JPH0931294A - 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐薬品性熱可塑性樹脂組成物

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JPH0931294A
JPH0931294A JP17836895A JP17836895A JPH0931294A JP H0931294 A JPH0931294 A JP H0931294A JP 17836895 A JP17836895 A JP 17836895A JP 17836895 A JP17836895 A JP 17836895A JP H0931294 A JPH0931294 A JP H0931294A
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copolymer
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thermoplastic resin
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JP17836895A
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Masahiro Nishizawa
昌洋 西澤
Akira Saito
彰 斉藤
Kenji Kushida
賢司 串田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ゴム含有グラフト共重合体、シアン化ビニル化
合物等の共重合体、およびエチレン/(メタ)アクリル
酸エステル/一酸化炭素からなる共重合体で構成した耐
薬品性熱可塑性樹脂組成物。 【効果】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物または成
形品は、耐薬品性、特に薬液と接触した場合、成形品に
クレーズやクラックが発生せず、更に、機械的特性、成
形加工性等に優れ、耐薬品性を要求される分野に好適で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐薬品性、特に薬
液と接触した場合、成形品にストレスクラックが発生す
ることのない、耐ストレスクラック性に優れた耐薬品性
熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ジエン系ゴム成分にアクリロニトリル、
メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、スチ
レン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物成分
を共重合したグラフト共重合体を含有してなる、いわゆ
るABS樹脂は、耐衝撃性、機械的強度、及び成形加工
性に優れていることから、汎用樹脂とエンジニアリング
プラスチックとの中間的な特性を持つ準エンプラとし
て、OA機器や家電製品向けの用途に幅広く利用されて
いる。
【0003】しかしながら、ABS樹脂等に代表される
ゴム強化スチレン系樹脂は、他の結晶性高分子やエンジ
ニアリングプラスチックに比して、耐薬品性に劣ること
が知られており、アルコール類、炭化水素類、エステル
類等の化学薬品・合成洗剤や、フロン類、ガソリン、灯
油、ブレーキオイルおよび塩ビ可塑剤等の薬液類に対し
てクレーズやクラックが発生し、家電・雑貨分野や自動
車分野などの用途において使用が制限されている。ま
た、ABS樹脂は、冷蔵庫の内箱やドア部材などの断熱
構造体の部品、パチンコの受け皿等の雑貨用途、トイレ
・台所等のサニタリー用途に多用されている。断熱構造
体において断熱材として使用されている硬質ウレタンフ
ォームの発泡剤は、特定フロン−11が使用されてきた
が、オゾン問題から代替フロン−141b、あるいはシ
クロペンタンなどに代替されつつあるが、フロン−14
1b、およびシクロペンタンはフロン−11に比してA
BS樹脂を激しく侵し、応力負荷状態では成形品にクレ
ーズやクラックが発生する。雑貨・サニタリー用途にお
いては、該部材の洗浄に家庭用あるいは業務用洗剤が使
用され、これら洗剤類によっても成形品にクレーズやク
ラックが発生し、商品価値を著しく損なう問題が生じて
いた。このような問題点を改良する手段としては、樹脂
成形品の表面にメッキや塗装、あるいはフィルム等を張
り付けて薬液類との接触を防ぐ方法、樹脂の分子量を増
加する方法、結晶性樹脂をブレンドする方法、またAB
S樹脂においてはアクリロニトリルの共重合量を増加す
る方法やグラフト共重合体のグラフト率を制御する等が
知られている。
【0004】上記した従来技術は、必ずしも満足できる
ものではなく、メッキや塗装、フィルム張り付け等は耐
薬品性の改良には効果があるものの、加工工程の煩雑
化、コストアップおよび経時的劣化面で決して有利とは
言えない。一方、樹脂の分子量を増加する方法は、耐薬
品性の効果が小さいばかりでなく、成形時の流動性低下
等の成形加工性が著しく損なわれる欠点を有している。
また、耐薬品性を向上させる手段として、耐薬品性に優
れるポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプ
ロピレン等の結晶性樹脂をブレンドする方法(特開平6
−313091号、特開平6−329852号など)
は、ABS樹脂との相溶性が不十分であり、機械的特性
が満足できなかったり、成形収縮率が大きくなるなどの
問題がある。更に、ABS樹脂のグラフト共重合体のグ
ラフト率を規定する方法(4−258619号、特開平
5−78428号)は耐薬品性改良効果が低く、アクリ
ロニトリル共重合量を増加する方法(特開平4−126
756号)は耐薬品性向上には有効であるが、アクリロ
ニトリル量の増加により、成形加工時の熱着色および流
動性の低下等の問題があり、抜本的な問題の解決には至
っていない。
【0005】また特公昭55−50063号には、エチ
レン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素の三元
共重合体を熱可塑性樹脂にブレンドし可塑剤としての効
