JP2001081279A - 熱可塑性樹脂組成物およびシート成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびシート成形品

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JP2001081279A
JP2001081279A JP2000203423A JP2000203423A JP2001081279A JP 2001081279 A JP2001081279 A JP 2001081279A JP 2000203423 A JP2000203423 A JP 2000203423A JP 2000203423 A JP2000203423 A JP 2000203423A JP 2001081279 A JP2001081279 A JP 2001081279A
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weight
monomer
copolymer
resin composition
vinyl
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English (en)
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Ryota Kido
良太 城戸
Yoshikiyo Tabata
佳清 田畑
Shinichi Tamura
真一 田村
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐薬品性、押出成形性、真空成形性、耐衝撃
性、色調安定性および表面外観に優れた熱可塑性樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】特定の構造を有するゴム強化スチレン系樹
脂に、特定の高分子量重合体、エチレン/(メタ)アク
リル酸エステル/一酸化炭素の三元共重合体、およびα
−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−
オレフィンのコオリゴマ−を配合してなる熱可塑性樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐薬品性、押出成
形性、真空成形性、耐衝撃性、色調安定性および表面外
観に優れ、特に電気冷蔵庫内箱用シ−ト成形品に好適な
熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジエン系ゴム成分にアクリロニトリル、
メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、スチ
レン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物成分
を共重合したグラフト共重合体を含有してなる、いわゆ
るABS樹脂は、耐衝撃性、剛性などの物性バランス、
耐薬品性、成形加工性、光沢等に優れることから、OA
機器、家電製品、自動車部品、一般雑貨などの用途分野
で射出成形用樹脂として幅広く利用されている。近年、
これらの用途において製品の大型化、軽量化が進んでい
ることから、ABS樹脂を用いて真空成形を行い、大
型、薄肉の成形品を得る技術が注目されている。また、
特にABS樹脂は電気冷蔵庫の内箱用として好適に用い
られている。
【0003】電気冷蔵庫内箱の製造にはまずシート成形
によって樹脂シートを作成し、次いでこのシートを真空
(圧空)成形することにより目的の形状を得る。このた
め、該用途に使用される樹脂材料には、良好な押出成形
性(加熱溶融時の色調安定性、低ロール汚れ性)および
良好な真空成形性(肉厚均一性)が求められる。また、
製品として実装された場合に消費者に清潔な印象を与え
るため、該材料は良好な外観を有することが不可欠であ
る。
【0004】樹脂製内箱と鋼板製外箱の間には断熱材と
して熱可塑性ポリウレタン樹脂が注入発泡される。この
ときに用いられるフロンや炭化水素などの発泡剤、特に
大気中のオゾン層保護の観点から近年用いられるように
なったフロン141b、シクロペンタン等はABS樹脂
に対してケミカルアタック性を持ち、これらと接触した
ABS樹脂製内箱にクレーズやクラックが発生して著し
く商品価値を損なう、という問題があった。このため、
該樹脂材料には高度な耐薬品性が求められる。
【0005】特開平9−324103号公報には、高分
子量アクリル系共重合体を熱可塑性樹脂にブレンドし、
真空成形性を向上させる技術が開示されているが、真空
成形時の偏肉性すなわち寸法むらを小さくすると同時
に、押出時のガスを低減し、ロ−ル汚れを解消させる技
術は示されておらず、また耐薬品性については考慮され
ていないため、本発明の目的を満たすものではない。さ
らに、高分子量体の配合により得られる熱可塑性樹脂の
溶融粘度が上昇するため、押出成形時のせん断発熱によ
る着色が問題となっている。
【0006】ABS樹脂の耐薬品性を向上させる技術と
しては他樹脂を積層材として、ABS樹脂に用いる方法
(特開平5−42588号公報、特開平6−47867
号公報、特開平6−263958号公報)があるが、こ
の場合には他樹脂を用いることによる加熱伸縮率の相違
や、コストアップになる等の問題がある。また、ABS
樹脂に特定構造のアクリルゴムをブレンドし、耐薬品性
を改良する方法(特開平4−170460号公報、特開
平6−287403号公報、特開平7−195599号
公報、)も開示されている。該技術によれば耐薬品性の
改良効果は認められるが、アクリルゴムを用いることに
より、衝撃値の低下が認められる。
【0007】また、マトリックス樹脂中のシアン化ビニ
ル単量体共重合量を増加させる方法(特開平4−126
759)が知られているが、この場合には成形加工に伴
う加熱溶融時の色調安定性低下の問題がある。
【0008】特公昭55−50063号公報には、エチ
レン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素の三元
共重合体を熱可塑性樹脂にブレンドし、可塑剤としての
