JP3539772B2 - 結晶状エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は低粘度性、低吸湿性等に優れた硬化物を与える半導体素子に代表される電気・電子部品等の封止、粉体塗料、積層材料、複合材料等に有用な結晶状エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料があるが、近年、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズが大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、より半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。
【0003】
上記問題点を克服するためフィラーの高充填化が強く指向されており、かつ低粘度なエポキシ樹脂が望まれている。低粘度エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が一般に広く知られているが、これらのエポキシ樹脂は通常、常温で液状であり、トランスファー成形用の樹脂組成物とすることは困難である。特開平5-304001号公報には、ジフェニルエーテル系エポキシ樹脂を主剤とした半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されているが、低吸湿性の点で問題がある。
また、エポキシ樹脂系粉体塗料としてはビスフェノールA 型固形エポキシ樹脂、またはノボラック型固形エポキシ樹脂が広く使用されてきているが、これらの樹脂は分子量が大きいため粘度が高く、流動性、平滑性に劣る欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低粘度性、低吸湿性等に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は下記一般式(1)、
【化3】
(但し、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0〜5の整数である。)
で表わされるエポキシ樹脂であって、nが1以上の多量体の含有量が0.2〜8wt%であり、かつ融点が40℃以上の常温で固形であることを特徴とする結晶状エポキシ樹脂である。
【0006】
また、本発明は4,4’−ジヒドロキシ置換体の純度が90wt%以上である下記一般式(2)、
【化4】
(但し、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
で表わされるジヒドロキシジフェニルメタン類をアルカリ金属水酸化物の存在下にフェノール性水酸基1モルに対して2モル以上のエピクロルヒドリンと反応させ得られた常温において液状であるエポキシ樹脂を、溶媒を用いての結晶化あるいはあらかじめ調整した種結晶を加えることによる結晶化を行うことを特徴とする請求項1に記載の結晶状エポキシ樹脂の製造法である。
【0007】
さらに、本発明は、エポキシ樹脂と硬化剤及び少なくとも75wt%以上の無機充填材よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分の一部又は全部として上記の結晶状エポキシ樹脂を粉末状にして用いた半導体封止用のエポキシ樹脂組成物である。
また、さらに本発明は上記のエポキシ樹脂組成物を140〜230℃でトランスファー成形、圧縮成形、注型等を用いて硬化させてなる硬化物である。
【0008】
本発明のエポキシ樹脂は、一般式(1)で表される融点が40℃以上の常温で固形である結晶状のエポキシ樹脂である。本樹脂の成分中、一般式(1)においてnが1以上の多量体の含有量が多いと、エポキシ樹脂を固形化するための結晶化が困難になるばかりでなく、結晶化後のエポキシ樹脂の融点が低下し、エポキシ樹脂の保存中または、エポキシ樹脂組成物とした後にブロッキング等の問題がある。本発明において、nが1以上の多量体の含有量の含有量は0. 2〜8wt%であり、より好ましくは0. 5〜5wt%である。また、好ましいnの平均値としては、0. 001〜0. 05の範囲である。
【0009】
本発明のエポキシ樹脂とは、具体的には4, 4' −ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルまたは、3, 3' −ジメチル−4, 4' −ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルを結晶化させた後の常温固形のエポキシ樹脂である。4, 4' −ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの場合の融点は 60 ℃以上であり、好ましくは65℃以上である。また、3, 3' −ジメチル−4, 4' −ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの場合の融点は40℃以上であり、好ましくは45℃以上である。
【0010】
本発明の上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、ジヒドロキシジフェニルメタン類のエポキシ化反応により合成されるが、本発明に用いるエポキシ樹脂の原料として用いるジヒドロキシジフェニルメタン類は、具体的には4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンまたは3,3'−ジメチル−4,4'- ジヒドロキシジフェニルメタンであり、たとえば、フェノールまたはo −クレゾールとホルムアルデヒドとの反応により製造される。通常、これらの方法に従った場合、得られるジヒドロキシジフェニルメタン類は、4,4'−置換体以外に2,2'- 置換体および2,4'- 置換体を含んだ混合物として得られる。
【0011】
本発明に用いるエポキシ樹脂の原料としては、4,4'- 置換体の純度が高いものほど好ましいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、2,2'- 置換体および2,4'- 置換体を含んだ混合物の使用が可能であるが、通常は4,4'- 置換体の純度が90wt%以上のジヒドロキシジフェニルメタン類を原料とすることが好ましく、より好ましくは4,4'- 置換体の純度が95wt%以上のジヒドロキシジフェニルメタン類が使用される。4, 4'- 置換体の純度がこれより低いと、エポキシ樹脂を固形化するための結晶化が困難になるばかりでなく、得られた固形エポキシ樹脂の融点が低く、結晶化後のエポキシ樹脂の融点が低下し、エポキシ樹脂の保存中または、エポキシ樹脂組成物とした後にブロッキング等の問題がある。
【0012】
