JPH107858A - ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロー成形品 - Google Patents

ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロー成形品

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JPH107858A
JPH107858A JP16934496A JP16934496A JPH107858A JP H107858 A JPH107858 A JP H107858A JP 16934496 A JP16934496 A JP 16934496A JP 16934496 A JP16934496 A JP 16934496A JP H107858 A JPH107858 A JP H107858A
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Japan
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weight
blow molding
thermoplastic resin
resin composition
copolymer
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JP16934496A
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Inventor
Minoru Yasuda
稔 安田
Tousuke Hirata
東介 平田
Keiji Nakagawa
啓次 中川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、自動車・2輪用大型中
空樹脂部品、住宅用大型中空樹脂部品、電気機器用大型
中空樹脂部品用樹脂材料として要求される耐衝撃性、ブ
ロー成形加工性および制電性のバランスに優れたブロー
成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロー成
形品の提供にある。 【解決手段】 特定の重量平均粒子径を有するゴム状重
合体からなるゴム含有グラフト共重合体と特定の組成お
よび還元粘度を有するシアン化ビニル系共重合体および
特定のポリエーテルエステルアミド・アニオン系界面活
性剤を特定割合で組み合わせることを特徴とするブロー
成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロー成
形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、ブロー
成形加工性および制電性のバランスに優れたブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体樹脂(ABS樹脂)は耐衝撃性、成形加工性
のバランスに優れ、射出成形用樹脂として広く使われて
いる。近年、ブロー成形によって大型中空樹脂製品を得
る技術が注目されており、ABS樹脂においてもブロー
成形に適した樹脂組成物が開発されている。しかし、ブ
ロー成形後の製品に埃がつき易く、保管・異動時にはカ
バーをする必要があった。
【0003】従来、射出成形用の制電性樹脂樹脂組成物
として特開昭60−23435号公報、特開昭63−9
5251号公報のようにカルボキシル基を含有する変性
ビニル系重合体とポリエーテルエステルアミドの樹脂組
成物が提案されているがブロー成形には加工性の点で劣
り、衝撃強度も十分でないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記課
題を解決することを目的として鋭意検討した結果、特定
の重量平均粒子径を有するゴム状重合体からなるゴム含
有グラフト共重合体と特定の組成および還元粘度を有す
るシアン化ビニル系共重合体および特定のポリエーテル
エステルアミド・アニオン系界面活性剤を特定割合で組
み合わせることにより、耐衝撃性、ブロー成形加工性お
よび制電性のバランスに優れたブロー成形用熱可塑性樹
脂組成物を見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の目的
は、重量平均粒子径が0.05〜0.50μmであるゴ
ム質重合体(a)20〜80重量部の存在下にシアン化
ビニル系単量体(b)5〜50重量%、芳香族ビニル系
単量体(c)10〜90重量%および不飽和カルボン酸
アルキルエステル(d)0〜80重量%からなる単量体
混合物80〜20重量部を重合してなるゴム含有グラフ
ト共重合体(I)10〜50重量部、シアン化ビニル系
単量体(b)15〜55重量%および芳香族ビニル系単
量体(c)85〜45重量%からなり、還元粘度が0.
5〜1.5dl/gであるシアン化ビニル系共重合体
(II)10〜80重量部、ポリエーテルエステルアミ
ド(III)および/またはアニオン系界面活性剤(I
V)0.05〜30重量部およびシアン化ビニル系単量
体(b)5〜30重量%,芳香族ビニル系単量体(c)
75〜45重量%およびこれらと共重合可能な他のビニ
ル系単量体(e)0〜60重量%からなるビニル系共重
合体(V)0〜50重量部からなり、ゴム含有グラフト
共重合体(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)、
ポリエーテルエステルアミド(III)および/または
アニオン系界面活性剤(IV)およびビニル系共重合体
(V)の合計が100重量部であることを特徴とするブ
ロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるブロ
ー成形品によって達成できる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明におけるゴム含有グラフト
共重合体(I)に用いるゴム質重合体(a)としては,
ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどで
あり、具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(ブタジ
エン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリ
ル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸
ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポ
リ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリ
ル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン
−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、
エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン
−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチ
ル)などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種
または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質
重合体のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−ス
チレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、エ
チレン−プロピレンラバーが耐衝撃性の点で特に好まし
く用いられる。
【0007】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体
(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)およびビニ
ル系共重合体(V)に用いるシアン化ビニル系単量体
(b)の具体例としてはアクリロニトリルおよびメタク
リロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用い
ることができる。中でもアクリロニトリルが耐衝撃性の
点で特に好ましい。
【0008】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体
(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)およびビニ
ル系共重合体(V)に用いる芳香族ビニル系単量体
(c)の具体例としては、スチレン,α−メチルスチレ
ン,オルソメチルスチレン,パラメチルスチレン,パラ
−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが
挙げられ、1種または2種以上用いることができる。ス
チレン,α−メチルスチレンが特に好ましく、さらに好
ましくはスチレンが良い。
【0009】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体
(I)に用いる不飽和カルボン酸アルキルエステル
(d)とは、炭素数1〜6のアルキル基または置換アル
キル基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタク
リル酸エステルが好適であり、1種または2種以上を用
いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)
アクリル酸クロロメチルおよび(メタ)アクリル酸2−
クロロエチルなどが挙げられ、なかでも(メタ)アクリ
ル酸メチルが好ましく使用できる。
【0010】本発明におけるビニル系共重合体(V)に
用いる共重合可能な他のビニル系単量体(e)の具体例
としては、アクリル酸,メタクリル酸などの不飽和カル
ボン酸;アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アク
リル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;ア
クリルアミド,メタクリルアミド,N−メチルアクリル
アミドなどの(メタ)アクリルアミド類、マレイミド,
N−メチルマレイミド,N−フェニルマレイミドなどの
マレイミド類および無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、無水アコニット酸などの不飽和カルボン酸無水物な
どを挙げることができ、なかでもメタクリル酸メチル、
N−フェニルマレイミドがブロー成形加工性の点で好ま
しい。
【0011】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体
(I)におけるゴム質重合体(a)の重量平均粒子径は
0.05〜0.50μmであることが必要であり、特に
0.10〜0.45μmの範囲にあることが好ましい。
ここで、重量平均粒子径は0.05μm未満でも0.5
0μmを越えても得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組
成物の衝撃強度が低く好ましくない。
【0012】ゴム含有グラフト共重合体(I)における
ゴム質重合体(a)の含有率は、20〜80重量部であ
る必要がある。20重量部未満だと得られるブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物のブロー成形加工性が悪く、80
重量部を越えると衝撃強度が低く好ましくない。中でも
30〜70重量部が好ましい。
【0013】また、ゴム含有グラフト共重合体(I)に
おける単量体混合物中のシアン化ビニル系単量体(b)
の割合は、5〜50重量%が必要である。5重量%未満
だと得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の衝撃強
度が低く好ましくない。また、50重量%を越えると、
ブロー成形加工性が悪く好ましくない。中でも10〜4
5重量%が好ましい。
【0014】また、ゴム含有グラフト共重合体(I)に
おける単量体混合物中の芳香族ビニル系単量体(c)の
割合は、10〜90重量%が必要である。10重量%未
満だと得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物のブロ
ー成形加工性が悪く好ましくない。また90重量%を越
えると、衝撃強度が低く好ましくない。中でも15〜8
5重量%が好ましい。
【0015】また、ゴム含有グラフト共重合体(I)に
おける単量体混合物中の不飽和カルボン酸アルキルエス
テルは80重量%以下である必要がある。80重量%を
越えると得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の衝
撃強度が低く好ましくない。中でも75重量%以下が好
ましい。
【0016】また、ゴム含有グラフト共重合体(I)の
グラフト率は、特に制限はないが、10〜100重量%
が好ましい。また、グラフト成分の共重合体の還元粘度
は、特に制限はないが、0.2〜1.0dl/gが耐衝
撃性の点で好ましい。
【0017】本発明におけるシアン化ビニル系共重合体
(II)は、シアン化ビニル系単量体(b)15〜55
重量%、芳香族ビニル系単量体(c)85〜45重量%
である。シアン化ビニル系単量体(b)が15重量%未
満であると、得られる共重合体を用いたブロー成形用熱
可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が不十分であり、また55
重量%を越えると、ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の
ブロー成形加工性が低下するため好ましくない。また、
芳香族ビニル系単量体(c)が45重量%未満である
と、得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物のブロー
成形加工性が低下し、85重量%を越えると得られるブ
