JPH1067902A - 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品

Info

Publication number
JPH1067902A
JPH1067902A JP22806396A JP22806396A JPH1067902A JP H1067902 A JPH1067902 A JP H1067902A JP 22806396 A JP22806396 A JP 22806396A JP 22806396 A JP22806396 A JP 22806396A JP H1067902 A JPH1067902 A JP H1067902A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
copolymer
monomer
vinyl
chemical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22806396A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Nishizawa
昌洋 西澤
Mitsuru Takamura
充 高村
Akira Saito
彰 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP22806396A priority Critical patent/JPH1067902A/ja
Publication of JPH1067902A publication Critical patent/JPH1067902A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】OA機器や家電用途等の電気製品用途、洗剤等
に接触する家庭用器具用途・サニタリー用途・業務用遊
戯器具用途に要求される耐薬品性、帯電防止性、機械的
特性、成形加工性および樹脂溶融時の色調安定性のバラ
ンスに優れた耐薬品性熱可塑性樹脂組成物または成形品
を提供すること。 【解決手段】ゴム含有グラフト共重合体と特定構造を有
するシアン化ビニル系共重合体とポリアミドエラストマ
−および変性ビニル系重合体とを組み合わせることを特
徴とする耐薬品性熱可塑性樹脂組成物または該成形品に
より解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐薬品性、特に薬
液と接触した場合、成形品にストレスクラックが発生す
ることのない、耐ストレスクラック性に優れ、かつ、永
久帯電防止性を有し、機械的特性、成形加工性および溶
融時の色調安定性に優れた耐薬品性熱可塑性樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジエン系ゴム成分にアクリロニトリル、
メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、スチ
レン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物成分
を共重合したグラフト共重合体を含有してなる、いわゆ
るABS樹脂は、優れた耐衝撃性、機械物性および成形
加工性に優れていることから、汎用樹脂とエンジニアリ
ング樹脂との中間的な特性を持つ準エンプラとしてOA
機器や家電製品向けの用途の拡大に伴い、静電気の発生
による障害、帯電によるほこり付着を防止する目的で、
帯電防止性能を有する材料の開発が積極的に進められて
いる。
【0003】ABS系樹脂に帯電防止性能を半永久的に
付与する方法として、ポリエーテルエステルアミドを始
めとするポリアミドエラストマーを配合する方法が公知
である(例えば、特開昭60ー23435号公報、同6
1−246244号公報、同63−95251号公報、
同63−97653号公報など)。
【0004】しかしながら、これらABS樹脂等に代表
される永久帯電防止性ゴム強化スチレン系樹脂は、他の
結晶性高分子やエンジニアリングプラスチックに比し
て、耐薬品性に劣ることが知られており、アルコール
類、炭化水素類、エステル類等の化学薬品・合成洗剤
や、フロン類、ガソリン、灯油、ブレーキオイルおよび
塩ビ可塑剤等の薬液類に対してクレーズやクラックが発
生し、家電・雑貨分野や自動車分野などの用途において
使用が制限されている。また、ABS樹脂は、冷蔵庫の
内箱やドア部材などの断熱構造体の部品、パチンコの受
け皿等の雑貨用途、トイレ・台所等のサニタリー用途に
多用されている。断熱構造体において断熱材として使用
されている硬質ウレタンフォームの発泡剤は、特定フロ
ン−11が使用されてきたが、オゾン問題から代替フロ
ン−141b、あるいはシクロペンタンなどに代替され
つつあるが、フロン−141b、およびシクロペンタン
はフロン−11に比してABS樹脂を激しく侵し、応力
負荷状態では成形品にクレーズやクラックが発生する。
雑貨・サニタリー用途においては、該部材の洗浄に家庭
用あるいは業務用洗剤が使用され、これら洗剤類によっ
ても成形品にクレーズやクラックが発生し、商品価値を
著しく損なう問題が生じていた。
【0005】そこで、ABS樹脂の耐薬品性を向上する
手段として、樹脂組成物中のシアン化ビニル系単量体成
分の含有割合を高める方法が知られており、幾つかのい
わゆる高ニトリル含有熱可塑性樹脂組成物が提案されて
いる。
【0006】たとえば、単に耐薬品性と機械的特性の向
上という観点では、グラフト共重合体のグラフト率を規
定した樹脂組成物(特開平4−258619号公報、特
開平5−78428号公報など)、耐薬品性を有し、か
つ熱安定性に優れるという観点では、マトリックス成分
にメタクリル酸エステルを必須成分とした高ニトリル含
有熱可塑性樹脂組成物(特開平4−126756号公報
など)がある。
【0007】しかしながら、上述した従来の高ニトリル
含有熱可塑性樹脂組成物では、樹脂組成物中のシアン化
ビニル系単量体成分の含有割合を高めることにより、あ
る程度耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ること
ができるものの、成形加工時の熱着色性および流動性の
低下等の問題があり、抜本的な問題の解決には至ってい
なかった。
【0008】また、これらの高ニトリル含有熱可塑性樹
脂組成物における熱着色性、いわゆる色調悪化は、ニト
リル基が隣接しあった分子構造が原因であることが知ら
れている(56,Modern Plastics International,April,1
990 )が、その分子構造を制御する方法が困難であっ
た。しかし、本発明者らは、かかる制御方法を見出だし
(特願平6−264241)、その高ニトリル含有ビニ
ル系共重合体を構成成分とする耐薬品性に優れた熱可塑
性樹脂組成物(特願平6−314618)を提案した。
【0009】また、耐薬品性を向上させる手段として、
耐薬品性に優れるポリブチレンテレフタレート、ポリア
ミド、ポリプロピレン等の結晶性樹脂をブレンドする方
法(特公平7−21096号公報、特開平6−3130
91号公報、特開平6−329852号公報など)が提
案されているが、結晶性樹脂を多量にブレンドすると成
形収縮率が大きくなり、従来のスチレン系樹脂で使用し
ていた金型が困難であり、更には、ABS樹脂との相溶
性が不十分であり、機械的特性が満足できなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐薬
品性、特に薬液と接触した場合、成形品にストレスクラ
ックが発生することのない、耐ストレスクラック性に優
れ、帯電防止性、機械的特性、成形加工性および溶融時
の色調安定性に優れた耐薬品性熱可塑性樹脂組成物を提
供することにある。
【0011】本発明者らは、かかる目的を達成するため
に鋭意検討した結果、特定構造を有するシアン化ビニル
系共重合体とポリアミドエラストマ−と変性ビニル系共
重合体およびゴム含有グラフト共重合体とを組み合わせ
ることにより、永久帯電防止性、耐薬品性および成形加
工性のバランスに優れ、かつ溶融時の色調安定性に優れ
た耐薬品性熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出だ
し、本発明に到達した。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、ゴ
ム質重合体(A−1)5〜80重量部に、芳香族ビニル
系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ロ)および
これらと共重合可能なビニル系単量体(ハ)から選ばれ
る少なくとも1種以上の単量体からなる単量体混合物
(A−2)95〜20重量部をグラフト重合してなるグ
ラフト共重合体(A)10〜50重量部と、芳香族ビニ
ル系単量体(イ)75〜45重量%とシアン化ビニル系
単量体(ロ)25〜55重量%およびこれらと共重合可
能な他のビニル系単量体(ハ)0〜60重量%からな
り、かつ、該シアン化ビニル系単量体の3連シ−ケンス
の割合が10重量%以下であるシアン化ビニル系共重合
体(B)10〜84.9重量部と、ポリアミドエラスト
マ−(C)5〜25重量部、およびカルボキシル基、エ
ポキシ基、アミノ基およびアミド基よりなる群から選ば
れた少なくとも一種以上の官能基を有する変性ビニル系
共重合体(D)0.1〜15重量部からなり、グラフト
共重合体(A)、シアン化ビニル系共重合体(B)、ポ
リアミドエラストマ−(C)および変性ビニル系共重合
体(D)の合計量が100重量部である耐薬品性熱可塑
性樹脂組成物によって達成される。
【0013】
【発明の実施形態】本発明におけるゴム質重合体(A−
1)の例としては、ポリブタジエンの他、スチレン−ブ
タジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アクリ
ル酸ブチル−ブタジエン共重合体およびポリイソプレン
ゴム等が挙げられ、なかでもポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合ゴムなどが耐衝撃性の点で好まし
い。
【0014】本発明におけるグラフト共重合体(A)の
グラフト成分およびシアン化ビニル系共重合体(B)に
用いられる芳香族ビニル系単量体(イ)としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレ
ン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレ
ン等が挙げられるが、特にスチレン、α−メチルスチレ
ンが成形加工性および色調の点で好ましい。これらは1
種または2種以上を用いることができる。
【0015】本発明におけるグラフト共重合体(A)の
グラフト成分およびシアン化ビニル系共重合体(B)に
用いられるシアン化ビニル系単量体(ロ)としては、ア
クリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタアク
リロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリル
が耐薬品性の点で好ましい。
【0016】本発明における共重合可能な他のビニル系
単量体(ハ)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)
アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−
クロロエチル等の不飽和カルボン酸エステル、N−メチ
ルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等
の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカ
ルボン酸無水物およびアクリルアミド等の不飽和アミド
化合物等を挙げることができ、なかでもメタクリル酸メ
チル、N−フェニルマレイミドが成形加工性の点で好ま
しい。
【0017】前記グラフト共重合体(A)に用いられる
芳香族ビニル化合物(イ)、シアン化ビニル化合物
(ロ)、共重合可能なビニル系単量体(ハ)の各組成比
は、芳香族ビニル化合物(イ)および/または共重合可
能な他のビニル系単量体(ハ)が45〜85重量%であ
ることが、耐衝撃性および成形加工性の点から好まし
く、50〜80重量%がより好ましい。シアン化ビニル
系単量体(ロ)が15〜55重量%であることが、耐薬
品性および成形加工性の点から好ましく、20〜50重
量%がより好ましい。その他の共重合可能なビニル系単
量体(ニ)が0〜40重量%であることが耐熱性の点で
好ましい。
【0018】グラフト共重合体(A)におけるゴム質重
合体(A−1)の含有量は、機械的強度および成形加工
性の点から、5〜80重量部であり、好ましくは10〜
60重量部である。グラフト共重合体(A)におけるゴ
ム質重合体(A−1)の含有量が5重量部未満である
と、得られる耐薬品性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でな
く、また80重量部を超えると、成形加工性および耐熱
性が低下する。
【0019】グラフト共重合体(A)におけるゴム質重
合体(A−1)中のゴムの重量平均粒子径は、耐衝撃性
および成形加工性の点から、0.1〜2.0μmが好ま
しく、より好ましくは0.2〜1.0μmである。重量
平均粒子径が0.1μm未満であると、得られる耐薬品
性樹脂組成物の耐衝撃性が十分でないことがあり、また
2.0μmを越えると成形加工性が低下することがあ
る。
【0020】グラフト共重合体(A)におけるグラフト
率は、耐衝撃性および成形加工性の点から15〜150
%が好ましく、より好ましくは20〜70%である。グ
ラフト率が15%未満であると得られる耐薬品性樹脂組
成物の耐衝撃性が十分でないことがあり、150%の超
えると、成形加工性および耐熱性が低下することがあ
る。
【0021】全耐薬品性樹脂組成物中のグラフト共重合
体(A)の含有量は、10〜50重量部である。含有量
は、耐衝撃性と剛性とのバランスの点から15〜45重
量部が好ましい。グラフト共重合体(A)の含有量が1
0重量部未満であると、得られる耐薬品性樹脂組成物の
耐衝撃性が十分でなく、また50重量部を超えると、成
形加工性、耐熱性および剛性が低下する。
【0022】グラフト共重合体(A)の製造方法は、乳
化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等のいずれの重
合方法を用いても良く、特に制限されない。また、単量
体、開始剤および連鎖移動剤の仕込み方法についても特
に制限はなく、初期一括仕込み、あるいは共重合体の組
成分布の生成を抑えるために仕込み単量体の一部または
全部を連続的または分割して仕込みながら重合してもよ
い。
【0023】本発明におけるシアン化ビニル系共重合体
(B)の単量体成分の基本構成単位は、芳香族ビニル系
単量体(イ)75〜45重量%、シアン化ビニル系単量
体(ロ)25〜55重量%である。芳香族ビニル系単量
体(イ)70〜55重量%、シアン化ビニル系単量体
(ロ)30〜45重量%の範囲のものが、成形加工性の
点で好ましい。シアン化ビニル系単量体(ロ)が25重
量%未満であると、得られる耐薬品性樹脂組成物の耐薬
品性が十分でなく、また55重量%を越えると成形加工
性および溶融時の色調安定性が低下する。また、必要に
応じて共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)を構成成
分とすることができる。該共重合可能な他のビニル系単
量体(ハ)の含有量が60重量%を越えると、得られる
耐薬品性樹脂組成物の耐薬品性を維持することが困難に
なるため、0〜60重量%とする必要がある。
【0024】シアン化ビニル系共重合体(B)中のシア
ン化ビニル系単量体の3連シーケンスとは、式(I)で
表される当該共重合体のセグメントであり、かかるセグ
メントを有する共重合体が高温に晒される状態では、式
(II)に示す分子内還化反応が進みむため、着色に至る
と推定されている。
【0025】
【化1】
【化2】 本発明におけるシアン化ビニル系共重合体(B)中のシ
アン化ビニル系単量体の3連シーケンスの割合は10重
量%以下とする必要がある。10重量%を越えると、耐
薬品性樹脂組成物の溶融時の色調安定性が低下する。シ
アン化ビニル系共重合体(B)中のシアン化ビニル系単
量体の3連シーケンスの割合は、8重量%未満であるこ
とが、溶融時の色調安定性の点で好ましい。このような
シアン化ビニル系単量体の3連シーケンスの割合が10
重量%以下に制御されたシアン化ビニル系共重合体
(B)は、残存単量体中のシアン化ビニル系単量体成分
割合を制御して重合を行うことにより製造することがで
きる。
【0026】また、シアン化ビニル系共重合体(B)の
還元粘度は、得られる耐薬品性樹脂組成物の耐薬品性を
向上させるために、0.2〜1.5dl/gであること
が好ましく、より好ましくは0.4〜1.0dl/gで
ある。シアン化ビニル系共重合体(B)における還元粘
度が0.2dl/g未満であると、得られる耐薬品性樹
脂組成物の耐薬品が十分でないことがあり、1.5dl
/gを超えると成形加工性が低下することがある。
【0027】全耐薬品性樹脂組成物中のシアン化ビニル
系共重合体(B)の含有量は、10〜84.9重量部で
ある。含有量が10重量部未満であると、得られる耐薬
品性樹脂組成物の耐薬品性が十分でなく、また84.9
重量部を超えると、成形加工性および溶融時の色調安定
性が低下する。
【0028】シアン化ビニル系共重合体(B)の重合方
法としては、水系懸濁重合が好ましいが、特に該方法に
制限されない。前記水系懸濁重合に用いられる懸濁安定
剤としては、粘土、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム
等の無機系懸濁安定剤、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、メタクリ
ル酸メチル/アクリルアミド共重合体等の有機系懸濁安
定剤等が挙げられ、なかでも有機系懸濁安定剤が溶融時
の熱着色防止性に優れるため好ましく、より好ましくは
メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体である。
また、仕込みモノマ総量100重量部に対する分散媒体
としての水の仕込み総量は、モノマの良好な水中分散性
の維持および水へのシアン化ビニル系単量体の多量の溶
解移行性といった観点から、80〜350重量部の範囲
から選ぶことが好ましく、更に、残存単量体中のシアン
化ビニル系単量体成分割合の制御上、100〜200重
量部がより好ましい。
【0029】前記水系懸濁重合に用いられる重合開始剤
としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリ
メチルバレロニトリル)などのアゾニトリル系化合物お
よびt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオセキサノエ
ート、t−ブチルパーオキシピバレートなどの有機過酸
化物が挙げられ、これらを1種または2種以上を併用し
て用いることができ、なかでもアゾニトリル化合物が重
合速度の制御が容易な点で特に好ましい。
【0030】また、ここで用いる連鎖移動剤について
は、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプ
タン類が挙げられる。これらを1種または2種以上を併
用して用いることができる。使用方法はとしては一括添
加、分割添加または連続添加のいずれの方法でも差支え
ない。
【0031】本発明における、シアン化ビニル系共重合
体(B)を得るためには、シアン化ビニル系単量体の3
連シーケンスの割合の制御上、重合開始から重合終了ま
での重合系内の残存単量体中のシアン化ビニル系単量体
割合を95重量%、さらに好ましくは80重量%以下に
制御し、かつ重合開始から重合率10%経過時点までの
残存単量体中のシアン化ビニル系単量体割合を70重量
%以上95重量%以下にすることが好ましい。残存単量
体中のシアン化ビニル系単量体割合は、重合開始剤の
量、重合禁止剤の添加、ストリッピングによるシアン化
ビニル系単量体の重合系内から除去もしくはシアン化ビ
ニル系単量体以外の単量体の重合中の重合系内への添加
時期や添加量調整などと適宜組み合わせて行うことによ
り制御することができる。
【0032】本発明におけるポリアミドエラストマー
(C)としては、例えば炭素数が6以上のポリアミド形
成成分(a)、およびポリ(アルキレンオキシド)グリ
コールとの反応によるグラフトまたはブロック共重合体
(b)が挙げられる。ここで、炭素数が6以上のアミド
形成成分(a)としては、具体的には、ω−アミノカプ
ロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル
酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、1
1−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の
アミノカルボン酸、あるいはカプロラクタム、エナント
ラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のラク
タム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサ
メチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジア
ミン−イソフタル酸塩等のナイロン塩が挙げられる。ポ
リ(アルキレンオキシド)グリコール(b)の例として
は、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリ(1,2−
プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロ
ピレンオキシド)グリコール、ポリ (テトラメチレン
オキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシ
ド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシ
ドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシ
ドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重
合体等が用いられる。該ポリ(アルキレンオキシド)グ
リコールの数平均分子量は200〜6000が重合性お
よび剛性の点で好ましく、300〜4000である。ま
た、必要に応じて、(b)成分の両末端をアミノ化また
はカルボキシル化してもよい。
【0033】本発明の炭素数が6以上のポリアミド形成
成分(a)とポリ(アルキレンオキシド)グリコール成
分(b)の結合は、通常エステル結合、アミド結合であ
るが、特にこれらのみに限定されない。また、ジカルボ
ン酸、ジアミン等の第3成分を両成分の反応成分として
用いることも可能であり、この場合のジカルボン酸成分
(c)としては、炭素数4〜20のテレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキ
シエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリ
ウムのような芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸のよう
な脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンジ酸のような脂肪族ジカルボ
ン酸が挙げられ、特に1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸が重合
性、色調、物性の点から好ましい。一方、ジアミン成分
(d)としては、芳香族、脂環族、脂肪族のジアミンが
用いられ、なかでも脂肪族ジアミンのヘキサメチレンジ
アミンが上記同様、重合性、色調、物性の点から好まし
い。
【0034】全耐薬品性樹脂組成物中のポリアミドエラ
ストマー(C)の含有量は、5〜25重量部である。含
有量は、制電性と剛性および成形加工性とのバランスの
点から10〜20重量部が好ましい。含有量が5重量部
未満では、得られる耐薬品性樹脂組成物の帯電防止性が
十分でなく、また25重量部を超えると剛性およびシア
ン化ビニル系共重合体(B)との相溶性が低下する。
【0035】ポリアミドエラストマー(C)の重合方法
に関しては特に限定されず、例えばアミノカルボン酸ま
たはラクタム(a)とジカルボン酸(c)を約等モル比
で反応させて、両末端がカルボン酸基のポリアミドプレ
ポリマーを作り、これにポリ(アルキレンオキシド)グ
リコール(b)を真空下に反応させる方法や、上記
(a)、(b)、(c)の各化合物を反応槽に仕込み、
水の存在下または非存在下に高温で加圧反応させること
により、カルボン酸末端のポリアミドプレポリマーを生
成させ、その後、常圧または減圧下で重合を進める方
法、あるいは、上記(a)、(b)、(c)の化合物を
同時に反応槽に仕込、溶融重合した後、高真空下で一挙
に重合を進める方法などの公知の方法を採用することが
できる。
【0036】本発明の耐薬品性樹脂組成物は、カルボキ
シル基、エポキシ基、アミノ基およびアミド基よりなる
群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変性ビ
ニル系共重合体(D)を配合することにより、ポリアミ
ドエラストマー(C)とシアン化ビニル系共重合体
(B)との相溶性がよくなり、耐衝撃性等の機械的強度
が向上すると共に、層状剥離防止性も改良される。
【0037】本発明における変性ビニル系共重合体
(D)とは、2種以上のビニル系単量体を共重合して得
られる構造を有し、分子鎖中にカルボキシル基、エポキ
シ基、アミノ基、アミド基の少なくとも1種の官能基を
有するものである。これらの官能基の含有量としては、
極小量でもよく、また、外観、成形加工性等の性能を損
なわない限り、多量に含有させることも可能であり、通
常は1分子鎖中に実質的に平均1種以上の官能基が存在
すれば十分である。変性ビニル系共重合体(D)中にカ
ルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基よりな
る群から選ばれた少なくとも1種の官能基を導入する方
法については、特に制限されないが、通常、上記官能基
を有するビニル系単量体を共重合する方法、上記官能基
を有する重合開始剤または連鎖移動剤を用いて所定のビ
ニル系単量体を共重合する方法などが例示できる。
【0038】上記官能基を有するビニル系単量体、重合
開始剤および連鎖移動剤の具体例は以下の通りである。
ビニル系単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸またはイタコン酸等の
カルボキシル基を有する単量体、アクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジルまたはイタコン酸グリシジ
ル等のエポキシ基を有する単量体、アクリル酸アミノエ
チル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル
酸フェニルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のアミ
ノアルキルエステル誘導体類、N−アセチルビニルアミ
ン等のビニルアミン誘導体類、メタアリルアミン等のア
リルアミン誘導体またはアミノスチレン等のアミノ基を
有する単量体、アクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド等のアミド基を有する単量体が挙げられる。
【0039】重合開始剤の例としては、γ,γ´−アゾ
ビス(γ−シアノバレイン酸)または過酸化サクシン酸
等のカルボキシル基を有する開始剤や、α, α´−アゾ
ビス(γ−アミノ−α, γ−ジバレロニトリル)または
p−アミノベンゾイルパーオキサイド等のアミノ基を有
する開始剤が挙げられる。
【0040】連鎖移動剤の例としては、メルカプトプロ
ピオン、4−メルカプト安息香酸またはチオグリコール
酸等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤やメルカプト
メチルアミン、N−(β−メルカプトエチル)−N−メ
チルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィ
ドまたはメルカプトアニリン等のアミノ基を有する連鎖
移動剤が挙げられる。
【0041】変性ビニル系共重合体(D)は、芳香族ビ
ニル化合物50〜79.9重量%、シアン化ビニル化合
物20〜40重量%およびメタクリル酸0.1〜10重
量%からなる共重合体であると、層状剥離防止が特に改
良されるため好ましい。
【0042】本発明の耐薬品性樹脂組成物中の変性ビニ
ル系共重合体(D)の還元粘度は、層状剥離防止性およ
び耐衝撃性の点から、0.2dl/g〜1.5dl/g
が好ましい。より好ましくは0.4dl/g〜1.0d
l/gである。変性ビニル系共重合体(D)の還元粘度
が0.2dl/g未満であると、得られる耐薬品性樹脂
組成物の層状剥離防止性および耐衝撃性が十分でないこ
とがあり、また1.5dl/gを超えると層状剥離防止
性および成形加工性が低下することがある。
【0043】本発明の耐薬品性樹脂組成物中の変性ビニ
ル系共重合体(D)の含有量は、0.1〜15重量部で
ある。含有量は、層状剥離防止性および機械的強度と成
形加工性とのバランスの点から3〜10重量部が好まし
い。変性ビニル系共重合体(D)の含有量が0.1重量
部未満であると、得られる耐薬品性樹脂組成物の層状剥
離防止性が不足し、15重量部を超えると耐衝撃性およ
び耐熱性が低下する。 変性ビニル系共重合体(D)を
共重合する際の重合方法については特に制限されない
が、懸濁重合、塊状重合、乳化重合、溶液重合等の方法
が好ましい。
【0044】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の製
造方法に関しては、バンバリーミキサー、ロール、およ
び単軸または多軸押出機で溶融混練するなど種々の方法
を採用することができる。
【0045】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およ
びそれからなる成形品は、耐薬品性が要求される用途に
好ましく用いられる。本発明が目的とする有効な耐性を
示す薬液としては有機化合物が好ましく、炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素、エステル化合物、エーテル化合物お
よびアルコール化合物を含有する薬剤である。さらに
は、炭素数4〜20の炭化水素、フロン類、ガソリン、
灯油、ブレーキオイル、ポリ塩化ビニル用可塑剤(例え
ばフタル酸ジアルキルエステル、フタル酸アルキルエス
テル)および洗剤を含有する薬剤である。
【0046】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およ
び成形品の耐薬品性を改善するためには、23℃で24
時間薬液接触後のクラック発生臨界歪みが0.5%以上
であることが必要であり、好ましくは0.7%以上、よ
り好ましくは1.0%以上である。0.5%未満では、
耐薬品性の改善効果は小さい。
【0047】これらの成形品の用途については、電気、
電子、自動車、機械、雑貨、化学プラント、航空、宇宙
用の部品、素材など特に制限はないが、本発明の成形品
の特徴から、耐薬品性が要求される用途に有効である。
なかでも電気・電子製品のハウジングおよび冷蔵庫の構
造体部品、パチンコの受け皿等の雑貨用途、トイレ・台
所等のサニタリー用途、自動車用内外装材として使用で
きる。
【0048】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物に本
発明の目的を損なわない範囲で塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、
ナイロン66等のポリアミド、ポリカーボネート類を加
えて成形用樹脂としての性能を改良することができる。
また、必要に応じてヒンダードフェノール系、含硫黄有
機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェ
ノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリア
ゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外
線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光
安定剤等の各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂
肪酸アミド類等の滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エ
ステル類等の可塑剤、ポリブロモジフェニルエーテル、
テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリ
ゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロ
ゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難
燃剤・難燃助剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料
および染料等を添加することもできる。更に、ガラス繊
維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊
維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。かかる
補強材等の添加に際しては、バンバリーミキサー、ロー
ル、および単軸または多軸押出機で溶融混練するなど種
々の方法を採用することができる。
【0049】上記によって得られた耐薬品性熱可塑性樹
脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成
形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂
の成形に用いられる公知の方法によって成形することが
でき、特に制限されるものではない。
【0050】本発明をさらに具体的に説明するため、以
下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実
施例は本発明を制限するものではない。なお、ここで特
にことわりのない限り「%」は重量%、「部」は重量部
を表す。耐薬品性熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析
方法を下記する。機械的強度、耐熱性等の一般的な特性
については、射出成形によりテストピースを成形し、下
記試験法に準拠し、測定した。
【0051】(1)重量平均ゴム粒子径 アルギン酸ナトリウム法。
【0052】(2)グラフト率 グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、3時
間還流し、この溶液を8800r.p.m.(1000
0G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾過し、この不
溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定し
た。グラフト率は、式(III)より算出した。ここで、
Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。
【0053】 グラフト率(%)={(n−m×L)/(m×L)}×100 (III) (3)共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体の3連
シーケンスの定量 13C−NMRに現れるシアン化ビニル系単量体のα−炭
素のシグナルシフトが、隣接モノマ種の違いで若干異な
ることを利用し、3連シーケンスの割合をそのシグナル
積分値から定量した。 装置:JEOL JNM−GSX400型 観測周波数:100.5MHz 溶媒:DMSO−d6 濃度:445mg/2.5mL 化学シフト基準:Me4 Si 温度:110℃ 観測幅:20000Hz データ点:32K flip angle:90°(21μs) pulse delay time:5.0s 積算回数:7400または8400 デカップリング:gated decoupling(without NOE)
【0054】(4)共重合体(B)の重合に関する重合
系内の未反応モノマ、シアン化ビニル共重合量、および
重合率の定量 島津製作所(株)製ガスクロマトグラフ(GC−14A
型)を用い測定した。シアン化ビニル共重合量、および
重合率は、下記式(IV)、(V)により算出した。
【0055】
【数1】
【数2】 (5)共重合体(B)中の高ニトリル共重合成分割合の
定量 共重合体(B)1gをメチルエチルケトン40gに溶解
後、シクロヘキサン20gを連続滴下する。50℃で良
く撹した後、室温下で12時間放置し、更に恒温槽で3
0℃とした後、析出した共重合成分を遠心分離し、この
乾燥重量より含有割合を定量した。高ニトリル共重合成
分中のシアン化ビニル系単量体成分割合の定量:前述処
理を施した共重合体成分を加熱プレス成形して30μm
程度のフィルム状とし、これをFT−IR分析し、22
60cm-1と1600cm-1に生じる吸光度ピークのベ
ースライン高さの比から、式(VI)に示す検量線を用い
て定量した。
【0056】
【数3】 (6)曲げ弾性率 ASTM D790(23℃)に準じて測定した。
【0057】(7)荷重撓み温度 ASTM D648(6.4mm,負荷応力1.82MPa )に準じ
て測定した。
【0058】(8)IZOD衝撃強度 ASTM D256(23℃,12.7mm,ノッチ付き)に準じ
て測定した。
【0059】(9)MFR(メルトフロ−レ−ト) ISO 1133(220 ℃,98N荷重)に準じて測定し
た。
【0060】(10)表面固有抵抗 ASTM D257(23℃,50%RH)に準じて測定した。
【0061】(11)黄変度(Y.I.値) JIS K7103に準拠し、日本電色工業(株)製の
測色色差計(ND−100型)で3刺激値X,Y,Zを
測定し、次式(VII)によりY.I.値を算出した。
【0062】 Y.I.=100×(1.28X−1.06Z)×Y (VII)
【0063】(12)層状剥離防止性 層状剥離防止性評価は、引張試験片を折り曲げて破断
し、破断面の状態を目視観察した。判定基準は、○:良
好、△:やや不良、×:極めて不良とした。
【0064】(13)耐薬品性試験 射出成形した短冊状試験片(126×12.6×1.5
mm)を図1に示した1/4楕円治具に沿わして固定
後、試験片表面に薬液を塗布し、23℃環境下で24時
間放置後、クレーズおよびクラックの発生有無を確認
し、式(VIII)より臨界歪み(%)を算出した。
【0065】
【数4】
【0066】
【参考例】
グラフト共重合体(A) A1 :窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖
0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部硫酸第一鉄
0.005部および表1に示した所定量のポリブタジエ
ンラテックスを仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を
65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開
始として表1に示した所定量のモノマおよびt−ドデシ
ルメルカプタン混合物を5時間掛けて連続添加した。同
時に並行して、表1に示すクメンハイドロパーオキサイ
ドおよびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛
けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテック
スに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)をラテックス固形分100部に対し
て1部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で凝固
後、水酸化ナトリウムにて中和し、洗浄濾過後、乾燥さ
せてパウダー状のグラフト共重合体を得た。このグラフ
ト共重合体のグラフト率は45%であった。 A2 〜A8 :A1 と同様の方法で表1に示す組成比でグ
ラフト共重合体を得た。
【0067】シアン化ビニル系共重合体(B) B1 :反応器に0.05部のメタクリル酸メチル/アク
リルアミド共重合体を165部の純水に溶解、撹拌し、
系内を窒素置換した。表2に示した所定のモノマおよび
t−ドデシルメルカプタン、2,2’−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイ
ソブチルニトリルの混合溶液を撹拌しながら添加し、5
8℃に昇温して重合を開始した。重合開始から15分後
に表2に示したモノマを110分かけて断続添加した。
この間、反応温度は58℃から65℃まで昇温した。ス
チレンの反応系への断続添加が終了した後、50分かけ
て100℃に昇温し、反応を完結させた。反応器を冷却
後、スラリーからポリマーを分離、洗浄、乾燥し、ビー
ズ状の共重合体を得た。最終重合率は95%、重合終了
後の残存単量体中のシアン化ビニル系単量体成分割合は
90%であった。 B2 〜B4 :B1 と同様の方法で、表2に示す組成比で
共重合体を得た。該共重合体の重合開始から重合終了ま
での重合系内の残存単量体中のシアン化ビニル系単量体
成分割合の経時変化(重合率換算)を表3に示す。更
に、該共重合体に関する諸特性値を表2に併記した。
【0068】ポリアミドエラストマー(C) C1 :数平均分子量4000のポリエチレングリコ−ル
にアクリロニトリルを反応させ、更に水素添加反応を行
うことにより、両末端がアミノ基であるポリエチレング
リコ−ルジアミンを得た。これとテレフタル酸とを常法
により塩反応を行い、ポリエチレングリコ−ルジアンモ
ニウムテレフタレ−トの40%溶液を得た。濃縮缶に4
0%ポリエチレングリコ−ルジアンモニウムテレフタレ
−ト水溶液120部、40%ヘキサメチレンジアンモニ
ウムアジペ−ト水溶液16部を投入し、常圧で内温が1
10℃になるまで約2時間加熱し、80%濃度に濃縮し
た。続いて、重合缶に上記濃縮溶液を移行し、重合缶内
に窒素を流しながら加熱を開始した。内温が120℃に
なった時点で、所定量のドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムと1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンジル)ベンゼ
ンを10部添加し、撹拌を開始して内温が245℃にな
るまで昇温し、18時間加熱し重合を完結させた。得ら
れたポリマーをストランド状に吐出させ、カットしてペ
レット状のポリエ−テルアミドC1 を得た。C2 :カプ
ロラクタム40.0部、数平均分子量1000のポリエ
チレングリコ−ル53.1部およびテレフタル酸9.2
部を“イルガノックス”1098(酸化防止剤)0.2
部および三酸化アンチモン触媒0.1部と共にヘリカル
リボン撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して
260℃で1時間加熱撹拌して透明な均質溶液とした
後、260℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合
し、粘調で透明なポリマ−を得た。得られたポリマーを
ストランド状に吐出させ、カットしてペレット状のポリ
エ−テルエステルアミドC2 を得た。
【0069】変性ビニル系共重合体(D) D1 :スチレン72部、アクリロニトリル25部、メタ
クリル酸3部を懸濁重合して、ビーズ状の変性ビニル共
重合体D1 を得た。該変性ビニル系共重合体の還元粘度
は0.55dl/gであった。 D2 :スチレン77部、アクリロニトリル21部、メタ
クリル酸2部を懸濁重合して、ビーズ状の変性ビニル共
重合体D2 を得た。該変性ビニル系共重合体の還元粘度
は0.15dl/gであった。 D3 :スチレン70部、アクリロニトリル27部、メタ
クリル酸3部を懸濁重合して、ビーズ状の変性ビニル共
重合体D3 を得た。該変性ビニル系共重合体の還元粘度
は1.60dl/gであった。 実施例1〜15、及び比較例1〜8 参考例記載のグラフト共重合体(A)、共重合体
(B)、ポリアミドエラストマ−(C)および変性ビニ
ル系重合体(D)を表4〜5記載の割合で配合後、40
mmφ単軸押出機(シリンダー設定温度は230℃)で溶
融混練し、ペレット状の樹脂を得た。得られたペレット
を東芝機械(株)製射出成形機IS−50A(シリンダ
ー設定温度は230℃)にてテストピースを湯成形し、
諸特性を評価し、結果を表6〜9に掲げた。実施例1〜
15により、本発明に規定する範囲の耐薬品性熱可塑性
樹脂組成物が、耐薬品性、帯電防止性、機械的特性、成
形加工性および溶融時の色調安定性のバランスに優れて
いることが判る。
【0070】しかし、比較例1〜8はグラフト共重合体
(A)、共重合体(B)、ポリアミドエラストマ−
(C)および変性ビニル系重合体(D)の配合割合が、
本発明の規定する範囲外であるため、比較例1、4〜5
は耐薬品性が低い。さらに比較例1、5は、耐衝撃性も
低く、比較例4〜6は耐熱性も低く、比較例5は層状剥
離性も悪い。比較例2〜3、6〜7は耐薬品性は良好で
あるが、比較例5は耐衝撃性および耐熱性が低く、比較
例3、8は耐衝撃性が低い。また比較例2は耐熱着色性
が低く、比較例6は帯電防止性が低く、比較例7は層状
剥離性が悪い。
【0071】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0072】
【発明の効果】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物ま
たは該成形品は、ゴム含有グラフト共重合体と特定構造
を有するシアン化ビニル系共重合体とポリアミドエラス
トマ−および変性ビニル系重合体とを組み合わせること
が特徴であり、耐薬品性、帯電防止性、機械的特性、成
形加工性および樹脂溶融時の色調安定性のバランスに優
れている。
【0073】本発明の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物また
は成形品は、上述特徴を活して、種々の用途に供される
が、永久帯電防止性が得られ、層状剥離防止性にも優れ
るためOA機器や家電用途等の電気製品用途、洗剤等に
接触する家庭用器具用途・サニタリー用途・業務用遊戯
器具用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐薬品性試験に用いる1/4楕円治具の概略図
を示す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体(A−1)5〜80重量部
    に、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単
    量体(ロ)およびこれらと共重合可能な他のビニル系単
    量体(ハ)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体か
    らなる単量体混合物(A−2)95〜20重量部をグラ
    フト重合してなるグラフト共重合体(A)10〜50重
    量部と、 芳香族ビニル系単量体(イ)75〜45重量%とシアン
    化ビニル系単量体(ロ)25〜55重量%およびこれら
    と共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)0〜60重量
    %からなり、かつ、該シアン化ビニル系単量体の3連シ
    −ケンスの割合が10重量%以下であるシアン化ビニル
    系共重合体(B)10〜84.9重量部と、 ポリアミ
    ドエラストマ−(C)5〜25重量部、 およびカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基およびア
    ミド基よりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の官
    能基を有する変性ビニル系共重合体(D)0.1〜15
    重量部からなり、グラフト共重合体(A)、シアン化ビ
    ニル系共重合体(B)、ポリアミドエラストマ−(C)
    および変性ビニル系共重合体(D)の合計が100重量
    部であることを特徴とする耐薬品性熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記シアン化ビニル系共重合体(B)中
    のシアン化ビニル系単量体の3連シ−ケンスの割合が8
    重量%未満である請求項1記載の耐薬品性熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記ゴム質重合体(A−1)中のゴムの
    重量平均粒子径が0.1〜2.0μmである請求項1ま
    たは請求項2記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記グラフト共重合体(A)のグラフト
    率が15〜150%である請求項1〜3のいずれかに記
    載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記シアン化ビニル系共重合体(B)が
    芳香族ビニル系単量体(イ)70〜55重量%とシアン
    化ビニル系単量体(ロ)30〜45重量%およびこれら
    と共重合可能な他のビニル系単量体(ハ)0〜55重量
    %からなる共重合体である請求項1〜4のいずれかに記
    載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記シアン化ビニル系共重合体(B)の
    還元粘度が0.2〜1.5dl/gである請求項1〜5
    のいずれかに記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記ポリアミドエラストマ−(C)がポ
    リエ−テルエステルアミドであることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記変性ビニル系共重合体(D)が芳香
    族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびメタ
    クリル酸とからなる単量体混合物を共重合した共重合体
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記変性ビニル系共重合体(D)が芳香
    族ビニル系単量体50〜79.9重量%、シアン化ビニ
    ル系単量体20〜40重量%およびメタクリル酸0.1
    〜10重量%とからなる単量体混合物を共重合した共重
    合体である請求項1〜8のいずれかに記載の耐薬品性熱
