JP2003197189A - 黒鉛含有組成物の製造方法並びにリチウム二次電池用の負極の製造方法及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
黒鉛含有組成物の製造方法並びにリチウム二次電池用の負極の製造方法及びリチウム二次電池の製造方法Info
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Abstract
性に優れたリチウム二次電池用の負極の製造方法及びリ
チウム二次電池の製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒に
分散されてなるペーストを基材に塗布した後、該黒鉛粉
末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同一
方向に配向させた状態で、前記溶媒を除去して前記黒鉛
粉末を結着材により固化成形することを特徴とするリチ
ウム二次電池用の負極の製造方法を採用する。
Description
製造方法並びにリチウム二次電池用の負極の製造方法及
びリチウム二次電池の製造方法に関するものである。
在のところ炭素材料が用いられており、特に結晶性の高
い黒鉛が主流になっている。黒鉛は層状構造を有してお
り、充電時に層のエッジ部からリチウムイオンが層間に
侵入し、グラファイト・インターカレーション・コンパ
ウンド(graphite intercalation compounds)が形成され
る。
状に近い形状をしているものが多く、負極形成時に層面
が集電体の面と平行になるように堆積する。このため、
層のエッジ部が正極に対して垂直に配位し、充電時に正
極から脱離したリチウムイオンが層間に円滑に侵入でき
ないという問題があった。特に、高い電流で充電を行っ
た場合は、黒鉛に対するリチウムイオンの拡散が十分に
おこなわれず、このため放電容量が低下するという問題
があった。
定電流・定電圧充電方式を採用し、放電は定電流放電方
式を採用するため、定電圧充電時に低電流で黒鉛結晶の
深部に挿入されたリチウムイオンが、高率放電時に完全
に放電しきらずに黒鉛内に残存してしまい、黒鉛のサイ
クル劣化の一因となっていた。特に従来のリチウム二次
電池では、前述したように、充電時に正極から脱離した
リチウムイオンが層間に円滑に侵入できないため、リチ
ウムイオンが黒鉛内により多く残存し、サイクル劣化が
激しくなるという問題があった。
電気抵抗率が、面方向の電気抵抗率の約1000倍程度
であり、黒鉛の配向方向を制御できれば、黒鉛含有組成
物の電気抵抗率の異方性を緩和したり、あるいは逆転す
ることができ、電池の他にも種々の電子機器への応用が
可能になる。
であって、高率充放電における放電容量及びサイクル特
性に優れたリチウム二次電池用の負極の製造方法及びリ
チウム二次電池の製造方法を提供することを目的とす
る。また本発明は、黒鉛の配向を制御して電気抵抗率の
異方性が制御された黒鉛含有組成物の製造方法を提供す
ることを目的とする。
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の黒鉛含
有組成物の製造方法は、少なくとも黒鉛粉末及び結着材
が溶媒に分散されてなるペーストを基材に塗布した後、
該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場
中で同一方向に配向させた状態で、前記溶媒を除去して
前記黒鉛粉末を結着材により固化成形することを特徴と
する。係る黒鉛含有組成物の製造方法によれば、黒鉛粉
末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、黒鉛粒子間で相
互に同一方向に配向することができる。
に前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生
させることが好ましい。
は、前記基材上において前記黒鉛粉末を前記結着材によ
りシート状に固化成形するとともに、該黒鉛粉末中に含
まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の垂直方向に配
向させることが好ましい。これにより、前記シート面を
X線回折の測定面とし、黒鉛の(002)面のX線回折強度
をI(002)とし、(110)面のX線回折強度をI(110)とした
とき、たとえば基材シートを除いた黒鉛含有組成物の密
度が1.5g/cm3以上2.0g/cm3以下のときにI(110)/
I(002)(%)≧0.5とすることができる。
