JP3443753B2 - 熱可塑性樹脂、その製造方法およびこれを含む樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂、その製造方法およびこれを含む樹脂組成物

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JP3443753B2 JP22708994A JP22708994A JP3443753B2 JP 3443753 B2 JP3443753 B2 JP 3443753B2 JP 22708994 A JP22708994 A JP 22708994A JP 22708994 A JP22708994 A JP 22708994A JP 3443753 B2 JP3443753 B2 JP 3443753B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂、その製
造方法およびこれを含む樹脂組成物に関する。さらに詳
しくは、耐薬品性、低温での耐ストレスクラッキング
性、成形品は光沢、色調などの外観に優れ、層状剥離を
起こさない優れた特製を発揮する、特定の(メタ)アク
リル系共重合体の存在下スチレン系単量体をグラフト重
合させて得られる熱可塑性樹脂、その製造方法およびこ
の熱可塑性樹脂と別種のスチレン系樹脂を含む熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、安価で成形性が良い
ため、汎用樹脂として用いられている。例えば、共役ジ
エン系重合体ラテックスのようなゴム質重合体の存在
下、硬質樹脂成分となる例えばスチレン、アクリロニト
リルなどの単量体混合物を重合させることによって得ら
れるABS樹脂などの樹脂組成物は、耐衝撃性、耐薬品
性に優れた成形材料として、電気製品のハウジングをは
じめ、各種の用途に使用されている。しかしながら、A
BS樹脂組成物よりなる成形品は、応力を負荷した状態
で薬品と接触すると、成形品表面に亀裂が発生し、極端
な場合は破断する場合があるため、用途が制約されてい
る。
【0003】これらの性質において優れた樹脂材料を得
るため、ABS樹脂中のアクリロニトリル成分の含有割
合を高める方法(例えば、特開昭47−5594号公
報)、ABS樹脂にアクリルゴム/スチレン/アクリロ
ニトリル共重合体(ASA樹脂)を混合する方法(特公
昭54−40285号公報、特公昭63−428460
号公報、特公昭63−22222号公報)、ABS樹脂
にアクリル酸エステル系重合体を混合する方法(特公昭
63−22222号公報)、特徴ある2種類のグラフト
重合体を混合する方法(特公昭57−22064号公
報、特開平2−175745号公報)などが提案されて
いる。
【0004】しかしながら、これらの技術は存在する課
題に対し、それなりに解決を与えているので有意義であ
ると言えるが、本発明者らが知る限りでは、完全に満足
できるものではない。すなわち、提案された方法のう
ち、特開昭47−5594号公報、特公昭54−402
58号公報、特公昭63−22222号公報、特公昭6
3−28460号公報などでは、射出成形品の表面状態
に不良現象、例えば、フローマークと言われる表面外観
不良、または、表面剥離現象が観察されることがあり、
また押出成形品の表面にダイバンドと言われる表面外観
不良が観察されることがあるなど、いずれも商品価値を
低下させ、使用上問題になることがあった。
【0005】また、特公昭57−22064号公報およ
び特開平2−175745号公報に提案されているもの
は、耐薬品性において不充分であり、より耐薬品性が要
求される分野では、同様に使用上問題になることがあっ
た。成形品の外観、層状剥離現象などは、アクリル酸エ
ステル系重合体を架橋させることにより改良することが
できるが、耐薬品性を改良することはできなかった。
【0006】より厳しい条件での使用例として、電気冷
蔵庫の内箱の用途が挙げられる。最近のオゾン層破壊の
問題に伴って、電気冷蔵庫の断熱層を形成する際に使用
されている発泡剤のフロンが、スチレン系樹脂へのケミ
カルアタック性が強いCFC−141bに変更されたた
め、より優れた耐薬品性と、低温での優れた耐ストレス
クラッキング性を備え、同時に、優れた光沢、色調など
を兼ね備えた成形品が得られる材料が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐薬
品性、低温での耐ストレスクラッキング性などに優れ、
層状剥離を起こさず、光沢、色調などの外観においても
優れた成形品が得られる熱可塑性樹脂、その製造方法お
よびこの熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明においては、アルキル基の炭
素数が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルと、これに対して0.01〜10重量%のクロロメチ
ル基を有するビニル単量体とを含有する単量体混合物
を、ラジカル重合することにより得られた(メタ)アク
リル系共重合体の存在下、芳香族ビニル単量体を含有す
る単量体混合物をグラフト重合させてなる熱可塑性樹脂
とする、という手段を講じているものである。また、請
求項3に記載の発明においては、(メタ)アクリル系共
重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体を含有する単量
体混合物をグラフト重合させることにより熱可塑性樹脂
を製造するにあたり、前記(メタ)アクリル系共重合体
として、アルキル基の炭素数が2〜12個の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルと、これに対して0.01〜
10重量%のクロロメチル基を有するビニル単量体とを
