JP2002201255A - エポキシ樹脂結晶化物、その製法及び硬化性組成物 - Google Patents
エポキシ樹脂結晶化物、その製法及び硬化性組成物Info
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Abstract
物を提供する。 【解決手段】 4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリン
とから誘導されたエポキシ樹脂の結晶化物であって、D
SC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した
50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃
の間の吸熱量との比が1.03以上であることを特徴と
するエポキシ樹脂結晶化物。
Description
が容易なテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂結晶化
物及び該エポキシ樹脂結晶化物の製造方法及び該エポキ
シ樹脂結晶化物を使用している、各種物性に優れた硬化
性エポキシ樹脂組成物に関する。
取扱いの容易さから、接着、注型、封止、積層、成型、
塗装等の広い分野で使用されている。一般的に、エポキ
シ樹脂は、硬化剤を代表とする種々の添加剤と混合(配
合)し、硬化性エポキシ樹脂組成物として成形され硬化
されて使用されるが、配合時に各成分が均一に混合され
ていないと硬化反応が十分に進行しなかったり、硬化物
が不均質になるなどの現象が起き、その性能が十分に発
現できない。
5’−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとの
反応で得られるテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂
は、100℃から120℃の融点を持つ結晶となるた
め、粉体塗料や半導体封止材などの常温では固体として
扱い、成形・硬化時に昇温・溶融して流動させる用途に
広く用いられている。ところが結晶であるため硬化剤な
どとの相溶が遅く、混合不良が起きやすい欠点がある。
そこで均一混合するために配合時に融点以上に温度を上
げるとその時点で硬化剤との反応が進んでしまい成型時
に流動性不良を起こしやすい。また、混合時間を長くす
ると生産性が低下し工業的には不利益となる。
の配合が容易なテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂
結晶化物及び該エポキシ樹脂結晶化物の製造方法及び該
エポキシ樹脂結晶化物を使用している各種物性に優れた
硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
題を解決するために種々研究を重ねた結果、特定の融解
吸熱パターンを持ったテトラメチルビフェニル型エポキ
シ樹脂の結晶が硬化剤などとの相溶が早く、均一な硬化
性エポキシ樹脂組成物が容易に得られることを見いだ
し、また特定の結晶化条件をとることにより、特定の相
溶が早いテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂結晶化
物を得ることができることを見いだして、その本発明を
完成したのである。
トラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導さ
れたエポキシ樹脂の結晶化物であって、DSC装置を用
いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から1
30℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量
との比が1.03以上であることを特徴とするエポキシ
樹脂結晶化物。
速度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱
量と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.05
以上、1.50以下であり、吸熱のピーク温度が110
℃以下であることを特徴とする(1) 項に記載のエポキシ
樹脂結晶化物。
る4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テト
ラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導され
たエポキシ樹脂を105℃以上の溶融状態から冷却し、
105℃より低い温度になってから2時間以内にほぼ完
全に結晶化させることを特徴とする、DSC装置を用い
て毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から13
0℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量と
の比が1.03以上であるエポキシ樹脂結晶化物の製造
方法。 (4) 前記DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温し
て測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃か
ら125℃の間の吸熱量との比が1.05以上、1.5
0以下であり、吸熱のピーク温度が110℃以下である
ことを特徴とする(3) 項記載のエポキシ樹脂結晶化物の
製造方法。
し、105℃より低い温度になってから2時間以内にほ
ぼ完全に結晶化させる際に、結晶核を加える方法及び剪
断力を加える方法のいずれか一方もしくは両方の方法を
採用することを特徴とする(3)項又は(4) のいずれか1
項に記載のエポキシ樹脂結晶化物の製造方法。
5,5’−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリン
とから誘導されたエポキシ樹脂の結晶化物であって、D
SC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した
50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃
の間の吸熱量との比が1.03以上であるエポキシ樹脂
結晶化物とエポキシ樹脂用硬化剤を必須成分として配合
して成る硬化性エポキシ樹脂組成物。
装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した50
℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間
の吸熱量との比が1.05以上、1.50以下であり、
吸熱のピーク温度が110℃以下であるエポキシ樹脂結
晶化物であることを特徴とする(6) 項記載の硬化性エポ
キシ樹脂組成物。
は、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テ
トラメチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導さ
れたエポキシ樹脂の結晶化物であるが、その融解吸熱パ
ターンは、DSC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温
して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と80℃
から125℃の間の吸熱量との比が1.03以上であ
り、好ましくは1.05以上1.50以下であり、より
好ましくは1.06以上1.40以下である。また、吸
熱のピーク温度は110℃以下が好ましく、より好まし
くは109℃以下である。
用いて5〜20mgの結晶粉末を毎分10℃の速度で昇
温して測定し、得られたDSC曲線の50℃と130℃
の点を直線で結び、その直線とDSC曲線で囲まれた部
分の面積から算出できる。80℃から125℃の間の吸
熱量も同様に求められる。吸熱のピーク温度はDSC曲
線の吸熱ピークの頂点温度である。50℃から130℃
の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との比
が小さすぎると、硬化剤などとの相溶が遅くなり、本発
明の効果が十分ではない。吸熱量の比が大きすぎる結晶
は、結晶化が十分に完結しておらず、固体としての取り
扱いが困難になる。吸熱のピーク温度が高すぎる結晶
は、硬化剤などとの相溶が遅くなる。
は、吸熱量の比が規定量以上の生成物が得られる方法で
ある限り、その方法に特に制限はない。しかし、同じテ
トラメチルビフェニル型エポキシ樹脂を用いても結晶化
の条件でその結晶状態が変化するため、結晶化条件を規
定した本発明のエポキシ樹脂結晶化物の製造方法を用い
ることが好ましい。
で用いるテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂は、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ
メチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導された
エポキシ樹脂であり、その製造方法や性状には特に制約
はないが、エポキシ当量が180から210である必要
があり、好ましくは181以上200以下である。エポ
キシ当量が低すぎると本発明のエポキシ樹脂結晶化物の
製造方法をもってしても吸熱量の比が規定以上の結晶を
得ることが難しく、エポキシ当量が高すぎると結晶化を
規定時間以内に完結させることが困難になる。
は、まずテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂を10
5℃以上の溶融状態に置く。続いて冷却し、融点以下と
し結晶化させるが、樹脂温度が105℃より低い温度に
なってから2時間以内、好ましくは1時間30分以内、
より好ましくは1時間以内にほぼ完全に結晶化させる。
ほぼ完全な結晶化とは固体として取り扱いができる状態
となることをいう。結晶化の時間は短いほど本発明の効
果が顕著となり、長すぎると本発明のエポキシ樹脂結晶
化物が得られない。
あり、特に規定はないが、別途用意した結晶核を加える
方法や、撹拌や混練して樹脂に剪断力を加える方法が容
易な操作で短時間に結晶化できる点で好ましい。好まし
い結晶化時の温度は他の条件により異なるが、通常は1
0〜90℃、好ましくは、20〜80℃である。
発明のエポキシ樹脂結晶化物とエポキシ樹脂用硬化剤を
必須成分として配合して成る硬化性エポキシ樹脂組成物
である。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、本発
明のエポキシ樹脂結晶化物以外のエポキシ樹脂も配合す
ることができる。その併用できるエポキシ樹脂としては
特に指定は無く、本発明のエポキシ樹脂結晶化物以外の
エポキシ樹脂であればどのようなエポキシ樹脂でも使用
可能である。
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールAD 、テトラブチルビスフェノールA、ハイドロ
キノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノ
ン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾ
ルシン、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシスチルベン
類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック
樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペン
タジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、
ナフトールノボラック樹脂、テルペンフェノール樹脂、
重質油変性フェノール樹脂、臭素化フェノールノボラッ
ク樹脂などの種々のフェノール類や、種々のフェノール
類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒ
ド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合
反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノー
ル系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポ
キシ樹脂やジアミノジフェニルメタン、アミノフェノー
ル、キシレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エ
ピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、メチル
ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボ
ン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ
樹脂などが挙げられる。
