JP2012177088A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】高い流動性と高い耐衝撃性とを併せ持つ、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなる共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物。(A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。(B)ビニル系共重合体(III)の平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い流動性と高い耐衝撃性とを併せ持つ、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性に優れていることから、自動車分野、家電分野、OA機器分野、建材分野をはじめとする多岐の分野にわたって幅広く使用されている。一方、ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン樹脂は、優れた加工性、機械的特性を有していることから、自動車分野、家電分野、OA機器分野など広範な分野において、各種構成部材の成形材料として使用されている。ポリカーボネート樹脂は、ゴム強化スチレン樹脂と比較して射出成形時の成形加工性、二次加工性に劣ることから、ポリカーボネート樹脂の欠点を補う目的で、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂を溶融混合したアロイ化されることが一般的である。ところが、ポリカーボネート樹脂/ゴム強化スチレン樹脂アロイは、ゴム強化スチレン樹脂の耐衝撃性をさらに改善する目的は果たされるが、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂の相溶性が低いため、成形加工性がゴム強化スチレン樹脂と比較して大幅に低下するということが知られている。
そのため、ポリカーボネート樹脂/ゴム強化スチレン樹脂アロイの耐衝撃性を損なわず、流動性を改善する試みが以下の如く為されてきた。
特許文献1では、ゴム成分の多いABS樹脂とポリカーボネート樹脂の組合せで、実施例ではABS樹脂を50重量%以上使用した組成物が開示されている。この組成物では、ポリカーボネートの流動性でABSの耐衝撃性であることから、実用性において非常に不十分なものであった。
特許文献2では、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイにおけるポリカーボネート樹脂とABS樹脂の相溶性を上げるため、双方のSP値に近いAS樹脂を相溶化剤として添加した樹脂組成物が開示されている。これは、相溶性が改善されたため、ABS樹脂よりも衝撃性が改善されているものの、樹脂の流動性は不十分なものであった。
特許文献3では、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイにおけるポリカーボネート樹脂とABS樹脂の相溶性を上げるため、ポリカーボネートとAS樹脂をグラフト重合し相溶化剤を生成させ、相溶を上げるというものであった。これは、相溶性が改善されたため、ABS樹脂よりも衝撃性が改善されているものの、樹脂の流動性は不十分であり、かつ相溶化剤の製造方法が一般的で無いため、効果があったとしても実用上問題があった。
特許文献4では、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイの成形品の表面外観、良流動、高衝撃をバランスさせるため、ABS樹脂成分中のブタジエンゴム粒子径の細かいものを用いて達成することが開示されている。しかし、粒子径が細かいブタジエンゴムを用いたことから、表面外観は好ましいが、耐衝撃性の点で不十分なものであった。
特許文献5,6は、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイで、ABS樹脂のゴム成分をポリカーボネート樹脂の屈折率に近づけることで、半透明性と流動性、衝撃性をバランスさせる特許が開示されている。しかし、半透明性が発現しているが、着眼点が流動性、衝撃性にはなく、これらの特性は既存のポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイの特性の域を出ないものであった。
特開平6−345955号公報 特開平8−34915号公報 特開平10−147703号公報 特開平11−209557号公報 特開2006−328355号公報 特開2007−254507号公報
本発明は、高い流動性と高い耐衝撃性とを併せ持つ、ポリカーボネート樹脂とゴム強化スチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のグラフト共重合体、特定のシアン化ビニル系共重合体を含有してなるゴム強化スチレン樹脂とポリカーボネート樹脂を配合することにより、ポリカーボネート樹脂と同等の耐衝撃性でありながら、抜群に高い流動性を確保できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)で構成される。
(1)ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
(A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。
(B)ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。
(2)電子顕微鏡で観察される熱可塑性樹脂組成物断面の相構造が、ポリカーボネート樹脂(I)が連続相で、グラフト共重合体(II)およびビニル共重合体(III)がそれぞれ分散相であることを特徴とする、(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)ビニル系共重合体(III)の、メチルエチルケトン溶媒、30℃、ウベローデ粘度計で測定される固有粘度が0.35〜0.50dl/gの範囲にあることを特徴とする、(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)グラフト共重合体(II)がジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)26〜43重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)9〜17重量%をグラフト重合してなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)ジエン系ゴム質重合体(ア)が、重量平均粒子径200〜400nmと450〜1200nmの2種類のジエン系ゴム質重合体を含み、その重量比率が90:10〜50:50の範囲にあることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、高い流動性と高い耐衝撃性を兼備することから、従来成形できなかった大型成形品や複雑形状成形品、薄肉成形品を射出成形によって得ることができるため、製品の大型化や形状の複雑化に適応できるだけでなく、薄肉化によって製品のコストダウンに繋げることができる。
