JP2002234984A - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品

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JP2002234984A
JP2002234984A JP2001353244A JP2001353244A JP2002234984A JP 2002234984 A JP2002234984 A JP 2002234984A JP 2001353244 A JP2001353244 A JP 2001353244A JP 2001353244 A JP2001353244 A JP 2001353244A JP 2002234984 A JP2002234984 A JP 2002234984A
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Masa Matsuda
政 松田
Makoto Matsumoto
誠 松本
Akihiro Omura
昭洋 大村
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】導電性と成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物及
びその熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供するこ
と。 【解決手段】ゴム強化スチレン系樹脂(A)60〜99
重量%及びポリアミドエラストマー(B)1〜40重量
%を含有してなる熱可塑性樹脂(I)100重量部に対
して、炭素繊維(II)2〜25重量部を含有してなる樹
脂組成物であって、該炭素繊維(II)の配合量と該ポリ
アミドエラストマー(B)の配合量の関係が特定されて
いる熱可塑性樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物及びその熱可塑性樹脂組成物からなる成形品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、優れた機械的性質と成
形加工性によって、家庭電気機器、OA機器あるいは自
動車などの部品に多く使用されている。しかしながら、
熱可塑性樹脂等のプラスチックの大半は電気絶縁性であ
り、最近の精密な電気・電子制御装置を備えた各種機器
において、発生する静電気により制御装置の誤作動が起
こる問題があった。そのため、発生した静電気を除去す
る必要があり、制電性及び導電性が付与された機器及び
その部品類に適したプラスチックが望まれていた。 一
般的に、プラスチックに制電性を付与する方法として
は、プラスチックにアミン系帯電防止剤の添加する方
法、及び持続的に制電性を付与する方法としてポリエー
テルエステルアミドをはじめとするポリアミドエラスト
マーをプラスチックに配合する方法が公知である(特開
昭60−23435号公報、特開昭61−246244
号公報、特開昭63−95251号公報、特開昭63−
97653号公報)。しかしながら、これらの方法で付
与される制電性能では、適用される装置によってはなお
十分でなく、問題解決にならない場合があった。
【0003】また、導電性を付与する他の方法として
は、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、金属粉末あ
るいは金属繊維に代表される導電性充填材をプラスチッ
クに配合する方法が知られている。しかしながら、これ
らの導電性充填材をプラスチックに配合した場合、例え
ば、カーボンブラックの場合は所望の導電性を得るため
に比較的多く配合する必要があり、機械特性や流動性が
低下するという課題があり、また繊維状フィラーでは、
ウェルド強度や流動性が低下するという課題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決する方法として、導電性を有し、かつ機械物
性の低下が少なく成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物及
びその熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定量
の制電性成分と特定量の炭素繊維を配合することによ
り、上記目的が効率的に達成されることを見出し本発明
に到達した。
【0006】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、ゴム強化スチレン系樹脂(A)60〜99重量%及
びポリアミドエラストマー(B)1〜40重量%を含有
してなる熱可塑性樹脂(I)100重量部に対して、炭
素繊維(II)2〜25重量部を含有してなる樹脂組成物
であって、該炭素繊維(II)の配合量と該ポリアミドエ
ラストマー(B)の配合量の関係が下式を満たす熱可塑
性樹脂組成物である。
【0007】炭素繊維(II)の配合量(重量部)≧ −
0.6×ポリアミドエラストマー(B)配合量(重量
部)+8.0 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、これを成形物とするこ
とにより、導電性を有し、かつ機械的特性バランスにに
優れた成形物とすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
ゴム強化スチレン系樹脂(A)及びポリアミドエラスト
マー(B)を含有してなる熱可塑性樹脂(I)と、炭素
繊維(II)とで基本的に構成される。
【0009】本発明におけるゴム強化スチレン系樹脂
(A)とは、ゴム成分がグラフトまたはブレンドあるい
はグラフトとブレンドが併用されたスチレン系樹脂のこ
とをいい、特に好適な本発明のゴム強化スチレン系樹脂
(A)としては、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量
体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可能なその他の
ビニル系単量体から選ばれた1種以上の単量体をグラフ
ト共重合させたグラフト共重合体(A−1)と、芳香族
ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可
能なその他のビニル系単量体から選ばれた1種以上の単
量体からなるビニル系重合体(A−2)からなる組成物
が挙げられる。
【0010】ゴム質重合体としては、ジエン系ゴム、ア
クリル系ゴムおよびエチレン系ゴム等が挙げられ、具体
的には、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレ
ン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイ
ソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポ
リ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリ
ル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン
−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、
エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン
−イソプレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)
等が挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または
2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質重合体
