JPH08231813A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH08231813A
JPH08231813A JP4046995A JP4046995A JPH08231813A JP H08231813 A JPH08231813 A JP H08231813A JP 4046995 A JP4046995 A JP 4046995A JP 4046995 A JP4046995 A JP 4046995A JP H08231813 A JPH08231813 A JP H08231813A
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monomer
weight
copolymer
acrylic rubber
latex
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JP4046995A
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English (en)
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Shigeto Ishiga
成人 石賀
Hiroki Kashiwagi
浩樹 柏木
Toshiyuki Ito
俊行 伊藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性、耐薬品性および熱成形性に優れ、
肉厚が均一で偏肉の少ない良好な成形品が得られる熱可
塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(A)、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(B)、重
量平均分子量が5万〜30万の特定の共重合体(C)、
重量平均分子量が50万〜500万の特定の共重合体
(D)の特定量からなり、共重合体(D)のラテックス
と上記(A)〜(C)の1種以上のラテックスとを混合
し回収してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 得られる樹脂組成物は、耐衝撃性、耐ESC
性、耐薬品性および良好な成形品外観を有し、熱成形性
に優れるという効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物に
関する。さらに詳しくは、非アクリル系ゴム含有スチレ
ン系樹脂、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂、および
特定の重量平均分子量を有する共重合体とからなり、耐
衝撃性、耐薬品性、良好な成形品外観および押出成形法
により製造される樹脂シートをさらに(圧空)熱成形法
によって成形する際に優れた成形性を発揮する熱可塑性
樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム含有スチレン系樹脂とは、耐衝撃性
樹脂としてこれ迄周知のものであって、例えば、共役ジ
エン系重合体のラテックスの存在下にスチレンとアクリ
ロニトリルとをグラフト重合させることによって製造さ
れる樹脂組成物は、耐衝撃性樹脂として広く使用されて
いる。これらのうちで、ポリブタジエン/スチレン/ア
クリロニトリルからなるグラフト共重合体は、ABS樹
脂として著名である。しかしながら、例えばABS樹脂
では、応力負荷状態で特定の薬品と接触すると、亀裂が
発生して、著しい場合には破断する現象が観察されるな
ど、耐ESC性、耐薬品性等の性質が劣るものであっ
た。
【0003】これらの性質において優れた樹脂を得るた
め、ABS樹脂中のアクリロニトリル成分の含有割合を
増加させる方法(例えば、特開昭47−5594号公
報)、ABS樹脂とアクリルゴム/スチレン/アクリロ
ニトリル(ASA樹脂)を混合する方法(特公昭54−
40258号公報、特公昭63−28460号公報、特
公昭63−22222号公報)、ABS樹脂にアクリル
酸エステル系重合体を混合する方法(特公昭63−22
222号公報)、ABS樹脂に特定のアクリル系重合体
を混合する方法(特願平5−029274号公報、特願
平5−279735号公報)、特定の2種のグラフト共
重合体を混合する方法(特公昭57−22064号公
報、特開平2−175745号公報)等が提案されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの技術は上記の課題
に対し、それなりの解決を与えるものとして有意義なも
のと言い得るが、一方で成型品の外観に不良現象を生じ
たり、射出成形性、押出成形性、真空(圧空)熱成形性
等が不充分となる等、必ずしも満足すべきものではな
い。
【0005】すなわち、提案された方法のうち、特開昭
47−5594号公報、特公昭54−40258号公
報、特公昭63−22222号公報、特公昭63−28
460号公報等に提案されているものでは、射出成形物
の表面状態に不良現象、例えば、フローマークと言われ
る表面外観不良、あるいは、表面剥離現象が観察された
り、又押出成形物の表面にはダイバンド、あるいはピッ
トマークと言われる表面外観不良が観察され、使用上大
きな問題となることがあった。さらに、特開昭47−5
594号公報等に提案されているものでは、樹脂の溶融
粘度が上がるため、押出成形性が低下するだけでなく、
真空(圧空)熱成形の際に、成形箱のコーナー部の延伸
倍率の高い部分の肉厚が不均一になる等の不良現象を起
こす傾向があった。また、特公昭57−22064号公
報及び特開平2−175745号公報に提案されている
ものでは、耐薬品性が不充分であり、より耐薬品性が必
要とされる分野では、使用上問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
実状に鑑み、耐衝撃性、耐薬品性、良好な成形品外観、
および、押出成形法により製造されたシートを真空(圧
空)熱成型法によって目的の形状に成形する際、箱のコ
ーナー部等の延伸倍率の高い部分の肉厚が均一になるよ
うな優れた成形性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】これらの課題について、
本発明者らが鋭意検討した結果、非アクリル系ゴム含有
スチレン系樹脂、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂、
および特定の分子量を有する共重合体をラテックスで混
合後、回収した熱可塑性樹脂を用いることにより、上記
目的を達成できることが明らかとなった。以下、本発明
を詳細に説明する。
【0008】本発明は、非アクリル系ゴム含有スチレン