実施例1で得られた組成物の相構造を示す電子顕微鏡写真をもとにした模式図である。 比較例5で得られた組成物の相構造を示す電子顕微鏡写真をもとにした模式図である。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物とその成形品について、具体的に説明する。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(I)とは、一般式1で表される繰り返し構造単位を有する樹脂である。
Figure 2012177088
(式中、Zは炭素数2〜5の置換あるいは非置換のアルキリデン基、シクロヘキシリデン基、酸素原子、硫黄原子またはスルホニル基を表す。R、R、R、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)。
ポリカーボネート樹脂(I)は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲンで代表的に例示されるカーボネート前駆体との反応によって得られる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと記載することがある。)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中で好ましいのは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、特に好ましいのは、ビスフェノールAである。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類でも2種類以上を組み合わせ、共重合されたものを用いてもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。中でもホスゲンが好ましく用いられることが多い。これらカーボネート前駆体もまた1種類でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(I)の製造法は、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法によって製造することができる。製造方法としては、界面重合法(ホスゲン法)、溶融エステル交換法、溶液重合法(ピリジン法)、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等を挙げることができる。
代表的な製造方法として界面重合法による製造方法を例示する。反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお反応温度は例えば、0〜40℃で、反応時間は例えば2〜5時間である。
ここで、界面重合に適用できる有機溶媒としては、界面重合反応に不活性であり、水と混ざり合わず、ポリカーボネート樹脂を溶解することができればいかなるものでも使用できる。例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物やフェニルクロロフォルメートが挙げられる。一価のフェノール性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは0.1〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(I)は、必須樹脂成分全体を100重量部とした場合、40〜75重量部の範囲にあり、好ましくは50〜70重量部、より好ましくは55〜65重量部である。ポリカーボネート樹脂(I)の添加量が40重量部を下回った場合には、流動性は優れるものの、耐衝撃性と耐熱性が低下し好ましくない。一方、添加量が75重量部を超えて使用した場合には、耐衝撃性、耐熱性は優れるものの、射出成形時の流動性が不足し、成形できない製品が発生するため好ましくない。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(I)のメルトボリュームレートは、特に限定されることなく、いかなるものでも使用することができる。ただし、ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが8〜13cm/10分の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、メルトボリュームレートが8〜12cm/10分、より好ましくは、8〜11cm/10分である。300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが8cm/10分以下ものを使用すると、耐衝撃性、耐熱性は優れるものの射出成形時の流動性が不足し、成形できない製品が発生することがある。一方、メルトボリュームレートが13cm/10分を超えるものを使用すると流動性に優れるものの、耐衝撃性と耐熱性が低下することがある。
本発明で用いられるグラフト共重合体(II)は、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなる。
グラフト共重合体(II)に用いることができるジエン系ゴム質重合体(ア)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、その下限値は実用上−80℃程度である。使用できるジエン系ゴム質重合体を例示すると、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびアクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などが挙げられるが、なかでも、ポリブタジエンが好ましく用いられる。
ジエン系ゴム質重合体(ア)の重量平均粒子径は特に制限はないが、100〜1200nmであることが好ましく、200〜1200nmであることがより好ましい。ジエン系ゴム質重合体(ア)として重量平均粒子径が100nmに満たないものを使用すると、耐衝撃性が低下することがあり、一方、重量平均粒子径が1200nmを超えるものを使用する場合には、流動性が低下することがある。
また、ジエン系ゴム質重合体(ア)としては、耐衝撃性と流動性との両立の観点から、重量平均粒子径が200〜400nmの低粒子径のものと、重量平均粒子径が450〜1200nmの高粒子径のものの2種類のジエン系ゴム質重合体を併用することが好ましく、より好ましくは重量平均粒子径が280〜400nmのものと600〜1200nmのものの併用、さらに好ましくは重量平均粒子径が320〜380nmのものと700〜1100nmのものの併用である。
さらに、前述のとおりジエン系ゴム質重合体(ア)を2種類用いる場合、耐衝撃性と流動性の観点から、低粒子径のものと高粒子径のものの重量比率が、90:10〜50:50の範囲にあることが好ましく、より好ましくは80:20〜60:40、さらに好ましくは75:25〜65:35の範囲である。
なお、ジエン系ゴム質重合体(ア)の重量平均粒子径は、「Rubbaer Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt,P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。)により測定することができる。