ロー成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下するた
め好ましくない。中でも、シアン化ビニル系単量体
(b)20〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(c)
80〜50重量%の範囲のものが特に好ましい。
【0018】また、本発明におけるシアン化ビニル系共
重合体(II)の還元粘度(ηsp/c)は、得られるブロ
ー成形用熱可塑性樹脂組成物のブロー成形加工性をより
向上させるために、0.5〜1.5dl/gであること
必要である。0.5dl/g未満でも1.50dl/g
を越えても、得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物
のブロー成形加工性が著しく劣るため好ましくない。な
かでも、還元粘度(ηsp/c)0.70〜1.30dl/
gが特に好ましい。
【0019】本発明におけるポリエーテルエステルアミ
ド(III)とはエーテル結合、エステル結合およびア
ミド結合を有するブロックポリマーのことであり、II
Ia:アミノカルボン酸またはラクタム、もしくはジア
ミンとジカルボン酸の塩、IIIb:ポリ(アルキレン
オキシド)グリコールおよびIIIc:ジカルボン酸か
ら構成されることが必要である。ここでポリエーテルエ
ステルアミド(III)の構成成分であるIIIa:ア
ミノカルボン酸またはラクタム、もしくはジアミンとジ
カルボン酸の塩としてはω−アミノカルボン酸、ω−ア
ミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペ
ルゴン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノド
デカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタ
ム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロ
ラクタムなどのラクタムおよびヘキサメチレンジアミン
−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸
塩およびヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩など
のジアミン−カルボン酸の塩が用いられ、特にカプロラ
クタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジア
ミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。また、ポリ
エーテルエステルアミド(III)の構成成分であるI
IIaはポリエーテルエステルアミドの構成単位で25
〜60重量%が好ましく、30〜55重量%の範囲がよ
り好ましい。25重量%未満ではポリエーテルエステル
アミドひいてはブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の機械
的性質が劣り、60重量%を越えると、ブロー成形用熱
可塑性樹脂組成物の制電性が劣り好ましくない。
【0020】ポリエーテルエステルアミド(III)の
構成成分であるIIIb:ポリ(アルキレンオキシド)
グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ
(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ
(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチ
レンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピ
レンオキシドのブロックまたはランダム共重合体および
エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまた
はランダム共重合体などが用いられる。これらの中で
も、特にポリエチレングリコールが制電性の点で好まし
く用いられる。ポリ(アルキレンオキシド)グリコール
の数平均分子量は特に制限はないが、200〜6000
が好ましく、特に250〜4000の範囲がブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物の機械的性質および制電性の点で
好ましい。
【0021】ポリエーテルエステルアミド(III)の
構成成分であるIIIc:ジカルボン酸としてはテレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2、6
−ジカルボン酸、ナフタレン−2、7−ジカルボン酸、
ジフェニル−4,4´−ジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸ナトリ
ウムなどの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキシ
ルジカルボン酸、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸
およびジシクロヘキシル−4,4´ジカルボン酸などの
脂環族ジカルボン酸およびコハク酸、シュウ酸、アジピ
ン酸、セバシン酸およびドデカンジ酸などの脂肪族ジカ
ルボン酸などがあげられ、中でも特にテレフタル酸、イ
ソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、セ
バシン酸、アジピン酸、ドデカンジ酸がブロー成形用熱
可塑性樹脂組成物の機械的性質の点で好ましく用いられ
る。
【0022】ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと
ジカルボン酸は反応上1:1のモル比で反応するが、使
用するジカルボン酸の種類に応じて通常仕込み比を変え
て供給される。
【0023】ポリエーテルエステルアミド(III)の
構成成分であるポリエーテルエステル成分はポリエーテ
ルエステルアミドの構成単位で75〜40重量%が好ま
しく、より好ましくは70〜45重量%の範囲で用いら
れ、75重量%を越えるとポリエーテルエステルアミド
ひいてはブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の機械的性質
が劣り、40重量%未満では、ブロー成形用熱可塑性樹
脂組成物の制電性が劣り好ましくない。
【0024】本発明におけるアニオン系界面活性剤(I
V)としては、一般にカルボン酸系やスルホン酸系のア
ルカリ金属塩が用いられ、特にスルホン酸系のナトリウ
ム塩およびカリウム塩が好ましい。具体的には、オクチ
ル、ノニル、デシル、ドデシル、ウンデシル等のアルキ
ル基を有するスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸
およびアルキルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩お
よびカリウム塩が挙げられる。