果を得る技術が開示され、特開平3−287653号に
はABS樹脂とのブレンド、特開平5−125253号
にはα−メチルスチレン変性ABS樹脂とのブレンド、
さらに特開平6−116469号にはマレイミド系樹脂
とのブレンドによりいずれも耐衝撃性を向上させる技術
が開示されている。しかし、これらの従来技術でも耐薬
品性を向上させることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を改良し、ABS樹脂に代表されるゴム強化ス
チレン系樹脂の機械的特性、成形加工性等の優れた諸特
性を損なうことなく、薬液と接触した場合に成形品にク
レーズやクラックが発生しない耐薬品性に優れた熱可塑
性樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ゴム強化
スチレン系樹脂にブレンドする重合体成分ついて鋭意検
討した結果、ゴム強化スチレン系樹脂のゴム粒子径、グ
ラフト率、およびアセトン可溶成分の還元粘度が特定範
囲にある時、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/
一酸化炭素の三元共重合体をブレンドすることにより耐
薬品性が飛躍的に改善され、前記した本発明の目的が達
成でることを見出だしたものである。
【0008】すなわち、本発明の目的は、「重量平均粒
子径が0.1〜2.0μmであるジエン系ゴム(A−
1)5〜80重量部に、芳香族ビニル化合物(イ)およ
び/またはα,β−不飽和カルボン酸エステル化合物
(ロ)45〜85重量%、シアン化ビニル化合物(ハ)
15〜55重量%、その他の共重合可能なビニル系単量
体(ニ)0〜40重量%とからなる単量体混合物(A−
2)95〜20重量部をグラフト重合し、そのグラフト
率が15〜100%であるグラフト共重合体(A)1〜
80重量部と、 芳香族ビニル化合物(イ)および/ま
たはα,β−不飽和カルボン酸エステル化合物(ロ)4
5〜85重量%、シアン化ビニル化合物(ハ)15〜5
5重量%、その他の共重合可能なビニル系単量体(ニ)
0〜40重量%とからなる単量体混合物を共重合した共
重合体(B)0〜90重量部、 およびエチレン/(メ
タ)アクリル酸エステル/一酸化炭素からなる共重合体
(C)1〜20重量部、からなり、アセトン可溶成分の
還元粘度が0.1〜1.0dl/gであることを特徴と
する耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。」によって達成でき
る。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明におけるジエン系ゴム(A−1)の例としては、ポ
リブタジエンの他、スチレン−ブタジエン共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエ
ン共重合体およびポリイソプレンゴム等が挙げられ、な
かでもポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴ
ムなどが好ましい。
【0010】本発明における単量体混合物(A−2)お
よび共重合体(B)の単量体混合物中の芳香族ビニル化
合物(イ)としては、スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチ
レン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよび
o,p−ジクロロスチレン等が挙げられるが、特にスチ
レン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0011】α,β−不飽和カルボン酸エステル化合物
(ロ)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t
−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)
アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロ
メチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等が
挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチルが好まし
い。
【0012】シアン化ビニル化合物(ハ)としては、ア
クリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタクリ
ロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが
好ましい。また、その他の共重合可能なビニル系単量体
(ニ)としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイ
ミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水
マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、およびアク
リルアミド等の不飽和アミド化合物に代表される共重合
可能なビニル化合物などを挙げることができる。また、
これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0013】グラフト共重合体(A)におけるジエン系
ゴム(A−1)の重量平均粒子径は0.1〜2.0μm
であることが必要であり、好ましくは0.2〜1.5μ
mである。重量平均粒子径が0.1〜2.0μmの範囲
外であると耐薬品性および機械的特性が発現しない。ジ
エン系ゴム(A−1)の含有量は、合計量を100重量
部として5〜80重量部、好ましくは10〜60重量部
である。
【0014】単量体混合物(A−2)および共重合体
(B)中の芳香族ビニル化合物(イ)および/または
α,β−不飽和カルボン酸エステル化合物(ロ)、シア
ン化ビニル化合物(ハ)、その他の共重合可能なビニル
系単量体(ハ)の各組成比は、(イ)および/または
(ロ)が45〜85重量%、好ましくは50〜80重量
%、(ハ)が15〜55重量%、好ましくは20〜50
重量%、(ニ)が0〜40重量%である。ここで、単量