グラフト共重合体(II)におけるジエン系ゴム質重合体(ア)の重量分率は、40〜65重量%に調整することが必要であるが、好ましいジエン系ゴム質重合体(ア)の重量分率は、40〜60重量%であり、さらに好ましくは40〜50重量%である。重量分率が40重量%未満では耐衝撃性が低下し、一方、65重量%を超えると流動性が低下するといった成形加工性が損なわれることがあり好ましくない。
単量体混合物に含まれる芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく採用される。
単量体混合物に含まれるシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
その他、単量体混合物には本発明の効果を失わない程度に芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)と共重合可能な他のビニル系単量体(エ)が含まれうる。他のビニル系単量体の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができ、これらは単独でも複数でも用いることが可能である。なお、耐熱性や難燃性をさらに向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
グラフト共重合体(II)における芳香族ビニル系単量体(イ)の重量分率は、26〜43重量%が好ましく、より好ましくは30〜41重量%、特に好ましくは35〜41重量%である。芳香族ビニル系単量体(イ)の重量分率が26重量%を下回る場合には、着色することがあり、一方、43重量%を超える量使用する場合にはグラフト重合がしにくく、グラフト率が低下することがあり、耐衝撃性が低下することがある。
グラフト共重合体(II)におけるシアン化ビニル系単量体(ウ)の重量分率は、9〜17重量%が好ましく、より好ましくは10〜16重量%、さらに好ましくは12〜16重量%である。シアン化ビニル系単量体(ウ)の重量分率が9重量%を下回る場合には、重合がしにくく、グラフト率が低下することがあり、樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり、17重量%超える量使用する場合には、樹脂組成物が着色することがある。
グラフト共重合体(II)のグラフト率は、いかなるものでも使用することができる。耐衝撃性と流動性のバランスから、グラフト率は7〜30%が好ましく、より好ましくは20〜28%、さらに好ましくは22〜26%である。グラフト率(%)は、次式で示される。
・グラフト率(%)=[ジエン系ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系重合体量]/[グラフト共重合体のゴム含有量]×100。
本発明で用いられるグラフト共重合体(II)は、必須樹脂成分全体を100重量部とした場合、10〜25重量部の範囲にあり、好ましくは13〜22重量部、より好ましくは15〜20重量部である。グラフト共重合体の添加量が10重量部を下回った場合には、樹脂組成物の流動性は優れるものの、耐衝撃性が低下し好ましくない。一方、25重量部を越えて使用する場合、流動性が低下することがあり好ましくない。
本発明で用いられるビニル系共重合体(III)は、芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合して得られたものである(特徴(A))。芳香族ビニル系単量体(エ)が74重量%を下回る場合には、ポリカーボネート樹脂(I)との相溶性が低下し、一方、85重量%を超える場合には、グラフト共重合体(II)との相溶性の低下により耐衝撃性が低下してしまうため、好ましくない。好ましくは、芳香族ビニル系単量体(エ)74〜83重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)17〜26重量%、より好ましくは、芳香族ビニル系単量体(エ)74〜80重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)20〜26重量%である。
ビニル系共重合体(III)の構成成分である芳香族ビニル系単量体(エ)としては、前述のグラフト共重合体(II)での芳香族ビニル系単量体(イ)と同様に、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。好ましくはスチレンが用いられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
ビニル系共重合体(III)の構成成分であるシアン化ビニル系単量体(オ)としては、前述のグラフト共重合体(II)でのシアン化ビニル系単量体(ウ)と同様に、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
また、グラフト共重合体(II)と同様に、ビニル系共重合体(III)においても本発明の効果を失わない程度に芳香族ビニル系単量体(エ)およびシアン化ビニル系単量体(オ)と共重合可能な他のビニル系単量体を用いても良い。他のビニル系単量体の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができ、これらは単独でも複数でも用いることが可能である。耐熱性や難燃性をさらに向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるビニル系共重合体(III)は、シアン化ビニル単量体の組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在することが必要であり(特徴(B))、15〜45重量%存在することが好ましく、25〜40重量%存在することがより好ましい。ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニル単量体の組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体が10重量%未満の割合でビニル系共重合体(III)中に含まれる場合、グラフト共重合体(II)との相溶性が低下し、一方、50重量%を超える場合には、ポリカーボネートとの相溶性が低下し、いずれも樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり好ましくない。
ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニル単量体の組成分布は、ビニル系共重合体(III)のメチルエチルケトン溶液にシクロヘキサンを添加していき、分別沈殿したシアン化ビニル系共重合体を乾燥し、重量を測定した後、赤外分光光度計によりシアン化ビニル単量体含有率を求めることにより得られ、ビニル系共重合体(III)における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の存在比率は、赤外分光光度計で得られた組成分布より求めることができる(実施例参照。)。
本発明で用いられるビニル系共重合体(III)は、メチルエチルケトン溶媒、30℃、ウベローデ粘度計で測定される固有粘度が0.35〜0.50dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.37〜0.48dl/g、更に好ましくは0.40〜0.45dl/gの範囲である。固有粘度が0.35dl/gを下回る場合には、耐衝撃性が低下することがあり、一方、0.50dl/gを超える場合には流動性が低下することがある。