【0025】また、本発明におけるビニル系共重合体
(V)はシアン化ビニル系単量体(b)5〜30重量
%、芳香族ビニル系単量体(c)75〜45重量%およ
びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)0〜
60重量%である。シアン化ビニル系単量体(b)が5
重量%未満だと得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成
物の耐衝撃性が十分でなく、30重量%を越えると得ら
れるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物のブロー成形加工
性が悪化するため好ましくない。また、芳香族ビニル系
単量体(c)が45重量%未満だと得られるブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物のブロー成形加工性が劣り、75
重量%を越えると得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組
成物の耐衝撃性が十分でないため、好ましくない。ま
た、必要に応じて共重合可能な他のビニル系単量体
(e)を構成成分とすることができるが、60重量%を
越えると得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の耐
衝撃性を維持することが困難になるため、かかる共重合
可能な他のビニル系単量体(e)は0〜60重量%が必
要である。特に、シアン化ビニル系単量体(b)10〜
25重量%、芳香族ビニル系単量体(c)70〜50重
量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体
(e)0〜50重量%の範囲のものが好ましい。また、
本発明におけるビニル系共重合体(V)の還元粘度(η
sp/c)は、特に制限はないが、0.2〜0.8dl/g
が好ましい。
【0026】本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物
において、ゴム含有グラフト共重合体(I)、シアン化
ビニル系共重合体(II)、ポリエーテルエステルアミ
ド(III)・アニオン系界面活性剤(IV)およびビ
ニル系共重合体(V)の配合割合は、ゴム含有グラフト
共重合体(I)10〜50重量部、シアン化ビニル系共
重合体(II)10〜80重量部、ポリエーテルエステ
ルアミド(III)・アニオン系界面活性剤(IV)
0.05〜30重量部、ビニル系共重合体(V)0〜5
0重量部であり、合計が100重量部である必要があ
る。ゴム含有グラフト共重合体(I)が10重量部未満
だと得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の衝撃強
度が十分ではなく、50重量部をこえるとブロー成形加
工性が劣るため好ましくない。シアン化ビニル系共重合
体(II)が10重量部未満だと得られるブロー成形用
熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度が十分ではなく、80重
量部を越えるとブロー成形加工性が劣るため好ましくな
い。ポリエーテルエステルアミド(III)・アニオン
系界面活性剤(IV)が0.05重量部未満だと得られ
るブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の制電性が十分でな
く、30重量部を越えるとブロー成形加工性が劣るため
好ましくない。なかでも0.1〜25重量部が好まし
い。またビニル系共重合体(V)が50重量部を越える
と得られるブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性
が劣るため好ましくない。
【0027】また、更に本発明の熱可塑性樹脂組成物に
対し、カルボキシル基、エポキシ基アミノ基、およびア
ミド基の少なくとも1種の官能基を有する変性ビニル系
共重合体(VI)を配合すると、耐衝撃性等の機械的強
度が向上するとともに層状剥離性も改良されるので好ま
しい。特に該熱可塑性樹脂組成物にポリエーテルエステ
ルアミド(III)を用いた場合、ゴム含有グラフト共
重合体(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)およ
びビニル系共重合体(V)とポリエーテルエステルアミ
ド(III)との相容性がよくなり、耐衝撃性等の機械
的強度が向上するとともに層状剥離性も改良されるので
好ましい。
【0028】本発明で用いる変性ビニル系共重合体(V
I)とは、2種以上のビニル系単量体を共重合して得ら
れる構造を有し、分子鎖中にカルボシキル基、エポキシ
基、アミノ基、およびアミド基の少なくとも1種の官能
基を有するものである。これらの官能基の含有量として
は極小量でも良く、また、外観、流動性等の性能を損な
わない限り、多量に含有させることも可能であり、通常
は1分子鎖中に実質的に平均1種以上の官能基が存在す
れば十分である。これらの官能基のなかでは、カルボキ
シル基を含有する変性ビニル系共重合体(VI)が特に
好ましい。
【0029】該変性ビニル系共重合体(VI)中のカル
ボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基の少なく
とも1種の官能基を導入する方法は特に制限されない
が、通常、上記官能基を有するビニル系単量体(f)を
共重合する方法、上記官能基を有する重合開始剤または
連鎖移動剤を用いて所定のビニル系単量体を共重合する
方法などが使用できる。特にカルボキシル基を含有した
ビニル系単量体(f)を共重合した変性ビニル系共重合
体(VI)が好ましい。
【0030】上記官能基を有するビニル系単量体
(f)、重合開始剤および連鎖移動剤の具体例は以下の
通りである。上記官能基を有するビニル系単量体(f)
の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸またはイタコン酸等のカルボキシル
基を有する単量体、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジルまたはイタコン酸グリシジル等のエポキシ
基を有する単量体、アクリル酸アミノエチル、メタクリ
ル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミ
ノエチル等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエス
テル誘導体類、N−アセチルビニルアミン等のビニルア
ミン誘導体類、メタアリルアミン等のアリルアミン誘導
体またはアミノスチレン等のアミノ基を有する単量体、
アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等のアミ
ド基を有する単量体が挙げられる。特にアクリル酸、メ
タクリル酸が好ましく用いられる。
【0031】重合開始剤の例としては、γ,γ´−アゾ
ビス(γ−シアノバレイン酸)または過酸化サクシン酸
等のカルボキシル基を有する開始剤や、α, α´−アゾ
