JP4741202B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4741202B2 JP4741202B2 JP2004172570A JP2004172570A JP4741202B2 JP 4741202 B2 JP4741202 B2 JP 4741202B2 JP 2004172570 A JP2004172570 A JP 2004172570A JP 2004172570 A JP2004172570 A JP 2004172570A JP 4741202 B2 JP4741202 B2 JP 4741202B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- rubber
- copolymer
- vinyl
- monomer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゲル含有量が50〜70質量%、かつ膨潤量が20〜50倍であるポリブタジエンからなるゴム質重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含有する単量体混合物の一部または全量を含浸させ、グラフト密度5〜9%の範囲でグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体(A)10〜30質量部と、粒子径が100〜600nmの範囲にあるゴム質重合体粒子が85質量%を超えて含まれ、かつ粒子径が600〜2000nmの範囲にあるゴム質重合体粒子が5質量%を超えて含まれ、ゲル含有量が80〜95質量%であるポリブタジエンからなるゴム質重合体(b)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフト密度5〜8%の範囲でグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体(B)10〜30質量部と、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位が含まれているビニル共重合体(C)40〜80質量部とを含有する[ゴム含有グラフト共重合体(A)、ゴム含有グラフト共重合体(B)、およびビニル共重合体(C)の合計は100質量部である]ことを特徴とするものである。
また、前記ゴム含有グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体(a)は、オクルード構造を有し、オクルード単量体量は、ゴム質重合体(a)に重合する全単量体成分中の18〜23質量%であることが望ましい。
また、前記ビニル共重合体(C)は、質量平均分子量が50,000〜100,000で、シアン化ビニル単量体を20〜30質量%含むビニル共重合体(C−I)と、質量平均分子量が100,000〜150,000で、シアン化ビニル単量体を25〜35質量%含むビニル共重合体(C−II)とを含む混合物であることが望ましい。
また、前記混合物中のビニル共重合体(C−II)含有量は、20〜50質量%であることが望ましい。
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
また、本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物からなるものであり、大型成形品としても、成形外観不良が少なく、めっき性、塗装性、耐衝撃性、剛性に優れている。
<ゴム含有グラフト共重合体(A)>
本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含有する単量体混合物の一部または全量を含浸させ、グラフト重合したものである。
ゴム質重合体(a)は、ジエン系単量体が重合した重合体であり、例えば、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリクロロプレンが挙げられる。
ゴム質重合体(a)を含むラテックスを凝固、乾燥させた後、ゴム質重合体(a)のサンプルWc(g)をトルエンに室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取し、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定し、下記式で算出する。
ゲル含有量(質量%)=Wg/Wc×100
ゴム質重合体(a)を含むラテックスを凝固、乾燥させた後、ゴム質重合体(a)をトルエンに室温(23℃)で20時間溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取した直後に膨潤状態の不溶分量Wsを測定し、ついで、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定し、下記式で算出する。
膨潤量(倍)=Ws/Wg
すなわち、ゴム含有グラフト共重合体(A)のサンプルをアセトン中に溶解させ、遠心分離器を用いて可溶分と不溶分とに分離し、得られた不溶分X(g)をオゾン分解させる。そして、メタノール不溶分m(g)を分離する。得られたメタノール不溶分について、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて質量平均分子量Mwを求め、これらの結果を基に次の計算式により算出した値である。
グラフト密度(%)=グラフト率/(Mw/104 )
グラフト率(質量%)={m/(X−m)}×100
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、特にアクリロニトリルが好ましい。
これらの単量体については、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(b)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフト重合したものである。
