることができる方法であれば特に制限されない。
<各成分の量比>
基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させたもの(より具体的には、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物)と溶媒Bとの量比は特に制限されず、使用するフラーレン類及び溶媒Aと溶媒Bの組み合わせ、これらを含有させる手法、更には後述する基材を分離する際の溶媒A、溶媒Bの除去の有無やその手法等によって、適宜選択することが可能である。通常は、フラーレン類の溶媒Aへの溶解度に応じて溶媒Bの量を適当に調整すればよい。
具体的には、上記工程1−1で得られた、フラーレン類を溶媒Aに溶解させた組成物を100重量部としたときに、この組成物の対する溶媒Bの比率は、表面処理の安定性を考慮して、通常50重量部以上、好ましくは100重量部以上、より好ましくは300重量部以上、更に好ましくは500重量部以上、特に好ましくは1000重量部以上、最も好ましくは1500重量部以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は、通常10000重量部以下、好ましくは7500重量部以下、より好ましくは5000重量部以下とする。
なお、本析出工程は、析出速度の制御等の観点から、溶媒Bを複数種使用しても構わない
<接触の手法>
フラーレン類、溶媒A及び基材を含有する組成物と溶媒Bを接触させる手法は特に制限されないが、例えば、工程1によって得られた、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物と、溶媒Bと、を混合すればよい。通常、混合の方法としては、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する場合と、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する場合と、の2つの方法が考えられる。
フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する際には、溶媒Bを上記組成物中に均一に存在させることが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する際には、上記組成物を溶媒B中に均一に存在させることが好ましい。
フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する際に、溶媒Bを均一に存在させるためには、溶媒Bを上記組成物中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の溶媒Bを連続的に又は断続的に上記組成物中に添加していくことが好ましい。このような所定量の溶媒Bを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、上記組成物に対して用いる溶媒Bの全量を連続的に少しずつ上記組成物に添加していく方法や、適当な添加方法を用いて溶媒Bを上記組成物中に断続的に添加していく方法等を挙げることができる。
同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する際に、上記組成物を均一に存在させるためには、上記組成物を溶媒Bに一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の上記組成物を連続的に又は断続的に溶媒Bに添加していくことが好ましい。このような所定量の上記組成物を連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、溶媒Bに対して用いる上記組成物の全量を連続的に少しずつ溶媒Bに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて上記組成物を溶媒B中に断続的に添加していく方法等を挙げることができる。
フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する方法、又は溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する方法において用いる添加方法の具体例としては、例えば、滴下漏斗、自動滴下装置、定量ポンプ等を用いた方法が挙げられる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して
、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間%以下、より好ましくは5時間以下とする。
フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する場合において溶媒Bを添加する際には、上記組成物を均一に混合することが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する場合において上記組成物を添加する際には、溶媒Bを均一に混合することが好ましい。
また、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを添加して混合する場合において、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、溶媒Bを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を添加して混合する場合において、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、フラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
混合方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、均一処理されたフラーレン類表面修飾基材を得やすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の溶解度が低い場合や、溶媒A、溶媒Bの粘度が高い場合は、混合不良によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な混合方法を適用することが好ましい。
工程1によって得られたフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物に溶媒Bを含有させる際(同様に、溶媒Bにフラーレン類、基材及び溶媒Aを含有する組成物を含有させる際)の温度は特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在する、フラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここで、基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。
基材を溶媒A及び溶媒Bから分離する場合、その分離する方法は特に限定されるものではない。分離する方法としては、通常は、ろ過、遠心分離、溶媒乾燥、デカンテーション等の方法が適用される。特に、溶媒Aと溶媒Bの沸点が異なる場合は、乾燥により分散液中の溶媒組成が変わり、フラーレン類の表面修飾状態に影響を与えることが考えられることから、ろ過による分離が好ましい。また、基材が板状の場合には、基材の大きさや形状によっては、フラーレン類表面修飾基材をろ過によって分離する方法が適切でない場合がある。このような場合には、デカンテーションを用いて、溶媒A及び溶媒Bを除去してもよい。
なお、ろ過により分離されたフラーレン類表面修飾基材は、溶媒Bによって洗浄しても構わない。
<フラーレン類表面修飾基材の乾燥方法>
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。通常は、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等により行われる。
乾燥時の温度は特に制限されないが、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。乾燥時間は特に制限されないが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下とする。
また減圧乾燥をする場合における圧力は、通常1.33×102Pa(1torr)以
上、1.01×105Pa(760torr)以下とする。乾燥時の雰囲気は、通常、大
気下で行われるが、窒素・アルゴン等不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
B.第2の製造方法
フラーレン類表面修飾基材の第2の製造方法(以下製法2という。)は、
フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、
前記組成物βと前記組成物αとを接触させて、
前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
この製造方法は、組成物αに組成物βを接触させることにより、組成物α中のフラーレン類を溶媒Bの作用により基材上に析出させてフラーレン類表面修飾基材を得る方法である。
B−1.基材
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−2.フラーレン類
