JP2003327779A - 被塗装用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

被塗装用熱可塑性樹脂組成物

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JP2003327779A
JP2003327779A JP2002137621A JP2002137621A JP2003327779A JP 2003327779 A JP2003327779 A JP 2003327779A JP 2002137621 A JP2002137621 A JP 2002137621A JP 2002137621 A JP2002137621 A JP 2002137621A JP 2003327779 A JP2003327779 A JP 2003327779A
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resin composition
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JP2002137621A
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English (en)
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Kazuto Nagakusa
一人 長草
Kenji Miura
健治 三浦
Yasuhiko Ito
康彦 伊藤
Kazutada Yamawaki
一公 山脇
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Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗装したときに表面外観が優れる塗装性熱可
塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 本樹脂組成物は、〔A〕ゴム質重合体
(a)(スチレン-ブタジエンゴム等)の存在下に、芳
香族ビニル化合物(スチレン等)、シアン化ビニル化合
物(アクリロニトリル等)、(メタ)アクリル酸エステ
ル(メタクリル酸メチル等)、酸無水物系単量体及びマ
レイミド系化合物からなる群から選ばれた少なくとも1
種の単量体成分(b)を共重合してなる共重合樹脂等に
より構成してなるゴム強化樹脂100重量部と、〔B〕
MFRが異なるエチレン、(メタ)アクリル酸エステル
(メタクリル酸メチル等)及び一酸化炭素の共重合体の
少なくとも2種を含む混合物3〜50質量部とを含有す
る。上記単量体成分(b)は芳香族ビニル化合物(スチ
レン等)及びシアン化ビニル化合物(アクリロニトリル
等)が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム強化樹脂、並
びにエチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び一酸化
炭素を共重合してなる共重合体を含む熱可塑性樹脂組成
物に関し、更に詳しくは、成形品の不良現象である層状
剥離が改良され、成形品の表面平滑性、耐衝撃性、及び
塗装後における外観等が優れている被塗装性熱可塑性樹
脂組成物に関する。本発明は、バンパー等の自動車部
品、パソコンの筐体及び電子複写機の部品等に広く利用
されている。
【0002】
【従来の技術】ゴム強化樹脂の一種であるABS樹脂
は、耐薬品性、耐衝撃性、塗装性に優れていることか
ら、自動車部品等塗装して利用するものに使用されてい
る。この場合、ABS樹脂の単量体として用いるシアン
化ビニル化合物の使用割合を増加させると、耐薬品性や
塗装時の外観などが改善されることが知られている。し
かし、特に自動車等に使用する場合、塗装したときにか
なり光沢があるものが要求されるため、塗装後における
表面外観の更なる改善が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記必要性
を鑑みてなされたものであり、層状剥離がなく、成形品
の表面平滑性、耐衝撃性、塗装後における表面外観等が
優れている被塗装性熱可塑性樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の被塗装用熱可塑
性樹脂組成物は、〔A〕ゴム質重合体(a)の存在下
に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メ
タ)アクリル酸エステル、酸無水物系単量体及びマレイ
ミド系化合物からなる群から選ばれた少なくとも2種の
単量体(b)を重合して得られる(共)重合樹脂(A
1)、又は該共重合樹脂(A1)と該単量体(b)の群
から選ばれる少なくとも1種を重合して得られる(共)
重合樹脂(A2)との配合物から構成されてなるゴム強
化樹脂と、〔B〕メルトフローレート値の異なるエチレ
ン、(メタ)アクリル酸エステル及び一酸化炭素共重合
体の少なくとも2種を含有する混合物と、を含み、上記
〔B〕混合物の含有量は、上記〔A〕ゴム強化製樹脂を
100重量部とした場合、3〜70重量部であることを
特徴とする。また、上記単量体(b)は、芳香族ビニル
化合物が必須成分であることが好ましい。更に、上記
〔B〕混合物はメルトフローレート値が20(g/10
分)未満の共重合体と20(g/10分)以上の共重合
体とを含有するものとすることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明を更に詳細に説明する。 1.ゴム強化樹脂〔A〕 上記共重合樹脂(A1)を構成する上記ゴム質重合体
(a)は、ゴム弾性を示す重合体である。この例として
は、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、
ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブ
タジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソ
プレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イ
ソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、これらジ
エン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレ
ン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1
・(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタンゴム、アク
リルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのう
ち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、
ジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピ
レン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム及びシ
リコーンゴムが好ましい。これらは1種単独であるいは
2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、シリ
コーンゴムを用いる場合は、ビニル基を含有するグラフ
ト交叉剤(例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキ
シシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジ
メトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレン
メチルジメトキシシラン等)をポリオルガノシロキサン
に共縮合したものが好ましい。
【0006】また、上記ゴム質重合体(a)の平均粒子
径は、50〜600nm、より好ましくは70〜500
nm、更に好ましくは150〜400nm、特に好まし
くは200〜400nmとすることができる。この平均
粒子径が50nm未満の場合、耐衝撃性が低下する。一
方、500nmを超えると、組成物における塗装性の低
下を招くため、好ましくない。尚、本発明においては、
平均粒子径の異なる2種以上のゴム質重合体を組み合わ
せて用いることもでき、これによって成形品の耐衝撃
性、剛性及び難燃性のバランスが向上する。
【0007】更に、上記ゴム質重合体としてポリブタジ
エン系ゴムを使用する場合、ポリブタジエン系ゴムのゲ
ル含量は、40〜100重量%、好ましくは50〜90
重量%、より好ましくは60〜90重量%とすることが
できる。このゲル含量が40重量%未満、或いは100
重量%である場合、いずれも組成物の塗装性の低下を招
くため、好ましくない。尚、ポリブタジエン系ゴムのゲ
ル含量とは、ポリブタジエン系ゴムL(g)をトルエン
に室温(20℃)で20時間溶解させた後、200メッ
シュ金網で浄別した不溶分をM(g)とすると、ゲル含
量=(M×100)/Lで求められるものである。
【0008】本発明では、上記ゴム質重合体(a)の存
在下に重合する単量体(b)として、上記芳香族ビニル
化合物、シアン化ビニル化合物、上記(メタ)アクリル
酸エステル、酸無水物系単量体及びマレイミド化合物の
うちの少なくとも2種を使用する。また、上記単量体
(b)は、上述した組み合わせのうち、芳香族ビニル化
合物を必須成分とすることが好ましい。特に好ましく
は、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とから
なり、その使用割合は前者が60〜95重量%後者が5
〜40重量%である。
【0009】上記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルス
チレン、臭素化スチレン等が挙げられる。これらのう
ち、スチレンが好ましい。これらは1種単独であるいは
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】上記シアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられるが、
アクリロニトリルが好ましい。これらは1種単独である
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等
が挙げられるが、これらのうち、メタクリル酸メチルが
好ましい。
【0011】上記酸無水物系単量体としては、無水マレ
イン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げら
れる。これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。ま
た、上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N
−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−
(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドキ
シフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド等が挙げられ、これら単量体(B)は1種単独である
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。ま
た、これらのうち、N−フェニルマレイミドが好まし
い。
【0012】上記共重合樹脂(A1)は、例えば、上記
ゴム質重合体(a)5〜70重量%の存在下に、芳香族
ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリ
ル酸エステル、酸無水物系単量体及びマレイミド系化合
物からなる群から選ばれた少なくとも2種の単量体
(b)30〜95重量%(但し、(a)+(b)=10
0重量%)を、好ましくは乳化重合、懸濁重合、溶液重
合、バルク重合等でラジカルグラフト重合を行うこと
で、製造することができる。この際、通常、重合開始
剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、水等が用いられ、乳
化重合の場合には更に乳化剤が用いられる。尚、上記共
重合樹脂(A1)は、ゴム質重合体全量の存在下に、単
量体(b)を一括添加して重合することによって得るこ
とができ、また、分割又は連続添加して重合することに
よっても得ることができる。更に、これらを組み合わせ
た方法で得ることもできる。
【0013】上記重合開始剤としては、クメンハイドロ
パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパー
オキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で
代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリ
ン酸処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤
との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カ
リウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイ
ト、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化
物が使用される。更に、上記重合開始剤は、重合系に一
括して又は連続的に添加することができる。上記重合開
始剤の使用量は、単量体(b)全量に対し、通常、0.
1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%で
ある。
【0014】上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメル
カプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシ
ルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−
テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピ
ノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられ
る。上記連鎖移動剤の使用量は、単量体(b)全量に対
して、通常、0.05〜2.0重量%である。
【0015】乳化重合の場合に使用する上記乳化剤とし
ては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼン
スルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スル
ホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、リン酸系等のアニ
オン性界面活性剤、ポリエチレングリコールのアルキル
エステル型、アルキルエーテル型等のノニオン系界面活
性剤が挙げられる。上記乳化剤の使用量は、通常、単量
体(b)100重量部に対して、通常、0.3〜5重量
部である。
【0016】乳化重合により製造する場合、通常、凝固
剤により凝固して得られた粉末を水洗後、乾燥すること
によって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナト
リウム等の無機塩や、硫酸、塩酸等の酸等を使用するこ
とができる。
【0017】上記共重合樹脂(A1)のグラフト率は、
好ましくは10重量%以上、より好ましくは20〜15
0重量%、更に好ましくは30〜130重量%である。
ここで、グラフト率(重量%)とは、ゴム質重合体
(a)にグラフトした単量体(b)の割合であり、次式
により求められる値である。グラフト率(%)=100
×(T−S)/S[但し、Tは共重合樹脂(A1)をア
セトンに投入し、不溶分と可溶分とを分離して得られる
不溶分重量、Sは共重合樹脂(A1)中のゴム質重合体
の重量を表す。]尚、上記グラフト率(%)は、共重合
樹脂(A1)を重合するときの、重合開始剤、連鎖移動
剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合
温度等を変えることにより、制御することができる。
【0018】また、本発明を構成する上記ゴム強化樹脂
〔A〕としては、上記共重合樹脂(A1)のほかに、こ
れと上記単量体(b)の少なくとも1種を別途重合して
得られる(共)重合樹脂(A2)との配合物であっても
よい。ここで、上記「(共)重合樹脂(A2)」は、上
記単量体(b)を重合して得られる(共)重合体であ
る。この(共)重合樹脂(A2)の極限粘度は、好まし
くは0.15〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2
〜0.9dl/gである。(共)重合樹脂(A2)は、
共重合樹脂(A1)と同様の方法で製造することができ
る。更に、(共)重合樹脂(A2)として好ましくは上
記単量体(b)の少なくとも2種からなる。更に好まし
くは上記単量体(b)の少なくとも2種からなり、且つ
芳香族ビニル化合物を必須とするものである。また、上
記(共)重合樹脂(A2)に用いる単量体として、前記
に示す芳香族ビニル化合物及び前記に示すシアン化ビニ
ル化合物を用いることが好ましい。
【0019】上記のゴム強化樹脂〔A〕中のゴム質重合
体(a)の含量は、好ましくは3〜40重量%、更に好
ましくは5〜35重量%である。ゴム質重合体(a)の
含量が3重量%未満の場合、十分な耐衝撃強度が得られ
ず、一方、40重量%を超えると成形加工性が劣るた
め、好ましくない。ゴム強化樹脂〔A〕が上記共重合樹
脂(A1)と共重合樹脂(A2)とからなる場合は、共
重合樹脂(A2)の配合量は、配合後の配合後のゴム強
化樹脂〔A〕のゴム質重合体(a)の含量が上記範囲と
なうように配合される。
【0020】上記ゴム強化樹脂〔A〕のアセトン可溶分
の重量平均分子量Mは、60,000〜300,00
0であり、好ましくは70,000〜200,000で
ある。また、重量平均分子量Mと数平均分子量M
の比M/Mは、2.3〜5であり、好ましくは2.
4〜5、より好ましくは2.5〜5である。上記アセト
ン可溶分の重量平均分子量Mが大きすぎると成形加工
性が劣ることとなり、一方、小さすぎると耐衝撃性が低
下する。また、上記アセトン可溶分のM/Mが上記
範囲外では耐衝撃性と成形加工性のバランスが悪化す
る。
【0021】また、上記共重合樹脂(A1)及びゴム強
化樹脂〔A〕のアセトン可溶分の極限粘度は、0.2〜
1dl/g、好ましくは0.3〜0.9dl/gである
ことが好ましい。この極限粘度が0.2dl/g未満の
場合、容易に曲げ弾性率、耐衝撃強度の低下を招き、ま
た、1dl/gを超えると、加工時における流動性の低
下を容易に招くため、好ましくない。
【0022】また、〔A〕成分中に含有されているオリ
ゴマーの量は、2重量%以下、より好ましくは1.5重
量%以下(0重量%を含む。)とすることが好ましい。
上記オリゴマー量が2重量%を超えると塗装性が低下
し、また、金型汚染の可能性があるため、好ましくな
い。
【0023】2.混合物〔B〕 上記「混合物〔B〕」は、メルトフローレート値(以
下、MFRとする。)の異なるエチレン、(メタ)アク
リル酸エステル及び一酸化炭素共重合体を少なくとも2
種含有するものである。好ましくはMFR20(g/1
0分)未満の上記共重合体とMFR20以上の上記共重
合体とを含有するものである。更に好ましくはMFRが
1(g/10分)以上20未満の上記共重合体と、MF
Rが20〜150(g/10分)の上記共重合体を含有
する混合物である。上記MFRの異なる共重合体を少な
くとも2種用いることで成形品の層状剥離等の不良現象
が発生しにくい。更に、耐衝撃性が向上し、成形品の表
面平滑性が向上し、そして、塗装後の成形外観性が優れ
ることにより、成形品の美観がより優れたものとなる。
尚、上記MFRは、JIS K 7210に準拠して測
定されたもので、試験温度が190℃、試験荷重が26
0gの場合の測定値である。MFRが20未満の上記共
重合体(以下、共重合体(B1)とする。)と、MFR
が20以上の上記共重合体(以下、共重合体(B2)と
する。)とを含有する場合、その比〔(B1)/(B
2)〕は、好ましくは1〜99重量%/99〜1重量
%、より好ましくは10〜90重量%/90〜10重量
%である。この範囲外の場合、層状剥離を効果的に防止
する性能、耐衝撃性、表面平滑性及び塗装後の成形外観
性が劣る。
【0024】この混合物〔B〕の含有量は、上記ゴム強
化樹脂〔A〕を100重量部とした場合、3〜70重量
部、好ましくは、4〜50重量部、更に好ましくは5重
量部を超えて40重量部以下とすることができる。上記
共重合体の含有量が3重量部未満の場合、耐衝撃性、塗
装後の外観性の改良が十分ではなく、一方70重量部を
越えると成形加工性、表面平滑性が劣るため、好ましく
ない。
【0025】上記(メタ)アクリル酸エステルとして
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n-ブチル等のアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル等の
メタクリル酸ブチル等が挙げられるが、これらのうち、
メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチルが好まし
い。これらは1種単独で、或いは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。また、共重合体の全重量を10
0重量%とした場合、この共重合体中エチレンの重合単
位の割合は、好ましくは10〜87重量%、(メタ)ア
クリル酸エステルの重合単位の割合は、好ましくは10
〜57重量%、一酸化炭素の重合単位は好ましくは3〜
40重量%とすることができる。
【0026】上記共重合体は、例えば特開平9−874
84号公報に示されるようにして製造することができ
る。即ち、通常、単量体として、エチレン、アクリル酸
エステル、および一酸化炭素を用い、重合供給系におい
て、連続的な調合を行う。ここで、使用する反応器、分
離器等の容器は特に限定されないが、高圧・高温に耐え
るもので、高速モーターで駆動する攪拌機と圧力放出
弁、ならびに温度調整用の加熱または冷却流体循環用ジ
ャケット付き壁面を有するものが好ましい。即ち、ま
ず、一酸化炭素およびアクリル酸エステルを上記反応器
の圧力でエチレン供給系に圧入し、次いでこの単量体混
合物を反応器の圧力で一緒にまたは別々に反応器に圧入
することにより製造することができる。この際、必要に
応じて、ラジカル重合触媒(過酸化物、過エステル、ア
ゾ化合物、過炭酸塩など)を、別に供給ラインを通じて
反応器に圧入することができる。その後、共重合体と単
量体との混合物は、反応器を出て、混合物が分離器へと
流れるにつれてその圧力が減少する。単量体は、分離器
を出て分解されるか、または調合用単量体とともに反応
器へと圧入循環される。溶融した共重合体は、分離器か
ら出て、冷却されて適当な大きさに切断され、上記共重
合体が得られる。ここで、反応器の温度は、140℃以
上、好ましくは155〜300℃、さらに好ましくは1
55〜225℃、反応器の圧力は、3.45×10
〜4.14×108 Pa、好ましくは1.38×108
〜2.41×108 Paとすることができる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、充填
剤、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤
及びカップリング剤等を配合することができる。上記充
填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイ
ト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバ
ー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカ
ー等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以
上を組み合わせて用いることができる。ガラス繊維及び
炭素繊維の好ましい大きさは、繊維径が6〜20マイク
ロメートル、繊維長が30マイクロメートル以上(通
常、上限は50マイクロメートル)である。上記耐候剤
としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物及び水
酸基を含有する有機化合物等が好ましい。また、上記帯
電防止剤としては、アルキル基を有するスルホン酸塩等
が挙げられる。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー及びロール等を用い
て、各成分を加熱下で混練りすることにより得られる。
好ましい製造方法は二軸押出機を用いる方法である。各
成分を混練りする際は、一括して混練りしても、多段添
加式で混練りしてもよい
【0029】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射
出成形、シート押出、真空成形、異形押出及び発泡成形
等によって、自動車のバンパー等のボディの一部分、パ
ソコン、CD−ROM、DVD等の電気製品のハウジン
グをはじめとする各種成形品を得ることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
詳述するが、本発明は、その要旨を越えない限り下記に
掲げる実施例に何等制約されるものではない。尚、下記
の実施例及び比較例において部及び%は、特に断らない
限り重量部及び重量%である。
【0031】1.評価方法 本実施例において用いられる評価方法は以下のとおりで
ある。 (1)ポリブタジエン系ゴムの平均粒子径 ポリブタジエン系ゴムラテックス中のポリブタジエン系
ゴム分散粒子の平均粒子径は光散乱方法で測定した。測
定機器は、大塚電子株式会社製のLPA−3100を使
用し、70回積算でキュムラント法を用いて平均粒子径
を求めた。尚、ポリブタジエン系ゴムラテックス中のポ
リブタジエン系ゴム分散粒子の平均粒子径が樹脂中のグ
ラフト化分散粒子の平均粒子径と略同じ値を示すことは
電子顕微鏡で確認されている。
【0032】(2)共重合樹脂(A1)のグラフト率 本文中に詳細を記した。 (3)極限粘度 測定サンプル0.8gにアセトン25mlを加えて3時
間振とうし、その後、回転数15,000rpmで遠心
分離し、可溶分と不溶分を分離した。可溶分0.25g
をメチルエチルケトンに溶解し、30℃の温度条件によ
りウベローデ型粘度計で測定した。
【0033】(4)成形品表面における塗装後の美観評
価 外観による評価 射出成形機により射出圧力(ゲージ圧力)80〜120
kg/cm、成形温度240℃、金型温度50℃で、
150×150×2mmの平板成形品を得、次いで青色
の溶媒系塗料を塗布し、この塗料が硬化した後、表面荒
れが目立つかどうかで判断した。判断基準は以下の通り
である。 ○:塗装した塗料が硬化した後、表面荒れが全く目立た
ない。 △:塗装した塗料が硬化した後、表面荒れが目立つ。 ×:塗装した塗料が硬化した後、表面荒れが顕著。
【0034】(5)成形品におけるシャルピー衝撃強度
の評価 ISO179に準拠して測定した。単位はkJ/m
ある。尚、試験片の成形条件は外観評価用のものと同じ
である
【0035】(6)成形品の層状剥離の評価 上記(3)の塗装前の成形品のゲート付近を折り曲げ、
成形品が層状に剥離するか否かを目視により観察し、剥
離が起こらなかったものを「○」とし、剥離が起こった
ものを「×」として評価した。
【0036】(7)熱可塑性樹脂組成物の成形加工性の
評価 外観評価用金型、成形機を用いて、射出圧力(ゲージ圧
力)50kg/cm、成形温度220℃、金型温度5
0℃成形し、溶融樹脂の金型内の充填状態を観察し、完
全に充填したものを「○」、やや充填不足なものを
「△」、充填不足なものを「×」として評価した。 (8)成形品の光沢度の評価 上記(3)の塗装前の表面光沢度を下記の測定法で測定
した。スガ試験機株式会社製デジタル変角光沢計UGV
-4Dを用い、入射角60°で反射光を測定した。単位
は%である。
【0037】2.実施例で使用する材料の説明 (1)共重合樹脂(A1) ポリブタジエンラテックス(イ)(平均粒径6000オ
ングストローム、ゲル含量65重量%)8重量部(固形
分)とポリブタジエンラテックス(ロ)(平均粒径230
