JPH0649147A - 耐衝撃性樹脂の製造法およびその組成物 - Google Patents

耐衝撃性樹脂の製造法およびその組成物

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JPH0649147A
JPH0649147A JP20131792A JP20131792A JPH0649147A JP H0649147 A JPH0649147 A JP H0649147A JP 20131792 A JP20131792 A JP 20131792A JP 20131792 A JP20131792 A JP 20131792A JP H0649147 A JPH0649147 A JP H0649147A
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latex
graft copolymer
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JP20131792A
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English (en)
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Shigeto Ishiga
賀 成 人 石
Hiroki Kashiwagi
木 浩 樹 柏
Takashi Kokubo
孝 小久保
Tatsuji Kamoshita
下 竜 児 鴨
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MONSANT KASEI KK
Original Assignee
MONSANT KASEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐薬品性、ガス遮断性が優れ、耐衝撃性と成
形加工性のバランスに優れた高ニトリルグラフト共重合
体およびそれを含んでなる組成物の提供。 【構成】 ゴム重合体ラテックス中でアクリロニトリル
(一例)およびスチレン(一例)を乳化重合させる際
に、ゴム重合体ラテックスとして平均粒径の異なる2種
のラテックスを混合使用することからなるグラフト共重
合体の製造法、ならびに得られたグラフト共重合体をア
クリロニトリル(一例)−スチレン(一例)共重合体に
ブレンドしてなる耐衝撃性樹脂組成物(定量的条件あ
り)。 【効果】 上記の目的が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム重合体を幹重合体
とするグラフト共重合体の製造方法に関する。さらに詳
しくは、本発明は、乳化重合により、ゴム重合体に高割
合のシアン化ビニル単量体及び小割合の芳香族ビニル単
量体よりなる単量体混合物をグラフト反応させることか
らなる共重合体の製造法であり、それ自身既に耐衝撃性
の良好なゴム変性高ニトリル共重合体を、耐衝撃性がさ
らに向上し、成形加工性が改良されたものとして製造す
る方法に関する。本発明は、また、上記の方法によって
得られたグラフト共重合体の利用、すなわちグラフト共
重合樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、これは、ゴ
ム質重合体と高割合のシアン化ビニル単量体成分及び少
割合の芳香族ビニル単量体成分よりなるグラフト共重合
樹脂組成物であり、優れた耐薬品性、ガス遮断性、耐衝
撃性、及び、良好な成形加工性をもち、それ自身が耐衝
撃性樹脂材料として使用されるばかりでなく、これを他
の樹脂に配合して耐衝撃性樹脂組成物をつくるのにも有
用である。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性樹脂を得る方法の一つとしてグ
ラフト共重合は周知のものであって、ゴム質重合体(例
えば、共役ジエン重合体のラテックス)の存在下に、樹
脂質重合体を与えるべき単量体(例えば、スチレン+ア
クリロニトリル)を重合させることによって製造される
グラフト共重合体樹脂組成物は、耐衝撃性樹脂として賞
用されている。これらのうちでは、ポリブタジエン/ス
チレン/アクリロニトリルからなるグラフト共重合体
は、ABS樹脂として著名である。これらのゴム変性耐
衝撃性樹脂においては、含有されるゴム質重合体の粒子
径が樹脂の特性を極めて大きく左右することが知られて
おり、その製造において、ゴム質重合体の粒径を適宜の
範囲に制御する方法が多く検討されている。例えば、ゴ
ム質重合体の粒径を大きくする処置を施してからグラフ
ト重合を行なう方法(特公昭42−3112号公報)、
粒径の比較的大きいゴム質重合体をグラフト基体として
使用する方法(特公昭42−10615号公報)、ゴム
質重合体として、粒径0.1μ以上のものと、0.1μ
以下のものを組み合わせる方法(特公昭45−3330
5号公報)など多くの提案がなされている。しかしなが
ら、例えばABS樹脂では、通常アクリロニトリル成分
の含有率がスチレン成分の含有率に比べて少ないので、
耐薬品性及びガス遮断性等の性質が劣るものであった。
【0003】これらの性質において優れた樹脂を得るた
め、ABS樹脂中のアクリロニトリル成分の配合割合を
増加させたグラフト共重合体の製造方法が知られている
(例えば、特開昭47−5594号公報参照)。この共
重合はゴム成分由来の良好な耐衝撃性を有するものであ
るが、与えられたゴム成分含有量において、一層良好な
耐衝撃性が実現できれば好ましいことは言うまでもな
い。このようなことから、ゴム変性高ニトリルグラフト
共重合体にも、改変が加えられており、耐衝撃性の向上
を目指して、またそれに加えて製品の外観、成形加工性
等の向上をも目指して、多くの提案がなされている。例
えば、耐衝撃性改良のためゴム重合の際に可塑剤を添加
する方法(特開昭55−71709号公報)、加工の際
にエポキシ化油を混合する方法(特開昭56−9374
5号公報)、グラフト重合の際にヒンダードフェノール
化合物を添加する方法(特願平1−44003号公
報)、ゴム重合体のゲル含有率、平均粒径等を特定の範
