JP2012177088A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなる共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物。(A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。(B)ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。
【選択図】なし
Description
(1)ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
(A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。
(B)ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。
(2)電子顕微鏡で観察される熱可塑性樹脂組成物断面の相構造が、ポリカーボネート樹脂(I)が連続相で、グラフト共重合体(II)およびビニル共重合体(III)がそれぞれ分散相であることを特徴とする、(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)ビニル系共重合体(III)の、メチルエチルケトン溶媒、30℃、ウベローデ粘度計で測定される固有粘度が0.35〜0.50dl/gの範囲にあることを特徴とする、(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)グラフト共重合体(II)がジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)26〜43重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)9〜17重量%をグラフト重合してなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)ジエン系ゴム質重合体(ア)が、重量平均粒子径200〜400nmと450〜1200nmの2種類のジエン系ゴム質重合体を含み、その重量比率が90:10〜50:50の範囲にあることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
・グラフト率(%)=[ジエン系ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系重合体量]/[グラフト共重合体のゴム含有量]×100。
グラフト共重合体の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥し、その重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率である。
・グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
ビニル系共重合体(III)の固有粘度について、ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.2g,0.4g/dlのメチルエチルケトン溶液より測定し、固有粘度を導出した。
ビニル系共重合体(III)について、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)により求めた。
ビニル系共重合体(III)各試料2gを80mlのメチルエチルケトンに溶解し、そこへシクロヘキサンを添加していき、沈殿したシアン化ビニル系共重合体を真空乾燥して重量を測定し、そのシアン化ビニル系共重合体のシアン化ビニル含有率を上記(3)と同様に赤外分光分析の吸光度比より求めた。そして、累積重量%とシアン化ビニル含有率をプロットし、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合(%)を求めた。
ISO1133(温度300℃、1.2Kg荷重条件で測定)に準拠してポリカーボネートのメルトボリュームレートを測定した。
メルトフローレート:ISO1133(温度240℃、98N荷重条件で測定)に準じて測定した。
シャルピー衝撃強度:ISO179(ノッチ有)に準拠して測定した。
射出成形により得られたJIS―5Aダンベル型試験片またはASTM1号ダンベル型試験片の断面方向中心部を、ウルトラミクロトーム(RICA社製 ReichertULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製し、四酸化ルテニウムで電子染色した。こうして作製した試料の相構造について透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JEM−1400)を用いて観察した。観察された相構造において、図1に見られるような相構造が見られた場合は○と判定し、上記以外の相構造が見られた場合は×と判定した。
(I−1)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが8cm3/10分の帝人化成社製の“パンライト”L−1250を使用した。
実施例に使用するグラフト共重合体(II)として、グラフト共重合体(II−1)〜(II−16)を以下の通り準備した。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(II−1)を調製した。グラフト率は42%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)52重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン35重量部とアクリロニトリル13重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−2)を調製した。グラフト率は39%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン29重量部とアクリロニトリル11重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−3)を調製した。グラフト率は37%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率55:45)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−4)を調製した。グラフト率は19%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−5)を調製した。グラフト率は24%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率85:15)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−6)を調製した。グラフト率は28%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと1100nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−7)を調製した。グラフト率は23%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと500nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−8)を調製した。グラフト率は25%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径300nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−9)を調製した。グラフト率は24%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径250nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−10)を調製した。グラフト率は26%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)52重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン35重量部とアクリロニトリル13重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−11)を調製した。グラフト率は20%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン29重量部とアクリロニトリル11重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−12)を調製した。グラフト率は18%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率45:55)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−13)を調製した。グラフト率は16%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−14)を調製した。グラフト率は40%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径150nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−15)を調製した。グラフト率は23%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと1300nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−16)を調製した。グラフト率は22%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)35重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン47重量部とアクリロニトリル18重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−17)を調製した。グラフト率は48%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)70重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン22重量部とアクリロニトリル8重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−18)を調製した。グラフト率は55%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)35重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン47重量部とアクリロニトリル18重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.1重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−19)を調製した。グラフト率は51%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)70重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン22重量部とアクリロニトリル8重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.6重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−20)を調製した。グラフト率は11%であった。
実施例に使用するビニル系共重合体(III)として、ビニル系共重合体(III−1)〜(III−6)を以下の通り準備した。
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に16重量部のアクリロニトリル、84重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から2時間後に50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−1)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−1)の固有粘度は0.44dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は15重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は30重量%であった。
アクリロニトリルを20重量部、スチレン80重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−2)の固有粘度は0.42dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は35重量%であった。
アクリロニトリルを24重量部、スチレンを76重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−3)の固有粘度は0.42dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は23重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は45重量%であった。
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に10重量部のアクリロニトリル、40重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から45分後に10重量部のアクリロニトリルと40重量部のスチレンを約40分かけて添加しながら重合を進め、共重合開始から2時間後に50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−4)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−4)の固有粘度は0.43dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は15重量%であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.82重量部とする以外はビニル系共重合体(III−2)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−5)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−5)の固有粘度は0.30dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は28重量%であった。
t−ドデシルメルカプタンを0.25重量部とする以外はビニル系共重合体(III−2)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−6)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−6)の固有粘度は0.60dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は30重量%であった。
アクリロニトリルを28重量部、スチレンを72重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−7)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−7)の固有粘度は0.40dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は27重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は32重量%であった。
アクリロニトリルを12重量部、スチレンを88重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−8)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−8)の固有粘度は0.48dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は11重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は44重量%であった。
予熱機および脱モノマ機からなる連続塊状重合装置を用い、スチレン80重量部、アクリロニトリル20重量部からなる単量体混合物に0.30重量部のn−オクチルメルカプタンを加え、135kg/時で連続塊状重合させた。重合反応混合物は、単軸押出機型脱モノマ機により未反応の単量体をベント口より減圧蒸発回収し、一方の脱モノマ機からビニル系共重合体(III−9)を調整した。得られたビニル系共重合体(III−9)の固有粘度は0.41dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は8重量%であった。
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。10重量部のアクリロニトリルと80重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。重合開始から2時間後に10重量部のアクリロニトリルを加えて重合を継続し、50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−10)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−10)の固有粘度は0.48dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は55重量%であった。
参考例に記載のポリカーボネート樹脂(I)、グラフト共重合体(II)、ビニル系共重合体(III)を、表1〜3に示した比で配合後、ブレンダーにて1分間攪拌し、該混合物をスクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(池貝鉄工株式会社製“PCM−30”、温度範囲:240〜250℃)で溶融混練を行い、ダイスノズルから吐出した溶融樹脂は水槽を介してカッターに引き取ってカッティングし、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを各物性評価に適するように、成形機(住友重機工業社製SE50DU射出成形機、成形温度250℃、金型温度60℃)にて試験片を作成して評価を行った。
2 グラフト共重合体(II)
3 ビニル系共重合体(III)
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
(A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。
(B)ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。 - 電子顕微鏡で観察される熱可塑性樹脂組成物断面の相構造が、ポリカーボネート樹脂(I)が連続相で、グラフト共重合体(II)およびビニル共重合体(III)がそれぞれ分散相であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系共重合体(III)の、メチルエチルケトン溶媒、30℃、ウベローデ粘度計で測定される固有粘度が0.35〜0.50dl/gの範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(II)がジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)26〜43重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)9〜17重量%をグラフト重合してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ジエン系ゴム質重合体(ア)が、重量平均粒子径200〜400nmと450〜1200nmの2種類のジエン系ゴム質重合体を含み、その重量比率が90:10〜50:50の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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