系樹脂(A)3〜80重量%、アクリル系ゴム含有スチ
レン系樹脂(B)3〜80重量%、芳香族ビニル単量
体、シアン化ビニル単量体、場合によりこれらと共重合
可能な単量体との単量体混合物を重合して得られる重量
平均分子量が5万〜30万の共重合体(C)0〜93重
量%、および芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量
体、場合によりこれらと共重合可能な単量体との単量体
混合物を重合して得られる重量平均分子量が50万〜5
00万の共重合体(D)1〜20重量%からなり、共重
合体(D)が、共重合体(D)を成分とするラテックス
と上記(A)〜(C)の少なくとも1種を成分とするラ
テックスとを混合しこの混合ラテックスから共重合体
(D)と上記(A)〜(C)の少なくとも1種との樹脂
混合物として、回収したものであることを特徴とする熱
可塑性樹脂組成物、
【0009】また、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)が、アクリル系ゴム重合体ラテックスの存在下に
このラテックスの固形分に対して2倍重量以上の芳香族
ビニル単量体およびこれらと共重合可能な単量体との単
量体混合物を、乳化重合法により反応させて得たもので
あることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、
【0010】さらに、アクリル系ゴム重合体が、炭素数
2〜12個である一価アルコールとアクリル酸とのエス
テル化合物70〜100重量%、これらと共重合可能な
単量体0〜30重量%、および多官能性ビニル単量体0
〜3重量%からなる単量体混合物を乳化重合させて得た
重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存
するものである。
【0011】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物とは、非
アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂、アクリル系ゴム含
有スチレン系樹脂、および特定の分子量を有する共重合
体をラテックスで混合後、回収したものである。
【0012】<非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(A)>本発明でいう非アクリル系ゴム含有スチレン系
樹脂(A)とは、非アクリル系ゴム質重合体(アクリル
系ゴムを除く。)の存在下にスチレン系単量体、シアン
化ビニル単量体、および/またはこれらと共重合可能な
単量体からなる単量体混合物をグラフト重合反応させて
得られる樹脂をいう。
【0013】(非アクリル系ゴム質重合体)本発明の
(A)成分である非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
の非アクリル系ゴム質重合体とは、そのガラス転移温度
が常温より低いものであって、構成する単量体として
は、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、ク
ロロプレン、シクロペンジエン等の共役ジエン単量体、
2,5−ノルボルナジエン、1,4−シクロヘキサジエ
ン、4−エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン単量
体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等
の芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のシアン化ビニル単量体、メチルメタクリレ
ート等のメタクリル酸エステル単量体、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン等のオレフィン単量体等の単量体が
挙げられ、実質的にアクリル系単量体を主成分としない
ものである。ゴム質重合体は、これら単量体を単独また
は2種以上を反応させることによって、製造することが
出来る。2種以上の単量体よりなる共重合体は、ランダ
ム共重合体、ブロック共重合体いずれであってもよい。
また、ゴム質重合体を製造する場合には架橋用単量体と
して、少量の多官能性ビニル単量体を存在させて共重合
反応を行うことも可能である。この場合に用いる多官能
性ビニル単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジメタクリレート、シアヌル酸トリアリル、
アリルアクリレート、アリルメタクリレート、グリシジ
ルアクリレート等がある。
【0014】これら単量体の重合方法は、特に制限はな
く公知の技術である、乳化重合、溶液重合等の重合形
式、およびラジカル重合、イオン重合、配位アニオン重
合等の重合法を、適宜組合せて行うことができる。ま
た、非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A)を製造
する場合の非アクリル系ゴム質重合体は、一種類である
必要はなく、別々に調製された二種類以上の非アクリル
系ゴム質重合体の混合物であってもよい。
【0015】本発明に用いる(A)成分は、前記の粒子
構造をとるゴム成分と、グラフト構造を介在した連続相
である樹脂成分からなる。このようなグラフト共重合体
の常として、「枝」となるべき単量体がすべて「幹」で
あるゴム質重合体と結合して「枝」となっているとは限
らないが、本発明でいう非アクリル系ゴム含有スチレン
系樹脂も、慣用されているところに従って、そのような
「枝」となっていない「枝」用単量体由来の重合体の共
存を許容するものである。
【0016】このような構造は、前述の非アクリル系ゴ
ム質重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化
ビニル単量体、これらと共重合可能な単量体からなる単
量体混合物を、グラフト重合反応させて得られる。グラ
フト重合反応は塊状重合、塊状−懸濁重合、溶液重合、
乳化重合、乳化−懸濁重合等の公知の方法によって行わ
れるが、前もってゴム状重合体の粒子構造を作り重合す
る乳化重合方法が反応のコントロールが容易であり一般
に用いられる。また、(A)成分は複数種類の非アクリ
ル系ゴム含有スチレン系樹脂の混合物であってもよい
が、その際各樹脂のグラフト重合反応の条件は同一であ
る必要はなく、例えば溶液塊状重合で得られた非アクリ
ル系ゴム含有スチレン系樹脂と乳化重合により得られた
非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂等、複数種類の混
合物でもよい。
【0017】本発明で非アクリル系ゴム含有スチレン系