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−3.溶媒A、溶媒B
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
B−4.基材及び溶媒Bを含有する組成物βの製造
<各成分の量比>
溶媒Bと基材との量比は特に制限されず、フラーレン類の基材への表面修飾量によって決定される溶媒Aの量に応じて調整すればよい。
具体的には、溶媒Bを100重量部としたときに、これに対する基材の比率は、均一性の低下を抑制する観点からは、通常50重量部以上、好ましくは100重量部以上、より好ましくは300重量部以上、更に好ましくは500重量部以上、特に好ましくは1000重量部以上とする。一方、工業生産性を考慮して、その上限は通常10000重量部以下、好ましくは7500重量部以下、より好ましくは5000重量部以下とする。上記範囲とすれば、後述のフラーレン類と溶媒Aとの組成物を含有させる際にフラーレン類を均一に基材へ表面修飾させやすくなる。
<分散の手法>
基材を溶媒Bに含有させる手法は特に制限されない。通常は、溶媒Bと基材とを混合して、基材を溶媒Bに分散させた組成物とすればよい。溶媒Bと基材とを混合する際には、適当な分散方法を用いて基材を溶媒B中に分散させることが好ましい。
分散方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、短時間で均一な分散液を得やすくなる。特に、基材と溶媒Bの密度が大きく異なる場合は基材の沈降によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な分散方法を適用することが好ましい。
基材と溶媒Bとを混合する際の温度としては、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。なお、溶媒Bの融点が常温よりも高い場合には、加熱して溶媒Bを融解させ、液体の状態とした上で、これに上述の手法でフラーレン類を溶解させることが好ましい。
また、基材と溶媒Bとを混合する時間としては、特に制限はないが、通常20分以上、好ましくは60分以上、一方、通常72時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下とする。
B−5.フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αの製造
上記製法1の「工程1−1」で説明した方法と同様の方法でフラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物α(より具体的には、溶媒Aにフラーレン類を溶解した溶液)を製造することができる。
B−6.組成物βと組成物αとを接触させる工程
製法2においては、基材が溶媒Bに分散された組成物βと、フラーレン類が溶媒Aに溶解した組成物αとを接触させることにより、溶媒A中に溶解しているフラーレン類が溶解性の低い溶媒Bと接することによって析出を開始し、このフラーレン類が基材表面に修飾されることによって、フラーレン類表面修飾基材が製造される。
以下組成物βと組成物αとを接触させる具体的手法について説明する。
<接触の手法>
組成物βと組成物αとを接触させる手法は特に制限されない。通常は、組成物βに組成物αを混合するか、又は、組成物αに組成物βを混合すればよい。
組成物βに組成物αを混合する際には、組成物αを組成物β中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、組成物αを組成物β中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の組成物αを連続的に又は断続的に組成物β中に添加していくことが好ましい。このような所定量の組成物αを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、組成物βに対して用いる組成物αの全量を連続的に少しずつ組成物βに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて組成物αを組成物β中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
同様に、組成物αに組成物βを混合する際には、組成物βを組成物α中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、組成物βを組成物α中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の組成物βを連続的に又は断続的に組成物α中に添加していくことが好ましい。このような所定量の組成物βを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、組成物αに対して用いる組成物βの全量を連続的に少しずつ組成物αに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて組成物βを組成物α中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
組成物βに組成物αを混合する、又は、組成物αに組成物βを混合する際に用いる添加方法の具体例としては、例えば、滴下漏斗、自動滴下装置、定量ポンプ等を用いた方法が挙げられる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下とする。
組成物αを組成物βに添加して混合する場合においては、組成物αの添加中は、組成物βを均一に混合することが好ましい。同様に、組成物βを組成物αに添加して混合する場合においては、組成物βの添加中は、組成物αを均一に混合することが好ましい。
また、組成物αを組成物βに添加して混合する場合においては、組成物αと組成物βとをさらに相溶させること等を目的として、組成物αを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、組成物βを組成物αに添加して混合する場合においては、組成物βと組成物αとをさらに相溶させること等を目的として、組成物βを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
混合方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、均一処理されたフラーレン類表面修飾基材を得やすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の溶解度が低い場合や、溶媒A、溶媒Bの粘度が高い場合は、混合不良によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な混合方法を適用することが好ましい。
組成物βに組成物αを含有させる際(同様に、組成物αに組成物βを含有させる際)の温度は特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在するフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここでフラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。フラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離する場合は、その分離する方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1と同様にすればよい。
<フラーレン類表面修飾基材の乾燥方法>
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1と同様にすればよい。
C.第3の製造方法
フラーレン類表面修飾基材の第3の製造方法(以下製法3という。)は、
フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させ、
その後基材を含有させることにより、前記基材表面に前記フラーレン類が存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とする。
この製造方法は、フラーレン類を溶解させた溶媒Aに溶媒Bを含有させることにより、あらかじめ微粒子のフラーレン類を溶媒中に分散した状態を作り出し、これに基材を投入して基材表面に上記微粒子のフラーレン類を添着させる方法である。
C−1.基材
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−2.フラーレン類
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−3.溶媒A、溶媒B
上記製法1で説明したものと同様のものを用いることができる。
C−4.フラーレン類を含有する溶媒Aの製造方法
このような方法としては、例えば、フラーレン類を溶媒Aに溶解させるような方法であればよく、上記製法1や製法2で説明したものと同様の方法を用いることができる。
C−5.フラーレン類を含有する溶媒Aへの溶媒Bの含有
製法3では、フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させる。
<溶媒Bを含有(接触)させる手法>
