JP5127160B2 - エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP5127160B2
JP5127160B2 JP2006140918A JP2006140918A JP5127160B2 JP 5127160 B2 JP5127160 B2 JP 5127160B2 JP 2006140918 A JP2006140918 A JP 2006140918A JP 2006140918 A JP2006140918 A JP 2006140918A JP 5127160 B2 JP5127160 B2 JP 5127160B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
formula
biphenol
bisphenol
epoxy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006140918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007308642A (ja
Inventor
政隆 中西
高男 須永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2006140918A priority Critical patent/JP5127160B2/ja
Publication of JP2007308642A publication Critical patent/JP2007308642A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5127160B2 publication Critical patent/JP5127160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)

Description

本発明は電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等、中でも特に積層板等の用途に有用であり、金属箔張り積層板、ビルドアップ基板用絶縁材料、フレキシブル基板材料など、更に詳しくは、本発明は電子回路基板に用いられる銅張り積層板の製造用の樹脂組成物として有用である硬化性樹脂組成物を与えるエポキシ樹脂及び該組成物の硬化物に関する。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
しかし近年、電気・電子分野においてはその発展に伴い、樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラーを高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性のアップ等の諸特性の一層の向上が求められている。又、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。特に半導体封止分野、基板(基板自体、もしくはその周辺材料)においては薄型化が年々高度になり、材料に求められる特性として耐熱性はもちろんのこと、柔軟性が求められるようになってきている。更に環境問題から、近年、難燃剤としてハロゲン系エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが特に電気電子部品の難燃剤として多用されているが、これらを使用した製品はその廃棄後の不適切な処理により、ダイオキシン等の有毒物質の発生に寄与することが指摘されている。上記の問題を解決する方法の一つとして、リン原子を骨格に有するエポキシ樹脂が提案されている。特に、通常のリン酸エステルタイプの化合物はその安定性が低いため、安定性の良い、環状リン酸エステル化合物が使用されている。またリン酸エステル化合物を使用しなくても、樹脂骨格を選ぶことで従来のエポキシ樹脂に比べ難燃性に優れたものが開発されてきている。現在、特に一般に「ハロゲンフリー、リンフリー」と呼ばれる難燃性が求められていている。このようなエポキシ樹脂としてはフェノール−ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(具体的には日本化薬株式会社製NC−3000シリーズ)等が挙げられるが製造工程が複雑であり、より簡便で難燃性に優れるエポキシ樹脂の開発が望まれている。
特開2006−45261号公報
本発明の目的は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用であるエポキシ樹脂であって、難燃性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂、および、これを使用した硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
(1)4,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン及び2,2’−ジヒドロキシビフェニルメタンから選ばれる2種以上の混合物、ビフェノール及びエピハロヒドリンの三種を反応させ得られる平均分子量が500〜10000のエポキシ樹脂、
(2)下記式(1)
Figure 0005127160
(式中nは下記平均分子量にみあった繰り返し数を表す。複数あるArは下記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよいが、全てのArが式(1a)または式(1b)であることはない。)
Figure 0005127160
Figure 0005127160
で表されるエポキシ樹脂であって、酸素原子に対するメチレン結合の結合位置において下記式(2)、(3)、(4)
Figure 0005127160
Figure 0005127160
Figure 0005127160
で表される結合の含有量(モル)をそれぞれβ、γ、δとしたとき、0<β/(β+γ+δ)≦0.5であり、かつその平均分子量が500〜10000である事を特徴とするエポキシ樹脂、
(3)エポキシ当量が250〜2000g/eq.であり、かつ軟化点(もしくは融点)が45〜150℃であることを特徴とする(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂、
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂、および硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物、
(5)無機充填剤を組成物の総重量の20重量%以上含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(6)(4)または(5)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(7)(a)下記式(1’)
Figure 0005127160
(式中n'は平均分子量150〜500にみあった繰り返し数を表す。複数あるArは下記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0005127160
Figure 0005127160
で表されるエポキシ樹脂に
(b)4,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン及び2,2’−ジヒドロキシビフェニルメタンから選ばれる2種以上の混合物
及び/または
(c)ビフェノール
を反応させることを特徴とする下記式(1)
Figure 0005127160
(式中nは平均分子量500〜10000にみあった繰り返し数を表す。複数あるArは前記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよいが、全てのArが式(1a)または式(1b)であることはない。また、酸素原子に対するメチレン結合の結合位置において下記式(2)、(3)、(4)
