JPH06220274A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH06220274A
JPH06220274A JP19947493A JP19947493A JPH06220274A JP H06220274 A JPH06220274 A JP H06220274A JP 19947493 A JP19947493 A JP 19947493A JP 19947493 A JP19947493 A JP 19947493A JP H06220274 A JPH06220274 A JP H06220274A
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acid
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JP19947493A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sakiyama
博史 崎山
Masaaki Motai
政明 馬渡
Emiko Mase
恵美子 真瀬
Kenju Furuyama
建樹 古山
Motoo Iwata
元夫 岩田
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、耐衝撃性、剛性及び熱安定
性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。 【構成】 本発明は、(a)ポリアミドエラストマーお
よび/またはポリエステルエラストマー2〜60重量%
と、(b)ゴム質重合体の存在化または非存在下に、芳
香族ビニル化合物あるいは芳香族ビニル化合物および芳
香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重
合して得られるスチレン系樹脂98〜40重量%とから
なる合計100重量部に対して、(c)下記一般式
(I): 【化7】で表される化合物を0.01〜5重量部、
(d)上記(c)成分以外の化合物であるヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤および/またはイオウ系酸化防止
剤を0.01〜4重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成
物を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剛性、帯電防止性、耐
衝撃性および熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、優
れた成形加工性、物理的性質および機械的性質を有して
いるため、電気・電子分野、家電分野、自動車分野など
に巾広く使用されている。しかし、かかる樹脂は、電気
絶縁体であるため絶縁体材料としては便利であるが、帯
電した電気を漏洩することができず、表面にほこりが付
着するという欠点がある。また、電子機器関係において
は、帯電した電気が妨害を与えるという欠点がある。こ
れらの欠点を改良する方法として、一般に帯電防止剤を
練り込む方法が知られているが、この方法では、表面固
有抵抗値が経時変化して高くなるので、帯電防止効果が
持続しないという問題がある。帯電防止効果の持続性を
向上させる方法として、ABS樹脂にポリエチレングリ
コールとポリアミドを主成分とするポリエーテルアミド
エラストマーを配合する方法が提案されている。この方
法によって得られた組成物は、たしかに帯電防止剤を配
合したABS樹脂よりも帯電防止効果の持続性が向上し
ている。しかし、かかる組成物は、熱安定性が劣るた
め、混練押出し機による長期生産時などに、ノズル部に
着色堆積物(目ヤニ)が生じ、製品に混入したり、射出
成形品に異物が発生したりして外観不良をおこすという
問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決し、剛性、帯電防止性、耐衝撃性および熱安定性に
優れた樹脂組成物を提供しようとするものである。さら
に本発明は、樹脂組成物の熱安定性を改良することによ
り熱劣化を防止して、目ヤニや異物の発生を抑制しよう
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ポリア
ミドエラストマーおよび/またはポリエステルエラスト
マー2〜60重量%と、(b)ゴム質重合体の存在下ま
たは非存在下に、芳香族ビニル化合物あるいは芳香族ビ
ニル化合物および芳香族ビニル化合物と共重合可能な他
のビニル単量体を重合して得られるスチレン系樹脂98
〜40重量%とからなる合計100重量部に対して、
(c)下記一般式(I):
【化2】 で表される化合物を0.01〜5重量部、(d)上記
(c)成分以外の化合物であるヒンダードフェノール系
酸化防止剤(d−1)および/またはイオウ系酸化防止
剤(d−2)を0.01〜4重量部含有してなることを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】本発明の(a)成分は、ポリアミドエラス
トマー(a−1)および/またはポリエステルエラスト
マー(a−2)であリ、ポリエーテルエステルアミドエ
ラストマーなども含まれる。上記ポリアミドエラストマ
ー(a−1)としては、炭素数6以上のアミノカルボン
酸もしくはラクタム、またはm+nが12以上のナイロ
ンmn塩などからなるハードセグメント(X)と、ポリ
オール、例えばポリ(アルキレンオキシド)グリコール
などのソフトセグメント(Y)から構成され、かつエラ
ストマー中に占めるハードセグメント(X)の比率が1
0〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、さらに
好ましくは30〜80重量%のものを挙げることができ
る。ポリアミドエラストマー(a−1)中に占めるハー
ドセグメント(X)の比率が10重量%未満では、本発
明の(b)成分であるスチレン系樹脂との相溶性に劣
り、95重量%を越えると得られる樹脂組成物の帯電防
止性が劣る。
【0006】上記の炭素数6以上のアミノカルボン酸も
しくはラクタム、またはm+nが12以上のナイロンm
n塩などからなるハードセグメント(X)としては、ω
−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノ
カプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリ
ン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカ
ン酸などのアミノカルボン酸;カプロラクタムラウロラ
クタムなどのラクタム類;ナイロン6,6、ナイロン
6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイ
ロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,1
2、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナ
イロン塩が挙げられる。また、ポリオールなどのソフト
セグメント(Y)としては、ポリエチレングリコール、
ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グ
リコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチ
レンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックまたは
ランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフ
ランとのブロックまたはランダム共重合体などが挙げら
れる。これらのソフトセグメント(Y)の数平均分子量
は200〜6,000、好ましくは250〜4,000
である。これらのソフトセグメント(Y)のなかでは、
帯電防止性の観点から、特にポリエチレングリコールが
好ましい。なお、本発明においてはポリ(アルキレンオ
キシド)グリコール(Y)の両末端を、アミノ化または
カルボキシル化して用いてもよい。上記(X)成分と
(Y)成分との結合は、ポリエーテルアミドエラストマ
ー(a)の末端基に対応して、エステル結合またはアミ
ド結合であることができる。さらに、このような結合を
形成する際に、ジカルボン酸やジアミンなどの第3成分
を添加することもできる。
【0007】本発明においては、ポリアミドエラストマ
ー(a−1)として、 炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム
または炭素数6以上のジアミンとジカルボン酸の塩; 数平均分子量が200〜6000のポリエチレング
リコール;または、 炭素数4〜20のジカルボン酸から構成されるポリ
エーテルエステルアミドで、好ましくはポリエーテルエ
ステル単位が10〜95重量%であるポリエーテルアミ
ドを用いると、一段と優れた帯電防止効果を有する熱可
塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0008】これら〜成分のなかで、成分として
は、カプロラクタム、1,2−アミノドデカン酸および
ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ましい。ま
た、成分の数平均分子量が200〜6000、好まし
くは250〜4000の範囲にあると、機械的性質と帯
電防止効果の優れた樹脂組成物が得られる。また、成
分のジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−
4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシ
ル−4,4−ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、
コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびこれ
らのジカルボン酸の混合物などが挙げられ、特にテレフ
タル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、セバシン酸、アジピン酸およびドデカンジカル
ボン酸が重合性、色調および物性の点から好ましく用い
られる。なお、成分であるポリエーテルエステルアミ
ド中のポリエーテルエステル単位が10〜95重量%で
あると、機械的性質および帯電防止性の一段と優れた組
成物が得られる。
【0009】ポリアミドエラストマー(a−1)の還元
粘度ηsp/c(ギ酸溶液中、0.5g/100ml、25
℃で測定)は、好ましくは0.5〜3である。なお、ポ
リアミドエラストマー(a−1)は、本発明の組成物の
製造時および成形加工時の熱劣化によって分子量低下を
生起する場合があるが、最終製品中の還元粘度ηsp/c
0.3以上であることが好ましい。
【0010】ポリエステルエラストマー(a−2)は、
ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物との重縮合、
オキシカルボン酸化合物の重縮合ラクトン化合物の開環
重縮合、あるいはこれらの各成分の混合物の重縮合など
によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステ
ルまたはコポリエステルの何れを用いても本発明の効果
が得られる。上記ジカルボン酸化合物としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、
これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体な
ども含まれる。また、これらのジカルボン酸化合物は、
エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステル
のような低級アルコールエステルの形で使用することも
可能である。本発明においては、これらのジカルボン酸
化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて用いること
ができる。上記ジヒドロキシ化合物としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、
シクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、レゾルシ
ン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサン
ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンなどが挙げられ、ポリオキシアルキレングリコー
ルおよびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン
置換体も含まれる。これらのジヒドロキシ化合物は、単
独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記オキシカルボン酸化合物としては、オキシ安息香
酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸
などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシおよび
ハロゲン置換体も含まれる。これらのオキシカルボン酸
化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。また、ポリエステルエラストマー(a−
2)の製造のために、εーカプロラクトンなどんのラク
トン化合物を用いることもできる。
【0011】本発明の(b)成分であるスチレン系樹脂
は、ゴム質重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビ
ニル化合物あるいは芳香族ビニル化合物およびこれと共
重合可能な他のビニル単量体を重合してなるものであ
る。上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチ
レン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60重量
%が好ましい)、スチレン−イソプレン共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オ
レフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエ
ン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン−アクリル共重
合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック
共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイ
オノマー、シリコンゴムなどが挙げられる。これらのな
かで、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびス
チレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、A
BA型、テーパー型およびラジアルテレブロック型の構
造を有するものが含まれる。また、上記水素化ブタジエ
ン系重合体としては、上記ブロック共重合体の水添物の
ほか、スチレン重合体とスチレン−ブタジエンランダム
共重合体とのブロック体の水添物、ブタジエン部分の
1,2−ビニル結合が20重量%以下のブロックと1,
2−ビニル結合が20重量%を超えるポリブタジエンか
らなるブロック重合体の水添物などが挙げられる。上記
ゴム質重合体の使用量は、(b)成分中0〜90重量%
であり、耐衝撃性の面からは好ましくは3〜70重量
%、さらに好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは
10〜60重量%である。また、上記ゴム質重合体の本
発明の熱可塑性樹脂組成物に対する割合は、耐衝撃性と
流動性のバランスの面から好ましくは5〜25重量%、
さらに好ましくは6〜20重量%程度である。
【0012】また、上記芳香族ビニル化合物としては、
スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ビニ
ルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、
モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、p−t−ブチ
ルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、o−
メチルスチレン、ジメチルスチレンなどが挙げられ、こ
れらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いることが
できる。これらの芳香族ビニル化合物のなかで好ましく
用いられるものはスチレンであり、2種以上の芳香族ビ
ニル化合物を併用する場合も、スチレンを40重量%以
上用いることが好ましい。
【0013】上記の芳香族ビニル化合物と共重合可能な
他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルなどのビニルシアン化合物、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどのア
クリル酸アルキルエステル、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレートなどのメタクリル酸
アルキルエステル、マレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合
物、グリシジルメタリクレート、アリルグリシジルエー
テルなどのエポキシ基含有不飽和化合物、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和
酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸などの不飽和カルボン酸無水物、アクリルアミン、メ
タクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物、
3ーヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−
ブテン、シス−4ーヒドロキシ−2−ブテン、トランス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸
基含有不飽和化合物、およびアクリルアミド、ビニルオ
キサゾリンなどが挙げられ、これらの化合物は単独でま
たは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】上記単量体成分(芳香族ビニル化合物ある
いは芳香族ビニル化合物およびこれと共重合可能な他の
ビニル単量体)として好ましいものは、耐衝撃性の面か
ら芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とからな