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを含有(接触)させる手法は特に制限されない。通常は、フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合するか、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合すればよい。
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合する際には、溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の溶媒Bを連続的に又は断続的にフラーレン類を含有する溶媒A中に添加していくことが好ましい。このような所定量の溶媒Bを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、フラーレン類を含有する溶媒Aに対して用いる溶媒Bの全量を、連続的に少しずつフラーレン類を含有する溶媒Aに添加していく方法や、適当な添加方法を用いて溶媒Bを、フラーレン類を含有する溶媒A中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合する際には、フラーレン類を含有する溶媒Aを、溶媒B中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、フラーレン類を含有する溶媒Aを、溶媒B中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)のフラーレン類を含有する溶媒Aを連続的に又は断続的に溶媒B中に添加していくことが好ましい。このような所定量のフラーレン類を含有する溶媒Aを連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、溶媒Bに対して用いるフラーレン類を含有する溶媒Aの全量を、連続的に少しずつ溶媒Bに添加していく方法や、適当な添加方法を用いてフラーレン類を含有する溶媒Aを、溶媒B中に断続的に添加する方法を挙げることができる。
添加方法の具体例としては、例えば、滴下漏斗、自動滴下装置、定量ポンプ等を用いた方法が挙げられる。
添加にかける時間については特に限定されず、析出速度と表面修飾の均一性を考慮して、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下とする。
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合する場合においては、溶媒Bの添加中は、フラーレン類を含有する溶媒Aを均一に混合することが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合する場合においては、フラーレン類を含有する溶媒Aの添加中は、溶媒Bを均一に混合することが好ましい。
また、フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを混合する場合においては、溶媒Bと溶媒Aとをさらに相溶させること等を目的として、溶媒Bを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを混合する場合においては、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、フラーレン類を含有する溶媒Aを全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
混合方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、均一な分散液を得やすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の溶解度が低い場合や、溶媒A、溶媒Bの粘度が高い場合は、混合不良によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な混合方法を適用することが好ましい。
フラーレン類を含有する溶媒Aに溶媒Bを含有させる際(同様に、溶媒Bにフラーレン類を含有する溶媒Aを含有させる際)の温度は特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。
なお、フラーレン類を含有する溶媒Aと溶媒Bとの量比は、製法1や製法2で説明した範囲とすればよい。
C−6.基材を含有させる工程
製法3においては、上記のようにして得られた、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に、さらに基材を含有させる。つまり、基材を含有させて、基材をフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に接触させることにより、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物中で析出によって得られたフラーレン類を基材表面に添着させる。
フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を含有(接触)させる手法は特に制限されない。通常は、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を混合するか、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を混合すればよい。ここで、上記混合を行う場合には、基材をそのまま用いてもよく、基材を所定の溶媒(例えば溶媒B)に分散させて用いてもよい。なお、基材が板状の場合には、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材をディッピング塗布したり、板状の基材に直接塗布するような手法を用いてもよい。
フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を混合する際には、基材を上記組成物中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、基材を、上記組成物中に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の基材を連続的に又は断続的に上記組成物中に添加していくことが好ましい。このような所定量の基材を連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、上記組成物に対して用いる基材の全量を、連続的に少しずつ上記組成物に添加していく方法や、適当な添加方法を用いて基材を、上記組成物中に断続的に添加する方法を挙げることができる。この混合方法は、基材が粒子状(粉体状)である場合に好ましい方法である。
同様に、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を混合する際においても、基材を上記組成物中に均一に存在させることが好ましい。ここで均一に存在させるためには、上記組成物を基材に一度に混合してもよいが、例えば、所定量(少量)の上記組成物を連続的に又は断続的に基材に添加していくことが好ましい。このような所定量の上記組成物を連続的に又は断続的に添加していく具体的な方法としては、例えば、基材に対して用いる上記組成物の全量を、連続的に少しずつ基材に添加していく方法や、適当な添加方法を用いて上記組成物を、基材中に断続的に添加する方法を挙げることができる。この場合において、上記組成物を添加する添加方法の具体例としては、例えば、滴下漏斗、自動滴下装置、定量ポンプ等を用いた方法が挙げられる。この混合方法は、基材が粒子状(粉体状)である場合に好ましい方法である。
添加にかける時間については特に限定されず、表面修飾の均一性を考慮して、通常5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上とする。一方、工業生産性観点からは、その上限は通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下とする。
フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を混合する場合においては、基材の添加中は、上記組成物を均一に混合することが好ましい。同様に、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を混合する場合において、上記組成物の添加中は、基材と上記組成物とを均一に混合することが好ましい。上記混合をよりスムースに行うために、基材と上記組成物とを混合する前に、基材を所定の溶媒(例えば溶媒B)に分散させておいてもよい。
また、フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を混合する場合においては、溶媒Bと溶媒Aとをさらに相溶させること等を目的として、基材を全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。同様に、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を混合する場合においては、溶媒Aと溶媒Bとをさらに相溶させること等を目的として、上記組成物を全量添加した後に、所定時間混合を続けることが好ましい。ここで混合を続ける時間としては、通常10分以上、好ましくは20分以上、一方、通常10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下とする。