は、少なくとも黒鉛粉末及び結着材からなる混合粉末
を、磁場中にて加圧成形法により固化成形することによ
り、該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を
同一方向に配向することを特徴とする。係る黒鉛含有組
成物の製造方法によれば、黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒
子の(002)面を、黒鉛粒子間で相互に同一方向に配向す
ることができる。
では、前記磁場を0.5T以上とすることが好ましい。ま
た、前記磁場の印加はペーストの粘度にもよるが0.1秒
以上10分以下の範囲で行うことが好ましい。更に、前記
溶媒の除去は、前記ペーストを加熱することにより前記
溶媒を蒸発させることにより行うことが好ましい。
とえば、リチウムイオン二次電池、燃料電池用電極、放
電加工用電極、電解加工用電極、電気二重層コンデン
サ、可変抵抗器、カーボン抵抗体、電磁波シールドシー
ト、プリント基板等の製造に適用できる。
の製造方法は、少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒に
分散されてなるペーストを基材に塗布した後、該黒鉛粉
末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同一
方向に配向させた状態で、前記溶媒を除去して前記黒鉛
粉末を結着材により固化成形することを特徴とする。係
るリチウム二次電池用の負極の製造方法によれば、黒鉛
粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、黒鉛粒子間で
相互に同一方向に配向することができる。
に前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生
させることが好ましい。
製造方法では、前記基材上において前記黒鉛粉末を前記
結着材によりシート状に固化成形するとともに、該黒鉛
粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の垂
直方向に配向させることが好ましい。これにより、前記
シート面をX線回折の測定面とし、黒鉛の(002)面のX
線回折強度をI(002)とし、(110)面のX線回折強度をI(1
10)としたとき、たとえば基材シートを除いた黒鉛含有
組成物の密度が1.5g/cm3以上2.0g/cm3以下のとき
にI(110)/I(002)(%)≧0.5となる。
製造方法は、少なくとも黒鉛粉末及び結着材からなる混
合粉末を、磁場中にて加圧成形法により固化成形するこ
とにより、該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(00
2)面を同一方向に配向することを特徴とする。係るリチ
ウム二次電池用の負極の製造方法によれば、黒鉛粉末中
に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、黒鉛粒子間で相互に
同一方向に配向することができる。
の製造方法では、前記磁場を0.5T以上とすることが好
ましい。また、前記磁場の印加はペーストの粘度にもよ
るが0.1秒以上10分以下の範囲で行うことが好ましい。
更に、前記溶媒の除去は、前記ペーストを加熱すること
により前記溶媒を蒸発させることにより行うことが好ま
しい。
法は、正極と負極とを具備してなるリチウム二次電池の
製造方法であり、少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒
に分散されてなるペーストを基材に塗布した後、該黒鉛
粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同
一方向に配向させた状態で、前記溶媒を除去して前記黒
鉛粉末を結着材で固化成形することにより前記負極を製
造し、前記正極を、前記負極に対し、前記負極に含まれ
る黒鉛粒子同士の(002)面に配置することを特徴とす
る。係るリチウム二次電池の製造方法によれば、負極に
含まれる黒鉛粒子の(002)面を、黒鉛粒子間で相互に同
一方向に配向させ、前記正極を(002)面に配置するの
で、負極と正極の間を行き来するリチウムイオンが、充
電時に黒鉛の層のエッジ部から層間に円滑に侵入させる
ことができる。
に前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生
させることが好ましい。
法では、前記基材上において前記黒鉛粉末を前記結着材