る本発明のエポキシ樹脂結晶化物の使用割合は、全エポ
キシ樹脂成分中10〜100重量%であり、好ましくは
20〜100重量%である。本発明の高性能エポキシ樹
脂組成物の使用割合が少ないとテトラメチルビフェニル
型エポキシ樹脂の優れた特性が発現されない。
エポキシ樹脂用硬化剤が必須成分として配合されるが、
特に指定は無く、エポキシ樹脂用の硬化剤であれば、ど
のような硬化剤でも使用可能である。
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールAD、テトラブチルビスフェノールA、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、
テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、
ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラッ
ク樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA
ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹
脂、テルペンフェノール樹脂、ナフトールノボラック樹
脂、重質油変性フェノール樹脂、臭素化フェノールノボ
ラック樹脂などの種々の多価フェノール類、及び種々の
フェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトン
アルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類
との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種の
フェノール樹脂類、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、
ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、メチ
ルナジック酸等の酸無水物類、ジエチレントリアミン、
イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジア
ミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド等のアミン
類などなどがあげられる。
の硬化剤として、たとえば、トリフェニルホスフィンな
どのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテ
トラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチ
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチ
ル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾ
ール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、
2, 4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−
(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール
類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム
トリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌ
レート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラ
フェニルボレート、2−エチル−1, 4−ジメチルイミ
ダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウ
ム塩、2, 4, 6−トリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール、ベンジルジメチルアミンなどのアミン類、ト
リエチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのア
ンモニウム塩、1, 5−ジアザビシクロ(5, 4, 0)
−7−ウンデセン、1, 5−ジアザビシクロ(4, 3,
0)−5−ノネンなどのジアザビシクロ化合物、それら
ジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェ
ノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサ
ン酸塩など。
弗化硼素エーテル錯化合物、金属フルオロ硼素錯塩、ビ
ス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩、
アリールジアゾニウム化合物、芳香族オニウム塩、II
Ia〜Va族元素のジカルボニルキレート、チオピリリ
ウム塩、MF6 - 陰イオン(ここでMはリン、アンチモ
ン及び砒素から選択される)の形のVIb元素、アリー
ルスルホニウム錯塩、芳香族ヨードニウム錯塩、芳香族
スルホニウム錯塩、ビス[4−(ジフェニルスルホニ
オ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属
塩(例えばリン酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等)、ア
リールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香
族スルホニウム又はヨードニウム塩等を用いることがで
きる。これらエポキシ樹脂用硬化剤は、1種単独でも、
2種以上併用しても良い。
される硬化剤の使用割合は、エポキシ基と反応する基を
持つ化合物を使用する場合は、全エポキシ樹脂成分中の
エポキシ基1モルに対して、全硬化剤成分中のエポキシ
基と反応する基の合計が0.5〜2. 0モルになる量が
好ましく、より好ましくは、0. 7〜1. 5モルになる
量である。硬化剤成分としてエポキシ基の重合を開始す
るタイプの硬化剤を使用する場合は、全エポキシ樹脂成
分100重量部に対して、0. 1〜10重量部が好まし
く、より好ましくは、0. 3〜5重量部である。
必要に応じて無機充填剤、強化用繊維、硬化促進剤、カ
ップリング剤、可塑剤、顔料、溶剤、難燃剤等を適宜に
配合することができる。その無機充填剤の種類として
は、たとえば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、
アルミナ、炭酸カルシウムなどがあげられる。その形状
としては、破砕型又は球状である。各種の無機充填剤
は、単独で又は、2種以上混合して用いられる。その使
用量は、組成物全体の30〜95重量%であり、好まし
くは50〜95重量%、より好ましくは70〜93重量
%である。
ポキシ基と硬化剤中の活性基との反応を促進する化合物
である。その硬化促進剤としては、たとえば、トリブチ
ルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメ
トキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロ
ピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィン
などのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウム
テトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウ
ムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホ
スホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム
塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾー
ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデ
シルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミ
ダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダ
ゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−
ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−
(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール
類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム
トリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌ
レート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラ
フェニルボレート、2−エチル−1, 4−ジメチルイミ
ダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウ
ム塩、2, 4, 6−トリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチ
ルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジメチルア
ミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチルアンモ
ニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウム塩、
1, 5−ジアザビシクロ(5, 4, 0)−7−ウンデセ
ン、1, 5−ジアザビシクロ(4, 3, 0)−5−ノネ
ン、1, 4−ジアザビシクロ(2, 2, 2)−オクタン
などのジアザビシクロ化合物、それらジアザビシクロ化
合物のテトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノ
ールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩などがあげ
られる。
は、三級アミン類、ホスフィン化合物、イミダゾール化
合物、ジアザビシクロ化合物,及びそれらの塩が好まし
い。それらの硬化促進剤は、単独で又は2種以上混合し
て用いられ、その使用量は全エポキシ樹脂成分に対し
て、0. 1〜7重量%である。
などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアン
チモン化合物、リン酸エステル類、ホスフィン類などの
リン系難燃剤、メラミン誘導体などの窒素系難燃剤及び
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系
難燃剤があげられる。
などとの相溶が早いため、配合が容易であり、本発明の
エポキシ樹脂結晶化物の製造方法は、該エポキシ樹脂結
晶化物を容易に製造できる。また本発明の硬化性エポキ
シ樹脂組成物は、硬化反応が均一に起こるため、硬化性
に優れ、各種硬化物性にも優れる。
樹脂の製造例、本発明のエポキシ樹脂結晶化物、エポキ
シ樹脂結晶化物の製造方法及び硬化性エポキシ樹脂組成
物の実施例及び比較例をあげてさらに詳述する。
製造例)温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5L
の三つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’,5,5’−テトラメチルビフェニル 363g、
エピクロルヒドリン 1665g、及び2−プロパノー
ル 600gを仕込み、50℃に昇温して溶解させたの
ち、48. 5重量%の水酸化ナトリウム水溶液273g
を1時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下
終了時には系内が70℃になるようにした。その後、7
0℃で30分間保持して反応を行わせた。その反応終了
後、水洗して副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去
した。次いで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒ
ドリン及び2−プロパノールを留去して、粗製エポキシ
樹脂を得た。
ケトン 750gに溶解させ、48. 5重量%の水酸化
ナトリウム水溶液 6gを加え、70℃の温度で1時間
反応させた。その反応終了後に、第一リン酸ナトリウム
を加えて過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副
生塩を除去した。次いで、加熱しながら減圧下でメチル
イソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹
脂を得た。この時点でのエポキシ樹脂の状態は、樹脂温
約150℃の溶融状態である。
ル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、徐々
に冷却して樹脂温が70℃になった時点で別途用意した
テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂の結晶粉末3g
を加え素早く混合した。そのまま放冷したところ、樹脂
温が105℃になった時点から、25分後にほぼ完全に
結晶化し、固形として取り扱える状態になった。
量、50℃から130℃の間の吸熱量、80℃から12
5℃の間の吸熱量、それらの比、及び吸熱のピーク温度
を表1に示した。DSCデータの測定は、TAインスツ
ルメント社製MDSC2920型装置を使用し、サンプ
ル量約10mg、昇温速度毎分10℃でおこなった。吸
熱量の計算は、コンピューターによる自動計算でおこな
った。(図1及び図2のDSCチャート参照)
ル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、徐々
に冷却して樹脂温が70℃になった時点からガラス棒で
5分間激しく撹拌した。撹拌中に結晶が一部析出し始め
た。そのまま放冷したところ、樹脂温が105℃になっ
た時点から、15分後にほぼ完全に結晶化し、固形とし
て取り扱える状態になった。このエポキシ樹脂結晶化物
のエポキシ当量、50℃から130℃の間の吸熱量、8
0℃から125℃の間の吸熱量、それらの比、及び吸熱
のピーク温度を表1に示した。
ル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、静置
し、放冷した。結晶の析出は非常に遅く、樹脂温が10
5℃になった時点から、3時間後にほぼ完全に結晶化
し、固形として取り扱える状態になった。このエポキシ
樹脂結晶化物のエポキシ当量、50℃から130℃の間
の吸熱量、80℃から125℃の間の吸熱量、それらの
比、及び吸熱のピーク温度を表1に示した。(図3及び
図4のDSCチャート参照)
ル型エポキシ樹脂50gをガラス製の容器にとり、メチ
ルイソブチルケトン50gに約100℃で溶解した。徐
々に冷却して約20℃で約5時間保持した。析出した針
状結晶を濾別した後、50℃で約5時間真空乾燥してメ
チルイソブチルケトンを除去し、エポキシ樹脂結晶化物
を得た。このエポキシ樹脂結晶化物のエポキシ当量、5
0℃から130℃の間の吸熱量、80℃から125℃の
間の吸熱量、それらの比、及び吸熱のピーク温度を表1
に示した。
1、2又は比較例1、2で製造したエポキシ樹脂結晶化
物、硬化剤成分として、フェノールアラルキル樹脂、無
機充填剤として溶融シリカ粉末、硬化促進剤としてトリ
フェニルホスフィン、離型剤としてカルナバワックスを
用いた。次いで、各成分を粉砕して混合した後、ミキシ
ングロールを用いて70℃で5分間混練した。得られた
各混合物はシート状に取り出し、粉砕して各硬化性エポ
キシ樹脂組成物を得た。
を180℃で測定した。これらの各硬化性エポキシ樹脂
組成物を用い低圧トランスファー成形機で金型温度18
0℃、成形時間90秒で成形して、各試験片を得、5時
間ポストキュアーさせた。各試験片のガラス転移温度及
び23℃の曲げ強度を測定し表2に示した。実施例3、
4で製造した硬化性エポキシ樹脂組成物は、比較例3、
4で製造した硬化性エポキシ樹脂組成物に較べて硬化
性、耐熱性及び機械的強度に優れていた。
剤などとの相溶が早いため、配合が容易である。また、
本発明のエポキシ樹脂結晶化物の製造方法によれば、該
エポキシ樹脂結晶化物を容易に製造することができる。
さらに、該エポキシ樹脂結晶化物を配合した本発明の硬
化性エポキシ樹脂組成物は、硬化反応が均一になるた
め、硬化性に優れ、各種硬化物性にも優れている。
130℃の間の吸熱量の測定例を示す図。
125℃の間の吸熱量の測定例を示す図。
130℃の間の吸熱量の測定例を示す図。
125℃の間の吸熱量の測定例を示す図。
Claims (6)
- 【請求項1】 4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラメチルビフェニルとエピハロヒドリン
とから誘導されたエポキシ樹脂の結晶化物であって、D
SC装置を用いて毎分10℃の速度で昇温して測定した
50℃から130℃の間の吸熱量と80℃から125℃
の間の吸熱量との比が1.03以上であることを特徴と
するエポキシ樹脂結晶化物。 - 【請求項2】 DSC装置を用いて毎分10℃の速度で
昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量と8
0℃から125℃の間の吸熱量との比が1.05以上、
1.50以下であり、吸熱のピーク温度が110℃以下
であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂結
晶化物。 - 【請求項3】 エポキシ当量が180から210である
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ
メチルビフェニルとエピハロヒドリンとから誘導された
エポキシ樹脂を105℃以上の溶融状態から冷却し、1
05℃より低い温度になってから2時間以内にほぼ完全
に結晶化させることを特徴とする、DSC装置を用いて
毎分10℃の速度で昇温して測定した50℃から130
℃の間の吸熱量と80℃から125℃の間の吸熱量との
比が1.03以上であるエポキシ樹脂結晶化物の製造方
法。 - 【請求項4】 前記DSC装置を用いて毎分10℃の速
度で昇温して測定した50℃から130℃の間の吸熱量
と80℃から125℃の間の吸熱量との比が1.05以
上、1.50以下であり、吸熱のピーク温度が110℃
以下であることを特徴とする請求項3記載のエポキシ樹
脂結晶化物の製造方法。 - 【請求項5】 前記溶融状態のエポキシ樹脂を105℃
以上の溶融状態から冷却し、105℃より低い温度にな
ってから2時間以内にほぼ完全に結晶化させる方法が、
105℃より低い温度で結晶核を加える方法及び剪断力
を加える方法のいずれか一方もしくは両方の方法で結晶
化させる方法であることを特徴とする請求項3又は4に
記載のエポキシ樹脂結晶化物の製造方法。 - 【請求項6】請求項1及び請求項2のいずれか1項に記
載のエポキシ樹脂結晶化物とエポキシ樹脂用硬化剤を必
須成分として配合して成る硬化性エポキシ樹脂組成物。
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