混合方法の具体例としては、スターラー、ブレンダー、ホモジナイザー、バルブホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散器、スタティックミキサー、撹拌ミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ディスクミル、及び二軸混練機等を使用した撹拌、混合、分散、混練などの方法が挙げられる。これにより、均一処理されたフラーレン類表面修飾基材を得やすくなる。特に、溶媒Aに対するフラーレン類の溶解度が低い場合や、溶媒A、溶媒Bの粘度が高い場合は、混合不良によって組成物内の組成の不均一化が生じ易いので、適当な混合方法を適用することが好ましい。
フラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物に基材を含有させる際(同様に、基材にフラーレン類、溶媒A、及び溶媒Bを含有する組成物を含有させる際)の温度は特に制限されないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは100℃以下とする。
C−7.フラーレン類表面修飾基材の分離手法と乾燥方法
<フラーレン類表面修飾基材の分離手法>
上記手法を用いることによりフラーレン類が基材表面に存在するフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。ここでフラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離することが好ましい。フラーレン類表面修飾基材を溶媒A及び溶媒Bから分離する場合は、その分離する方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1や製法2と同様にすればよい。
<フラーレン類表面修飾基材の乾燥方法>
上述の操作によって得られたフラーレン類表面修飾基材に残留する溶媒A及び溶媒Bがある場合、これら溶媒A及び溶媒Bを除去することが好ましいが、この除去方法は特に限定されるものではない。具体的な方法は、製法1や製法2と同様にすればよい。
D.フラーレン類表面修飾基材
本発明の製造方法で製造されたフラーレン類表面修飾基材の例について説明する。
基材上のフラーレン類の粒径は、通常、0.7nm以上となる。通常、フラーレン類1分子の大きさが0.7nm(=7Å)程度であるため、フラーレン類が分子状態で基材表面に存在している場合、フラーレン類の粒径は上記範囲となる。一方、基材上のフラーレン類の粒径は、通常50μm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下とする。フラーレン類の粒径は、溶媒A中でのフラーレン類の濃度、溶媒Bの含有のさせ方等により影響を受けるが、上記範囲内とすれば、表面状態が制御された良好なフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。
また、フラーレン類のフラーレン類表面修飾基材全体に対する存在量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.02重量%以上、より好ましくは0.06重量%以上である。上記範囲とすることによって、基材表面にフラーレン類を存在させる効果が発揮されるようになる。例えば、後述するリチウム二次電池の負極材料として本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いる場合には、上記範囲とすることで電池特性が良好となる。一方、フラーレン類のフラーレン類表面修飾基材全体に対する存在量は、通常3.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下である。フラーレン類の存在量が過度に多い場合、フラーレン類表面修飾基材の性能が十分に発揮されない場合がある。
本発明においては、製造時に仕込んだフラーレン類の量に対して、得られたフラーレン類表面修飾基材の基材表面に存在するフラーレン類の量がなるべく近いことが好ましい。つまり、製造時に用いたフラーレン類のなるべく多くが、基材の表面に存在することが好ましい。
具体的には、得られたフラーレン類表面修飾基材を所定量の溶媒A中に含有させて溶媒A中に溶出したフラーレン類(以下、「溶出フラーレン類」という場合がある。)の量を求める。そして、この溶出フラーレン類の量と、フラーレン類表面修飾基材製造時に用いたフラーレン類の量(以下、「仕込みに用いたフラーレン類の量」という場合がある。)との比((溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量))が、0.5以上となることが好ましく、0.7以上となることがより好ましい。一方、(溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量)の上限は、1となることが好ましい。
ここで、(溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量)の測定方法は特に制限されないが、好ましくは以下の方法を用いることができる。
まず、出来上がった所定量のフラーレン類表面修飾基材を所定量の溶媒Aに混合する。ここで混合の方法としては特に制限はないものの、工業的に容易なのは超音波分散を行うことである。その後フラーレン類表面修飾基材と溶媒Aとの混合液に対して必要に応じて遠心分離を行う。そして上澄み液を抽出し、この上澄み液の濃度を、高速液体クロマトグラフィー等を用いて測定する。そして、得られた濃度から基材単位重量当たりのフラーレン類の量(フラーレン類表面修飾基材中のフラーレン類の濃度)を換算し、得られた換算値と、フラーレン類表面修飾基材製造時の仕込み値から計算される「仕込み時の基材単位重量当たりのフラーレン類の量」とから、(溶出フラーレン類の量)/(仕込みに用いたフラーレン類の量)を算出すればよい。
E.用途
本発明のフラーレン類表面修飾基材は、医療、電気電子機器、自動車、建築資材、工業機械の部品など様々な用途へ応用可能である。なぜなら、フラーレン類は、特異的な結晶構造、化学的性質、電子状態等に由来する様々な機能を有する。このような機能としては、具体的には、紫外線吸収、ラジカルトラップ、光伝導、光誘起電子移動、触媒作用、接着性改良、潤滑作用などが挙げられる。そして、適用可能な用途としては、上記機能を有効に引き出せるような用途であればよく、特に制限はない。
より具体的な用途としては、UV吸収材料、ラジカル失活材料、光スイッチ、太陽電池、各種二次電池、複合材、固体潤滑材などが挙げられる。
これら様々な用途のうち、フラーレン類の有するラジカルトラップと考えられる機能を利用できる用途の一つとして、リチウム二次電池、特にリチウム二次電池の負極材料を挙げることができる。同様に、フラーレン類の有するラジカルトラップと考えられる機能を利用できる別の用途として、高分子材料の表面をフラーレン類で修飾して高分子材料の耐熱性を上げる用途を挙げることができる。このような高分子材料は、例えば、自動車、建築資材、工業機械等の分野へ適用することができる。
また、フラーレン類の有する接着性改良の効果を利用できる用途としては、金属の基材と有機材料(例えば高分子材料)との接着性を改良する必要のある用途が挙げられる。このような用途の適用例としては、例えば、絶縁材料、レジスト、ディスプレー、リチウム二次電池等の電気電子部品、建築資材等の分野への適用を挙げることができる。
以下、本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いることができる用途の具体例をいくつか説明する。
E−1.リチウム二次電池
リチウム二次電池の負極活物質として本発明のフラーレン類表面修飾基材を利用する場合について説明する。リチウム二次電池の負極材料(以下、負極活物質という場合もある。)として本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いる場合、基材としては、通常炭素性物質が用いられる。
E−1−1.負極材料に本発明のフラーレン類表面修飾基材を用いる利点
通常、炭素性物質を主とするリチウム二次電池用負極活物質と電解質の界面においては電気化学的還元雰囲気下において、電解質(特に電解液溶媒)の還元分解が生じる。この分解の結果、分解生成物である有機物、リチウム化合物が炭素性物質表面にSEI(Solid Electrolyte Layer)と称される被膜を形成する。このSEIは、炭素性物質と電解質の直接の接触を遮断することにより、電解質の還元分解反応を実質的に停止し、電池は電気化学的に安定化する。
このSEIを形成する反応の大半は、負極が初めて電気化学的還元状態にさらされる最初の充電過程において進行する。しかし、SEIを形成する過程において上記還元分解に消費された電力は、エネルギーとして活物質中に蓄積されているわけではないので、放電によって取り出すことはできない。すなわち、初期充電で投入された電力のうちSEI形成に消費された分は損失となり、初期効率を低下させることにつながる。また、炭素性物質表面と電解質の間の還元分解反応は初期充電後においても徐々に進行し、この反応は、リチウム二次電池の保存安定性、サイクル特性等の低下の要因ともなる。