ゴム質重合体(b)のゲル含有量は、ゴム質重合体(a)のゲル含有量と同じ範囲内であってもよいが、物性バランスがより高くなることから、70〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは、80〜95質量%である。
また、ゴム質重合体(b)にグラフト重合される芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、これらと共重合可能な他の単量体についても、ゴム含有グラフト共重合体(A)と同じものを使用できる。
このようなゴム質重合体(b)の製造方法は、上記の特定された広い粒子径分布を最終的に有していれば特に制限はなく、いかなる公知の重合方法も採用できる。
本発明におけるビニル共重合体(C)は、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位を構成成分として含むものである。このビニル共重合体(C)は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体が共重合されていてもよいが、例えば、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、めっき工程で、エッチング液との濡れ性に影響して、めっき不良を生じるおそれがある点、また、マレイミド化合物は、大型成形する場合に流動性や衝撃強度の低下を生じる点で、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体のみが共重合したものが好ましい。
ここで、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、これらと共重合可能な他の単量体は、上述したゴム含有グラフト共重合体(A)で使用されたものと同様のものを使用できる。また、ビニル共重合体(C)の製造方法については、乳化、懸濁、塊状またはこれらを複合化した公知の重合方法を採用できる。
すなわち、質量平均分子量が50,000〜100,000で、シアン化ビニル単量体を20〜30質量%含むビニル共重合体(C−I)と、質量平均分子量が100,000〜150,000で、シアン化ビニル単量体を25〜35質量%含むビニル共重合体(C−II)とを含む混合物であり、該混合物中のビニル共重合体(C−II)含有量が20〜50質量%であることが好ましい。ビニル共重合体(C)が、このような2種類のビニル共重合体からなるものであれば、塗装性における不良現象、すなわち吸い込み現象の抑制と、めっき性能とを兼ね備えた、物性バランスのよい熱可塑性樹脂組成物が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有グラフト共重合体(A)を10〜30質量部、ゴム含有グラフト共重合体(B)を10〜30質量部、ビニル共重合体(C)を40〜80質量部含有する[ゴム含有グラフト共重合体(A)、ゴム含有グラフト共重合体(B)、およびビニル共重合体(C)の合計は100質量部である]。ここで、ゴム含有グラフト共重合体(A)およびゴム含有グラフト共重合体(B)の合計含有量が20質量部未満である(ビニル共重合体(C)の含有量が80質量部を超える)と、耐衝撃性が低くなり、また、めっき性(めっきピーリング強度)も低下する。逆に、ゴム含有グラフト共重合体(A)およびゴム含有グラフト共重合体(B)の合計含有量が60質量部を超える(ビニル共重合体(C)の含有量が40質量部未満である)と、大型成形性とめっき性(冷熱サイクル性)が低下する。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
成形方法としては、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形など、公知の成形方法を用いることができ、特に射出成形に適している。
本発明の成形品は、大型成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物からなるものであり、かつめっき性、塗装性、耐衝撃性、剛性に優れており、自動車用大型成形品、例えば、ラジエーターグリルやガーニッシュ等の大型外装用部品に好適である。
また、ゴム質重合体(a)のゲル含有量および膨潤量;ゴム含有グラフト共重合体(A)のグラフト密度およびオクルード単量体量;ゴム含有グラフト共重合体(B)に含まれる、非グラフト化スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)中のスチレン単位およびアクリロニトリル単位、並びにビニル共重合体(C)中のアクリロニトリル単位の含有量を以下のように測定した。
ゴム質重合体(a)のサンプルWc(g)をトルエンに室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取し、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定し、下記式で算出した。
ゲル含有量(質量%)=Wg/Wc×100
ゴム質重合体(a)をトルエンに室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で不溶分を分取した直後に膨潤状態の不溶分量Wsを測定し、ついで、不溶分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量Wg(g)を測定し、下記式で算出した。
膨潤量(倍)=Ws/Wg
ゴム含有グラフト共重合体(A)のサンプルをアセトン中に溶解させ、遠心分離器を用いて可溶分と不溶分とに分離し、得られた不溶分X(g)をオゾン分解させた。その後、メタノールを用いてメタノール不溶分m(g)を分離、抽出した。得られたメタノール不溶分について、GPCにて質量平均分子量Mwを求め、これらの結果を基に次の計算式により算出した。