Figure 0005127160
Figure 0005127160
Figure 0005127160
で表される結合の含有量(モル)をそれぞれβ、γ、δとしたとき、0<β/(β+γ+δ)≦0.5である。)
で表されるエポキシ樹脂の製造方法
(8)(a)のエポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、(b)がビフェノールである(7)記載の製造方法
に関する。
本発明のエポキシ樹脂を使用するエポキシ樹脂組成物は難燃剤、リン系化合物を使用しなくても難燃性を発現し、組成物中の難燃剤、リン系化合物の低減に寄与するエポキシ樹脂であり、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。
本発明のエポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格とビフェノール骨格を有するエポキシ樹脂である。反応方法には特に限定はないが、ビスフェノールFとビフェノールを一括、あるいは段階的にエピハロヒドリンと反応させることで得られる。
本発明において使用できるビスフェノールFとはフェノールとホルマリン(もしくはその誘導体)との反応物を指す。このようなビスフェノールFにはいくつかの位置異性体が存在するが、下記(2a)〜(4a)から選ばれる2種以上の位置異性体を含むビスフェノールFを使用する。
Figure 0005127160
Figure 0005127160
Figure 0005127160
市販されているビスフェノールFはこれに相当する。なお、たとえば、4,4’−ビスフェノールFのみを原料として本発明のエポキシ樹脂を製造した場合、結晶性が非常に高くなり、融点が150℃を超えてしまうことから製造時のハンドリングを考えてもあまり好ましくはない。
好ましい位置異性体の含有量(モル)としては前記式(2a)、(3a)、(4a)の位置異性体の含有量をそれぞれ(β’)、(γ’)、(δ’)とすると、0<β’/(β’+γ’+δ’)≦0.5を満たすことが好ましく、さらにβ’×γ’×δ’≠0を満たすことが好ましい。
また本発明のエポキシ樹脂を得る反応において使用できる’エピハロヒドリンとしてはエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨウ化ヒドリン等の化合物が挙げられ、市場からの入手の簡便さからエピクロロヒドリンが好ましい。
以下に本発明のエポキシ樹脂の具体的な合成法に関して記載する。本発明のエポキシ樹脂の合成法は以下の合成法に限られたものではない。
本発明のエポキシ樹脂は1段法、もしくはフュージョン法(Advanced法、二段法とも言う。新エポキシ樹脂 垣内弘編著 24−25、30−31ページ参照)によって合成できる。以下、両者につきそれぞれ詳細に説明する。
(1段法)
本発明のエポキシ樹脂を、ビスフェノールF、ビフェノールとエピハロヒドリンとを混合し、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより得る方法である。
ビスフェノールFとビフェノールの使用量としては得られるエポキシ樹脂のビスフェノールF由来のフラグメントのモル数を(F)、ビフェノール由来のフラグメントのモル数を(P)とした場合、0.1≦(F/P)≦10を満たすように仕込むことが好ましい。さらに好ましくは0.4≦(F/P)≦5であり、さらに好ましくは0.6≦(F/P)≦4である。(F/P)>0.1の場合、結晶性が高すぎるためにハンドリングが悪くなり、(F/P)<10の場合、難燃性への寄与が少なくなる。
またエピハロヒドリンの使用量はビスフェノールF、ビフェノールのトータルの水酸基1モルに対し通常1.0〜5.0モル、好ましくは1.0〜4.0モル、さらに好ましくは1.5〜3.0モルである。
本反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はビスフェノールF、ビフェノールのトータルの水酸基1モルに対して通常0.3〜2.5モルであり、好ましくは0.5〜2.0モルである。
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加することは好ましい。4級アンモニウム塩の使用量としてはビスフェノールF、ビフェノールのトータルの水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
この際、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜20重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜150重量%である。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用したビスフェノールF、ビフェノールのトータルの水酸基の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
(フュージョン法)
本手法は、ビスフェノールFおよび/またはビフェノールをグリシジル化して得られるエポキシ樹脂に対し、ビスフェノールFおよび/またはビフェノールを反応させる方法である。すなわち中間体エポキシ樹脂にさらにフェノール化合物を反応させるというものである。使用する中間体エポキシ樹脂とフェノール化合物は、得られるエポキシ樹脂が、ビスフェノールF骨格とビフェノール骨格を有する組み合わせになればよい。原料となるビスフェノールFおよび/またはビフェノールをグリシジル化して得られるエポキシ樹脂は、市販の化合物(後述)を使用しても、ビスフェノールFおよび/またはビフェノールをグリシジル化して使用してもよい。
市販品であるビスフェノールFとしては、日本化薬株式会社製RE−304S、RE−303S−L、RE−404S、RE−403S、など、ジャパンエポキシレジン株式会社製 jER−806、jER−806L、jER−807、など、東都化成工業株式会社製 YDF−170、YDF−175Sなどが挙げられる。
また、中間体エポキシ樹脂を合成する場合、例えばビスフェノールFおよび/またはビフェノールとエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させる。エピハロヒドリンの使用量はビスフェノールFおよび/またはビフェノールのトータルの水酸基1モルに対し通常3.0〜20.0モル、好ましくは3.5〜10.0モルである。ここで使用できるビスフェノールFとしては、前記ビスフェノールF等が挙げられる。
上記反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、またその水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はビスフェノールFおよび/またはビフェノールの水酸基1モルに対して通常0.9〜2.5モルであり、好ましくは0.95〜2.0モルである。
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加することは好ましい。4級アンモニウム塩の使用量としてはC−BPのトータルの水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
この際、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜20重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はグリシジル化に使用したビスフェノールFおよび/またはビフェノールのトータルの水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより中間体エポキシ樹脂が得られる。このようにして得られる中間体エポキシ樹脂は一般にその平均分子量が150〜500であることが好ましく、さらに好ましくは155〜400である。なお、本発明において「平均分子量」は、エポキシ当量より算出された値である。