本発明においては、電解質との間でリチウムの吸蔵放出が行われる炭素性物質(基材)表面にフラーレン類を小粒径で均一に直接存在させることによって、リチウム二次電池の初期効率が大きく改良されるようになる。この作用機構は定かではないが、炭素性物質表面と電解質の間にフラーレン類が存在することにより、炭素性物質表面と電解質の直接の接触が遮断されて最初からSEIが形成されているのと同様な効果を有している可能性、フラーレン類を存在させることによって、反応面や構造面からSEI形成の効率が高くなっている可能性、フラーレン類が小粒径で均一に存在するために形成されるSEIが薄く均一となる可能性、等が考えられる。
以下、リチウム二次電池用負極材料、このリチウム二次電池負極材料を用いた負極、及びこの負極を用いたリチウム二次電池 について説明する。
E−1−2.リチウム二次電池用負極材料
本発明のフラーレン類表面修飾基材をリチウム二次電池用負極材料として用いる場合、フラーレン類表面修飾基材は、炭素物質表面上にフラーレン類が存在する形態を有する。フラーレン類、フラーレン類表面修飾基材の製造方法、フラーレン類表面修飾基材の性質等については、上記A〜Dで説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
(1)炭素性物質
炭素性物質の材料としては、上記基材において説明したものを用いればよい。炭素性物質をリチウム二次電池の負極材料として用いる場合の特に好ましい点について以下説明する。
炭素性物質は、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が過度に小さいと、炭素性物質の比表面積が増えることとなり不可逆容量が増え電池容量が低下する場合がある。一方、平均粒径が過度に大きいと活物質層の膜厚が制限され均一な活物質層を炭素性物質の上に形成させることが難しくなる場合がある。
炭素性物質の比表面積は、通常0.1m2/g以上、好ましくは0.3m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上とする。比表面積が過度に小さいと電池のレート特性が
低下する。一方、炭素性物質の比表面積は、通常30m2/g以下、好ましくは20m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下とする。比表面積が過度に大きいと電池の初期
効率が低下する。比表面積の測定はBET法に従う。
(2)リチウム二次電池用負極材料に含まれるその他の材料
本発明におけるリチウム二次電池用負極材料は、上記フラーレン類が表面修飾された炭素性物質(フラーレン類表面修飾基材)単独で構成してもよい。またリチウム二次電池用負極材料には、上記フラーレン類表面修飾基材以外に、例えば、リチウム二次電池の負極に用いるバインダー(詳細は後述する)や導電剤等の他の添加剤等をさらに含有させてもよい。
これら材料の種類や含有量は、求められる電池性能に従って適宜調整すればよい。
(3)炭素性物質とフラーレン類との関係
本発明に用いるリチウム二次電池用負極材料においては、上記フラーレン類が上記炭素性物質表面に存在している。炭素性物質とフラーレン類との関係については、上記A〜Dで説明した通りであるが、本発明のフラーレン類表面修飾基材をリチウム二次電池用負極材料として用いる場合の特に好ましい点について以下説明する。
フラーレン類は炭素性物質表面全体を覆ってもよいが、炭素性物質表面上でフラーレン類が覆っている部分と覆っていない部分が併存していてもよい。炭素性物質表面上でフラーレン類が存在する部分と存在しない部分が併存することによって、リチウム二次電池の初期効率をより高くすることができるようになる。
炭素性物質表面に存在するフラーレン類の粒径は、通常0.7nm以上とする。通常、フラーレン類1分子の大きさが0.7nm(=7Å)程度であるため、フラーレン類が基材表面に分子状態で存在している場合、フラーレン類の粒径は上記範囲となる。一方、炭素性物質表面上のフラーレン類の粒径は、通常50μm以、下好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下とする。フラーレン類の粒径は、溶媒A中でのフラーレン類の濃度、溶媒Bの含有のさせ方等に影響を受けるが、上記範囲内とすれば、表面上体が制御された良好なフラーレン類表面修飾基材を得ることができる。
(4)負極、リチウム二次電池
以下、本発明のリチウム二次電池用負極材料を含有するリチウム二次電池用の負極、及びこの負極を用いたリチウム二次電池について説明する。
本発明においては、炭素性物質表面にフラーレン類が存在しているリチウム二次電池用負極材料は、リチウム二次電池用の負極を製造するために用いられる。
ここで、リチウム二次電池は、通常、負極の他、正極及び電解質を有する電池要素をケースに収納した形態を有する。
負極は、通常、上記負極材料で形成される活物質層を集電体上に形成してなる。つまり、活物質層は、炭素性物質表面にフラーレン類が存在する負極活物質(フラーレン類表面修飾基材)を少なくとも含有し、通常、これら材料にさらに、バインダー及び必要に応じて導電剤等の添加剤を有する。
活物質層中の負極活物質の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは98重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向にある。
活物質層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類が挙げられる。
他の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。
また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体(例えば、スチレンブタジエンラバー等のスチレンブタジエン共重合体)などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常10,000〜3,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000程度である。低すぎると塗膜の強度が低下する傾向にある。一方、高すぎると負極製造用の塗料の粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂としては、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーが挙げられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
バインダーの使用量は、負極活物質100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると活物質層の強度が低下する傾向にあり、バインダーの量が多すぎると電池容量が低下する傾向にある。
活物質層中には、必要に応じて、導電性材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有させてもよい。
負極に使用される集電体としては、電気化学的に溶出等の問題が生じず、電池の集電体として機能しうる各種のものを使用でき、通常は銅、ニッケル、ステンレス等の金属や合金が用いられる。好ましくは、銅を使用する。集電体の厚さは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなる傾向にあり、生産上問題になる。厚すぎると電池全体としての容量が低下する。二次電池の重量を低減させる、すなわち重量エネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの炭素性物質を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで重量も自在に変更可能となる。また、このような穴あきタイプの炭素性物質の両面に接触層を形成した場合、この穴を通しての塗膜のリベット効果により塗膜の剥離がさらに起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗膜と炭素性物質との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなることがある。また、活物質層との接着性を向上させるため、集電体の表面を予め粗面化処理することができる。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理や粗面ロールにより圧延するなどの方法、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤ−ブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。
集電体上に活物質層を有する負極は、上記リチウム二次電池用負極材料を、バインダーを溶解しうる溶剤を用いて分散塗料化し、その塗料を集電体上に塗布、乾燥することにより製造することができる。
活物質層を形成する際に使用する溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、水を挙げることができ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン、水である。塗料中の溶剤濃度は、少なくとも10重量%より大きくするが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上である。また、上限としては、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。溶剤濃度が低すぎると塗布が困難になることがあり、高すぎると塗布膜厚を上げることが困難になると共に塗料の安定性が悪化することがある。