効果を得る技術、および耐衝撃性を向上させる技術が開
示されているが、本発明の目的に対しては耐薬品性が不
足している。
【0009】また一般に該用途では、押出成形において
ダイスへの付着物による白スジと呼ばれる外観不良によ
る生産性の低下が大きな問題となっていた。
【0010】電気冷蔵庫内箱の製造において、上述の通
り従来のABS樹脂では耐薬品性、押出成形性、真空成
形性、耐衝撃性、色調安定性および表面外観等の諸特性
を十分満足させることができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の欠点を解消し、耐薬品性、押出成形性、
真空成形性、耐衝撃性、色調安定性および表面外観に優
れた熱可塑性樹脂組成物、特に電気冷蔵庫内箱用に好適
な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る手段として、ゴム強化スチレン系樹脂にブレンドする
重合体成分について鋭意検討した結果、特定の構造を有
するゴム強化スチレン系樹脂に、特定の高分子量重合
体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭
素の三元共重合体、およびα−オレフィンオリゴマ−お
よび/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−
を配合することにより、上記目的が効率的に達成される
ことを見出し本発明に到達した。
【0013】すなわち本発明は、「ゴム質重合体(R)
の存在下に芳香族ビニル系単量体(イ)、シアン化ビニ
ル系単量体(ロ)およびこれらと共重合可能な他のビニ
ル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単
量体からなる単量体混合物(GM)をグラフト重合して
なるグラフト共重合体(A)10〜80重量部と、芳香
族ビニル系単量体(イ)75〜45重量%、シアン化ビ
ニル系単量体(ロ)25〜55重量%およびこれらと共
重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少な
くとも2種以上の単量体からなる単量体混合物(MM)
を共重合してなり、かつシアン化ビニルの組成分布にお
いて、シアン化ビニル平均含有率±5重量%以内にビニ
ル系共重合体の80重量%以上が含まれるビニル系共重
合体(B)20〜90重量部からなる樹脂組成物100
重量部に対し、重量平均分子量が100万以上である高
分子量重合体(C)0.1〜10重量部、エチレン/
(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素からなる共重
合体(D)0.5〜10重量部およびα−オレフィンオ
リゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコ
オリゴマ−(E)0.05〜5重量部を配合してなる熱
可塑性樹脂組成物」である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明におけるゴム質重合体
(R)の例としては、ポリブタジエンの他、スチレン−
ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アク
リル酸ブチル−ブタジエン共重合体およびポリイソプレ
ンゴム等が挙げられ、なかでもポリブタジエン、スチレ
ン−ブタジエン共重合ゴムなどが好ましい。
【0015】前記ゴム質重合体(R)の重量平均粒子径
は、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性、成形加工
性、流動性、外観の点から0.1〜1.5μmであるこ
とが好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.2μmで
ある。
【0016】本発明における単量体混合物(GM)の芳
香族ビニル系単量体(イ)としては、スチレン、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、
t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロ
スチレンおよびo,p−ジクロロスチレン等が挙げられ
るが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0017】シアン化ビニル系単量体(ロ)としては、
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタク
リロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリル
が好ましい。
【0018】また、その他の共重合可能なビニル系単量
体(ハ)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ク
ロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル
等のα,β−不飽和カルボン酸エステル、N−メチルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不
飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボ
ン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミドなど
が挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチル、N−フ
ェニルマレイミドおよび無水マレイン酸が好ましい。
【0019】本発明におけるグラフト共重合体(A)に
用いられるゴム質重合体(R)の含有率は特に制限はな
いが、10〜90重量%が耐衝撃性の点で好ましく、さ
らには40〜80重量%が好ましい。また、グラフト成
分を構成する単量体混合物(GM)における芳香族ビニ
ル系単量体(イ)の含有率は特に制限はないが、10〜
80重量%が成形加工性の点で好ましく、さらには20
〜70重量%が好ましい。また、該単量体混合物(G
