JPH05155949A - 冷蔵庫内箱用樹脂組成物 - Google Patents

冷蔵庫内箱用樹脂組成物

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JPH05155949A
JPH05155949A JP32593191A JP32593191A JPH05155949A JP H05155949 A JPH05155949 A JP H05155949A JP 32593191 A JP32593191 A JP 32593191A JP 32593191 A JP32593191 A JP 32593191A JP H05155949 A JPH05155949 A JP H05155949A
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freon
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refrigerator
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JP32593191A
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Tatsuji Kamoshita
下 竜 児 鴨
Koji Takimoto
本 幸 二 滝
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MONSANT KASEI KK
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MONSANT KASEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フロン123またはフロン141bに耐える
冷蔵庫内箱用樹脂組成物の提供。 【構成】 フロン123および(あるいは)フロン14
1bによる膨潤量が1重量%以下であり、かつ、低温白
化発生歪値が0.6%以上(いずれも、測定法特定)で
あることを特徴とする、冷蔵庫内箱用熱可塑樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、耐フロン性に優れた、
それゆえ10年におよぶ冷蔵庫のライフタイムにおいて
も品質を損なわない、冷蔵庫内箱を形成できる熱可塑性
樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、例え
ばABS樹脂の範疇でゴム質およびマトリクスの組成を
最適設計することにより、フロン123あるいはフロン
141bに対する膨潤量と低温白化発生歪値とを一定の
範囲内にした、冷蔵庫内箱用の熱可塑性樹脂組成物に関
する。なお、本発明で「冷蔵庫内箱」とは冷蔵庫の扉内
装をも包含するものとする。
【0002】
【従来の技術】最近の冷蔵庫の箱体は、内箱と外箱とを
結合させて形成した両箱間の空間に、硬質ポリウレタン
フォーム原液を注入して発泡固化させる(以下、in−
situ発泡法と称する)ことによって、断熱箱体とし
て形成されている。また、冷蔵庫の扉においても、内装
と外枠とを結合させて形成した空間にin−situ発
泡法で硬質ポリウレタンフォームを充填して、断熱体と
する。
【0003】現在、冷蔵庫の内箱には、主としてABS
樹脂およびPP樹脂等が用いられている。ここでABS
樹脂とは、ポリブタジエンをはじめとするゴム質重合体
の存在下にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物
とからなる単量体混合物を重合させて得られる、あるい
はそれにシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物と
の共重合体をブレンドしてなる、該両単量体混合物の一
部が重合して結合したゴム成分分散相とシアン化ビニル
化合物/芳香族ビニル化合物共重合体のマトリクスとか
らなる樹脂組成物であって、具体的には、たとえば、樹
脂組成物における各成分の含有量がゴム質重合体が5〜
25重量%、シアン化ビニル化合物が15〜30重量%
そして芳香族ビニル化合物が45〜75重量%、程度で
あるものをいう。
【0004】冷蔵庫の内箱にABS樹脂等が用いられて
きた理由としては、剛性と耐衝撃性との高い物性バラン
ス、容易な真空成形性、優れた光沢を有する外観、硬質
ポリウレタンフォームの発泡剤であるフロン11(トリ
クロロモノフロロメタン)に対する耐ストレスクラック
性、が挙げられる。冷蔵庫の内箱は、熱可塑性の樹脂の
平板を加熱軟化させておき、1〜4kg/cm2 の空気圧で
型に沿わせて賦形する、いわゆる真空/圧空成形工法に
よって製造される。したがって、内箱用樹脂には容易な
真空成形性、具体的には広い温度領域にわたって適当な
粘弾性を保つ特性、が必要である。また、真空/圧空成
形によって得られた内箱の平均厚さは1mmを下回るの
で、これを外箱に組込む際の力による変形や割れを避け
るために、内箱用樹脂には高い剛性と耐衝撃性の両立が
要求される。ABS樹脂からなる内箱に鉄板からなる外
箱を結合して形成した空間にin−situ発泡法で硬
質ポリウレタンフォームを充填すると、硬質ポリウレタ
ンフォームはABS樹脂および鉄板に接着するため、冷
蔵庫稼働時に鉄板/硬質ポリウレタンフォーム/ABS
樹脂の線膨張係数の差に起因する応力が生じる。いっぽ
う、硬質ポリウレタンフォームのセル内に残存している
発泡材のフロン11はセル/スキンを徐々に透過して内
箱に到達する。したがって、フロン11に対して耐スト
レスクラック性を有することが、内箱用樹脂には必要で
ある。また、低温で硬くて脆い硬質ポリウレタンフォー
ムのスキンが内箱の表面に生成してノッチ効果を生じる
ことから、内箱用樹脂には高い低温アイゾット衝撃値が
必要とされる。そのうえ、優れた光沢は冷蔵庫のみばえ
を良くするために必要である。
【0005】また、一部の冷蔵庫の内箱(扉内装)に、
ポリスチレン系樹脂(HIPS)やポリプロピレン系樹
脂(PP)が用いられているが、これらは上述の内箱用
樹脂に要求される特性の一部を欠くことがあり、冷蔵庫
の内箱にはABS樹脂が通常もっとも適していると考え
られてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】硬質ポリウレタンフォ
ームの発泡剤であるフロン11は、塩素を含んでいるこ
とおよび難分解性であることから、成層圏オゾン層を破
壊する疑いを持たれ、全世界的にその使用が制限される
動向にある。フロン11に替わる硬質ポリウレタンフォ
ームの発泡剤としてフロン123および(あるいは)フ
ロン141bが使用されようとしている。ところが、こ
れらはいずれも冷蔵庫の内箱に従来使用されてきたAB
S樹脂に対する溶解力がフロン11より高いため、フロ
ン123および(あるいは)フロン141bを用いてi
n−situ発泡法で硬質ポリウレタンフォームを充填
した冷蔵庫の従来のABS樹脂等で製造した内箱は、応
力下で容易にクレイズあるいはクラックを生じて、冷蔵
庫の商品価値をなくす。したがって、このような動向の
下では、フロン123および(あるいは)フロン141
bに対して耐ストレスクラック性を有する、そして同時
に従来通り、剛性と耐衝撃性との高い物性バランス、容
易な真空成形性、優れた光沢の外観を有する材質をもっ
て、冷蔵庫の内箱および扉内装を作成する必要がある。
【0007】 〔発明の概要〕
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、ABS樹脂等の範疇に属する耐衝撃性樹脂に
おいてもゴム質およびマトリクスの組成等を最適設計す
れば、フロン123および(あるいは)フロン141b
の強い溶解力に抗して耐ストレスクラック性を有すると
同時に、樹脂本来の高い物性バランス、容易な真空成形
性、優れた外観を兼備えた樹脂組成物が得られることを
発見し、フロン11の代わりにフロン123および(あ
るいは)フロン141bを硬質ポリウレタンフォームの
発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱および扉内装用樹脂とし
て、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明による冷蔵庫内箱用樹脂
組成物は、フロン123(すなわち1−ヒドロ‐1,1
‐ジクロロ‐2,2,2‐トリフロロエタン)および
(あるいは)フロン141b(すなわち1,1,1‐ト
リヒドロ‐2,2‐ジクロロ‐2‐フロロエタン)によ
る、膨潤量が1重量%以下であり、かつ、低温白化発生
歪値が0.6%以上であること、を特徴とするものであ
る。
【0009】本発明において、膨潤量および低温白化発
生歪値とは、下記の方法で測定される値をいう。
【0010】(イ)フロンに対する膨潤量の測定 樹脂組成物を、一辺の長さ50mmの正方形で厚さ2mmの
試験片に圧縮成形する。23℃の飽和フロン蒸気に満た
される内容積5リットルの密閉容器に試験片を投入し、
20時間後に取出す。取出し後の重量と投入前の重量の
差から、フロンに対する膨潤量を計算する。
【0011】(ロ)フロンに対する低温白化発生歪値の
測定 樹脂組成物を、ダンベル形に圧縮成形し、in−sit
u発泡法で硬質ポリウレタンフォームを接着させて、試
験片とする。試験片を、23℃にて引張り歪を与えたま
ま冶具に固定し、ただちに冶具ごと−20℃に冷却して
17時間放置する。冷却放置後の試験片のクレイズある
いはクラックの有無を目視判定する。
【0012】なお、ダンベルの形状は、JIS−K67
34に規定されている引張り試験用で厚さ1mmのものと
し、硬質ポリウレタンフォームは、その平行部分に、幅
10mm、長さ40mm、厚さ10mmで接着させる。
【0013】ここで、この試験に関連して「in−si
tu発泡法」というのは、ダンベル形試料に接触した状
態で硬質ポリウレタンフォームの発泡形成を行なわせる
ことを意味する。
【0014】 〔発明の具体的説明〕 <樹脂組成物/化学的本体>本発明による冷蔵庫内箱用
樹脂組成物は、耐フロン123および(または)フロン
141bの要件によって特定されるが、冷蔵庫内箱用と
いう用途から成型性および耐衝撃性等において最低限の
条件を充足するものでなければならない。これらの性質
において、従来から賞用されてきた樹脂組成物よりも劣
るものであってはならない。
【0015】このような観点からすれば、本発明による
冷蔵庫用樹脂組成物も、従来賞用されてきたABS樹脂
の範疇に入るものが代表的かつ好ましい具体例である。
【0016】従って、本発明による冷蔵庫内箱用樹脂組
成物の好ましい具体例は、化学的には、いわゆるABS
樹脂であって、ゴム質重合体の存在下にシアン化ビニル
化合物と芳香族ビニル化合物等の単量体を共重合させて
得られる、あるいはさらにそれにシアン化ビニル化合物
と芳香族ビニル化合物等の単量体との共重合体をブレン
ドしてなる、樹脂組成物である。
【0017】本発明による好ましい実施態様例は、樹脂
組成物中のこれら三必須成分の含有量がそれぞれ10〜
25重量%、30〜55重量%、および30〜55重量
%である(詳細後記)。
【0018】ABS樹脂は周知である。ゴム質重合体と
しては、単量体成分として主として1,3‐ジエン、特
にブタジエン、イソプレンまたはクロロプレン、に、あ
るいはアルキルアクリレート(アルキル基の炭素数は1
〜8程度、好ましくは2〜6程度)に、あるいはエチレ
ン/プロピレンに、そのゴム弾性の主要部分を負うもの
が好ましい。すなわち、本発明でいう「ABS樹脂」
は、「B」成分が必ずしも1,3‐ブタジエンに限られ
ず、また「B」成分が1,3‐ブタジエンに基くもので
あっても必ずしもホモポリブタジエンに限られないで所
謂SBR(すなわちスチレンとの共重合体)およびNB
R(すなわちアクリロニトリルとの共重合体)を包含す
るものである。また、ゴム質重合体としては、上記のも
のが単独で、あるいは併用して用いられる。特に、アル
キルアクリレート系ゴム質重合体を一成分として使用す
るのが好ましい。このようなゴム質重合体の存在下に行
なうべきシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の
重合は、ゴム質重合体の水性ラテックスについて行なう
ことがふつうであり、また好ましい。もっとも、水性ラ
テックスの形態では得られ難いエチレン/プロピレン共
重合ゴムないしエチレン/プロピレン/非共役ジエンゴ
ムの場合は、このゴムをシアン化ビニル化合物および芳