樹脂(A)の製造に用いられる単量体混合物は、芳香族
ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、および/または
これらと共重合可能な単量体とよりなる。芳香族ビニル
単量体としては、スチレン、および側鎖または(およ
び)核置換スチレン(置換基は、低級アルキル基、低級
アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、
その他)、例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、核ハ
ロゲン化スチレン、α−、またはβ−ビニルナフタレ
ン、その他、がある。これらは、群内または群間で併用
してもよい。
【0018】シアン化ビニル単量体としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニ
トリル等がある。これらは一種又は二種以上の混合物で
あってもよい。また、本発明の趣旨を損なわない限り、
上記単量体と共重合可能な他の単量体を少量併用しても
よい。このような単量体としては、アクリル酸、メタア
クリル酸と炭素数が1〜10の範囲の一価アルコールと
のエステル、特にメチルメタアクリレート、その他があ
る。
【0019】非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(A)は、非アクリル系ゴム質重合体100重量部に対
して、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、お
よびこれらと共重合可能な単量体からなる単量体混合物
の合計量で45〜700重量部存在させて反応させ製造
したものが好ましい。単量体混合物の量が上の範囲より
多いと、充分な耐衝撃性が発現されず、単量体混合物の
量が上の範囲より少ないと、充分な剛性が発現されず、
いずれも好ましくない。
【0020】本発明における(A)成分中の「枝」用単
量体の重量比率は、芳香族ビニル単量体40〜80重量
%、シアン化ビニル単量体20〜60重量%、およびこ
れらと共重合可能な単量体0〜20重量%であることが
好ましい。これらの重量比率範囲より、シアン化ビニル
単量体が多くなると加工性および色調が低下し、少なく
なると耐薬品性が低下し、好ましくない。
【0021】グラフト共重合反応は、重合開始剤の存在
下で行う。使用し得る開始剤(または、触媒)として
は、過硫酸、過酢酸、過フタル酸などの過酸触媒、過硫
酸カリウム等の過酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾ
イル、過酸化クロルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸
化アセチル、過酸化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウロ
イル等の過酸化物触媒、ヒドロ過酸化t−ブチル等のヒ
ドロ過酸化アルキル、アゾビスイソブチロニトリル等の
アゾ触媒があり、これらは単独でまたは二種以上を混合
して使用できる。これらは、還元剤と組合せてレドック
ス触媒として使用することもできる。これら重合開始剤
の使用量は、通常、単量体混合物に対して、0.1〜5
重量%の範囲で選ばれる。
【0022】グラフト共重合反応は、連鎖移動剤の存在
下で行うことができる。本発明で用いられる連鎖移動剤
としては特に制限はないが、例えばn−オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメル
カプタン、等あるいはテルピノレン、α−メチルスチレ
ンリニアダイマ等が用いられる。これら連鎖移動剤の使
用量は、通常、単量体混合物に対して、0.1〜5重量
%の範囲で選ばれる。
【0023】グラフト共重合反応を行う際の重合反応温
度は、50〜85℃、好ましくは55〜75℃の範囲が
適当である。50℃未満の場合は重合反応速度が小さく
て実用的でなく、また85℃を越える場合には一気に反
応が起こり、反応生成物中への凝固物の発生や反応容器
(缶)への付着物(スケール)が多くなり、重合率の低
下及び最終製品の品質低下をきたすので好ましくない。
【0024】その他のグラフト重合反応条件は、ABS
樹脂の製造に慣用されているところと本質的には異なら
ない。グラフト共重合用単量体は、全量を一時に重合系
に導入してもよく、段階的に導入してもよい。また、重
合開始剤や連鎖移動剤は、全量を一時に重合系に導入し
てもよく、段階的に導入してもよい。さらに、重合中に
重合系の温度を経時的に変化させることもできる。
【0025】(A)成分中に含有される非アクリル系ゴ
ム成分の含有率を調節するため、(A)成分として別途
重合した樹脂成分を混合することも可能である。このと
き、別途重合された樹脂成分はグラフト重合で得られた
樹脂成分と必ずしも同一組成である必要はない。(A)
成分中の非アクリル系ゴム質重合体は、重量平均粒子径
が0.10〜2.0μmの範囲であることが好ましい。
より好ましくは、0.15〜0.65μmの範囲であ
る。この範囲を外れると、最終的に得られる樹脂組成物
の耐衝撃性が劣り、成形加工性も不足し、好ましくな
い。
【0026】非アクリル系ゴム質重合体の重量平均粒子
径は、粒子径分布曲線上において単峰性(一山分布)で
ある必要はなく、多峰性(二山分布、三山分布)、即
ち、平均粒子径の異なる種々の非アクリル系ゴム質重合
体または非アクリル系ゴム質重合体とアクリル系ゴム質
重合体との混合物であってもよい。非アクリル系ゴム質
重合体ラテックスの重量平均粒子径は、米国コールター
社製「ナノサイザー」によって測定したものである。ま
た、グラフト共重合体中のゴム質重合体の重量平均粒子
径は、射出成形機により成形された試験片から切取った
超薄層の切片につき、電子顕微鏡によって測定すること
ができる。
【0027】<アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)>アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(B)は、
アクリル系ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を
乳化重合することによって得られる。
【0028】(アクリル系ゴム質重合体)アクリル系ゴ
ム質重合体とは、炭素数2〜12の1価アルコールとア
クリル酸とのエステル化合物の単独重合体、またはこの
アクリル酸のエステル化合物を主成分としこれらと共重
合可能な単量体および/または多官能性ビニル単量体か
らなる単量体混合物とを乳化重合法により反応させて得
られる重合体、である。
【0029】本発明でいうエステル化合物とは、炭素数
2〜12個である1価アルコールとアクリル酸とのエス
