JP2005068349A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性を損なうことなく、耐薬品性、塗装外観性、剛性、および耐熱性のバランスに優れる。
【解決手段】重量平均粒子径が0.1〜1.5μmであるゴム質重合体(A−1)の存在下に芳香族ビニル系単量体(イ)、シアン化ビニル系単量体(ロ)、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる単量体混合物(A−2)をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、シアン化ビニル系共重合体(B)、およびポリカーボネート樹脂(C)からなる樹脂組成物に対して、(D)α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−、(E)長鎖脂肪酸エステル系滑剤を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性樹脂本来の機械的特性を損なうことなく、耐薬品性、塗装外観性、剛性、および耐熱性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ABS系樹脂は剛性、成形加工性、光沢、塗装性、および外観に優れ、工業部品や家庭用電気製品、車輌用途の内装・外装部品に数多く使用されている。
特に自動車部品など、高いレベルの耐衝撃性を要求される用途においては、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とを含有する樹脂組成物(以下、ABS/PCアロイと略す)が使用されている。
しかし、ABS/PCアロイは耐薬品性に劣っており、薬品やガソリンに接触すると成形品に亀裂が発生することがある。
ABS系樹脂の耐薬品性を改良する手段として、ABS樹脂成分を構成するAS樹脂の分子量を増大させる方法、あるいはAS樹脂を構成する極性単量体であるアクリロニトリルの組成比を増大させる方法は公知であるが、これらの方法では耐薬品性が不十分なばかりでなく、ABS系樹脂の成形加工性を損なう問題がある。 また、ABS系樹脂とポリアミド、変性エチレン−α−オレフィン系エラストマーからなる組成物も提案されており、耐薬品性が向上することが知られている(特許文献1)。しかしながら、寸法安定性や耐熱性が不十分であり、車輌用途などの耐熱性が必要とされる部品には使用できないのが実情である。これら耐熱性や寸法安定性を改善する手段としては、ガラス繊維などの強化材を添加することが公知であるが、強化材などを添加すると、成形品表面に凹凸ができ、表面の光沢性が悪化する。このような外観の成形品は塗装しても、塗装外観が劣り好ましくない。
特開平7−316381号公報
本発明は熱可塑性樹脂本来の機械的特性を損なうことなく、耐薬品性、塗装外観性、剛性、および耐熱性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、グラフト共重合体、ビニル系共重合体およびポリカーボネート樹脂を配合してなる樹脂組成物において、α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−、および長鎖脂肪酸エステル系滑剤を配合することにより、耐薬品性、塗装外観性および耐熱性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は「重量平均粒子径が0.1〜1.5μmであるゴム質重合体(A−1)20〜80重量部の存在下に芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(ロ)5〜50重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる単量体混合物(A−2)80〜20重量部をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)5〜40重量部と、
芳香族ビニル系単量体(イ)85〜45重量%とシアン化ビニル系単量体(ロ)15〜55重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも2種以上の単量体からなる混合物(B−1)を共重合して得られるシアン化ビニル系共重合体(B)5〜50重量部、およびポリカーボネート樹脂(C)10〜90重量部からなる樹脂組成物100重量部に対して、(D)α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−0.05〜5重量部、(E)長鎖脂肪酸エステル系滑剤0.05〜5重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物」である。
本発明によれば、機械的特性を損なうことなく、耐薬品性、塗装外観性、剛性、および耐熱性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。それによってコストダウンおよび生産性の向上が図れ
以下に本発明の樹脂組成物について具体的に説明する。
本発明におけるゴム質重合体(A−1)の例としては、ポリブタジエンの他、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体およびポリイソプレンゴム等が挙げられ、なかでもポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどが好ましい。
本発明における単量体混合物(A−2)の芳香族ビニル化合物(イ)としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレン等が挙げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を用いることができる。
シアン化ビニル化合物(ロ)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
また、その他の共重合可能なビニル系単量体(ハ)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミドなどが挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミドおよび無水マレイン酸が好ましい。
単量体混合物(A−2)は芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(ロ)5〜50重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体から構成される。