本発明で用いられるビニル系共重合体(III)は、必須樹脂成分全体を100重量部とした場合、15〜35重量部の範囲であり、好ましくは17〜28重量部、より好ましくは20〜25重量部である。ビニル系共重合体(III)の添加量が15重量部を下回った場合には、流動性が低下し好ましくない。一方、35重量部を越えて使用する場合、衝撃が低下し好ましくない。
本発明において、グラフト共重合体(II)、ビニル系共重合体(III)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明において、グラフト共重合体(II)、ビニル系共重合体(III)の重合に使用される開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物などが好適に用いられる。
過酸化物の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサンが、特に好ましく用いられる。
また、アゾ系化合物の具体例としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、および2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。なかでもアゾビスイソブチロニトリルが特に好ましく用いられる。
これらの開始剤を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用される。
重合を行うに際しては、グラフト共重合体(II)、ビニル系共重合体(III)の重合度調節を目的として、メルカプタンやテルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンおよびテルピノレンなどが挙げられる。なかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびn−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤を使用する場合は、1種または2種以上を併用して使用される。
また、本発明で使用されるビニル系共重合体(III)について、前述の特徴(A)および(B)を満足させる場合の製造方法としては、例えば、特許第3141707号公報に開示される水系懸濁重合法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物では、グラフト共重合体(II)が弱アルカリ性を呈することがあり、本発明の構成成分のポリカーボネート樹脂(I)のアルカリ分解、熱分解を防ぐ目的で、酸性化合物をグラフト重合体製造時や樹脂組成物を生産するための溶融混錬時に添加することができる。本発明で使用することができる酸性化合物には、特に制限は無いが、使用できる化合物を具体的に例示すると、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、イタコン酸、安息香酸、安息香酸メチル、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウムであり、より好ましくは、リン酸、リン酸二水素ナトリウムである。上記の様に例示した酸性化合物は、必ずしも1種で使用する必要は無く、複数種併用して使用することもできる。
酸性化合物の添加量は、目安として(I)〜(III)の合計100重量部に対し1.0重量部以内が好ましい。1.0重量部以上使用する場合には、アルカリ成分の中和は十分になされるが、射出成形品の表面が荒れ、外観を損なうことがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で、異なる樹脂成分をブレンドして使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンに代表されるポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン4,6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン11などのポリアミド樹脂、その他PPS樹脂、ポリアセタール樹脂、結晶性スチレン樹脂、PPE樹脂など目的に応じて使用することができる。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の耐衝撃改良材を使用することができる。使用することができる耐衝撃改良材としては、天然ゴム、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体などのエチレン系エラストマ、ポリエチレンテレフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などのポリエステルエラストマ、MBSまたはアクリル系のコアシェルエラストマ、スチレン系エラストマが例示される。これらは、必ずしも1種類で使用する必要はなく、2種類以上混合して使用することもできる。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、無機充填剤を添加することも可能である。無機充填剤の種類としては、ガラス繊維が好ましく使用することができる。また、無機充填材の形状としては、繊維状、板状、粉末状、粒状などのいずれの形状であってもよい。具体的には、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。特にガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。なお、上記無機充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。無機充填材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、公知の艶消し改良材を使用することができる。使用することができる艶消し改良材としては、不飽和ニトリル-共役ジエン形共重合体ゴムであるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ゴム等、及びこれらのゴム中の共役ジエン単位を水素化したゴムなどが例示される。また、不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムと併用してもよい他のゴムは、硫黄加硫系や有機過酸化物加硫系等のゴム工業で常用される架橋剤で架橋出来るゴムである。その具体例として、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(ランダム、ブロック)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴムなどの共役ジエン系重合体ゴム及びその水素化物、EPDM等が例示される。