本発明のエポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンを過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは、60〜120℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。一般式(1)においてnが1以上の多量体の生成量を少なく抑えるためには、この際のエピクロルヒドリンの使用量は4,4'- ジヒドロキシジフェニルメタンのフェノール性水酸基量より過剰に用いる必要があり、通常、フェノール性水酸基1モルに対して2モル以上であるが、好ましくは3モル以上である。これより少ないとエポキシ樹脂の多量体の生成量が多くなり粘度が高くなるとともに、エポキシ当量が大きくなることにより耐熱性も低下する。また、アルカリ金属水酸化物の使用量は、4,4'- ジヒドロキシジフェニルメタンの水酸基1モルに対して、0.8〜2モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。
【0013】
反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することによりエポキシ樹脂とすることができる。しかし、通常、これらのエポキシ樹脂は常温においても液状であるため、本発明に用いるためには結晶化を行う必要がある。結晶化の方法としては、溶媒を用いての結晶化あるいはあらかじめ調整した種結晶を加えることによる結晶化等の方法がある。溶媒を用いる方法において、溶媒種としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒が好適に用いられる。
【0014】
合成後の多量体の含有量が高い場合には分子蒸留、再結晶等の方法により、一般式(1)においてnが0の単量体の含有量を高めることができる。再結晶を行う場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒またはこれらの混合物が好適に用いられる。
【0015】
本発明の樹脂組成物に使用する硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族および脂肪族アミン類等がある。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類、さらにはフェノール類、ナフトール類または、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0016】
酸無水物類としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。また、アミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂を併用してもよい。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、またはテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以上を混合して用いることができるが、本発明に関わるエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、5〜100wt%、好ましくは30〜100wt%の範囲である。
【0018】
さらに、本発明の組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマーまたは高分子化合物を適宜配合してもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。
【0019】
無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、またはマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、顔料としては、有機系または無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明の樹脂組成物には必要に応じて、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲である。さらに、必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂は半導体封止に好適に使用される。この場合、本発明に用いるエポキシ樹脂は高純度のものが好適に使用され、加水分解性塩素量が1000ppm以下であることが好ましい。本用途の場合、無機充填剤の配合量を増やすことにより、吸水率、熱膨張率の低減、熱時強度の向上等を図ることが可能であり、大幅に半田耐熱性を向上させることができる。本用途に使用するエポキシ樹脂組成物に用いる無機充填剤の配合量は、通常、75wt%以上であるが、低吸湿性、高半田耐熱性の観点からは80wt%以上であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、上記のエポキシ樹脂組成物を加熱することにより得ることができ、これは低吸湿性、高半田耐熱性等に優れる。硬化物を得るための方法としてはトランスファー成形、圧縮成形、注型等が好適に用いられ、その際の温度としては通常、140℃〜230℃の範囲である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、下記実施例における加水分解性塩素の測定は以下の方法に従った。即ち、樹脂試料0. 5g を100ml 共栓付三角フラスコに秤量し、ジオキサン30mlを加え溶解する。これに1N-KOH 5mlを加え、煮沸還流する。室温まで冷却後、還流冷却管を10ml MeOH で洗浄し、全量を200ml のビーカーに移す。さらに80%アセトン水100ml でフラスコを洗浄し、ビーカーに移す。次に、conc.HNO3 2ml を加えて、1/500 N-AgNO3 水溶液で電位差滴定を行なうとともにブランク試験も行なう。
また、エポキシ樹脂の純度分析はGPC 測定により行った。測定は、装置;HLC-82A (東ソー(株)製)、カラム;TSK-GEL2000 x 3 本およびTSK-GEL4000 x 1 本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;THF 、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIである。
【0023】
実施例1
4,4’−体の純度が99.9wt%であるジヒドロキシジフェニルメタンを原料に用いた。ジヒドロキシジフェニルメタンの純度の測定条件は、カラム;Shim-pack CLC-ODS (6mm φ x 150mm)、移動相;アセトニトリル/水=60/40、流量;1 ml/min、温度;40℃、検出;UV (254nm)である。
上記ジヒドロキシジフェニルメタン100gをエピクロルヒドリン925gに溶解し、さらにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2gを加え、減圧下(約150mmHg、70℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液80.8gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、溜出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を除き、さらに水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、淡黄色液状の粗製エポキシ樹脂152gを得た。エポキシ当量は167であり、結晶化後の融点は55〜64℃であった。また、加水分解性塩素は2400ppmであった。