テル化合物であり、具体的には、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリ
レート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルア
クリレート等のアルキルアクリレートが挙げられる。特
に好ましいのは、炭素数4〜8個である一価アルコール
とアクリル酸とのエステル化合物である。これらのエス
テル化合物は一種でもよく、また二種以上の混合物であ
ってもよい。
【0030】単量体混合物とは、上記エステル化合物と
共重合可能な単量体および/または多官能性ビニル単量
体との混合物をいう。共重合可能な単量体としては、前
記の芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、アク
リルアマイド、メタクリロアマイド、塩化ビニリデン、
アルキル(炭素数1〜6程度)ビニルエーテル等の分子
中に1個のビニル基を有する単量体が挙げられ、これら
は一種でもよく、また二種以上の混合物であってもよ
い。
【0031】多官能性ビニル単量体は、アクリル系ゴム
質重合体を架橋する機能を果たすものであり、単量体一
分子中に2個以上のビニル基を有する単量体をいう。多
官能性ビニル単量体の具体例としては、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルトルエン、等の芳香族多官能性ビニル単量
体、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのメ
タクリレートおよびアクリレート、ジアリルマレート、
ジアリルフマレート、トリアリルイソフマヌレート、ア
リルメタクリレート、アリルアクリレート等が挙げら
れ、これらは一種でもよく、また二種以上の混合物であ
ってもよい。
【0032】アクリル系ゴム質重合体は、上記エステル
化合物70〜100重量%、これらと共重合可能な単量
体0〜30重量%、および多官能性ビニル単量体0〜3
重量%からなる単量体混合物を乳化重合させて得られる
重合体である。上記エステル化合物の量は70重量%以
上であることが必要である。70重量%より少ないと、
上記(A)〜(D)成分を混合して得た熱可塑性樹脂組
成物の耐薬品性が低下し好ましくない。
【0033】アクリル系ゴム質重合体を製造する際に、
使用できる多官能性ビニル単量体の量は、アクリル系ゴ
ム質重合体製造用単量体混合物の組成および多官能性ビ
ニル単量体の種類等により適宜選択されるが、3重量%
以下の範囲で選ぶものとする。3重量%を越えると、ア
クリル系ゴム質重合体の弾性が低下し好ましくない。こ
れらの乳化重合反応は、重合開始剤の存在下で行うが、
重合開始剤としては前記のグラフト共重合反応に使用で
きるものが用いられる。また、乳化重合反応は前記の連
鎖移動剤を用いることができる。
【0034】アクリル系ゴムラテックスは、重量平均粒
子径が0.05〜0.50μmの範囲であるアクリル系
ゴム質重合体よりなるのが好ましい。0.05μm未満
では、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性が劣り、
成形加工性も不足し、好ましくない。0.50μmを越
える場合は、樹脂組成物から得られる成形品の外観が不
良となる等で好ましくない。上記範囲で、0.10〜
0.40μmの範囲であるのがより好ましい。
【0035】上記のような比較的大きい平均粒子径のア
クリル系ゴムラテックスは、製造条件を選択して直接大
粒子径のものを得ることもできるし、小粒子径のゴムラ
テックスを製造し、粒子径を肥大化する工程を経由して
得ることもできる。アクリル系ゴム質重合体ラテックス
の重量平均粒子径は、粒子径分布曲線上において単峰性
(一山分布)である必要はなく、多峰性(二山分布、三
山分布)、即ち、平均粒子径の異なる種々のラテックス
同士の混合物であってもよい。アクリル系ゴム質重合体
のラテックスの重量平均粒子径は、前記と同様に、米国
コールター社製「ナノサイザーN4S」によって測定し
たものである。
【0036】<アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)−グラフト重合>ここで用いられるビニル系単量
体としては、前記の芳香族ビニル単量体、シアン化ビニ
ル単量体、および/またはこれらと共重合可能な単量体
との単量体混合物である。上記(A)成分との相溶性お
よび混合を考慮すると、(A)成分のグラフト重合で用
いられた単量体とその種類、組合せ、割合とが同一であ
るのが望ましいが、異なっていてもよい。
【0037】アクリル系ゴムラテックスの存在下で重合
する単量体混合物の比率は、アクリル系ゴムラテックス
100重量部(固形分基準)に対して、200重量部以
上、好ましくは、200〜550重量部の範囲である。
単量体混合物がこの範囲より少ないと、樹脂組成物から
は良好な外観の成形品が得られず、この範囲より多い
と、充分な耐薬品性が得られない。
【0038】(B)成分中、アクリル系ゴムラテックス
の存在下で重合する単量体混合物中の各単量体成分の重
量割合は、芳香族ビニル単量体40〜80重量%、シア
ン化ビニル単量体20〜60重量%、およびこれらと共
重合可能な単量体0〜20重量%が好ましい。これらの
重量割合の範囲より、シアン化ビニル単量体が多いと加
工性および色調が低下し、少ないと耐薬品性が低下する
ので、好ましくない。これらの乳化重合反応は、重合開
始剤の存在下で行うが、重合開始剤としては前記のもの
が使用できる。また、乳化重合反応は前記の連鎖移動剤
の存在下で行うことが出来る。
【0039】また、グラフト重合反応を行う際の重合反
応温度は、50〜85℃の範囲であり、55〜75℃の
範囲がより好ましい。50℃未満の場合は重合反応速度
が小さくて実用的でなく、また85℃を越える場合には
反応が激しくなって、反応生成物中への凝固物の発生や
反応容器(缶)への付着物(スケール)が多くなった
り、レドックス系開始剤を用いる場合には触媒能失活等
により重合速度を定常状態とすることができなかった
り、最終重合率の低下および最終製品の品質低下をきた
すことがあるので好ましくない。その他のグラフト重合
反応条件は、ABS樹脂の製造に慣用されているところ
と本質的には異ならない。
【0040】共重合体(C)は、樹脂(A)、(B)を
製造する際に副生するものであってもよく、別途製造さ
れたものであってもよい。後者の場合は、その製造方法
は公知の方法に従ってよく、具体的には芳香族ビニル単
量体、シアン化ビニル単量体、および/またはこれらと
共重合可能な単量体を必要に応じて重合開始剤、連鎖移
動剤の存在下で、乳化重合法、懸濁重合法、または塊状
重合法によって製造する方法が挙げられる。共重合体
(C)の重量平均分子量は5万〜30万である。この際
に使用される重合開始剤、連鎖移動剤としては前述のも
のが使用できる。
【0041】本発明における共重合体(D)とは、芳香
族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、場合によりこ
れらと共重合可能な単量体との単量体混合物を重合して
得られる重量平均分子量が50万〜500万の共重合体
であり、本発明熱可塑性樹脂組成物中に1〜20重量%
の範囲で混合されるものである。従来のグラフト・ブレ
ンド型ABSにおける共重合体の重量平均分子量は約5
万〜30万であるのに対し、本発明ではさらに高分子量
の共重合体を含有させることに特徴がある。なお、本発
明において重量平均分子量とは、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリ
スチレン換算の分子量を意味する。
【0042】共重合体(D)の構成単量体成分の割合
は、非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A)のグラ
フト鎖重合体、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)のグラフト鎖重合体、および共重合体(C)の成
分と必ずしも同一である必要はないが、これら(A)〜
(C)の成分とほぼ同様の成分割合であるのが望まし
い。
【0043】共重合体(D)の製造方法は、基本的には
共重合体(C)と同じであるが、(D)は特に高分子量
の共重合体であること必要であるため、乳化重合法によ
り重合開始剤の使用量を比較的少量として、低温で重合
反応を行うのが好ましい。
【0044】本発明では共重合体(D)を回収するに際
し、他成分の上記(A)〜(C)の1種以上とラテック
ス状態で混合することを特徴とする。即ち、共重合体
(D)を混合した樹脂混合物は、共重合体(D)を成分
とするラテックスと、非アクリル系ゴム含有スチレン系
樹脂(A)、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(B)
および共重合体(C)の少なくとも1種を成分とするラ
テックスとを混合しこの混合ラテックスから、凝固分離
回収することにより得られる。これは、本発明の共重合
体(D)のように分子量が高くなると、一般に用いられ
る押出機、バンバリーミキサー等による加工混練混合方
法では、上記(A)〜(D)成分を均一に混合すること
は困難となるからである。本発明において、上記(A)
〜(D)成分の均一な混合が達成されないと、本発明で
目的とする耐衝撃性、耐薬品性、良好な成形品外観、お
よび真空(圧空)熱成型性に優れた熱可塑性樹脂組成物
が、得られ難くなる。
【0045】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物とは、以
上説明した非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A)
3〜80重量%、アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)3〜80重量%、共重合体(C)0〜93%、共
重合体(D)1〜20重量%から構成されるものであ
る。(B)成分の割合が3重量%未満であると耐薬品性
が不充分であり、80重量%を超えると、該樹脂の耐衝
撃性、剛性、加工性が低下し、成形品の外観を損なうの
で好ましくない。
【0046】また、共重合体(D)成分の割合が1重量
%未満であると、真空成型時の成形性を充分に改良する
ことが出来ず、逆に20重量%を越えると流動性が低下
し成形性が劣るので好ましくない。既に、成分(D)が
配合混合され回収された上記(A)、(B)、(C)お
よび(D)成分からなる樹脂混合物を溶融混合混練する
には、公知の混合混練方法によればよい。この際、混練
する温度は、樹脂組成物が樹脂焼けを起こさない範囲で
適宜選択するのがよい。
【0047】粉末、ビーズ、フレーク、またはペレット
となったこれら樹脂および共重合体の二種または三種の
混合物は、一軸押出機、二軸押出機、または、バンバリ
ーミキサー、加圧ニーダー、二本ロール等の混練機によ
り、樹脂組成物とすることができる。また、場合によっ
ては、重合を終えたこれら共重合体の二種または三種の
ものを、未乾燥のまま混合し、析出し、洗浄し、乾燥し
て、混練する方法を採ることもできる。
【0048】本発明に係る樹脂組成物は、樹脂としての
性質を阻害しない種類および量の潤滑剤、可塑剤、帯電
防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐光性安定剤、耐熱安
定剤、充填剤等の各種樹脂添加剤を、適宜組合せて添加
することができる。本発明に係る樹脂組成物は、射出成
形法、押出成形法、圧縮成形法、熱成形法、等の各種加
工法によって成形品を製造する際の、原料樹脂として使
用することができ、優れた耐薬品性、加工性および耐衝
撃性が要求される用途、例えば電気冷蔵庫の内箱材料等
の電気部品および工業部品として、使用することができ
る。
【0049】
【実施例】下記の実施例および比較例は、本発明をさら
に具体的に説明するためのものであり、本発明はその要
旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではな
い。なお、以下の例において、「部」とは重量部を意味
する。以下の各実施例および比較例において、熱可塑性
樹脂の物性は、次の方法によって測定した。
【0050】(1)分子量 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を
用い、次の条件で測定した。 装置: HLC−802A(東ソー社製) カラム: TSK gel GMHXLを2本直列 温度: 40℃ 検出: 示差屈折率 溶媒: テトラハイドロフラン 濃度: 1重量% 検量線: 標準PS(東ソー社製)に準拠(分子量は
PS換算値)
【0051】(2)引っ張り強度 JIS K7113に準拠して測定した。単位:Kg/cm2 (3)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠して1/8インチ試験片によ
り測定した。単位:Kg-cm/cm
【0052】(4)VICAT軟化点 JIS K7206に準拠して測定した。単位:℃ (5)メルトフローレート JIS K7210に準拠し、温度220℃、荷重10
kgの条件で測定し、10分間の流出g数で表示した。
単位:g/10分 (6)ラテックスの重量平均粒子径 米国コールター社製粒径測定装置「N4S」によって測
定した。単位:μm
【0053】(7)外観1 射出成形法によって成形された試験片(厚さ2.5mm、