0オングストローム、ゲル含量85重量%)32重量部
(固形分)とからなるポリブタジエンゴム存在下に、ス
チレン45重量部、アクリロニトリル15重量部を乳化
重合した後、硫酸マグネシウムを用いて凝固させ、洗
浄、乾燥して共重合樹脂(A1)を得た。この共重合樹
脂(A1)のグラフト率は、60重量%、である。ま
た、溶媒としてメチルエチルケトンを使用して30℃で
測定したアセトン可溶分の極限粘度は、0.45dl/
gであった。
【0038】スチレン75重量部、アクリロニトリル2
5重量部を用いて、溶液重合にてスチレン−アクリロニ
トリル共重合体である共重合樹脂(A2)を得た。溶媒
としてメチルエチルケトンを使用して30℃で測定した
この重合体の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0039】(2)混合物〔B〕に使用するエチレン、
(メタ)アクリル酸エステル及び一酸化炭素共重合体
(B1)、(B2) 三井・デュポンポリケミカル株式会社製の以下のエルバ
ロイ(登録商標)を用いた。 B1−1;エルバロイHP443〔MFR値;8(g
/10分)〕 B1−2;エルバロイEP4051〔MFR値;12
(g/10分)〕 B2−1;エルバロイ741〔MFR値;35(g/
10分))〕 B2−2;エルバロイHP771〔MFR値;100
(g/10分)〕
【0040】3.実施例1、2、比較例1、2 下記表1に記載の上記成分ゴム強化樹脂〔A〕及び混合
物〔B〕を表1に示す配合割合でヘンシェルミキサーに
より3分間混合した後、ナカタニ機械株式会社製のNV
C型50mmベント付き押出機でシリンダ設定温度18
0〜220℃で溶融押出しし、熱可塑性樹脂組成物のペ
レットを得た。得られたペレットを十分に乾燥し、株式
会社日本製鋼所製の射出成形機J100−C5を用い各
試験片の成形条件で射出成形し、各種評価用試験片を得
た。この試験片を用いて上記評価法で評価した。評価結
果を下記表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】4.実施例の効果 実施例1〜3は、本発明の被塗装性熱可塑性樹脂組成物
であり、本発明の効果が得られている。一方、比較例
1、2は、(B)共重合体が1種のみの例であり、塗装
後の表面外観性が劣り、層状剥離の不良現象が生じる。
そして、成形品の表面光沢度が劣っている。比較例3
は、(B)共重合体を用いないものの例であり、塗装後
の表面外観、シャルピー衝撃性及び成形品の光沢度が劣
る。
【0043】
【発明の効果】本発明の被塗装性熱可塑性樹脂組成物
は、上記〔A〕ゴム強化樹脂と上記〔B〕混合物とを配
合したものであって、塗装後の表面外観性及び耐衝撃性
ともに優れ、更に層状剥離等の不良現象を効果的に防止
することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 康彦 東京都中央区京橋1丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 (72)発明者 山脇 一公 東京都中央区京橋1丁目18番1号 テクノ ポリマー株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BG042 BG052 BG062 BN031 BN041 BN051 BN061 BN111 BN141 BN151 BN171 GN00 GQ00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔A〕ゴム質重合体(a)の存在下に、
    芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)
    アクリル酸エステル、酸無水物系単量体及びマレイミド
    系化合物からなる群から選ばれた少なくとも2種の単量
    体(b)を重合して得られる共重合樹脂(A1)、又は
    該共重合樹脂(A1)と該単量体(b)の群から選ばれ
    る少なくとも1種を重合して得られる(共)重合樹脂
    (A2)との配合物から構成されてなるゴム強化樹脂
    と、 〔B〕メルトフローレート値の異なるエチレン、(メ
    タ)アクリル酸エステル及び一酸化炭素共重合体の少な
    くとも2種を含有する混合物と、を含み、 上記〔B〕混合物の含有量は、上記〔A〕ゴム強化樹脂
    を100重量部とした場合、3〜70重量部であること
    を特徴とする被塗装用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記単量体(b)は、上記芳香族ビニル
    化合物を必須成分とする請求項1に記載の被塗装用熱可
    塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記〔B〕混合物は、メルトフローレー
    ト値20(g/10分)未満の共重合体と20(g/1
    0分)以上の共重合体とを含有する請求項1又は2に記
    載の被塗装用熱可塑性樹脂組成物。
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