のうち、本発明では、特にポリブタジエン、ポリ(ブタ
ジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニト
リル)、エチレン−プロピレンラバーが、耐衝撃性の点
で好ましく用いられる。
【0011】ゴム質重合体の重量平均粒子径は、衝撃強
度などの物性バランスから、0.1〜0.5μmが好ま
しく、より好ましくは0.15〜0.4μmである。
【0012】グラフト共重合体(A−1)及びビニル系
(共)重合体(A−2)に用いられる芳香族ビニル系単
量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、オルソ
メチルスチレン、パラメチルスチレン、パラ−t−ブチ
ルスチレン及びハロゲン化スチレン等が挙げられ、これ
らは1種または2種以上で用いることができる。なかで
も、スチレンとα−メチルスチレンが好ましく用いられ
る。
【0013】グラフト共重合体(A−1)及びビニル系
(共)重合体(A−2)に用いられるシアン化ビニル系
単量体としては、アクリロニトリル及びメタクリロニト
リル等が挙げられ、これらも1種または2種以上で用い
ることができる。なかでもアクリロニトリルが好ましく
用いられる。
【0014】グラフト共重合体(A−1)及びビニル系
(共)重合体(A−2)に用いられる共重合可能なその
他のビニル系単量体としては、メタクリル酸メチルやメ
タクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステ
ル系単量体、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレ
イミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジ
カルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無
水物及びアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表
される共重合可能なビニル化合物等を挙げることがで
き、これらは単独ないし2種以上を用いることができ
る。なお、ビニル系(共)重合体(A−2)は、複数種
類用いることができる。
【0015】また、グラフト共重合体(A−1)に配合
された単量体混合物は、そのすべてが、ゴム質重合体と
結合してグラフト化している必要はなく、単量体混合物
の単量体同士で結合し、グラフト化していない重合体と
して含まれていても良い。グラフト率は、好ましくは1
0〜100%であり、特に好ましいのは20〜50%で
ある。
【0016】本発明におけるビニル系(共)重合体(A
−2)の還元粘度(ηsp/c)は、好ましくは0.1〜
0.8dl/gである。これ以外の場合、耐衝撃性が低
下し、あるいは溶融粘度が上昇して成形性が悪くなりや
すい。さらに好ましい還元粘度(ηsp/c)は、0.3
〜0.7dl/gである。
【0017】本発明におけるグラフト共重合体(A−
1)及びビニル系(共)重合体(A−2)の製造方法は
特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合等のいずれでもよい。単量体の仕込方法も特に制限
はなく、初期一括仕込み、単量体の一部または全てを連
続仕込み、あるいは単量体の一部または全てを分割仕込
みのいずれの方法を用いてもよい。
【0018】ゴム強化スチレン系樹脂(A)の中のゴム
質重合体の含有量は、機械的強度、流動性の点におい
て、2〜60重量%が好ましく、より好ましくは10〜
40重量%である。
【0019】また、熱可塑性樹脂(I)中のゴム強化ス
チレン系樹脂(A)の含有量は、60〜99重量%であ
り、好ましくは、70〜95重量%である。ゴム強化ス
チレン系樹脂(A)の含有量が60重量%未満では、耐
衝撃性等の機械的強度が十分でなく、99重量%を超え
るとポリアミドエラストマーの含有量が少なくなり制電
性レベルが低下するので好ましくない。
【0020】本発明におけるポリアミドエラストマー
(B)は、公知のものが使用できるが、炭素原子数6以
上のアミノカルボン酸またはラクタム、もしくは炭素原
子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩(B−1)と
数平均分子量200〜6,000のポリ(アルキレンオ
キシド)グリコール(B−2)を構成成分として含むグ
ラフト、またはブロック共重合体が好ましく、ポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコール(B−2)がポリエチレ
ンオキシドグリコールであるものが、より好ましい。こ
こで、炭素数が6以上のアミノカルボン酸またはラクタ
ム、もしくは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン
酸の塩として、具体的には、ω−アミノカプロン酸、ω
−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミ
ノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウ
ンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボ
ン酸、あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カ
プリルラクタム、ラウロラクタム等のラクタム、ヘキサ
メチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジア
ミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフ
タル酸塩等のナイロン塩が挙げられる。
【0021】ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの
例としては、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリ
(1、2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ
(1、3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テ
トラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチ
レンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピ
レンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチ
レンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはラ
ンダム共重合体等が用いられる。また、ビスフェノール
Aや脂肪酸のアルキレンオキシド付加物などが共重合さ
れていても良い。
【0022】このポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ルの数平均分子量は、好ましくは200〜6,000で
あり、特に300〜4000が好ましい。また、必要に
応じてポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分の両
末端をアミノ化またはカルボキシル化しても良い。
【0023】本発明の炭素数が6以上のアミノカルボン
酸またはラクタム、もしくは炭素原子数6以上のジアミ
ンとジカルボン酸の塩(B−1)とポリ(アルキレンオ
キシド)グリコールの結合は、通常エステル結合、アミ
ド結合であるが、特にこれらのみに限定されない。ま
た、ジカルボン酸、ジアミン等の第三成分を反応成分と
して用いることも可能であり、この場合のジカルボン酸
成分として、炭素数4〜20のものが好ましく、その例
として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフ
タレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−
ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−
スルホイソフタル酸ナトリウムのような芳香族ジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−
シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,
4−ジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸、コハク
酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デ
カンジカルボン酸が重合性、色調、物性から好ましい。
一方、ジアミン成分としては、芳香族、脂環族、脂肪族
のジアミンが用いられ、中でも脂肪族ジアミンのヘキサ
メチレンジアミンが好ましく用いられる。
【0024】熱可塑性樹脂(I)中のポリアミドエラス
トマー(B)の含有量は、1〜40重量%であり、好ま
しくは5〜30重量%である。ポリアミドエラストマー
(B)の含有量が1重量%未満では、制電性レベルが低
下し、40重量%を超えると剛性の低下及び成形加工性
が悪化するので好ましくない。
【0025】ポリアミドエラストマー(B)の製造方法
については、特に限定されず、公知の方法を利用するこ
とができる。例えば、アミノカルボン酸またはラクタム
もしくは炭素数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩
(イ)とジカルボン酸(ロ)を反応させて両末端がカル
ボン酸基のポリアミドプレポリマーを作り、これにポリ
(アルキレンオキシド)グリコール(ハ)を真空下に反
応させる方法、あるいは上記(イ)、(ロ)、(ハ)の
化合物を反応槽に仕込み、水の存在下、または不存在下
に高温で加熱反応させることによりカルボン酸末端のポ
リアミドエラストマーを生成させ、その後、常圧または
減圧下で重合を進める方法が知られている。また、上記
(イ)、(ロ)、(ハ)の化合物を同時に反応槽に仕込
み、溶融重合した後、高真空下で一挙に重合を進める方
法もある。
【0026】本発明における炭素繊維(II)には特に制
限はなく、PAN系、ピッチ系等いずれの炭素繊維も使
用することができ、また、金属コートを施した炭素繊維
も使用することができる。その中でも、機械特性が高い
PAN系炭素繊維が好ましい。
【0027】本発明の炭素繊維(II)の配合量は、熱可
塑性樹脂(I)100重量部に対し2〜25重量部が好
ましく、より好ましくは2〜20重量部である。炭素繊
維が2重量部未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の
導電性が十分に発現せず、25重量部を超えると、得ら
れた熱可塑性樹脂組成物の成形性が悪くなる。
【0028】また、本発明において、炭素繊維(II)の
配合量は、ポリアミドエラストマー(B)の配合量と関
係し、下式で決められる。 炭素繊維(II)の配合量(重量部)≧ −0.6×ポリ
アミドエラストマー(B)配合量(重量%)+8.0 例えば、ポリアミドエラストマー(B)を5重量%配合
した場合、上記式から炭素繊維(II)の配合量は、5重
量部以上となる。なお、上記式による炭素繊維(II)の
配合量計算値が2未満の場合は、炭素繊維(II)の配合
量の下限は2重量部とする。
【0029】本発明における熱可塑性樹脂組成物の表面
固有抵抗値は、好ましくは1E+10Ω以下であり、よ
り好ましくは1E+08Ω以下である。
【0030】本発明における熱可塑性樹脂組成物の製造
方法に関しては特に制限はないが、好ましくは、サイド
フィード式2軸押出機にてホッパーに熱可塑性樹脂を仕
込み、サイドフィードにて炭素繊維を送り込む方法であ
る。
【0031】なお、本発明における熱可塑性樹脂組成物
には、ゴム強化スチレン系樹脂(A)とポリアミドエラ
ストマー(B)の相溶化を目的に、分子鎖中にカルボキ
シル基、エポキシ基、アミノ基及びアミド基の少なくと
も1種の官能基を有する変性ビニル系共重合体を配合す
ることができる。また、本発明の目的を損なわない範囲
で、各種の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエス
テル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド
樹脂、変性PPE樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリア
セタール樹脂、あるいはそれらの変性物やエラストマー
類を配合することにより、成形用樹脂組成物として性能
をさらに改良することができる。
【0032】また、必要に応じて、本発明の熱可塑性樹
脂組成物には、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物
系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール
系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾー
ル系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線
吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系などの光
安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級
脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン
酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エス
テル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化
アンチモンなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアル
キルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料およ
び染料などを添加することもでき、また、各種強化剤や
充填材を配合することもできる。
【0033】上記によって得られた熱可塑性樹脂組成物
は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮
成形および、ガスアシスト成形などの現在熱可塑性樹脂
の成形に用いられる公知の方法によって任意の形状に成
形することができる。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、導電性と
成形性に優れる特徴を生かして、静電気除去が必要な電
気・電子制御装置及びその周辺用材料として広く利用さ
れ、精密な電気・電子制御装置を備えた機器及びその部
品類に適することを特徴とするものである。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する
が、これをもって本発明を制限するものではない。な
お、実施例及び比較例中、特にことわりのない限り
「部」または「%」で表示したものは、すべて重量比率
を表わしたものである。熱可塑性樹脂の特性について、
分析方法を下記する。
【0036】(1)重量平均ゴム粒子径 「Rubber Age Vol.88 p.484〜
490(1960)by E.Schmidt, P.
H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法
によって求める。すなわち、アルギン酸ナトリウムの濃
度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なる
ことを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸
ナトリウム濃度の累積重量分率より、累積重量分率50
%の粒子径を求める。
【0037】(2)グラフト率 グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、3時
間還流し、この溶液を8800r/min(10000
G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾取し、この不溶
分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定し
た。グラフト率は、下記式より算出した。 グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]}×100 ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。
【0038】(3)還元粘度ηsp/c サンプル1gにアセトン200mlを加え、3時間還流
し、この溶液を8800r/min(10000G)で
40分間遠心分離した後、不溶分を濾過する。濾液をロ
ータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可
溶分)を60℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100
ml(メチルエチルケトン、30℃)に調整し、ウベロ
ーデ粘度計を用いηsp/cを測定した。
【0039】(4)アイゾット衝撃強度 ASTM D256に準拠し(12.7mmノッチ付
き、23℃)、測定した。
【0040】(5)表面固有抵抗値(導電性) ASTM D257に準拠し、40mm(W)×50m
m(L)×3mm(t)の成形品で測定した。印加電圧
500V、1分後の値を読みとった。但し、表面固有抵
抗値が(1E+07)Ω以下の場合には、上記条件では
測定困難であるので、40mm(W)×50mm(L)
×3mm(t)の成形品の40mm側両端に導電性ペー
スト(商品名”ドータイト”D−500(藤倉化成
(株)製))を幅5mmで平行に塗布し、乾燥後、デジ
タルマルチメーター(アドバンテスト社製商品名TR6
877)にて抵抗値を測定する方法によった。
【0041】(6)MFR(メルトフローレート値) ISO 1133に準拠し(250℃、荷重98N)、
測定した。
【0042】[参考例1] グラフト共重合体(A−
1)A1の製造方法 窒素置換した反応器に、純水120部、ブドウ糖0.5
部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.0
05部およびポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径
0.3μm、ゲル含有率85%)60部(固形分換算)
を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温
した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、モ
ノマ(スチレン30部、アクリロニトリル10部)およ
びt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物を
5時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハイ
ドロパーオキサイド0.25部、オレイン酸カリウム
2.5部および純水25部からなる水溶液を7時間かけ
て連続滴下し、反応を完結させた。得られたスチレン系
共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和
後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(A−1)
A1を得た。このグラフト共重合体(A−1)A1のグ
ラフト率は35%、樹脂成分のηsp/cは0.35d
l/gであった。
【0043】[参考例2] ビニル系(共)重合体(A
−2)A2の製造方法 容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を
備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メ
チル20重量%、アクリルアミド80重量%からなる共
重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶
液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換し
た。次に、アクリロニトリル30部、スチレン5.0
部、t−ドデシルメルカプタン0.46部、2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.39
部、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.05部
の混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃に昇
温し重合を開始した。重合開始から15分が経過した
後、オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプからの
スチレン65部を110分かけて添加した。この間、反
応温度を65℃まで昇温した。スチレンの反応系への添
加終了後、50分かけて100℃まで昇温した。以降
は、通常の方法に従って、反応系の冷却、ポリマーの分
離、洗浄、乾燥を行ない、ビニル系(共)重合体(A−
2)A2を得た。このビニル系(共)重合体(A−2)
A2のηsp/cは0.53dl/gであった。
【0044】[参考例3] ポリアミドエラストマー
(B)B1の製造方法 ナイロン6,6塩60部と数平均分子量800のポリエ
チレングリコール30部及びアジピン酸10部を使用
し、三酸化アンチモン触媒存在下で、250℃にて4時
間重合させた。得られたポリマー(ブロック共重合体)
をストランド状に吐出させ、カットしてペレット状のポ
リアミドエラストマー(B)B1を得た。
【0045】[参考例4] 炭素繊維(II) 東レ(株)製”トレカ”T700S チョップドストラ
ンド (実施例1〜3)上記の参考例に示したグラフト共重合
体(A−1)、ビニル系(共)重合体(A−2)、ポリ
アミドエラストマー(B)を、表1に示した配合比で混
合し、ベント付サイドフィード式30mmφ2軸押出機
(池貝製PCM−30)を使用して樹脂温度240℃で
溶融混練、押出しを行なうことによって、ペレット状の
熱可塑性樹脂組成物を製造した。炭素繊維(II)は、サ
イドからフィードした。次いで射出成形機により、シリ
ンダー温度240℃、金型温度60℃で試験片を成形
し、上記条件で物性を測定し、得られた測定結果を表1
に示した。
【0046】(比較例1〜6)上記の参考例で示したグ
ラフト共重合体(A−1)、ビニル系(共)重合体(A
−2)、ポリアミドエラストマー(B)を表1に示した
配合比で混合し、実施例と同様の方法で溶融混練(炭素
繊維(II)はサイドからフィード)して熱可塑性樹脂組
成物を製造し、これを成形した。得られた成形品につい
て各物性を測定し、測定結果を表1に示した。
【0047】
【表1】 表1の結果から次のことが明らかである。本発明の熱可
塑性樹脂組成物(実施例1〜3)では、いずれも表面固
有抵抗値が1E+10以下であり、かつ耐衝撃性、成形
性に優れている。
【0048】これに対し、炭素繊維(II)が2重量部未
満のもの(比較例1)は、表面固有抵抗値が高く、すな
わち導電性が低い。また、炭素繊維(II)が25重量部
を超えるもの(比較例3)はMFRが低く、成形性に劣
り好ましくない。また、炭素繊維(II)が、ポリアミド
エラストマー(B)配合量との関係式から導き出される
最低配合量未満のもの(比較例4、5)は、表面固有抵
抗値が高く、すなわち導電性が低い。ポリアミドエラス
トマー(B)が配合されていないもの(比較例2)は、
実施例1と同量の炭素繊維(II)配合量であるにもかか
わらず、表面固有抵抗値が高い。ポリアミドエラストマ
ー(B)が40重量部を超えるもの(比較例6)は、耐
衝撃性に劣り好ましくない。
【0049】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、導電性
と成形性に優れるものである。そのため、静電気除去が
必要な電気・電子制御装置及びその周辺用材料として広
く利用され、それら部品類に適することを特徴としてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA12X AA22X AA57 AA77 AB03 AD01 AE15 AF37 BA01 BB05 BB06 BC07 4J002 BN141 CL072 CL082 DA016 FA046 FD116

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム強化スチレン系樹脂(A)60〜9
    9重量%及びポリアミドエラストマー(B)1〜40重
    量%を含有してなる熱可塑性樹脂(I)100重量部に
    対して、炭素繊維(II)2〜25重量部を含有してなる
    樹脂組成物であって、該炭素繊維(II)の配合量と該ポ
    リアミドエラストマー(B)の配合量の関係が下式を満
    たす熱可塑性樹脂組成物。 炭素繊維(II)の配合量(重量部)≧−0.6×ポリア
    ミドエラストマー(B)配合量(重量部)+8.0
  2. 【請求項2】 ポリアミドエラストマー(B)が、炭素
    原子数6以上のアミノカルボン酸またはラクタム、もし
    くは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩
    (B−1)と数平均分子量200〜6,000のポリ
    (アルキレンオキシド)グリコール(B−2)を構成成
    分として含むグラフト共重合体またはブロック共重合体
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリ(アルキレンオキシド)グリコール
    (B−2)が、ポリエチレンオキシドグリコールである
    請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 表面固有抵抗値が1E+10Ω以下であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物からなる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006028332A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Asahi Kasei Chemicals Corp 導電性樹脂組成物
CN111732811A (zh) * 2020-06-05 2020-10-02 江西塑高新材料有限公司 彩色导电abs塑料

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