によりシート状に固化成形するとともに、該黒鉛粉末中
に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の垂直方向
に配向させることが好ましい。これにより、前記シート
面をX線回折の測定面とし、黒鉛の(002)面のX線回折
強度をI(002)とし、(110)面のX線回折強度をI(110)と
したとき、基材シートを除いた黒鉛含有組成物の密度が
1.5g/cm3以上2.0g/cm3以下のときにI(110)/I(00
2)(%)≧0.5となる。
法は、正極と負極とを具備してなるリチウム二次電池の
製造方法であり、少なくとも黒鉛粉末及び結着材からな
る混合粉末を、磁場中にて加圧成形法により固化成形し
て、該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を
同一方向に配向することにより前記負極を製造し、前記
正極を、前記負極に対し、前記負極に含まれる黒鉛粒子
同士の(002)面に配置することを特徴とする。係るリチ
ウム二次電池の製造方法によれば、負極に含まれる黒鉛
粒子の(002)面を、黒鉛粒子間で相互に同一方向に配向
させ、前記正極を(002)面の方向に配置するので、負極
と正極の間を行き来するリチウムイオンが、充電時に黒
鉛の層のエッジ部から層間に円滑に侵入させることがで
きる。
法では、前記磁場を0.5T以上とすることが好ましい。
また、前記磁場の印加はペーストの粘度にもよるが0.1
秒以上10分以下の範囲で行うことが好ましい。更に、前
記溶媒の除去は、前記ペーストを加熱することにより前
記溶媒を蒸発させることにより行うことが好ましい。
を参照して説明する。本発明の黒鉛含有組成物は、一例
としてリチウム二次電池用の負極に適用される。このリ
チウム二次電池用の負極は、黒鉛粉末中に含まれる黒鉛
粒子の(002)面が、黒鉛粒子間で相互に同一方向に配向
した状態で、当該黒鉛粉末が結着材によって固化成形さ
れてなるものである。また、上記の負極は、黒鉛粉末が
結着材によってシート状に固化成形されてなり、当該黒
鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面が、シート面の
垂直方向に配向していることが好ましい。特にこの負極
を、正極と負極と電解質とを具備してなるリチウム二次
電池に適用した場合は、前記の(002)面が、前記正極の
方向に配向していることが好ましい。尚、本発明に係る
負極は、上記のシート状に固化成形されたものに限るも
のではなく、円柱状、円盤状、板状若しくは柱状に固化
成形したペレットであっても良い。この場合、負極中の
黒鉛粒子の(002)面は、前記正極の方向に配向している
ことが好ましい。
層されてなる構造を示すもので、充電時に層間にリチウ
ムイオンが挿入されてグラファイト・インターカレーシ
ョン・コンパウンド(graphite intercalation compound
s)が形成される。一般に、黒鉛における炭素の6員環が
連なる層の面内方向は(002)面で表され、炭素の6員環
が連なる層の積層方向は(002)面方向あるいは(110)面の
方向で表される。リチウムイオンは充放電時に、6員環
が連なる層のエッジ部近傍から層の面内方向、即ち(00
2)面に沿って層間に侵入する。
含まれる黒鉛粒子の(002)面が、正極の方向に配向して
いるので、正極から移動してきたリチウムイオンが円滑
に黒鉛の層間に侵入することができる。これにより、特
に高い電流で充電を行った場合でも、黒鉛に対するリチ
ウムイオンの拡散が十分に行われるので、放電容量を高
めることができる。
深部に挿入されたリチウムイオンが、高率放電時に完全
に放電しきらずに黒鉛内に残存してしまうことがなく、
黒鉛のサイクル特性を向上させることができる。
が好ましく、例えば黒鉛の粉末状態での(002)面のX線
回折強度をI(002)とし、(110)面のX線回折強度をI(11
0)としたとき、I(110)/I(002)(%)が1.0以上のものが好
ましい。すなわち、6員環が連なる層からなる層構造が
高度に発達したものが好ましい。このような黒鉛を用い
ることにより、放電電圧が比較的安定になり、高い充放
電容量を示すことができる。このような黒鉛としては、
例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解黒鉛等を例示でき
る。
は無機質のいずれでも良いが、黒鉛粉末と共に溶媒に分
散あるいは溶解し、更に溶媒を除去することにより黒鉛
粉末を結着させるものであればどのようなものでもよ