含有する単量体混合物を、ラジカル重合することにより
得られた(メタ)アクリル系共重合体を用いる、という
手段を講じているものである。さらに、請求項4に記載
の発明においては、アルキル基の炭素数が2〜12個の
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これに対して
0.01〜10重量%のクロロメチル基を有するビニル
単量体とを含有する単量体混合物をラジカル重合するこ
とにより得られた(メタ)アクリル系共重合体の存在
下、芳香族ビニル単量体を含有する単量体混合物をグラ
フト重合させる熱可塑性樹脂(A)と、この熱可塑性樹
脂(A)とは異なるスチレン系樹脂(B)とを、主とし
て含有させる、という手段を講じているものである。
【0009】[発明の具体的説明]以下、本発明を詳細
に説明する。 [1]熱可塑性樹脂(A) 本発明の請求項1に記載の発明は、アルキル基の炭素数
が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
と、これに対して0.01〜10重量%のクロロメチル
基を有するビニル単量体とを含有する単量体混合物を、
ラジカル重合することにより得られた(メタ)アクリル
系共重合体の存在下、芳香族ビニル単量体を含有する単
量体混合物をグラフト重合させてなる熱可塑性樹脂
(A)である。
【0010】(1)(メタ)アクリル系共重合体 熱可塑性樹脂(A)を構成する(メタ)アクリル系共重
合体は、グラフト重合させる場合のゴム質基体としての
機能を果たすものであり、アルキル基の炭素数が2〜1
2個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、クロロ
メチル基を有するビニル単量体とを必須とする。アクリ
ル酸アルキルエステルの具体例としては、エチルアクリ
レート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、i−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘ
キシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート等が挙げられる。中でも特に
好ましいのは、炭素数が4〜8個の一価アルコールとア
クリル酸とのエステル化合物である。
【0011】メタクリル酸アルキルエステルの具体例と
しては、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレ
ート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシル
メタクリレート等が挙げられる。中でも特に好ましいの
は、炭素数が6〜12個の一価アルコールとメタクリル
酸とのエステル化合物である。これらエステル化合物
は、一種でも二種以上の混合物であってもよい。
【0012】クロロメチル基を有するビニル単量体は、
ビニルエーテル、アリルエーテル、(メタ)アクリロイ
ルオキシ、ビニルエステル、アリルエステル、スチリル
などのビニル基を有し、かつ、例えばクロロメチルアル
キル、クロロアセチル、クロロベンジルなどのクロロメ
チル基を有する単量体であればよい。これら単量体は、
更に、ヒドロキシル基やアルコキシル基などの官能基を
有していてもよい。これらの具体例としては、クロロメ
チルスチレン、クロロエチルビニルエーテル、クロロメ
チルアリルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸ア
リル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ートなどが挙げられる。
【0013】(メタ)アクリル系共重合体は、上記の二
種類の成分を必須とするが、必要に応じ、他の共重合性
単量体および多官能性ビニル単量体を含むことができ
る。他の共重合性単量体の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどの芳香族
ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
などのシアン化ビニル単量体、アクリルアマイド、メタ
クリロアマイド、塩化ビニリデン、アルキル(炭素数1
〜6程度)ビニルエーテルなどが挙げられる。これら他
の共重合性単量体は、一種でも二種以上の混合物であっ
てもよい。
【0014】多官能性ビニル単量体は、(メタ)アクリ
ル系共重合体を架橋する機能を果たすもので、単量体一
分子中に2個以上のビニル基を有する単量体を言う。多
官能性ビニル単量体の具体例としては、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルトルエンなどの芳香族多官能性ビニル単量
体、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレートなどの多価アルコールの
メタクリレート、およびアクリレート、ジアリルマレー
ト、ジアリルフマレート、トリアリルイソシアヌレー
ト、アリルメタクリレート、アリルアクリレートなどが
挙げられる。これら多官能性ビニル単量体は、一種でも
二種以上の混合物であってもよい。
【0015】(メタ)アクリル系共重合体は、クロロメ
チル基を有するビニル単量体の割合を、0.01〜10
重量%の範囲で選ぶ必要がある。この単量体の割合が
0.01重量%未満であると、グラフト基点の数が少な
く、光沢、層状剥離を十分に改良することができない
し、他方、この単量体の割合が10重量%を越える場合
は、この単量体を含ませた効果が飽和するばかりでな
く、コスト高になるので、いずれも好ましくない。他の
共重合性単量体を使用する場合は、30重量%までの範
