JPH0873563A - 結晶状エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents

結晶状エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエポキシ樹脂組成物および硬化物

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JPH0873563A
JPH0873563A JP21551294A JP21551294A JPH0873563A JP H0873563 A JPH0873563 A JP H0873563A JP 21551294 A JP21551294 A JP 21551294A JP 21551294 A JP21551294 A JP 21551294A JP H0873563 A JPH0873563 A JP H0873563A
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正史 梶
Koichiro Ogami
浩一郎 大神
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和彦 中原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低粘度性、低吸湿性等に優れた硬化物を与え
るエポキシ樹脂を提供する。 【構成】 一般式(1) 【化1】 で表されるエポキシ樹脂であってnが1以上の多量体の
含有量が0.2〜8wt%であり、かつ融点が40℃以
上である結晶状エポキシ樹脂。および、ジヒドロキシジ
フェニルメタン類を過剰のエピクロルヒドリンと反応さ
せ、結晶化させる一般式(1)の結晶状エポキシ樹脂の
製造法。 【効果】 良好な低粘度性によりシリカの高充填化が可
能となり、半導体封止用としての耐クラック性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低粘度性、低吸湿性等に
優れた硬化物を与える半導体素子に代表される電気・電
子部品等の封止、粉体塗料、積層材料、複合材料等に有
用な結晶状エポキシ樹脂、その製造法、それを用いたエ
ポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、エポキシ樹脂は工業的に幅広
い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ま
すます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤と
する樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料がある
が、近年、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケー
ジサイズが大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方
式も表面実装化への移行が進展しており、より半田耐熱
性に優れた材料の開発が望まれている。
【0003】上記問題点を克服するためフィラーの高充
填化が強く指向されており、かつ低粘度なエポキシ樹脂
が望まれている。低粘度エポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂等が一般に広く知られているが、これらのエポキ
シ樹脂は通常、常温で液状であり、トランスファー成形
用の樹脂組成物とすることは困難である。特開平5-3040
01号公報には、ジフェニルエーテル系エポキシ樹脂を主
剤とした半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されて
いるが、低吸湿性の点で問題がある。また、エポキシ樹
脂系粉体塗料としてはビスフェノールA 型固形エポキシ
樹脂、またはノボラック型固形エポキシ樹脂が広く使用
されてきているが、これらの樹脂は分子量が大きいため
粘度が高く、流動性、平滑性に劣る欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低粘度性、低吸湿性等に優れた硬化物を与えるエポ
キシ樹脂を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は下記
一般式(1)、
【化4】 (但し、 Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0〜
5の整数である。)で表されるエポキシ樹脂であって、
nが1以上の多量体の含有量が0. 2〜8wt%であり
かつ融点が40℃以上である結晶状のエポキシ樹脂であ
る。
【0006】また、本発明は4, 4'- ジヒドロキシ置
換体の純度が95wt% 以上である下記一般式(2)、
【化5】 (但し、 Rは水素原子またはメチル基を示す。)で表さ
れるジヒドロキシジフェニルメタン類を金属水酸化物の
存在下に過剰のエピクロルヒドリンと反応させ得られた
エポキシ樹脂を結晶化させることを特徴とする上記結晶
状エポキシ樹脂の製造法である。
【0007】さらに、本発明は、エポキシ樹脂および硬
化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹
脂成分の一部または全部として上記結晶状のエポキシ樹
脂を用いたエポキシ樹脂組成物である。また、さらに本
発明は上記エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物で
ある。
【0008】本発明のエポキシ樹脂は、一般式(1)で
表される融点が40℃以上の常温で固形である結晶状の
エポキシ樹脂である。本樹脂の成分中、一般式(1)に
おいてnが1以上の多量体の含有量が多いと、エポキシ
樹脂を固形化するための結晶化が困難になるばかりでな
く、結晶化後のエポキシ樹脂の融点が低下し、エポキシ
樹脂の保存中または、エポキシ樹脂組成物とした後にブ
ロッキング等の問題がある。本発明において、nが1以
上の多量体の含有量の含有量は0. 2〜8wt%であ
り、より好ましくは0. 5〜5wt%である。また、好
ましいnの平均値としては、0. 001〜0. 05の範
囲である。
【0009】本発明のエポキシ樹脂とは、具体的には4,
4' −ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエ
ーテルまたは、3, 3' −ジメチル−4, 4' −ジヒドロキ
シジフェニルメタンのジグリシジルエーテルを結晶化さ
せた後の常温固形のエポキシ樹脂である。4, 4' −ジヒ
ドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの場
合の融点は 60 ℃以上であり、好ましくは65℃以上であ
る。また、3, 3' −ジメチル−4, 4' −ジヒドロキシジ
フェニルメタンのジグリシジルエーテルの場合の融点は
40℃以上であり、好ましくは45℃以上である。
【0010】本発明の上記一般式(1)で表されるエポ
キシ樹脂は、ジヒドロキシジフェニルメタン類のエポキ
シ化反応により合成されるが、本発明に用いるエポキシ
樹脂の原料として用いるジヒドロキシジフェニルメタン
類は、具体的には4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン
または3,3'−ジメチル−4,4'- ジヒドロキシジフェニル
メタンであり、たとえば、フェノールまたはo −クレゾ
ールとホルムアルデヒドとの反応により製造される。通
常、これらの方法に従った場合、得られるジヒドロキシ
ジフェニルメタン類は、4,4'−置換体以外に2,2'- 置換
体および2,4'-置換体を含んだ混合物として得られる。
【0011】本発明に用いるエポキシ樹脂の原料として
は、4,4'- 置換体の純度が高いものほど好ましいが、本
発明の目的を阻害しない範囲で、2,2'- 置換体および2,
4'-置換体を含んだ混合物の使用が可能であるが、通常
は4,4'- 置換体の純度が90wt%以上のジヒドロキシ
ジフェニルメタン類を原料とすることが好ましく、より
好ましくは4,4'- 置換体の純度が95wt%以上のジヒ
ドロキシジフェニルメタン類が使用される。4, 4'- 置
換体の純度がこれより低いと、エポキシ樹脂を固形化す
るための結晶化が困難になるばかりでなく、得られた固
形エポキシ樹脂の融点が低く、結晶化後のエポキシ樹脂
の融点が低下し、エポキシ樹脂の保存中または、エポキ
シ樹脂組成物とした後にブロッキング等の問題がある。
【0012】本発明のエポキシ樹脂の製造方法として
は、特に限定するものではないが、例えば、4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルメタンを過剰のエピクロルヒドリン
に溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の
アルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好
ましくは、60〜120℃の範囲で1〜10時間反応さ
せる方法が挙げられる。一般式(1)においてnが1以
上の多量体の生成量を少なく抑えるためには、この際の
エピクロルヒドリンの使用量は4,4'- ジヒドロキシジフ
ェニルメタンのフェノール性水酸基量より過剰に用いる
必要があり、通常、フェノール性水酸基1モルに対して
2モル以上であるが、好ましくは3モル以上である。こ
れより少ないとエポキシ樹脂の多量体の生成量が多くな
り粘度が高くなるとともに、エポキシ当量が大きくなる
ことにより耐熱性も低下する。また、アルカリ金属水酸
化物の使用量は、4,4'- ジヒドロキシジフェニルメタン
の水酸基1モルに対して、0.8〜2モル、好ましく
は、0.9〜1.2モルの範囲である。
【0013】反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを
留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等
の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次
いで溶剤を留去することによりエポキシ樹脂とすること
ができる。しかし、通常、これらのエポキシ樹脂は常温
においても液状であるため、本発明に用いるためには結
晶化を行う必要がある。結晶化の方法としては、溶媒を
用いての結晶化あるいはあらかじめ調整した種結晶を加
えることによる結晶化等の方法がある。溶媒を用いる方
法において、溶媒種としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒が好適に用
いられる。
【0014】合成後の多量体の含有量が高い場合には分
子蒸留、再結晶等の方法により、一般式(1)において
nが0の単量体の含有量を高めることができる。再結晶
を行う場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル
等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭
化水素系溶媒またはこれらの混合物が好適に用いられ
る。
【0015】本発明の樹脂組成物に使用する硬化剤とし
ては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られている
ものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、
多価フェノール類、酸無水物類、芳香族および脂肪族ア
ミン類等がある。具体的に例示すれば、多価フェノール
類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、
4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハ
イドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2
価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラッ
ク、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラッ
ク、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフ
ェノール類、さらにはフェノール類、ナフトール類また
は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェ
ノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レ
ゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類
のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデ
ヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレ
ングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノー
ル性化合物等がある。
【0016】酸無水物類としては、無水フタル酸、テト
ラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無
水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック
酸、無水トリメリット酸等がある。また、アミン類とし
ては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’
−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジ
フェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシ
リレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。本
発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種または2種
以上を混合して用いることができる。
【0017】また、本発明の樹脂組成物には、本発明の
エポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有
する通常のエポキシ樹脂を併用してもよい。例を挙げれ
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレン
ビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−
ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価の
フェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o
−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、
またはテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビ
スフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物
等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種または2種以
上を混合して用いることができるが、本発明に関わるエ
ポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、5〜100
wt%、好ましくは30〜100wt%の範囲である。
【0018】さらに、本発明の組成物中には、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウ
レタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ
樹脂等のオリゴマーまたは高分子化合物を適宜配合して
もよい。また、本発明の樹脂組成物には、無機充填剤、
顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性
向上剤等の添加剤を配合できる。
【0019】無機充填剤としては、例えば、球状あるい
は、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、
アルミナ粉末、ガラス粉末、またはマイカ、タルク、炭
酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、
顔料としては、有機系または無機系の体質顔料、鱗片状
顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒ
マシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレン
ワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができ
る。
【0020】また、本発明の樹脂組成物には必要に応じ
て、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。
例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフ
ィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エ
ポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜5重量部の
範囲である。さらに、必要に応じて、本発明の樹脂組成
物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカッ
プリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アン
チモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ス
テアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
【0021】本発明のエポキシ樹脂は半導体封止に好適
に使用される。この場合、本発明に用いるエポキシ樹脂
は高純度のものが好適に使用され、加水分解性塩素量が
1000ppm以下であることが好ましい。本用途の場合、
無機充填剤の配合量を増やすことにより、吸水率、熱膨
張率の低減、熱時強度の向上等を図ることが可能であ
り、大幅に半田耐熱性を向上させることができる。本用
途に使用するエポキシ樹脂組成物に用いる無機充填剤の
配合量は、通常、75wt%以上であるが、低吸湿性、
高半田耐熱性の観点からは80wt%以上であることが
好ましい。本発明のエポキシ樹脂硬化物は、上記のエポ
キシ樹脂組成物を加熱することにより得ることができ、
これは低吸湿性、高半田耐熱性等に優れる。硬化物を得
るための方法としてはトランスファー成形、圧縮成形、
注型等が好適に用いられ、その際の温度としては通常、
140℃〜230℃の範囲である。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、下記実施例における加水分解性塩素の
測定は以下の方法に従った。即ち、樹脂試料0. 5g を
100ml 共栓付三角フラスコに秤量し、ジオキサン3
0mlを加え溶解する。これに1N-KOH 5mlを加え、煮沸
還流する。室温まで冷却後、還流冷却管を10ml MeOH
で洗浄し、全量を200ml のビーカーに移す。さらに
80%アセトン水100ml でフラスコを洗浄し、ビー
カーに移す。次に、conc.HNO3 2ml を加えて、1/500
N-AgNO3 水溶液で電位差滴定を行なうとともにブランク
試験も行なう。また、エポキシ樹脂の純度分析はGPC 測
定により行った。測定は、装置;HLC-82A (東ソー
(株)製)、カラム;TSK-GEL2000 x 3 本およびTSK-GE
L4000 x 1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;THF
、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIである。
【0023】実施例1 4,4’−体の純度が99.9wt%であるジヒドロキ
シジフェニルメタンを原料に用いた。ジヒドロキシジフ
ェニルメタンの純度の測定条件は、カラム;Shim-pack
CLC-ODS (6mm φ x 150mm)、移動相;アセトニトリル
/水=60/40、流量;1 ml/min、温度;40℃、検出;UV
(254nm)である。上記ジヒドロキシジフェニルメタン1
00gをエピクロルヒドリン925gに溶解し、さらに
ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2gを
加え、減圧下(約150mmHg、70℃にて48%水
酸化ナトリウム水溶液80.8gを4時間かけて滴下し
た。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸
により系外に除き、溜出したエピクロルヒドリンは系内
に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続した。
その後、濾過により生成した塩を除き、さらに水洗した
のちエピクロルヒドリンを留去し、淡黄色液状の粗製エ
ポキシ樹脂152gを得た。エポキシ当量は167であ
り、結晶化後の融点は55〜64℃であった。また、加
水分解性塩素は2400ppmであった。
【0024】得られたエポキシ樹脂100gをメチルイ
ソブチルケトン300gに溶解し、85℃にて10%−
NaOH水溶液、8.1gを加え2時間反応させた。反応
後、濾過、水洗しメチルイソブチルケトンを留去するこ
とにより、単黄色液状のエポキシ樹脂97gを得た。得
られたエポキシ樹脂の加水分解性塩素は280ppmで
あり、樹脂中におけるn=0に相当する4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルメタンのジグリシジルエーテルの純
度は92.5wt%、n=1の二量体に相当する化合物
の含有量は6.0wt%であり、nが2以上の多量体は
検出されなかった。
【0025】得られた液状のエポキシ樹脂に別途調整し
た4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンのジグリシ
ジルエーテルの微粉末結晶1gを加えた後、30℃で静
置し樹脂の結晶化を行った。得られた結晶の融点は58
〜65℃であった。融点の測定はキャピラリー法で昇温
速度2℃/分で行った。また、得られたエポキシ樹脂の
エポキシ当量は165であり、m−クレゾール中(固形
分;30w%)での25℃における溶融粘度は36cp
sであった。
【0026】実施例2 実施例1で得られたエポキシ樹脂100gをメタノール
より再結晶を行い、白色結晶状エポキシ樹脂64gを得
た。エポキシ当量は162であり、加水分解性塩素は1
85ppmであり、融点は63〜70℃であった。得ら
れたエポキシ樹脂のn=0の化合物の純度は95.9w
t%であり、n=1の化合物の含有量は2.6wt%で
った。また、nが2以上の多量体は検出されなかった。
【0027】実施例3 3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルメタンの純度が98.5%であるジヒドロキシジフェ
ニルメタン化合物を原料に用いて実施例1と同様に反応
を行い、淡黄色液状エポキシ樹脂143gを得た。得ら
れたエポキシ樹脂をメタノールから再結晶を行うことに
よりn=0に相当する化合物の含有量が94. 7wt
%、n=1の二量体に相当する化合物の含有量が3. 2
wt%であり、nが2以上の多量体は検出されない白色
結晶状のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は172、
加水分解性塩素は310ppmであり、融点は43. 2
〜46. 8℃であった。
【0028】参考例1 2,2’−体の含有量が8.2wt%、2,4’−体の
含有量が10.4wt%、4,4’−体の含有量が8
1.4wt%であるジヒドロキシジフェニルメタンを原
料として実施例1と同様に反応を行った結果、以下の品
質のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は169、加水
分解性塩素は210ppmであり、n=0の化合物の純
度は90.2wt%であり、nが1以上の化合物の含有
量は6.4wt%でった。得られた樹脂を実施例1と同
様に結晶化を試みた結果、常温でやや柔らかく融点が不
明瞭な白色固体を得た。
【0029】参考例2 4,4’−体の純度が99.9wt%であるジヒドロキ
シジフェニルメタン100gを原料に用い、エピクロル
ヒドリン278gを用いて実施例1と同様に反応を行っ
た結果、以下の品質の常温でやや柔らかい白色結晶状の
エポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は174、加水分解
性塩素は330ppmであり、融点は40〜55℃であ
った。得られたエポキシ樹脂のn=0の化合物の純度は
85.2wt%であり、n=1の化合物の含有量は9.
2wt%、n=2の化合物の含有量は0.2wt%でっ
た。また、m−クレゾール中(固形分;30wt%)で
の25℃における溶融粘度は42cpsであった。
【0030】実施例4、5 エポキシ樹脂成分として実施例1で得られたエポキシ樹
脂結晶を粉砕機により最大粒径が1mm以下の粉末状と
した後、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂(軟化
点71℃、OH当量107)、充填剤としての破砕シリ
カ(平均粒径、16μm)または球状シリカ(平均粒
径、22μm)、硬化促進剤としてのトリフェニルホス
フィン、シランカップリング剤としてのγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、およびその他の第1表
に示す添加剤と第1表に示す割合(重量部)で配合した
後、混練しエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹
脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて1
2時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各
種物性測定に供した。また、本エポキシ樹脂組成物を用
いて84ピンICを成形し、ポストキュア後85℃、8
5%RHの条件で24時間、48時間および72時間吸
湿させたときの吸水率(%)、260℃の半田浴に10
秒間浸漬させパッケージのクラック発生率を観察した。
また、調整したエポキシ樹脂組成物を常温に10日間放
置後のブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】実施例6 実施例3で得たエポキシ樹脂を用い、実施例4と同様に
配合、混練、成形し評価した。結果を表1に示す。
【0032】比較例1、2 エポキシ樹脂成分として参考例1、2(比較例1、2)
で得たエポキシ樹脂を用い、実施例1と同様に配合、混
練、成形し評価した。結果を表1に示す。なお、参考例
1、2で得たエポキシ樹脂は常温でやや柔らかい固形樹
脂であるため、粉砕が困難であったためブロック状態の
まま配合し、混練を行い樹脂組成物とした。
【0033】比較例3 エポキシ樹脂成分としてo−クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂(軟化点71℃、加水分解性塩素190pp
m、エポキシ当量197)100部を用い、実施例1と
同様にエポキシ樹脂組成物を得た後、成形を行い評価し
た。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂は溶融状態におい
て極めて低粘度であるため優れた成形流動性を保持する
とともに、常温においては結晶状の固体であるため、エ
ポキシ樹脂組成物としたときの保存時の耐ブロッキング
性に優れる。さらに、極めて良好な低粘度性を活かすこ
とによりシリカの高充填化が可能であるため、半導体封
止用樹脂組成物に応用した場合、半導体素子を封止して
得られたパッケージの耐クラック性が大幅に向上する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)、 【化1】 (但し、 Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0〜
    5の整数である。)で表されるエポキシ樹脂であって、
    nが1以上の多量体の含有量が0. 2〜8wt%であ
    り、かつ融点が40℃以上であることを特徴とする結晶
    状エポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】4, 4'- ジヒドロキシ置換体の純度が9
    5wt% 以上である下記一般式(2)、 【化2】 (但し、 Rは水素原子またはメチル基を示す。)で表さ
    れるジヒドロキシジフェニルメタン類を金属水酸化物の
    存在下に過剰のエピクロルヒドリンと反応させ得られた
    エポキシ樹脂を結晶化させることを特徴とする請求項1
    に記載の結晶状エポキシ樹脂の製造法。
  3. 【請求項3】エポキシ樹脂および硬化剤よりなるエポキ
    シ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分の一部または
    全部として下記一般式(1)、 【化3】 (但し、 Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0〜
    5の整数である。)で表される構造を有し、nが1以上
    の多量体の含有量が0. 2〜8wt%でありかつ融点が
    40℃以上である結晶状エポキシ樹脂を用いることを特
    徴とするエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬
    化させてなる硬化物。
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