また、本発明の特性を損なわない範囲で、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、構成する各樹脂成分を溶融混合して得ることができる。溶融混合方法に関しては、特に制限は無いが、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常230〜320℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でも良い。
前述の溶融混合によって得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物の断面の相構造を電子顕微鏡で観察した場合、図1に示されるように連続相がポリカーボネート樹脂(I)で、グラフト共重合体(II)およびビニル系共重合体(III)がそれぞれ分散相であることが耐衝撃性の観点から好ましい。相構造の状態は四酸化ルテニウムによる電子染色によって確認される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法については特に限定されないが、射出成形により好適に成形される。射出成形は、好ましくは240〜300℃の通常成形する温度範囲で実施することができる。また、射出成形時の金型温度は、好ましくは30〜80℃の通常成形に使用される温度範囲である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性と耐衝撃性を併せ持つので、大型または形状の複雑な成形品に好適である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、自動車内装用のパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、コンソールシャッター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどに好適に使用できるだけでなく、これまで検討すらされずにいる自動車用の外装材、すなわちリアスポイラー、ドアミラー、ルーフ、フェンダー、バンパーなどへも応用することができる。また電気電子用途、OA機器用途、住宅・建材用途にも好適に使用することができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではなく、種々の変形が可能である。
熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方法は以下の通りである。
(1)グラフト率
グラフト共重合体の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥し、その重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率である。
・グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
(2)固有粘度
ビニル系共重合体(III)の固有粘度について、ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.2g,0.4g/dlのメチルエチルケトン溶液より測定し、固有粘度を導出した。
(3)平均シアン化ビニル含有率
ビニル系共重合体(III)について、加熱プレスにより40μm程度のフィルム状にし、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学株式会社製、“FT/IR4100”)により求めた。
(4)シアン化ビニル組成分布
ビニル系共重合体(III)各試料2gを80mlのメチルエチルケトンに溶解し、そこへシクロヘキサンを添加していき、沈殿したシアン化ビニル系共重合体を真空乾燥して重量を測定し、そのシアン化ビニル系共重合体のシアン化ビニル含有率を上記(3)と同様に赤外分光分析の吸光度比より求めた。そして、累積重量%とシアン化ビニル含有率をプロットし、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上の割合(%)を求めた。
(5)メルトボリュームレート
ISO1133(温度300℃、1.2Kg荷重条件で測定)に準拠してポリカーボネートのメルトボリュームレートを測定した。
(6)流動性
メルトフローレート:ISO1133(温度240℃、98N荷重条件で測定)に準じて測定した。
(7)衝撃性
シャルピー衝撃強度:ISO179(ノッチ有)に準拠して測定した。
(8)荷重たわみ温度:ISO75(1.8MPa荷重)に準拠して測定した。
(9)透過型電子顕微鏡による相構造観察
射出成形により得られたJIS―5Aダンベル型試験片またはASTM1号ダンベル型試験片の断面方向中心部を、ウルトラミクロトーム(RICA社製 ReichertULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製し、四酸化ルテニウムで電子染色した。こうして作製した試料の相構造について透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JEM−1400)を用いて観察した。観察された相構造において、図1に見られるような相構造が見られた場合は○と判定し、上記以外の相構造が見られた場合は×と判定した。
(参考例1)ポリカーボネート樹脂(I)
(I−1)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが8cm/10分の帝人化成社製の“パンライト”L−1250を使用した。
(I−2)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが10cm/10分の三菱エンジニアリングプラスチックス社製の“ユーピロン”S−2000を使用した。
(I−3)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが12cm/10分の出光興産社製“タフロン”A2200を使用した。
(I−4)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが6cm/10分の三菱エンジニアリングプラスチックス社製の“ユーピロン”S−1000を使用した。
(I−3)ISO 1133に準拠した300℃×荷重1.2Kgのメルトボリュームレートが19cm/10分の出光興産社製“タフロン”A1900を使用した。
(参考例2)グラフト共重合体(II)
実施例に使用するグラフト共重合体(II)として、グラフト共重合体(II−1)〜(II−16)を以下の通り準備した。
グラフト共重合体(II−1)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(II−1)を調製した。グラフト率は42%であった。
グラフト共重合体(II−2)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)52重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン35重量部とアクリロニトリル13重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−2)を調製した。グラフト率は39%であった。