M)におけるシアン化ビニル系単量体(ロ)の含有率は
特に制限はないが、5〜70重量%が成形加工性の点で
好ましく、さらには10〜60重量%が好ましい。また
グラフト率、グラフト成分の共重合体の還元粘度は特に
制限はないが、グラフト率は10〜80重量%が、グラ
フト成分の共重合体の還元粘度は、0.2〜1.0dl
/gが耐衝撃性の点で好ましい。
【0020】なお、グラフト共重合体(A)の製造方法
は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等のいず
れの重合方法を用いても良く、特に制限されない。ま
た、単量体の仕込方法についても特に制限はなく、初期
一括仕込み、あるいは共重合体の組成分布の生成を抑え
るために仕込み単量体の一部または全部を連続的または
分割して仕込みながら重合してもよい。
【0021】前記グラフト共重合体(A)の含有量は、
グラフト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)
100重量部中、10〜80重量部である。グラフト共
重合体(A)の含有量は、耐衝撃性、剛性、耐熱性およ
び流動性のバランスの点から、18〜50重量部が好ま
しい。含有量が10重量部未満では、得られる熱可塑性
樹脂組成物の耐衝撃性が不十分であり、また80重量部
を越えると、流動性、耐熱性および剛性が低下する。
【0022】本発明におけるビニル系共重合体(B)
は、芳香族ビニル系単量体(イ)75〜45重量%、シ
アン化ビニル系単量体(ロ)25〜55重量%を含む単
量体混合物(MM)を共重合して得られるものであり、
これらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)を併用
してもよい。
【0023】単量体混合物(MM)中の芳香族ビニル系
単量体(イ)としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチル
スチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンお
よびo,p−ジクロロスチレン等が挙げられるが、特に
スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは1
種または2種以上を用いることができる。
【0024】シアン化ビニル系単量体(ロ)としては、
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタク
リロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリル
が好ましい。
【0025】また、その他の共重合可能なビニル系単量
体(ハ)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ク
ロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル
等のα,β−不飽和カルボン酸エステル、N−メチルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不
飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボ
ン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミドなど
が挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチル、N−フ
ェニルマレイミドおよび無水マレイン酸が好ましい。
【0026】各単量体組成比は好ましくは、(イ)75
〜45重量%/(ロ)55〜25重量%/(ハ)0〜3
0重量%である。押出成形性、および真空成形性の観点
から(イ)78〜50重量%/(ロ)50〜27重量%
/(ハ)0〜23重量%がより好ましく、さらに好まし
くは(イ)73〜55重量%/(ロ)45〜27重量%
/(ハ)0〜18重量%である。シアン化ビニル系単量
体(ロ)が25%未満であると、ABS樹脂本来の優れ
た機械的特性が低下するため好ましくない。また、55
重量%を超えると押出成形および真空成形において、加
熱溶融時の色調安定性が低下する。
【0027】ビニル系共重合体(B)のアセトン可溶成
分の極限粘度[η]は真空成形性、耐衝撃性、シート加
工性、およびシート色調のバランスの点から0.4〜
1.2dl/gであることが好ましく、0.5〜0.9
dl/gであることがより好ましい。
【0028】本発明では、前記ビニル系共重合体(B)
がシアン化ビニルの組成分布において、シアン化ビニル
平均含有率±5重量%以内に該共重合体の80重量%以
上が含まれる必要がある。80重量%未満では加熱溶融
時の色調安定性が低下するため好ましくなく、特に90
重量%以上が好ましい。シアン化ビニルの組成分布は、
ビニル系共重合体(B)のメチルエチルケトン溶液にシ
クロヘキサンを添加していき、沈殿したシアン化ビニル
系共重合体のシアン化ビニル系単量体含有率を順次、赤
外分光光度系計で分析することにより求められる。ま
た、ビニル系共重合体(B)のシアン化ビニル平均含有
率は、ビニル系共重合体(B)試料全体を用いた赤外分
光光度計での分析により求めることができる。
【0029】本発明におけるビニル系共重合体(B)の
製造方法としては特に制限はなく、公知の乳化重合法、
懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法ならびにそれらを
適宜組み合わせた重合法などが用いられる。しかしビニ
ル系共重合体の組成分布を狭くするという点で特に塊状
重合法、および溶液重合法が好ましく選択される。
【0030】本発明における高分子量重合体(C)は、
重量平均分子量が100万以上であることが必要であ
る。100万未満では、得られる樹脂組成物の真空成形
性が著しく低下するため好ましくない。なかでも重量平
均分子量が200万以上のものが特に好ましい。
【0031】高分子量重合体(C)としては上記分子量
の範囲を満たせばそれ以外特に制限はないが、ビニル系