体混合物(A−2)と共重合体(B)の単量体組成は、
同一であってもよく、あるいは機械的特性を損なわない
範囲で異なっていてもよい。単量体混合物(A−2)と
共重合体(B)の単量体混合物のなかでも、特にシアン
化ビニル化合物が重要な単量体であり、単量体混合物の
合計量100重量%に対して、15重量%未満では、薬
液と接触した場合、成形品にクレーズやクラックが発生
しやすく好ましくない。一方、55重量%を越えると耐
薬品性改善効果が次第に小さくなるばかりでなく、成形
加工時の熱着色や流動性が著しく低下する等の欠点があ
り好ましくない。
【0015】グラフト共重合体(A)におけるグラフト
率は15〜100%であることが必要であり、好ましく
は20〜70%である。グラフト率が15〜100%の
範囲外であると耐薬品性が発現しないばかりか、機械的
特性の低下も著しい。なお、これら(A)、(B)の共
重合体の製造方法は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、
溶液重合等のいずれの重合方法を用いても良く、特に制
限されない。また、単量体の仕込方法についても特に制
限はなく、初期一括仕込み、あるいは共重合体の組成分
布の生成を抑えるために仕込み単量体の一部または全部
を連続的または分割して仕込みながら重合してもよい。
【0016】本発明における共重合体(C)は、エチレ
ン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化炭素の三元共
重合体であり、(メタ)アクリル酸エステルのアクリル
基は、直鎖状または分岐状であって、その炭素数は1〜
18が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、
イソブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オ
クチル基等が例示され、炭素数2〜8のものがより好ま
しい。また、共重合体(C)の各組成比は、エチレンが
10〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%、
(メタ)アクリル酸エステルが10〜50重量%、より
好ましくは15〜40重量%、一酸化炭素が5〜40重
量%、より好ましくは5〜20重量%であり、必要に応
じて、その他の共重合可能な単量体と共重合させること
もできる。
【0017】グラフト共重合体(A)、共重合体(B)
および共重合体(C)の重量比(A)/(B)/(C)
は1〜80/0〜90/1〜20であり、好ましくは5
〜70/5〜80/2〜15である。(A)成分が80
重量部を越えると剛性および流動性の低下が生じ、一
方、1重量部未満では、耐衝撃性が発現しないため好ま
しくない。また、(C)成分が1重量部未満では耐薬品
性が発現せず、一方、20重量部を越えると剛性および
流動性の低下、更には層状剥離が生じるため好ましくな
い。
【0018】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物のア
セトン可溶成分の還元粘度は0.1〜1.0dl/gで
ある必要があり、該範囲外であると耐薬品性および機械
的特性が発現しない。
【0019】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およ
び成形品は、耐薬品性が要求される用途に好ましく用い
られる。本発明の樹脂組成物およびその成形品が有効な
薬液としては、有機化合物が好ましく、炭化水素、ハロ
ゲン化炭化水素、エステル化合物、エーテル化合物およ
びアルコール化合物を含有する薬剤である。更には、炭
素数4〜20の炭化水素、フロン類、ガソリン、灯油、
ブレーキオイル、ポリ塩化ビニル用可塑剤(例えばフタ
ル酸ジアルキルエステル、フタル酸アルキルエステル)
および洗剤を含有する薬剤である。
【0020】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およ
び成形品の耐薬品性を改善するためには、23℃で24
時間薬液接触後のクラック発生臨界歪みが0.5%以上
であることが必要であり、好ましくは0.7%以上、よ
り好ましくは1.0%以上であり、0.5%未満では、
本発明が目的としている耐薬品性は得られない。
【0021】これらの成形品の用途については、電気、
電子、自動車、機械、雑貨、化学プラント、航空、宇宙
用の部品、素材など特に制限はないが、本発明の成形品
の特徴から、耐薬品性が要求される用途に有効である。
なかでも電気・電子製品のハウジングおよび冷蔵庫の構
造体部品、パチンコの受け皿等の雑貨用途、トイレ・台
所等のサニタリー用途、自動車用内外装材として使用で
きる。
【0022】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物に本
発明の目的を損なわない範囲で塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、
ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサ
ンジメチルテレフタレート等のポリエステル、ポリカー
ボネート、各種エラストマー類を加えて成形用樹脂とし
ての性能を改良することができる。また、必要に応じて
ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン
有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレ
ート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフ
ェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッ
ケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定
剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑
剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑
剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビス
フェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポ
リカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リ
ン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、
カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料等を添
加することもできる。更に、ガラス繊維、ガラスフレー
ク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充
填剤を添加することもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製
造方法に関しては、バンバリーミキサー、ロール、およ
び単軸または多軸押出機で溶融混練するなど種々の方法
を採用することができる。上記によって得られた耐薬品
性熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー
成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在
熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成
形することができ、特に制限されるものではない。
【0024】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、以下
に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実施
例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特に
ことわりのない限り「%」は重量%、「部」は重量部を
表す。耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方
法を下記する。機械的強度、耐熱性等の一般的な特性に
ついては、射出成形によりテストピースを成形し、下記
試験法に準拠し測定した。
【0025】ゴム粒子径:アルギン酸ナトリウム法。 グラフト率:グラフト共重合体所定量(m)にアセトン
を加え、3時間還流し、この溶液を8800r.p.
m.(10000G)で40分間遠心分離後、不溶分を
濾過し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。グラフト率は、次式により算出し
た。式中、Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。 グラフト率(%)={[(n)-(m)×L]/[(m)×L]}×100 還元粘度ηsp/c:サンプル1gにアセトン200mlを
加え、3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.
(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を
濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、
析出物(アセトン可溶分)を60℃で5時間減圧乾燥
後、ウベローデ粘度計を用い、メチルエチルケトン溶液
(0.4g/dl)、30℃でηsp/cを測定した。 引張降伏強度:ASTM D638(23℃) 曲げ弾性率 :ASTM D790(23℃) 荷重撓み温度:ASTM D648(1/4インチ,負
荷応力18.56kg/cm2 ) IZOD衝撃強度:ASTM D256(23℃ 1/2イ
ンチノッチ付き) MFR(メルトフローレート):ISO 1133(2
20℃,10kg荷重) 耐薬品性試験:射出成形した短冊状試験片(126×1
2.6×1.5mm)を図1に示した1/4楕円治具に
沿わして固定後、試験片表面に薬液を塗布するか、また
は揮発性の高い薬液の場合は、薬液250mlを入れた
直径300mmデシケーター内に治具ごと入れた。23
℃環境下で24時間放置後、クレーズおよびクラックの
発生有無を確認し、数1により臨界歪み(%)を算出し
た。
【0026】
【数1】
【0027】
【参考例】
(A)グラフト共重合体 A1 :窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖
0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄
0.005部および表1に示した所定量のポリブタジエ
ンラテックスを仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を
65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開
始として表1に示した所定量のモノマおよびt−ドデシ
ルメルカプタン混合物を5時間掛けて連続添加した。同
時に並行して、表1に示すクメンハイドロパーオキサイ
ドおよびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛
けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテック
スに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に
対して1重量部添加し、続いて、このラテックスを硫酸
で凝固後、水酸化ナトリウムにて中和し、洗浄濾過後、
乾燥させてパウダー状のグラフト共重合体を得た。この
グラフト共重合体のグラフト率は45%であった。
【0028】A2 〜A6 :A1 と同様の方法で表1に示
す組成比でグラフト共重合体を得た。
【0029】(B)共重合体 B1 : スチレン75部、アクリロニトリル25部なる
単量体混合物を懸濁重合して、ビーズ状の共重合体を得
た。該共重合体の還元粘度は0.65dl/gであっ
た。 B2 : スチレン75部、アクリロニトリル25部なる
単量体混合物を塊状重合して、ペレット状の共重合体を
得た。該共重合体の還元粘度は1.35dl/gであっ