得られた中間体エポキシ樹脂とさらにビスフェノールFおよび/またはビフェノールを反応させることにより、本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。
本反応は必要により、触媒を使用する。使用できる触媒としては具体的にはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;トリフェニルエチホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスフォニウム塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類;、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類;オクチル酸スズなどの金属化合物;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これら触媒は、その触媒の種類にもよるが、一般に中間体エポキシ樹脂とビスフェノールFおよび/またはビフェノールの総重量に対して通常10ppm〜30000ppm、好ましくは100ppm〜5000ppmが必要に応じて用いられる。本反応においては触媒を添加しなくても反応は進行するので、触媒は反応温度、反応溶剤量を勘案して適宜使用する。
このフュージョン法において、溶剤は使用しても使用しなくてもかまわない。溶剤を使用する場合は本反応に影響を与えない溶剤であればいずれの溶剤でも使用でき、例えば以下に示すような溶剤を用いることができる。
極性溶剤、エーテル類;ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等、
エステル系の有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等、
ケトン系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等
芳香族系有機溶剤;トルエン、キシレン等
溶剤の使用量は中間体エポキシ樹脂とビスフェノールFおよび/またはビフェノールの総重量に対し、0〜300重量%、好ましくは0〜100重%である。
フュージョン法は、中間体エポキシ樹脂を必要により触媒の存在下、ビスフェノールF及びまたはビフェノール(以下、両者をあわせて鎖延長剤という)と反応させる。なお、鎖延長剤は、得られるエポキシ樹脂が必ずビスフェノールフラグメントとビフェノールフラグメントを有するように選択するが、中間体エポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、鎖延長剤がビフェノールである組み合わせが好ましい。フュージョン法における中間体エポキシ樹脂と鎖延長剤の使用割合は、得られるエポキシ樹脂のF/Pが0.1≦(F/P)≦10を満たすように仕込むことが好ましい。さらに好ましくは0.4≦(F/P)≦5であり、さらに好ましくは0.6≦(F/P)≦4である。なお、得られたエポキシ樹脂のF/PはNMRで確認できる。フュージョン法における反応温度、反応時間は、使用する溶媒量や触媒の種類と量により、適宜選択する必要があり、一概に規定できないが、反応時間は通常1〜200時間、好ましくは1〜100時間である。生産性の問題からは反応時間が短いことが好ましい。また反応温度は0〜250℃、好ましくは30〜200℃である。
反応終了後、必要に応じて水洗などにより触媒等を除去し、あるいは残したまま、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂は下記式(2)、(3)、(4)
Figure 0005127160
Figure 0005127160
Figure 0005127160
で表される結合の含有量(モル)をそれぞれ(β)、(γ)、(δ)としたとき、0<β/(β+γ+δ)≦0.5であるものが好ましく、β×γ×δ≠0であるものが特に好ましい。
このような関係を満たすには、一段法では、原料のビスフェノールF中の各結合異性体の含有割合が上記範囲を満たすようにすればよいし、フュージョン法では中間体エポキシ樹脂及びこれと反応させるビスフェノールFの各結合異性体のトータルの含有割合が上記範囲を満たせばよい。
また本発明エポキシ樹脂の平均分子量は、500〜10000である事が好ましい。さらに好ましくは500〜5000である。平均分子量が10000を超える場合、軟化点が非常に高くなり、取り扱いが困難になる。また本発明のエポキシ樹脂はエポキシ当量が250〜5000g/eq.であるが、250〜2500g/eq.であるものが好ましい。また軟化点(もしくは融点)が取り扱いのし易さから40〜160℃であることが好ましく、特に45〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは50〜130℃である。
こうして得られた本発明のエポキシ樹脂は、下記するエポキシ樹脂組成物の主成分として使用できる他、エポキシアクリレート、およびその誘導体、カーボネート樹脂、オキサゾリドン樹脂等へ誘導することができる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂と硬化剤を含有する。本発明の硬化性樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ樹脂中に占める割合は5重量%以上が好ましく、特に10重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されることはない。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体の封止剤用途に使用する場合はエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面からエポキシ樹脂組成物中で20重量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、40〜95重量%を占める割合で使用するのがより好ましい。
更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネート樹脂(もしくはそのプレポリマー)、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラス不織布または、カーボン繊維等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。そして、本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明の硬化性樹脂組成物を得て、その硬化性樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は場合により溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含むエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)はガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とすることができる。このエポキシ樹脂組成物の溶剤含量は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の総量に対して通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%程度である。また、該溶剤を含む硬化性樹脂組成物は下記ワニスとしても使用できる。該溶剤としては例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級アルキレングリコールモノ又はジ低級アルキルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよいジ低級アルキルケトン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。これらは単独で合っても、また2以上の混合溶媒であってもよい。
