JP2019185943A - リチウム二次電池用負極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a1)黒鉛、酸化珪素、カーボンナノチューブ(CNT)、結着材および溶媒を混合することによりペーストを調製する(ペーストの調製)。
(a2)該ペーストを、負極集電体の表面に塗布する(ペーストの塗布)。
(a3)負極集電体の表面に塗布されたペーストに磁場を加えることにより、黒鉛のエッジ面を負極集電体に面するように配向させる(磁場配向処理)。
上記[1]の製造方法では、磁場配向処理により、黒鉛20のエッジ面が負極集電体201に面するように配向される。そのため上記[1]の製造方法で製造されたリチウム二次電池用負極(以下、単に「負極」と略記され得る)を用いた電池は、優れたリチウムの受入性を有するものと考えられる。優れたリチウムの受入性により、急速充電を行った際における充電深度の低下が抑制されるものと期待される。
図2は、本実施形態の負極の製造方法の概略を示すフローチャートである。本実施形態の負極の製造方法は、「(a1)ペーストの調製」、「(a2)ペーストの塗布」、および「(C)磁場配向処理」を含む。以下、本実施形態の負極の製造方法が順を追って説明される。
本実施形態の負極の製造方法は、黒鉛20、酸化珪素21、CNT22、結着材および溶媒を混合することによりペーストを調製することを含む。混合には、一般的な攪拌機(たとえば、プラネタリミキサー、ホモジナイザー等)が使用され得る。
黒鉛20は、1.2以上6以下のアスペクト比を有してもよく、2以上5以下のアスペクト比を有することが望ましい。本明細書において「アスペクト比」は、黒鉛20の粒子の向きを一方向に配向させた状態で、エッジ面が観察できる方向で電子顕微鏡(SEM)画像により観察され得る。SEM画像により黒鉛20の粒子の短辺と長辺とが求められ、長辺を短辺で除した値がアスペクト比として用いられる。少なくとも20個のアスペクト比の算術平均が測定結果として採用される。
本明細書において酸化珪素21とは、上述のとおりSiOx(但し、0<x≦2)で表される化合物である。酸化珪素21は、黒鉛20よりも高容量であるため、負極が酸化珪素21を含むことにより、電池の容量を向上させることができる。黒鉛20と酸化珪素21との質量比は、たとえば「黒鉛:酸化珪素=95:5〜80:20」であってもよく、「黒鉛:酸化珪素=95:5〜85:15」であることが望ましい。
本明細書において「カーボンナノチューブ」とは、主として炭素原子で構成され、直径がサブナノ〜サブミクロンの大きさのチューブ状である一連の無機物質を意味する。たとえば、CNT22の直径は10nm以上15nmであってもよく、CNT22の長さは5μm以上15μm以下であってもよい。CNT22は、負極200において黒鉛20と酸化珪素21との導電性の確保に寄与すると考えられる。
結着材は特に限定されるべきではない。結着材は、たとえば、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。1種の結着材が単独で使用されてもよい。2種以上の結着材が組み合わされて使用されてもよい。結着材は、たとえば負極200(但し、負極集電体201は除く)に対して、0.5質量%以上2質量%以下含まれてもよい。
溶媒は、バインダの種類に応じて適宜選択され得る。溶媒は、たとえば、水であってもよいし、有機溶媒であってもよい。たとえばバインダがCMCである場合、水が溶媒として使用され得る。溶媒は、水系溶媒であってもよい。水混和性の有機溶媒としては、たとえば、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン等を用いてもよい。
本実施形態の負極の製造方法は、上記にて調製されたペーストを、負極集電体201の表面に塗布することを含む。本実施形態の塗布操作には、一般的な塗布装置(たとえば、ダイコータ、グラビアコータ等)が使用され得る。
負極集電体201は、たとえば、銅(Cu)箔であってもよい。Cu箔は、純Cu箔であってもよいし、Cu合金箔であってもよい。負極集電体201は、たとえば、5〜30μmの厚さを有してもよい。
本実施形態の負極の製造方法は、負極集電体201の表面に塗布されたペーストに磁場を加えることにより、黒鉛20のエッジ面を負極集電体201に面するように配向させることを含む。これにより、図1に示される負極が200が製造され得る。
負極集電体201の表面には、黒鉛20、酸化珪素21、CNT22、結着材および溶媒を含むペースト(負極合材ペースト)が塗布さている。たとえば、磁石80を負極合材ペーストの塗工方向に沿って移動させることにより、磁場配向処理を行い得る。以下、表面に負極合材ペーストが塗布されている負極集電体201は、単に負極板とも記される。
黒鉛20が磁場配向された後に、負極集電体201の表面に塗布された負極合材ペーストが乾燥されることにより、負極集電体201の表面に負極合材層が形成される。これにより、負極200が製造される。
《負極の製造》
以下の材料が準備された
黒鉛(平均粒径:10μm、アスペクト比:3)
酸化珪素(平均粒径:10μm)
結着材:CMCおよびSBR
CNT:(平均長さ:10μm、平均直径:10〜15nm)
溶媒:水
負極集電体:銅箔(厚さ:10μm)
実施例1の負極200を用いて、リチウム二次電池が製造された。
(正極の製造)
以下の材料が準備された。
正極活物質:LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM)
導電材:アセチレンブラック(AB)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
正極集電体:Al箔(厚さ:15μm)
以下の組成を有する電解液が準備された。
溶媒組成:[EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]
支持塩:LiPF6(1.0mоl/L)
帯状の正極、帯状の負極200および帯状のセパレータ(PP/PE/PPの三層構造)がそれぞれ準備された。セパレータの厚みは25μmである。セパレータを挟んで、正極と負極200とが対向するように、正極、セパレータ、負極200、セパレータの順で積層され、さらに渦巻状に巻回された。これにより電極群が構成された。正極および負極200に端子がそれぞれ接続された。電極群がアルミニウムからなる電池ケースに収納された。角型の電池ケースに電解液が注入され、電池ケースが密閉された。以上より、リチウム二次電池が製造された。電池は、角形である。電池は、2.5〜4.2Vの範囲で40Ahの定格容量を有するように設計されている。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比、およびCNT22の添加量が変更されたことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20のアスペクト比、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたこと、および磁場配向処理が実施されなかったことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたこと、およびCNT22が添加されなかったことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたこと、およびCNT22に代えてアセチレンブラック(AB)が添加されたことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
表1に示されるように、負極200に含まれる黒鉛20および酸化珪素21の質量比が変更されたこと、およびCNT22に代えて気相成長炭素繊維(VGCF)が添加されたことを除いては、実施例1と同様に負極200が製造され、負極200を含む電池が製造された。
《初期容量測定試験》
25℃の環境下において各実施例および比較例に係る電池が4.2Vから2.5VまでCCCV放電され、初期容量[Ah]が測定された。なお、条件は以下の通りである。0.5Cの電流レートでは、電池設計容量が2時間で放電される。
CCCV放電条件:CC電流値0.5C、終止電流0.05C。
各実施例および比較例に係る電池が0.5Cの電流レートで4.2Vまで充電された。25℃の環境下において、初期容量測定試験と同条件で各電池が放電された。その後、2Cの電流レートで4.2Vまで各電池を充電することにより、充電容量が測定された。測定された充電容量が初期容量で除されることにより、充電深度(%)が算出された。結果は以下表1の「充電深度」の欄に示されている。
25℃の環境下において、各実施例および比較例に係る電池に対して0.5Cの一定電流により2.5〜4.2Vの電圧範囲において充放電が100回繰り返された。100回目の放電容量が初期容量で除されることにより、容量維持率が算出された。容量維持率が高い程、サイクル特性が優れていると考えられる。結果は以下表1の「容量維持率」の欄に示されている。
実施例1〜実施例11は、サイクル特性の低下の抑制と、急速充電を行った際における充電深度の低下の抑制とが両立されていた。
Claims (1)
- 黒鉛、酸化珪素、カーボンナノチューブ、結着材および溶媒を混合することによりペーストを調製すること、
前記ペーストを、負極集電体の表面に塗布すること、
前記負極集電体の表面に塗布された前記ペーストに磁場を加えることにより、前記黒鉛のエッジ面を前記負極集電体に面するように配向させること、を含む、
リチウム二次電池用負極の製造方法。
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