グラフト密度(%)=グラフト率/(Mw/104 )
グラフト率(質量%)={m/(X−m)}×100
オクルード単量体量とは、ゴム質重合体の内部に位置する単量体成分の重合体量のことで、含浸前のゴム質重合体の粒子径と、グラフト重合後のゴム質重合体の粒子径を測定し、その体積増加率からオクルード単量体量を算出することができる。測定方法は、グラフト重合の前後のゴム質重合体それぞれを、オスニウム酸で染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、粒子径を計測し、平均体積増加分からオクルード単量体量として算出した。
ゴム含有グラフト共重合体(B)に含まれる、非グラフト化スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)中のスチレン単位およびアクリロニトリル単位、並びにビニル共重合体(C)中のアクリロニトリル単位の含有量は、赤外スペクトルによって求めた。
オートクレーブに、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖およびクメンハイドロパーオキサイドを除く表1の原料(ポリブタジエン(a−1)のゲル含有量は60質量%、膨潤量は32倍)を仕込み、60℃に加熱してポリブタジエン(a−1)に単量体混合物を含浸させた。そして、60℃に保持したまま30分間放置した後、その中に硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖およびクメンハイドロパーオキサイドを150分かけて連続添加し、続いて70℃に昇温し、これを1時間保って反応を完結させて重合体ラテックスを得た。
次いで、この重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後、硫酸を添加して重合体を凝固させ、十分水洗後、乾燥してゴム含有グラフト共重合体(A−1)を得た。
そして、得られたゴム含有グラフト共重合体(A−1)中のグラフトされた重合体の質量平均分子量、グラフト率を測定し、グラフト密度を求めた。また、オクルード単量体量を求めた。
オートクレーブへの仕込量を表1に示す量に変更し、含浸時間を変更した以外は、合成例1と同様にしてゴム含有グラフト共重合体(A−2)を得た。得られたゴム含有グラフト共重合体(A−2)中のグラフトされた重合体の質量平均分子量、グラフト率を測定し、グラフト密度を求めた。また、オクルード単量体量を求めた。
オートクレーブに、ポリブタジエン(a−1)ラテックス70部(固形分量)、アクリロニトリル9部 、スチレン21部、表1に示す量の不均化ロジン酸カリウム、t−DMを仕込み、60℃に加熱してポリブタジエン(a−1)に単量体混合物を含浸させた。そして、60℃に保持したまま10分間放置した後、その中に、残りの単量体混合物、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖およびクメンハイドロパーオキサイドを150分かけて連続添加し、続いて70℃に昇温し、これを1時間保って反応を完結させて重合体ラテックスを得た。
以後、合成例1と同様にして、ゴム含有グラフト共重合体(A−3)を得た。得られたゴム含有グラフト共重合体(A−3)中のグラフトされた重合体の質量平均分子量、グラフト率を測定し、グラフト密度を求めた。また、オクルード単量体量を求めた。
ポリブタジエン・ラテックスとして、ゲル含有量98質量%、膨潤量12倍のポリブタジエン(a−2)ラテックスを使用したこと以外は、合成例1と同様にして、ゴム含有グラフト共重合体(A−4)を得た。得られたゴム含有グラフト共重合体(A−4)中のグラフトされた重合体の質量平均分子量、グラフト率を測定し、グラフト密度を求めた。また、オクルード単量体量を求めた。
ポリブタジエン・ラテックスとして、ゲル含有量68質量%、膨潤量18倍のポリブタジエン(a−3)ラテックスを使用し、オートクレーブへの仕込量を表1に示す量に変更し、含浸時間を変更した以外は、合成例1と同様にして、ゴム含有グラフト共重合体(A−5)を得た。得られたゴム含有グラフト共重合体(A−5)中のグラフトされた重合体の質量平均分子量、グラフト率を測定し、グラフト密度を求めた。また、オクルード単量体量を求めた。
表2に示す粒子径分布のポリブタジエン(b−1)ラテックス(ゲル含有量は87質量%)45部(固形分量)に、スチレン40部およびアクリロニトリル15部を加え、ついでグラフト重合させてゴム含有グラフト共重合体(B−1)を得た。このゴム含有グラフト共重合体(B−1)に含まれる、非グラフト化スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)の含有量は約25質量%であった。さらに、SAN中のスチレン単位とアクリロニトリル単位との質量比(スチレン単位の質量/アクリロニトリル単位の質量)は約2.7であり、SANの質量平均分子量は約98,000であった。
ここで、ポリブタジエン・ラテックスの粒子径分布は、日機装(株)製Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法より求めた。
表2に示す粒子径分布のポリブタジエン(b−2)ラテックス(ゲル含有量は85質量%)65部(固形分量)に、スチレン24.5部およびアクリロニトリル10.5部を加え、ついでグラフト重合させてゴム含有グラフト共重合体(B−2)を得た。このゴム含有グラフト共重合体(B−2)に含まれる、非グラフト化スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)の含有量は約8質量%であった。さらに、SAN中のスチレン単位とアクリロニトリル単位との質量比(スチレン単位の質量/アクリロニトリル単位の質量)は約2.3であり、SANの質量平均分子量は約72,000であった。