囲で選ぶことができ、多官能性ビニル単量体を使用する
場合は、3重量%以下の範囲で選ぶことができる。
【0016】(メタ)アクリル系共重合体は、次の手順
で製造するのが好ましい。重合缶に、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体とクロロメチル基を有するビ
ニル単量体との単量体混合物の一部または全部を仕込
み、必要に応じ、重合開始剤、分子量調節剤、他の共重
合性単量体および/または多官能性ビニル単量体を共存
させ、公知の重合法で重合する。重合法は、乳化重合
法、乳化−懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法、塊状
−懸濁重合法などが挙げられる。中でも、乳化重合法に
よると、粒子径、粒子構造、反応温度の調節などが容易
であるので好適である。なお、上記単量体、重合開始
剤、分子量調節剤などを重合缶に仕込む方式は、一括仕
込み、分割仕込み、連続仕込みなどいずれであってもよ
い。単量体混合物をあと仕込みする場合、単量体混合物
の割合は、初期、中期、後期で変えることもできる。重
合開始剤は、ラジカル重合開始剤として知られている有
機、無機の過酸化物の他、これらと還元剤を組合せたい
わゆるレドックス系の開始剤が用いられる。共重合体を
乳化重合法によって製造する際は、従来から使用されて
いる乳化剤が特に制約なく使用できる。
【0017】(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均
粒子径が0.05〜0.50μmの範囲であるのが好ま
しい。0.05μm未満では、最終的に得られる樹脂組
成物の耐衝撃性が劣り、成形加工性にも優れず、好まし
くない。0.50μmを越える場合には、樹脂組成物か
ら得られる成形品の外観が優れないので好ましくない。
上記範囲で特に好ましいのは、0.10〜0.40μm
の範囲であり、多官能性ビニル単量体を使用した時に、
耐衝撃性、成形加工性、成形品の外観などの改良効果が
特に顕著である。なお、(メタ)アクリル系共重合体の
重量平均粒子径は、米国コールター社製の「N4S」に
よって測定したものに基づく。
【0018】(2)グラフト重合 熱可塑性樹脂(A)は、上記の(メタ)アクリル系共重
合体の存在下、芳香族ビニル単量体を含有する単量体混
合物をグラフト重合させることによって得られる。芳香
族ビニル単量体を含有する単量体混合物とは、芳香族ビ
ニル単量体のみよりなるほか、これと共重合可能な単量
体との混合物をも含む意味である。芳香族ビニル単量体
の具体例としては、スチレンが代表的であり、このほか
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、核ハロゲン化スチレ
ン、低級アルコキシスチレン、トリフルオロメチルスチ
レンなどが挙げられる。本発明は、これら例示したもの
に限定されるものではない。芳香族ビニル単量体と共重
合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、
アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級ア
ルキルエステルなどが挙げられる。低級アルキルは、炭
素数1〜10の範囲が好ましい。共重合可能な単量体
は、一種でも二種以上の混合物であってもよい。単量体
混合物は、芳香族ビニル単量体を主成分とし、共重合可
能な単量体は50重量%程度まで使用できる。
【0019】グラフト重合する際には、上記の(メタ)
アクリル系共重合体100重量部(固形分基準)に対し
て、芳香族ビニル単量体を含有する単量体混合物を20
〜900重量部の範囲で選ぶのが好ましい。単量体混合
物が少なすぎると、最終的に得られる樹脂組成物からは
外観の優れた成形品が得られず、逆に多すぎると十分な
耐薬品性が発揮されない。上記範囲の中では、100〜
550の範囲が特に好ましい。
【0020】グラフト重合は、塊状重合法、塊状−懸濁
重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、溶液重合法な
どの公知の方法によって行われる。中でも、乳化重合法
によると、反応温度の調節、重合操作性などが容易であ
るので好適である。グラフト重合を行う際には、必要に
応じ、重合開始剤、分子量調節剤などを使用することも
できる。上記単量体混合物、重合開始剤、分子量調節剤
などを重合缶に仕込む方式は、一括仕込みでもよいが、
分割仕込み、連続仕込み、いずれでもよい。単量体混合
物をあと仕込みする場合、単量体混合物の割合は、初
期、中期、後期で異なっていてもよい。重合開始剤は、
ラジカル重合開始剤として知られている有機、無機の過
酸化物の他、これらと還元剤を組合せたいわゆるレドッ
クス系の開始剤が用いられる。共重合体を乳化重合法に
よって製造する際は、従来から使用されている乳化剤が
特に制約なく使用できる。
【0021】上記の手順でグラフト重合を行うと、ゴム
質基体の(メタ)アクリル系共重合体に、芳香族ビニル
単量体を含有する単量体混合物の一部がグラフトしたグ
ラフト重合体と、芳香族ビニル単量体を含有する単量体
混合物より得られる共重合体との混合物よりなる熱可塑
性樹脂(A)が得られる。後者の共重合体は、熱可塑性
樹脂(A)で連続層であるグラフトしていない硬質樹脂
成分となる。
【0022】[2]熱可塑性樹脂(B) 上記の熱可塑性樹脂(A)は、それ自体で成形材料とし
て使用可能であるので、用途によってはそのまま成形材
料に使用することができる。しかし、クロロメチル基を
有するビニル単量体が高価であるので、この単量体成分
含有率が高いものをそのまま成形材料に使用するのは不
利である。通常は、クロロメチル基を有するビニル単量
体含有率の高い熱可塑性樹脂(A)に、熱可塑性樹脂