香族ビニル化合物ならびに有機溶媒等他に溶解ないし分
散させて、これら単量体の重合を行なわせることが望ま
しい。
【0019】シアン化ビニル化合物の具体例はアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、これらの混合物、その
他であり、芳香族ビニル化合物の具体例は核および(ま
たは)側鎖置換スチレン(置換基は、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、ハロゲン原子、その他)、たとえば
スチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、クロ
ロスチレン、その他である。また、これらのシアン化ビ
ニル化合物と共重合可能な単量体として、例えばメチル
アクリレート、メチルメタクリレート等の単量体を本発
明の目的を損なわない範囲で使用することも可能であ
る。
【0020】これらの単量体の重合、すなわち「グラフ
ト重合」は、単量体組成および(または)供給速度、連
鎖移動剤の使用の有無および供給速度、重合温度、その
他の重合因子を経時的に変化させあるいは固定して、所
定時間実施する。
【0021】予め形成された重合体すなわちゴム質重合
体の存在下に単量体を重合させることに相当して、この
所謂グラフト重合の生成物は、該重合体に該単量体が化
学的に結合(すなわちグラフト結合)したものと該単量
体のみの重合体とが混合ないし複合した構造のものであ
ることがふつうである。前者が分散相/ゴム成分を、後
者がマトリクスを、それぞれ形成しているということが
できる。
【0022】<樹脂組成物/耐フロン性に及ぼす諸因子
>本発明による冷蔵庫用樹脂組成物は、フロンによる膨
潤量ならびに低温白化性によって特定されている。
【0023】本発明に規定されているフロンに対する膨
潤量は、冷蔵庫内箱用樹脂に要求される耐フロン性の一
面をあらわすものである。前記したように、硬質ポリウ
レタンフォームの発泡剤として用いられたフロンは、フ
ォームセル内にガス状態で、また、ポリウレタンからな
るセル/スキン中に溶解状態で残存している。このた
め、冷蔵庫内箱は硬質ポリウレタンフォームから、長期
的に、溶解平衡に応じてフロンの供給を受ける。内箱用
樹脂のフロン膨潤量が大きいばあい、樹脂の弾性率が低
下することによる内箱の変形や、樹脂中の溶解フロンが
高温下でガス化することによる内箱の発泡といった不良
が生じることが容易に予想される。それゆえ、フロン1
23および(あるいは)フロン141bを硬質ポリウレ
タンフォームの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱用樹脂の
フロン膨潤量は、フロン11を硬質ポリウレタンフォー
ムの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱に従来使用されてき
たABS樹脂のフロン膨潤量と比較して、同等以下でな
ければならない。
【0024】(イ)フロンによる膨潤 すなわち、本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成物は、フロン
123および(あるいは)フロン141bに対して、前
記の方法で測定される膨潤量が1重量%以下でなければ
ならない。膨潤量の下限は、たとえば0.1重量%であ
る。
【0025】ABS樹脂のように、多成分系であるとこ
ろから各成分の寄与が複雑であるうえに、樹脂個有の属
性として分子量の大小がある系においては、当該樹脂に
対する溶剤であるともいえるフロンによる膨潤に耐える
ためにはこれらの諸要素の影響を綜合的に考慮しなけれ
ば、耐フロン性の観点から実用性のある冷蔵庫内箱用素
材は得られない。
【0026】冷蔵庫内箱に従来使用されてきたABS樹
脂等は、フロン11による膨潤量に比較して、フロン1
23あるいはフロン141bによる膨潤量がきわめて大
きく、フロン123および(あるいは)フロン141b
を硬質ポリウレタンフォームの発泡剤に使用する冷蔵庫
の内箱には使用できない。しかしながら、本発明者らの
見出したところによれば、前記したように、例えばAB
S樹脂の範囲内でゴム質およびマトリクスの組成を変え
ればフロン123あるいはフロン141bに対する膨潤
量を十分に小さくすることができる。
【0027】フロンによる膨潤は、ABS樹脂中のゴム
成分にもっぱら生じる。したがって、ゴム成分の含有量
を減らせば、ABS樹脂のフロン膨潤量は小さくなる。
ただし、ゴム成分の含有量は剛性と耐衝撃性のバランス
にはもちろん、後述するフロンに対する低温白化歪値に
も密接な関連を有するので、冷蔵庫内箱用樹脂組成物と
しては単純にゴム成分の含有量を減らすことはできな
い。従って、本発明において膨潤量を、0.1重量%未
満とすることは困難である。一方、ゴム成分の組成ない
し化学的本体すなわちモノマーないしコモノマーの種類
は、フロン123あるいはフロン141bのような溶解
力の高いフロンに対する膨潤量には実質的な差異を生じ
ない。従って、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび
(あるいは)フロンに対する低温白化歪値の面から、ゴ
ム成分の化学的本体は決められるべきである。また、ゴ
ム成分の粒子径すなわち平均粒子径/粒子径分布も、フ
ロン123あるいはフロン141bのような溶解力の高
いフロンに対する膨潤量には実質的な差異を生じない。
従って、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび外観の面
から、ゴム成分の粒子径は決められるべきである。
【0028】これに対して、分散相/ゴム成分中のシア
ン化ビニル化合物/芳香族ビニル化合物共重合体からな
るグラフト成分、すなわち「枝」としてゴム質重合体の
「幹」と結合したもの、の組成すなわち平均組成/組成
分布は、ABS樹脂のフロン膨潤量に大きく影響する。
グラフト成分の平均組成においてシアン化ビニル化合物
の比率を高めると、分子間相互作用が大きくなることか
らグラフト成分のフロン透過量が小さくなり、また、A
BS樹脂のフロン膨潤量は小さくなる。ただし、グラフ
ト成分の平均組成におけるシアン化ビニル化合物の比率
は、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび真空成形性に