    可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記変性ビニル系共重合体(D)の還
    元粘度が0.2〜1.5dl/gであること請求項1〜
    9のいずれかに記載の耐薬品性熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 23℃で24時間薬液接触後のクラッ
    ク発生臨界歪みが0.5%以上であることを特徴とする
    請求項1〜10のいずれかに記載の耐薬品性熱可塑性樹
    脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11記載の耐薬品性熱可塑
    性樹脂組成物を成形してなる成形品。
JP22806396A 1996-08-29 1996-08-29 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Pending JPH1067902A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22806396A JPH1067902A (ja) 1996-08-29 1996-08-29 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22806396A JPH1067902A (ja) 1996-08-29 1996-08-29 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1067902A true JPH1067902A (ja) 1998-03-10

Family

ID=16870620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22806396A Pending JPH1067902A (ja) 1996-08-29 1996-08-29 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1067902A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1148095A1 (en) * 2000-03-23 2001-10-24 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition comprising rubber-reinforced styrenic resin and its extrusion moldings
EP1770125A1 (en) * 2004-07-15 2007-04-04 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1148095A1 (en) * 2000-03-23 2001-10-24 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition comprising rubber-reinforced styrenic resin and its extrusion moldings
EP1770125A1 (en) * 2004-07-15 2007-04-04 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition
EP1770125A4 (en) * 2004-07-15 2007-10-03 Toray Industries THERMOPLASTIC RESIN COMPOSITION
US7964666B2 (en) 2004-07-15 2011-06-21 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007016123A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2546344B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3633064B2 (ja) 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物
JPH0725976B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH1067902A (ja) 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2745572B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0428025B2 (ja)
JP2004300354A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2003147146A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2682056B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH10316833A (ja) 撥水性熱可塑性樹脂組成物
CN107177153B (zh) 热塑性树脂组合物、树脂成型品和涂装加工品
JP2745625B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0524175B2 (ja)
JPH11279370A (ja) 摺動性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2007291161A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2002212383A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH01170635A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0931278A (ja) 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物
JP2004250648A (ja) 樹脂混合組成物の製造方法
JPH0826199B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0931294A (ja) 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物
JPH09241475A (ja) 耐薬品性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品
JPH09176415A (ja) 熱安定性熱可塑性樹脂組成物
JPH09176414A (ja) 制電性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040723

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041124

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20050107

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050607