前記ゴム質重合体(A−1)の重量平均粒子径は、機械的強度および成形加工性の点から、0.1〜1.5μmであることが必要であり、好ましくは0.2〜1.2μmである。重量平均粒子径が0.1μm未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が発現せず、1.5μmを越えると、成形加工性、特に流動性の低下が著しく、また、表面外観も低下する。
また、グラフト共重合体(A)中におけるゴム質重合体(A−1)の含有量は、機械的強度、耐熱性および成形加工性の点からグラフト共重合体(A)100重量部中、20〜80重量部であり、好ましくは20〜70重量部である。含有量が20重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が発現せず、80重量部を越えると、流動性、耐熱性および剛性が低下する。グラフト共重合体(A)100重量部中におけるグラフト重合された単量体混合物の比率は20〜80重量部である。
前記グラフト共重合体(A)のグラフト率は、機械的強度および成形加工性の点から15〜150%であることが好ましく、より好ましくは、20〜70%である。グラフト率が15%未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でないことがあり、150%を越えると、成形加工性、特に流動性が低下することがある。
本発明におけるシアン化ビニル系共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体(イ)、シアン化ビニル系単量体(ロ)およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも2種以上の単量体からなる単量体混合物(B−1)を共重合して得られるものであり、各組成比は85〜45重量%/55〜15重量%/0〜40重量%である。成形性、耐薬品性の観点から80〜50重量%/50〜20重量%/0〜30重量%が好ましく、より好ましくは70〜50重量%/40〜30重量%/0〜20重量%である。シアン化ビニル系単量体(ロ)が15%未満であると、得られる樹脂組成物の耐薬品性、および塗装性が十分でなく、また、55重量%を超えると成形品の色調安定性が低下する場合がある。ビニル系共重合体(B)のアセトン可溶成分の極限粘度[η]は0.3〜1.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは、0.3〜0.8dl/gであり、0.3dl/g未満では、耐衝撃性が不十分であることがあり、1.0dl/gを超えると流動性が低下す
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(C)は、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる。該芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が10000〜1000000の範囲のものが好ましい。ここで二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用でき、これら単独あるいは混合物として使用することができる。
本発明で用いられる、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、ポリカーボネート樹脂(C)の配合比率は、各々5〜40重量部、5〜50重量部、10〜90重量部であり、衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスの点から、グラフト共重合体(A)が5〜30重量部、ポリカーボネート樹脂(C)が20〜80重量部であることが好ましい。グラフト共重合体(A)の比率がが5重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が不十分であり、また40重量部を越えると、流動性、耐熱性および剛性が低下する。ビニル系共重合体(B)の含有量が50重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が不十分であり、また、5重量部未満では、流動性、耐熱性および剛性が低下する。ポリカーボネート樹脂(C)の比率が90重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下し、また、10重量部未満では、耐衝撃性および耐熱性が不十分である。
なお、グラフト共重合体(A)およびグラフト共重合体(B)の共重合体の製造方法は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等のいずれの重合方法を用いても良く、特に制限されない。また、単量体の仕込方法についても特に制限はなく、初期一括仕込み、あるいは共重合体の組成分布の生成を抑えるために仕込み単量体の一部または全部を連続的または分割して仕込みながら重合してもよい。
本発明で用いられるα−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)に用いられる単量体としては、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキセゼセン、1−オクタゼセン、1−エイコセン等が挙げられる。
本発明で用いられるα−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)は、100℃での動粘度が5〜500cStであることが好ましい。また、本発明で用いられるα−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)は、耐薬品性および塗装の観点から、グラフト共重合体(A)とシアン化ビニル系共重合体(B)およびポリカーボネート樹脂(C)からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.05〜5重量部の添加が必要であり、好ましくは、0.1〜4重量部の範囲である。含有量が5重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性および剛性が低下し、また、0.05未満では、耐薬品性および塗装性が不十分である。