た。 B3 : スチレン70部、アクリロニトリル30部なる
単量体混合物を懸濁重合して、ビーズ状の共重合体を得
た。該共重合体の還元粘度は0.70dl/gであっ
た。 B4 : スチレン87部、アクリロニトリル13部なる
単量体混合物を懸濁重合して、ビーズ状の共重合体を得
た。該共重合体の還元粘度は0.45dl/gであっ
た。 B5 : スチレン40部、アクリロニトリル30部、α
−メチルスチレン30部なる単量体混合物を懸濁重合し
て、ビーズ状の共重合体を得た。該共重合体の還元粘度
は0.60dl/gであった。 B6 : スチレン40部、アクリロニトリル30部、N
−フェニルマレイミド30部なる単量体混合物を乳化重
合して共重合体を得た。該共重合体の還元粘度は0.6
5dl/gであった。
【0030】(C)エチレン/(メタ)アクリル酸エス
テル/一酸化炭素共重合体 C1 :三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”
EP4051 C2 :三井・デュポンポリケミカル社製“エルバロイ”
EP553
【表1】 実施例1〜10、及び比較例1〜6 参考例記載の(A)グラフト共重合体、(B)共重合
体、(C)エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一
酸化炭素共重合体を表2記載の割合で配合後、40mmφ
単軸押出機(シリンダー設定温度は、実施例1〜7およ
び比較例1〜6は230℃、それら以外は260℃)で
溶融混練し、ペレット状の樹脂を得た。これら樹脂組成
物のアセトン可溶成分の還元粘度は表2の通りである。
得られたペレットを東芝機械(株)製射出成形機IS−
50A(シリンダー設定温度は、実施例1〜7および比
較例1〜6は230℃、それら以外は260℃)にてテ
ストピースを成形し、諸特性を評価し、結果を表3〜5
に掲げた。実施例1〜10により本発明の請求項記載の
配合割合の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物が、耐薬品性、
機械的特性および成形加工性に優れていることが判る。
しかし、比較例1〜6はグラフト共重合体(A)、共
重合体(B)およびエチレン/(メタ)アクリル酸エス
テル/一酸化炭素からなる共重合体(C)の配合割合
が、本発明の請求項記載範囲外であるため、耐薬品性が
不十分であり、且つ比較例2〜6は機械的特性、特に耐
衝撃性が低く、また比較例5は流動性も低い。
【0031】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0032】
【発明の効果】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物ま
たは成形品は、耐薬品性、特に薬液と接触した場合、成
形品にクレーズやクラックが発生せず、更に、機械的特
性、成形加工性等に優れ、耐薬品性を要求される分野に
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐薬品性試験に用いる1/4楕円治具の概略図
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 55/02 LME C08L 55/02 LME LMF LMF 73/00 LQQ 73/00 LQQ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均粒子径が0.1〜2.0μmで
    あるジエン系ゴム(A−1)5〜80重量部に、芳香族
    ビニル化合物(イ)および/またはα,β−不飽和カル
    ボン酸エステル化合物(ロ)45〜85重量%、シアン
    化ビニル化合物(ハ)15〜55重量%、その他の共重
    合可能なビニル系単量体(ニ)0〜40重量%とからな
    る単量体混合物(A−2)95〜20重量部をグラフト
    重合し、そのグラフト率が15〜100%であるグラフ
    ト共重合体(A)1〜80重量部と、 芳香族ビニル化
    合物(イ)および/またはα,β−不飽和カルボン酸エ
    ステル化合物(ロ)45〜85重量%、シアン化ビニル
    化合物(ハ)15〜55重量%、その他の共重合可能な
    ビニル系単量体(ニ)0〜40重量%とからなる単量体
    混合物を共重合した共重合体(B)0〜90重量部、
    およびエチレン/(メタ)アクリル酸エステル/一酸化
    炭素からなる共重合体(C)1〜20重量部、からな
    り、アセトン可溶成分の還元粘度が0.1〜1.0dl
    /gであることを特徴とする耐薬品性熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 23℃で24時間薬液接触後のクラック
    発生臨界歪みが0.5%以上であることを特徴とする請
    求項1記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 薬液が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、
    エステル化合物、エーテル化合物およびアルコール化合
    物のうちいずれかを含有するものであることを特徴とす
    る請求項2記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 薬液が炭素数4〜20の炭化水素、フロ
    ン類、ガソリン、灯油、ブレーキオイル、ポリ塩化ビニ
    ル用可塑剤および洗剤のいずれかを含有するものである
    ことを特徴とする請求項2記載の耐薬品性熱可塑性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組
    成物を成形してなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000248148A (ja) * 1999-03-01 2000-09-12 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそのブロー成形品
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