JP3812965B2 - 永久帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久帯電防止性を有し物性バランスも良好で、成形品とした場合層状剥離等を生じない樹脂組成物、さらには透明で物性バランスも良好で、成形品とした場合層状剥離等を生じない樹脂組成物に関する。
さらに詳述すると、ゴム重合体を分散相として、スチレン系単量体、アクリル酸(メタクリル酸)エステル単量体からなる共重合体を連続相とするスチレン系重合体と特定のポリエーテルエステルアミドとからなる永久帯電防止性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラスチックの多くは、電気絶縁性が高く、摩擦等により帯電し易いため、ゴミやほこりが付着して成形品、シート、フィルム等の外観を損ねる等の問題があった。また、最近ではビデオ、コンピューター、OA機器等に代表されるエレクトロニクス製品の著しい発展にともない、これらにはプラスチック品が用いられるため、製品では静電気に起因するノイズの発生あるいはIC部品の破損等が重要な問題となっている。
【0003】
このような、静電気によるプラスチックへの障害を防止するために、(1)帯電防止剤の内部練り込み法、(2)帯電防止剤の外部塗布法、(3)除電器を用いる方法等の帯電防止の処理方法がいろいろと実施されてきている。
【0004】
しかし、(1)の帯電防止剤の内部練り込み法では、一般に帯電防止剤として用いられている低分子量の界面活性剤が、成形品表面の水洗あるいは摩擦等により除かれるため帯電防止効果が失われてしまい、永久的な帯電防止性を保持させることが困難である。
【0005】
また、(2)の帯電防止剤の外部塗布法についても、塗布された帯電防止剤が成形品表面の水洗、摩擦等により容易に除かれ、先の帯電防止剤の内部練り込み法と同様、帯電防止効果が失われ、永久的な帯電防止性能を持たせることは難しい。また、この方法は内部練り込み法と異なり表面塗布工程を必要とするのでコストも高いものとなってしまう。
【0006】
さらに、(3)の除電器を用いる方法には、コロナ放電式とラジオアイソトープ式があるが、前者は火花放電による引火の危険性、後者は放射線を用いることによる使用上の制限があり実用化されている例は少ない。また、この方法は単に帯電を除去するだけの機能で永久的な帯電防止性能を有していない。
【0007】
また、その他の永久的な帯電防止性を付与する方法として、多量のカーボンブラック、金属粉及び金属繊維等を練り込む方法があるが、この方法は、十分な帯電防止効果を付与させることができる反面、成形品の外観性、成形加工性、耐衝撃性等が低下する欠点を有している。
【0008】
一方、ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂の樹脂組成物としては、特開昭60−23447号公報にポリエーテルエステルアミドとポリグルタルイミドの永久帯電防止性の樹脂組成物が、また特開昭61−73753号公報、特開昭61−73765号公報にはポリエーテルエステルアミドとABS樹脂、MBAS樹脂(メタクリル酸メチル/ブタジエンゴム/アクリロニトリル/スチレンの共重合体)の樹脂組成物が報告されているが、前報ではABS樹脂、MBS樹脂の耐衝撃性の改良、後報ではポリエーテルエステルアミドと金属との接着性を改良したことが報告されているのみである。これまで、ポリスチレン系重合体にポリエーテルエステルアミドを用いて、物性バランスも良好で、成形品とした場合層状剥離等を生じない永久帯電防止性樹脂組成物、さらには透明で良好な永久帯電防止性樹脂を得る技術は存在しなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状に鑑み、本発明は、水洗しても優れた帯電防止効果が失われず、樹脂本来の衝撃強度、耐熱性及び成形加工性等の物性を低下させることなく、かつ成形品にした際に層状剥離のない永久帯電防止性に優れた樹脂組成物、さらには透明性をも有してこのような優れた特性を保持した永久帯電防止性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム重合体を分散相として、スチレン系単量体、アクリル酸(メタクリル酸)エステル単量体からなる共重合体を連続相とする特定のスチレン系重合体に特定のポリエーテルエステルアミドを配合することによって水洗しても優れた永久的な帯電防止性を保持し、物性バランスも良好な樹脂組成物を見出し本発明の完成に到達したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、塊状−懸濁重合法を用いて分散相としてジエン系ゴム重合体2〜30重量部と、連続相として下記化学式(I)で示される構成単位30〜80重量%と下記化学式(II)で示される構成単位20〜70重量%とからなる重合体70〜98重量部より得られるスチレン系重合体(A)90〜95重量%と構成成分に脂肪族ジカルボン酸を用いたポリエーテルエステルアミド(B)5〜10重量%からなる永久帯電防止性樹脂組成物であって、スチレン系重合体(A)が透明スチレン系重合体でその連続相の屈折率とポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率の差が0.03以内であることを特徴とする透明性の良好な永久帯電防止性樹脂組成物である。
【0012】
【化3】
Figure 0003812965
【0013】
【化4】
Figure 0003812965
【0014】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で用いられるスチレン系重合体(A)は、分散相を構成するジエン系ゴム重合体2〜30重量部と連続相を構成する上記化学式(I)、(II)で示される構成単位の重合体70〜98重量部とからなるものである。