【0024】
得られたエポキシ樹脂100gをメチルイソブチルケトン300gに溶解し、85℃にて10%−NaOH水溶液、8.1gを加え2時間反応させた。反応後、濾過、水洗しメチルイソブチルケトンを留去することにより、単黄色液状のエポキシ樹脂97gを得た。
得られたエポキシ樹脂の加水分解性塩素は280ppmであり、樹脂中におけるn=0に相当する4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの純度は92.5wt%、n=1の二量体に相当する化合物の含有量は6.0wt%であり、nが2以上の多量体は検出されなかった。
【0025】
得られた液状のエポキシ樹脂に別途調整した4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの微粉末結晶1gを加えた後、30℃で静置し樹脂の結晶化を行った。得られた結晶の融点は58〜65℃であった。融点の測定はキャピラリー法で昇温速度2℃/分で行った。また、得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は165であり、m−クレゾール中(固形分;30w%)での25℃における溶融粘度は36cpsであった。
【0026】
実施例2
実施例1で得られたエポキシ樹脂100gをメタノールより再結晶を行い、白色結晶状エポキシ樹脂64gを得た。エポキシ当量は162であり、加水分解性塩素は185ppmであり、融点は63〜70℃であった。得られたエポキシ樹脂のn=0の化合物の純度は95.9wt%であり、n=1の化合物の含有量は2.6wt%でった。また、nが2以上の多量体は検出されなかった。
【0027】
実施例3
3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンの純度が98.5%であるジヒドロキシジフェニルメタン化合物を原料に用いて実施例1と同様に反応を行い、淡黄色液状エポキシ樹脂143gを得た。得られたエポキシ樹脂をメタノールから再結晶を行うことによりn=0に相当する化合物の含有量が94. 7wt%、n=1の二量体に相当する化合物の含有量が3. 2wt%であり、nが2以上の多量体は検出されない白色結晶状のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は172、加水分解性塩素は310ppmであり、融点は43. 2〜46. 8℃であった。
【0028】
参考例1
2,2’−体の含有量が8.2wt%、2,4’−体の含有量が10.4wt%、4,4’−体の含有量が81.4wt%であるジヒドロキシジフェニルメタンを原料として実施例1と同様に反応を行った結果、以下の品質のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は169、加水分解性塩素は210ppmであり、n=0の化合物の純度は90.2wt%であり、nが1以上の化合物の含有量は6.4wt%でった。得られた樹脂を実施例1と同様に結晶化を試みた結果、常温でやや柔らかく融点が不明瞭な白色固体を得た。
【0029】
参考例2
4,4’−体の純度が99.9wt%であるジヒドロキシジフェニルメタン100gを原料に用い、エピクロルヒドリン278gを用いて実施例1と同様に反応を行った結果、以下の品質の常温でやや柔らかい白色結晶状のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は174、加水分解性塩素は330ppmであり、融点は40〜55℃であった。得られたエポキシ樹脂のn=0の化合物の純度は85.2wt%であり、n=1の化合物の含有量は9.2wt%、n=2の化合物の含有量は0.2wt%でった。また、m−クレゾール中(固形分;30wt%)での25℃における溶融粘度は42cpsであった。
【0030】
実施例4、5
エポキシ樹脂成分として実施例1で得られたエポキシ樹脂結晶を粉砕機により最大粒径が1mm以下の粉末状とした後、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂(軟化点71℃、OH当量107)、充填剤としての破砕シリカ(平均粒径、16μm)または球状シリカ(平均粒径、22μm)、硬化促進剤としてのトリフェニルホスフィン、シランカップリング剤としてのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびその他の第1表に示す添加剤と第1表に示す割合(重量部)で配合した後、混練しエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。また、本エポキシ樹脂組成物を用いて84ピンICを成形し、ポストキュア後85℃、85%RHの条件で24時間、48時間および72時間吸湿させたときの吸水率(%)、260℃の半田浴に10秒間浸漬させパッケージのクラック発生率を観察した。
また、調整したエポキシ樹脂組成物を常温に10日間放置後のブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
実施例6
実施例3で得たエポキシ樹脂を用い、実施例4と同様に配合、混練、成形し評価した。結果を表1に示す。
【0032】
比較例1、2
エポキシ樹脂成分として参考例1、2(比較例1、2)で得たエポキシ樹脂を用い、実施例1と同様に配合、混練、成形し評価した。結果を表1に示す。なお、参考例1、2で得たエポキシ樹脂は常温でやや柔らかい固形樹脂であるため、粉砕が困難であったためブロック状態のまま配合し、混練を行い樹脂組成物とした。
【0033】
比較例3
エポキシ樹脂成分としてo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点71℃、加水分解性塩素190ppm、エポキシ当量197)100部を用い、実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物を得た後、成形を行い評価した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂は溶融状態において極めて低粘度であるため優れた成形流動性を保持するとともに、常温においては結晶状の固体であるため、エポキシ樹脂組成物としたときの保存時の耐ブロッキング性に優れる。さらに、極めて良好な低粘度性を活かすことによりシリカの高充填化が可能であるため、半導体封止用樹脂組成物に応用した場合、半導体素子を封止して得られたパッケージの耐クラック性が大幅に向上する。
Claims (4)
- エポキシ樹脂と硬化剤及び少なくとも75wt%以上の無機充填材よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分の一部又は全部として請求項1に記載の結晶状エポキシ樹脂を粉末状にして用いることを特徴とする半導体封止用のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を140〜230℃でトランスファー成形、圧縮成形、注型等を用いて硬化させてなる硬化物。
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