共重合体(B)への相容性の点から特にメタクリル酸エ
ステル系共重合体(C1)または芳香族ビニル系共重合体
(C2)であることが好ましい。
【0032】本発明におけるメタクリル酸エステル系共
重合体(C1)は、メタクリル酸エステルを必須とし、ア
クリル酸エステルを共重合成分として含んでもよい共重
合体である。エステル部分は炭素数1〜20のアルキル
基、シクロアルキル基、アリル基及びその置換体からな
ることが好ましく、具体的な単量体としては(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリ
ル酸2−クロロエチル等を挙げることができる。メタク
リル酸エステルとしてはメタクリル酸メチルが好適に用
いられ、具体的な共重合体としてはメタクリル酸メチル
/アクリル酸n−ブチル共重合体およびメタクリル酸メ
チル/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体が好まし
く用いられる。
【0033】また、メタクリル酸エステル系共重合体
(C1)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の真空成形性の
点からメタクリル酸エステルの含有率が30重量%以上
であることが好ましい。
【0034】また、芳香族ビニル系共重合体(C2)は、
芳香族ビニル系単量体(イ)90〜45重量%とシアン
化ビニル系単量体(ロ)10〜55重量%およびこれら
と共重合可能な他の単量体(ハ)0〜45重量%からな
る混合物を共重合して得られるものである。ビニル系共
重合体(B)への相容性の点からさらに(イ)85〜5
0重量%/(ロ)15〜50重量%/(ハ)0〜35重
量%が好ましく、(イ)80〜55重量%/(ロ)20
〜45重量%/(ハ)0〜25重量%が特に好ましい。
【0035】高分子量重合体(C)として芳香族ビニル
系共重合体(C2)を用いる場合、真空成形性の点から前
述の分子量範囲の中でも、重量平均分子量が300万以
上であることがさらに好ましく、500万以上であるこ
とが特に好ましく、550万以上であることが最も好ま
しい。
【0036】高分子量重合体(C)の含有量は、グラフ
ト共重合体(A)およびビニル系共重合体(B)100
重量部中0.1〜10重量部であることが必要であり、
好ましくは0.3〜8重量部である。0.1重量部未満
では得られる熱可塑性樹脂組成物の押出成形性(ロール
汚れ)および真空成形性が劣る。また10重量部を越え
ると流動性が極端に悪化するためせん断発熱によりシー
ト成形時の着色が大きくなり、さらには成形品にブツと
呼ばれる表面外観不良が生じる場合がある。
【0037】本発明における共重合体(D)は、エチレ
ン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素の三元共
重合体であり、(メタ)アクリル酸エステルのアクリル
基は、直鎖状または分岐状であって、その炭素数は1〜
18が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、
イソブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オ
クチル基等が例示され、炭素数2〜8のものがより好ま
しい。また、共重合体(D)の各組成比は、エチレンが
10〜87重量%が好ましく、より好ましくは40〜8
0重量%、(メタ)アクリル酸エステルが10〜50重
量%が好ましく、より好ましくは15〜40重量%、一
酸化炭素が5〜40重量%が好ましく、より好ましくは
5〜20重量%であり、必要に応じて、その他の共重合
可能な単量体と共重合させることもできる。
【0038】共重合体(D)の含有量は、ゴム強化スチ
レン系樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜10重
量部であり、好ましくは1〜7重量部である。共重合体
(D)の含有量が0.5重量部未満であると、得られる
熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性および耐衝撃性が不十分
であり、また、10重量部を越えると、耐熱性および剛
性が低下し、更には層状剥離が生じる。
【0039】本発明におけるα−オレフィンオリゴマ−
および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ
−(E)に用いられる単量体としては、エチレンおよび
炭素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、
1−ブテン、1−ヘキセン4−メチル−1−ペンテン、
1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘ
キサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙
げられる。
【0040】本発明で用いられるα−オレフィンオリゴ
マ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリ
ゴマ−(E)は、100℃での動粘度が5〜100cS
tであることが押出成形性の点から好ましい。
【0041】また、本発明で用いられるα−オレフィン
オリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンの
コオリゴマ−(E)は、グラフト共重合体(A)および
ビニル系共重合体(B)100重量部に対し、0.05
〜5重量部、好ましくは、0.1〜4重量部の範囲で本
発明の目的が達成できる。0.05重量部未満である
と、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性および押出
成形性改良効果が十分でないため好ましくない。5重量
部を超えると得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的特性
が低下する。
【0042】本発明においては、共重合体(D)ととも
にα−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンと
α−オレフィンのコオリゴマ−(E)を用いることによ
り、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性を飛躍的に
向上させることができる。また、本発明においてα−オ
レフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレ
フィンのコオリゴマ−(E)を用いることにより、得ら
れる熱可塑性樹脂組成物を押出成形する際のダイスへの
付着物が減少し、該付着物が要因となって起こる成形品
表面の白スジと呼ばれる外観不良が改善されることか
ら、押出成形性を大幅に向上させることができる。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物に、本発明の
目的を損なわない範囲で塩化ビニル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロ
ン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメ
チルテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネー
ト、および各種エラストマー類等を加えて成形用樹脂と
しての性能を改良することができる。また、必要に応じ
てヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リ
ン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリ
レート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニ
ッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安
定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の
滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑
剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビス
フェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポ
リカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リ
ン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、
カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料等を添
加することもできる。更に、ガラス繊維、ガラスフレー
ク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充
填剤を添加することもできる。本発明の熱可塑性樹脂組
成物の製造方法に関しては、バンバリーミキサー、ロー
ル、および単軸または多軸押出機で溶融混練するなど種
々の方法を採用することができる。
【0044】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の押
出成形に好適であり、特にシ−ト押出成形性に優れる。
また、2次加工として、該シ−トを用いての真空成形性
についても優れている。その他、射出成形、ブロー成
形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂
の成形に用いられる公知の方法によって成形することが
できる。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電気冷蔵
庫内箱製品に好適に用いられる。
【0046】本発明をさらに具体的に説明するため、以
下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実
施例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特
にことわりのない限り「%」は重量%、「部」は重量部
を表す。熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方法を下
記する。機械的強度、耐熱性等の一般的な特性について
は、射出成形によりテストピースを成形し、下記試験法
に準拠し測定した。 (1)重量平均ゴム粒子径 「Rubber Age Vol.88 p.484〜
490(1960)by E.Schmidt, P.
H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法
(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポ
リブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム
化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量
分率より累積重量分率50%の粒子径を求める)。 (2)グラフト率 グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、70
℃の湯浴中3時間還流し、この溶液を8800r.p.
m.(10000G)で40分間遠心分離後、不溶分を
濾過し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。グラフト率は下記式より算出した。 グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]}×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有量である。 (3)極限粘度[η] サンプル1gにアセトン200mlを加え、70℃の湯
浴中3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.