窒素置換した反応器に表3に示す成分からなる単量体混合物を仕込み、開始温度を60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、続いて4時間反応させて重合を完結させた。その際の最終転化率は96%であり、得られたビニル共重合体(C−1)の質量平均分子量は82000 、アクリロニトリル単位の含有量は26.7質量%であった。
反応器への仕込量を表3に示す量に変更した以外は、合成例8と同様にしてビニル共重合体(C−2)を得た。その際の最終転化率は98%で、得られたビニル共重合体(C−2)の質量平均分子量は118000 、アクリロニトリル単位の含有量は28.2質量%であった。
反応器への仕込量を表3に示す量に変更した以外は、合成例8と同様にしてビニル共重合体(C−3)を得た。その際の最終転化率は96%であり、得られたビニル共重合体(C−3)の質量平均分子量は59000、アクリロニトリル単位の含有量は39.6質量%であった。
上記合成例にて得られた各重合体を表4に示す割合で配合し、220℃で2軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX−44)にて溶融混合し、ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を得た。このペレットを2オンス射出成形機((株)東芝製)で240℃にて成形し、必要なテストピースを作成し、それぞれ以下のように評価した。その結果を表4に示す。
図1に示すような、実際のラジエーターグリルを想定した格子状の形状を持つ箱型大型成形品10(横600mm、縦200mm、奥行き40mm、肉厚2mm)を、型締め圧が550tクラスの射出成形機を用いて、市場での成形条件を参考にしてシリンダー温度235℃、射出速度50%で成形し、シルバーストリークの発生の有無を目視にて判断した。
○:シルバーストリーク発生なし。
×:シルバーストリーク発生あり。
図1に示すような、ラジエーターグリルを想定した箱型大型成形品10について下記のようなめっき処理を施し、荷重測定器上でめっき膜を垂直方向に引き剥がしてその強度を測定した。
めっき工程:
次の(1)〜(15)の手順でメッキ処理した。
(1)脱脂工程(60℃×3分)→(2)水洗→(3)エッチング(CrO3 400g/l、H2SO4 200cc/l、65℃×15分)→(4)水洗→(5)酸処理(常温×1分)→(6)水洗→(7)触媒化処理(25℃×3分)→(8)水洗→(9)活性化処理(40℃×5分)→(10)水洗→(11)化学Niめっき(40℃×5分)→(12)水洗→(13)電気銅めっき(膜厚35μm 20℃×60分)→(14)水洗→(15)乾燥。
図1に示すような、ラジエーターグリルを想定した箱型大型成形品10について下記のようなめっき処理を施し、[−40℃×1時間の冷却および80℃×1時間の加熱]を1サイクルとして5サイクルを行い、ゲート部11および格子部12におけるめっき膜の状態を観察し、下記の判定基準により評価した。
めっき工程:
次の(1)〜(17)の手順でメッキ処理した。
(1)脱脂工程(60℃×3分)→(2)水洗→(3)エッチング(CrO3 400g/l、H2SO4 200cc/l、65℃×15分)→(4)水洗→(5)酸処理(常温×1分)→(6)水洗→(7)触媒化処理(25℃×3分)→(8)水洗→(9)活性化処理(40℃×5分)→(10)水洗→(11)化学Niめっき(40℃×5分)→(12)水洗→(13)電気銅めっき(膜厚20μm 20℃×20分)→(14)水洗→(15)電気Niめっき(膜厚10μm 55℃×15分)→(16)水洗→(17)電気Crめっき(膜厚0.3μm 45℃×2分)。
判定基準:
○:変化なし。
△:若干膨れ。
×:膨れ。
××:大きく膨れ。
×××:全面に膨れ。
平板テストピース(160mm×60mm×2.5mm厚)に、常温にて2液ウレタン系塗料(レタンPG60:関西ペイント社製)をスプレー塗装した。
得られた塗装成形品のサイド2点のゲート付近に発生する吸い込み現象を肉眼で観察して下記のような判断基準で評価した。
○:全く発生せず。
△:一部発生。
×:著しい発生。
厚みが1/4インチの試験片を用い、アイゾット衝撃強度(単位:J/m)をASTM−D256に準拠して−30℃にて測定した。
[剛性]
ASTM −D790に準拠して、曲げ弾性率(単位:MPa)を常温にて測定した。
ISO 1133(220℃/10min)に準拠して、メルトボリュームレート(単位:cm3 /10min)を測定した。
[表面外観]
表面外観を観察するために、平板成形品(100mm×100mm×3mm厚)の金型を用いて、成形温度:260℃、金型温度:60℃、射出時間:4秒、射出圧力:SSP(最小充填圧力)+1%、の条件にて成形した。1サンプルあたり5枚成形し、成形品表面上0.1mm以上のブツの個数を数え、5枚中の合計数を求めた。0〜5個であれば○、6〜10個未満を△、10個以上を×とし、○を合格品とした。
比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(a)のゲル含有量および膨潤量が本発明の範囲外であり、ゴム含有グラフト共重合体(B)が含まれていなかったので、大型成形性、めっき性(ピーリング強度、冷熱サイクル性)、物性バランスが低下した。
比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(a)の膨潤量が本発明の範囲外であり、ゴム含有グラフト共重合体(B)が含まれていなかったので、大型成形性、めっき性(ピーリング強度、冷熱サイクル性)、物性バランスのいずれも低下した。
Claims (6)
- ゲル含有量が50〜70質量%、かつ膨潤量が20〜50倍であるポリブタジエンからなるゴム質重合体(a)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を含有する単量体混合物の一部または全量を含浸させ、グラフト密度5〜9%の範囲でグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体(A)10〜30質量部と、
