JP4003484B2 - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観、色調、耐衝撃性および剛性が物性バランスよく優れているゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ABSおよびハイインパクトポリスチレンに代表されるゴム強化熱可塑性樹脂は、各種物性と成形加工性とのバランスに優れた樹脂であり、自動車部品、電気機器部品および事務機器部品などの広範囲な用途で使用されている。
【0003】
ゴム強化熱可塑性樹脂の製造方法として、乳化グラフト重合した高ゴム含有重合体とゴムを含まない連続塊状重合あるいは懸濁重合により得られた重合体を溶融ブレンドする方法が一般的である。
【0004】
また、さらにゴム強化熱可塑性樹脂の色調、耐衝撃性、剛性等のバランスおよび生産性を高めるために、また透明性を有するゴム強化熱可塑性樹脂においてはその透明性を高めるために、我々は連続塊状重合または連続溶液重合プロセス中の溶融状態の重合体に高ゴム含有重合体を添加、混合する方法(特許3109378、特開2000−178405)を提供した。
【0005】
これらの方法により、ゴム強化熱可塑性樹脂中の高ゴム含有重合体の分散性を向上させることができたが、特に押出機内の溶融混連ゾーンでの専断力が小さい低粘度品種などの生産の場合に、高ゴム含有重合体の分散性不良による外観不良、および耐衝撃性、剛性等の物性バランスが未だ、わずかに不足する場合が見られた。
【0006】
このように、外観、色調、耐衝撃性および剛性等のバランス、さらには透明性が十分に優れたゴム強化熱可塑性樹脂はこれまで得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消し、外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらに、本発明を透明性を有する樹脂組成物に適用した場合には、その透明性がバランス良く優れている熱可塑性樹脂組成物、およびその効果的な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的の達成について鋭意検討した結果、特定の重合体に特定のゴム状重合体含有グラフト重合体を混合する場合に、特定の条件を満たす場合に外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらに、本発明を透明性を有する樹脂組成物に適用した場合には、その透明性がバランス良く優れている熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、ビニル系単量体を連続塊状重合または連続溶液重合せしめるプロセス中の溶融状態のビニル系重合体(A)10〜95重量部に対して、ゴム状重合体にビニル系単量体を共重合してなるグラフト共重合体(B)90〜5重量部を混合してなる樹脂組成物において、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)を混合する際、あらかじめグラフト共重合体(B)に対し、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)とを混合して得られた熱可塑性樹脂組成物からなるペレット状熱可塑性樹脂(C)0.1〜20重量部(対A+B=100重量部)を添加し、溶融または半溶融状態で混合した後ビニル系重合体(A)と混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で得られる熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体により耐衝撃性が付与された熱可塑性樹脂組成物であり、なかでも、ゴム質重合体に、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体;および、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体などを含むビニル系単量体を共重合したいわゆるABS樹脂または透明ABS樹脂を用いることが好ましい。
【0011】
本発明で用いるグラフト共重合体(B)としては、ゴム状重合体にビニル系単量体を共重合したグラフト共重合体が好ましい。
【0012】
本発明で用いるビニル系重合体(A)およびグラフト共重合体(B)を構成するビニル系単量体は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体であることが好ましく、芳香族ビニル系単量体を必須成分とする単量体が特に好ましく用いられる。
【0013】
本発明で用いるビニル系重合体(A)およびグラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体とは重合可能な二重結合を有する芳香族化合物であり、具体例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、プロピルスチレン、ブチルスチレンおよびシクロヘキシルスチレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビニルは、1種または2種以上の混合物で使用される。これら芳香族ビニル系単量体のうち、スチレンおよびα−メチルスチレンが特に好ましく用いられる。
【0014】
本発明で用いるビニル系重合体(A)およびグラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体とは、重合可能な二重結合およびシアノ基を有する化合物であり、具体例として、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げられる。これらのシアン化ビニル系単量体は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらシアン化ビニル系単量体のうち、アクリロニトリルが特に好ましく用いられる。
【0015】