囲とする方法(特願平3−113145号公報)等であ
る。 〔発明の概要〕
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術はそれなりの解決を与えたものとして有意義なも
のであると言えようが、本発明者らの知る限りでは、完
全に満足すべきものではない。すなわち、たとえば、こ
れらの方法のあるものでは可塑剤などの低分子量成分が
かなり大量に必要とされるため、耐熱温度の低下や熱安
定性の低下などの問題があり得るからである。また、生
成共重合体の耐衝撃性及び成形加工性などの向上効果は
依然として不十分であると思われる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達
した。すなわち、特定の平均粒径を有する2種類のゴム
重合体ラテックスの混合物に対して高割合のシアン化ビ
ニル単量体と低割合の芳香族ビニル単量体よりなる単量
体混合物を乳化重合法によってグラフト重合させるとい
う製造方法を採ることによって、成形品としての耐薬品
性、ガス遮断性、耐衝撃性、及び成形加工性に優れたグ
ラフト共重合体を製造することができる。そして、この
ようにして得られるグラフト共重合体(A)を、それと
親和性を有する、高割合のシアン化ビニル単量体と小割
合の芳香族ビニル単量体よりなる硬質重合体(B)を均
一に混合してなる樹脂組成物は、従来の組成物では得ら
れなかった優れた耐薬品性、ガス遮断性、耐衝撃性、及
び成形加工性を有する。
【0006】<要旨>すなわち、本発明によるグラフト
共重合体の製造法は、重量平均粒子径0.05〜0.2
5未満μmのゴム重合体ラテックス60〜90重量%
(固形分基準)と、重量平均粒子径0.25〜0.65
μmのゴム重合体ラテックス10〜40重量%(固形分
基準)の混合ラテックス中でシアン化ビニル単量体50
〜90重量%及び芳香族ビニル単量体10〜50重量%
からなる単量体を主成分とする単量体混合物を乳化重合
させること、を特徴とするものである。
【0007】また、本発明による耐衝撃性樹脂組成物
は、下記の成分Aおよび成分Bを含んでなり、両成分の
合計中成分Aの割合が5〜50重量%であること、を特
徴とするものである。 成分A: 上記の方法によって得られる、グラフト共重
合体。 成分B: シアン化ビニル単量体50〜90重量%及び
芳香族ビニル単量体10〜50重量%からなる単量体を
主成分とする単量体混合物の重合生成物である、硬質重
合体。
【0008】<効果>本発明によれば、耐薬品性、ガス
遮断性が優れ、耐衝撃性と成形加工性のバランスに優れ
た高ニトリルグラフト共重合体および耐衝撃性樹脂組成
物が得られる。また、本発明により得られるグラフト共
重合体のラテックスは優れた安定性を有する。
【0009】〔発明の具体的説明〕 <ゴム重合体> (1)ゴム種 本発明で使用するゴム重合体は、好ましくは、物理的に
いえばガラス転移温度が常温より低いものであり、化学
的にいえばそのゴム弾性を主として1,3‐ジエン、ア
クリル酸エステルまたはα−オレフィンに負うものであ
る。ゴム弾性を主として1,3‐ジエンに負うゴム重合
体としては、1,3‐ブタジエンまたはその置換体、た
とえば2‐メチル‐1,3‐ブタジエンすなわちイソプ
レン、2‐クロロ‐1,3‐ブタジエンすなわちクロロ
プレン、の単独またはこれらの相互の共重合体、ならび
にこれらと他の共単量体との共重合体(1,3‐ジエン
の含有量は50重量%以上)、が代表的である。この場
合の共単量体としては、核および(または)側鎖置換ス
チレン(置換基は、低級アルキル基、ハロゲン原子、低
級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、その他)、た
とえばスチレン、シアン化ビニルたとえばアクリロニト
リル、α‐オレフィンたとえばエチレンまたはプロピレ
ン、アクリル酸アルキルエステル(アルキル基は、炭素
数2〜12、好ましくは4〜8)たとえばアクリル酸ブ
チル、その他がある。
【0010】ゴム弾性を主としてアクリル酸アルキルエ
ステルに負うゴム重合体としては、アルキル基の炭素数
が2〜12、好ましくは4〜8、程度のもの、の単独ま
たはこれら相互の共重合体、ならびにこれらと他の共単
量体との共重合体(アクリル酸アルキルエステルの含有
量は50重量%以上)、が代表的である。この場合の共
単量体としては、シアン化ビニルたとえばアクリロニト
リル、α‐オレフィン、たとえばエチレン、その他があ
る。ゴム弾性を主としてα−オレフィンに負うゴム重合
体としては、非共役ジエンとエチレン−プロピレンとの
共重合体(所謂EPDM)が代表的である。本発明では
グラフト共重合体の「幹」としてのゴム重合体は、水性
ラテックスとしてグラフト共重合に供される。上記のよ
うなゴムのあるものは所定の単量体ないしその混合物を
水性媒体中で一時にまたは段階的に乳化重合させること
によって製造することができるが、乳化重合によって製
造することができないゴム重合体は、あらかじめ製造し
たゴム重合体を機械的に水中に乳化分散させることによ
って水性ラテックスとすればよい。本発明ではゴム重合
体のラテックスをラテックス中のゴム重合体粒子の粒径
に関して2種類併用するが、その場合の2種類のゴム重
合体はそのガラス転移点および(または)ゴム種に関し
ても相違していてもよい。
【0011】(2)ゴム粒子径 本発明方法にて使用される大粒径のゴム重合体の重量平
均粒子径は、0.25〜0.65μm、である。0.2
5μm未満では、最終的に得られる樹脂の耐衝撃性が不
十分となり、成形加工性も不足する。0.65μm超過
では、外観の劣ったものとなり、耐衝撃性の改善効果が
不十分となる。また、乳化グラフト重合の際、ラテック
スの不安定化を招き、重合中のスケール量の増加などの
問題が生じるので好ましくない。好ましい重量平均粒子
径は、0.3〜0.6μmである。
【0012】本発明方法で使用される小粒径のゴム重合
体の重量平均粒子径は、0.05〜0.25未満μmで
ある。0.05μm未満では、最終的に得られる樹脂の
耐衝撃性が著しく劣ったものとなり、成形加工性も不足
する。0.25μm以上では、粒子径の異なったグラフ