粒子径が100〜600nmの範囲にあるゴム質重合体粒子が85質量%を超えて含まれ、かつ粒子径が600〜2000nmの範囲にあるゴム質重合体粒子が5質量%を超えて含まれ、ゲル含有量が80〜95質量%であるポリブタジエンからなるゴム質重合体(b)に、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフト密度5〜8%の範囲でグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体(B)10〜30質量部と、
芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位が含まれているビニル共重合体(C)40〜80質量部と
を含有する[ゴム含有グラフト共重合体(A)、ゴム含有グラフト共重合体(B)、およびビニル共重合体(C)の合計は100質量部である]ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 前記ビニル共重合体(C)が、芳香族ビニル単量体単位およびシアン化ビニル単量体単位のみからなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ゴム含有グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体(a)が、オクルード構造を有し、オクルード単量体量が、ゴム質重合体(a)に重合する全単量体成分中の18〜23質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ビニル共重合体(C)が、質量平均分子量が50,000〜100,000で、シアン化ビニル単量体を20〜30質量%含むビニル共重合体(C−I)と、質量平均分子量が100,000〜150,000で、シアン化ビニル単量体を25〜35質量%含むビニル共重合体(C−II)とを含む混合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記混合物中のビニル共重合体(C−II)含有量が、20〜50質量%であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004172570A JP4741202B2 (ja) | 2004-06-10 | 2004-06-10 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004172570A JP4741202B2 (ja) | 2004-06-10 | 2004-06-10 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005350566A JP2005350566A (ja) | 2005-12-22 |
JP4741202B2 true JP4741202B2 (ja) | 2011-08-03 |
Family
ID=35585307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004172570A Expired - Fee Related JP4741202B2 (ja) | 2004-06-10 | 2004-06-10 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4741202B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5998299B1 (ja) | 2016-03-10 | 2016-09-28 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品 |
KR20240059914A (ko) | 2022-10-28 | 2024-05-08 | 주식회사 엘지화학 | 비닐계 가교 중합체의 제조방법, 비닐계 가교 중합체, 열가소성 수지 조성물 및 열가소성 수지 성형품 |
KR20240062280A (ko) | 2022-10-28 | 2024-05-09 | 주식회사 엘지화학 | 비닐계 가교 중합체의 제조방법, 비닐계 가교 중합체, 열가소성 수지 조성물 및 열가소성 수지 성형품 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE2420357B2 (de) * | 1974-04-26 | 1980-02-07 | Bayer Ag, 5090 Leverkusen | Formmassen |
JPH0660275B2 (ja) * | 1985-04-15 | 1994-08-10 | 三菱レイヨン株式会社 | 良好な透光性及びメツキ性を有する耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物 |
JPS62201959A (ja) * | 1985-06-05 | 1987-09-05 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物 |
JPH0742384B2 (ja) * | 1987-04-21 | 1995-05-10 | 日本合成ゴム株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP3630182B2 (ja) * | 1994-11-15 | 2005-03-16 | 株式会社カネカ | 耐衝撃性に優れた樹脂組成物 |
JPH08134316A (ja) * | 1994-11-15 | 1996-05-28 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物 |