ビス(γ−アミノ−α, γ−ジバレロニトリル)または
p−アミノベンゾイルパーオキサイド等のアミノ基を有
する開始剤が挙げられる。
【0032】連鎖移動剤の例としては、メルカプトプロ
ピオン、4−メルカプト安息香酸またはチオグリコール
酸等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤やメルカプト
メチルアミン、N−(β−メルカプトエチル)−N−メ
チルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)ジスルフィ
ドまたはメルカプトアニリン等のアミノ基を有する連鎖
移動剤が挙げられる。
【0033】変性ビニル系共重合体(VI)の組成につ
いては特に制限はないが、芳香族ビニル化合物50〜7
9.9重量%、シアン化ビニル化合物20〜40重量%
およびカルボキシル基を有するビニル系単量体(f)
0.1〜10重量%からなる共重合体であると、層状剥
離防止性の改良の点で特に好ましい。
【0034】本発明のブロ−成形性熱可塑性樹脂組成物
中の変性ビニル共重合体(VI)の含有量は、0〜20
重量部である。層状剥離防止性および機械的強度と成形
加工性とのバランスの点から0〜15重量部が特に好ま
しい。変性ビニル共重合体(VI)の含有量が20重量
部を超えると耐衝撃性および成形品の表面光沢が低下す
る。特にポリエーテルエステルアミド(III)を使用
した場合は層状剥離性が顕著となるため、変性ビニル共
重合体(VI)を添加することが好ましい。
【0035】本発明においては、さらに必要に応じて
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4、
4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)などのフェノール系酸化防止剤、トリス
(ミックスド、モノおよびジノニルフェニル)ホスファ
イト、ジフェニル・イソデシルホスファイトなどのリン
系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピネート、ジミリ
スチルチオジプロピネートジアステリアルチオジプロピ
ネートなどのイオウ系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4
−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線
吸収剤、ビス(2、2、6、6、−テトラメチル−4−
ピペリジニル)などの光安定剤、ヒドロキシルアルキル
アミン、スルホン酸塩などの帯電防止剤、エチレンビス
ステアリルアミド、金属石鹸などの滑剤、ガラス繊維、
カーボン繊維などの無機充填材、テトラブロモビスフェ
ノールA、デカブロモジフェニールオキサイド、TBA
エポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマ
ー、三酸化アンチモンなどの難燃剤、着色剤なども添加
することも可能である。
【0036】以下、本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂
組成物の製造方法例について述べる。本発明におけるゴ
ム含有グラフト共重合体(I)の製造方法については特
に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、
溶液重合法ならびにそれらの組み合わせによる従来公知
の重合法により製造することができる。
【0037】本発明におるシアン化ビニル系共重合体
(II)の重合方法としては、高い還元粘度という観点
から従来公知の懸濁重合が好ましい。懸濁重合に使用さ
れる重合開始剤としては2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル),2,2’−アゾビス(2,4,4−トリ
メチルバレロニトリル)などのアゾニトリル化合物およ
びt−ブチルパーオキサイド,t−ブチルパーオキシネ
オデカネート,t−ブチルパーオキシネオセキサノエー
ト,t−ブチルパ−オキシピバレートなどの有機過酸化
物が挙げられ、これらは1種または2種以上併用して用
いることができるが、中でもアゾニトリル化合物が重合
速度の制御が容易な点で特に好ましい。また、ここで用
いられる連鎖移動剤についてはn−オクチルメルカプタ
ン,t−ドデシルメルカプタン,n−ドデシルメルカプ
タンなどのアルキルメルカプタン類などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は1種または2種以上併用して用い
ることができる。使用方法としては一括添加、分割添
加、または連続添加のいずれの方法でも差支えない。
【0038】本発明におけるポリエーテルエステルアミ
ド(III)の製造方法については特に制限はなく、例
えばIIIaとIIIcを反応させて両末端がカルボン
酸基のポリアミドプレポリマを作り、これにIIIbを
真空下に反応させる方法、IIIa、IIIb、III
cの各化合物を反応器に仕込み水の存在化または非存在
化に高温で反応させることにより、カルボン酸基のポリ
アミドプレポリマを生成させ、その後常圧または減圧下
で重合を進める方法などの公知の方法を利用することが
できる。
【0039】本発明におけるビニル系共重合体(V)、
変性ビニル共重合体(VI)の製造方法については特に
制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶
液重合法ならびにそれらの組み合わせによる従来公知の
重合法により製造することができる。
【0040】本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物
に関し、ゴム含有グラフト共重合体(I)、シアン化ビ
ニル系共重合体(II)、ポリエーテルエステルアミド
(III)、アニオン系界面活性剤(IV)、ビニル系
共重合体(V)、変性ビニル系共重合体(VI)の配合
・溶融押出しについては特に制限はなく、通常公知の方
法を採用することができる。配合の際には、例えばリボ
ンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等
を用いることができる。そして1軸押出機、2軸押出機
などの押出機、バンバリーミキサー、混合ロール、加圧
ニーダー等を使用した混練処理を採用することができ
る。
【0041】また、本ブロ−成形用熱可塑性樹脂組成物
からなるブロ−成形品において、表面固有抵抗値は10
16Ω以下であることが必要であり、特に1015Ω以下で
あることが好ましい。表面固有抵抗値が1016Ωを越え
る場合、制電性が十分でなく、成形品が静電気を帯びる
ために、埃の付着などによる外観不良や電気機器の機能
障害の原因となり好ましくない。
【0042】本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物
は耐衝撃性、ブロー成形加工性のバランスに優れかつ光
沢に優れているため、自動車・2輪用大型中空樹脂部
品、住宅用大型中空樹脂部品、電気機器用大型中空樹脂