(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を
濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、
析出物(アセトン可溶分)を60℃で5時間減圧乾燥
後、ウベローデ粘度計を用い、メチルエチルケトン溶
液、30℃でηsp/cを測定し、極限粘度[η]を算
出した。 (4)シアン化ビニル系単量体平均含有率:試料を22
0℃に設定した加熱プレスで厚み30±5μmのフィル
ム状とし、これをFT−IRで分析して得られたチャー
トに現れた、−C≡N伸縮に帰属される2240cm-1
のピーク面積から試料中のシアン化ビニル系単量体含量
を求めた。 (5)シアン化ビニル系単量体組成分布:試料2gに8
0mlのメチルエチルケトンを加え、室温で24時間静
置して溶解し、そこへシクロヘキサンを少量ずつ添加
し、順次、沈殿したビニル系共重合体の重量を測定し、
その沈殿物を試料として(4)と同様の操作でシアン化
ビニル系単量体含有率を求めた。そして、試料として用
いたビニル系重合体全体に対する沈殿したビニル系共重
合体の累積重量分率とシアン化ビニル系単量体含有率を
プロットし、シアン化ビニル系単量体の平均含有率±5
重量%以内に含まれるビニル系共重合体の割合(重量
%)を求めた。 (6)耐薬品性:プレス成形した試験片(127×1
2.7×1mm)を図1に示した1/4楕円治具(c)
に沿わして固定後、250mlのフロン141bを入れ
た直径300mmのデシケ−タ内に治具ごと設置した。
23℃環境下で24時間放置後、クレ−ズおよびクラッ
クの発生有無を確認し、(式1)により臨界歪み(%)
を算出し、その値が0.5%未満を×、0.5%〜1.0
%のものを△、1.0%〜2.0%のものを○、2.0%
を超えるものを◎とした。
【0047】
【数1】 (7)揮発分の測定:ペレットを平衡水分率まで乾燥さ
せた後(80℃/3時間以上)アルミ皿にサンプルを3
g秤量する。その後、180℃/3時間の処理を行い、
揮発減量を算出し求める。 (8)ブリ−ド量の測定:ペレットを平衡水分率まで乾
燥させた後(80℃/3時間以上)、270℃に設定さ
れた加熱プレート上に設置した、図2に示す下金型
(5)の上にサンプルペレット(4)15gを平敷き
し、上金型と下金型の間隙を4mmになるようにスペー
サー(2)、(3)をサンプルペレット(4)の両側へ
立てた状態で上金型(1)をかぶせる。10分間放置
後、上金型(1)の凸部(1a)の表面に捕縛されたブ
リ−ド物を秤量し、ブリ−ドアウト量とする。 (9)真空成形性:T型ダイをおよび延伸ロールを備え
たシート成形機を用いて、成形温度260℃でシート成
形を行い、600mm×600mm、厚さ2mmの樹脂
板を得た。この樹脂板をプラグアシスト式真空成形機に
て開口部450mm×450m、深さ300mmの箱状
金型を用いて真空成形し、目視にて偏肉性(肉厚均一
性)を評価した。 ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや偏肉有り ×:偏肉が大きい、もしくは破れ発生。 (10)曲げ弾性率:ASTM D790(23℃) (11)アイゾット衝撃強さ:ASTM D256(2
3℃,Vノッチ付き) (12)動粘度:JIS K2283(100℃) (13)表面外観(白スジ、層状剥離):(9)のシー
ト成形において、定常運転開始後30分経過時に得られ
たシート成形品を用い、目視にて判定。
【0048】 ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良 (14)シートの色調(Y.I.値):JIS K71
03に準拠。(9)で得た樹脂板を100mm×100
mmに切削加工したものを試料として用いた。 (15)重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー法により、以下に示した条件で測定した標
準ポリスチレンでの換算値を用いた。 装置:ゲル浸透クロマトグラフ、GPC−244(WA
TERS製) カラム:TSK−gel−GMHXL、(内径7.8m
m/長さ30cm)(2本)(東ソー製)、理論段数;
15000段 溶媒:THF 流速:1.0ml/min 温度:23℃ 試料 濃度:0.2% 溶解性:完全溶解 濾過:マイショリディスク 0.5μ−TOSOH−H
−13−5(東ソー) 注入量:200μl 検出器:401−示差屈折率計(WATERS製) 標準試料:単分散ポリスチレン(東ソー製) (参考例) (A)グラフト共重合体 A1:窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖
0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄
0.005部および表1に示した所定量のポリブタジエ
ンラテックスを仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を
65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開
始として表1に示した所定量のモノマおよびt−ドデシ
ルメルカプタン混合物を4時間掛けて連続添加した。同
時に並行して、表1に示すクメンハイドロパーオキサイ
ドおよびオレイン酸カリウムからなる水溶液を6時間掛
けて連続添加し、反応を完結させた。
【0049】得られたラテックスに、2,2’−メチレ
ンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラ
テックス固形分100重量部に対して1重量部添加し、
続いて、このラテックスを硫酸で凝固後、水酸化ナトリ
ウムにて中和し、洗浄濾過後、乾燥させてパウダー状の
グラフト共重合体を得た。 A2、A3:A1と同様の方法で、表1に示す組成比で
グラフト共重合体を得た。 (B)マトリックス樹脂(表2,3) B1:スチレン67重量%、アクリロニトリル33重量