分散相を形成するジエン系ゴム重合体としては、常温でゴム的性質を示すものであればよく、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等があげられる。より好ましいものとしては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のスチレン−ブタジエン共重合体である。
【0015】
本発明のスチレン系重合体(A)に用いられるジエン系ゴム重合体は2〜30重量部であり、好ましくは4〜25重量部である。ジエン系ゴム重合体が2重量部未満では充分な衝撃強度を得ることができず、30重量部を越えると流動性が低下し、さらに透明性を重要視する樹脂組成物では透明性が低下し好ましくない。
【0016】
本発明で用いられるスチレン系重合体(A)の連続相を構成する構成単位(I)としては、例えば次に示す構造のものがあげられる。
【化5】
Figure 0003812965
【0017】
また、構成単位(II)としては、例えば次に示す構造のものがあげられる。
【化6】
Figure 0003812965
【0018】
すなわち、本発明で用いられるスチレン系重合体(A)の連続相を構成する構成単位(I)としては、スチレン単量体単位、α−メチルスチレン単量体単位、p−メチルスチレン単量体単位、p−t−ブチルスチレン単量体単位等があげられる。また、構成単位(II)としては、メチルメタクリレート単量体単位、ノルマルブチルアクリレート単量体単位等があげられる。なお、各構成単位中において各単量体単位は併用してもよい。
【0019】
また、スチレン系重合体(A)の連続相を構成する構成単位(I)の量は30〜80重量%、構成単位(II)の量は20〜70重量%の範囲であり、より好ましい構成単位(I)の量は35〜75重量%、構成単位(II)の量は25〜65重量%である。この範囲以外では、透明性を重要視する樹脂組成物の場合にはスチレン系重合体の透明性が低下し好ましくない。また連続相の屈折率は特に制約されるものではないが、透明性の観点からは分散相を形成するジエン系ゴム重合体の屈折率との差を0.01以内に制御することが好ましい。さらに、特に透明性を重要視する重合体の場合には0.008以内のものが好ましい。
【0020】
なお、上記の連続相の屈折率と分散相を形成するジエン系ゴム重合体の屈折率との差を0.01以内に制御すること、もしくは0.008以内にすることは既に特公昭46−40688号公報、特公昭46−32748号公報、特公平5−74617号公報等を参照して行うことができる。
【0021】
本発明のスチレン系重合体(A)は、ゴム補強ポリスチレン(HIPS樹脂)の製造で多用されている公知の方法を用いて重合することができる。すなわち、ゴム重合体をスチレン系単量体、アクリル酸(メタクリル酸)エステル単量体等からなる原料溶液に溶解し、攪拌機付き反応容器に供給し80〜180℃の温度範囲で重合を行う。連続相の分子量は重合温度の調整、及び連鎖移動剤等を用いて公知の方法で制御することができる。
【0022】
また、本発明で用いられるポリエーテルエステルアミド(B)は、(a)炭素原子数6以上のアミノカルボン酸またはラクタム、もしくは炭素原子数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩、(b)ポリエーテル及び(c)脂肪族ジカルボン酸から構成される。
【0023】
(a)成分であるアミノカルボン酸としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸及び1,1−アミノウンデカン酸等があげられ、ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム及びラウロラクタム等があげられる。また、ジアミンとジカルボン酸の塩としては、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩及びヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩等があげられる。
【0024】
(b)成分であるポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール及びポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール等があげられる。
【0025】
(c)成分である脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸及びセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸があげられる。
【0026】
ポリエーテルエステルアミド(B)の重合方法に関しては特に限定されず、例えば、(a)アミノカルボン酸またはラクタムと(c)脂肪族ジカルボン酸を約等モル比で反応させて両末端がカルボン酸基のポリアミドポリマーをつくり、これに(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを真空下に反応させる方法、前記(a)、(b)、(c)の各化合物を反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に高温で加圧反応させることにより、カルボン酸末端のポリアミドポリマーを生成させ、その後常圧または減圧下で重合を進める方法、及び前記(a)、(b)、(c)の化合物を同時に反応槽に仕込み溶融混合したのち高真空下で一挙に重合を進める方法等の公知の方法を利用することができる。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、スチレン系重合体(A)とポリエーテルエステルアミド(B)からなる。スチレン系重合体(A)の割合は85〜97重量%、ポリエーテルエステルアミド(B)の割合は3〜15重量%であり、好ましくはスチレン系重合体(A)90〜95重量%、ポリエーテルエステルアミド(B)5〜10重量%である。ポリエーテルエステルアミド(B)が3重量%未満では、充分な帯電防止性を得ることができず、15重量%を越えると成形品に剥離等が生じ充分な物性バランスを得ることができず好ましくない。