部品に適している。本発明における自動車、2輪用大型
中空樹脂部品の具体例としてバンパー、エアースポイラ
ー、ラジエターグリル、スクーターハウジングなどがあ
り、住宅用大型中空樹脂部品の具体例としてはパーテー
ション、机の天板、家具、浴槽サイドカバーなどがあ
り、電気機器用大型中空樹脂部品としては電気冷蔵庫の
扉、事務機器などがあり、本発明のブロー成形用熱可塑
性樹脂組成物が好適である。
【0043】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実
施例は本発明を限定するものではない。参考例、実施
例、比較例中の部、%はそれぞれ重量部、重量%を表
す。なお、得られたゴム含有グラフト共重合体(I)、
シアン化ビニル系共重合体(II)、ビニル系共重合体
(V)およびブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の各物性
値は、下記の試験法により求めた。
【0044】重量平均粒子径:アルギン酸ナトリウム
法。
【0045】グラフト率:ゴム含有グラフト共重合体所
定量(M)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液
を40分間遠心分離後、不溶分を濾過し、この不溶分を
60℃で5時間減圧乾燥し、重量(N)を測定した。次
式によりグラフト率を求めた。ただし、式中Lはゴム含
有グラフト共重合体中のゴム含有率(%)である。 グラフト率(%)=100×(N−M×L/100)/
(M×L/100)
【0046】還元粘度(ηsp/c):ウベローデ粘度計
を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.4g/dlの
メチルエチルケトン溶液より測定した。
【0047】1/2インチ、ノッチ付きアイゾット衝撃
強度:ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物の射出成形品に
ついて、ASTM D256に準じた。
【0048】表面固有抵抗:ASTM D257に準じ
て、東亜電波工業(株)製絶縁抵抗計SM−10型を用
いて測定した。
【0049】ブロー成形加工性:1.5mのパリソンが
30秒以上ドローダウンしなかったものを◎、15秒以
上ドローダウンしなかったものを○と判定した。また、
ドローダウンが激しかったもの又はメルトフラクチャー
を起こし均一な肉厚のパリソンが得られなかったものを
×と判定した。
【0050】層状剥離防止性:層状剥離防止評価は引張
試験片を折り曲げて破断し、破断面の状態を目視観察し
た。判定基準は、◎:極めて良好、○:良好、△:やや
不良、×:極めて不良とした。
【0051】以下、実施例および比較例を示す。 参考例1 ゴム含有グラフト共重合体(I)Aの製造 窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖0.5
部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.0
05部およびゴムの重量平均粒子径0.35μmである
ポリブタジエンラテックス50部(固形分換算)を仕込
み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。
内温が65℃に達した時点を重合開始としてスチレン3
5部,アクリロニトリル15部およびt−ドデシルメル
カプタン0.3部からなる混合物を5時間かけて連続滴
下した。同時に並行してクメンハイドロパーオキサイド
0.25部,オレイン酸カリウム2.5部および純水2
5部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を
完結させた。得られたゴム含有グラフト共重合体ラテッ
クスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和後、洗浄、濾
過、乾燥してゴム含有グラフト共重合体(I)Aを得
た。このゴム含有グラフト共重合体(I)Aのグラフト
率、樹脂成分のηsp/cを表1に示した。
【0052】参考例2 ゴム含有グラフト共重合体
(I)Bの製造 参考例1のポリブタジエンラテックスをゴムの重量平均
粒子径が0.20μm、であるポリブタジエンラテック
ス60部(固形分換算)、スチレン29部,アクリロニ
トリル11部に変えた以外は、参考例1と同様に行い、
表1記載のゴム含有グラフト共重合体(I)Bを得た。
【0053】参考例3 ゴム含有グラフト共重合体
(I)Cの製造 参考例1のポリブタジエンラテックスをゴムの重量平均
粒子径が0.03μmであるポリブタジエンラテックス
50部(固形分換算)に変えた以外は、参考例1と同様
に行い、表1記載のゴム含有グラフト共重合体(I)C
を得た。
【0054】参考例4 ゴム含有グラフト共重合体
(I)Dの製造 参考例1のポリブタジエンラテックスをゴムの重量平均
粒子径が0.7μmであるポリブタジエンラテックス5
0部(固形分換算)に変えた以外は、参考例1と同様に
行い、表1記載のゴム含有グラフト共重合体(I)Dを
得た。
【0055】参考例5 シアン化ビニル系共重合体(I
I)aの製造 容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を
備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メ
チル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−2415
1号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶
解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで
置換した。次にアクリロニトリル28部、スチレン72
部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、2,2’−
アゾビスイソブチロニトリル0.40部の混合溶液を反
応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し重合を開始
した。15分かけて反応温度を65℃まで昇温したの
ち、50分かけて100℃まで昇温した。以降は、通常
の方法に従って、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗
浄、乾燥を行ない、表2記載のシアン化ビニル系共重合
体 (II)aを得た。
【0056】参考例6 シアン化ビニル系共重合体(I
I)bの製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル24部、スチ
レン71部、メタクリル酸メチル5部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.1部にした以外は、参考例5と同様に重
合を行い、表2記載のシアン化ビニル系共重合体(I
I)bを得た。
【0057】参考例7 シアン化ビニル系共重合体(I
I)cの製造 参考例5の条件のうち、t−ドデシルメルカプタンを