本発明で用いられる長鎖脂肪酸エステル系滑剤(E)の含有量は、耐薬品性および耐衝撃性の観点から、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)およびポリカーボネート樹脂(C)からなる樹脂組成物100部に対して、0.05〜5重量部の添加が必要であり、好ましくは、0.1〜4重量部の範囲である。含有量が5重量部を越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性および剛性が低下し、また、0.05未満では、耐薬品性および耐衝撃性が不十分である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のグラフト共重合体(A)、シアン化ビニル系共重合体(B)、ポリカーボネート樹脂(C)、α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)および長鎖脂肪酸エステル系滑剤(E)からなる組成物、すなわち(A)+(B)+(C)+(D)+(E)のアセトン可溶成分の極限粘度[η]が0.3〜1.0dl/gであることが好ましい。この範囲であると、機械的強度、耐薬品性、および成形加工性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等のポリエステル、各種エラストマー類を加えて成形用樹脂としての性能を改良することができる。また、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料等を添加することもできる。
さらに、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどの充填材などを配合することができる。中でもガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましく使用することができ、最も好ましいものとしては炭素繊維が用いられる。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関しては、バンバリーミキサー、ロール、および単軸または多軸押出機で溶融混練するなど種々の方法を採用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形他、押出成形、ブロー成形、真空成形、異形押出成形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、または家電機器のハウジング部品などに使用可能である。とりわけ、車両用途部品として好適に使用できる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実施例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特にことわりのない限り「%」は重量%、「部」は重量部を表す。熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方法を下記する。機械的強度、耐熱性等の一般的な特性については、射出成形によりテストピースを成形し、下記試験法に準拠し測定した。
(1)重量平均ゴム粒子径
「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める)。
(2)グラフト率
グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。グラフト率は下記式より算出した。ここでLはグラフト共重合体のゴム含有量である。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
(3)極限粘度[η]
サンプル1gにアセトン200mlを加え、3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を60℃で5時間減圧乾燥後、ウベローデ粘度計を用い、メチルエチルケトン溶液、30℃でηsp/cを測定し、極限粘度[η]を算出した。
(4)耐薬品性:射出成形した試験片(127×12.7×1.5mm)を23℃の環境下において図1に示した定スパン治具にセットし、ガソリンを20g滴下する。 その後、試験片が破断するまでの時間を計測する。なお、歪みについては、次式により2%に設定した。
ε=tπ{L'(L−L')}1/2 /L'2
ε:最大歪み(%)
L:試験片長さ(=126mm)
L’:試験片の弦の長さ(=105mm)
t:試験片の厚み(=1.5mm)。
(5)耐塗装性:射出成形して得られた試験片(70×230×3mm)をアクリル系塗料溶液(藤倉化成(株)製の塗料”アクリルライン”#66E/シンナ−”アクリルライン”I型シンナ−=50/50重量比)スプレ−塗装し、70℃にて30分乾燥した後
、塗装面の表面性を外観評価した。また、ウレタン系塗料の場合は、日本ペイント(株)製”ブラッシュホワイト”(アンダ−コ−ト:”Pu Blush White Base”、ミドルコ−ト:”Pu Blush White Coctail”#1、シンナ−:”Polyuremightylac”)を塗布し、70℃にて30分乾燥した後の塗装面の塗膜密着性を評価した。
(6)曲げ弾性率:ASTM D790(23℃)
(7)アイゾット衝撃強さ:ASTM D256(23℃,Vノッチ付き)
(8)MFR(メルトフローレート) :ISO 1133(220℃,98N荷重)
(9)動粘度:JIS K2283(100℃)。
(参考例)
(A)グラフト共重合体A1〜A6の製造
窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部および表1に示した所定量のポリブタジエンラテックスを仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として表1に示した所定量のモノマおよびt−ドデシルメルカプタン混合物を5時間掛けて連続添加した。同時に並行して、表1に示すクメンハイドロパーオキサイドおよびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に対して1重量部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で凝固後、水酸化ナトリウムにて中和し、洗浄濾過後、乾燥させてパウダー状のグラフト共重合体A1を得た。このグラフト共重合体A1のグラフト率は45%であった。
組成比を表1に示す組成比に変更した以外はグラフト共重合体A1と同様の方法で、でグラフト共重合体A2〜A6を得た。
(B)ビニル系共重合体B1〜B6の製造
以下のとおりグラフト共重合体B1〜B6を製造した。
B1:スチレン70重量%、アクリロニトリル30重量%なる単量体混合物を塊状重合して、ペレット状の共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