また、剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得ることが出来る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
本発明で得られる硬化物は各種用途に使用できる。詳しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量はJIS K−7236、軟化点はJIS K−7234に準じた方法で測定した。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製 RE−304S エポキシ当量 171g/eq.)171部、4、4’−ビフェノール(本州化学工業株式会社製 p,p’−ビフェノール)93部、メチルイソブチルケトン70部、トリフェニルホスフィン0.25部を加え、100℃で1時間、120℃で3時間、130℃で5時間反応を行った。反応終了後、加熱減圧下、溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂が264部得られた。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は438g/eq.であり、その軟化点は54℃であった。また平均分子量は876であった。またβ/(β+γ+δ)≒0.24であり、F/P=2であった。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらビスフェノールF(三井化学ファイン株式会社製 BisF−ST)100部、4、4’−ビフェノール(本州化学工業株式会社製 p,p’−ビフェノール)20部、エピクロロヒドリン564部、ジメチルスルホキシド141部を加え、40℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム50部を90分かけて分割添加した後、更に40℃で2時間、60℃で1時間、70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン380部を加え溶解し、80℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液12部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで中間体エポキシ樹脂(NEP1)を182部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は164g/eq.、平均分子量は328であった。
さらに撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら得られた中間体エポキシ樹脂(NEP1)を164部、4、4’−ビフェノール(本州化学工業株式会社製 p,p’−ビフェノール)46.5部、トリフェニルホスフィン0.2部、シクロペンタノン30部を加え、100℃で1時間、120℃で3時間、130℃で5時間反応を行った。反応終了後、加熱減圧下、溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP2)が210部得られた。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は440g/eq.であり、その軟化点は61℃であった。また平均分子量は880であった。またβ/(β+γ+δ)≒0.24であり、F/P≒1.4であった。
実施例3、4、比較例1
実施例1、2で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP1)、(EP2)、比較例として市販の固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EP3)(東都化成株式会社製 YDF−2004 エポキシ当量471g/eq. β/(β+γ+δ)≒0.25)についてKAYAHARD GPH−65(日本化薬株式会社製 フェノールアラルキル樹脂 水酸基当量199g/eq.)を硬化剤とし、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を下記表1に示す配合比(重量部)で配合した。またそれ以外の成分としては以下の成分を添加した。フィラーとしてMSR−2212を組成物の総重量に対し、83重量%、ワックスとしてカルナバ1号をフィラー量に対し、0.3重量%、カップリング剤としてKBM−303(信越化学工業株式会社)をフィラー量に対し、0.4重量%添加して組成物を調製し、トランスファー成型(175℃ 60秒)により樹脂成形体を得、これをさらに160℃で2時間、更に180℃で8時間かけて硬化させた。
表1
実施例3 実施例4 比較例1
エポキシ樹脂 EP1 43.8
EP2 44.0
EP3 47.1
硬化剤 HD1 19.9 19.9 19.9
硬化促進剤 TPP 0.44 0.44 0.47
得られた硬化物の物性を測定した結果を表2に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
ガラス転移点:
TMA 熱機械測定装置:真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度:2℃/min.
難燃性 : UL−94に準拠
(評価値はトータル燃焼時間で記載 50秒以下でV−0)
表2
実施例3 実施例4 比較例1
ガラス転移温度(℃)
TMA 105 112 76
難燃性(厚み0.8mm)
UL−94 V−0 V−0 V−1
トータル燃焼時間(秒) 48 42 95
実施例5、6、比較例2
実施例1、2で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP1)、(EP2)、比較例として市販の固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EP3)(東都化成株式会社製 YDF−2004 エポキシ当量471g/eq. β/(β+γ+δ)≒0.25)についてKAYAHARD GPH−65(日本化薬株式会社製 フェノールアラルキル樹脂 水酸基当量199g/eq.)を硬化剤とし、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を下記表3に示す配合比(重量部)で配合した。トランスファー成型(175℃ 60秒)により樹脂成形体を得、これをさらに160℃で2時間、更に180℃で8時間かけて硬化させた。
表3
実施例5 実施例6 比較例2
エポキシ樹脂 EP1 87.6
EP2 88.0
EP3 94.2
硬化剤 HD1 39.8 39.8 39.8
硬化促進剤 TPP 0.88 0.88 0.94
得られた硬化物の物性を測定した結果を表2に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
HDT(熱変形温度):JIS K−6911
破壊靭性(K1C):JIS K−6911
吸水率;100℃の水中で24時間放置した時の重量増加量(%)
硬化収縮;JIS K−6911(成型収縮率)
表4
実施例5 実施例6 比較例2
熱変形温度
HDT(℃) 95 96 83
破壊靭性
K1C(MPa) 41 40 34
吸水率
100℃ 24hr, 2.2 2.1 2.6
硬化収縮(%) 1.1 1.1 1.5
本発明の変性エポキシ樹脂は、難燃性に優れる(表2)だけでなく、耐熱性を保持し、靭性に優れたエポキシ樹脂硬化物を与える(表4)。また硬化の際の硬化収縮も小さい(表4)。したがって電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。