本発明で用いるビニル系重合体(A)およびグラフト共重合体(B)を構成する不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体とは、重合可能な二重結合およびカルボキシル基を有するビニル系カルボン酸のアルキルエステル化合物であり、一般的にはα、βー不飽和カルボン酸アルキルエステルが用いられることが多い。なかでもアクリル酸アルキルエステル系単量体、メタクリル酸アルキルエステル系単量体などが挙げられる。エステル結合しているアルキル基はメチル基、エチル基、ブチル基などのほか、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基等の官能基を有するものでもよい。具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体は、1種または2種以上の混合物で使用される。これら不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的にはメタクリル酸メチルが特に好ましく用いられる。
【0016】
本発明で用いるビニル系重合体(A)およびグラフト共重合体(B)を構成するその他のビニル系単量体とはたとえばN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、メチル置換N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。なかでもN−フェニルマレイミドが特に好ましく用いられる。
【0017】
本発明で用いるグラフト共重合体(B)を構成するゴム状重合体とは、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどであり、具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレンージエンラバー、ポリ(エチレン−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)などが挙げられる。これらのゴム状重合体は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム状重合体のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、エチレン−プロピレンラバーが特に好ましく用いられる。
【0018】
本発明で用いるビニル系重合体(A)の好ましい例として、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられ、なかでもスチレン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましく用いられる。
【0019】
本発明で用いるグラフト共重合体(B)の好ましい例として、ポリブタジエンのスチレングラフト共重合体、ポリ(ブタジエン−スチレン)のスチレングラフト共重合体、ポリブタジエンのスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリ(ブタジエン−スチレン)のスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)のスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリブタジエンのスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチルグラフト共重合体、ポリ(エチレン−プロピレン)のスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体などが挙げられる。
【0020】
更に本発明の製造方法を、透明性を有する樹脂組成物の製造方法に適用した場合、その透明性が良好な樹脂組成物が得られる。特に、全光線透過率20%以上の樹脂組成物の製造方法に適用するとその効果が顕著である。
【0021】
なお、透明性を有する耐衝撃性樹脂組成物の場合、ビニル系重合体(A)の特に好ましい例としては、スチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、グラフト共重合体(B)の特に好ましい例としてはポリブタジエンのスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチルグラフト共重合体が挙げられる。
【0022】
本発明におけるビニル系重合体(A)の各単量体の使用割合は、特に制限はないが、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点からビニル系重合体(A)が、芳香族ビニル系単量体5〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%であることが好ましい。
【0023】
なかでも特に本発明におけるビニル系重合体(A)の各単量体の使用割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点から、芳香族ビニル系単量体20〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜80重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%とすることが好ましく、より好ましくは芳香族ビニル系単量体30〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜70重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜50重量%であり、さらに好ましくは芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜40重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜40重量%である。
【0024】