分散塗料化には通常用いられる分散機が使用でき、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、二軸混練機などが使用できる。
集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーターやエクストルージョン型のダイコーター、リバースロール、グラビアコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーター、ブレードコーター、及びナイフコーターが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーター、簡便な点からはブレードコーターが最も好ましい。
上記塗料を集電体上に塗布した後、塗膜を例えば120℃程度の温度で10分間程度の時間乾燥させることよって活物質層が形成される。
活物質層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。活物質層の厚さが過度に薄いと、電池の容量が小さくなりすぎる。一方、過度に厚いとレート特性が低下しることとなる。
リチウム二次電池に使用される電解質は、通常支持電解質であるリチウム塩を非水系溶媒に溶解してなる電解液を有する。
非水系溶媒としては、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。以上の非水系溶媒は、複数種を併用することができる。
電解質に使用する支持電解質であるリチウム塩としては、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、L
iHF2、LiSCN、LiSO3CF2等を挙げることができる。これらのうちでは特に
LiPF6及びLiClO4が好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5〜2.5mol/lである。
また、電解質中には、必要に応じて、電池の性能向上のために各種の添加剤を添加することができる。
電解質は、正極と負極との内部、及び正極と負極との間に存在するが、正極と負極との間には、正極と負極との短絡防止のために、多孔質フィルムのような支持体を存在させるのが好ましい。多孔質フィルムとしては、高分子樹脂からなるフィルムや、粉体とバインダーからなる薄膜が好ましく使用でき、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質膜である。
リチウム二次電池の正極は、通常、リチウム金属の形態、又は、集電体上に正極活物質を含有する正極活物質層を積層した形態を有する。上記形態のうち、集電体上に正極活物質を含有する正極活物質層を積層した形態において使用される正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物が挙げられ、具体的には、LiNiO2、LiNiCoO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiMn24等のリチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。これら複合酸化物の遷移金属サイトの一部は他の元素で置換されていてもよい。遷移金属の一部を他の元素で置換することにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。この際の該遷移金属サイトの一部を置換する他元素(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくはAlである。なお、遷移金属サイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。置換元素による置換割合は通常ベースとなる遷移金属元素の2.5モル%以上、好ましくはベースとなる遷移金属元素の5モル%以上であり、通常ベースとなる遷移金属元素の30モル%以下、好ましくはベースとなる遷移金属元素の20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定化が十分図れない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。リチウム遷移金属複合酸化物のうち、より好ましくはリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物であり、特に好ましくはLiCoO2である。正極活物質の粒径は、レート特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で通常1μm以上、一方、通常30μm以下、好ましくは10μm以下である。
正極は、通常正極活物質とバインダーとを有する活物質層を集電体上に形成してなる。正極に使用されるバインダーの種類や活物質層の形成方法は負極の場合と同様とすればよい。
また、正極においては、集電体の材質は、通常、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼等の金属、これら金属の合金等を用いることができる。この場合、正極の集電体としては、通常アルミニウムが用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは通常1μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。上記集電体の材質と膜厚以外は、上記負極集電体と同様にすればよい。
正極、負極、及び電解質を有する電池要素はケースに収納される。電池要素としては、例えば、正極と負極とを電解質を介して積層した積層体を巻回した形態、正極と負極と電解質を介して平板状に積層した形態、又は前記平板状に積層した電池要素を複数個用意してさらに積層した形態を挙げることができる。
電池要素を収納するケースは、通常、コインセルや乾電池用の金属缶や形状可変性を有するケースを挙げることができる。
リチウム二次電池が電源として使用される電気機器としては、例えば、携帯用パーソナルコンピュータ、ペン入力パーソナルコンピュータ、モバイルパーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)等を挙げることができる。また、リチウム二次電池は、電気自動車用の電源として用いることもできる。
E−2.フラーレン類表面修飾基材の耐熱性向上を利用する用途
フラーレン類表面修飾基材の耐熱性向上作用を利用する用途としては、例えば、粒子状の高分子材料の表面をフラーレン類で修飾して高分子材料の耐熱性を上げる用途が挙げられる。このようなフラーレン類表面修飾基材は、耐熱性向上が望まれる分野(例えば、包装材料、家庭用品・日用品などの各種成型材料、雑貨、通信機部品、電気部品、自動車部品、印刷回路用積層板などの積層品、建築資材、家具、室内装飾材料、接着剤、塗料、化粧版、工業機械等の分野)に応用可能である。
高分子材料としては、上記で説明したような材料を用いることができる。
高い耐熱性が求められる観点から好ましいのは、高分子材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、セロファン、セルロイド、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることである。
工業的により好ましくは、高分子材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、セロファン、セルロイド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることである。
高分子材料の性状としては、板状、粒子状、塊状等特に制限はされないが、比表面積が大きく、耐熱性向上の効果を大きく発揮できる点で好ましいのは、高分子材料として粒子状のものを用いることである。粒子状の高分子材料を用いる場合における高分子材料の粒径等については、上記Aで説明した通りである。また、高分子材料へのフラーレン類修飾の方法等については、上記A〜Dで説明した通りである。
E−3.フラーレン類の有する接着性改良を利用する用途
フラーレン類の有する接着性改良の効果を利用する用途としては、金属の基材と有機材料(例えば高分子材料)を含有する有機膜との接着性を改良する必要のある用途が挙げられる。一般に、金属と有機膜との接着性は弱い傾向にある。このような場合に金属の基材と有機膜との接着性を向上させるために、金属の基材と有機膜との間にフラーレン類を存在させればよい。このような接着性の向上が求められる用途は多岐にわたるが、例えば、絶縁材料、レジスト、ディスプレー、リチウム二次電池等の電気電子部品、建築資材、塗装、接着剤等の分野への応用が考えられる。
