JPH06263958A - 耐HCFC−141b性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびHCFC−141bを発泡剤とする断熱材と接触する冷蔵庫内箱用成形材料 - Google Patents

耐HCFC−141b性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびHCFC−141bを発泡剤とする断熱材と接触する冷蔵庫内箱用成形材料

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JPH06263958A
JPH06263958A JP8258693A JP8258693A JPH06263958A JP H06263958 A JPH06263958 A JP H06263958A JP 8258693 A JP8258693 A JP 8258693A JP 8258693 A JP8258693 A JP 8258693A JP H06263958 A JPH06263958 A JP H06263958A
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hcfc
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Tatsuji Toyotaka
立自 豊高
Hiroshi Kojima
洋 小島
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Sumika Polycarbonate Ltd
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Sumitomo Dow Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 ゴムに芳香族ビニル化合物(以下、STと記
す。)とシアン化ビニル化合物(以下、ANと記す。)
が重合したグラフト重合体が、ST−AN共重合体中に
分散してなるゴム強化樹脂と、ポリエチレンおよび/ま
たはポリプロピレンにSTとANが重合してなるグラフ
ト重合体とからなる組成物。ゴム強化樹脂中、ゴム10
〜40重量%、グラフト率20〜70重量%、グラフト
側鎖を形成するST/AN比80〜60/20〜40で
あり、ゴム強化樹脂100重量部当たりグラフト重合体
が0.5〜10重量部である耐HCFC−141b性に
優れる熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 機械的強度、加工性、外観、熱安定性等を併
せもち、代替フロン(HCFC−141b)を用いる冷
蔵庫等の内箱成形に適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐HCFC−141b
性に優れる熱可塑性樹脂組成物および冷蔵庫内箱用成形
材料に関するものであり、さらに詳しくは、1,1−ジ
クロロ−1−フロロエタン(HCFC−141b)に対
する耐性に優れる熱可塑性樹脂組成物および冷蔵庫内箱
用成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫、冷凍庫などの断熱・保冷容器に
おいては、一般的にスチレン系樹脂(ABS樹脂、ハイ
インパクトポリスチレン)よりなるシートを真空成形法
で成形した内箱と金属製外箱との間に硬質ウレタンの発
泡層を設け、断熱体としている。かかる発泡層はウレタ
ン原液と発泡剤である「フロン」(トリクロロモノフロ
ロメタン”CFC−11”)によって形成されが、その
際、CFC−11そのものがスチレン系樹脂製内箱に接
触、また発泡にともなう発熱や発泡層の収縮などの原因
によりスチレン系樹脂製内箱に応力がかかり、内箱にク
ラックや白化を生じると言った問題があった。このた
め、予め発泡層と接触する面に保護層を設けなければな
らず、生産工程の煩雑化や内箱自身の強度低下と言った
問題が残されていた。
【0003】さらに、近年、CFC−11などのオゾン
層破壊物質の生産ならびに使用が規制されており、CF
C−11に代わる発泡剤、すなわち1,1−ジクロロ−
2,2,2−トリフロロエタン(HCFC−123)、
1,1−ジクロロ−1−フロロエタン(HCFC−14
1b)等の代替フロンによる検討が進められている。そ
れらの内、毒性等の点も含めてHCFC−141bが有
力な代替候補として挙げられる。
【0004】しかしながら、HCFC−141bをはじ
め代替フロンは、CFC−11に比べ極性が強いため、
従来のスチレン系樹脂を用いた内箱ではクラックや白化
による強度低下が著しく、良品を得ることができない。
内箱の厚みを増加させることにより強度低下を防止する
ことができるが、内箱重量の増加や真空成形時の予熱時
間が長くなると言った問題がある。また、スチレン系樹
脂中のアクリロニトリル含有量を増加させることにより
代替フロンに対する耐性を向上させることができるが、
スチレン系樹脂の加工性、強度および熱安定性が低下す
ると言った極めて重大な問題が残されていた。
【0005】このため、スチレン系樹脂の特長である優