ト共重合体を混合して使用することによる趣旨が薄れ、
本発明の目的が達成されず、衝撃強度の低い樹脂しか得
られない。好ましい重量平均粒子径は、0.1〜0.2
5μmである。なお、ゴム重合体ラテックスのゴム重合
体粒子の重量平均粒子径は、米国コールター社のナノサ
イザー(光散乱法)によって測定された値である。本発
明方法で使用するような比較的大粒子径のゴムラテック
スは、そのような粒径のものとして製造したものであっ
ても、小粒子径のラテックスについて目的粒子径を得る
ために粒径肥大という操作を行って得たものでもよい。
粒径肥大は、公知の方法、例えば、ラテックスを一度凍
結させてから再溶解する方法、ラテックスに鉱酸、有機
酸等を添加して、ラテックスのpHを一時的に低下させ
る方法、ラテックスにせん断力を加える方法等(特開昭
54−133588号公報、特開昭59−202211
号公報)によって、行うことができる。特に、ラテック
スに燐酸または無水酢酸を添加する方法が、粒子径の調
整が容易であるので、好ましい。
【0013】<グラフト共重合>本発明方法でのグラフ
ト共重合は、「幹」重合体としてのゴム重合体のラテッ
クスをその重量平均粒子径に関して2種類併用するとい
う点ならびにゴム重合体および「枝」重合体用単量体の
量に関して配慮する点を除けば、所謂ABS樹脂の製造
に慣用されているところと本質的には異ならない。な
お、「幹」重合体ラテックス中で「枝」重合体用単量体
を重合させることに相当して、重合生成物は「枝」重合
体用単量体が完全に「幹」重合体に「枝」として接ぎ木
されている理想的なグラフト共重合体と「枝」重合体用
単量体がそれ自身で重合して全く「枝」とならない場合
との間の各種の重合体の混合物であることがふつうであ
り、本発明でもそのような混合物をも慣習に従ってグラ
フト共重合体と呼ぶことにする。
【0014】(1)「枝」重合体用単量体 本発明方法での「枝」重合体用単量体は、シアン化ビニ
ル単量体および芳香族ビニル単量体を主成分とする単量
体混合物である。本発明において用いられるシアン化ビ
ニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、α‐クロロアクリロニトリル等があげ
られる。これらは、一種または二種以上の混合物であっ
てもよい。本発明において芳香族ビニル単量体の具体例
としては、核および(または)側鎖置換スチレン(置換
基は低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ
基、トリフルオロメチル基、その他)たとえばスチレ
ン、α‐メチルスチレン等のα‐アルキルスチレン、p
‐メチルスチレン等の核置換アルキルスチレン、ハロゲ
ン化スチレン、ならびにビニルナフタレン等があげられ
る。これらは、一種または二種以上の混合物であっても
よい。
【0015】両単量体の量比は、両者の合計量を基準と
してシアン化ビニル単量体の占める比率は、50〜90
重量%でなければならない。50重量%未満であると、
目的とする耐薬品性、ガス遮断性等の物性をグラフト共
重合体に付与することができないので好ましくない。特
に好ましくは、60重量%以上にするのがよい。また、
90重量%を超えると、グラフト共重合体の成形加工
性、加熱時着色性等の性質が低下するので好ましくな
い。芳香族ビニル単量体の占める比率は、残部、すなわ
ち10〜50重量%でなければならない。この比率が上
記の範囲を外れると、得られるグラフト共重合体の性質
が、目的の耐薬品性、ガス遮断性、成形加工性、加熱時
着色性に関して低下するので好ましくない。なお、この
両単量体の量比は、グラフト共重合中で経時的に変化さ
せることができ、その場合の極限として、一方がゼロの
場合をも「枝」重合体用単量体「混合物」の一具体例と
して包含するものとする。そのような極限の一具体例
は、芳香族ビニル単量体のみの第3工程を実施する場合
である。
【0016】「枝」重合体用単量体は、シアン化ビニル
単量体と芳香族ビニル単量体を主体とする単量体混合物
である。従って、この単量体混合物は、本発明の趣旨を
損なわない限り、両必須単量体と共重合可能な共単量体
を少量(たとえば、両必須単量体の重量の10重量%程
度まで)併用してもよい。このような単量体としては、
アクリル酸ないしメタクリル酸と炭素数が1〜10の範
囲のアルカノールとのエステル、特にメチルアクリレー
ト及びメチルメタクリレート、ジエン単量体、ジビニル
ベンゼン、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、その他がある。
【0017】(2)グラフト共重合 グラフト共重合は、ゴム重合体ラテックスのゴム重合体
粒子の重量平均粒子径に関して2種類のラテックスの混
合物に対して行なわれる。大粒径のゴム重合体の割合
は、使用する全ゴム重合体の10〜40重量%(固形分
基準)である。これが10重量%より少ないと最終的に
得られる樹脂の耐衝撃性は改良されず、40重量%より
多いと樹脂の外観が低下し、耐衝撃性も低いため好まし
くない。好ましい割合は、15〜35重量%(固形分基
準)である。小粒径のゴム重合体の割合は、使用する全
ゴム質重合体の60〜90重量%(固形分)である。こ
れが60重量%より少ないと最終的に得られる樹脂の耐
衝撃性は改良されず、90重量%より多いと、やはり耐
衝撃性が低いため好ましくない。
【0018】ゴム重合体と単量体混合物の割合は、ゴム
重合体が10〜80重量部、好ましくは30〜70重量
部、であることが望ましい。ゴム質重合体の割合が、1
0重量部より少ないと、得られるグラフト共重合体の耐
衝撃性が低下して、目的とする物性を持つ成形品が得ら
れ難く、耐衝撃性付与剤としての用途においては、効果
が少なくなるので好ましくない。一方、80重量部を超
えると、得られるグラフト共重合体のグラフト率が小さ
くなり、ゴム粒子の分散性及びゴム効率すなわち耐衝撃
性等が低下するので好ましくない。またゴム重合体の量
が80重量部を越えると、グラフト共重合時にゴム重合
体粒子の凝集などが生じて、生成グラフト共重合体成形
時に成形品の光沢を損なう。単量体混合物の割合は、9