Claims (8)

  1. 4,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン及び2,2’−ジヒドロキシビフェニルメタンから選ばれる2種以上の混合物およびビフェノールにエピハロヒドリンを反応させ得られるエポキシ樹脂に対し、4,4’−ビフェノールを反応させて得られる、エポキシ当量が250〜5000g/eq.のエポキシ樹脂。
  2. 下記式(1)
    Figure 0005127160
    (式中nは繰り返し数を表す。複数あるArは下記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよいが、全てのArが式(1a)または式(1b)であることはない。)
    Figure 0005127160
    Figure 0005127160

    で表されるエポキシ樹脂であって、酸素原子に対するメチレン結合の結合位置において下記式(2)、(3)、(4)
    Figure 0005127160

    Figure 0005127160

    Figure 0005127160

    で表される結合の含有量(モル)をそれぞれβ、γ、δとしたとき、0<β/(β+γ+δ)≦0.5である事を特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. 軟化点(もしくは融点)が45℃〜150℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂、および硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  5. 無機充填剤を組成物の総重量の20重量%以上含有することを特徴とする請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項4または5に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  7. (a)下記式(1’)
    Figure 0005127160

    (式中n'は繰り返し数を表す。複数あるArは下記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0005127160

    Figure 0005127160

    で表されるエポキシ樹脂に
    (c)4,4’−ビフェノール
    を反応させることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0005127160

    (式中nは繰り返し数を表す。複数あるArは前記式(1a)または(1b)を表し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよいが、全てのArが式(1a)または式(1b)であることはない。また、酸素原子に対するメチレン結合の結合位置において下記式(2)、(3)、(4)
    Figure 0005127160