れた機械的強度、加工性、外観、熱安定性等を犠牲にす
ることなく、より耐フロン性(耐HCFC−141b
性)に優れた材料の開発が望まれていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】本発明は、HCFC−141bを発泡剤と
して用いる冷蔵庫や冷凍庫の内箱用材料に適した熱可塑
性樹脂組成物を提供することにある。
【問題点を解決するための手段】
【0007】本発明者は、内箱用材料として用いられる
熱可塑性樹脂組成物において、特定組成のゴム強化樹脂
に少量の特定グラフト重合体を配合することにより、ス
チレン系樹脂の特長である優れた耐衝撃性、加工性、熱
安定性などを犠牲にすることなく、耐HCFC−141
b性に優れる熱可塑性樹脂組成物および冷蔵庫内箱用成
形材料が得られることを見出し、本発明に到達したもの
である。
【0008】すなわち、本発明は、ゴム質重合体に芳香
族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が重合してなる
グラフト重合体が、芳香族ビニル−シアン化ビニル共重
合体中に分散してなるゴム強化樹脂(A)と、ポリエチ
レンおよび/またはポリプロピレンに芳香族ビニル化合
物とシアン化ビニル化合物が重合してなるグラフト重合
体(B)とからなる組成物であって、ゴム強化樹脂
(A)における、ゴム質重合体含有量が10〜40重量
%、グラフト率が20〜70重量%、グラフト側鎖を形
成する芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物の重
量比率が80〜60/20〜40、共重合体中のシアン
化ビニル化合物含有量が32〜45重量%であり、かつ
ゴム強化樹脂(A)100重量部当たりグラフト重合体
(B)が0.5〜10重量部である耐HCFC−141
b性に優れる熱可塑性樹脂組成物および冷蔵庫内箱用成
形材料を提供するものである。以下に、本発明につき詳
細に説明する。
【0009】・ゴム強化樹脂(A) ゴム強化樹脂(A)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル化
合物とシアン化ビニル化合物が重合してなるグラフト重
合体が、芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体中に分
散してなる樹脂である。一般的には、ゴム質重合体の存
在下に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との
単量体混合物をグラフト共重合するか、もしくは該グラ
フト共重合体と別途芳香族ビニルとシアン化ビニルを共
重合させた共重合体を混合することにより得られる。
【0010】ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、
ブタジエン−スチレン重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル重合体等の共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピ
レン重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エ
チリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)重
合体、エチレン−ブチレン重合体等のエチレン−αオレ
フィン系ゴム、ポリイソプレン、ポリブチルアクリレー
ト、エチレン−酢酸ビニル重合体、塩素化ポリエチレ
ン、ブタジエン−スチレン重合体の水添化物(SEB
S)などが挙げられ、1種または2種以上用いることが
できる。特に共役ジエン系ゴムならびにエチレン−αオ
レフィン系ゴムが好ましい。
【0011】ゴム強化樹脂(A)における、ゴム質重合
体の含有量〔10〜40重量%〕は、グラフト重合体を
構成するゴム質重合体の量および/またはグラフト重合
体と芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体との混合比
率を変動させることにより任意に調整することができ
る。ゴム質重合体含有量が10重量%未満では耐衝撃性
が劣り、また40重量%以上では加工性が劣る。ゴム質
重合体含有量のより好ましい範囲は15〜30重量%で
ある。
【0012】グラフト重合体としては、共役ジエン系ゴ
ムに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が重合
してなるグラフト重合体と、エチレン−αオレフィン系
ゴムに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が重
合してなるグラフト重合体との混合物であることが、耐
フロン性の面より好ましい。
【0013】グラフト重合体および芳香族ビニル−シア
ン化ビニル共重合体を構成する芳香族ビニル化合物とし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチ
レン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−
ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチル
スチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロム
スチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等が例
示され、一種または二種以上用いることが出来る。特に
スチレンが好ましい。
【0014】同じくグラフト重合体および芳香族ビニル
−シアン化ビニル共重合体を構成するシアン化ビニル化
合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、フマロニトリル等が挙げられ、一種または二種以上
用いることが出来る。特にアクリロニトリルが好まし
い。
【0015】なお、本発明の目的を害しない範囲内で、
上記芳香族ビニル化合物の一部をメチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル、マレイ
ミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、O−クロル−N−フェニルマレイミド
等のマレイミド化合物に置換することも十分可能であ
る。
【0016】ゴム強化樹脂(A)における、グラフト重
合体のグラフト率は、20〜70重量%、好ましくは3
0〜60重量%である。グラフト率が20重量%未満で
は耐衝撃性と共に耐HCFC−141b性が劣り、また
70重量%以上では加工性が劣るため好ましくない。グ
ラフト率は、アセトンを溶媒として可溶部と不溶部に抽
出分離し、次式に従い求めることができる。 グラフト率(%)=〔アセトン不溶部重量−ゴム強化樹
脂(A)中のゴム質重合体重量〕÷ゴム強化樹脂(A)
中のゴム質重合体重量×100
【0017】また、上記グラフト重合体の側鎖を形成す
る芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との重量
比率は、80〜60/20〜40(合計重量100)で
ある。芳香族ビニル化合物の比率が60/40未満では
加工性に劣り、また80/20を越すと耐衝撃性に劣る
ため好ましくない。
【0018】ゴム強化樹脂(A)のもう一つの構成要素
として、グラフトしていない、即ちアセトン可溶部とし
て抽出され得る芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体
におけるシアン化ビニル化合物含有量が重要であり、そ
の範囲は32〜45重量%である。シアン化ビニル化合
物の含有量が32重量%未満では後述のグラフト重合体
(B)を配合しても耐HCFC−14b性改良効果が不
十分であり、45重量%を越すと加工性が劣ると共に着
色黄変が著しく悪化する等熱安定性に劣り、好ましくな
い。特に好ましくは、芳香族ビニル−シアン化ビニル共
重合体(アセトン可溶部)中のシアン化ビニル化合物の
含有量35〜40重量%である。
【0019】なお、芳香族ビニル−シアン化ビニル共重
合体は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物と
シアン化ビニル化合物との単量体混合物をグラフト重合
させる際に副生成するもの、もしくは該グラフト重合体
と別途に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物と
を共重合させた共重合体との混合物である。
【0020】ゴム強化樹脂(A)の製造法としては、乳
化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、およ
びそれらの組み合わせによる方法が挙げられる。
【0021】・グラフト重合体(B) 本発明におけるグラフト重合体(B)を構成するポリエ
チレンとは、一般に低密度ポリエチレン、中密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ンと称されるポリエチレンを意味する。又、ポリプロピ
レンとは、一般にアイソタチックポリプロピレン、結晶
性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン
−ブテン−1ランダム共重合体と称されるポリプロピレ
ンを意味し、ポリプロピレン製造時に副生成されるアタ
クチックポリプロピレンはかかる範疇に入るものでな
い。さらに、常温でゴム状を示すエチレン−αオレフィ
ンゴム(EPR)やエチレン−αオレフィン−共役ジエ
ンゴム(EPDM)もかかる範疇に入るものでない。そ
れらのものでは、耐衝撃性の面では優れるものの加工性
に劣る。
【0022】グラフト重合体(B)を構成する芳香族ビ
ニル化合物およびシアン化ビニル化合物としては、ゴム
強化樹脂(A)の項において述べられた化合物が挙げら
れ、各々スチレンとアクリロニトリルが好ましい。ま
た、本発明の目的を害しない範囲で、芳香族ビニル化合
物の一部を他の化合物(ゴム強化樹脂(A)の項で挙げ
られた不飽和カルボン酸アルキルエステルやマレイミド
化合物など)に変えて使用することも可能である。