JP4004568B2 (ja) * | 1996-04-08 | 2007-11-07 | 三菱レイヨン株式会社 | 樹脂組成物 |
JP2000103935A (ja) * | 1998-09-28 | 2000-04-11 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | Abs系樹脂組成物 |
JP2000154291A (ja) * | 1998-11-18 | 2000-06-06 | Ube Cycon Ltd | 塗装性及びメッキ性に優れる熱可塑性樹脂組成物並びに自動車用成形品 |
JP2001207011A (ja) * | 2000-01-24 | 2001-07-31 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた自動車部品 |
-
2004
- 2004-06-10 JP JP2004172570A patent/JP4741202B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005350566A (ja) | 2005-12-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6810147B2 (ja) | 熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0733473B2 (ja) | 充填剤入りポリマーブレンド | |
KR20020037767A (ko) | 괴상 중합된 고무에 의해 개질된 모노비닐리덴 방향족공중합체 조성물 | |
JP5793501B2 (ja) | 無塗装高鮮映耐衝撃射出成形品とその製造方法 | |
EP3103838A1 (en) | Thermoplastic resin composition | |
JP7386159B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびこれから形成された成形品 | |
KR101750679B1 (ko) | 증착성 및 내후성이 우수한 열가소성 수지 조성물 | |
JPS63146960A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
KR20150001991A (ko) | 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품 | |
JP2004002897A (ja) | トレー用熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4618692B2 (ja) | ゴム含有グラフト重合体及び熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4741202B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
DE10024935A1 (de) | Witterungsstabile Polymerblends | |
JP6696106B2 (ja) | メッキ特性に優れた親環境熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4398826B2 (ja) | 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 | |
JP4786243B2 (ja) | グラフト共重合体とその製造方法、熱可塑性樹脂組成物、および成形品 | |
JP2007023098A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
CN114667314A (zh) | 热塑性树脂组合物、制备热塑性树脂组合物的方法和包含热塑性树脂组合物的模制品 | |
JPH10265642A (ja) | ブロー成形用abs系樹脂組成物およびそれを用いたブロー成形品 | |
KR860001431B1 (ko) | 열가소성 수지 조성물 | |
JP2000154291A (ja) | 塗装性及びメッキ性に優れる熱可塑性樹脂組成物並びに自動車用成形品 | |
JP2004161855A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた自動車用成形品 | |
JP2003020377A (ja) | 複合樹脂組成物 | |
JP5632447B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2013209513A (ja) | 無塗装高鮮映難燃耐衝撃射出成形品とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070601 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100903 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100928 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101119 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110426 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110506 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4741202 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |