JP2002201329A - 耐薬品性と真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐薬品性と真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物

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JP2002201329A
JP2002201329A JP2001298247A JP2001298247A JP2002201329A JP 2002201329 A JP2002201329 A JP 2002201329A JP 2001298247 A JP2001298247 A JP 2001298247A JP 2001298247 A JP2001298247 A JP 2001298247A JP 2002201329 A JP2002201329 A JP 2002201329A
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copolymer
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Jin Hwan Choi
ジン ホワン チョイ、
Sung Kook Kim
スン クック キム、
Kyung Nam Lee
キュン ナム リー、
Jong Hoon Chung
ジョン フーン チュン、
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Cheil Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 衝撃強度と剛性が高く、成形品に加工する時
熱変色がない熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)ジエン系合成ゴムにシアン化ビニ
ル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト重合させたグ
ラフト重合体、(B)アクリル系合成ゴムにシアン化ビ
ニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト重合させた
グラフト重合体、(C)シアン化ビニル化合物と芳香族
ビニル化合物とを共重合させた線形シアン化ビニル化合
物−芳香族ビニル化合物共重合体、(D)シアン化ビニ
ル化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させた分枝形
シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物共重合体か
らなり、前記(A)+(B):(C)+(D)の重量比
が50:50ないし20:80の範囲であり、(A):
(B)の重量比は10:1ないし1:1の範囲で、
(C):(D)の重量比は10:1ないし5:1の範囲
である樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐薬品性と真空成形
性が優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。より具体的
に、本発明は冷蔵庫の内部壁面とドアの内部に用いるこ
とができる樹脂組成物として、特に発泡剤HCFC14
1bに対して耐薬品性を有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫の内部壁面とドアの内部は樹脂組
成物で製造される。通常押出機によりシートに製造した
後、このシートを真空成形して冷蔵庫の内部壁面とドア
の内部を製作する。このように製造された内箱用成形品
と冷蔵庫外部の鉄板ハウジングを組み立ち、前記内箱用
成形品と鉄板ハウジングの間にウレタンを注入した後、
発泡・固化させることにより冷蔵庫の断熱箱体が製作さ
れる。
【0003】一般的に冷蔵庫内箱用成形品を製造するた
めの樹脂としては通常のアクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体樹脂(以下「ABS樹脂」という。)
を用いてきた。通常のABS樹脂はSAN共重合体を含
むABS樹脂である。ABS樹脂はジエン系合成ゴムに
10〜40重量%のシアン化ビニル化合物と90〜60
重量%の芳香族ビニル化合物との単量体混合物をグラフ
ト共重合させて得た樹脂である。SAN共重合体は10
〜40重量%のシアン化ビニル化合物と90〜60重量
%の芳香族ビニル化合物を共重合させた樹脂である。S
AN樹脂は一般的に線形構造を持っている。
【0004】冷蔵庫の内箱用成形品にSAN共重合体を
含むABS樹脂が用いられてきた理由は前記樹脂が優れ
る剛性と耐衝撃性を有し、真空成形性がよく、成形品の
外見が良好であり、かつ軽質ウレタンフォームの発泡剤
として用いられるフレオン(CFC11)に対して耐薬
品性が優れるためである。しかし、CFC11がオゾン
層を破壊することが明らかになることにより、CFC1
1の代わりにHCFC141bがウレタンフォームの発
泡剤として用いられている。
【0005】反面、HCFC141bは通常的な冷蔵庫
内箱用成形品の樹脂を溶解させて冷蔵庫が製造された
後、その成形品にクラックを発生させる問題点を有す
る。このような問題点を解決するため多くの研究が進行
されてきた。本発明者らはこのような問題点を解決する
ため、剛性及び衝撃強度が高く、熱変色がなく、またH
CFC141bに対する耐薬品性が優れて、HCFC1
41bを発泡剤として用いる冷蔵庫の内箱に用いられる
熱可塑性樹脂組成物を開発して特許を受けた(大韓民国
特許第199246号、米国特許第5,747,587
号、日本特許第2843799号)。前記の発明による
樹脂組成物は耐薬品性及び冷蔵庫内箱用樹脂が必要とす
る一般的な物性は優れるが、真空成形性は従来の樹脂よ
り不良で冷蔵庫内箱体の製作に必要なシートの厚さが厚
くなる短所があった。
【0006】したがって、本発明者らは前記発明の短所
を補完するため、前記発明の構成成分中でシアン化ビニ
ル化合物−芳香族ビニル化合物共重合体(D)を分枝形
構造で添加することにより、耐薬品性、特にHCFC1
41bに対する抵抗が優れることはもちろん真空成形性
も優れて冷蔵庫の成形品に用いられる熱可塑性樹脂組成
物を開発することに至った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、衝撃
強度と剛性が高く、成形品に加工する時熱変色がない熱
可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、衝撃強度と剛性が高
く、成形品に加工する時熱変色がないだけでなく、真空
成形性も優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0009】本発明のさらに他の目的は、HCFC14
1bに対する耐薬品性が優れる熱可塑性樹脂組成物を提
供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、HCFC14
1bを発泡剤として用いる冷蔵庫の内箱用成形品に用い
られる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記及びその他
の目的は、下記で説明される本発明によって全て達成で
きる。以下、本発明の内容を下記に詳細に説明する。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ジ
エン系合成ゴム20〜60重量部にシアン化ビニル化合
物20〜30重量%と芳香族ビニル化合物80〜70重
量%との混合物100重量部を通常の乳化重合によりグ
ラフト重合させたグラフト重合体、(B)アクリル系合
成ゴム20〜60重量部にシアン化ビニル化合物20〜
30重量%と芳香族ビニル化合物70〜80重量%との
混合物100重量部を通常の乳化重合によりグラフト重
合させたグラフト重合体、(C)シアン化ビニル化合物
40〜50重量%と芳香族ビニル化合物60〜50重量
%とを共重合させた線形シアン化ビニル化合物−芳香族
ビニル化合物共重合体、(D)シアン化ビニル化合物3
0〜35重量%と芳香族ビニル化合物70〜65重量%
とを共重合させた分枝形シアン化ビニル化合物−芳香族
ビニル化合物共重合体からなり、前記(A)+(B):
(C)+(D)の重量比が50:50ないし20:80
の範囲であり、(A):(B)の重量比は10:1ない
し1:1の範囲で、(C):(D)の重量比は10:1
ないし5:1の範囲であることを特徴とする樹脂組成物
である。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂組成物は真空成形性
が優れ、衝撃強度と剛性が高く、成形品に加工する時熱
変色がなく、またHCFC141bに対する耐薬品性が
優れるため、HCFC141bを発泡剤として用いる冷
蔵庫の内箱用成形品に用いることに適合する。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ジ
エン系合成ゴムにシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
化合物をグラフト重合させたグラフト重合体、(B)ア
クリル系合成ゴムにシアン化ビニル化合物と芳香族ビニ
ル化合物をグラフト重合させたグラフト重合体、(C)
シアン化ビニル化合物40〜50重量%と芳香族ビニル
化合物60〜50重量%とを共重合させた線形共重合体
及び(D)シアン化ビニル化合物30〜35重量%と芳
香族ビニル化合物70〜65重量%とを共重合させた分
枝形共重合体からなる。それぞれの成分に対する説明は
次のようである。
【0015】(A)ジエン系合成ゴムにシアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト重合させたグ
ラフト重合体 ジエン系合成ゴムラテックス20〜60重量部(固形分
基準)にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物と
の混合物100重量部を混合して通常の乳化重合により
グラフト重合体を製造する。シアン化ビニル化合物と芳
香族ビニル化合物との混合物には、20〜30重量%の
シアン化ビニル化合物と80〜70重量%の芳香族ビニ
ル化合物が用いられる。前記グラフト重合体で連続状に
存在するシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物と
の共重合体(SAN共重合体)中で、シアン化ビニル化合
物の含量が20〜30重量%であり、ジエン系ゴムにグ
ラフトされているシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル
化合物共重合体は、全体グラフト重合体(A)に対して
40〜70重量%であるのが好ましい。
【0016】ここで用いられるジエン系合成ゴムとして
は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体などがあり、この中でポリブタジ
エン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−ア
クリロニトリル共重合体が好ましい。ゴム粒子はその平
均粒径が0.1〜0.6μmであるのが好ましく、0.
2〜0.5μmであるのがより好ましい。グラフト重合
体に用いられるゴム粒子の大きさは樹脂組成物の衝撃強
度と光沢に直接の影響を与える。ゴム粒子の平均粒径が
0.1μmより小さい場合、十分な衝撃強度を表さな
く、0.6μmより大きい場合、光沢が低下される短所
がある。従って本発明で用いられるジエン系ゴムの平均
粒径は0.1〜0.6μmの範囲であるべきである。
【0017】前記グラフト重合体において、ジエン系合
成ゴムにグラフトされるSAN共重合体の量は最終製品
である本発明の樹脂組成物の衝撃強度と引張強度に影響
を与えるが、この点を考慮するとジエン系合成ゴムにグ
ラフトされるSAN共重合体の量は全体グラフト重合体
(A)に対して40〜70重量%であるのが好ましい。
また、前記グラフト重合体(A)内で連続状に存在する
シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物との共重合
体中で、シアン化ビニル化合物の含量は20〜30重量
%の範囲であるべきである。この量が20重量%以下で
あると、本発明の他の成分である共重合体(C)及び共
重合体(D)との相溶性が不良で衝撃強度が低下され、
30重量%以上であると、耐薬品性は向上されるが樹脂
組成物をシート状に加工するための押出工程時に黄変が
酷く起こる短所がある。
【0018】グラフト重合体(A)を製造するためのシ
アン化ビニル化合物としてはアクリロニトリル及びメタ
クリロニトリルがあり、これらは単独または混合して用
いられる。
【0019】グラフト重合体(A)を製造するための芳
香族ビニル化合物としては、スチレン、アルファメチル
スチレン、パラ−メチルスチレン、ビニルキシレン、モ
ノクロロスチレン、ジクロロスチレン及びビニルナフタ
リンがあり、これらはそれぞれ単独でまたは混合して用
いられる。
【0020】(B)アクリル系合成ゴムにシアン化ビニ
ル化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト重合させた
グラフト重合体 アクリル系合成ゴムラテックス20〜60重量部(固形
分基準)にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物
との混合物100重量部を混合して通常の乳化重合によ
りグラフト重合体を製造する。シアン化ビニル化合物と
芳香族ビニル化合物との混合物は、20〜30重量%の
シアン化ビニル化合物と80〜70重量%の芳香族ビニ
ル化合物が用いられる。前記グラフト重合体で連続状に
存在するシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物と
の共重合体(SAN共重合体)中で、シアン化ビニル化合
物の含量が20〜30重量%であり、アクリル系ゴムに
グラフトされているシアン化ビニル化合物−芳香族ビニ
ル化合物共重合体は、全体グラフト重合体(B)に対し
て40〜70重量%であるのが好ましい。
【0021】前記グラフト重合体(B)を製造するため
のアクリル系合成ゴムは炭素数2〜8個のアルキルアク
リレートが好ましい。アクリル系ゴムにシアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト重合させたグラ
フト重合体はHCFC141bに対する耐薬品性が優れ
る特性を有する。アクリル系合成ゴム粒子の平均粒径は
0.05〜0.5μmの範囲であり、0.1〜0.3μ
mの範囲が好ましい。アクリル系ゴム粒子の平均粒径は
前記グラフト重合体(A)のジエン系ゴム粒子の平均粒
径より小さいのが衝撃強度を良好に維持することができ
るので好ましい。アクリル系ゴム粒子の平均粒径が大き
ければ大きいほど重合安定度が低下される。
【0022】前記グラフト重合体(B)を製造するため
のシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物は前記グ
ラフト重合体(A)を製造する時と同一である。
【0023】(C)40〜50重量%のシアン化ビニル
化合物と60〜50重量%の芳香族ビニル化合物とを共
重合させた線形共重合体 シアン化ビニル化合物40〜50重量%、芳香族ビニル
化合物60〜50重量%を共重合させてシアン化ビニル
化合物の含量が38〜45重量%であるシアン化ビニル
化合物−芳香族ビニル化合物共重合体を製造する。この
共重合体(C)はGPCで測定した重量平均分子量が1
00,000〜200,000であり、分子量分布(重
量平均分子量/数平均分子量)は1.8〜2.5である
のが好ましい。
【0024】共重合体(C)で、シアン化ビニル化合物の
含量は耐薬品性に影響を与える因子として知られてお
り、分子量及び分子量分布は樹脂組成物の物性とシート
成形性などに影響を与える因子として知られている。共
重合体(C)でシアン化ビニル化合物の含量が38重量%
未満である場合には、HCFC141bに対する耐薬品
性が不足で樹脂組成物の成形品にクラックが発生する。
反面その含量が45重量%を超過すると、加工時に過負
荷がかかって黄変が発生するなどの問題点が発生する。
共重合体(C)の重量平均分子量が100,000より
低い場合、引張強度、衝撃強度のような力学的物性が低
下されて冷蔵庫内箱用のシートとして使えなく、その分
子量が200,000より大きい場合、加工時に黄変現
像が酷く発生し、また流動性が不良してシート成形など
加工上に難しさがある。
【0025】前記共重合体(C)を製造するためのシアン
化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物は前記グラフト重
合体(A)を製造するための場合と同一である。
【0026】(D)30〜35重量%のシアン化ビニル
化合物と70〜65重量%の芳香族ビニル化合物とを共
重合させた分枝形共重合体 シアン化ビニル化合物30〜35重量%、芳香族ビニル
化合物70〜65重量%を通常の開始剤と多官能性開始
剤を混合使用して分枝形に共重合させ、シアン化ビニル
化合物の含量が28〜35重量%であるシアン化ビニル
化合物−芳香族ビニル化合物共重合体を製造する。この
共重合体(D)はGPCで測定した重量平均分子量が3
50,000〜450,000で、分子量分布(重量平
均分子量/数平均分子量)は2.0〜3.0であるのが
好ましい。分枝形共重合体は特に真空成形性の向上のた
めに必要な組成物で、一般的な線形共重合体対比ずば抜
ける真空成形性を表す。重量平均分子量が450,00
0を超過すると真空成形性は優れるが、シート押出時外
見が不良になる。反面350,000より低いと真空成
形性の向上効果が表されない。
【0027】前記共重合体(C)を製造するためのシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物は前記グラフト
重合体(A)を製造するための場合と同一である。
【0028】本発明の樹脂組成物を製造するためにグラ
フト重合体(A)、グラフト重合体(B)及び共重合体
(C)のみを用いる場合、耐薬品性は優れるが、衝撃強
度、引張強度及び真空成形性が低下される。これはグラ
フト重合体(A)と共重合体(C)の相溶性不良により
衝撃強度が低下され、共重合体(C)の分子量が低くて
真空成形性が低くなるためである。前記のような不良現
像を除去しながら良好な耐薬品性を維持するため、共重
合体(C)よりシアン化ビニル化合物の含量が低く分子
量が高いながら分枝形構造を有する共重合体(D)をと
もに用いる。共重合体(D)はシアン化ビニル化合物の
含量が共重合体(C)より低くてグラフト重合体(A)
との相溶性不良が改善されて高い衝撃強度が維持され、
また高い分子量と分枝構造のため真空成形性が優れる。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前
記(A)+(B):(C)+(D)の重量比は50:5
0ないし20:80の範囲である。この比率は樹脂組成
物の衝撃強度や引張強度のような物性の均衡を維持する
に重要な役割を果たす。即ち(A)+(B)の重量が全
体樹脂組成物に対して50重量部より多い場合に引張強
度が低下され、20重量部より少ない場合には衝撃強度
が低下されて冷蔵庫内箱用素材として適合の物性を持つ
ことができない。また本発明の全体樹脂組成物におい
て、(A):(B)の重量比は10:1ないし1:1の
範囲である。この比率は樹脂組成物の耐薬品性と衝撃強
度に影響を与えると判断される。グラフト重合体(B)
はアクリル系ゴムを用いたのとして、ジエン系ゴムを用
いたグラフト重合体(A)より耐薬品性が優れる特性を
有する反面、衝撃強度が低下される特性を表す。従って
(A)と(B)の比率を10:1ないし1:1の範囲に
維持するのが好ましい。
【0030】本発明の全体組成物において、(C):
(D)の重量比は10:1ないし5:1の範囲である。
この比率は樹脂組成物の耐薬品性、力学的強度、流動性
及び真空成形性に影響を与えると判断される。共重合体
(C)が前記の比率よりもっと多い量で用いられると衝
撃強度と真空成形性が低下され、もっと少ない量で用い
られると耐薬品性が低下される。
【0031】
【発明の実施の携帯】本発明は下記の実施例によりより
一層具体化され、下記の実施例は本発明の例示目的のた
めで、本発明の保護範囲を制限しようとするのではな
い。
【0032】
【実施例】本発明の実施例による樹脂組成物を製造する
ため、各成分を次のように製造した。
【0033】グラフト重合体(A)の製造 攪拌装置、還流冷却機、温度計、及び調製添加装置を備
えたガラス製の重合反応機にポリブタジエンラテックス
(ゴムの平均粒径0.3μm)45重量部(固形分基準)
と脱イオン水200重量部を入れて窒素気流下で攪拌し
ながら4%過塩素酸カリウム水溶液7重量部及び単量体
混合物としてスチレン70重量部及びアクリロニトリル
30重量部を添加し、t−ドデシルメルカプタン0.1
重量部を3時間間連続的に添加して70℃で重合した。
ここで得たラテックスを90℃で加熱した硫酸水溶液に
滴下析出した後、洗浄、脱水、乾燥してグラフト重合体
(A)を得た。ここで得た化合物のグラフト率は50
%、ゴム成分を除外した部分の中でアクリロニトリルの
含量は28重量%であった。
【0034】アクリル系ゴムの製造 ブチルアクリレート49重量部、トリアリールイソシア
ナート0.5重量部、ロジン酸カリウム2.0重量部、
及び脱イオン水90重量部を反応機に入れて反応機温度
を45℃に維持しながら40分間攪拌し混合物の温度を
70℃に上昇させる。混合物温度が70℃に至ると過硫
酸カリウム0.17重量部を入れて反応を開始する。反
応開始後重合率60%に至ると、ブチルアクリレート4
9.5重量部、トリアリールイソシアナート1.0重量
部、ロジン酸カリウム0.5重量部、及びイオン交換水
30重量部を入れて攪拌しフレエマルジョン状態に作っ
た混合物を2時間かけて連続投入した後、重合率87%
時点で過硫酸カリウム0.07重量部を投入し70℃で
反応させて重合率98.3%のゴム質ラテックスを得
た。
【0035】グラフト重合体(B)の製造 前記で得たゴム質ラテックス固形分50重量部、アクリ
ロニトリル6.25重量部、及びスチレン18.75重
量部の存在下で脱イオン水110重量部を添加して混合
物の温度を45℃に維持しながら50分間攪拌する。こ
こにロジン酸カリウム0.45重量部、クメンハイドロ
パーオキサイド0.15重量部、t−ドデシルメルカプ
タン0.08重量部を入れて温度を67℃に上昇させ
る。混合物温度が67℃になると、エチレンジアミンテ
トラアセト酸ジナトリウム0.12重量部、ナトリウム
ホルムアルデヒドスルホンシレート0.25重量部及び
硫酸第一鉄0.005重量部を投入して反応開始する。
反応開始後重合率70%に至ると、アクリロニトリル
6.25重量部、スチレン18.75重量部、ロジン酸
カリウム0.8重量部、t−ドデシルメルカプタン0.
10重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.15重
量部、及び脱イオン水40重量部を攪拌しフレエマルジ
ョン状態に作った混合物を3時間かけて連続投入する。
この時重合時間は67℃で4時間、78℃で1時間であ
る。
【0036】共重合体(C)の製造 窒素置換された反応機に脱イオン水160重量部、オレ
イン酸カリウム3重量部を投入し、スチレン20.2重
量部、アクリロニトリル19.8重量部を1段階単量体
混合物としてt−ドデシルメルカプタン0.25重量部
とともに反応機内に投入し十分に乳化させた。混合物を
攪拌しながら温度を60℃に昇温させた後、過硫酸カリ
ウム0.3重量部を添加して重合を開始し65℃以上の
温度で重合反応を続けた。初期単量体混合物を30分程
度重合させた後、第2段階単量体混合物としてスチレン
32.8重量部、アクリロニトリル27.2重量部を5
時間連続的に添加して重合を完了させた。生成された重
合体のアクリロニトリル含量は40重量%、GPCで測
定した重量平均分子量は140,000で、数平均分子
量は68,000であった。
【0037】共重合体(D)の製造 窒素置換された反応機に脱イオン水160重量部、オレ
イン酸カリウム3重量部を投入し、スチレン23.2重
量部、アクリロニトリル16.8重量部を1段階単量体
混合物としてt−ドデシルメルカプタン0.2重量部、
ジビニルベンゼン0.1重量部とともに反応機内に投入
し十分に乳化させた。混合物を攪拌しながら温度を60
℃に昇温させた後、過硫酸カリウム0.3重量部を添加
して重合を開始し65℃以上の温度で重合反応を続け
た。初期単量体混合物を30分程度重合させた後、第2
段階単量体混合物としてスチレン36.8重量部、アク
リロニトリル23.2重量部を5時間連続的に添加して
重合を完了させた。生成された重合体のアクリロニトリ
ル含量は33重量%、GPCで測定した重量平均分子量
は390,000で、数平均分子量は165,000で
あった。
【0038】実施例1 前記で製造されたグラフト重合体(A)20重量部、グ
ラフト重合体(B)10重量部、共重合体(C)60重
量部、共重合体(D)10重量部と0.2重量部の酸化
防止剤と0.4重量部の滑剤を混合し、タンブラーミキ
サー(Tumbler mixer)で10分間予備混
合した。この混合物を45mm直径の同方向2軸押出機
を通じて押出してペレット状態に製造した。この時押出