ただし、透明性を有する樹脂組成物の場合、ビニル系重合体(A)の屈折率が実質的にゴム状重合体と合致するようにビニル系重合体(A)の各単量体の使用割合を調整することが好ましい。具体的な範囲としてはビニル系重合体(A)とゴム状重合体の屈折率の差を0.03以下に抑えることが好ましく、0.01以下に抑えることがさらに好ましい。また、グラフト共重合体(B)を構成するグラフト成分とゴム状重合体との屈折率の差を0. 03以内、特に0. 01以内とすることが好ましい。
【0025】
具体的には透明性を有する樹脂組成物に用いる場合のビニル系重合体(A)の各単量体の使用割合は、芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、シアン化ビニル系単量体0〜35重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜50重量%とすることが好ましく、より好ましくは芳香族ビニル系単量体5〜55重量%、シアン化ビニル系単量体0〜25重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体45〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜40重量%である。
【0026】
本発明においてビニル系単量体を重合させてビニル系重合体(A)を製造する工程において連続塊状重合または連続溶液重合を行う方法は特に制限はなく、任意の方法が採用可能であり、例えば、重合槽で重合した後、脱モノマー(脱溶媒・脱揮)する方法をとることができる。
【0027】
重合槽としては、各種の撹拌翼、たとえばパドル翼、タービン翼、プロペラ翼、ブルマージン翼、多段翼、アンカー翼、マックスブレンド翼、ダブルヘリカル翼などを有する混合タイプの重合槽、または各種の塔式の反応器などが使用できる。また、多管反応器、ニーダー式反応器、二軸押出機などを重合反応器として使用することもできる(例えば、高分子製造プロセスのアセスメント10「耐衝撃性ポリスチレンのアセスメント」高分子学会、1989年1月26日発行などを参照)。これら重合槽類(反応器)は、1基(槽)または、2基(槽)以上で使用され、また必要に応じて2種類以上の反応器を組み合わせても使用される。なかでも、得られるビニル系重合体(A)の組成分布を狭くするという点からは、1槽式の完全混合型重合槽が好ましく選択される。
【0028】
これらの重合槽または反応器で重合して得られた反応混合物は、通常、次に脱モノマー工程に供され、モノマ、溶媒その他の揮発成分が除去される。脱モノマーの方法としては、ベントを有する一軸または二軸の押出機で加熱下、常圧または減圧下でベント穴より揮発成分を除去する方法、遠心型などのプレートフィン型加熱器をドラムに内臓する蒸発器で揮発成分を除去する方法、遠心型などの薄膜蒸発器で揮発成分を除去する方法、多管式熱交換器を用いて余熱、発泡して真空槽へフラッシュして揮発成分を除去する方法などがあり、いずれの方法も使用できるが、特にベントを有する一軸または二軸の押出機が好ましく用いられる。
【0029】
図1は、連続塊状重合し樹脂混合する方法により本発明法を実施するための装置の一実施態様を示す装置縦断面概略図であり、順に、ビニル系単量体を連続塊状重合してビニル系重合体(A)を製造するための反応槽(1)、重合して得られたビニル系重合体(A)を所定温度に昇温させるための予熱機(2)、および、脱モノマーのためのベント口(31)を有する二軸押出機型脱モノマー機(3)が連結されており、さらに、脱モノマー機に対してタンデムに、グラフト共重合体(B)添加用の二軸押出機型フィーダー(5)が接続されている。
【0030】
図1においては、反応槽(1)から連続的に供給される反応生成物は、予熱機(2)で昇温され、次いで、二軸押出機型脱モノマー機(3)に供給され、150〜280℃程度、常圧または減圧下で、ベント口(31)から単量体などの揮発成分が系外に除去される。この揮発成分の除去は、未反応単量体量が所定量、例えば10重量%以下、より好ましくは5重量%以下になるまで行なわれる。
【0031】
図1においては、脱モノマー機(3)の途中の下流側に近い位置に、フィーダー(5)からの添加口が開口していて、所定温度(例えば100〜220℃程度)のグラフト共重合体(B)が系内に添加される。このフィーダー(5)には加熱装置が配設されていて、添加されるグラフト共重合体(B)を半溶融もしくは溶融状態の所定温度に加熱しておくことが、混合状態を良くするために好ましい。例えば、スクリュー、シリンダー、スクリュー駆動部からなり、シリンダーは加熱・冷却機能を有する装置構造をとることが好ましい。また、このフィーダーとして、加熱装置を有する一軸又は二軸の押出機型のフィーダーを使用することができる。
【0032】
このグラフト共重合体(B)の供給口が接続された位置においては、未反応単量体の含有量が10重量%以下、より好ましくは5重量%以下まで低減していることが、その後の未反応単量体を除去する操作中におけるゴム成分の熱劣化を防止するために好ましい。
【0033】
二軸押出機型脱モノマー機(3)の溶融混練域(4)内でビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)とが溶融混合された後に、吐出口(6)から樹脂組成物が系外に吐出される。
【0034】
さらに上記溶融混練域(4)に水注入口(41)を設け、所定量の水を添加することが好ましく、注入された水および残存モノマーはさらに下流に設けられたベント口(42)から脱揮される。
【0035】
ビニル系重合体(A)の連続塊状重合または連続溶液重合は、開始剤を使用せずに熱重合することも、開始剤を用いて開始剤重合することも、さらに熱重合と開始剤重合を併用することも可能である。開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物などが用いられる。
【0036】
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサンが特に好ましく用いられる。
【0037】
アゾ系化合物の具体例として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。なかでも1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリルが特に好ましく用いられる。