い。また、黒鉛粉末と共に混合し、加圧成形等の固化成
形を行うことにより黒鉛粉末を結着させるものでもよ
い。このような結着材としてビニル系樹脂、セルロース
系樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
などが使用でき、たとえばポリフッ化ビニリデン、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチ
レンブタジエンラバー、等の樹脂を例示できる。また、
本発明に係る負極においては、黒鉛及び結着剤の他に、
導電助材としてカーボンブラック等を添加しても良い。
末が結着材によりシート状に固化成形された状態で、前
記のシート面をX線回折の測定面とし、黒鉛の(002)面
のX線回折強度をI(002)とし、(110)面のX線回折強度
をI(110)としたとき、基材シートを除いた黒鉛含有組成
物の密度が1.5g/cm3以上2.0g/cm3以下のときにI
(110)/I(002)(%)≧0.5であることが好ましい。これに
より、例えばシート状の上記負極にセパレータを介して
シート状の正極を積層した場合に、黒鉛の(002)面が正
極の方向に配向し、炭素原子の6員環が連なる層のエッ
ジ部が正極に対向することになる。これにより、正極か
ら移動してきたリチウムイオンが、このエッジ部から黒
鉛の層間に円滑に侵入するため、特に高い電流で充電を
行った場合に、黒鉛に対するリチウムイオンの拡散が十
分に行われるので、放電容量を高めることができる。ま
た、I(110)/I(002)(%)は、基材シートを除いた黒鉛含
有組成物の密度が1.5g/cm3以上2.0g/cm3以下のと
きに10以下であることが好ましい。I(110)/I(002)(%)
が10を越えると、集電体との接着面積が小さくなり、サ
イクル特性の低下を招く。
記の負極と、正極と、電解質を少なくとも具備してなる
ものである。そして、負極に対する正極の位置を、負極
に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面の方向とすることが
好ましい。これにより、負極と正極の間を行き来するリ
チウムイオンを、充電時に黒鉛の層のエッジ部から層間
に円滑に侵入させることができる。
CoO2、LiNiO2、LiFeO 2、V2O5、Ti
S、MoS等、及び有機ジスルフィド化合物や有機ポリ
スルフィド化合物等のリチウムを吸蔵、放出が可能な正
極活物質を含むものを例示できる。また、上記の正極に
は、上記正極活物質の他に、ポリフッ化ビニリデン等の
結着材や、カーボンブラック等の導電助材を添加しても
良い。正極及び負極の具体例として、上記の正極または
負極を金属箔若しくは金属網からなる集電体に塗布して
シート状に成形したものを例示できる。またこの他に、
従来からリチウム二次電池の正極もしくは負極して知ら
れているものを用いることもできる。
性溶媒にリチウム塩が溶解されてなる有機電解液を例示
できる。非プロトン性溶媒としては、プロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフ
ラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラク
トン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、N、N
−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエ
タン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、
ニトロベンゼン、ジメチルカーボネート、メチルエチル
カーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピル
カーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチ
ルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイ
ソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジエ
チレングリコール、ジメチルエーテル等の非プロトン性
溶媒、あるいはこれらの溶媒のうちの二種以上を混合し
た混合溶媒を例示でき、特にプロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートのいずれ
か1つを必ず含むとともにジメチルカーボネート、メチ
ルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートのいずれ
か1つを必ず含むことが好ましい。
LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、
LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、LiC4F9
SO3、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、Li
N(CxF2x+1SO2)(CyF2 y十1SO2)(ただし
x、yは自然数)、LiCl、LiI等のうちの1種ま
たは2種以上のリチウム塩を混合させてなるものを例示
でき、特にLiPF6、LiBF4のいずれか1つを含む
ものが好ましい。またこの他に、リチウム二次電池の有
機電解液として従来から知られているものを用いること
もできる。
A等のポリマーに上記記載のリチウム塩のいずれかを混
合させたものや、膨潤性の高いポリマーに有機電解液を
含浸させたもの等、いわゆるポリマー電解質を用いても
良い。更に、本発明のリチウム二次電池は、正極、負
極、電解質のみに限られず、必要に応じて他の部材等を
備えていても良く、例えば正極と負極を隔離するセパレ
ータを具備しても良い。
を参照して説明する。図1〜図3は、本発明に係るシー
ト状の負極の製造方法の工程図である。まず図1に示す
ように、黒鉛と結着材と溶媒とが混合されてなるペース
ト1を用意し、このペースト1を、ローラ3を介してC
u箔等からなる集電体2(基材)に塗布する。ペースト
に添加する黒鉛粉末は、上述したように高結晶性のもの
が好ましく、粉末状態のXRD強度比I(110)/I(002)(%)が
1.0以上のものが好ましい。すなわち、6員環が連なる
層からなる層構造が高度に発達したものが好ましい。こ
のような黒鉛としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、
熱分解黒鉛等を例示できる。また結着材は、有機質また
は無機質のいずれでも良いが、黒鉛粉末と共に溶媒に分
散あるいは溶解し、更に溶媒を除去することにより黒鉛
粉末を結着させるものであればどのようなものでもよ
い。このような結着材としてビニル系樹脂、セルロース
系樹脂、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
などが使用でき、たとえばポリフッ化ビニリデン、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチ
レンブタジエンラバー、等の樹脂を例示できる。また、
本発明に係る負極においては、黒鉛及び結着剤の他に、
導電助材としてカーボンブラック等を添加しても良い。
更に溶媒としては、黒鉛粉末及び結着材を均一に分散さ
せるものが好ましく、特に結着材を溶解するものがより
好ましい。このような溶媒としてはたとえば、N-メチ
ルピロリドン、水等を例示できる。
れる溶媒が揮発しないうちに、集電体2ごとペースト1
を0.5T以上の磁場中に通過させる。溶媒が揮発してい
ないため、黒鉛はペースト中に分散して固化成形されて
いない状態である。即ち、各黒鉛粒子の(002)面は、黒
鉛粒子毎に不規則な方向を向いた状態である。このよう
な状態の黒鉛を磁場中に置くと、黒鉛の(002)面が、磁
場中の磁力線の方向に沿って一方向に配向する。これ
は、黒鉛が本来、反磁性帯磁率の異方性があり、磁場中
では、磁場の方向に対して基底面が平行になった方がエ
ネルギー的に安定であるためである。
に平行なる均一磁場であることが好ましい。磁場内で磁
力線の方向に分布が生じると、黒鉛粒子の配向方向に分
布が生じ、黒鉛の(002)面を一方向に配向させることが
困難になるので好ましくない。従って磁場は、図2に示
すように、例えば磁場発生手段としての一対の電磁石
4,4を、集電体2及びペースト1の図中上下に配置し
た状態で、磁力線(図中電磁石4,4間の矢印)の方向
に分布を生じさせないようにして発生させることが好ま
しい。
しくは1T以上がよい。磁場強度が0.5T未満だと、黒鉛
の(002)面を一方向に配向させることが困難になるので
好ましくない。また磁場強度の上限は特に限定されるも
のではないが、例えば2.5T以下程度でよい。実際に
は、磁場強度の上限は使用する電磁石の性能により決定
される。また、上記工程において、電磁石の代わりに超
伝導磁石を使用することもできる。また、磁場の印加時
間は、数秒〜数分程度で良く、より具体的には例えば0.