機のシリンダー温度は平均220℃に維持し、スクリュ
ーRPMは300に調整した。製造されたペレットから
ASTM方法により物性測定用試片を製造した。また耐
薬品性を評価するため、30×150×2の圧縮試片を
製造した。この時圧縮試片を製造するためヒータの温度
を220℃に維持し、圧縮時間は2分、予備加熱時間も
2分に維持した。本発明による成分(A)、(B)、
(C)及び(D)の含量は表1に表した。
【0039】前記で製造された試片に対して次のように
物性と耐薬品性を測定した。
【0040】引張強度はASTM D638により測定
した。
【0041】衝撃強度はASTM D256により測定
した。
【0042】黄色度指数はASTM D1925により
測定した。
【0043】溶融指数(Melt Index)はAS
TM D1238により測定した。
【0044】高温引張強度はASTM D638により
150℃で引張強度を測定した。150℃での引張強度
が高く、真空成形性が優れることを表す。
【0045】耐薬品性は式5X+24Y=1で表示
される楕円を1/4に分割したジグ(jig)に圧縮成
形により製作された30×150×2の試片を固定さ
せ、体積5lのデシケーター(desiccator)
の中にHCFC141b 100mlを注入した後、3
0℃で8時間放置して通常の方法で臨界変形を計算し
た。測定された試片の物性及び耐薬品性を表1に示し
た。
【0046】実施例2−6 樹脂組成物の各成分の含量を表1のように用いたことを
除外しては実施例1と同一な方法で実施した。
【0047】比較例1−6 本発明による樹脂組成物と比較するため、各成分
(A)、(B)、(C)及び(D)の含量を変化させた
り、または一部を混合しなくて表1のように混合したこ
とを除外しては実施例1と同一な方法で実施した。
【0048】表1の成分含量は全て重量部を表す。
【0049】
【表1】
【0050】表1に表したのように、比較例1はグラフ
ト重合体(A):(B)の比率が適正範囲より低くて実
施例対比衝撃強度が低下され、比較例2はグラフト重合
体(A):(B)の比率が適正範囲より高くて耐薬品性
が低下された。耐薬品性は臨界変形を意味するのとして
通常1.0以上のみで冷蔵庫内箱材料として用いられ
る。比較例3は共重合体(C):(D)の比率が適正範
囲を外れて溶融指数が低くなった。溶融指数が適正値よ
り低いとシート押出が非常に難しい短所がある。比較例
4は共重合体(D)を添加しない場合であるが、これに
よる樹脂組成物は実施例対比衝撃強度が低いだけでな
く、真空成形性を表す高温引張強度が低い。比較例5と
6は(A)+(B):(C)+(D)の比率が適正範囲
を外れた場合として、比較例5の場合は引張強度の低下
を表し、比較例6の場合は衝撃強度の低下と耐薬品性の
低下が表した。
【0051】したがって、本発明の構成成分(A)、
(B)、(C)及び(D)を適正比率で混合して製造さ
れた樹脂組成物のみが優れる真空成形性、衝撃強度、剛
性を有し、成形品に加工する時熱変色がなくて、HCF
C141bを発泡剤として用いる冷蔵庫の内箱用成形品
に用いることに適合であることが確認できた。
【0052】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、真空成
形性が優れ、衝撃強度と剛性が高く、成形品に加工する
時熱変色がなくてHCFC141bを発泡剤として用い
る冷蔵庫の内箱用成形品に用いられる発明の効果を有す
る。
【0053】本発明の単純な変形ないし変更は、この分
野の通常の知識を有する者により容易に実施でき0、か
かる変形や変更はすべて本発明の領域に含まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:00 B29L 31:00 (72)発明者 キム、 スン クック 大韓民国 437−711 キュンキド エウイ ワンシ ゴチュンドン 332−2 ケミカ ルズ ディヴィジョン アール アンド ディー センター (72)発明者 リー、 キュン ナム 大韓民国 437−711 キュンキド エウイ ワンシ ゴチュンドン 332−2 ケミカ ルズ ディヴィジョン アール アンド ディー センター (72)発明者 チュン、 ジョン フーン 大韓民国 437−711 キュンキド エウイ ワンシ ゴチュンドン 332−2 ケミカ ルズ ディヴィジョン アール アンド ディー センター Fターム(参考) 4F071 AA12X AA22X AA34X AA76X AA77X AA81X AC02 AF02 BA01 BB05 BC07 4F208 AA48G AH51 MA01 MB01 MG11 4J002 BC06Y BC064 BC08Y BC084 BC09Y BC094 BC11Y BC114 BC13Y BC134 BN14W BN14X BN15W BN15X FA08W FA08X GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ジエン系合成ゴム20〜60重量