    Figure 0005127160

    Figure 0005127160

    で表される結合の含有量(モル)をそれぞれβ、γ、δとしたとき、0<β/(β+γ+δ)≦0.5である。)
    で表されるエポキシ当量が250〜5000g/eq.のエポキシ樹脂の製造方法。
  8. (a)のエポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、()が4,4’−ビフェノールである請求項7記載の製造方法。
JP2006140918A 2006-05-19 2006-05-19 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物 Active JP5127160B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006140918A JP5127160B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006140918A JP5127160B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007308642A JP2007308642A (ja) 2007-11-29
JP5127160B2 true JP5127160B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=38841801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006140918A Active JP5127160B2 (ja) 2006-05-19 2006-05-19 エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5127160B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5265461B2 (ja) * 2008-07-16 2013-08-14 新日鉄住金化学株式会社 結晶性変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び結晶性硬化物
JP5166610B2 (ja) * 2009-12-14 2013-03-21 新日鉄住金化学株式会社 エポキシ樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂組成物および硬化物
JP6508780B2 (ja) * 2013-10-23 2019-05-08 日本化薬株式会社 エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、およびその硬化物
CN112574392A (zh) * 2020-12-14 2021-03-30 武汉金发科技有限公司 一种新型超支化聚酯扩链剂的应用及其制备方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07228580A (ja) * 1993-12-21 1995-08-29 Yuka Shell Epoxy Kk 変性多価エポキシ化合物、同化合物の製造方法及びエポキシ樹脂組成物
JP3415292B2 (ja) * 1994-10-07 2003-06-09 ジャパンエポキシレジン株式会社 半導体封止用エポキシ樹脂組成物
JPH08319336A (ja) * 1995-05-26 1996-12-03 Mitsui Petrochem Ind Ltd 高純度エポキシ樹脂の製造方法
JPH09169949A (ja) * 1995-12-19 1997-06-30 Kishimoto Akira 製缶用塗料
JPH1095928A (ja) * 1996-09-24 1998-04-14 Dainippon Ink & Chem Inc 鋳鉄管用粉体塗料
JP3282097B2 (ja) * 1998-01-29 2002-05-13 大日本インキ化学工業株式会社 鋳鉄管用粉体塗料
JPH11228670A (ja) * 1998-02-19 1999-08-24 Hitachi Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂プリプレグ、エポキシ樹脂積層板及び金属はく張エポキシ樹脂積層板
JP2001002756A (ja) * 1999-06-23 2001-01-09 Yuka Shell Epoxy Kk エポキシ樹脂混合物および硬化性エポキシ樹脂組成物
JP2001064362A (ja) * 1999-09-01 2001-03-13 Sumitomo Bakelite Co Ltd エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001261789A (ja) * 2000-03-21 2001-09-26 Japan Epoxy Resin Kk 高分子量エポキシ樹脂及びプリント配線板用樹脂組成物
JP4832666B2 (ja) * 2001-05-29 2011-12-07 新日鐵化学株式会社 エポキシ樹脂の精製方法
JP2006045261A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Nippon Kayaku Co Ltd 変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP2007177180A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂ワニス、感光性樹脂組成物、並びにその硬化物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007308642A (ja) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5348740B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP6366590B2 (ja) エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物、硬化物および半導体装置
JP6366504B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物および硬化物
JP5273762B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
TWI425019B (zh) Liquid epoxy resin, epoxy resin composition and hardened product
JP5127164B2 (ja) 変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
TWI438216B (zh) 變性液性環氧樹脂、以及使用該樹脂的環氧樹脂組成物及其硬化物
JP5142180B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP6735097B2 (ja) エポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物、硬化物および半導体装置
JP5127160B2 (ja) エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物
JP5319289B2 (ja) エポキシ樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP5322143B2 (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP2008195843A (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
TWI709581B (zh) 經取代之烯丙基醚樹脂、甲基烯丙基醚樹脂、環氧樹脂、環氧樹脂組成物及其硬化物
JP2010241988A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP5220488B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP4942384B2 (ja) エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物
JP5131961B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP4776446B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP2010053293A (ja) エポキシ樹脂組成物
JP2007045978A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
WO2008072668A1 (ja) フェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、およびフェノール樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121030

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5127160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250