0〜20重量部、好ましくは70〜30重量部(ゴム重
合体の合計を100重量部とする)であることが望まし
い。その他のグラフト共重合条件は、前記したように、
ABS樹脂の製造に慣用されているところと本質的に異
ならない。
【0019】しかしながら、通常の乳化グラフト重合方
法では、使用するアクリロニトリルの割合が高くなる
と、重合途中で得られるラテックスが不安定となり、極
端な場合には重合系の粘度が上昇し、または凝固して、
重合続行できない場合があったり、また、グラフト重合
反応を終わりまで継続できる場合においても、重合容器
内の各種付属部品類に重合塊付着成長して収率を低下さ
せたり、得られるラテックスを後処理するため保存して
おくと、粘度が増大したり、凝固したりするなどの問題
が発生することがある。そこで、高割合のアクリロニト
リルと低割合のスチレンからなる単量体混合物を乳化グ
ラフト重合する場合は、混合ゴム重合体ラテックス10
〜80重量部(固形分基準)につき、単量体混合物の1
5〜89.5重量部を乳化重合させ、同工程終了後、さ
らに芳香族ビニル単量体0.5〜15重量部を乳化重合
させる、2工程よりなる方法を用いれば、優れた安定性
を有するラテックスを製造することができる。
【0020】すなわち、この態様は、「単量体混合物2
0〜90重量部を乳化重合させる場合」の他の具体例を
なすものである。この態様では、その第一工程において
は、前記混合ゴム重合体10〜80重量部に、上記シア
ン化ビニル単量体及び上記芳香族ビニル単量体よりなる
単量体混合物(I)15〜89.5重量部を添加し、乳
化重合法により、グラフト反応を行なう。単量体混合物
(I)の添加割合は、混合ゴム重合体10〜80重量部
に対して、15〜89.5重量部あることが望ましい。
単量体混合物(I)の割合が上記の範囲を外れると、得
られるグラフト共重合体の物性が変化して、目的とする
ものが得られ難くなる。なお、この第一工程のグラフト
反応でゴム質重合体の量を多くした場合には、生成する
グラフト共重合体のグラフト率が低下し、ゴム効率すな
わち耐衝撃性を低下させることがある。このような場合
には、乳化剤の添加方法及び量、分子量調節剤の添加方
法及び量に、重点をおいて、グラフト率を向上させるよ
うなグラフト反応条件を選択するのがよい。
【0021】第二工程は、第一工程を終了した重合系
に、続けてさらに、芳香族ビニル単量体(II)0.5〜
15重量部を添加し、乳化重合法によりグラフト反応を
行なう工程である。この後段工程においては、少量の芳
香族ビニル単量体(II)を重合系に添加することによ
り、乳化重合途中のラテックス安定性を増し、さらに、
得られるグラフト共重合体の組成均一性を改善すること
ができる。第二工程において、重合系に添加する芳香族
ビニル単量体(II)の量は、0.5〜15重量部の範囲
で選ぶことが望ましい。この範囲が0.5重量部未満の
場合には、ラテックスの安定性及び組成均一性を得るこ
とができ難い。また、15重量部を超えると、グラフト
共重合体中のシアン化ビニル単量体成分の含有率が低下
するので好ましくない。
【0022】また、第二工程は、第一工程の水を媒体と
した公知の乳化重合に続けて、乳化剤及び重合触媒の種
類及び量とその添加方法、芳香族ビニル単量体(II)の
回分、分割、連続方式等の添加方法等、公知の乳化重合
条件を適宜組み合わせて、行うことができる。第二工程
を実施するこの態様においても、第一工程で添加するゴ
ム質重合体及び単量体混合物(I)と、第二工程で添加
する芳香族ビニル単量体(II)との合計重量部を、10
0重量部とする必要がある。また、第一工程における単
量体混合物(I)と第二工程における芳香族ビニル単量
体(II)との割合、すなわち、単量体混合物(I)/芳
香族ビニル単量体(II)を、98/2ないし90/15
とすることが好ましい。この重量比が、この範囲を外れ
るとラテックス安定性及びラテックスの保存安定性が低
下したり、グラフト共重合体中のシアン化ビニル単量体
成分の含有率が低下することがあるので、好ましくな
い。
【0023】(3)その他条件 グラフト共重合は、重合開始剤の存在下に行なう。使用
し得る開始剤(または、触媒)としては、過硫酸、過酢
酸、過フタル酸などの過酸触媒、過硫酸カリウム等の過
酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化クロ
ルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸化アセチル、過酸
化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウロイル等の過酸化物
触媒、ヒドロ過酸化t‐ブチル等のヒドロ過酸化アルキ
ル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ触媒があり、
これらは単独であるいは2種以上の混合で使用できる。
これらは、還元剤と組み合わせてレドックス触媒として
使用することもできる。グラフト共重合は、連鎖移動剤
の存在下に行なうことができる。本発明で用いられる連
鎖移動剤としては特に制限はないが、例えばn‐オクチ
ルメルカプタン、n‐ドデシルメルカプタン、t‐ドデ
シルメルカプタン、等あるいはテルピノレン、α‐メチ
ルスチレンリニアダイマー等が用いられる。
【0024】グラフト共重合での重合温度条件は、50
〜85℃、好ましくは55〜75℃、の範囲が適当であ
る。50℃未満の場合は重合反応速度が小さくて実用的
でなく、また一方85℃を越える場合は一度に凝固物あ
るいは付着物の発生量が多くなり、重合収率の低下およ
び最終製品の品質低下をきたすので好ましくない。
「枝」重合体用単量体は、全量を一時に重合系と導入し
てもよく、段階的に導入してもよい。また、重合中の温
度を経時的に変化させることもできる。本発明方法によ
り得られるグラフト共重合体のラテックスは、公知の後
処理、例えば、塩析、分離、洗浄、混合、混練、脱揮、
ペレット化等の工程を、適宜組み合わせて行なうことに
より、成形用樹脂材料として用いることができる。ま
た、このグラフト共重合体は、それ自身が耐衝撃性樹脂