B2:スチレン50重量%、アクリロニトリル50重量%なる単量体混合物を懸濁重合して、ビ−ズ状の共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は0.65dl/gであった。
B3:スチレン45重量%、アクリロニトリル30重量%、N−フェニルマレイミド25重量%なる単量体混合物を乳化重合して、パウダ−状の共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は0.65dl/gであった。
B4:スチレン45重量%、アクリロニトリル30重量%、α−メチルスチレン25重量%なる単量体混合物を乳化重合して、パウダ−状の共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は0.65dl/gであった。
B5:スチレン90重量%、アクリロニトリル10重量%なる単量体混合物を塊状重合して、ペレット状の共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は0.28dl/gであった。
B6:スチレン40重量%、アクリロニトリル60重量%なる単量体混合物を塊状重合して、ペレット状のの共重合体を得た。該共重合体の極限粘度[η]は1.50dl/gであった。
実施例1〜8、及び比較例1〜8
参考例において製造した(A)グラフト共重合体、(B)ビニル系共重合体、および下記記載の(C)ポリカ−ボネ−ト樹脂、(D)α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−、(E)長鎖脂肪酸エステル系滑剤を表2および表3記載の割合で配合後、30mmφ2軸押出機で溶融混練し、ペレット状の樹脂を得た。
(C)ポリカ−ボネ−ト樹脂
C1:出光石油化学社製”タフロンA1900”を使用した。
C2:出光石油化学社製”タフロンA2200”を使用した。
(D)α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンコオリゴマ−
D1:三井化学社製“ル−カントHC10”を使用した(100℃での動粘度:10cSt)
D2:三井化学社製“ル−カントHC20”を使用した(100℃での動粘度:20cSt)。
D3:三井化学社製“ル−カントHC600”を使用した(100℃での動粘度:600cSt)
(E)長鎖脂肪酸エステル系滑剤
E1:日本油脂(株)社製”ユニスタ−H−476”を使用した。
E2:日本油脂(株)社製”ユニスタ−H−470T”を使用した。
得られたペレットを東芝機械(株)製射出成形機IS−50Aにてテストピースを成形し、諸特性を評価し、結果を表4、5に掲げた。
Figure 2005068349
Figure 2005068349
Figure 2005068349
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Figure 2005068349
実施例1〜8により、本発明の請求項記載の配合割合の熱可塑性樹脂組成物の耐薬品性、塗装外観性および耐熱性に優れていることが判る。
しかし、比較例1、4、および6は、グラフト共重合体(A)の種類あるいは使用量が本発明の範囲外であるため、比較例1は、剛性、耐熱性が不十分であり、比較例4は剛性が不十分であり、比較例6は、耐衝撃性が不十分である。比較例2および5はビニル系共重合体(B)が本発明の範囲外であるため、比較例2は耐衝撃性および塗装性が不十分であり、比較例5は流動性が不十分である。また、比較例3はポリカ−ボネ−ト樹脂(C)の使用量が本発明の範囲外であるため、耐熱性および耐衝撃性が不十分である。比較例6、8および7は、各々α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンコオリゴマ−(D)、長鎖脂肪酸エステル系滑剤(E)が本発明の範囲外であるため、比較例6は、耐衝撃性および耐薬品性および塗装性が不十分であり、比較例7は剛性が不十分であり、比較例8は塗装性が不十分である。
剛性、成形加工性、光沢、塗装性、および外観に優れ、工業部品や家庭用電気製品、車輌用途の内装・外装部品に数多く使用され、特に自動車部品など、高いレベルの耐衝撃性を要求される用途に使用可能である。
本発明の組成物の耐薬品性試験に用いる治具の概略斜視図である。

Claims (5)

  1. 重量平均粒子径が0.1〜1.5μmであるゴム質重合体(A−1)20〜80重量部の存在下に芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(ロ)5〜50重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる単量体混合物(A−2)80〜20重量部をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)5〜40重量部と、
    芳香族ビニル系単量体(イ)85〜45重量%とシアン化ビニル系単量体(ロ)15〜55重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)から選ばれる少なくとも2種以上の単量体からなる混合物(B−1)を共重合して得られるシアン化ビニル系共重合体(B)5〜50重量部、および
    ポリカーボネート樹脂(C)10〜90重量部からなる樹脂組成物100重量部に対して、
    α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)0.05〜5重量部、長鎖脂肪酸エステル系滑剤(E)0.05〜5重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(A)、シアン化ビニル系共重合体(B)、ポリカーボネート樹脂(C)、α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)および長鎖脂肪酸エステル系滑剤(E)からなる組成物のアセトン可溶成分の極限粘度[η]が0.3〜1.0dl/gである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. グラフト共重合体(A)のグラフト率が15〜150%である請求項1または2記載熱可塑性樹脂組成物。
  4. α−オレフィンオリゴマ−および/またはエチレンとα−オレフィンのコオリゴマ−(D)の100℃での動粘度が5〜100cStである請求項1〜3のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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