    部にシアン化ビニル化合物20〜30重量%及び芳香族
    ビニル化合物80〜70重量%の混合物100重量部を
    乳化重合によりグラフト重合させたグラフト重合体、
    (B)アクリル系合成ゴム20〜60重量部にシアン化
    ビニル化合物20〜30重量%及び芳香族ビニル化合物
    70〜80重量%の混合物100重量部を乳化重合によ
    りグラフト重合させたグラフト重合体、(C)シアン化
    ビニル化合物40〜50重量%と芳香族ビニル化合物6
    0〜50重量%とを共重合させた線形シアン化ビニル化
    合物−芳香族ビニル化合物共重合体、及び(D)シアン
    化ビニル化合物30〜35重量%と芳香族ビニル化合物
    70〜65重量%とを共重合させた分枝形シアン化ビニ
    ル化合物−芳香族ビニル化合物共重合体からなり、前記
    (A)+(B):(C)+(D)の重量比が50:50
    ないし20:80の範囲であり、(A):(B)の重量
    比は10:1ないし1:1の範囲で、そして(C):
    (D)の重量比は10:1ないし5:1の範囲であるこ
    とを特徴とする耐薬品性及び真空成形性が優れる熱可塑
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記グラフト重合体(A)にグラフト
    されたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物共重
    合体の含量は前記グラフト重合体(A)に対して40〜
    70重量%であり、そして前記グラフト重合体(B)に
    グラフトされたシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化
    合物共重合体の含量は前記グラフト重合体(B)に対し
    て40〜70重量%であることを特徴とする請求項1記
    載の耐薬品性及び真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記シアン化ビニル化合物はアクリロニ
    トリルまたはメタクリロニトリルであり、そして前記芳
    香族ビニル化合物はスチレン、アルファメチルスチレ
    ン、パラ−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロ
    ロスチレン、ジクロロスチレン及びビニルナフタリンよ
    りなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載
    の耐薬品性及び真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記ジエン系合成ゴムは平均粒径が0.
    1〜0.6μmであり、ポリブタジエン、ポリイソプレ
    ン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体
    及びブタジエン−アクリロニトリル共重合体よりなる群
    から選択され、前記アクリル系合成ゴムは平均粒径が
    0.05〜0.5μmであり、炭素数2〜8個のアルキ
    ルアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の
    耐薬品性及び真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記共重合体(C)はシアン化ビニル化
    合物の含量が38〜45重量%であり、GPCで測定し
    た重量平均分子量が100,000〜200,000の
    範囲で、重量平均分子量/数平均分子量が1.8〜2.
    5の範囲であり、その構造が線形であり、そして前記共
    重合体(D)はシアン化ビニル化合物の含量が28〜3
    5重量%であり、GPCで測定した重量平均分子量が3
    50,000〜450,000の範囲で、重量平均分子
    量/数平均分子量が2.0〜3.0の範囲であり、その
    構造が分枝形であることを特徴とする請求項1記載の耐
    薬品性及び真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1による熱可塑性樹脂組成物から
    製造されることを特徴とする冷蔵庫内箱用成形品。
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