として有用であるばかりでなく、これを耐衝撃性付与材
としてそれと混和可能な熱可塑性樹脂と混和して使用す
ることもできる。
【0025】<硬質樹脂>本発明方法によって得られる
グラフト共重合体によっ耐衝撃性を向上させるべき樹脂
の一群は、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体
を主成分とする単量体混合物(ただし、シアン化ビニル
単量体は芳香族ビニル単量体より少量ではない)の重合
生成物である。すなわち、耐衝撃性樹脂組成物に係る本
発明において本発明組成物を構成する硬質共重合体は、
シアン化ビニル単量体50〜90重量%及び芳香族ビニ
ル単量体10〜50重量%よりなる単量体を主成分とす
る、実質的に組成が均一なもの、である。共重合体は、
実質的に組成が均一なので、本発明に係わるグラフト共
重合体組成物に優れた耐薬品性、ガス遮断性、耐衝撃性
及び成形性を発揮、樹脂焼け等の加熱時着色を防ぐ機能
を果たす。上記共重合体の構成成分であるシアン化ビニ
ル単量体および芳香族ビニル単量体ならびにこれらの両
単量体を「主成分とする」ということは、先にグラフト
共重合体の「枝」重合体用単量体として例示したものと
同様である。これら各々のビニル単量体が、共重合体に
占める範囲は、上記の通りであり、この範囲を外れると
共重合体の特性が変化し、目的とする組成物を得ること
ができない。
【0026】この共重合体を製造するための重合方法及
び重合条件は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法な
どの方法を回分または連続方法から適宜選択することが
できる(製造方法の詳細は、例えば特開昭62−172
0号公報参照)。このように、共重合体の重合方法を、
適宜選択することにより、実質的に組成が均一となるの
で、得られる樹脂のシアン化ビニル単量体成分の組成分
布が部分的に片寄り、着色したり物性が低下するのを防
ぐことができる。本発明に係る耐衝撃性樹脂組成物中の
グラフト共重合体(成分A)及び硬質重合体(成分B)
を構成する単量体成分の組成は、各々前記で限定された
範囲内にあればよく、両者の組成が全く同一ということ
を必ずしも意味するものではない。しかし、両者が前記
範囲内で選択され、組み合わされたとしても、両者の組
成を著しく相違させると、両樹脂の相溶性が劣り、物性
が低下するので好ましくない。
【0027】<耐衝撃性樹脂組成物>本発明による耐衝
撃性樹脂組成物は、以上説明したようなグラフト共重合
体(成分A)と硬質重合体(成分B)を(A)/(B)
=100/0〜10/90の範囲で秤量し、混合する。
各々の共重合体の配合量が、上の範囲を外れると、目的
とする物性が得られず、また成形性の良好な熱可塑性樹
脂組成物とすることができない。本発明による耐衝撃性
樹脂組成物中に含有される成分A由来のゴム重合体の割
合は、成分Aと成分Bの合計に対して5〜50重量%、
好ましくは10〜30重量%、の範囲内である。ゴム質
重合体の範囲が5重量%未満であると、耐衝撃性が低下
する傾向があり、50重量%を超えると、樹脂組成物の
耐薬品性、ガス遮断性および成形性等が低下し、成形品
外観に好ましくない影響を与える。
【0028】成分Aおよび成分Bを配合し、混合混練す
るには、公知の混合混練方法によればよい。この際、混
練する温度は、組成物が樹脂焼けを起こさない範囲で選
択するのがよい。粉末、ビード、フレーク、またはペレ
ットとなったこれら共重合体の1種または2種の混合物
は、一軸押出機、二軸押出機、または、バンバリーミキ
サー、加圧ニーダー、二本ロール等の混練機等により、
組成物とすることができる。また、場合によっては、重
合を終えたこれらの共重合体の1種または2種のものを
未乾燥のまま混合し、析出し、洗浄し、乾燥して、混練
する方法を採ることもできる。
【0029】成分Aおよび成分Bを含んでなる本発明耐
衝撃性樹脂組成物には、樹脂としての性質を阻害しない
種類および量の潤滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤、帯電
防止剤、難燃化剤、紫外線吸収剤、耐光性安定剤、耐熱
性安定剤、充填剤等の各種樹脂添加剤を、適宜組み合わ
せて添加することができる。また、成分AおよびBと混
和可能な熱可塑性樹脂を少量、たとえば成分Aおよび成
分Bの合計量の10重量%まで、配合してもよい。耐衝
撃性、成形性、異方性の改良剤としてポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリエルテル(PBT等)の異性樹脂
とのポリマーアロイ等の組成物の形で使用することもで
きる。本発明組成物は、射出成形法、押出成形法、プレ
ス成形法等の各種加工方法によって、成形品とし、優れ
た耐薬品性、ガス遮断性および耐衝撃性が要求される用
途に使用することができる。
【0030】
【実施例】下記の実施例及び比較例は、本発明を具体的
に説明するためのものである。従って、本発明はその要
旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではな
い。以下の各実施例及び比較例において、各物性は以下
の方法によって評価した。 (1)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に従って測定した。 (2)メルトフローレート JIS K7210に従って220℃、10kgの条件で
測定し、10分間の流出g数を表示した。 (3)引っ
張り強度 JIS K7113に従って測定した。 (4)光沢 ASTM D523に従って、60゜法にて測定した。 (5)色調 JIS K7103に従って、黄色度YIをスガ試験機
製SMカラーコンピューター SM−4−CHにて測定
した。 (6)ラテックスの平均粒子径 ラテックスの平均粒子径は、米国コールター社製「ナノ
サイザー」(光散乱法)によって、測定した。 (7)耐薬品性 プレス成形試験片(厚さ2mm、巾35mm、長さ230m
m)をベンディングフォーム法によって、フロン123
に対する亀裂発生の臨界歪値を測定した。臨界歪値0.