【0028】
さらに、本発明で透明性をも重要視した樹脂組成物の場合には、スチレン系重合体(A)の連続相の屈折率とポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率の差は0.03以内である必要がある。屈折率の差が0.03を越えると充分な透明性を得ることができず好ましくない。
【0029】
透明なスチレン系重合体(A)の連続相の屈折率は、連続相を構成する構成単位(I)と(II)の割合により調整することができる。
また、ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率は、前記の各構成成分である(a)、(b)、(c)の化合物の割合により調整することができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物はスチレン系重合体(A)とポリエーテルエステルアミド(B)を公知の混合機であるタンブラーやヘンシェルミキサー等で混合したドライブレンド物を押出機で溶融、混練押出して得ることができる。
押出機としては、一般に単軸押出機、または2軸押出機等が使用できる。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、さらに、必要に応じて安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、及び着色剤等を添加することもできる。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、その主旨を越えない限り実施例によって限定されるものではない。なお、使用したスチレン系重合体(A)、及びポリエーテルエステルアミド(B)は以下の通りである。
【0033】
(1)スチレン系重合体(A)
<スチレン系重合体A−1の製造>
撹拌機、温度計、還流冷却器を付した反応容器中でスチレン含量18重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製商品名タフデン1000)6重量部をスチレン単量体36重量部及びメチルメタクリレート単量体58重量部に溶解し、これに連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.2重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.04重量部を添加し、この均一混合物を撹拌しながら90℃に加熱した。重合転化率が30%に達した時に、反応を一旦停止するために反応混合物を冷却した。
次いで、該反応混合物に新たに重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.2重量部を添加した後、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム1重量部を含有する水溶液200重量部中に撹拌分散させ、100℃で2時間、115℃で3.5時間、130℃で2.5時間加熱重合させた。反応終了後、脱水、洗浄した後乾燥してスチレン系重合体A−1を得た。
【0034】
<スチレン系重合体A−2の製造>
スチレン含量18重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製タフデン1000)20重量部、スチレン単量体31重量部及びメチルメタクリレート単量体49重量部を用いた以外は、A−1と同様にしてスチレン系重合体A−2を得た。
【0035】
<スチレン系重合体A−3の製造>
スチレン含量18重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製タフデン1000)1重量部、スチレン単量体38重量部及びメチルメタクリレート単量体61重量部を用いた以外は、A−1の製造と同様にしてスチレン系重合体A−3を得た。
【0036】
<スチレン系重合体A−4の製造>
スチレン含量18重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製タフデン1000)35重量部、スチレン単量体25重量部及びメチルメタクリレート単量体40重量部を用いた以外は、A−1の製造と同様にしてスチレン系重合体A−4を得た。
【0037】
<スチレン系重合体A−5の製造>
スチレン含量40重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製アサプレン670A)8重量部、スチレン単量体52重量部及びメチルメタクリレート単量体40重量部を用いた以外は、A−1の製造と同様にしてスチレン系重合体A−5を得た。
【0038】
<スチレン系重合体A−6の製造>
スチレン含量18重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(旭化成社製タフデン1000)6重量部、スチレン単量体36重量部、メチルメタクリレート単量体53重量部、及びノルマルブチルアクリレート5重量部を用いた以外は、A−1の製造と同様にしてスチレン系重合体A−6を得た。
【0039】
上記製造で得たスチレン系重合体A−1〜A−6の屈折率を、スチレン系重合体(A)を構成する分散相のジエン系ゴム重合体の量と連続相の単量体混合物の量と共に表−1に示した。
なお、表−1中の単量体SMはスチレン、MMAはメチルメタクリレート及びn−BAはノルマルブチルアクリレートを示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003812965
【0041】
(2)ポリエーテルエステルアミド(B)
<ポリエーテルエステルアミドB−1の製造>
カプロラクタム51重量部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール45重量部及びアジピン酸4重量部をイルガノックス1098(酸化防止剤、日本チバガイギ社)0.2重量部及び三酸化アンチモン触媒0.1重量部とともにヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒素置換して240℃で40分間加熱攪拌して透明な均一溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で6時間重合し、粘稠で透明な重合体を得た。重合体を冷却ベルト上にガット状に吐出し、ペレタイズすることによって、ペレット状のポリエーテルエステルアミドB−1を得た。
【0042】
<ポリエーテルエステルアミドB−2の製造>
カプロラクタム48重量部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール45重量部及びアジピン酸7重量部を用いた以外は、B−1の製造と同様にしてポリエーテルエステルアミドB−2を得た。
【0043】
<ポリエーテルエステルアミドB−3の製造>
カプロラクタム45重量部、数平均分子量1000のポリエチレングリコール45重量部及びアジピン酸10重量部を用いた以外は、B−1の製造と同様にしてポリエーテルエステルアミドB−3を得た。
上記製造で得たポリエーテルエステルアミドB−1〜B−3の屈折率を構成単量体と共に表−2に示した。
【0044】
【表2】
Figure 0003812965
【0045】
なお、表−1及び表−2の屈折率は、アッベ式屈折計を用い温度25℃の条件で測定した。すなわち、スチレン系重合体(A)の連続相の屈折率はスチレン系重合体(A)をトルエン溶液とし不溶分を除去した後の重合体を0.5g/100mlトルエン溶液として、またポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率は0.5g/100ml蟻酸溶液として測定し、それぞれ連続相の重合体及びポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率を求めた。
【0046】
実施例1〜8及び比較例1〜4
上記の(1)スチレン系重合体の製造及び(2)ポリエーテルエステルアミドの製造によって得られたスチレン系重合体(A)とポリエーテルエステルアミド(B)を表−3及び表−4に示した割合で混合し、東芝社製TEM35Bの2軸押出機により押出し、ペレット化を行った。
このペレットから射出成形で試験片を成形し物性測定を行った。その結果を表−3及び表−4に示した。
【0047】
【表3】
Figure 0003812965
【0048】
【表4】
Figure 0003812965
【0049】
なお、特性値は下記の方法により測定した。
(1)機械的特性及び流動性
(a)アイゾット(IZOD)衝撃強度:ASTM D−256に準じて測定した。
(b)引張強度、伸び:ASTM D−638に準じて測定した。
(c)流動性:ASTM D−1238に準じて、温度200℃、荷重5kgにて、メルトフローレート(MFR)を測定した。
【0050】
(2)透明性:JIS K−6714に準じて、全光線透過率、及び曇度を測定した。
【0051】
(3)帯電防止効果
帯電防止効果は、射出成形した厚さ2mmの角板を用い、次の二条件で測定した表面固有抵抗値で評価した。
(a)成形直後:成形直後の角板を純水中で1分間洗浄し、充分乾燥させた後、JIS K−6911に準拠して温度23℃、湿度50%RHで24時間調湿して表面固有抵抗値を測定した。
(b)300日間放置後:成形後の角板を温度23℃、湿度50%RH中に300日間放置した後、純水中で1分間洗浄し充分乾燥させ、JIS K−6911に準拠して温度23℃、湿度50%RHで24時間調湿して表面固有抵抗値を測定した。
尚、表面固有抵抗(Ω)と帯電防止効果の相関は、表面固有抵抗が1011以下であれば帯電防止効果は優れている。表面固有抵抗が1011を越え1013以下では、帯電防止効果は良好であるが、表面固有抵抗が1013を越え1014未満では帯電防止効果が弱く、表面固有抵抗が1014以上では帯電防止効果は無い。
【0052】
(4)層状剥離性
層状剥離性の評価は、射出成形した厚み2mmの角板を手で折ったときの、切断面を観察し、層状剥離のあるものについては×、ほとんど認められないものについては○、全く認められないものについては◎で示した。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の構成単量体単位及び構成量を有するスチレン系重合体にポリエーテルエステルアミドを混合することにより、従来の帯電防止性樹脂と比較して物性バランスにも優れ、経時劣化も起こさないで永久帯電防止性に優れた樹脂組成物を、さらには特定のスチレン系重合体と特定のポリエーテルエステルアミドを混合することにより透明性で物性バランスにも優れた永久帯電防止性樹脂組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. 塊状−懸濁重合法を用いて分散相としてジエン系ゴム重合体2〜30重量部と、連続相として下記化学式(I)で示される構成単位30〜80重量%と下記化学式(II)で示される構成単位20〜70重量%とからなる重合体70〜98重量部より得られるスチレン系重合体(A)90〜95重量%と構成成分に脂肪族ジカルボン酸を用いたポリエーテルエステルアミド(B)5〜10重量%からなる永久帯電防止性樹脂組成物であって、スチレン系重合体(A)が透明スチレン系重合体であり、かつ透明スチレン系重合体の連続相の屈折率とポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率の差が0.03以内であることを特徴とする透明性の良好な永久帯電防止性樹脂組成物。
    Figure 0003812965
    Figure 0003812965
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