基材の材料として用いる金属としては、例えば純金属および合金を挙げることができる。具体的には、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Li(リチウム)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、In(インジウム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Y(イットリウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の単体または合金を挙げることができる。
本願発明の表面処理の効果が顕著に発揮される点で好ましいのは、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)、Pb(鉛)等の金属である。
その他基材に求められる性状等については、上記Aで説明した通りである。ただ、粒子状の基材と比較して、板状の基材は有機膜との接着面積が小さくなる傾向にあるために、有機膜と板状の金属の記載との接着性は不十分となりやすい。このため、このような場合にフラーレン類を金属の基材表面に存在させれば、有機膜と基材との接着性を改良しやすくなる。
金属の基材へのフラーレン類の修飾等については上記A〜Dで説明した通りである。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[炭素性物質の表面処理]
フラーレン類として、C60を酸化反応することにより製造した酸化フラーレン(フラーレンに結合している酸素数は、1〜9個であった)を用いた。また、基材としては、炭素性物質を用いた。炭素性物質としては、粒径20μm、比表面積4.7m2/gの人造黒
鉛を用いた。
[製法1の工程1]
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記酸化フラーレンをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積1リットルのガラス容器中に投入した。酸化フラーレンのTMB中での濃度は、0.44mg/mlとなる。
この容器にさらに上記人造黒鉛50gを入れ、ウォーターバスにて25℃に保ったまま30分撹拌した。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た分散液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール500gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。次にメタノールを滴下した上記分散液を、定量ろ紙No.5C(保留粒子径1μm)でろ過し、ろ紙上の固体状の物質(表面に酸化フラーレンが添着されている人造黒鉛)をメタノール250gで洗浄した。得られた固体状の物質を70℃/約0.1MPaで乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛(これを単に修飾粉体という場合がある。)を得た。
[酸化フラーレンの粒径]
炭素性物質表面上に存在する酸化フラーレン類の粒径は以下のようにして測定した。
上記製法1において人造黒鉛を入れないこと以外は、製法1と同じ方法で工程1、2を行った。そして、メタノールを滴下して得られた、フラーレン類が析出した分散液を、島津製作所製の粒度分布測定装置SALD−2100の回分セルを用いて測定した。そして、得られたメジアン径をフラーレン類の粒径とした。メジアン径は0.1μmであった。
[電子顕微鏡での観察]
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下単にSEMという。)観察においては、修飾粉体表面に酸化フラーレンの存在が確認された。酸化フラーレンは、黒鉛表面上で点在していた。
[負極電極の作製]
負極活物質として、上記修飾粉体を98重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、スチレンブタジエンラバー1重量部、水100重量部を混練し、負極塗料とした。
上記負極塗料作成後、すぐにこの塗料を銅箔(厚み 20μm)上にドクターブレード(ブレードコーター)にて塗布、乾燥させ、100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、負極を得た。
[電池の作製]
上記負極電極をφ13mmに打ち抜きコインセルで電池特性を評価した。
コインセルを作成する際、対極にはLi金属箔(厚さ0.5mm、φ14mm)、電解液、及びセパレータを用いた。尚、用いた電解液及びセパレータは以下の通りである。
電解液は、非水系溶媒として、エチレンカーボネート及びジエチルカーボネート(いずれも三菱化学(株)製)を1:1の割合(体積%)を用い、リチウム塩として、LiPF6を用いた。リチウム塩の濃度は、1mol/lとした。
セパレータは、膜厚16μmのポリエチレンシ−ト(東燃化学(株)製)を用いた。
(実施例2)
[炭素性物質の表面処理、製法1]
炭素性物質として、粒径18μm、比表面積4.5m2/gの天然黒鉛を用いた以外は
実施例1の製法1と同様にして修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する天然黒鉛を得た。
[負極電極の作製]
実施例1と同様にして負極電極を作製した。
[電池の作製]
実施例1と同様にして負極を作製した。
(比較例1及び参考実験1)
以下3つの溶液に対して高速液体クロマトグラフィーで測定を実施した。
・実施例1の[製法1の工程1]で得た、酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解した溶液(溶液1)
・実施例1の[製法1の工程1]で得た、酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解した溶液にさらに人造黒鉛を混合した組成物より、デカンテーションした上澄み液(溶液2)
・実施例1の[製法1の工程2]において、メタノールを滴下した後にろ過を行って得たろ液(溶液3)
ここで、高速液体クロマトグラフィーの測定条件は以下の通りとした。
(測定条件)
測定機器:東ソー LC−8020
溶離液:トルエン/メタノール = 40/60(v/v)
流速:1.0mL/min
カラム:YMC−Pack ODS−AM−307−3
カラム温度:45℃
検出波長:308nm
その結果を表−1に示す。
Figure 0004797394
表−1より、溶液1と溶液2との全ピーク面積置に大きな差がないことから、酸化フラーレンを1,2,4−トリメチルベンゼンに溶解した溶液と人造黒鉛を混合しただけでは酸化フラーレンの吸着が殆ど起こらないことがわかる。つまり、この状態において1,2,3−トリメチルベンゼン(実際には酸化フラーレンが溶解した1,2,3−トリメチルベンゼン溶液)をデカンテーションで取り除いたとしても、人造黒鉛上に十分な量の酸化フラーレンが存在しないこととなる。
これに対し、溶媒Bを添加してフラーレン類を析出させつつ基材(炭素性物質表面)に修飾するという本手法を用いることによれば、ほぼ全量の酸化フラーレンが人造黒鉛表面に吸着することが分かり、表面修飾法として有効であることがわかる。
(比較例2)
炭素性物質の表面処理を下記方法で行ったこと以外は実施例1と同様にして、電池を製造して評価を行った。
[炭素性物質の表面処理]
実施例1で得た酸化フラーレンを、1,2,4−トリメチルベンゼンに固形分0.01重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積300ミリリットルのガラス容器中に投入した。
この容器にさらに上記人造黒鉛9.99gを入れ、約12時間撹拌後、60℃にて加熱乾燥させ、修飾割合が0.1重量%の、表面に酸化フラーレンが存在する人造黒鉛を得た。
(比較例3)
実施例1において、炭素性物質の表面に酸化フラーレンを存在させなかったこと以外は実施例1と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
(比較例4)
実施例2において、比較例2に記載した方法で炭素性物質の表面処理を行ったこと以外は、実施例2と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
(比較例5)
実施例2において、炭素性物質の表面に酸化フラーレンを存在させなかったこと以外は実施例2と同様に電極を作製し電池特性を評価した。
[試験例]
実施例1、2及び比較例2〜5で得られた電池の電池特性を評価した。
電池特性は、上記コインセルの充放電を行い1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を測定することにより評価した。充電条件は、0.3mA/cm2で3mVま
で定電流充電し0.03mA/cm2まで定電圧充電した。放電条件は0.3mA/cm2で1.5Vまで定電流放電した。初期効率は、(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)から算出した。
上記のようにして測定した1回目の充電容量、1回目の放電容量、及び初期効率を表−2に示す。
Figure 0004797394
表−2より、天然黒鉛及び人造黒鉛のいずれにおいても、本発明の製造方法により酸化フラ−レンで表面修飾することにより、初期効率が1%程度上昇することがわかる。また、実施例1及び比較例2の結果、実施例2及び比較例4の結果から、人造黒鉛、天然黒鉛の表面を本発明の製造方法により表面修飾することにより、乾燥による溶媒除去による修飾方法と比較して、初期効率が向上することが分かる。