(A)とは異なるスチレン系樹脂(B)を配合して成形
材料に供される。
【0023】熱可塑性樹脂(A)とは異なるスチレン系
樹脂(B)としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチ
レン、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合
体)、SMA樹脂(スチレン−無水マレイン酸共重合
体)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタヂエン−ス
チレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−ア
クリル酸エステル−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体)、
耐熱性ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタヂエン−ス
チレン−α−メチルスチレン共重合体)、超耐熱性AB
S樹脂(アクリロニトリル−ブタヂエン−スチレン−フ
ェニルマレイミド共重合体)、MABS樹脂(メチルメ
タクリレート−アクリロニトリル−ブタヂエン−スチレ
ン共重合体)などが挙げられる。これらは、一種でも二
種以上の混合物であってもよい。
【0024】熱可塑性樹脂(A)とスチレン系樹脂
(B)との配合量は、樹脂組成物の用途により異なる
が、通常、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、
スチレン系樹脂(B)1〜300重量部の範囲で選ばれ
る。これら熱可塑性樹脂は、粉末、ビーズ、フレーク、
またはペレット状を呈するものを、二種以上、一軸押出
機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、
二本ロールなどの混練機によって、目的の熱可塑性樹脂
組成物とすることができる。また、場合によっては、重
合を終えたこれら共重合体の二種以上を、未乾燥のまま
混合し、析出し、洗浄し、乾燥して、混練する方法を採
ることもできる。
【0025】熱可塑性樹脂(A)とスチレン系樹脂
(B)とよりなる熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目
的を損なわない範囲で、必要に応じ、熱可塑性樹脂
(A)やスチレン系樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂、無
機充填剤、金属粉末、補強材、可塑剤、相容化剤、熱安
定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、帯電防
止剤、滑剤、難燃剤などの各種樹脂添加剤を、適宜組合
せて添加することができる。
【0026】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、耐薬
品性、低温での耐ストレスクラッキング性、光沢、色
調、成形外観が優れ、層状剥離を起こさない優れた特性
を有しているので、特に耐薬品性、低温での耐ストレス
クラッキング性が要求される用途、例えば、電気冷蔵庫
の内箱材料などの電気部品および各種工業部品として、
使用することができる。適用できる成形法は、射出成形
法、押出成形法、圧縮成形法、中空成形法、差圧成形
法、などの公知の各種成形法である。
【0027】以下に、本発明を実施例、比較例に基づい
て更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、
以下の例において、「部」とは重量部を意味するもので
あり、熱可塑性樹脂組成物の物性は、次の方法によって
測定した。
【0028】(1)ゴム成分の平均粒子径 米国コールター社製の「N4S」によって測定した。重
量平均粒子径を意味し、単位はμm。 (2)引張り強度 JIS K7113に準拠して測定した。単位:Kg/cm2 (3)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠して測定した。単位:Kg-cm/
cm (4)外観 射出成形法によって試験片(厚さ2.5mm、幅75mm、
長さ160mm)を製造し、この試験片の表面につきフロ
ーマークの有無を目視観察した。判定結果は、次のよう
に表示した。 ◎:フローマークがほとんど認められない。 ○:フローマークが認められない。 △:フローマークが少し認められる。 ×:フローマークがかなり認められる。
【0029】(5)光沢 上記(4)外観試験に使用したと同種の試験片につき、
日本電色工業社製の変角光沢計(VGS-300A型)を用い、
入射角60度として各10点で光沢値を測定し、その平
均値を算出した。 (6)黄色度 上記(4)外観試験に使用したと同種の試験片につき、
スガ試験機社製のS&MColour Computer Model SM−
4を用いて、黄色度(YI)を測定した。 (7)耐薬品性 圧縮成形法によって製造した試験片(厚さ2mm、幅35
mm、長さ230mm)を、ベンデイングフォーム法によっ
て、23℃の温度で、HCFC−141b雰囲気下に1
7時間放置したときの亀裂が発生した臨界歪値を測定
し、耐薬品性を判定した。判定結果は、次のように表示
した。 ◎:臨界歪値が0.8%を超え、耐薬品性が極めて良好
である。 ○:臨界歪値が0.8〜0.6%で、耐薬品性が良好で
ある。 △:臨界歪値が0.6〜0.4%で、耐薬品性がやや不
良である。 ×:臨界歪値が0.4%未満で、耐薬品性が不良であ
る。
【0030】(8)低温白化発生歪値 圧縮成形法によって、長さ115mm、広幅部30mm、狭
幅部10mm、厚さ1mm、狭幅部の長さ50mmの大きさの
ダンベル型試験片を成形した。この試験片の狭幅部の片