8%以上を耐薬品性が極めて良好(◎)、0.8〜0.
6%を良好(○)、0.6%以下を不良(×)と判断し
た。
【0031】実施例1 大粒径ゴム成分として、0.60μmのポリブタジエン
ラテックスを10部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを40部
(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム1.0部、デキストロース0.65部、
ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005
部を溶解した水180部(ラテックス中の水を含む)を
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガスで置換後、
65℃に温度を調節しながら、スチレン22.5部、ア
クリロニトリル27.5部、n‐ドデシルメルカプタン
1.5部からなる単量体混合物、及びクメンハイドロパ
ーオキサイド0.25部、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム1.0部、脱イオン水14部よ
りなる混合水溶液を4時間かけて添加した。
【0032】添加終了後、さらに1時間反応を続け、冷
却して、反応を終了した。得られたグラフト重合体ラテ
ックスを、老化防止剤1部の添加後、95℃に加熱した
硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固さ
せた。凝固物を水洗、乾燥して、グラフト共重合体粉末
を得た。このようにして得られた樹脂組成物を、ゴムを
除いた同じ組成のスチレン−アクリロニトリル共重合体
(AN/St重量比55/45、メルトフローレート1
0g/10分(220℃、10kg))と、全組成物中の
ゴム質重合体の含有率が17重量%となるように押出機
を用いて配合し、ペレット化したのち、射出成形により
各テストピースを作成して、各物性、耐薬品性を評価し
た。結果は、表1に示す通りであった。
【0033】実施例2 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを15部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを35部
(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム1.0部、デキストロース0.65部、
ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005
部を溶解した水180部(ラテックス中の水を含む)を
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガスで置換後、
65℃に温度を調節しながら、スチレン15部、アクリ
ロニトリル30部、n‐ドデシルメルカプタン1.5部
からなる単量体混合物、及びクメンハイドロパーオキサ
イド0.25部、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム1.0部、脱イオン水14部よりなる混
合水溶液を4時間かけて添加した。反応を開始してか
ら、4時間後に、単量体混合物(I)の添加を終了する
とともに、第一工程のグラフト反応を終了した。
【0034】(2)第二工程 上記第一工程に引き続いて、同装置をそのまま用いて、
直ちに第二工程のグラフト反応に入った。重合系を65
℃に保持し、スチレン(II)5.0部を1時間かけて連
続添加した。添加終了後、さらに1時間反応を続け、冷
却して、反応を終了した。実施例1に示したのと同様
に、各物性、耐薬品性を評価した。結果は、表1に示す
通りであった。
【0035】実施例3 (1)第一工程 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを10.5部(固形分)、小粒径ゴム成分と
して、0.15μmのポリブタジエンラテックスを2
4.5部(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム1.3部、デキストロース0.
85部、ピロリン酸ナトリウム0.65部、硫酸第一鉄
0.0065部を溶解した水200部(ラテックス中の
水を含む)を攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助
剤仕込装置を備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガ
スで置換後、65℃に温度を調節しながら、スチレン1
9.5部、アクリロニトリル39部、n‐ドデシルメル
カプタン2.0部からなる単量体混合物、及びクメンハ
イドロパーオキサイド0.33部、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸ナトリウム1.3部、脱イオン水
18部よりなる混合水溶液を5時間かけて添加した。反
応を開始してから、5時間後に、単量体混合物(I)の
添加を終了するとともに、第一工程のグラフト反応を終
了した。
【0036】(2)第二工程 上記第一工程に引き続いて、同装置をそのまま用いて、
直ちに第二工程のグラフト反応に入った。重合系を65
℃に保持し、スチレン(II)6.5部を1時間かけて連
続添加した。添加終了後、さらに1時間反応を続け、冷
却して、反応を終了した。実施例1に示したのと同様
に、各物性、耐薬品性を評価した。結果は、表1に示す
通りであった。
【0037】実施例4 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを20部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.10μmのポリブタジエンラテックスを30部
(固形分)仕込み、第一工程における単量体混合物
(I)を、スチレン11.7部、アクリロニトリル35
部、第二工程におけるスチレン(II)を3.3部とした
他は、実施例2と同様に反応を行なった。結果は、表1
に示す通りであった。
【0038】実施例5 大粒径ゴム成分として、0.60μmのポリブタジエン
ラテックスを10部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを40部
(固形分)仕込み、第一工程における単量体混合物
(I)を、スチレン11.7部、アクリロニトリル35
部、第二工程におけるスチレン(II)を3.3部とした
他は、実施例2と同様に反応を行なった。結果は、表1
に示す通りであった。
【0039】比較例1 小粒径ゴム成分のポリブタジエンラテックス粒径を0.