グラフト共重合体(II−3)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nm)60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン29重量部とアクリロニトリル11重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−3)を調製した。グラフト率は37%であった。
グラフト共重合体(II−4)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率55:45)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−4)を調製した。グラフト率は19%であった。
グラフト共重合体(II−5)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−5)を調製した。グラフト率は24%であった。
グラフト共重合体(II−6)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率85:15)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−6)を調製した。グラフト率は28%であった。
グラフト共重合体(II−7)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと1100nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−7)を調製した。グラフト率は23%であった。
グラフト共重合体(II−8)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと500nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−8)を調製した。グラフト率は25%であった。
グラフト共重合体(II−9)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径300nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−9)を調製した。グラフト率は24%であった。
グラフト共重合体(II−10)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径250nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−10)を調製した。グラフト率は26%であった。
グラフト共重合体(II−11)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)52重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン35重量部とアクリロニトリル13重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−11)を調製した。グラフト率は20%であった。
グラフト共重合体(II−12)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)60重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン29重量部とアクリロニトリル11重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−12)を調製した。グラフト率は18%であった。
グラフト共重合体(II−13)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率45:55)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−13)を調製した。グラフト率は16%であった。
グラフト共重合体(II−14)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−14)を調製した。グラフト率は40%であった。
グラフト共重合体(II−15)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径150nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−15)を調製した。グラフト率は23%であった。
グラフト共重合体(II−16)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと1300nmの2種併用、重量比率70:30)45重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン40重量部とアクリロニトリル15重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.5重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−16)を調製した。グラフト率は22%であった。
比較例に使用するグラフト共重合体(II)として、グラフト共重合体(II−17)〜(II−20)を以下の通り準備した。
グラフト共重合体(II−17)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)35重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン47重量部とアクリロニトリル18重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−17)を調製した。グラフト率は48%であった。
グラフト共重合体(II−18)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径800nm)70重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン22重量部とアクリロニトリル8重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.2重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−18)を調製した。グラフト率は55%であった。
グラフト共重合体(II−19)
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)35重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン47重量部とアクリロニトリル18重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.1重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−19)を調製した。グラフト率は51%であった。