1秒以上10分以下程度でよい。
ペースト1及び集電体2を、加熱炉5内に送り、ペース
トに含まれる溶媒を除去する。ペースト中の溶媒が除去
されることにより黒鉛と結着材が集電体2上に残存し、
黒鉛が結着材により固化成形される。ペースト2は、黒
鉛粒子の(002)面が磁場により一方向に配向された状態
で加熱炉5に導入されるため、加熱後においても黒鉛粒
子の配向方向がそのままの状態で維持される。
出された集電体2は、プレスローラ6,6に送られてプ
レスされる。そして、図示略の裁断機等で集電体2が適
当な大きさに裁断される。このようにして、本発明に係
るシート状の負極が形成される。
例を図面を参照して説明する。図4〜図6は、本発明に
係るペレット状の負極の製造方法の工程図である。まず
図4に示すように、黒鉛と結着材とが混合されてなる混
合物11(粉末)を用意し、この混合物11を、中空円
柱状の型12及び上パンチ13並びに下パンチ14から
なる加圧成型用の成形型15の内部に収納する。この成
形型15の上パンチ13及び下パンチ14には、図示略
の電磁石等の磁場発生手段が内蔵されている。また電磁
石等の磁場発生手段から発した磁力線の漏れを防いで均
質な磁場を発生させるために、中空円柱状の型12を、
非磁性材料で形成することが好ましい。尚、混合物11
に含まれる黒鉛及び結着材は、上述したものと同等のも
のである。また、黒鉛及び結着材の他に、導電助材とし
てカーボンブラック等を添加しても良い。
降させて混合物11を上下パンチ13,14により圧縮
しつつ、上下パンチ13,14に内蔵された電磁石を作
動させて磁場を発生させる。磁場が発生すると、それま
で不規則な方向を向いていた混合物11中の黒鉛粒子の
(002)面が、磁場中の磁力線の方向に沿って一方向に配
向する。これは上記と同様に黒鉛の反磁性帯磁率の異方
性による磁気異方性モーメントに起因するものである。
互に平行な均一磁場であることが好ましい。磁場中で磁
力線の方向に分布が生じると、黒鉛粒子の配向方向に分
布が生じ、黒鉛の(002)面を一方向に配向させることが
困難になるので好ましくない。従って図5に示すよう
に、例えば非磁性材料で形成した型12の内部で磁場を
発生させることが好ましく、これにより、磁力線の漏れ
を防いで均質な磁場を混合物11に印加することができ
る。
0.5T以上、より好ましくは1T以上がよい。また、磁場
の印加時間は、前述と同様に数秒〜数分程度で良く、よ
り具体的には例えば0.1秒以上10分以下程度でよい。
に下降させて混合物11を上下パンチ13,14でより
緻密に圧縮して混合物を固化成形することにより、黒鉛
粒子を結着材で固定させる。混合物11は、黒鉛粒子の
(002)面が磁場により一方向に配向された状態で固化成
形されるため、黒鉛粒子の配向方向がそのままの状態で
維持される。このようにして、本発明に係るペレット状
の負極が形成される。
より得られた負極とで電解質を挟むことにより、本発明
に係るリチウム二次電池を製造できる。この場合、前記
負極と正極を対向させることにより、前記負極に含まれ
る黒鉛粒子のエッジ面が正極の方向に配置される。これ
により、負極と正極の間を行き来するリチウムイオン
を、充電時に黒鉛の層のエッジ部から層間に円滑に侵入
させることができる。
する。図1〜図3により説明した負極の製造方法に準じ
て、リチウム二次電池用の負極の製造を行った。まず、
負極活物質として天然黒鉛を用意した。この天然黒鉛
は、粉末の状態でI(110)/I(002)(%)が3.0を示すもので
ある。上記の天然黒鉛96重量部に対し、スチレンブタ
ジエンゴム2重量部、カルボキシメチルセルロース2重
量部、水 130重量部を混合し、15分間攪拌することで
ペーストを調製した。次に、得られたペーストを、図1
に示すように、厚さ14μmの銅箔(集電体)に塗布し
た。塗布の直後に、ペーストを銅箔ごと図2に示すよう
な一対の電磁石の間に配置し、磁場を2.3Tに設定し、
約2分間印加した。
ごと加熱炉で乾燥して溶媒を蒸発させた。加熱条件は、
60℃で30分乾燥した後、120℃で24時間乾燥す
る条件で行った。最後にローラープレスを行い、厚さ90
μm、嵩密度1.5g/cm3のシート状の負極を得た。
このシート状の負極に対してX線回折測定を行った。X
線回折は、シート面を測定面として行い、I(110)/I(00
2)(%)を求めた。結果を表1に示す。なお、表1にはロ
ールプレス前後のI(110)/I(002)(%)を示す。
mmの円盤状に打ち出してコインセル用の負極とし、ポ
リプロピレン製のセパレータと金属リチウムからなる対
極(正極)とを順次積層してコイン型電池を製造した。