1.5部にした以外は、参考例5と同様に同様の方法で
重合を行い、表2記載のシアン化ビニル系共重合体(I
I)cを得た。
【0058】参考例8 シアン化ビニル系共重合体(I
I)dの製造 参考例5の条件のうち、t−ドデシルメルカプタンを0
部にした以外は、参考例5と同様に同様の方法で重合を
行い、表2記載のシアン化ビニル系共重合体(II)d
を得た。
【0059】参考例9 シアン化ビニル系共重合体(I
I)eの製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル10部、スチ
レン90部とし、あとは参考例5と同様の方法で重合を
行い、表2記載のシアン化ビニル系共重合体(II)e
を得た。
【0060】参考例10 ポリエーテルエステルアミド
(III)イの製造 カプロラクタム50部、数平均分子量が1000のポリ
エチレングリコール45部およびアジピン酸7.0部を
“イルガノックス”1098(酸化防止剤)0.2部お
よび三酸化アンチモン触媒0.1部と共にヘリカルリボ
ン撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して24
0℃で60分加熱撹拌して透明な均質溶液とした後、2
60℃、0.5mmHg以下の条件で4時間重合し、粘ちょ
うで透明なポリマを得た。ポリマを冷却ベルト上にガッ
ト状に吐出し、ペレタイズすることよって、ペレット状
のポリエーテルエステルアミド(III)イを調整し
た。
【0061】参考例11 ポリエーテルエステルアミド
(III)ロの製造 ナイロン6・6塩(AH塩)50部、数平均分子量が6
00のポリエチレングリコール41.1部およびテレフ
タル酸11.8部を用い、重合時間を4時間にした以外
は、参考例10と同じ方法でポリエーテルエステルアミ
ド(III)ロを調整した。
【0062】参考例12 ビニル系共重合体(V)の
製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル28部、スチ
レン72部、t−ドデシルメルカプタン0.5部とし、
あとは参考例5と同様の方法で重合を行い、表3記載の
ビニル系共重合体(V)を得た。
【0063】参考例13 ビニル系共重合体(V)の
製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル35部、スチ
レン35部、N−フェニルマレイミド30部、t−ドデ
シルメルカプタン0.5部とし、あとは参考例5と同様
の方法で重合を行い、表3記載のビニル系共重合体
(V)を得た。
【0064】参考例14 ビニル系共重合体(V)の
製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル3部、スチレ
ン97部、t−ドデシルメルカプタン0.5部とし、あ
とは参考例5と同様の方法で重合を行い、表3記載のビ
ニル系共重合体(V)を得た。
【0065】参考例15 変性ビニル系共重合体(V
I)の製造 参考例5の条件のうち、アクリロニトリル25部、スチ
レン72部、メタクリル酸3部、t−ドデシルメルカプ
タン0.5部とし、あとは参考例5と同様の方法で重合
を行い、変性ビニル系共重合体(VI)を得た。
【0066】実施例 1〜6 ブロー成形用熱可塑性樹
脂組成物の製造 参考例1〜2にて製造されたゴム含有グラフト共重合体
(I)A〜B、参考例5〜6にて製造されたシアン化ビ
ニル系共重合体(II)a〜bおよび参考例10〜11
にて製造されたポリエーテルエステルアミド(III)
イ〜ロ、表4記載のアニオン系界面活性剤(IV)、参
考例12〜14にて製造されたビニル系共重合体(V)
および参考例15にて製造された変性ビニル系共重合
体(VI)を表4に示す配合割合にてヘンシェルミキサ
ーで混練後、40mmφ押出機により押出しブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたブロー成形用熱
可塑性樹脂組成物を射出成形により試験片を作成し、ア
イゾット衝撃強度を測定しその測定値を表4に示した。
また、ブロー成形を行い、ブロー成形加工性および成形
品の表面固有抵抗値の結果も表4に示した。
【0067】比較例 1〜11 ブロー成形用熱可塑性
樹脂組成物の製造 参考例1〜4にて製造されたゴム含有グラフト共重合体
(I)A〜D、参考例5〜9にて製造されたシアン化ビ
ニル系共重合体(II)a〜e、参考例10〜11にて
製造されたポリエーテルエステルアミド(III)イ〜
ロ、表4記載のアニオン系界面活性剤(IV)、参考例
12〜14にて製造されたビニル系共重合体(V)〜
および参考例15にて製造された変性ビニル系共重合
体(VI)を表4に示す配合割合にてヘンシェルミキサ
ーで混練後、40mmφ押出機により押出しブロー成形
用熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたブロー成形用熱
可塑性樹脂組成物を射出成形により試験片を作成し、ア
イゾット衝撃強度を測定しその測定値を表4に示した。
また、ブロー成形を行い、ブロー成形加工性および成形
品の表面固有抵抗値の結果も表4に示した。
【0068】実施例1〜6より、本発明の請求項記載の
ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物が耐衝撃性、ブロー成
形加工性、制電性のバランスに優れていることが判る。
しかし、比較例1、2、10、11はゴム含有グラフト
共重合体(I)、シアン化ビニル系共重合体(II)、
ポリエーテルエステルアミド(III)、アニオン系界
面活性剤(IV)、ビニル系共重合体(V)および変性
ビニル系共重合体(VI)の配合割合が本発明の規定す
る範囲外であるため、比較例1、11は衝撃強度が低
く、比較例2、10はブロー成形加工性が劣る。また、
比較例3〜9はゴム含有グラフト共重合体(I)、シア
ン化ビニル系共重合体(II)、ポリエーテルエステル
アミド(III)、アニオン系界面活性剤(IV)およ
びビニル系共重合体(V)が本発明の規定する範囲外で
あるため、比較例7、9は衝撃強度が低く、比較例5、
6、8はブロー成形加工性が劣り、比較例3は衝撃強度
とブロー成形加工性が劣り、比較例4は衝撃強度と制電
性が劣る。さらに変性ビニル系共重合体(VI)を添加
した実施例5〜6は層状剥離防止性が高くさらに優れて
いる。
【0069】このように各実施例および各比較例より、
本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃
性、ブロー成形加工性、制電性のバランスに優れてい
る。これは、特定の重量平均粒子径を有するゴム状重合
体からなるゴム含有グラフト共重合体と特定の組成およ
び還元粘度を有するシアン化ビニル系共重合体および特
定のポリエーテルエステルアミド・アニオン系界面活性
剤を特定割合で組み合わせることにより、初めて実現さ
れるものである。
【0070】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0071】
【発明の効果】本発明のブロー成形用熱可塑性樹脂組成
物は、特定の重量平均粒子径を有するゴム状重合体から
なるゴム含有グラフト共重合体と特定の組成および還元
粘度を有するシアン化ビニル系共重合体および特定のポ
リエーテルエステルアミド・アニオン系界面活性剤を特
定割合で組み合わせることが特徴であり、耐衝撃性、ブ
ロー成形加工性、制電性のバランスに優れている。
【0072】そして、本発明のブロー成形用熱可塑性樹
脂組成物は、これらの特徴をいかしてブロー成形加工用
途に供されるが自動車・2輪用大型中空樹脂部品、住宅
用大型中空樹脂部品、電気機器用大型中空樹脂部品用樹
脂材料として好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/42 KGA C08K 5/42 KGA C08L 55/02 LME C08L 55/02 LME LMF LMF 57/04 LMK 57/04 LMK 77/12 LQS 77/12 LQS // B29K 25:00 55:02 B29L 22:00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均粒子径が0.05〜0.50μ
    mであるゴム質重合体(a)20〜80重量部の存在下
    にシアン化ビニル系単量体(b)5〜50重量%、芳香
    族ビニル系単量体(c)10〜90重量%および不飽和
    カルボン酸アルキルエステル(d)0〜80重量%から
    なる単量体混合物80〜20重量部を重合してなるゴム
    含有グラフト共重合体(I)10〜50重量部、 シアン化ビニル系単量体(b)15〜55重量%および
    芳香族ビニル系単量体(c)85〜45重量%からな
    り、還元粘度が0.5〜1.5dl/gであるシアン化
    ビニル系共重合体(II)10〜80重量部、 ポリエーテルエステルアミド(III)および/または
    アニオン系界面活性剤(IV)0.05〜30重量部、
    およびシアン化ビニル系単量体(b)5〜30重量%,
    芳香族ビニル系単量体(c)75〜45重量%およびこ
    れらと共重合可能な他のビニル系単量体(e)0〜60
    重量%からなるビニル系共重合体(V)0〜50重量部
    からなり、 ゴム含有グラフト共重合体(I)、シアン化ビニル系共
    重合体(II)、ポリエーテルエステルアミド(II
    I)および/またはアニオン系界面活性剤(IV)およ
    びビニル系共重合体(V)の合計が100重量部である
    ことを特徴とするブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記ゴム含有グラフト共重合体(I)の
    ゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が0.10〜0.
    45μmであることを特徴とする請求項1記載のブロー
    成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記シアン化ビニル系共重合体(II)
    の還元粘度が0.7〜1.3dl/gであることを特徴
    とする請求項1または2記載のブロー成形用熱可塑性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエーテルエステルアミド(III)
    がアミノカルボン酸またはラクタム、もしくはジアミン
    とジカルボン酸の塩、ポリ(アルキレンオキシド)グリ
    コールおよびジカルボン酸からなるポリエーテルエステ
    ルアミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アニオン系界面活性剤(IV)がスルホ
    ン酸系のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項
    1〜4記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記ブロ−成形用熱可塑性樹脂組成物1
    00重量部にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、
    及びアミド基よりなる郡より選ばれた少なくとも一種の
    官能基を有する変性ビニル系共重合体(VI)0〜20
    重量部を配合することを特徴とする請求項1〜5のいず
    かに記載のブロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記変性ビニル系共重合体(VI)とし
    てカルボキシル基を含有する変性ビニル系共重合体(V
    I)を配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載のブ
    ロー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記変性ビニル系共重合体(VI)がシ
    アン化ビニル系単量体(b)20〜40重量部、芳香族
    ビニル系単量体(c)50〜79.9重量%、カルボキ
    シキル基を有するビニル系単量体(f)0.1〜10重
    量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体
    (e)0〜50重量%を重合してなる共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のブロー
    成形用熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 表面固有抵抗値が1016Ω以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のブロー
    成形用熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 自動車、2輪用大型中空樹脂部品、住
    宅用大型中空樹脂部品および家庭用電気機器用大型中空
    樹脂部品に適した請求項1〜9のいずれかに記載のブロ
    ー成形用熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載のブロ
    ー成形用熱可塑性樹脂組成物を用いてブロー成形により
    成形した表面固有抵抗値が1016Ωである自動車、2輪
    用大型中空樹脂部品、住宅用大型中空樹脂部品および家
    庭用電気機器用大型中空樹脂部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000248148A (ja) * 1999-03-01 2000-09-12 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ブロー成形用熱可塑性樹脂組成物およびそのブロー成形品
JP2016175971A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物

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