面に、HCFC−141bを発泡剤として用いてin-sit
u 発泡法で硬質ポリウレタンフォームを、幅10mm、厚
さ10mm、長さ50mmに接着した。この試験片を、温度
23℃で引張り歪を負荷した状態で治具に固定し、温度
を−20℃まで冷却し、この温度で17時間維持した後
に試験片の硬質ポリウレタンフォームを接着した面の裏
側面に、クレイズまたはクラック発生の有無を目視観察
した。数値が小さいほど低温白化しやすく、数値が大き
いほど低温白化し難いことを意味する。
【0031】(9)層状剥離性 射出成形法によって、厚さ2mm、幅30mm、長さ90mm
で、長さ方向の一端中央部にゲートを有する成形品を製
造した。成形品につき、ゲート部分を手で折り、折った
部分の状態を目視観察し、層状剥離性を判定した。判定
結果は、次のように表示した。 ◎:全く剥離しない。 ○:ほとんど剥離しない。 △:若干剥離する。 ×:かなり剥離する。
【0032】熱可塑性樹脂(A)の製造 1.(メタ)アクリル系共重合体の製造 A1−1 攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、および原料・助剤仕
込み装置を備えた容量5リッターのガラス製フラスコ
に、脱イオン水151部、高級脂肪酸石鹸(炭素数18
を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)2部、炭酸水素
ナトリウム1部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、
内温を75℃に昇温した。同フラスコに、過硫酸カリウ
ム0.135部を添加し、5分経過後、アクリル酸ブチ
ル(BA)100部とクロロメチルスチレン(CMS)
5部とを含む単量体混合物のうち、4部を仕込んだ。数
分後に発熱が起こり、重合開始が確認された。最初に単
量体混合物を仕込んでから20分経過した時点から、残
りの単量体混合物の連続仕込みを開始し、3時間かけて
連続仕込みを終了した。途中、最初に単量体混合物を添
加してから2時間経過した時点で、脂肪酸石鹸1部を仕
込み、2時間30分経過した時点で、過硫酸カリウム
0.015部を追加仕込みした。単量体混合物の連続仕
込み終了後内温を80℃に昇温し、この温度で更に1時
間重合反応を行った。得られたゴム質状ラテックス(A
1−1)は、固形分濃度39.5重量%、平均粒子径は
0.08μmであった。
【0033】A1−2 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS1部に変更した他は、同例におけると同様
の手順で重合反応を行った。得られたゴム質状ラテック
ス(A1−2)は、固形分濃度39.2重量%、平均粒
子径は0.08μmであった。
【0034】A1−3 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS0.3部に変更した他は、同例におけると
同様の手順で重合反応を行った。得られたゴム質状ラテ
ックス(A1−3)は、固形分濃度39.2重量%、平
均粒子径は0.08μmであった。
【0035】A1−4 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS0.03部に変更した他は、同例における
と同様の手順で重合反応を行った。得られたゴム質状ラ
テックス(A1−4)は、固形分濃度39.2重量%、
平均粒子径は0.08μmであった。
【0036】A1−5 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS0.001部に変更した他は、同例におけ
ると同様の手順で重合反応を行った。得られたゴム質状
ラテックス(A1−5)は、固形分濃度39.2重量
%、平均粒子径は0.08μmであった。
【0037】A1−6 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS1部、エチレングリコールジメタクリレー
ト(EGDM)0.4部に変更した他は、同例における
と同様の手順で重合反応を行った。得られたゴム質状ラ
テックス(A1−6)は、固形分濃度39.5重量%、
平均粒子径は0.08μmであった。
【0038】A1−7 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、CMS1.0部、t−ドデシルメルカプタン(T
DM)0.4部に変更した他は、同例におけると同様の
手順で重合反応を行った。得られたゴム質状ラテックス
(A1−7)は、固形分濃度38.6重量%、平均粒子
径は0.08μmであった。
【0039】A1−8 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA95
部、メチルメタクリレート(MMA)5部、CMS1.
0部に変更した他は、同例におけると同様の手順で重合
反応を行った。得られたゴム質状ラテックス(A1−
8)は、固形分濃度39.4重量%、平均粒子径は0.
09μmであった。
【0040】A1−9 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、クロロ酢酸ビニル(CAV)0.3部に変更した
他は、同例におけると同様の手順で重合反応を行った。
得られたゴム質状ラテックス(A1−9)は、固形分濃
度39.2重量%、平均粒子径は0.08μmであっ
た。
【0041】A1−10 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、クロロエチルビニルエーテル(CEVE)0.3
部に変更した他は、同例におけると同様の手順で重合反
応を行った。得られたゴム質状ラテックス(A1−1
0)は、固形分濃度39.2重量%、平均粒子径は0.