以上の結果から、フラーレン誘導体による炭素性物質表面の修飾をより精密に制御することが、電池性能を改良するために有効であることがわかる。
(実施例3)
[基体の表面処理]
フラーレン類として、フロンティアカーボン社製(商品名:ナノムミックス、C70/C60=25/60)のフラーレンを用いた。以下この実施例ではナノムミックスと表記する。また、基体としては、厚さ20μmの銅箔とアルミ箔を用いた。
銅箔とアルミ箔(以下、まとめて金属箔という場合がある。)は予め3cm×3cmの大きさに切断しておいた。
[製法1の工程1]
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記ナノムミックスをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液10gを内容積100ミリリットルのガラス容器中に投入した。フラーレンのTMB中での濃度は、0.44mg/mlとなる。
この容器にさらに上記銅箔を入れ、ウォーターバスにて25℃に保ったまま30分撹拌した。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール50gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。その後金属箔を取り出し、100℃/約0.1MPaで乾燥させ、表面にナノムミックスが存在する銅箔を得た。
なお、アルミ箔についても上記工程1、工程2を行い、表面にナノムミックスが存在するアルミ箔を得た。
[有機膜形成用の塗料の調整]
以下に示す組成に従い塗料を調整した。原料としては以下のものを以下の配合比で用いた。つまり、天然黒鉛とポリフッカビニリデンとをN−メチル−2−ピロリドンに含有させて混合し、30分間撹拌し塗料化した。
天然黒鉛(粒径18μm) : 90.0部
ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)製) : 10.0部
N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学(株)製) :150.0部
[金属箔上への有機膜の塗布]
上記製法1によって得られた表面にナノムミックスが存在する銅箔と表面にナノムミックスが存在するアルミ箔をPETフィルム上に載せ、ドクターブレードを用いて上記塗料を塗布し、100℃で10分間乾燥した。
このようにして、基材上に有機膜を形成した。
(比較例6)
3cm×3cmの大きさに切断した厚さ20μmの銅箔とアルミ箔をそのまま用い、銅
箔とアルミ箔との表面処理を行わなかったこと以外は実施例3と同様にして基材上に有機膜を形成した。
[試験例]
実施例3と比較例6で得られた試料(基材上に有機膜を形成した試料)に対して、クロスカットセロハンテープ剥離試験を行った。
すなわち、上記試料における10mm×10mmの領域に対し、1mm間隔で有機膜に切り込みを入れた(1mm×1mmの升目を100個作製した。)。なお、有機膜に切り込みを入れる際には、基材の金属箔を切らないように注意した。
そして、セロハンテープ(セロテープ(登録商標)、ニチバン株式会社製)を圧着した後はがして、基材側に残った有機膜を観察した。表−3に結果を示す。
Figure 0004797394
上記結果から、いずれの金属箔においても、本発明の製造方法を用いてナノムミックスで表面修飾することにより、接着性が向上していることが分かる。
(実施例4)
[高分子材料の表面処理]
フラーレン類として、フロンティアカーボン社製(商品名:ナノムミックス、C70/C60=25/60)のフラーレンを用いた。以下この実施例ではナノムミックスと表記する。また、高分子材料としては、第一工業製薬株式会社製のカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:セロゲンWS−C、平均分子量:128.000〜135,000)を用いた。以下実施例ではCMCと表記する。
[製法1の工程1]
溶媒Aとして1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)を用いた。
上記ナノムミックスをTMBに、固形分0.05重量%で溶解させ、この溶液100gを内容積1リットルのガラス容器中に投入した。フラーレンのTMB中での濃度は、0.
44mg/mlとなる。
この容器にさらに上記CMC4.95gを入れ、ウォーターバスにて25℃に保ったまま30分撹拌した。
[製法1の工程2]
溶媒Bとしてメタノールを用いた。
上述工程1で得た分散液をマグネットスターラーで攪拌しながら、メタノール500gを約40分かけて滴下し、その後約1時間攪拌を続けた。
次に、メタノールを滴下した上記分散液を、定量ろ紙No.5C(保留粒子径1μm)を用いてろ過した。そして、ろ紙上の固体状の物質(表面にフラーレン類が添着されているCMC)をメタノール250gで洗浄した。
得られた固体状の物質(表面にフラーレン類が添着されているCMC)を100℃/約0.1MPaで乾燥させ、修飾割合が1重量%の、表面にナノムミックスが存在するCMCを得た。
(比較例7)
上記ナノムミックス0.05gとCMC4.95gを乳鉢にて5分間粉砕混合を行い、ナノムミックスとCMCの混合物を得た。
[試験例]
実施例4及び比較例7で得られた試料を約10mg秤量して、熱重量・示差熱分析(TG−DTA)による耐熱試験を実施した。そして、得られた減量曲線から5wt%減量温度を読み取り、耐熱性の指標とした。
<TG−DTA測定条件>
装置 :島津製作所製DTG−50
試料量 :約10mg
温度範囲 :室温〜300℃
昇温速度 :室温〜30℃ 1℃/分
30℃ 5分保持
30℃〜300℃ 10℃/分
ガス流量 :空気 70mL/分
各高分子材料の5wt%減量温度は以下の通りである。
Figure 0004797394
上記結果から、本発明の製造方法を用いて高分子材料の表面をナノムミックスで修飾することにより、耐熱性が向上することが分かる。

Claims (10)

  1. 基材及びフラーレン類を溶媒Aに含有させた後、
    前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させて、
    前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  2. 前記基材及び前記フラーレン類を溶媒Aに含有させる際に、前記フラーレン類を前記溶媒A中に含有させた後に、前記基材を前記溶媒Aに含有させることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  3. フラーレン類及び溶媒Aを含有する組成物αと、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒B及び基材を含有する組成物βとを準備した後、
    前記組成物βと前記組成物αとを接触させて、
    前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  4. フラーレン類を溶媒Aに含有させた後に、前記溶媒Aよりも前記フラーレン類の溶解度が低い溶媒Bをさらに含有させ、
    その後基材を含有させることにより、前記基材表面に前記フラーレン類が0.01重量%以上、3.0重量%以下存在するフラーレン類表面修飾基材を製造することを特徴とするフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  5. 前記溶媒Aと前記溶媒Bとが、
    (フラーレン類の溶媒Bへの溶解度)/(フラーレン類の溶媒Aへの溶解度)≦0.5の関係を満たす請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  6. 前記溶媒Aが、ベンゼン系溶媒、ナフタレン系溶媒、複素環系溶媒、アルカン系溶媒、ハロアルカン系溶媒、極性系溶媒、及び二硫化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  7. 前記溶媒Bが、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、ニトロエタン、及び水からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  8. フラーレン類が、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100、C60の誘導体、C70の誘導体、C74の誘導体、C76の誘導体、C78の誘導体、C80の誘導体、C82の誘導体、C84の誘導体、C86の誘導体、C88の誘導体、C90の誘導体、C92の誘導体、C94の誘導体、C96の誘導体、C98の誘導体、及びC100の誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  9. 前記基材が、金属、金属化合物、半導体、ガラス類、セラミック類、炭素性物質、及び高分子材料、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
  10. 前記基材が粒子状である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のフラーレン類表面修飾基材の製造方法。
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