%なる単量体混合物を連続塊状重合して、ペレット状の
共重合体を得た。 B2:スチレン57重量%、アクリロニトリル43重量
%なる単量体混合物を連続塊状重合して、ペレット状の
共重合体を得た。 B3:スチレン57重量%、アクリロニトリル28重量
%、N−フェニルマレイミド15重量%なる単量体混合
物を連続塊状重合してペレット状の共重合体を得た。 B4:スチレン57重量%、アクリロニトリル28重量
%、α−メチルスチレン15重量%なる単量体混合物を
連続塊状重合して、ペレット状の共重合体を得た。 B5:スチレン87重量%、アクリロニトリル13重量
%なる単量体混合物を連続塊状重合して、ペレット状の
共重合体を得た。 B6:スチレン32重量%、アクリロニトリル68重量
%なる単量体混合物を連続塊状重合して、ペレット状の
共重合体を得た。 B7:容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪
拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリ
ル酸メチル20重量%、アクリルアミド80重量%から
なる共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解
した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置
換した。次にアクリロニトリル38部、スチレン62
部、t−ドデシルメルカプタン0.45部、2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.40
部,2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.05部
の混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃に昇
温し重合を開始した。その後125分かけて重合反応を
行い、その間に反応温度を65℃まで昇温した。スチレ
ンの反応系への添加終了後、50分かけて100℃まで
昇温した。以降は、通常の方法に従って、反応系の冷
却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状の
共重合体を得た。
【0050】このようにして得られたマトリックス樹脂
B1〜B7の極限粘度およびシアン化ビニル系単量体平
均含有率を表2,3に示す。 (C)高分子量重合体 (C1)メタクリル酸エステル系共重合体 C1a:三菱レイヨン社製“メタブレン”P−530A
重量平均分子量:310×104 C1b:三菱レイヨン社製“メタブレン”L−1000
重量平均分子量:27×104 (C2)芳香族ビニル系共重合体 C2a:スチレン76部、アクリロニトリル24部、ラ
ウリン酸カリウム3.5部、脱イオン水240部および
ハイドロサルファイト0.1部をフラスコに仕込み、窒
素気流下で攪拌しながら昇温し、内温が45℃に達した
ときに、開始剤として過硫酸カリウム0.12部を1%
水溶液として添加し、重合を開始した。内温53℃に保
ったまま上記の単量体混合物を4時間反応させた。得ら
れたラテックスの最終重合率は98%であった。このラ
テックスを硫酸2部を用いて凝固させ、ついで水洗、乾
燥して粉末状重合体を得た。重量平均分子量は620×
10 4であった。 (D)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化
炭素共重合体 D1:三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”
EP4051 D2:三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”
HP553 (E)α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレ
ンとα−オレフィンのコオリゴマ− E1:三井化学社製“ル−カント”HC10 100℃
での動粘度:10cSt E2:三井化学社製“ル−カント”HC20 100℃
での動粘度:20cSt E3:三井化学社製“ル−カント”HC600 100
℃での動粘度:600cSt
【0051】
【実施例】実施例1〜13、及び比較例1〜10 参考例記載の(A)グラフト共重合体、(B)ビニル系
共重合体、(C)高分子量重合体、(D)エチレン/
(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素からなる共重
合体、(E)α−オレフィンオリゴマ−および/または
エチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−を表4および
表5記載の割合で配合後、40mmφ単軸押出機(シリ
ンダー設定温度:260℃)で溶融混練し、ペレット状
の樹脂を得た。
【0052】得られたペレットを東芝機械(株)製射出
成形機IS−50A(シリンダー設定温度:260℃)
にてテストピースを成形し、諸特性を評価し、結果を表
6〜9に掲げた。
【0053】実施例1〜13により、本発明の請求項記
載の配合割合の熱可塑性樹脂組成物が、耐薬品性、耐衝
撃性、真空成形性、色調安定性および表面外観に優れ、
シート成形におけるロール汚れの要因となる揮発分およ
びブリード量が小さく押出成形性にも優れることが判
る。
【0054】しかし比較例1、2は、ビニル系共重合体
(B)の単量体組成が本発明の範囲を満たしておらず、
耐薬品性、機械的特性、色調安定性のいずれかに劣るこ
とがわかる。比較例3はビニル系共重合体(B)におけ
るシアン化ビニル系単量体の平均含有率±5重量%以内
に含まれる該共重合体の割合が本発明の範囲を満たして
いないため、シート加工時の色調安定性に劣る。比較例
4〜9はグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体
(B)、高分子量重合体(C)、エチレン/(メタ)ア