幅75mm、長さ160mm)につき、その表面外観を目視
観察し判定した。判定結果は次のように表示した。 ○: 光沢の低下、またはフローマークが認められな
い。 △: 光沢の低下、またはフローマークが少し認められ
る。 ×: 光沢の低下、またはフローマークがかなり認めら
れる。
【0054】(8)外観2 Tダイを有するシート押出機にてシート(厚さ2.5m
m、幅600mm、長さ10m)を成形し、その表面外観
を目視観察し判定した。判定結果は次のように表示し
た。 ○: ダイバンド、またはピットマークが認められな
い。 △: ダイバンド、またはピットマークが部分的に認め
られる。 ×: ダイバンド、またはピットマークが全面に認めら
れる。
【0055】(9)耐薬品性 圧縮成形試験片(厚さ2mm、幅35mm、長さ230
mm)をベンデイングフォーム法によって、23℃でフ
ロン141bに対する亀裂発生の臨界歪値を測定した。
判定結果は次のように表示した。 ◎: 臨界歪値が0.8%以上で耐薬品性が極めて良好
である。 ○: 臨界歪値が0.8〜0.6%で耐薬品性が良好で
ある。 ×: 臨界歪値が0.6%以下で耐薬品性が不良であ
る。
【0056】(10)真空成形性 樹脂組成物から押出成型法によって厚さ2mmのシート
を製造し、このシートを真空成型機(浅野研究所製FC
−4APA、プラグアシスト式)を使用して、シートの
加熱時間を60秒として、開口部径300mm、底部径
150mm、深さ250mmのバケツ状であり、開口部
から底部に達する幅が6mmで外部に突き出した2本の
リブを壁面に対抗させて設けた成型品を成形した。得ら
れた成型品につき、次の2種類の方法で評価した。 1)リブから最も離れた部分を開口部から底部に縦に切
断し、切断面における最低肉厚を測定した。測定値が大
きいほど好ましい。 2)上記リブ部分のヒケ(型追随性−真空成形型の形状
に沿って成形されているか否か)を肉眼で観察した。 「リブのヒケ」 ○:リブのヒケが良い(型追随性が良い) ×:リブのヒケが悪い(型追随性が悪い)
【0057】<非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(A)の製造> (A−1) (1)非アクリル系ゴム質重合体の製造 5L・SUS製オートクレーブに脱イオン水150部、
高級脂肪酸石鹸(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナ
トリウム塩)4.0部、水酸化ナトリウム0.075部
を仕込み、窒素ガス置換後68℃に昇温した。1,3−
ブタジエン90部、スチレン10部とt−ドデシルメル
カプタン(TDM)0.3部よりなる単量体混合物のう
ち20%を仕込んだ後、過硫酸カリウム0.135部を
添加した。およそ数分で発熱し、重合反応の開始が確認
された。過硫酸カリウムを添加後、1時間後から単量体
混合物の80%の連続的仕込みを開始し、6時間の時点
で添加を終了した。単量体混合物の添加終了後、系内温
度を80℃まで上げ、さらに1時間重合を行った。得ら
れたポリスチレンブタジエンゴムラテックスの固形分濃
度は39.5%、平均粒子径は0.08μm、ゲル含有
率は95.0%であった。
【0058】(2)グラフト共重合体の製造 撹拌装置、加熱冷却装置、および各原料、助剤仕込装置
を備えた容量5Lの反応器に、上記(1)ポリスチレン
ブタジエンゴムラテックスの無水酢酸により0.29μ
mに粒径肥大したものを固形分として100部、および
脱イオン水330部(ラテックス中の水分を含む。)を
仕込み、70℃に昇温した。系内の温度が70℃になっ
た時点から、スチレン73.3部、アクリロニトリル4
8.9部、過硫酸カリウム0.4部、不均化ロジン酸カ
リウム石鹸2.4部、水酸化カリウム0.37部、脱イ
オン水35部を、3時間45分かけて連続的に添加し
た。途中、連続添加開始後30分の時点でテルピノレン
0.3部を仕込んだ。全ての連続添加が終了した後、さ
らに30分間反応を続け、冷却して、反応を終了し、グ
ラフト共重合体ラテックス(A−1)を得た。このグラ
フト共重合体ラテックス(A−1)に老化防止剤5部を
添加し、さらに95℃の硫酸マグネシウム水溶液中に撹
拌しながら加えて凝固させ、凝固物を水洗、乾燥して白
色粉末状の非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A−
1)クラムを得た。
【0059】(A−2) (1)非アクリル系ゴム質重合体の製造 上記(A−1)と同様に行った。 (2)グラフト共重合体の製造 撹拌装置、加熱冷却装置、および各原料、助剤仕込装置
を備えた容量5Lの反応器に、上記(A−1)のポリス
チレンブタジエンゴムラテックスの無水酢酸により0.
30μmに粒径肥大したものを固形分として100部、
および脱イオン水300部(ラテックス中の水分を含
む。)を仕込み、70℃に徐々に昇温した。昇温の途中
60℃で、水10部に溶解したピロリン酸ナトリウム
0.43部、デキストロース0.22部および硫酸第一
鉄0.0043部を添加した。70℃に達した時点から
その温度で、スチレン25.7部、アクリロニトリル1
7.1部、テルピノレン0.11部およびクメンハイド
ロパーオキサイド0.22部、不均化ロジン酸カリウム
石鹸0.86部、水酸化カリウム0.37部、脱イオン
水20部を1時間50分かけて連続的に添加した。連続
添加終了後、さらに重合反応を続け、冷却し反応を終了
して、グラフト重合体ラテックス(A−2)を得た。こ
のグラフト重合体ラテックス(A−2)に老化防止剤5
部を添加し、撹拌している95℃の硫酸マグネシウム水
溶液中に加えて凝固させ、凝固物を水洗、乾燥して非ア
クリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A−2)クラムの白
色粉末を得た。
【0060】(A−3)錨型撹拌装置を備えた2Lオー
トクレーブ中に、スチレン394部、EPDM(ムーニ
ー粘度ML1+4(100℃)45、沃素化25、エチリ
デンノルボルネンを第3ジエン成分とする。)100
部、およびn−ヘプタン71部を仕込み窒素ガス置換し
た後、50℃で2時間100rpmで撹拌して均一に溶解
した。ついで、同じ撹拌下でアクリロニトリル184部
を3部/分の仕込速度で添加を始め、ジter-ブチルパー
オキサイド0.357部、ter-ブチルパーアセテート
0.093部、およびテルピノレン0.357部を添加
し、97℃で7時間20分溶液塊状重合を続けた。さら
に溶液塊状重合を終了する30分前に、ジter-ブチルパ
ーオキサイド1.07部、テルピノレン0.357部を
スチレン36部に溶解して添加し、30分後に重合を終
了して、重合液シロップを得た。シロップ中のEPDM
ゴムの平均粒子径は1.6μmであった。
【0061】上記シロップを、水790部と懸濁剤1.