30μmとした他は、実施例2と同様に反応を行なっ
た。結果は、表1に示す通りであった。
【0040】比較例2 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを30部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを20部
(固形分)仕込んだ他は、実施例2と同様に反応を行な
った。結果は、表1に示す通りであった。
【0041】比較例3 第一工程における単量体混合物を、スチレン30部、ア
クリロニトリル15部とした他は、実施例2と同様に反
応を行なった。結果は、表1に示す通りであった。
【0042】比較例4 大粒径ゴム成分のポリブタジエンラテックスを0部と
し、小粒径ゴム成分として0.10μmのポリブタジエ
ンラテックスを50部(固形分)仕込んだ他は、実施例
2と同様に反応を行なった。結果は、表1に示す通りで
あった。
【0043】比較例5 (1)第一工程 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを27部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを63部
(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム0.2部、デキストロース0.15部、
ピロリン酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄0.001
部を溶解した水120部(ラテックス中の水を含む)を
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガスで置換後、
65℃に温度を調節しながら、スチレン3部、アクリロ
ニトリル6部、n‐ドデシルメルカプタン0.3部から
なる単量体混合物、及びクメンハイドロパーオキサイド
0.35部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム0.2部、脱イオン水10部よりなる混合水
溶液を2時間かけて添加した。
【0044】反応を開始してから、2時間後に、単量体
混合物(I)の添加を終了するとともに、第一工程のグ
ラフト反応を終了した。 (2)第二工程 上記第一工程に引き続いて、同装置をそのまま用いて、
直ちに第二工程のグラフト反応に入った。重合系を65
℃に保持し、スチレン(II)1.0部を30分かけて連
続添加した。添加終了後、さらに1時間反応を続け、冷
却して、反応を終了した。結果は、表1に示す通りであ
った。
【0045】
【表1】
【0046】表1より、次のことが明らかとなる。 (1)本発明により得られるグラフト共重合体は、衝撃
強度及び加工性のバランスに優れている(実施例1〜5
参照)。 (2)本発明により得られるグラフト共重合体は、耐薬
品性が優れている。(実施例1〜5参照)。
【0047】参考例 (1)グラフト共重合体(A)の製造(A)−1 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを15部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを35部
(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム1.0部、デキストロース0.65部、
ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005
部を溶解した水180部(ラテックス中の水を含む)を
攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガスで置換後、
65℃に温度を調節しながら、スチレン20部、アクリ
ロニトリル30部、n‐ドデシルメルカプタン1.5部
からなる単量体混合物、及びクメンハイドロパーオキサ
イド0.25部、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸ナトリウム1.0部、脱イオン水14部よりなる混
合水溶液を4時間かけて添加した。添加終了後、さらに
1時間反応を続け、冷却して、反応を終了した。得られ
たグラフト重合体ラテックスを、老化防止剤1部の添加
後、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌
しながら加えて凝固させた。凝固物を水洗、乾燥して、
グラフト共重合体(A)−1の粉末を得た。
【0048】(A)−2 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを10.5部(固形分)、小粒径ゴム成分と
して、0.15μmのポリブタジエンラテックスを2
4.5部(固形分)、及びアルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム1.3部、デキストロース0.
85部、ピロリン酸ナトリウム0.65部、硫酸第一鉄
0.0065部を溶解した水200部(ラテックス中の
水を含む)を攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助
剤仕込装置を備えた重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガ
スで置換後、65℃に温度を調節しながら、スチレン2
6部、アクリロニトリル39部、n‐ドデシルメルカプ
タン2.0部からなる単量体混合物、及びクメンハイド
ロパーオキサイド0.33部、アルキルジフェニルエー
テルジスルホン酸ナトリウム1.3部、脱イオン水18
部よりなる混合水溶液を5時間かけて添加した。添加終
了後、さらに1時間反応を続け、冷却して、反応を終了
した。得られたグラフト重合体ラテックスを、老化防止
剤0.6部の添加後、95℃に加熱した硫酸マグネシウ
ム水溶液中に攪拌しながら加えて凝固させた。凝固物を
水洗、乾燥して、グラフト共重合体(A)−2の粉末を
得た。
【0049】(A)−3 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを20部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.10μmのポリブタジエンラテックスを30部
(固形分)仕込み、単量体混合物を、スチレン15部、
アクリロニトリル35部とした他は、グラフト共重合体
(A)−1と同様に反応を行なった。(A)−4 大粒径ゴム成分として、0.60μmのポリブタジエン
ラテックスを10部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを40部
(固形分)仕込み、単量体混合物を、スチレン15部、
アクリロニトリル35部とした他は、グラフト共重合体
(A)−1と同様に反応を行なった。(A)−5 小粒径ゴム成分のポリブタジエンの粒径を0.30μm
とした他は、グラフト共重合体(A)−1と同様に反応
を行なった。
【0050】(A)−6 大粒径ゴム成分として、0.40μmのポリブタジエン
ラテックスを30部(固形分)、小粒径ゴム成分とし
て、0.15μmのポリブタジエンラテックスを20部
(固形分)仕込んだ他は、グラフト共重合体(A)−1
と同様に反応を行なった。(A)−7 単量体混合物を、スチレン30部、アクリロニトリル1
5部とした他は、グラフト共重合体(A)−1と同様に
反応を行なった。(A)−8 大粒径ゴム成分のポリブタジエンラテックスを0部と
し、小粒径ゴム成分として0.10μmのポリブタジエ
ンラテックスを50部(固形分)仕込んだ他は、グラフ
ト共重合体(A)−1と同様に反応を行なった。
【0051】(A)−9 大粒径ゴム成分として0.40μmのポリブタジエンラ
テックスを27部(固形分)、小粒径ゴム成分として
0.15μmのポリブタジエンラテックスを63部(固
形分)、及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム0.2部、デキストロース0.15部、ピロ
リン酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄0.001部を
溶解した水120部(ラテックス中の水を含む)を攪拌
装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を備え
た重合容器に仕込んだ。気相を窒素ガスで置換後、65
℃に温度を調節しながら、スチレン4部、アクリロニト
リル6部、n‐ドデシルメルカプタン0.3部からなる
単量体混合物、及びクメンハイドロパーオキサイド0.