これらの開始剤を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用される。
【0038】
本発明で用いるビニル系重合体(A)の重合度調節を目的として、メルカプタン、テルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能であり、その具体例として、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、テルピノレンなどが挙げられる。なかでも、特にn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
これらの連鎖移動剤を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用される。
【0039】
ビニル系重合体(A)を連続溶液重合法により製造する場合には、溶媒の量に特に限定はないが、生産性の点から、好ましくは重合溶液に対して30重量%以下、より好ましくは20重量%以下の溶媒量が使用される。用いる溶媒としては特に制限はないが、重合安定性の点からエチルベンゼンまたはメチルエチルケトンが好ましく、エチルベンゼンが特に好ましい。
【0040】
本発明で用いられるもう一方の構成成分であるグラフト共重合体(B)は、ゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体からなる単量体を乳化グラフト重合反応せしめた共重合体であることが好ましいが、全量がグラフトしている必要はなく、通常はグラフトしていない共重合体との混合物として得られたものを使用する。
【0041】
グラフト共重合体(B)のグラフト率に制限はないが、好ましくは5〜150%、より好ましくは10〜100%のものが使用される。ここでいうグラフト率とは、グラフト共重合体(B)を乾燥した後、アセトンで溶解し、不溶物を単離、秤量し、以下の式で求める。
【0042】
グラフト率(%)=(アセトン不溶分−ゴム状重合体重量)/ゴム状重合体重量×100グラフト共重合体(B)中のゴム状重合体の割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点から5〜80重量部が好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。
【0043】
グラフト共重合体(B)のゴム状重合体以外の各単量体の使用割合は、特に制限はないが、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点から芳香族ビニル系単量体5〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%であることが好ましい。
【0044】
なかでも特に本発明におけるグラフト共重合体(B)のゴム状重合体以外の各単量体の使用割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点から、芳香族ビニル系単量体10〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜80重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜40重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜40重量%である。
【0045】
なお、透明性を有する耐衝撃性樹脂組成物の場合、グラフト共重合体(B)中のゴム状重合体の割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度、色調および成形性の観点から5〜80重量部が好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。ゴム状重合体以外の各単量体の使用割合は、芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、シアン化ビニル系単量体0〜35重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜50重量%が好ましく、より好ましくは芳香族ビニル系単量体5〜55重量%、シアン化ビニル系単量体0〜25重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体45〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜40重量%である。
【0046】
グラフト共重合体(B)の製造方法としては特に制限はないが、物性バランスの点から乳化重合で製造されることが好ましい。通常乳化重合はゴム状重合体ラテックスの存在化に単量体を乳化グラフト重合する。この乳化グラフト重合に用いられる乳化剤に特に制限はなく、各種の界面活性剤が使用できるが、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が特に好ましく使用される。
【0047】
このような乳化剤の具体例としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリル酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、その他高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニールエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。ここでいう塩とはアルカリ金属塩、アンモニウム塩などであり、アルカリ金属塩の具体例としてはカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、などが挙げられる。これらの乳化剤は、1種または2種以上を併用して使用される。
【0048】
また、これら乳化グラフト重合で使用可能な開始剤および連鎖移動剤としては、前記ビニル系重合体(A)の製造であげた開始剤および連鎖移動剤が挙げられ、開始剤はレドックス系でも使用される。