8部からなる水溶液を入れた3枚後退翼を備えた3Lオ
ートクレーブに仕込み、窒素ガス置換した後、130
℃、500rpmの条件下に2時間懸濁重合を行い、つい
で150℃に昇温して1時間ストリッピングにより未反
応単量体および溶媒等を溜去した。得られた重合体を水
洗後、100℃で乾燥し非アクリル系ゴム含有スチレン
系樹脂(A−3)を得た。
【0062】<アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B)の製造方法> (B−1) (1)アクリル系ゴム質重合体の製造 5Lガラス製フラスコに水147部、高級脂肪酸石鹸
(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)
0.01部、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物のナトリウム塩1.0部、および炭酸水素ナトリウ
ム1.0部を仕込み、窒素ガス気流下72℃に昇温し
た。過硫酸カリウム0.07部を水8部に溶解したもの
を添加し、5分後、アクリル酸ブチルエステル100部
とメタクリル酸アリルエステル0.2部よりなる単量体
混合物のうち4部を仕込んだ。数分後発熱し、重合の開
始が確認された。最初の単量体混合物の仕込20分後
に、残りの単量体混合物、および過硫酸カリウム0.0
8部、不均化ロジン酸カリウム1.0部、水8部よりな
る混合物の連続添加を始めた。最初の単量体仕込から3
時間20分の時点で連続添加を終了し、77℃に昇温、
さらに1時間同温度で重合を続けた。得られたアクリル
系ゴムラテックスの固形分濃度は39.5%、平均粒子
径は0.20μm、ゲル含有率は93.0%であった。
【0063】(2)グラフト共重合体の製造 撹拌装置、加熱冷却装置、および各原料、助剤仕込装置
を備えた5Lの反応器に、上記アクリル系ゴムラテック
スを固形分として100部、ピロリン酸ナトリウム2.
2部、ぶどう糖0.55部、硫酸第1鉄0.022部お
よび脱イオン水402部(ラテックスの水分を含む。)
を仕込み、70℃に昇温した。70℃で、スチレン13
7部、アクリロニトリル74部、t-ドデシルメルカプタ
ン0.44部およびクメンハイドロパーオキサイド1.
1部、不均化ロジン酸カリウム石鹸3.96部、脱イオ
ン水57部を3時間かけて連続添加した。添加終了後、
さらに30分間反応を続けた後、冷却し重合を終了し
た。得られたグラフト共重合体ラテックスに老化防止剤
2部を添加し、95℃の硫酸マグネシウム水溶液中へ加
えて凝固させ、さらにその凝固物を水洗、乾燥してアク
リル系ゴム含有スチレン系樹脂(B−1)クラムの白色
粉末を得た。
【0064】(B−2) (1)アクリル系ゴム質重合体の製造 5Lガラス製フラスコに水147部、高級脂肪酸石鹸
(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)
0.12部、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮
合物のナトリウム塩0.60部、および炭酸水素ナトリ
ウム1.0部を仕込み、窒素ガス気流下72℃に昇温し
た。過硫酸カリウム0.035部を水8部に溶解したも
のを添加し、5分後、アクリル酸ブチルエステル100
部とメタクリル酸アリルエステル0.1部よりなる単量
体混合物のうち4部を仕込んだ。数分後発熱し、重合の
開始が確認された。最初の単量体混合物の仕込20分後
から、残りの単量体混合物、および過硫酸カリウム0.
115部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1.0部、水1
0部よりなる混合物の連続添加を始めた。最初の単量体
添加から3時間20分後にその添加を終え、77℃に昇
温し、さらに1時間同温度で重合を続けた。得られたア
クリル系ゴムラテックスは、固形分濃度39.5%、平
均粒子径0.17μm、ゲル含有率81.5%であっ
た。
【0065】(2)グラフト共重合体の製造 上記(B−1)において、単量体混合物の仕込組成を次
のように変更した他は、上記B−1と同様にして行っ
た。 スチレン 148部 アクリロニトリル 63部 このようにして、グラフト共重合体を得た。得られたグ
ラフト共重合体に老化防止剤2部を添加し、95℃の硫
酸マグネシウム水溶液中に加えて凝固させ、その凝固物
を水洗、乾燥してアクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
(B−2)クラムの白色粉末を得た。
【0066】<共重合体(C)の製造方法>加熱冷却装
置、湾曲タービン型撹拌装置、温度計、および各原料、
助剤仕込装置を備えた容量5Lのステンレス製のオート
クレーブに、撹拌下、アクリロニトリル43部、スチレ
ン10部、テルピノレン0.66部、ジter-ブチル-p-
クレゾール0.05部、アクリル酸・アクリル酸-2-エ
チルヘキシル共重合体0.03部、臭化ナトリウム0.