関連を有するので、冷蔵庫内箱用樹脂組成物としては単
純にシアン化ビニル化合物の比率を高めるべきでない。
また、グラフト成分の平均組成/組成分布は、ABS樹
脂においてゴム質重合体をマトリクスに安定分散させる
というグラフト成分本来の目的から、マトリクスをなす
シアン化ビニル化合物/芳香族ビニル化合物共重合体に
近く、狭いことが望ましい。
【0029】ABS樹脂におけるグラフト成分量のゴム
質重合体量に対する比率で表されるグラフト率は、フロ
ン123あるいはフロン141bのような溶解力の高い
フロンに対する膨潤量には実質的な差異を生じない。従
って、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび真空成形性
の面からグラフト率は決められるべきである。
【0030】一方、シアン化ビニル化合物/芳香族ビニ
ル化合物共重合体からなるマトリクスの組成すなわち平
均組成/組成分布も、ABS樹脂のフロン膨潤量に大き
く影響する。マトリクスの平均組成においてシアン化ビ
ニル化合物の比率を高めると、分子間相互作用が大きく
なることからマトリクスのフロン透過量が小さくなり、
その結果として測定時間内でのABS樹脂のフロン膨潤
量は小さくなる。ただし、マトリクスの平均組成におけ
るシアン化ビニル化合物の比率は、剛性と耐衝撃性の物
性バランスおよび真空成形性に関連を有するので、冷蔵
庫内箱用樹脂組成物としては単純にシアン化ビニル化合
物の比率を高めるべきでない。また、マトリクスの組成
分布は、ABS樹脂の均一性の面からいって、狭いこと
が望ましい。
【0031】マトリクスのシアン化ビニル化合物/芳香
族ビニル化合物共重合体の分子量は、フロン123ある
いはフロン141bのような溶解力の高いフロンに対す
る膨潤量には実質的な差異を生じない。従って、剛性と
耐衝撃性の物性バランスおよび真空成形性の面から、分
子量は決められるべきである。
【0032】(ロ)低温白化発生歪 本発明に規定されているフロンに対する低温白化発生歪
値は、冷蔵庫内箱用樹脂に要求される耐フロン性のもう
一面をあらわすものである。内箱に外箱を結合して形成
した空間にin−situ発泡法で硬質ポリウレタンフ
ォームを充填すると、硬質ポリウレタンフォームが内箱
および外箱に接着するため、冷蔵庫稼働時に内箱/硬質
ポリウレタンフォーム/外箱の線膨張係数の差に起因す
る応力が生じる。一方、硬質ポリウレタンフォームのセ
ル内に残存している発泡剤のフロンはセル/スキンを徐
々に透過して内箱に到達する。このため、内箱用樹脂の
フロンに対する耐ストレスクラック性が不十分であるば
あい、内箱はクレイズあるいはクラックの発生といった
不良を生じることが容易に予想される。それゆえ、フロ
ン123および(あるいは)フロン141bを硬質ポリ
ウレタンフォームの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱用樹
脂のフロン低温白化発生歪値は、フロン11を硬質ポリ
ウレタンフォームの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱に従
来使用されてきたABS樹脂のフロン低温白化発生歪値
と同等以上でなければならない。
【0033】すなわち、本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成
物は、フロン123あるいはフロン141bに対して、
前記の方法で測定される低温白化発生歪値が0.6%以
上でなければならない。
【0034】フロンによる低温白化発生歪もまた、膨潤
の場合と同様に、ABS樹脂に個有の各種の要素によっ
て影響を受ける。
【0035】冷蔵庫内箱に従来使用されてきたABS樹
脂は、フロン11に対する低温白化発生歪値に比較し
て、フロン123あるいはフロン141bに対する低温
白化発生歪値がきわめて小さく、フロン123および
(あるいは)フロン141bを硬質ポリウレタンフォー
ムの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱には使用できない。
しかしながら、本発明者らの見出したところによれば、
前記したように、ABS樹脂の範囲内でゴム質およびマ
トリクスの組成を変えればフロン123あるいはフロン
141bに対する低温白化発生歪を十分に大きくするこ
とができる。
【0036】すなわち、ABS樹脂中のゴム成分の量
は、フロン低温白化発生歪値に大きく影響する。ゴム成
分の含有量を増やすと、ABS樹脂の応力緩和作用が大
きくなるため、結果としてフロン低温白化発生歪値は大
きくなる。ただし、ゴム成分の含有量は剛性と耐衝撃性
のバランスにはもちろん、前述したフロンに対する膨潤
量にも密接な関連を有するので、冷蔵庫内箱用樹脂組成
物としては総合的な判断によりゴム成分の含有量を決め
るべきである。さらに、ゴム成分の組成ないし化学的本
体すなわちモノマー/コモノマー種類もABS樹脂のフ
ロン低温白化発生歪値に大きく影響する。ゴム成分の応
力緩和性はモノマー/コモノマー種類により大幅に異な
るため、応力緩和性の高いゴム組成を選択することによ
り、ABS樹脂のフロン低温白化発生歪値は大きくな
る。ただし、ゴム成分の組成は剛性と耐衝撃性の物性バ
ランスおよびその物性バランスの温度特性に密接な関連
を有するので、冷蔵庫内箱用樹脂組成物としては総合的
な判断により合成ゴムの組成を決めるべきである。従っ
て、本発明における低温白化発生歪値は、5%を超える
ことは困難となる。また、ゴム成分の粒子径すなわち平
均粒子径/粒子径分布は、フロン123あるいはフロン
141bのような溶解力の高いフロンに対するABS樹
脂の低温白化発生歪値には実質的な差異を生じない。従
って、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび外観の面か
ら、ゴム成分の粒子径は決められるべきである。
【0037】これに対して、分散相/ゴム成分中のシア
ン化ビニル化合物/芳香族ビニル化合物共重合体からな
るグラフト成分、すなわち「枝」としてゴム質重合体の
「幹」に結合したもの、の組成すなわち平均組成/組成
分布は、ABS樹脂のフロン低温白化発生歪値に大きく
影響する。グラフト成分の平均組成においてシアン化ビ
ニル化合物の比率を高めると、分子間相互作用が大きく
なることからグラフト成分のフロン透過量が小さくな
り、その結果としてABS樹脂のフロン低温白化発生歪
値は小さくなる。ただし、グラフト成分の平均組成にお
けるシアン化ビニル化合物の比率は、剛性と耐衝撃性の
物性バランスおよび真空成形性に関連を有するので、冷
蔵庫内箱用樹脂組成物としては総合的な判断によりグラ
フト成分の平均組成を決めるべきである。また、グラフ
ト成分の平均組成/組成分布は、ABS樹脂においてゴ
ム質重合体をマトリクスに安定分散させるというグラフ
ト成分本来の目的から、マトリクスをなすシアン化ビニ
ル化合物/芳香族ビニル化合物共重合体に近く、狭いこ
とが望ましい。
【0038】ABS樹脂におけるグラフト成分量の合成
ゴム成分量に対する比率であらわされるグラフト率は、
フロン123あるいはフロン141bのような溶解力の
高いフロンに対するABS樹脂の低温白化発生歪値には
実質的な差異を生じない。従って、剛性と耐衝撃性の物
性バランスおよび真空成形性の面から、グラフト率は決
められるべきである。
【0039】一方、シアン化ビニル化合物/芳香族ビニ
ル化合物共重合体からなるマトリクスの組成すなわち平
均組成/組成分布は、ABS樹脂のフロン低温白化発生
歪値に大きく影響する。マトリクスの平均組成において
シアン化ビニル化合物の比率を高めると、分子間相互作
用が大きくなることからマトリクスのフロン透過量が小
さくなり、その結果としてABS樹脂のフロン低温白化
発生歪値は小さくなる。ただし、マトリクスの平均組成
におけるシアン化ビニル化合物の比率は、剛性と耐衝撃
性の物性バランスおよび真空成形性に関連を有するの
で、冷蔵庫内箱用樹脂組成物としては総合的な判断によ
りマトリクスの平均組成を決めるべきである。また、マ
トリクスの組成分布はABS樹脂の均一性の面から狭い
ことが望ましい。
【0040】マトリクスのシアン化ビニル化合物/芳香
族ビニル化合物共重合体の分子量は、フロン123ある
いはフロン141bのような溶解力の高いフロンに対す
るABS樹脂の低温白化発生歪値には実質的な差異を生
じない。従って、剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび
真空成形性の面から、分子量は決められるべきである。
【0041】<本発明による樹脂組成物/好ましい具体
例>以上のことから、本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成物
は、フロン123および(あるいは)フロン141bに
対する膨潤量と低温白化発生歪値の両性能を満足するた
めに、それがABS樹脂である場合には、各成分の含有
量がゴム質重合体が10〜25重量%、シアン化ビニル
化合物が30〜55重量%そして芳香族ビニル化合物が
30〜55重量%の範囲にあるABS樹脂であることが
望ましい(シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物
との共重合体をブレンドしてこの量比を実現したものを
包含することはいうまでもない)。すなわち、本発明で
規定する耐フロン特性は好ましくは、ゴム質重合体と単
量体成分の比率を特定の範囲内に設定することによっ
て、実現することができる。
【0042】さらに詳しくは、本発明の冷蔵庫内箱用樹
脂組成物は、以下の組成のABS樹脂であることが望ま
しい。すなわち、合成ゴムの含有量は、ABS樹脂のフ
ロン123および/あるいはフロン141bに対する膨
潤量と低温白化発生歪値、さらに剛性と耐衝撃性の物性
バランスのすべてを好ましい範囲にするために、10〜
25重量%であることが望ましい。ゴム成分の組成ない
し化学本体は、ABS樹脂のフロン123および/ある
いはフロン141bに対する膨潤量と低温白化発生歪
値、さらに剛性と耐衝撃性の物性バランスおよびその物
性バランスの温度特性のすべてを好ましい範囲にするた
めに、そのゴム弾性の主要部分を主としてブタジエン、
イソプレン、クロロプレン、アルキルアクリレートまた
はエチレン/プロピレン、等に負うものが望ましい。こ
れらのゴム重合体は、各群内および(または)各群間で
混合物ないし複合物であってもよい。好ましくは、ゴム
弾性の主要部分を主としてアルキルアクリレートに負う
もの、すなわちゴム成分としてアルキルアクリレートを
重合させたアクリルゴムを一成分とするのがよい。
【0043】ゴム質重合体の粒子径は、ABS樹脂の剛
性と耐衝撃性の物性バランスおよび外観を好ましい範囲
にするために、0.05〜0.5μmであることが望ま
しい。
【0044】グラフト成分(枝)およびマトリクスの組
成は、ABS樹脂のフロン123および(あるいは)フ
ロン141bに対する膨潤量と低温白化発生歪値、さら
に剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび真空成型性のす
べてを好ましい範囲にするために、シアン化ビニル化合
物が35〜65重量%で芳香族ビニル化合物が35〜6
5重量%であることが望ましい。グラフト成分(すなわ
ち「枝」)の組成は、ABS樹脂においてゴム質重合体
をマトリクスに安定分散させるために、マトリクスの組
成と差異がシアン化ビニル化合物の含有量について10
重量%以内であることが望ましい。
【0045】グラフト成分(「枝」)量のゴム質重合体
(「幹」)量に対する比率であらわされるグラフト率
は、ABS樹脂の剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび
真空成形性を好ましい範囲にするために、0.3〜0.
6であることが望ましい。さらに、マトリクスの組成
は、ABS樹脂のフロン123および(あるいは)フロ
ン141bに対する膨潤量と低温白化発生歪値、さらに
剛性と耐衝撃性の物性バランスおよび真空成形性のすべ
てを好ましい範囲にするために、シアン化ビニル化合物
が35〜65重量%で芳香族ビニル化合物が35〜65
重量%であることが望ましい。
【0046】マトリクスのシアン化ビニル化合物/芳香
族ビニル化合物共重合体の分子量は、剛性と耐衝撃性の
物性バランスおよび真空成形性を好ましい範囲にするた
めに、共重合体0.1gをジメチルフォルムアミド10
0mlに溶解して粘度計で測定する比粘度で表現して0.
04〜0.08であることが望ましい。
【0047】本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成物には、樹
脂の性能を阻害しない種類および量の着色剤、耐熱性安
定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃
剤、防かび剤、滑剤、離型剤、等の樹脂添加剤を適宜く
みあわせて添加してもよい。
【0048】本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成物は、冷蔵
庫の内箱を製造する一般的な方法で、冷蔵庫の内箱およ
び扉内装にできる。一般に樹脂組成物は、コートハンガ
ーダイ付押出機にて溶融、平板に成形され、ロールで冷
却固化される。続いて平板は、真空圧空成形機にて冷蔵
庫の内箱および扉内装に成形される。
【0049】
【実施例】下記の実施例および比較例は、本発明を具体
的に説明するためのものである。本発明はその要旨を超
えないかぎり、以下の例に限定されるものではない。
【0050】I.耐フロン性の測定対象 実施例1 ポリ(ブタジエン/スチレン)合成ゴムが17.0重量
%、アクリロニトリルが49.8重量%、そしてスチレ
ンが33.2重量%であるABS樹脂を製造し(詳細後
記)、フロン123およびフロン141bに対する膨潤
量と低温白化発生歪値を測定した。
【0051】実施例2 ポリ(ブタジエン/スチレン)/ポリ(ブチルアクリレ
ート/アクリロニトリル)が重量比率で7/3である合
成ゴムが20.0重量%、アクリロニトリルが48.0
重量%、そしてスチレンが32.0重量%であるABS
樹脂を製造し、フロン123およびフロン141bに対
する膨潤量と低温白化発生歪値を測定した。
【0052】実施例3 ポリ(ブタジエン/スチレン)合成ゴムが13.5重量
%、アクリロニトリルが47.6重量%、そしてスチレ
ンが38.9重量%であるABS樹脂を製造し、フロン
123およびフロン141bに対する膨潤量と低温白化
発生歪値を測定した。
【0053】実施例4 ポリ(ブタジエン/アクリロニトリル)合成ゴムが1
3.5重量%、アクリロニトリルが47.6重量%、そ
してスチレンが38.9重量%であるABS樹脂を製造
し、フロン123およびフロン141bに対する膨潤量
と低温白化発生歪値を測定した。
【0054】実施例5 ポリ(ブタジエン/スチレン)/ポリ(ブチルアクリレ
ート/アクリロニトリル)が重量比率で5/5である合
成ゴムが17.0重量%、アクリロニトリルが41.5
重量%、そしてスチレンが41.5重量%であるABS
樹脂を製造し、フロン123およびフロン141bに対
する膨潤量と低温白化発生歪値を測定した。
【0055】比較例1 モンサント化成株式会社の冷蔵庫内箱用ABS樹脂「タ
フレックスYT−662」の、フロン11、フロン12
3およびフロン141bに対する膨潤量と低温白化発生
歪値を測定した。
【0056】比較例2 モンサント化成株式会社の冷蔵庫内箱用ABS樹脂「タ
フレックスYT−313」の、フロン11、フロン12
3およびフロン141bに対する膨潤量と低温白化発生
歪値を測定した。
【0057】比較例3 ポリ(ブチルアクリレート/アクリロニトリル)合成ゴ
ムが20.0重量%、アクリロニトリルが20.0重量
%、そしてスチレンが60.0重量%であるABS樹脂
を製造し、フロン123およびフロン141bに対する
膨潤量と低温白化発生歪値を測定した。
【0058】比較例4 ポリ(ブタジエン/スチレン)合成ゴムが6.0重量
%、アクリロニトリルが47.0重量%、そしてスチレ
ンが47.0重量%であるABS樹脂を製造し、フロン
123およびフロン141bに対する膨潤量と低温白化
発生歪値を測定した。
【0059】II.試料の調製 実施例1〜5および比較例3〜4のABS樹脂の製造
は、以下のようにして行なった。 (1)ポリ(ブタジエン/スチレン)合成ゴムの製造 1,3‐ブタジエン90重量部とスチレン10重量部
を、反応器中で、乳化剤として脂肪酸石鹸、開始剤とし
て過硫酸カリウム、連鎖移動剤としてt‐ドデシルメル
カプタンを用いて乳化重合させて、合成ゴムラテックス
を得た。
【0060】なお、上記の合成ゴム製造の重合工程は実
施例1〜3、実施例5および比較例4のABS樹脂の製
造にて実施したものである(すなわちコモノマーはスチ
レン)。実施例4のABS樹脂の製造では、コモノマー
をアクリロニトリルにしたほかは上記と同じ合成ゴム製
造の重合工程を実施した。
【0061】(2)ポリ(ブタジエン/スチレン)合成
ゴムへのグラフト共重合 上記合成ゴムラテックス50重量部(固形分として)、
アクリロニトリル30重量部およびスチレン20重量部
を、反応器中で、乳化剤としてアルキルジフェニルエー
テルジスルホン酸ナトリウム、開始剤としてピロリン酸
ナトリウム/ブドウ糖/硫酸第一鉄還元系併用のクメン
ハイドロパーオキサイド、連鎖移動剤としてノルマルド
デシルメルカプタン、酸化防止剤として2,2‐メチレ
ンビス(4‐メチル‐6‐ターシャリブチルフェノー
ル)モノアクリレートを用いて乳化重合させた。白色粉
末状のグラフト共重合体樹脂を得た。
【0062】なお、上記のグラフト共重合は実施例1お
よび実施例2のABS樹脂の製造にて実施したものであ
り、アクリロニトリル/スチレンの重量比率を30/2
0にしている。実施例3および実施例4のABS樹脂の
製造では、アクリロニトリル/スチレンの重量比率を2
7.5/22.5にしたほかは上記と同じグラフト共重
合を実施した。また、実施例5および比較例4のABS
樹脂の製造では、アクリロニトリル/スチレンの重量比
率を25/25にしたほかは上記と同じグラフト共重合
を実施した。これら三種のABS樹脂のポリ(ブタジエ
ン/スチレン)合成ゴムの粒径およびグラフト率は、下
記の通りである。 実施例 ゴム粒子径(μm) グラフト率(%) 1/2 0.14 45 3/4 0.16 45 5 0.20 45 比較例4 0.20 45
【0063】(3)ポリ(ブチルアクリレート/アクリ