08μmであった。
【0042】A1−11 A1−1に記載の例において、単量体混合物をBA10
0部、クロロメチル基を有するビニル単量体を使用しな
かった他は、同例におけると同様の手順で重合反応を行
った。得られたゴム質状ラテックス(A1−11)は、
固形分濃度39.2重量%、平均粒子径は0.08μm
であった。(メタ)アクリル系共重合体A1−1〜A1
−11の製造例を、まとめて表−1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】2.熱可塑性樹脂(A)の製造 A−1 攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、および原料・助剤仕
込み装置を備えた容量5リッターのガラス製オートクレ
ーブに、(メタ)アクリル系共重合体ラテックスA1−
1を固形分として100部、ピロ燐酸ナトリウム1.0
部、ブドウ糖0.25部、硫酸第一鉄0.01部および
脱イオン水258部(ラテックスの水分をも含む)を仕
込み、窒素気流下、攪拌しながら、内温を70℃に昇温
した。内温が70℃に達した時点で、スチレン(St)
154部、アクリロニトリル(AN)66部およびTD
M0.2部を含む単量体混合物と、脱イオン水48部に
不均化ロジン酸カリウム石鹸1.8部とクメンハイドロ
パーオキサイド0.5部とを溶解した水溶液を、それぞ
れ3時間30分を要して、連続的に仕込んだ。連続仕込
み終了後、同温度で更に30分反応を続け、内温を冷却
し反応を終了した。得られたグラフト重合体ラテックス
に、フェノール系およびリン系の老化防止剤を合計量で
2.5部添加したあと、このラテックスを、95℃に加
熱した硫酸マグネシウム水溶液中に、攪拌しながら加
え、凝固させた。凝固物を、水洗、乾燥して、白色粉末
状の熱可塑性樹脂(A−1)を得た。
【0045】A−2〜A−11 A−1に記載の例において、(メタ)アクリル系共重合
体ラテックスを、表−2に示したようにA1−2〜A1
−11に代えた他は、同例におけると同様の手順でグラ
フト反応を行い、熱可塑性樹脂を得た。得られた白色粉
末状の熱可塑性樹脂を、それぞれA−2〜A−11とす
る。
【0046】A−12 A−1に記載の例において、(メタ)アクリル系共重合
体ラテックス(A1−1)に反応させる単量体混合物
を、St630部、AN270部、TDM0.20部か
らなる混合物に代えた他は、同例におけると同様の手順
でグラフト反応を行い、熱可塑性樹脂を得た。得られた
白色粉末状の熱可塑性樹脂を、A−12という。
【0047】A−13 A−1に記載の例において、(メタ)アクリル系共重合
体ラテックス(A1−1)に反応させる単量体混合物
を、St14部、AN6部、TDM0.20部からなる
混合物に代えた他は、同例におけると同様の手順でグラ
フト反応を行い、熱可塑性樹脂を得た。得られた白色粉
末状の熱可塑性樹脂を、A−13という。
【0048】A−14 A−1に記載の例において、(メタ)アクリル系共重合
体ラテックス(A1−1)に反応させる単量体混合物
を、St7部、AN3部、TDM0.20部からなる混
合物に代えた他は、同例におけると同様の手順でグラフ
ト反応を行い、熱可塑性樹脂を得た。得られた白色粉末
状の熱可塑性樹脂を、A−14という。熱可塑性樹脂
(A)の製造例を、まとめて表−2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】スチレン系樹脂(B)の製造 B−1 (1)ゴム質重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、および原料・助剤仕
込み装置を備えた容量5リッターのSUS製オートクレ
ーブに、脱イオン水150部、高級脂肪酸石鹸(炭素数
18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)4.0部、
水酸化ナトリウム0.075部を仕込み、窒素置換した
あと、攪拌しながら、内温を68℃に昇温した。同オー
トクレーブに、別途調製した1,3−ブタジエン(B
D)90部、St10部およびTDM0.3部よりなる
単量体混合物のうち20%を仕込み、過硫酸カリウム
0.135部を添加した。数分後に発熱が起こり、重合
開始が確認された。過硫酸カリウムを添加後1時間経過
してから、残りの単量体混合物を5時間かけて連続的に
仕込んだ。連続仕込み終了後、内温を80℃に昇温、こ
の温度で更に1時間重合反応を行った。得られた共役ジ
エン系ゴム質状(SBR)ラテックスは、固形分濃度3
9.5重量%、平均粒子径は0.08μm、ゲル含有率
は95.0%であった。
【0051】(2)グラフト共重合体の製造 上記の共役ジエン系ゴム質状ラテックスを、無水酢酸に
よって粒子径を肥大化し、平均粒子径が0.25μmの
ものと0.65μmのものにした。攪拌装置、加熱冷却
装置、温度計、および原料・助剤仕込み装置を備えた容
量5リッターの反応容器に、上記の共役ジエン系ゴム質
状ラテックスを固形分として100部(0.25μmの
もの80部、0.65μmのもの20部の混合物)およ
び脱イオン水347部(ラテックス中の水分をも含む)
を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、内温を70℃に
昇温した。昇温の途中、内温が60℃に達したとき、ピ
ロリン酸ナトリウム1.0部、デキストロース0.8
部、硫酸第一鉄0.01部を脱イオン水20部に溶解し
た水溶液を反応容器に仕込んだ。
【0052】内温が70℃に達した時点で、St70
部、AN30部およびTDM1.1部を含む単量体混合
物と、脱イオン水35部に不均化ロジン酸カリウム石鹸
1.8部、水酸化カリウム0.37部およびクメンハイ
ドロパーオキサイド0.5部を溶解した水溶液をと、そ