グラフト共重合体(II−20)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径350nmと800nmの2種併用、重量比率70:30)70重量部(固形分換算)の存在下で、スチレン22重量部とアクリロニトリル8重量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタンを0.6重量部加えて、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、グラフト共重合体(II−1)と同様の工程によりグラフト共重合体(II−20)を調製した。グラフト率は11%であった。
(参考例3)ビニル系共重合体(III)
実施例に使用するビニル系共重合体(III)として、ビニル系共重合体(III−1)〜(III−6)を以下の通り準備した。
ビニル系共重合体(III−1)
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に16重量部のアクリロニトリル、84重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から2時間後に50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−1)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−1)の固有粘度は0.44dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は15重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は30重量%であった。
ビニル系共重合体(III−2)
アクリロニトリルを20重量部、スチレン80重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−2)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−2)の固有粘度は0.42dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は35重量%であった。
ビニル系共重合体(III−3)
アクリロニトリルを24重量部、スチレンを76重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−3)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−3)の固有粘度は0.42dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は23重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は45重量%であった。
ビニル系共重合体(III−4)
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に10重量部のアクリロニトリル、40重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。共重合開始から45分後に10重量部のアクリロニトリルと40重量部のスチレンを約40分かけて添加しながら重合を進め、共重合開始から2時間後に50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−4)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−4)の固有粘度は0.43dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は15重量%であった。
ビニル系共重合体(III−5)
t−ドデシルメルカプタンを0.82重量部とする以外はビニル系共重合体(III−2)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−5)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−5)の固有粘度は0.30dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は28重量%であった。
ビニル系共重合体(III−6)
t−ドデシルメルカプタンを0.25重量部とする以外はビニル系共重合体(III−2)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−6)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−6)の固有粘度は0.60dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は30重量%であった。
比較例に使用するビニル系共重合体(III)として、ビニル系共重合体(III−7)〜(III−10)を以下の通り準備した。
ビニル系共重合体(III−7)
アクリロニトリルを28重量部、スチレンを72重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−7)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−7)の固有粘度は0.40dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は27重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は32重量%であった。
ビニル系共重合体(III−8)
アクリロニトリルを12重量部、スチレンを88重量部とする以外はビニル系共重合体(III−1)と同様の工程によりビニル系共重合体(III−8)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−8)の固有粘度は0.48dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は11重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は44重量%であった。
ビニル系共重合体(III−9)
予熱機および脱モノマ機からなる連続塊状重合装置を用い、スチレン80重量部、アクリロニトリル20重量部からなる単量体混合物に0.30重量部のn−オクチルメルカプタンを加え、135kg/時で連続塊状重合させた。重合反応混合物は、単軸押出機型脱モノマ機により未反応の単量体をベント口より減圧蒸発回収し、一方の脱モノマ機からビニル系共重合体(III−9)を調整した。得られたビニル系共重合体(III−9)の固有粘度は0.41dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は8重量%であった。
ビニル系共重合体(III−10)