【0023】また、グラフト重合体(B)を構成するポ
リエチレンおよび/またはポリプロピレンと単量体(芳
香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物)との比率に
は特に制限はないが、最終組成物の物性面からポリエチ
レンおよび/またはポリプロピレン100重量部当た
り、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物の
合計量が20〜200重量部、好ましくは、40〜10
0重量部である。
【0024】さらに、グラフト重合体(B)の側鎖を形
成する芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との
重量比率には、特に制限はないが80〜60/20〜4
0(合計重量100)であることが好ましい。
【0025】また、グラフト重合体(B)を得るための
重合法にも特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、
塊状重合法、溶液重合法、およびそれらの組み合わせに
よる方法が挙げられる。
【0026】・組成物 本発明の組成物は、上述のゴム強化樹脂(A)とグラフ
ト重合体(B)とからなり、その配合比率はゴム強化樹
脂(A)100重量部当たり、グラフト重合体(B)が
0.5〜10重量部である。グラフト重合体(B)の配
合量が0.5重量部未満では十分な耐HCFC−141
b性が得られず、10重量部を越すと耐HCFC−14
1b性は十分であるが耐衝撃性が劣り好ましくない。上
述の組成物は、HCFC−141bを発泡剤とする断熱
剤と接触する冷蔵庫内箱用成形材料として有用であり、
従来技術でかかる組成物よりシートティングしたのち、
真空成形法で内箱を成形する方法や組成物から直接内箱
を成形する方法などが挙げられる。
【0027】ゴム強化樹脂(A)とグラフト重合体
(B)との混合方法については特に制限はなく、水分散
状態で、又は粉末、ビーズ、ペレット等の状態で混合す
る事ができる。溶融混練方法としては、バンバリーミキ
サー、ロール、押出機等の公知の方法を採用することが
できる。なお、混合時に、必要に応じて酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、
難燃剤、離型剤等の添加剤を配合することができる。
【0028】以下に実施例および比較例により本発明を
具体的に説明する。なお、部数およびパーセントについ
てはいずれも重量基準で示した。また、表中で用いられ
るANはアクリロニトリルを、STはスチレンを意味す
る。
【0029】参考例 ・ゴム強化樹脂(A−1) 還流冷却器付き重合槽にブタジエン−スチレン共重合体
ラテックス(スチレン含有量10%、固形分50%)4
0部と脱イオン水110部にデキストリン0.1部、無
水ピロリン酸ナトリウム0.1部及び硫酸第一鉄0.0
05部を溶解した水溶液を添加し、気相部を窒素置換し
たのち70℃に昇温した。槽内温度が70℃に達した
ら、アクリロニトリル32部、スチレン48部、t−ド
デシルメルカプタン1.0部、クメンハイドロパーオキ
サイド0.3部の混合液及び脱イオン水20部にオレイ
ン酸カリウム2.0部を溶解した乳化剤溶液を4時間に
亘り連続添加した。連続添加中は槽内温度を70℃に保
ち、連続添加完了後さらに70℃で2時間熟成し、重合
を完了した。得られたグラフト重合体ラテックスを、脱
イオン水250部に硫酸マグネシウム4.0部を溶解し
た水溶液(95℃)中に添加してラテックスを破壊し、
脱水、乾燥してパウダー状のゴム強化樹脂(A−1)を
得た。得られたゴム強化樹脂(A−1)は第1表に示す
如く、グラフト率44、グラフト側鎖を形成するスチ
レン−アクリロニトリル共重合体中のアクリロニトリル
が33%、グラフトしていないスチレン−アクリロニト
リル共重合体(アセトン可溶部)のアクリロニトリルが
36%であった。
【0030】・ゴム強化樹脂(A−2〜A−4) ゴム強化樹脂(A−1)でのブタジエン−スチレン共重
合体ラテックス量を60部、アクリロニトリルを30
部、スチレンを40部とした以外は(A−1)と同様の
操作を行い、グラフト重合体ラテックスを得た。得られ
たグラフト重合体ラテックスを単独で、もしくは別の還
流冷却器付き重合槽を用い、t−ドデシルメルカプタン
1.0部を含むアクリロニトリル45部及びスチレン5
5部を公知の乳化重合法に基づき重合して得られたスチ
レン−アクリロニトリル共重合体ラテックスと、ブタジ
エン−スチレン共重合体含有量が20部及び15部とな
る用に混合し、ゴム強化樹脂(A−1)と同様な塩析・
乾燥処理を施し、ゴム強化樹脂(A−2〜A−4)を得
た。得られたゴム強化樹脂(A−2〜A−4)の性状を
第1表に示す。
【0031】・ゴム強化樹脂(A−5) ゴム強化樹脂(A−1)でのブタジエン−スチレン共重
合体ラテックス量を60部、アクリロニトリルを20
部、スチレンを50部、t−ドデシルメルカプタンを
0.7部とした以外は(A−1)と同様の操作を行い、
グラフト重合体ラテックスを得た。一方、別の還流冷却
器付き重合槽を用い、t−ドデシルメルカプタン1.0
部を含むアクリロニトリル45部及びスチレン55部を