れぞれ2時間30分かけて、連続的に仕込んだ。連続仕
込み終了後、同温度で更に30分反応を続け、内温を冷
却し反応を終了した。得られたグラフト重合体ラテック
スに、フェノール系およびリン系の老化防止剤を合計量
で5部添加したあと、このラテックスを、95℃に加熱
した硫酸マグネシウム水溶液中に、攪拌しながら加え、
凝固させた。凝固物を、水洗、乾燥して、白色粉末状の
熱可塑性樹脂(B−1)を得た。
【0053】B−2 (1)ゴム質重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、および原料・助剤仕
込み装置を備えた容量5リッターのガラス製フラスコ
に、脱イオン水151部、高級脂肪酸石鹸(炭素数18
を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)2部、炭酸水素
ナトリウム塩1部を仕込み、窒素気流下、攪拌しなが
ら、内温を75℃に昇温した。同オートクレーブに、過
硫酸カリウム0.135部を添加し、5分経過後、BA
95部、AN5部およびメタアクリル酸アリル(AM
A)0.5部とを含む単量体混合物のうち、4部を仕込
んだ。数分後に発熱が起こり、重合開始が確認された。
最初に単量体混合物を仕込んでから20分経過した時点
から、残りの単量体混合物の連続仕込みを開始し、3時
間かけて連続仕込みを終了した。途中、最初の単量体混
合物を添加してから2時間経過した時点で、脂肪酸石鹸
1部を仕込み、2時間30分経過した時点で、過硫酸カ
リウム0.015部を追加仕込みした。単量体混合物の
連続仕込み終了後内温を80℃に昇温、この温度で更に
1時間重合反応を行った。得られたゴム質状(AR)ラ
テックスは、固形分濃度39.5重量%、平均粒子径は
0.08μmであった。
【0054】(2)グラフト共重合体の製造 上記のアクリル系ゴム質(以下ARという)状ラテック
スを、無水酢酸によって粒子径を肥大化し、平均粒子径
が0.15μmのものにした。攪拌装置、加熱冷却装
置、温度計、および原料・助剤仕込み装置を備えた容量
5リッターの反応容器に、上記のARラテックスを固形
分として100部、炭酸水素ナトリウム1部、および脱
イオン水274部(ラテックス中の水分をも含む)を仕
込み、窒素気流下、攪拌しながら、内温を80℃に昇温
した。昇温の途中で内温が70℃に達した時に、AMA
0.5部を添加した。内温が80℃に達したとき、St
70部、AN30部、TDM0.2部とを含む単量体混
合物と、および、過硫酸カリウム0.5部、不均化ロジ
ン酸カリウム石鹸1.8部を脱イオン水45部に溶解し
た水溶液とを、それぞれ3時間30分かけて、連続的に
仕込んだ。連続仕込み終了後、同温度で更に30分反応
を続け、内温を冷却し反応を終了した。得られたグラフ
ト重合体ラテックスに、フェノール系およびリン系の老
化防止剤を合計量で5部添加したあと、このラテックス
を、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に、攪
拌しながら加え、凝固させた。凝固物を、水洗、乾燥し
て、白色粉末状の熱可塑性樹脂(B−2)を得た。
【0055】B−3 錨型攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、および原料・助
剤仕込み装置を備えた容量2リッターのオートクレーブ
に、St394部、EPDM(ムーニー粘度ML1+4
(100℃)45、沃素価25、DMはエチリデンノル
ボルネン)100部、およびn−ヘプタン71部を仕込
み、窒素置換したあと、内温を50℃にし、2時間、1
00rpmで攪拌し、EPDMをStに完全に溶解し
た。ついで、攪拌下、ANを3部/分の速度で合計18
4部仕込んだあと、ジter-ブチルパーオキサイド0.3
57部、ter-ブチルパーアセテート0.093部、およ
びタ−ピノレン0.357部仕込み、97℃に昇温し、
この温度で7時間20分、塊状重合を行った。塊状重合
終了の約30分前に、St36部にジter-ブチルパーオ
キサイド1.07部、タ−ピノレン0.357部を溶解
した単量体溶液を、オートクレーブに仕込んだ。塊状重
合終了時のEPDMの平均粒子径は、1.6μmであっ
た。
【0056】後退型攪拌翼、加熱冷却装置、温度計、お
よび原料・助剤仕込み装置を備えた容量3リッターのオ
ートクレーブに、懸濁剤1.8部を溶解した脱イオン水
790部を仕込み、内温を100℃にし、窒素置換した
あと、500rpmで攪拌しつつ待機した。このオート
クレーブに、上記塊状重合工程で得られたシロップを仕
込み、窒素置換したあと、内温を130℃に昇温し、同
様に攪拌しつつ、2時間懸濁重合を行い、30分かけて
150℃に昇温し、オートクレーブ内温をこの温度に保
持しつつ、1時間ストリッピングを行った。得られた重
合体を水洗した後、100℃で乾燥し、920グラムの
ビーズ状のグラフト共重合体(B−3)を得た。
【0057】スチレン系樹脂(B)の製造例を、まとめ
て表−3に示す。
【表3】
【0058】実施例1〜13 熱可塑性樹脂(A)、スチレン系樹脂(B)および希釈
用AS樹脂(モンサント化成社製、SAN−L)を、表
−4〜表−6に記載した割合の樹脂原料に、これにステ
アリン酸マグネシウム0.4部、n−オクタデシル−3
−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート(チバガイギー社製、Irganox
1076)0.2部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−1
0−フォスホフェナントレン−10−オキシド(三光社
製、HCA)0.2部、酸化チタン4.0部を、それぞれ秤
量配合し、ブレンダーで均一に混合し、バンバリーミキ