容量が20lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、0.05重量部のメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)を165重量部のイオン交換水に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。10重量部のアクリロニトリルと80重量部のスチレン、0.46重量部のt−ドデシルメルカプタン、0.39重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、0.05重量部の2,2’−アゾビスイソブチルニトリルの混合溶液を反応系にて攪拌しながら添加し、58℃にて共重合反応を開始した。重合開始から2時間後に10重量部のアクリロニトリルを加えて重合を継続し、50分かけて100℃に昇温して5分間保持し、その後冷却して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(III−10)を調製した。得られたビニル系共重合体(III−10)の固有粘度は0.48dl/gであった。また、平均シアン化ビニル含有率は19重量%で、シアン化ビニルの組成分布における平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合は55重量%であった。
(実施例1〜29、比較例1〜10)
参考例に記載のポリカーボネート樹脂(I)、グラフト共重合体(II)、ビニル系共重合体(III)を、表1〜3に示した比で配合後、ブレンダーにて1分間攪拌し、該混合物をスクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(池貝鉄工株式会社製“PCM−30”、温度範囲:240〜250℃)で溶融混練を行い、ダイスノズルから吐出した溶融樹脂は水槽を介してカッターに引き取ってカッティングし、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを各物性評価に適するように、成形機(住友重機工業社製SE50DU射出成形機、成形温度250℃、金型温度60℃)にて試験片を作成して評価を行った。
表1〜3に示されるとおり、評価の結果、以下のことが明らかになった。
1.実施例と比較例1〜4の結果の比較から、グラフト共重合体(II)に使用するジエン系ゴム質重合体(ア)の配合量が規定量よりも少ないものを使用した場合には衝撃強度が低下し、一方、規定量よりも多い場合には、流動性が低下した。
2.実施例と比較例5の結果の比較から、ビニル系共重合体(III)に使用している芳香族ビニル系単量体(エ)が規定量より少なく、シアン化ビニル系単量体(オ)が規定量より多い場合には流動性が低下した。また、比較例5の相構造は、図2に示されるとおりポリカーボネート樹脂(I)とビニル系共重合体(III)が共連続相となることが確認された。
3.実施例と比較例6の結果の比較から、ビニル系共重合体(III)に使用している芳香族ビニル系単量体(エ)が規定量より多く、シアン化ビニル系単量体(オ)が規定量より少ない場合には衝撃強度が低下した。
4.実施例と比較例7の結果の比較から、ビニル系共重合体の平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合が規定量よりも少ないものを使用した場合には衝撃強度が低下した。また、比較例7は比較例5と同様の相構造となることが確認された。
5.実施例と比較例8の結果の比較から、ビニル系共重合体の平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体の割合が規定量よりも多いものを使用した場合には流動性が低下するばかりか衝撃強度も低下した。また、比較例8は比較例5と同様の相構造となることが確認された。
6.実施例と比較例9の結果の比較から、ポリカーボネート樹脂(I)が規定量より少なく、グラフト共重合体(II)およびビニル系共重合体(III)が規定量より多い場合には衝撃強度と荷重たわみ温度が低下した。また、比較例9は比較例5と同様の相構造となることが確認された。
7.実施例と比較例10の結果の比較から、ポリカーボネート樹脂(I)が規定量より多く、グラフト共重合体(II)およびビニル系共重合体(III)が規定量より少ない場合には、加重たわみ温度が高いものの流動性が低下した。
Figure 2012177088
Figure 2012177088
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本発明は、高い流動性と高い耐衝撃性とを併せ持つ熱可塑性樹脂組成物であり、自動車分野ではリアスポイラー、ホイールキャップ、ドアミラー、ラジエータグリルなどの自動車外装部品やパワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、レバーコントローラー、コンソールボックスなどの自動車内装用部品、リアスポイラー、ドアミラー、ルーフ、フェンダー、バンパーなどの自動車外装用部品。自動車分野以外でもOA機器や家電機器、住宅建材、スーツケースやカバンなどの分野へ好適に使用することができる。
1 ポリカーボネート樹脂(I)
2 グラフト共重合体(II)
3 ビニル系共重合体(III)

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(I)40〜75重量部、ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、少なくとも芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有する単量体混合物35〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(II)10〜25重量部、ならびに下記(A)および(B)を満足するビニル系共重合体(III)15〜35重量部を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
    (A)芳香族ビニル系単量体(エ)74〜85重量%およびシアン化ビニル系単量体(オ)15〜26重量%を共重合してなる。
    (B)ビニル系共重合体(III)のシアン化ビニルの組成分布において、平均シアン化ビニル含有率より2重量%以上高い組成を有する共重合体がビニル系共重合体(III)中に10〜50重量%存在する。
  2. 電子顕微鏡で観察される熱可塑性樹脂組成物断面の相構造が、ポリカーボネート樹脂(I)が連続相で、グラフト共重合体(II)およびビニル共重合体(III)がそれぞれ分散相であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ビニル系共重合体(III)の、メチルエチルケトン溶媒、30℃、ウベローデ粘度計で測定される固有粘度が0.35〜0.50dl/gの範囲にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. グラフト共重合体(II)がジエン系ゴム質重合体(ア)40〜65重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)26〜43重量%およびシアン化ビニル系単量体(ウ)9〜17重量%をグラフト重合してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. ジエン系ゴム質重合体(ア)が、重量平均粒子径200〜400nmと450〜1200nmの2種類のジエン系ゴム質重合体を含み、その重量比率が90:10〜50:50の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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