【0049】
乳化グラフト重合で製造されたグラフト共重合体(B)は、次に凝固剤を添加してラテックス分を凝固させた後、グラフト共重合体(B)を回収する。
【0050】
凝固剤としては酸または水溶性塩が用いられ、その具体例として、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。これらの凝固剤は1種または2種以上の混合物で使用される。ラテックス分を凝固させて得られたグラフト共重合体(B)スラリーは、そのままもしくは脱水・洗浄工程を経てスラリーや含水ケークの形状で用いることも可能であるが、脱水・洗浄・再脱水・乾燥工程を経てパウダー形状とし、このパウダー形状で溶融状態にあるビニル系重合体(A)に添加することが工程における取り扱い性の点から好ましい。
【0051】
また、グラフト共重合体(B)は塊状重合法で製造することも可能である。
塊状重合法で製造する場合は、脱モノマー機から出た溶融状態にあるグラフト共重合体(B)を直接ビニル系重合体(A)に添加することも可能であるし、また、予め単離したグラフト共重合体(B)をビニル系重合体(A)に添加することも可能であるが、通常熱劣化防止および工程の連続化の点から脱モノマー機から出た溶融状態にあるグラフト共重合体(B)を直接添加することがより好ましい。
【0052】
本発明においてビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)の混合方法としては、連続塊状重合プロセス途中又は連続溶液重合プロセス途中の溶融状態にあるビニル系重合体(A)に、グラフト共重合体(B)を添加した後、溶融混合する方法が選択される。この方法を用いることにより初めて、色調、耐衝撃性および剛性等のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物をえることができる。
【0053】
またその際、溶融状態にあるビニル系重合体(A)10〜95重量部にグラフト共重合体(B)90〜5重量部を添加することが必要であり、好ましくはビニル系重合体(A)30〜95重量部にグラフト共重合体(B)70〜5重量部を添加した後に溶融混合する。グラフト共重合体(B)が5重量部未満であると得られる樹脂組成物が耐衝撃性に劣り、未反応単量体の残存量も多くなる。
一方、90重量部を越えると、得られる樹脂組成物の色調等が低下し、物性バランスが悪くなる。
【0054】
また、このグラフト共重合体(B)の添加は連続的に行うことが好ましい。この際のグラフト共重合体(B)の添加は、ビニル系重合体(A)の連続塊状重合プロセスの脱モノマー工程の途中もしくは脱モノマー工程の後で、残存モノマー量が10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下になった時点で行うことが、その後の脱モノマー操作中におけるゴム成分の熱履歴による劣化を抑制し、色調や耐衝撃性などをさらに良好とするために特に好ましい。
【0055】
グラフト共重合体(B)の添加方法には特に制限はなく、任意の方法で添加することが可能である。通常、各種のフィーダー類、例えばベルト式フィーダー、スクリュー式フィーダー、単軸押出機、二軸押出機などを用い連続的に添加されるが、ビニル系重合体(A)の脱モノマー押出機の部分に、その吐出端が接続された単軸押出機および二軸押出機が特に好ましく用いられる。これら連続添加装置には樹脂定量供給構造を有することが好ましい。また、連続添加装置は加熱装置を有していてグラフト共重合体(B)を半溶融もしくは溶融状態で添加することが、混合状態の向上のために好ましい。この目的には加熱装置を有している押出機などを使用することができる。
【0056】
本発明においては、溶融状態のビニル系重合体(A)に対してグラフト共重合体(B)を添加混合する際、あらかじめグラフト共重合体(B)に対し、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)とを混合して得られた熱可塑性樹脂組成物からなるペレット状熱可塑性樹脂(C)を添加して、溶融または半溶融状態で混合した後ビニル系重合体(A)と混合してなることを特徴とする。
この方法により、グラフト共重合体(B)を単独で溶融または半溶融状態にした場合のグラフト共重合体(B)同士の融着、再分散不良を抑制し、得られる熱可塑性樹脂組成物の外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらには透明性を高めることができる。
【0057】
本発明でいうところの「ペレット状熱可塑性樹脂」とは、一般に押出機などから溶融吐出された樹脂を冷却およびカッティングして得られるいわゆるペレットの外見を呈しているものであり、溶融/固化工程を経ていない、乳化重合/凝固などで得られるパウダー状樹脂や、懸濁重合などで得られるビーズ状樹脂などとは区別される。
【0058】
本発明におけるペレット状熱可塑性樹脂(C)の形状は特に制限はないが、本発明の特長である外観、色調、耐衝撃性および剛性等のバランス、さらには透明性を高めるために、その平均粒径が1〜10mmであることが好ましい。平均粒径がこの範囲にある場合に、ペレット状熱可塑性樹脂(C)をグラフト共重合体(B)に添加、混合する際の材料の送り性、混合状態が良好になることから、本発明の効果をさらに高めることができる。また、外観、色調、耐衝撃性および剛性等のバランス、さらには透明性の点からペレット状熱可塑性樹脂(C)の平均粒径は1.5〜7mmがより好ましく、1.8〜5mmが特に好ましく、2〜4mmが最も好ましい。平均粒径は、1つのペレットにつき、直交する3軸方向(縦、横、高さ)の長さを測定して平均したものをそのペレットの粒径とし、これを50個のペレットについてさらに平均したものとして求めた。
【0060】
ペレット状熱可塑性樹脂(C)は、グラフト共重合体(B)およびビニル系重合体(A)に対する相溶性の点から、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)とを混合して得られる熱可塑性樹脂組成物自体の一部を、連続的または間欠的に、あるいはその全部を間欠的に取り出したものである。
【0061】
ペレット状熱可塑性樹脂(C)を供給する設備としては特に制限はないが、得られる熱可塑性樹脂組成物を製品として搬送するラインからその一部を連続的または間欠的に、あるいはその全部を間欠的に横取りする設備、横取りしたペレット状熱可塑性樹脂(C)を貯蔵する設備、およびグラフト共重合体(B)を溶融状態のビニル系重合体(A)に対して供給するフィーダー類へ連続的に供給する設備を複合してなることが好ましい。
【0062】
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の添加量としては特に制限はないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらには透明性の点、および生産性の点からグラフト共重合体(B)に対して5〜40重量%が好ましく、特に好ましくは10〜25重量%である。
【0063】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、各種エラストマー類を加えて成形用樹脂としての性能を改良することもできる。また、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、帯電防止剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料等を添加することもできる。更に、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。これら添加物の添加方法については特に制限はなく、グラフト共重合体(B)とともに連続的に添加することも可能であり、またビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)との混合ペレットを作成した後に後工程として添加する等の種々の方法を用いることができる。
【0064】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
なお、本実施例で用いた%および部は各々重量%および重量部を示す。
【0065】
また、本実施例における物性値は、次の方法により測定した。
A.ペレットのYI値:スガ試験機(株)製色差計を用いてイエローネス・インデックス(YI値)を測定した。
B.アイゾット衝撃強度:ASTM−D256に準じて測定した。
C.引張り強度:ASTM−D638に準じて測定した。
D.未反応単量体含有量の定量:ガスクロマトグラフィにより測定した。
E.屈折率:測定するサンプルに1−ブロモナフタレンを少量滴下し、アッベ屈折計を用いて測定した(光源:ナトリウムランプD線、測定温度:20℃)。
F.透明性(全光線透過率):80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度250℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、即時に成形した角板成形品(厚さ3mm)の全光線透過率[%]を東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して測定した。
G.外観:加熱プレス機で220℃に温調した上下金型間にペレット30gをはさみ、3分間保持した後、溶融したサンプルの端を引張り、フィルム状に成形したものを用い、ブツ(フィッシュアイ)の量で優(◎)、良(○)、可(△)、不良(×)として目視で評価した。判定の基準は、単位面積(1cm2)あたりの0.2mm2以上の大きさのブツの個数で表し、優:0.2(個/cm2)以下、良:0.2〜0.6(個/cm2)、可:0.6〜1(個/cm2)、不可:1(個/cm2)以上、とした。
H.還元粘度(ηsp/c):試料を80℃で4時間真空乾燥し、0.4g/100mlメチルエチルケトン溶液として、ウベローデ粘度計を用い、30℃で測定した。
参考例1(グラフト共重合体(B)の製造法)
ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子系0.3μm、ゲル含率85%)50部(固形分換算)、純水200部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄(0.01部)およびリン酸ナトリウム0.1部を反応容器に仕込み、窒素置換後65℃に温調し、撹拌下スチレン35部、アクリロニトリル15部およびn−ドデシルメルカプタン0.3部の混合物を4時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25部、乳化剤であるラウリン酸ナトリウム2.5部および純水25部の混合物を5時間かけて連続滴下し、滴下終了後さらに1時間保持して重合を終了させた。
【0066】
重合を終了したラテックスを1.5%硫酸で凝固し、次いでアルカリで中和、洗浄、遠心分離、熱風乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体(B−1)を調整した。
【0067】
参考例2〜4(グラフト共重合体(B)の製造法)
参考例1と同様にして、表1、2に示したゴム状重合体の存在下にスチレンおよび他のビニル系単量体との混合物を重合して表1、2に示した組成を有するグラフト共重合体(B−2〜4)を製造した。なお表1、2中のPBDとは参考例1で使用したのと同じポリブタジエンゴムを表す。
【0068】
参考例5(ペレット状熱可塑性樹脂(C)の製造法)
ヘリカルリボン翼を有する完全混合タイプの反応槽と予熱機、脱モノマー機および脱モノマー機の先端から1/3長のバレル部にタンデムに接続した、加熱装置を有する2軸押出機型フィーダーからなる連続式塊状重合装置を用い、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびn−オクチルメルカプタン0.15部からなる単量体を150kg/hで連続的に供給し連続塊状重合させた。
【0069】
重合槽出のポリマーの重合率は、75〜76%の間で制御して運転した。重合反応混合物は、単軸押出機型脱モノマー機により未反応の単量体をベント口より減圧蒸発回収した後、ストランド状に吐出させカッターによりペレット状熱可塑性樹脂(C−1)を得た。回収したモノマーは重合槽へ連続的に還流させた。得られたペレット状熱可塑性樹脂(C−1)の平均粒径は2.4mmであった。
【0070】
【表1】
Figure 0004003484
【0071】
【表2】
Figure 0004003484
【0072】
実施例1
ヘリカルリボン翼を有する完全混合タイプの反応槽と予熱機、脱モノマー機および脱モノマー機の先端から1/3長のバレル部にタンデムに接続した、加熱装置を有する2軸押出機型フィーダーからなる連続式塊状重合装置を用い、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびn−オクチルメルカプタン0.15部からなる単量体を150kg/hで連続的に供給し連続塊状重合させた。
【0073】
重合槽出のポリマーの重合率は、75〜76%の間で制御して運転した。重合反応混合物は、単軸押出機型脱モノマー機により未反応の単量体をベント口より減圧蒸発回収し脱モノマー機の先端より1/3の所で見掛け上の重合率が99%以上に上昇した。回収したモノマーは重合槽へ連続的に還流させた。このスチレン/アクリロニトリル共重合体に2軸押出機型フィーダーよりフェノール系の安定剤であるt−ブチルヒドロキシトルエン0.15kg/hおよびリン系の安定剤であるトリ(ノニルフェニル)ホスファイト0.15kg/hと共に参考例1で製造したグラフト共重合体(B−1)を65kg/hの速度で連続的に供給し、前記脱モノマー機でスチレン/アクリロニトリル共重合体と溶融混練した後、ストランド状に吐出させカッターにより熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
【0074】
この際、得られた熱可塑性樹脂組成物を間欠的に横取りし、容量0.5m3のホッパに貯蔵、これをペレット状熱可塑性樹脂(C−2)としてここからグラフト共重合体を供給する前述の2軸押出機型フィーダーに9kg/hで連続的に投入、グラフト共重合体と共に半溶融状態で混練しながら脱モノマ機に供給した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。ペレット状熱可塑性樹脂(C−2)の平均粒径は2.6mmであった。
【0075】
参考例6
表3に示した組成のモノマを供給し、参考例1で製造したグラフト共重合体(B−1)を表3に示した条件で供給し、実施例1と同様に製造した。この際、ペレット状熱可塑性樹脂(C)として参考例5で製造した熱可塑性樹脂(C−1)をホッパに投入して使用した以外は実施例1と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。
【0076】
実施例2
表3に示した組成のモノマを供給し、参考例2で製造したグラフト共重合体(B−2)を表3に示した条件で供給し、実施例1と同様に製造した。この際、得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット状熱可塑性樹脂(C−3)として実施例1と同様に使用した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。ペレット状熱可塑性樹脂(C−3)の平均粒径は3.0mmであった。
【0077】
実施例3,4
表4に示した組成のモノマを供給し、参考例3,4で製造したグラフト共重合体(B−3,4)を表4に示した条件で供給し、実施例1と同様に製造した。この際、得られた熱可塑性樹脂組成物を用いてそれぞれペレット状熱可塑性樹脂(C−4,5)として実施例1と同様に使用した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。ペレット状熱可塑性樹脂(C−4,5)の平均粒径はそれぞれ2.7mm、2.9mmであった。
【0078】
比較例1
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の横取り、フィーダーへの供給を行わなかった以外は実施例1と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。
【0079】
比較例2
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の代わりに懸濁重合で製造したビーズ状スチレン/アクリロニトリル共重合体(C−6;アクリロニトリル含量30重量%、ηsp/c=0.6dl/g、平均粒径0.5mm)をホッパに投入して用いた他は実施例1と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。
【0080】
比較例3
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の横取り、フィーダーへの供給を行わなかった以外は実施例と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示した。
【0081】
比較例4
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の横取り、フィーダーへの供給を行わなかった以外は実施例と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0082】
比較例5
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の代わりに懸濁重合で製造したビーズ状スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体(C−7;スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル=23/8/69重量%、ηsp/c=0.5dl/g、平均粒径0.5mm)をホッパに投入して用いた他は実施例と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0083】
比較例6
ペレット状熱可塑性樹脂(C)の横取り、フィーダーへの供給を行わなかった以外は実施例と同様に製造した。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0084】
実施例1〜のとおり、本発明で特定した熱可塑性樹脂組成物は、外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらには透明性がバランス良く優れていることがわかる。
【0085】
しかし、比較例1〜6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、本発明で特定した範囲外であったため、外観、色調、耐衝撃性および剛性、あるいは透明性のいずれかが劣ることがわかる。
【0086】
【表3】
Figure 0004003484
【0087】
【表4】
Figure 0004003484
【0088】
【発明の効果】
本発明によると、外観、色調、耐衝撃性および剛性、さらに、本発明を透明性を有する樹脂組成物に適用した場合には、その透明性がバランス良く優れている熱可塑性樹脂組成物を得ることができ、また、この熱可塑性樹脂組成物を効果的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するための装置の一実施態様を示す装置縦断面概略図である。
【符号の説明】
1:反応槽 11:ヘリカルリボン翼 2:予熱機
3:脱モノマー機 31: ベント口
4:溶融混練域 41: 水注入口 42: ベント口
5:フィーダー 6:吐出口

Claims (10)

  1. ビニル系単量体を連続塊状重合または連続溶液重合せしめるプロセス中の溶融状態のビニル系重合体(A)10〜95重量部に対して、ゴム状重合体にビニル系単量体を共重合してなるグラフト共重合体(B)90〜5重量部を混合してなる樹脂組成物において、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)を混合する際、あらかじめグラフト共重合体(B)に対し、ビニル系重合体(A)とグラフト共重合体(B)とを混合して得られた熱可塑性樹脂組成物からなるペレット状熱可塑性樹脂(C)0.1〜20重量部(対A+B=100重量部)を添加し、溶融または半溶融状態で混合した後、ビニル系重合体(A)と混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. ペレット状熱可塑性樹脂(C)の平均粒径が、1〜10mmである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. ペレット状熱可塑性樹脂(C)が、ゴム質重合体を0〜30重量%含有してなる請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. グラフト共重合体(B)のゴム状重合体が、ジエン系ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. ビニル系重合体(A)が、芳香族ビニル系単量体5〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%からなるビニル系単量体を重合して得られたものであり、かつグラフト共重合体(B)が、ゴム状重合体5〜80重量部の存在下に芳香族ビニル系単量体5〜100重量%、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体0〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜60重量%からなる単量体95〜20重量部をグラフト重合して得られる請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
  6. ビニル系重合体(A)が、芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、シアン化ビニル系単量体0〜35重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜50重量%からなるビニル系単量体を重合して得られた溶融状態のビニル系共重合体であり、グラフト共重合体(B)が、ゴム状重合体5〜80重量部の存在下に芳香族ビニル系単量体5〜70重量%、シアン化ビニル系単量体0〜35重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体30〜95重量%およびこれらと共重合可能なその他のビニル系単量体0〜50重量%からなる単量体95〜20重量部を乳化グラフト重合して得られるグラフト共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
  7. 得られた熱可塑性樹脂組成物の全光線透過率が20%以上である請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
  8. ビニル系単量体の重合に続いて脱モノマーを行うことによりビニル系重合体(A)を製造する工程における脱モノマー工程の途中もしくは脱モノマー工程の後、溶融状態のビニル系重合体(A)に、グラフト共重合体(B)およびペレット状熱可塑性樹脂(C)の混合物を添加する請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. ビニル系重合体(A)に添加される時のグラフト共重合体(B)およびペレット状熱可塑性樹脂(C)の混合物が半溶融もしくは溶融状態である請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  10. ビニル系重合体(A)の連続塊状重合または連続溶液重合の脱モノマー工程がベント付きの単軸または二軸の押出機であり、グラフト共重合体(B)およびペレット状熱可塑性樹脂(C)の混合物の連続添加装置がビニル系重合体(A)の脱モノマー押出機に接続した単軸または二軸の押出機である請求項またはに記載の樹脂組成物の製造方法。
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