サーで混練し、ペレット化した。得られたペレットにつ
いて、射出成形法により物性測定用、外観、光沢、黄色
度、耐薬品性、低温白化発生歪値、層状剥離性などの各
種評価試験を行った。評価試験の結果を、表−4〜表−
6に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】比較例1〜5 熱可塑性樹脂(A)、スチレン系樹脂(B)および希釈
用AS樹脂(SAN−L)を、表−7に記載した割合の
樹脂原料に、実施例におけると同種の添加剤を、各同量
秤量配合し、実施例におけると同様の手順でペレット化
した。得られたペレットについて、実施例におけると同
様の手順で各種評価試験を行った。評価試験の結果を、
表−7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】表−4ないし表−7より、次のことが明ら
かになる。 (1) 本発明に係る熱可塑性樹脂(A)を含む熱可塑性樹
脂組成物は、フローマークが生じ難く、光沢、黄色度な
どの成形品外観においても優れ、低温での耐ストレスク
ラッキング性においても優れ、層状剥離も生じ難いばか
りでなく、耐薬品性にも優れ、引張り強度、耐衝撃性な
どの物性が低下しない(実施例1〜実施例13参照)。 (2) これに対して、末端にクロロメチル基を有する単量
体を含まない(比較例1〜比較例3)か、含んでいても
極めて少ないときは(比較例4)、成形品外観(フロー
マーク・ダイバンド、光沢、黄色度などを含む)、低温
での耐ストレスクラッキング性、耐薬品性、層状剥離な
どにおいて、バランスがとれていない。 (3) 熱可塑性樹脂(A)製造時に、(メタ)アクリル系
共重合体にグラフトさせるスチレン系単量体の量が少な
いときは、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物は、成
形品外観(フローマーク、光沢、黄色度などを含む)、
低温での耐ストレスクラッキング性、耐薬品性、層状剥
離などにおいて、バランスがとれていない(比較例
5)。
【0065】
【発明の効果】本発明は、次のような特別に有利な効果
を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、成形品とした
場合の成形品は層状剥離を起こさず、耐薬品性、低温で
のストレスクラッキング性に優れ、電気冷蔵庫の内箱製
造用、その他工業材料の用途に好適である。 2.本発明に係る熱可塑性樹脂組成物から得られる成形
品は、フローマーク・ダイバンドが生じ難く、光沢、黄
色度などの成形品外観においても優れ、引張り強度、耐
衝撃性などの物性が低下しない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−96509(JP,A) 特開 昭63−105016(JP,A) 特開 平2−153912(JP,A) 特開 平2−25225(JP,A) 特開 平5−345812(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 265/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が2〜12個の(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルと、これに対して0.
    01〜10重量%のクロロメチル基を有するビニル単量
    体とを含有する単量体混合物を、ラジカル重合すること
    により得られた(メタ)アクリル系共重合体の存在下、
    芳香族ビニル単量体を含有する単量体混合物をグラフト
    重合させることを特徴とする熱可塑性樹脂。
  2. 【請求項2】 (メタ)アクリル系共重合体が、アルキ
    ル基の炭素数が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステル、クロロメチル基を有するビニル単量体、他
    の共重合性ビニル単量体および多官能性ビニル単量体混
    合物との共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    の熱可塑性樹脂。
  3. 【請求項3】 (メタ)アクリル系共重合体の存在下
    に、芳香族ビニル単量体を含有する単量体混合物をグラ
    フト重合させることにより熱可塑性樹脂を製造するにあ
    たり、前記(メタ)アクリル系共重合体として、アルキ
    ル基の炭素数が2〜12個の(メタ)アクリル酸アルキ
    ルエステルと、これに対して0.01〜10重量%のク
    ロロメチル基を有するビニル単量体とを含有する単量体
    混合物を、ラジカル重合することにより得られた(メ
    タ)アクリル系共重合体を用いることを特徴とする、熱
    可塑性樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルキル基の炭素数が2〜12個の(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルと、これに対して0.
    01〜10重量%のクロロメチル基を有するビニル単量
    体とを含有する単量体混合物をラジカル重合することに
    より得られた(メタ)アクリル系共重合体の存在下、芳
    香族ビニル単量体を含有する単量体混合物をグラフト重
    合させる熱可塑性樹脂(A)と、この熱可塑性樹脂
    (A)とは異なるスチレン系樹脂(B)とを、主として
    含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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