4部、脱イオン水70部を仕込み、オートクレーブ内を
窒素ガス置換した。撹拌下、内温を106℃に昇温し、
小量のスチレンに溶解したジter-ブチルパーオキサイド
0.07部を添加し、重合反応を開始した。その後30
分間で125℃まで昇温し、ついでその温度を保ちなが
らスチレン47部を一定速度で3時間連続添加した。さ
らに内温を125℃に1時間保った後、2時間かけて1
45℃まで昇温した。145℃で2時間保持しながらス
トリッピングした。ストリッピング終了後、冷却し、ろ
過、水洗、乾燥して、ビーズ状の共重合体(C)を得
た。この共重合体の重量平均分子量は7万、アクリロニ
トリル共重合量(AN%)は40%であった。
【0067】<共重合体(D)の製造方法> (D−1)容量5Lのガラス製オートクレーブに、脱イ
オン水123部、不均化ロジン酸カリウム石鹸1.2
部、アクリロニトリル4.0部を仕込み、撹拌下、窒素
ガス置換し、内温を50℃にした。過硫酸カリウム0.
075部を添加し、さらにスチレン60部とアクリロニ
トリル40部よりなる単量体混合物を、一定の速度で6
時間30分かけて50℃で連続添加を始めた。続けて、
連続添加開始30分後から、脱イオン水26部に不均化
ロジン酸カリウム石鹸1.8部、過硫酸カリウム0.1
75部よりなる水溶液を、一定の速度で6時間30分か
けて連続添加した。全ての連続添加が終了してから、さ
らに1時間その温度で反応を継続し、冷却して反応を終
了した。得られた共重合体(D−1)ラテックスの固形
分濃度は40.5%、重量平均分子量は120万であっ
た。この共重合体ラテックスに老化防止剤1部を添加
し、95℃の硫酸マグネシウム水溶液中に加えて凝固さ
せた。凝固物を水洗、乾燥して共重合体(D−1)クラ
ムの白色粉末が得られた。
【0068】(D−2)上記(D−1)において、内温
を70℃、単量体混合物中にt-ドデシルメルカプタン
1.0部を加えた以外は同様にして重合し、固形分濃度
41.0%、重量平均分子量28万の共重合体(D−
2)ラテックスを得た。
【0069】実施例1 上記非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(A−1)の
ラテックスと共重合体(D)のラテックスを表1に記載
の配合割合(固形分換算)で混合し、得られた混合ラテ
ックスに老化防止剤5部を添加後、95℃の硫酸マグネ
シウム水溶液中に加えて凝固させ、回収された凝固物を
水洗、乾燥して白色粉末状のクラム樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物にアクリル系ゴム含有スチレン系樹
脂(B−1)クラム、共重合体(C)ビードを表1に記
載の配合割合で混合し、二軸押出機にて混練、ペレット
化した。このペレットを用いて射出成形機によって物性
測定用、耐フロン性測定用および外観判定用の各テスト
ピースを成形した。また、シート押出機によって外観判
定用のシートを成形し、また前記した評価方法により真
空成形性を評価した。結果を表1に示す。
【0070】実施例2〜4 実施例1と同様にして、表1に記載の配合割合で混合
し、ペレット化、成形を行い、評価した。結果を表1に
示す。
【0071】
【表1】
【0072】比較例1〜4 実施例1と同様にして、表2に記載の配合割合で混合
し、ペレット化、成形を行い、評価した。結果を表2に
示す。
【0073】
【表2】
【0074】
【発明の効果】本発明は次のような特別に顕著な効果を
奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 (1)本発明に係る樹脂組成物は、特定の(A)〜
(D)成分からなるので、耐衝撃性、耐ESC性、耐薬
品性および真空(圧空)熱成形法による成形品の外観が
優れている。 (2)本発明に係る樹脂組成物は、高分子量の共重合体
(D)をラテックス状態で混合するので均一に各成分が
混合され、熱成形性に優れ、肉厚が均一で偏肉の少ない
良好な成形品が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂
    (A)3〜80重量%、アクリル系ゴム含有スチレン系
    樹脂(B)3〜80重量%、芳香族ビニル単量体、シア
    ン化ビニル単量体、場合によりこれらと共重合可能な単
    量体との単量体混合物を重合して得られる重量平均分子
    量が5万〜30万の共重合体(C)0〜93重量%、お
    よび芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、場合
    によりこれらと共重合可能な単量体との単量体混合物を
    重合して得られる重量平均分子量が50万〜500万の
    共重合体(D)1〜20重量%からなり、共重合体
    (D)が、共重合体(D)を成分とするラテックスと上
    記(A)〜(C)の少なくとも1種を成分とするラテッ
    クスとを混合しこの混合ラテックスから共重合体(D)
    と上記(A)〜(C)の少なくとも1種との樹脂混合物
    として、回収して得たものであることを特徴とする熱可
    塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】アクリル系ゴム含有スチレン系樹脂(B)
    が、アクリル系ゴムラテックスの存在下にこのラテック
    スの固形分に対して2倍重量以上の芳香族ビニル単量体
    およびこれらと共重合可能な単量体との単量体混合物
    を、乳化重合法により反応させて得たものであることを
    特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】アクリル系ゴムが、炭素数2〜12個であ
    る一価アルコールとアクリル酸とのエステル化合物70
    〜100重量%、これらと共重合可能な単量体0〜30
    重量%、および多官能性ビニル単量体0〜3重量%から
    なる単量体混合物を乳化重合させて得たものであること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201329A (ja) * 2000-12-21 2002-07-19 Cheil Industries Inc 耐薬品性と真空成形性が優れる熱可塑性樹脂組成物

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