尚、金属リチウム(正極)は、前記負極と対向するよう
に設置する。このコイン型電池に対し、定電流定電圧充
電、定電流放電を1サイクルとする充放電サイクルを4
度行って電池を活性化させた後、更に50回の充放電サ
イクルを行い、1サイクル目に対する50サイクル後の
容量維持率(%)を求めた。結果を表1に併せて示す。
尚、活性化のための初期の4回の充放電の条件は、充電
電流 0.2 Cで0.001V(vs Li+/Li)まで定電流充
電した後に、充電電流が0.01Cになるまで定電圧充電を
行った後、放電電流 0.2 Cで1.5VV(vs Li+/Li)
まで定電流放電を行う条件とした。更に、活性化後の5
0回の充放電の条件は、充放電電流を1Cとし、定電圧
充電を0.01Cまで行うこと以外は上記の活性化の充放電
条件と同一とした。
すI(110)/I(002)(%)は、磁場強度が高くなるにつれて向
上しており、磁場強度2.3Tで処理した負極(No.6)の
強度比は磁場処理を行わない負極(No.1)の強度比の約1
9倍になっており、磁場中で処理を行うことにより、黒
鉛粒子の(002)面が、シート面の垂直方向に強く配向し
ていることがわかる。磁場強度の好ましい範囲を容量維
持率の結果から検討すると、0.5Tでも容量維持率が54.
5%程度に改善し、2Tでは73%まで改善しているこ
とがわかる。このことから、磁場強度の好ましい範囲は
0.5T以上であり、より好ましい範囲は1T以上であるこ
とがわかる。
の5サイクル目、すなわち1C充電・1C放電の1サイクル目
の放電曲線を示す。図7から明らかなように、磁場強度
2.3Tの負極(No.6)のリチウムに対する電位差は、磁
場処理を行わない負極(No.1)の場合よりも小さくなって
いることがわかる。これは、No.6の負極ではI(110)/I(0
02)(%)が高いため、黒鉛の炭素6員環からなる層のエッ
ジ部がリチウム(正極)側に向いており、リチウムイオ
ンの脱離が円滑に行われてリチウムイオンの拡散速度が
高くなるとともに、電気伝導率の異方性が緩和され、電
極のインピーダンスが低くなったためと考えられる
黒鉛含有組成物の製造方法によれば、各黒鉛粒子の(00
2)面を一定方向に配向させることができるとともに、電
気伝導性の異方性を制御することができる。
負極の製造方法によれば、黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒
子の(002)面を、集電体に塗布後、塗布した面に対し垂
直に再配向させることができる。
配置するので、負極と正極の間を行き来するリチウムイ
オンが、充電時に黒鉛の層のエッジ部から層間に円滑に
侵入させることができる。これにより、特に高い電流で
充電を行った場合でも、黒鉛に対するリチウムイオンの
拡散が十分に行われるので、放電容量を高めることがで
きる。更に、定電圧充電時に低電流で黒鉛結晶の深部に
挿入されたリチウムイオンが、高率放電時に完全に放電
しきらずに黒鉛内に残存してしまうことがなく、黒鉛の
サイクル特性を向上させることができる。
の負極の製造方法の一例を説明する工程図。
の負極の製造方法の一例を説明する工程図。
の負極の製造方法の一例を説明する工程図。
の負極の製造方法の別の例を説明する工程図。
の負極の製造方法の別の例を説明する工程図。
の負極の製造方法の別の例を説明する工程図。
の放電曲線を示すグラフ。
Claims (18)
- 【請求項1】 少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒に
分散されてなるペーストを基材に塗布した後、該黒鉛粉
末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同一
方向に配向させ、前記溶媒を除去して前記黒鉛粉末を結
着材により固化成形することを特徴とする黒鉛含有組成
物の製造方法。 - 【請求項2】 前記磁場は、一対の磁場発生手段の間に
前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生さ
せることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有組成物
の製造方法。 - 【請求項3】 前記基材上において前記黒鉛粉末を前記
結着材によりシート状に固化成形するとともに、該黒鉛
粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の垂
直方向に配向させることを特徴とする請求項1または請
求項2に記載の黒鉛含有組成物の製造方法。 - 【請求項4】 少なくとも黒鉛粉末及び結着材からなる