クリル酸エステル/一酸化炭素からなる共重合体
(D)、およびα−オレフィンオリゴマ−および/また
はエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(E)の配
合割合が、本発明の請求項記載範囲外であるため、耐薬
品性、押出成形性、真空成形性、耐衝撃性、剛性、色調
安定性および表面外観のいずれかに劣る。また、比較例
10は高分子量重合体(C)の重量平均分子量が本発明
の請求項記載範囲外であるため、真空成形性に劣る。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐薬品
性、押出成形性、真空成形性、耐衝撃性、色調安定性お
よび表面外観に優れることから、上記特性を要求される
真空成形用途、特に電気冷蔵庫内箱用樹脂材料として好
適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐薬品性試験に用いる1/4楕円治具の略図を
示す。
【図2】ブリ−ド量測定に用いる治具および測定方法の
略図を示す。
【符号の説明】
1 上金型 2 スペーサー 3 スペーサー 4 ペレット 5 下金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/04 C08L 51/04 73/00 73/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム質重合体(R)の存在下に芳香族ビニ
    ル系単量体(イ)、シアン化ビニル系単量体(ロ)およ
    びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から
    選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる単量体混
    合物(GM)をグラフト重合してなるグラフト共重合体
    (A)10〜80重量部と、芳香族ビニル系単量体
    (イ)75〜45重量%、シアン化ビニル系単量体
    (ロ)25〜55重量%およびこれらと共重合可能な他
    のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも2種以
    上の単量体からなる単量体混合物(MM)を共重合して
    なり、かつシアン化ビニルの組成分布において、シアン
    化ビニル平均含有率±5重量%以内にビニル系共重合体
    の80重量%以上が含まれるビニル系共重合体(B)2
    0〜90重量部からなる樹脂組成物100重量部に対
    し、重量平均分子量が100万以上である高分子量重合
    体(C)0.1〜10重量部、エチレン/(メタ)アク
    リル酸エステル/一酸化炭素からなる共重合体(D)
    0.5〜10重量部およびα−オレフィンオリゴマ−お
    よび/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−
    (E)0.05〜5重量部を配合してなる熱可塑性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】高分子量重合体(C)がメタクリル酸エス
    テル系共重合体(C1)である請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】高分子量重合体(C)が芳香族ビニル系単
    量体(イ)90〜45重量%とシアン化ビニル系単量体
    (ロ)10〜55重量%およびこれらと共重合可能な他
    の単量体(ハ)0〜45重量%からなる混合物を共重合
    して得られる芳香族ビニル系共重合体(C2)である請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ビニル系共重合体(B)のアセトン可溶成
    分の極限粘度[η]が0.4〜1.2dl/gである請
    求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】共重合体(D)が10〜87重量%のエチ
    レンの単量体からなる繰り返し単位、10〜50重量%
    の(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる繰り返
    し単位および3〜40重量%の一酸化炭素からなる繰り
    返し単位を含んでなる請求項1〜4のいずれか1項記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】α−オレフィンオリゴマ−および/または
    エチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(E)が10
    0℃での動粘度が5〜100cStである請求項1〜5
    いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項記載の電気冷
    蔵庫内箱用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項記載の熱可塑
    性樹脂組成物を押出成形してなるシ−ト成形品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004323635A (ja) * 2003-04-23 2004-11-18 Asahi Kasei Chemicals Corp スチレン系樹脂組成物および成形体
JP2012177088A (ja) * 2011-02-04 2012-09-13 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2018507927A (ja) * 2015-12-10 2018-03-22 エルジー・ケム・リミテッド 熱可塑性樹脂組成物及び成形品

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