05部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナト
リウム0.2部、脱イオン水10部よりなる混合水溶液
を2時間かけて添加した。添加終了後、さらに30分間
反応を続け、冷却して、反応を終了した。得られたグラ
フト重合体ラテックスを、老化防止剤1部の添加後、9
5℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中に攪拌しなが
ら加えて凝固させた。凝固物を水洗、乾燥して、グラフ
ト共重合体(A)−9の粉末を得た。
【0052】(2)共重合体(B)の製造(B)−1 加熱冷却装置、湾曲タービン型攪拌装置、温度計、原料
助剤添加装置を備えたSUS301耐圧重合槽に、次に
示す原料助剤を仕込み、重合系内を窒素ガスで置換し
た。 アクリロニトリル 75部 スチレン 2部 ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール 0.02部 アクリル酸・アクリル酸2エチル ヘキシル共重合体(懸濁安定剤) 0.03部 臭化ナトリウム 0.4部 脱イオン水 70部
【0053】攪拌しながら重合槽内温度を106℃に昇
温し、少量のスチレンに溶解した1‐t‐アゾ‐1‐シ
アノシクロヘキサン0.15部を添加し、同温度で重合
反応を開始した。重合を開始してから直ちに、スチレン
23部を一定の速度で4時間30分の間連続添加すると
ともに、同時に重合系の温度を4時間30分かけて12
8℃に昇温した。重合を開始してから、4時間30分
後、スチレンの重合系への連続添加を終了し、続いて重
合系の温度を45分間かけて145℃まで昇温した。重
合を開始してから5時間15分後、重合系の温度を14
5℃に維持しながらさらに1時間ストリッピィングを行
なった。このストリッピィングを終えた懸濁系を降温冷
却し、ろ別、水洗、乾燥して、ビーズ状の共重合体を得
た。共重合体のアクリロニトリル(AN)%は、69.
7%であった。(B)−2 初期に仕込むアクリロニトリルを65部、スチレンを5
部及び連続仕込をするスチレンを30部とする他は、
(B)−1と同様に反応を行なった。共重合体のAN%
は、58.9%であった。(B)−3 モンサント化成(株)製SAN−T(AN%=32)を
そのまま用いた。
【0054】実施例6 上記製造例に記載の方法で得られたグラフト共重合体
(A)−1および共重合体(B)−1を、表2に記載し
た配合割合(部)に従い、ブス・コ・ニーダーを用いて
混練して、共重合体樹脂組成物のペレットを作成した。
この組成物のペレットから、熱可塑性樹脂射出成型機お
よびプレス成型機により、物性測定用および耐薬品性試
験用の試験片を成型した。ペレットについてメルトフロ
ーレートを、射出成型試験片についてアイゾット衝撃強
さを、プレス成型試験片について耐薬品性を、それぞれ
測定した。結果は、表2に示す通りであった。
【0055】実施例7〜9、比較例6〜10 表2に記載されたグラフト共重合体(A)、および共重
合体(B)を同じく表1に記載された配合割合で混合
し、実施例6と同様にグラフト共重合体組成物を作成し
て、評価した。物性、耐薬品性評価結果は、表2に示す
通りであった。
【0056】
【表2】
【0057】表1の結果より、次のことが明らかとな
る。 (1)本発明により得られる耐衝撃性組成物は、衝撃強
度及び加工性のバランスに優れている(実施例6〜9参
照)。 (2)本発明方法により得られる耐衝撃性組成物は、耐
薬品性が優れている(実施例6〜9参照)。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、耐薬品性、ガス遮断性
が優れ、耐衝撃性と成形加工性のバランスに優れた高ニ
トリルグラフト共重合体組成物が得られることは、〔発
明の概要〕の項において前記したところである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鴨 下 竜 児 三重県四日市市東邦町1番地 モンサント 化成株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量平均粒子径0.05〜0.25未満μ
    mのゴム重合体ラテックス60〜90重量%(固形分基
    準)と、重量平均粒子径0.25〜0.65μmのゴム
    重合体ラテックス10〜40重量%(固形分基準)の混
    合ラテックス中でシアン化ビニル単量体50〜90重量
    %及び芳香族ビニル単量体10〜50重量%からなる単
    量体を主成分とする単量体混合物を乳化重合させること
    を特徴とする、グラフト共重合体(ただし、ゴム重合体
    と単量体混合物の割合は、ゴム重合体10〜80重量部
    に対して単量体混合物90〜20重量部(両者の合計を
    100重量部とする)である)の製造法。
  2. 【請求項2】下記の成分Aおよび成分Bを含んでなり、
    両成分の合計中成分Aの割合が5〜50重量%であるこ
    とを特徴とする、耐衝撃性樹脂組成物。 成分A: 請求項1に記載の方法によって得られる、グ
    ラフト共重合体。 成分B: シアン化ビニル単量体50〜90重量%及び
    芳香族ビニル単量体10〜50重量%からなる単重体を
    主成分とする単量体混合物の重合生成物である、硬質重
    合体。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013018950A (ja) * 2011-07-12 2013-01-31 Nippon A&L Inc ゴム強化熱可塑性樹脂組成物
JP2017538799A (ja) * 2014-12-24 2017-12-28 エルジー・ケム・リミテッド ジエン系ゴムラテックスの製造方法、及びこれを含むアクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体

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US10508159B2 (en) 2014-12-24 2019-12-17 Lg Chem, Ltd. Method for preparing diene-based rubber latex and acrylonitrile-butadiene-styrene graft copolymer comprising the same

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