混合粉末を、磁場中にて加圧成形法により固化成形する
ことにより、該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の(0
02)面を同一方向に配向することを特徴とする黒鉛含有
組成物の製造方法。 - 【請求項5】 前記磁場が0.5T以上であることを特徴
とする請求項1または請求項4に記載の黒鉛含有組成物
の製造方法。 - 【請求項6】 前記溶媒の除去は、前記ペーストを加熱
することにより前記溶媒を蒸発させることにより行うこ
とを特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有組成物の製造
方法。 - 【請求項7】 少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒に
分散されてなるペーストを基材に塗布した後、該黒鉛粉
末中に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同一
方向に配向させた状態で、前記溶媒を除去して前記黒鉛
粉末を結着材により固化成形することを特徴とするリチ
ウム二次電池用の負極の製造方法。 - 【請求項8】 前記磁場は、一対の磁場発生手段の間に
前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生さ
せることを特徴とする請求項7に記載のリチウム二次電
池用の負極の製造方法。 - 【請求項9】 前記基材上において前記黒鉛粉末を前記
結着材によりシート状に固化成形するとともに、該黒鉛
粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の垂
直方向に配向させることを特徴とする請求項8または請
求項8に記載のリチウム二次電池用の負極の製造方法。 - 【請求項10】 少なくとも黒鉛粉末及び結着材からな
る混合粉末を、磁場中にて加圧成形法により固化成形す
ることにより、該黒鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子同士の
(002)面を同一方向に配向することを特徴とするリチウ
ム二次電池用の負極の製造方法。 - 【請求項11】 前記磁場が0.5T以上であることを特
徴とする請求項7または請求項10に記載のリチウム二
次電池用の負極の製造方法。 - 【請求項12】 前記溶媒の除去は、前記ペーストを加
熱し、前記溶媒を蒸発させることにより行うことを特徴
とする請求項7に記載のリチウム二次電池用の負極の製
造方法。 - 【請求項13】 正極と負極とを具備してなるリチウム
二次電池の製造方法であり、 少なくとも黒鉛粉末及び結着材が溶媒に分散されてなる
ペーストを基材に塗布した後、該黒鉛粉末中に含まれる
黒鉛粒子同士の(002)面を磁場中で同一方向に配向させ
た状態で、前記溶媒を除去して前記黒鉛粉末を結着材で
固化成形することにより前記負極を製造し、 前記正極を、前記負極に対し、前記負極に含まれる黒鉛
粒子同士の(002)面に配置することを特徴とするリチウ
ム二次電池の製造方法。 - 【請求項14】 前記磁場は、一対の磁場発生手段の間
に前記基材及び前記ペーストを配置することにより発生
させることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次
電池の製造方法。 - 【請求項15】 前記基材上において前記黒鉛粉末を前
記結着材によりシート状に固化成形するとともに、該黒
鉛粉末中に含まれる黒鉛粒子の(002)面を、シート面の
垂直方向に配向させることを特徴とする請求項13また
は請求項14に記載のリチウム二次電池の製造方法。 - 【請求項16】 正極と負極とを具備してなるリチウム
二次電池の製造方法であり、 少なくとも黒鉛粉末及び結着材からなる混合粉末を、磁
場中にて加圧成形法により固化成形して、該黒鉛粉末中
に含まれる黒鉛粒子同士の(002)面を同一方向に配向す
ることにより前記負極を製造し、 前記正極を、前記負極に対し、前記負極に含まれる黒鉛
粒子同士の(002)面に配置することを特徴とするリチウ
ム二次電池の製造方法。 - 【請求項17】 前記磁場が0.5T以上であることを特
徴とする請求項15または請求項18に記載のリチウム
二次電池の製造方法。 - 【請求項18】 前記溶媒の除去は、前記ペーストを加
熱して前記溶媒を蒸発させることにより行うことを特徴
とする請求項13に記載のリチウム二次電池の製造方
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