公知の乳化重合法に基づき重合を行い共重合体ラテック
スを得、前記グラフト重合体ラテックスと、ゴム質重合
体含有量が20部となる様に混合し、ゴム強化樹脂(A
−1)同様な塩析・乾燥処理を施し、ゴム強化樹脂(A
−5)を得た。ゴム強化樹脂(A−5)の性状を第1表
に示す。
【0032】・ゴム強化樹脂(A−6) エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム
(プロピレン含有量41%、ヨウ素価15、ムーニー粘
度65)50部、アクリロニトリル20部及びスチレン
30部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を公知の懸
濁重合法に基づき重合を行い、乾燥処理した。一方、還
流冷却器付き重合槽を用い、t−ドデシルメルカプタン
1.0部を含むアクリロニトリル40部及びスチレン6
0部を公知の乳化重合法に基づ重合を行い、塩析、乾燥
処理した。両者をゴム質重合体含有量が20部となる様
に混合し、ゴム強化樹脂(A−6)を得た。得られたゴ
ム強化樹脂(A−6)は、第1表に示した如く、グラフ
ト率45%、グラフト側鎖を形成するスチレン−アクリ
ロニトリル共重合体中のアクリロニトリルが30%、グ
ラフトしていないスチレン−アクリロニトリル共重合体
(アセトン可溶部)中のアクリロニトリルが35%であ
った。
【0033】・ゴム強化樹脂(A−7) ゴム強化樹脂(A−1)でのアクリロニトリル量を24
部、スチレン量を56部、t−ドデルメルカプタン量を
0.7部とした以外は(A−1)と同様の操作を行い、
グラフト重合体ラテックスを得た。得られたゴム強化樹
脂(A−7)は、第1表に示した如く、グラフト率48
%、グラフト側鎖を形成するスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体中のアクリロニトリルが27%、グラフトし
ていないスチレン−アクリロニトリル共重合体(アセト
ン可溶部)中のアクリロニトリルが29%であった。
【0034】・ゴム強化樹脂(A−8) ゴム強化樹脂(A−1)でのアクリロニトリル量を44
部、スチレン量を36部、t−ドデシルメルカプタン量
を1.4部とした以外は(A−1)と同様の操作を行
い、ゴム強化樹脂(A−8)を得た。得られたゴム強化
樹(A−8)は、第1表に示した如く、グラフト率55
%、グラフト側鎖を形成するスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体中のアクリロニトリルが44%、グラフトし
ていないスチレン−アクリロニトリル共重合体(アセト
ン可溶部)中のアクリロニトリルが47%であった。
【0035】・ゴム強化樹脂(A−9) ゴム強化樹脂(A−1)でのt−ドデシルメルカプタン
量を1.5部、クメンハイドロパーオキサイドの量を
0.2部とし、かつ重合時の槽内温度を60℃とした以
外は(A−1)と同様の操作を行い、ゴム強化樹脂(A
−9)を得た。ゴム強化樹脂(A−9)の性状を第2表
に示す。
【0036】・ゴム強化樹脂(A−10) ゴム強化樹脂(A−1)でのt−ドデシルメルカプタン
量を0.6部、クメンハイドロパーオキサイドの量を
0.4部とし、かつ重合時の槽内温度を75℃とした以
外は(A−1)と同様の操作を行い、ゴム強化樹脂(A
−10)を得た。ゴム強化樹脂(A−10)の性状は第
2表に示した。
【0037】・グラフト重合体(B−1) ポリエチレン(高圧法ポリエチレン、密度0.918g
/cm3 、メルトフローレート7g/10分)50部、
アクリロニトリル15部及びスチレン35部を公知の懸
濁重合法に基づき重合法に基づき重合を行い、脱水・乾
燥処理し、グラフト重合体(B−1)を得た。
【0038】・グラフト重合体(B−2) ポリプロピレン(密度0.89g/cm3 、メルトフロ
ーレート1.2g/10分)50部、アクリロニトリル
15部及びスチレン35部を公知の懸濁重合法に基づき
重合を行い脱水・乾燥処理し、グラフト重合体(B−
2)を得た。
【0039】実施例及び比較例 参考例で示されたゴム強化樹脂(A−1〜A−10)及
びグラフト重合体(B−1〜B−2)を用いて表−3〜
4に示される配合比率に基づく組成物をペレット化した
後、それぞれの特性を評価し、表−2〜3に結果を示し
た。なお、ペレット化に際し、安定剤として住友化学社
製2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール”ス
ミライザーBHT”および滑剤としてエチレンステアリ
ルアミドを配合した。
【0040】各種評価は次の要領で実施した。 (1)ノッチ付きアイゾット衝撃強度(NI) 3.5オンス射出成形機を用い、シリンダー設定温度2
20℃でASTM D−256に準拠し、1/4インチ
厚の試験片を作成後23℃で測定。 (2)加工性 高化式フローテスターを用い、210℃にて30kg/
cm荷重下で測定。 (3)熱安定性 i)高化式フローテスター内に260℃にて30分間滞
留させ、その後の変色度合いを目視判定。 ○:変色 無〜小 △: 〃 中 ×: 〃 大 ii)260℃における滞留による加工性の低下度合い