ロニトリル)合成ゴムの製造 アクリル酸ブチル94.5重量部、メタクリル酸アリル
0.5重量部およびアクリロニトリル5.0重量部を、
反応器中で、乳化剤として脂肪酸石鹸、開始剤として過
硫酸カリウムを用いて乳化重合を行なって、重量平均粒
子径0.07μmの合成ゴムラテックスを得た。
【0064】(4)ポリ(ブチルアクリレート/アクリ
ロニトリル)合成ゴムへのグラフト共重合 上記合成ゴムラテックスを粒径肥大して得られる平均粒
子径0.15μmのアクリルゴムラテックス50重量部
(固形分として)、アクリロニトリル30重量部および
スチレン20重量部を、反応器中で、乳化剤としてアル
キルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、開始
剤としてピロリン酸ナトリウム/ブドウ糖/硫酸第一鉄
還元系併用のクメンハイドロパーオキサイド、架橋剤と
してメタクリル酸アリル、連鎖移動剤としてノルマルド
デシルメルカプタン、酸化防止剤として2,2‐メチレ
ンビス(4‐メチル‐6‐ターシャリブチルフェノー
ル)モノアクリレートを用いて乳化重合させた。白色粉
末状のグラフト共重合体樹脂を得た。グラフト率は45
%であった。
【0065】なお、上記のグラフト共重合は実施例2の
ABS樹脂の製造にて実施したものであり、アクリロニ
トリル/スチレンの重量比率を30/20にしている。
実施例5のABS樹脂の製造では、アクリロニトリル/
スチレンの重量比率を25/25にしたほかは上記と同
じグラフト共重合を実施した。また、比較例3のABS
樹脂の製造では、アクリロニトリル/スチレンの重量比
率を12.5/37.5にしたほかは上記と同じグラフ
ト共重合を実施した。
【0066】(5)アクリロニトリル/スチレンの共重
合 アクリロニトリル60重量部とスチレン40重量部を、
反応器中で、懸濁安定剤としてアクリル酸/アクリル酸
オクチルコポリマー、懸濁安定助剤として塩化ナトリウ
ム、開始剤として1‐ターシャリブチルアゾ‐1‐シア
ノシクロヘキサン、分子量調節剤としてテンペル油、酸
化防止剤としてジターシャリブチルパラクレゾールを用
いて懸濁重合させた。ビーズ状共重合体樹脂を得た。
【0067】なお、上記の共重合は実施例1および実施
例2のABS樹脂の製造にて実施したものであり、アク
リロニトリル/スチレンの重量比率を60/40にして
いる。実施例3および実施例4のABS樹脂の製造で
は、アクリロニトリル/スチレンの重量比率を55/4
5にしたほかは上記と同じ共重合を実施した。実施例5
および比較例4のABS樹脂の製造では、アクリロニト
リル/スチレンの重量比率50/50にしたほかは上記
と同じ共重合を実施した。また、比較例3のABS樹脂
の製造では、アクリロニトリル/スチレンの重量比率を
25/75にしたほかは上記と同じ共重合を実施した。
これら三種のアクリロニトリル/スチレン共重合体のη
spは、下記の通りであった。実施例 ηsp 1/2 0.065 3/4 0.068 5 0.070 比較例4 0.070
【0068】(6)コンパウンディング 上記諸例で得られたグラフト共重合体樹脂とマトリクス
組成を調整すべき上記のアクリロニトリル/スチレン共
重合体樹脂とを適宜配合し、バンバリーミキサーで溶融
混練して、ペレット状樹脂を得た。
【0069】III .耐フロン性測定の実際 フロン11、フロン123およびフロン141bに対す
る膨潤量と低温白化発生歪値の測定は、以下のように行
なった。 (1)フロンに対する膨潤量の測定 ABS樹脂を、一辺の長さ50mmの正方形で厚さ2mmの
試験片に圧縮成形した。23℃の飽和フロン蒸気に満た
された5リットルの密閉容器に試験片を投入し、20時
間後に取出した。取出し後重量と投入前重量との差か
ら、フロンに対する膨潤量を計算した。
【0070】(2)フロンに対する低温白化発生歪値の
測定 ABS樹脂を、ダンベル形に圧縮成形し、in−sit
u発泡法で硬質ポリウレタンフォームを接着させて、試
験片とする。試験片を、23℃にて引張り歪を与えたま
ま冶具に固定し、ただちに冶具ごと−20℃に冷却して
17時間放置する。冷却放置後の試験片のクレイズある
いはクラックの有無を目視判定した。
【0071】なお、ダンベルの形状は、JIS−K67
34に規定されている引張り試験用で厚さ1mmのものと
し、硬質ポリウレタンフォームは、その平行部分に、幅
10mm、長さ40mm、厚さ10mmで接着させた。 IV.物理的特性の測定の実際 剛性、耐衝撃性、真空成形性の測定を、以下のように行
なった。
【0072】(イ)曲げ弾性率の測定 JIS−K−7203に従って曲げ弾性率を測定した。
真空成形によって得られた、平均厚さが1mmと下回る内
箱の変形を避けるためには22000kg/cm2 以上が必
要と考えられる。
【0073】(ロ)アイゾット衝撃地の測定 JIS−K−7110に従ってアイゾット衝撃値を測定
した。内箱を外箱に組込む際の割れを避けるためには1
2kg−cm/cm以上が必要と考えられる。
【0074】(ハ)低温アイゾット衝撃値の測定 −20℃におけるアイゾット衝撃値を測定した。低温で
の硬質ポリウレタンフォームスキンのノッチ効果に耐え
るためには6kg−cm/cm以上が必要と考えられる。
【0075】(ニ)真空成形性の測定 間口直径が300mm、深さが250mm、底面直径が20
0mmのバケツ状モデル型を用い、厚さ2mmの樹脂シート
をプラグアシストリバースドロー法で真空成形した。そ
の樹脂に最適な加熱温度で成形した真空成形品の肉厚分
布と底面角のアールを測定した。肉厚分布が均一で、か
つ、底面角のアールが小さければ、真空成形性に優れて
いるといえる。
【0076】V.結果の表示 表1に、実施例1〜5および比較例1〜4のABS樹脂
の組成と物性の測定結果を示した。
【0077】図1に、比較例1〜2ABS樹脂のフロン
11に対する抗力を、横軸の膨潤量と縦軸の低温白化発
生歪値とで整理した。
【0078】図2に、実施例1〜5および比較例1〜4
のABS樹脂のフロン123に対する抗力を、横軸の膨
潤量と縦軸の低温白化発生歪値とで整理した。
【0079】図3に、実施例1〜5および比較例1〜4
のABS樹脂のフロン141bに対する抗力を、横軸の
膨潤量と縦軸の低温白化発生歪値とで整理した。
【0080】比較例1〜2から明らかなように、冷蔵庫
内箱に従来使用されてきたABS樹脂のフロン11に対
する膨潤量は1重量%より少なく、フロン11に対する
低温白化発生歪値は0.6%程度である。したがって、
フロン123および(あるいは)フロン141bを硬質
ポリウレタンフォームの発泡剤に使用する冷蔵庫の内箱
用樹脂は、フロン123および(あるいは)フロン14
1bに対して、膨潤量が1重量%以下で、かつ、低温白
化発生歪値が0.6%以上であることが必要と考えられ
る。
【0081】つぎに、実施例1〜5および比較例1〜4
から明らかなように、ABS樹脂の範疇内でゴム質およ
びマトリクスの組成を最適設計することにより、フロン
123および(あるいは)フロン141bに対して、膨
潤量で1重量%以下、かつ、低温白化発生歪値で0.6
%以上が達成される。さらに詳しくは、フロン123お
よび(あるいは)フロン141bに対して、膨潤量が
0.1重量%以上1重量%以下で、かつ低温白化発生歪
値が0.6%以上5%以下であるABS樹脂は、合成ゴ
ムの含有量が10〜25重量%、シアン化ビニル化合物
の含有量が30〜55重量%、芳香族ビニル化合物の含
有量が30〜55重量%の範囲内で製造することができ
る。シアン化ビニル化合物の含有量が上記範囲をこえて
少ないと、フロン膨潤量が過大になる。ゴム質重合体の
含有量が上記範囲をこえて少ないと、フロン低温白化発
生歪値が過小になる。また、合成ゴムの組成はフロン低
温白化発生歪値およびフロン膨潤量に対する影響はマト
リクスの組成に比べ少ないので、、あくまで上記の合成
ゴム/シアン化ビニル化合物/芳香族ビニル化合物の含
有量が、フロン膨潤量とフロン低温白化発生歪値の両立
の前提となる。
【0082】一方、実施例1〜5および比較例1〜4か
ら明らかなように、本発明の冷蔵庫内箱用樹脂組成物
は、ABS樹脂に生得的な剛性と耐衝撃性との高い物性
バランスおよび容易な真空成形性を保持している。
【0083】以上のことから、本発明の冷蔵庫内箱用樹
脂組成物は、フロン123および(あるいは)フロン1
41bを硬質ポリウレタンフォームの発泡剤に使用する
冷蔵庫の内箱にきわめて有用であるといえる。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】フロン123およびフロン141bによ
る膨潤量および低温白化発生歪値を特定した本発明冷蔵
庫内箱用樹脂組成物によれば、現在賞用されているフロ
ン11が成層圏オゾン層を破壊する疑からその使用が制
限される状況下において、フロン123および141b
によるその代替が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種耐衝撃性樹脂のフロン11低温白化発生歪
値を示すグラフ。
【図2】フロンがフロン123である場合の同様なグラ
フ。
【図3】フロンがフロン141bである場合の同様なグ
ラフ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フロン123(すなわち1−ヒドロ‐1,
    1‐ジクロロ‐2,2,2‐トリフロロエタン)および
    (あるいは)フロン141b(すなわち1,1,1‐ト
    リヒドロ‐2,2‐ジクロロ‐2‐フロロエタン)によ
    る、膨潤量が1重量%以下であり、かつ、低温白化発生
    歪値が0.6%以上であることを特徴とする、冷蔵庫内
    箱用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】冷蔵庫内箱用樹脂組成物が、ゴム質重合体
    の存在下にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物
    とからなる単量体混合物を重合させて得られ、あるいは
    それにシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物との
    共重合体をブレンドしてなる、ゴム質重合体が10〜2
    5重量%、シアン化ビニル化合物が30〜55重量%そ
    して芳香族ビニル化合物が30〜55重量%である組成
    を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載
    の冷蔵庫内箱用樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5554688A (en) * 1993-09-28 1996-09-10 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Thermoplastic resin composition and its synthetic resin composite
WO1997025376A1 (fr) * 1996-01-05 1997-07-17 Sumika A & L Inc. Composition de resine resistante aux chlorofluorocarbures et compartiment interieur de refrigerateur fabrique a partir de cette composition
US6051651A (en) * 1996-01-05 2000-04-18 Nippon A&L Inc. Chlorofluorocarbon resistant resin composition and a refrigerator inner casing formed from the same composition

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