る単量体混合物であり、好ましい比率は芳香族ビニル化
合物/シアン化ビニル化合物=80〜60/20〜40
重量%である。上記芳香族ビニル化合物と他のビニル単
量体との(共)重合体は、上記ゴム質重合体の存在下に
重合してもよく、非存在下に重合してもよく、得られた
(共)重合体は、単独で用いることもできるし、組合わ
せて用いることもできる。本発明において用いるスチレ
ン系樹脂(b)は、ゴム質重合体の存在下または非存在
下に上記単量体成分を、公知の重合法である乳化重合、
溶液重合、懸濁重合塊状重合などの重合方法で重合する
ことによって得られる。このとき重合に用いる重合開始
剤、分子量調節剤、乳化剤、分散剤、溶媒などとして
は、通常これらの重合法で用いられているものをそのま
ま用いることができる。
【0015】スチレン系樹脂(b)としては、上記のよ
うにゴム質重合体の存在下に単量体成分をグラフト重合
したものが、耐衝撃性の面から好ましい。また、グラフ
ト率は、好ましくは20〜200重量%である。スチレ
ン系樹脂(b)のアセトン可溶分の固有粘度(メチルエ
チルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.3〜
1.5である。
【0016】本発明の(a)成分であるポリアミドエラ
ストマー(a−1)およびポリエステルエラストマー
(a−2)と、スチレン系樹脂(b)との配合割合は、
本発明の組成物中に2〜60/98〜40重量%、好ま
しくは5〜30/95〜70重量%、さらに好ましくは
7〜25/93〜75重量%、特に好ましくは7〜20
/93〜80重量%である。(a)成分が2重量%未満
で(b)成分が98%を超えると、得られる組成物の帯
電防止性能が劣り、(a)成分が60重量%を超え
(b)成分が40重量%未満では、剛性および熱安定性
が劣る。
【0017】なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物の性能
をさらに向上させるために、本発明の(a)成分と
(b)成分との相溶性を向上させる相溶化剤を使用する
ことができる。好ましい相溶化剤としては、上記(b)
成分の一部に水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸
無水物基、アミノ基、オキサゾリン基などの官能基を含
有するビニル系単量体を共重合したスチレン系樹脂、あ
るいはα−オレフィンとこれらの官能基を含有するビニ
ル系単量体との共重合体などが挙げられる。上記の官能
基のなかでは、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基が
好ましく、特に耐衝撃性および組成物の熱安定性の観点
から水酸基が好ましい。また、このような官能基を含有
す相溶化剤を用いる場合は、(b)成分の単量体成分と
して、芳香族ビニル化合物ならびにメタアクリル酸アル
キルエステルおよび/またはシアン化ビニル化合物に、
上記官能基含有ビニル系単量体を組み合わせたものを用
いるのが好ましい。上記の相溶化剤のなかで、とくに上
記官能基含有ビニル系単量体は、本発明のスチレン系樹
脂(b)に対して好ましくは0.5〜30重量%使用さ
れる。また、上記官能基含有ビニル系単量体の使用量
は、本発明の組成物中に好ましくは0.1〜30重量
%、さらに好ましくは0.3〜20重量%である。
【0018】本発明の(c)成分は、下記一般式(I)
で表される分子内に二重結合を有するフェノール系化合
物である。
【化3】 上記一般式(I)で表されるフェノール系化合物におい
て、R1 およびR3 は炭素数1〜8のアルキル基であ
り、R2 は炭素数1〜8のアルキレン基であるが、本発
明の目的を達成するうえでは、これらの基の炭素数が1
〜5であることが好ましく、さらに好ましくはR1 およ
びR3 が炭素数1〜5のアルキル基で、R 2 が炭素数1
または2のアルキレン基である。特に好ましい化合物
は、一般式(I)中のR1 およびR3 が、
【化4】 で、R2 が、
【化5】 のものである。
【0019】上記(c)成分の添加量は、本発明の
(a)成分と(b)成分の合計100重量部あたり0.
01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜3重量
部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。その
添加量が0.01重量部未満では、得られる樹脂の熱安
定性が劣り、5重量部を超える場合も熱安定性が劣る。
【0020】本発明の(d)成分としては、本発明の
(c)成分以外の化合物であるヒンダードフェノール系
酸化防止剤(d−1)および/またはイオウ系酸化防止
剤(d−2)が使用される。上記(d)成分としては、
本発明の(c)成分を除く公知のフェノール系酸化防止
剤およびイオウ系酸化防止剤の全てを使用することがで
きる。好ましいフェノール系酸化防止剤(d−1)は、
分子量500以上のものであり、具体的にはペンタエリ
スリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−
ビス〔2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1
−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ〔5・5〕ウンデカン、トリエチレングリコール
−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサン
ジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス
−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,
5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジ
ン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−
ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−ヒドロシンマイド)、3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエ
チルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、テトラ
キス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどが挙
げられる。また、好ましいイオウ系酸化防止剤(d−
2)としては、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオ
ネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネー
ト、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、
ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロ
ピオネート)、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピ
オネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙
げられる。
【0021】上記(d)成分は単独で用いてもよく、ま
た2種以上組合わせて用いてもよい。フェノール系酸化
防止剤(d−1)とイオウ系酸化防止剤(d−2)を組
合わせて用いる場合の好ましい比率は、d−1/d−2
=80〜20/20〜80重量%である。本発明の熱可
塑性樹脂組成物における(d)成分の使用量は、本発明
の(a)成分と(b)成分の合計100重量部に対して
0.01〜4重量部であり、好ましくは0.03〜2重
量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部である。
0.01重量部未満では熱安定性が劣り、4.0重量部
を越える場合も熱安定が劣る。
【0022】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い
て各成分を混練することによって得られるが、好ましく
は押出機を用いて製造される。本発明の各成分を混練す
るに当たっては、各成分を一括して混練してもよく、多
段添加方式で混練してもよい。本発明の熱可塑性樹脂組
成物の使用に際しては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊
維、ガラスビーズ、ウォラストナイト、ロックフィラ
ー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラスフレー
ク、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカーなどの充填
材を単独でまたは組合わせて用いることができる。これ
らの充填材の中ではガラス繊維が好ましく、炭素繊維の
形状としては6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊
維長を有するものが好ましい。これらの充填材は、本発
明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して好ましく
は5〜150重量部用いられる。また、本発明の樹脂組
成物は、公知の難燃剤、リン系の酸化防止剤等の他の酸
化防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤などの各種の添加物を
添加して用いることもできる。さらに、要求される性能
に応じて、他の重合体例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン
スルフィド、液晶ポリマー、フッ化ビニリデン重合体、
EVAなどを適宜ブレンドすることもできる。本発明に
よって得られた熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シー
ト押出、真空成形、異形成形、発泡成形、プレス成形、
スタンパブル成形などの成形法によって各種成形品に成
形することができ、その優れた性質を利用して、自動車
分野の各種部品、家電製品の各種部品、ハウジング、雑
貨、OA機器関連分野の各種部品やハウジングなどとし
て使用することができる。
【0023】
【実施例】以下に、本発明を製造例と実施例によりさら
に詳細に説明するが、いずれも例示的なものであって本
発明の内容を限定するものではない。また、実施例中、
部および%はそれぞれ重量部、重量%を示す。
【0024】以下の実施例における各種の物性は、下記
の方法に従って評価した。 (1)帯電防止性;直径100mm、厚み2mmの円板
を成形し、23℃×相対湿度50%で7日間状態調節し
たのち、横河ヒューレット・パッカード社製4329A
型超絶縁抵抗計を用いて表面固有抵抗を測定した。 (2)耐衝撃性;ASTMD256に従って厚み1/4
ノッチ付23℃でアイゾット衝撃強さを測定した。 (3)剛 性;ASTMD790に従って曲げ弾性率
を測定した。 (4)熱安定性−1;表3に示した配合割合で混合し単
軸押出し機(シリンダー設定温度230℃)で、1時間
混練押し出しを行いペレット化した。1時間後の押出し
機ノズルの目ヤニを下記の評価基準で目視評価した。 ○:ほとんど目ヤニが発生していない △:少し目ヤニが発生している ×:目ヤニの発生が多い (5)熱安定性−2;熱安定性−1の評価の際に作製し
たペレットを除湿乾燥機で十分乾燥し、270℃に設定
した射出成形機を用いて5分サイクルで連続して成形
し、平板状の成形品10枚を得た。得られた成形品表面
の黒色異物の数を数え、その数から下記のランクを付け
た。 ○:異物10点以下 △:異物10点〜20点 ×:異物が20点を越える
【0025】(a)成分の調製 重合体(a)−1 εカプロラクタムの開環重合により、融点が200℃の
ポリアミド−6を得た。得られたポリアミド−6の両末
端をアジピン酸によりカルボン酸にしたのち、分子量1
500のポリエチレングリコールを添加してエステル化
反応を行ない重合体(a)−1を得た。重合体(a)−2 テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを縮合重合して
融点が200℃のポリブチレンテレフタレートを得た。
得られたポリブチレンテレフタレートの両末端をアジピ
ン酸によりカルボン酸にしたのち、分子量1500のポ
リエチレングリコールを添加してエステル化反応を行な
い重合体(a)−2を得た。
【0026】重合体(b)の調製 重合体(b)の製造に用いるゴム質重合体として表1の
ものを用いた。
【表1】
【0027】ゴム質重合体(ゴム質重合体−1,ゴム質
重合体−2)の存在下でまたは非存在下で、各種単量体
(スチレン,アクリロニトリル,メタクリル酸,2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート)を重合し、表2に示す
重合体(b)−1〜(b)−5を製造した。なお、重合
体(b)−1,(b)−4および(b)−5は乳化重合
で、また重合体(b)−2および(b)−3は溶液重合
で得た。
【0028】
【表2】
【0029】(c)成分 (c)成分として下記の構造のものを用いた。
【化6】
【0030】(d)成分 (d)成分として下記のものを用いた。 (d)−1:ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕[チバガイギー社製;イルガノックス
1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)] (d)−2:3,9−ビス〔2−〔3−(3−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオ
ニルオキシ〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5・5〕ウンデカン[住友化学株式会社製;スミライ
ザーGA80(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)] (d)−3:ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウ
リルチオプロピオネート)[住友化学株式会社製;スミ
ライザーTP−D(イオウ系酸化防止剤)]
【0031】実施例1〜11;比較例1〜6:上記各種
重合体を、水分量0.1%以下に乾燥し、上記各種成分
を表3および表4に示す配合割合で混合し、ベント付き
二軸押出し機を用い溶融混練りし、ペレット化した。得
られたペレットを除湿乾燥機で水分量0.1%以下にな
るまで乾燥し、このペレットを射出成形機により成形し
て試験片を作製した。得られた試験片について、帯電防
止性、耐衝撃性、剛性および熱安定性を評価し、その結
果を表3および表4に示した。
【0032】
【表3】
【表4】
【0033】表3および表4に示す結果から、実施例1
〜11の組成物は、帯電防止性、耐衝撃性、剛性および
熱安定性が優れていることが判る。さらに、熱安定性−
1および熱安定性−2の評価結果から、実施例1〜11
の組成物はすべて混練押出し機等による生産時における
熱劣化を防止することにより、目ヤニや異物などの発生
が抑制されていることが判る。
【0034】これに対して、比較例1の組成物は、
(c)成分の使用量が本発明の範囲未満のものであり、
熱安定性が劣っている。また、比較例2の組成物は、
(c)成分の使用量が本発明の範囲を越えているもので
あり、熱安定性が劣っている。一方、比較例3の組成物
は、(d)成分の使用量が本発明の範囲未満のものであ
り、熱安定性が劣っている。また、比較例4の組成物
は、(d)成分の使用量が本発明の範囲を越えているも
のであり、熱安定性が劣っている。さらに、比較例5の
組成物は、(a)成分の使用量が本発明の範囲未満で、
(b)成分の使用量が本発明の範囲を越えているもので
あり、帯電防止性能が劣っている。そして、比較例6の
組成物は、(a)成分の使用量が本発明の範囲を越えて
おり、(b)成分の使用量が本発明の範囲未満のもので
あり、剛性と熱安定性が劣っている。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、剛性、帯電防止性、耐
衝撃性および熱安定性が優れた熱可塑性樹脂組成物が得
られる。さらに、本発明によれば、熱安定性を改良し
て、混練押出し機による長期生産時などの熱劣化を防止
することにより、目ヤニや異物の発生を抑制することが
できる。すなわち本発明の熱可塑性樹脂組成物は、剛
性、帯電防止性および耐衝撃性を低下させることなく、
熱安定性を改良したものである。以上述べたように、本
発明の熱可塑性樹脂組成物は剛性、帯電防止性、耐衝撃
性および熱安定性が優れているため、ホコリ付着性また
は静電気障害防止が要求される電気・電子関連分野、家
電分野、OA機器分野の各種部品やハウジングなどとし
て好ましく使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 LPA 8933−4J 77/00 LQS 9286−4J (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 岩田 元夫 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリアミドエラストマーおよび/ま
    たはポリエステルエラストマー2〜60重量%と、 (b)ゴム質重合体の存在下または非存在下に、芳香族
    ビニル化合物あるいは芳香族ビニル化合物および芳香族
    ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合し
    て得られるスチレン系樹脂98〜40重量%とからなる
    合計100重量部に対して、 (c)下記一般式(I): 【化1】 で表される化合物を0.01〜5重量部、 (d)上記(c)成分以外の化合物であるヒンダードフ
    ェノール系酸化防止剤および/またはイオウ系酸化防止
    剤を0.01〜4重量部含有してなることを特徴とする
    熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998042783A1 (fr) * 1997-03-25 1998-10-01 Tokyo Electron Limited Composants electroniques et/ou electriques utilises en salle blanche et appareil de traitement de substrat
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JPWO2015194583A1 (ja) * 2014-06-19 2017-04-20 東洋紡株式会社 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物
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