をパーセントで表示。 値の小さい方が熱安定性に優れる。 (4)耐HCFC−141b性 i)膨潤度 ペレットを220℃で2mm厚にプレスし、4cm×2
cmのテスト用シートとした後、23℃にて60時間H
CFC−141bに浸漬した後の重量変化より算出。 値の低い方がHCFC−141b性に優れる。 ii)臨界歪 3.5オンス射出成形機を用い、シリンダー設定温度2
20℃で15cm×2cm×0.3cm厚の射出成形品
を片持ちばりの治具に固定し3cmのたわみをかけた
後、HCFC−141b蒸気中に放置。その後、手で折
ってクラックのはいる歪量(最大値1.3%)を求め
た。値の大きいほうがHCFC−141b性に優れる。
【0041】表−3〜4に示した如く、本発明の範囲内
の熱可塑性樹脂組成物は、従来のゴム強化スチレン系で
は使用不可能なHCFC−141bに対して十分な抵抗
力を示し、かつ機械的強度、加工性、熱安定性にも優れ
ていることがわかる。一方、比較例1、2の如く、グラ
フト重合体(B)が存在しなければ耐HCFC−141
b性が劣り、比較例3、7に示した如く、グラフトして
いないスチレン−アクリロニトリル共重合体中のアクリ
ロニトリル含有量が本発明の範囲より低い場合にも同じ
く耐HCFC−141b性が劣る。また、比較例4の如
く、逆にグラフトしていないスチレン−アクリロニトリ
ル共重合体中のアクリロニトリル含有量が本発明の範囲
より高い場合、耐HCFC−141b性は問題ないが、
耐衝撃性や加工性及び熱安定性が劣る。比較例5はゴム
強化樹脂(A)のグラフト率が本発明の範囲より低い場
合、比較例6は逆に高い場合であるが、両方とも耐衝撃
性に劣り、前者の場合は耐HCFC−141b性の低
下、後者の場合は加工性の低下といった問題点も生じ
る。さらに、比較例8はグラフト重合体(B)が本発明
の範囲より多い例であるが、この場合耐HCFC−14
1b性には何ら問題はないが耐衝撃性が低下し、好まし
くない。
【0042】
【表−1】
【0043】
【表−2】
【0044】
【表−3】
【0045】
【表−4】
【0046】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来の
組成物に比べ優れた耐フロン性(耐HCFC−141b
性)を有すると共にスチレン系樹脂の特長である優れた
機械的強度、加工性、外観、熱安定性等を有している。
このため、代替フロン(HCFC−141b)を用いる
冷蔵庫、冷凍庫の内箱成形に適した材料として、利用価
値が高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物とシ
    アン化ビニル化合物が重合してなるグラフト重合体
    が、芳香族ビニル−シアン化ビニル共重合体中に分散
    してなるゴム強化樹脂(A)と、ポリエチレンおよび/
    またはポリプロピレンに芳香族ビニル化合物とシアン化
    ビニル化合物が重合してなるグラフト重合体(B)とか
    らなる組成物であって、 ゴム強化樹脂(A)における、ゴム質重合体含有量が1
    0〜40重量%、グラフト率が20〜70重量%、グラ
    フト側鎖を形成する芳香族ビニル化合物/シアン化ビニ
    ル化合物の重量比率が80〜60/20〜40、共重合
    体中のシアン化ビニル化合物含有量が32〜45重量%
    であり、かつゴム強化樹脂(A)100重量部当たりグ
    ラフト重合体(B)が0.5〜10重量部であることを
    特徴とする耐HCFC−141b性に優れる熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物から
    なるHCFC−141bを発泡剤とする断熱材と接触す
    る冷蔵庫内箱用成形材料。
JP8258693A 1993-03-16 1993-03-16 耐HCFC−141b性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびHCFC−141bを発泡剤とする断熱材と接触する冷蔵庫内箱用成形材料 Pending JPH06263958A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100396910B1 (ko) * 2000-12-26 2003-09-02 제일모직주식회사 내화학성과 유동성이 우수한 냉장고용 열가소성 수지조성물
KR100396402B1 (ko) * 2000-12-21 2003-09-02 제일모직주식회사 내약품성과 진공성형성이 우수한 열가소성 수지 조성물

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KR100396402B1 (ko) * 2000-12-21 2003-09-02 제일모직주식회사 내약품성과 진공성형성이 우수한 열가소성 수지 조성물
KR100396910B1 (ko) * 2000-12-26 2003-09-02 제일모직주식회사 내화학성과 유동성이 우수한 냉장고용 열가소성 수지조성물

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