JP4832666B2 - エポキシ樹脂の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエポキシ樹脂の精製方法に関する。更に詳しくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂中に残存するビスフェノールモノマー類を吸着により除去する精製方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、今日その優れた物理的、化学的性質から土木・建築、接着剤、塗料、電気・電子等さまざまな用途で使用されている。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造方法は、ビスフェノール類とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で直接反応させる所謂「一段法」と、この「一段法」で製造された液状或いは比較的低分子量の固形エポキシ樹脂にビスフェノール類を添加して、アルカリ金属水酸化物、三級アミン類、イミダゾール類、四級アンモニウム塩類、ホスフィン類、ホスホニウム塩類等の触媒の存在下に付加重合する「二段法」に一般に分類される。
【0003】
近年、ビスフェノールAと環境庁公表のSPEED’2000(Strat−egic Program on Enviromental Endocr−ine Disruptors)との関連から、前述の用途分野、特に缶詰食料、飲料品、飲料水など人間が直接口腔より摂取する物質が直接、間接に接触する可能性のある分野へ使用する残存ビスフェノール類の極力低減されたビスフェノール型エポキシ樹脂及びその塗料用樹脂組成物が求められている。
【0004】
従来から「一段法」及び「二段法」で工業的に製造されて市販されているビスフェノール型エポキシ樹脂にはその本質的特性に悪影響を与える程度のビスフェノール量が残存していないのが通例である。そのレベルは製法、品種によって異なるが、数ppm乃至数千ppm程度である。これらエポキシ樹脂中のビスフェノール類を除去する方法として、一般的な物理的或いは化学的方法、即ち溶媒抽出法、分子蒸留法、再結晶法、分離膜法、アルカリ水溶液に溶解して除去する方法等が挙げられる。
しかしながら、これらの公知の方法ではいずれも、エポキシ樹脂中の残存ビスフェノール類を十分に除去するには、特別な装置を要するか、或いは繁雑な操作を数回繰り返して行わなければならず、プロセス経済性の視点から必ずしも有利な方法とは云えない。特に軟化点が50℃以上のエポキシ樹脂の残存ビスフェノール類を1ppm以下とする事は極めて困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は特別な装置、煩雑な操作を必要とせず、工業的に有利、簡便な方法でビスフェノール型エポキシ樹脂中の残存ビスフェノール類を除去する精製方法について種々検討、例えば、活性炭、炭素繊維、カーボンブラック、木炭、石炭等の炭素系多孔質体類、炭化珪素、シリカゲル、アルミナ、マグネシア等の無機系多孔質体類、ジルコニア架橋体、アルミナ架橋体、酸化クロム架橋体、酸化チタン架橋体、酸化鉄架橋体等の粘土系多孔質体類、多孔質ガラス類、ゼオライト類、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体類、ポリアクリル酸エステル系架橋体類及びこれらを化学修飾したイオン交換樹脂類等種々様々な吸着剤を検討した結果、ビスフェノール型エポキシ樹脂を水分の存在する液相の状態で焼成ハイドロタルサイト類が極めて選択的に吸着されているという事実を見いだし本発明に至った。
本発明の目的は、特別な装置、煩雑な操作を必要とせず、工業的に有利、簡便な方法でビスフェノール型エポキシ樹脂中の残存ビスフェノール類を除去する精製方法、および該精製方法によって得られたエポキシ樹脂、並びに該エポキシ樹脂を含有する塗料用組成物を提供するのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ハロゲンイオン含有量が0.3ミリモル/100g以下のビスフェノール型エポキシ樹脂と下記一般式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類とを水分の存在する樹脂溶液相中で接触させて、エポキシ樹脂中に含有されるビスフェノール類を吸着により除去することを特徴とするエポキシ樹脂の精製方法であり、また、ハロゲンイオン含有量が0.3ミリモル/100g以下のビスフェノール型エポキシ樹脂と下記一般式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類とを水分の存在する樹脂溶液相で接触させて、エポキシ樹脂中に含有されるビスフェノール類を吸着により除去することを特徴するエポキシ樹脂の精製方法である。
(Mg1 - x Alx )O1 + 1 / 2 X (1)
但し、式中0<x<0.4
【0007】
そして、本発明の精製方法においては、樹脂溶液相中の水分含有量が0.1乃至50重量%である事が好ましく、また、ビスフェノール型エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型エポキシ樹脂の何れかである事が好ましい。そして、一般式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類のBET比表面積が100m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上であり、粉末状、顆粒状、円柱状、球状のいずれかの形状である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用できる式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類とは、酸化アルミニウム(Al2O3)が酸化マグネシウム(MgO)に固溶した所謂、酸化マグネシウム系固溶体であり、例えば下記一般式(2)で表される天然或いは合成のハイドロタルサイト類を400乃至900℃、好ましくは500乃至700℃の温度で、空気中、或いは窒素、二酸化炭素等の不活性ガス中で、常圧、減圧或いは加圧下で焼成処理を行う等公知の方法で製造する事が出来る。
Mg1-xAlx(OH)2An- x/n ・mH2O (2)
式中、An- はn価のアニオンを示し、x、m及びnはそれぞれ、0<x<0.4、0≦m<1、1≦n≦4の範囲を満足する正の数である。
式(2)のハイドロタルサイト類のアニオンAn- としては、F-、Cl-、Br-、I-、OH-、HCO2-、CH3COO-、HCOO-、CO3 2-、SO4 2-等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0009】
式(2)のハイドロタルサイト類を焼成する際、アニオンAn- 及び水が放出され、酸化マグネシウム系固溶体結晶格子中に中間層としてサブミクロ孔をもった式(1)の焼成ハイドロタルサイト類が生成する。この焼成ハイドロタルサイト類とビスフェノール型エポキシ樹脂とを水分の存在する樹脂溶液相中で接触させると、樹脂溶液相中の水分により焼成ハイドロタルサイト類が再水和し、その際、中間層のサブミクロ孔の有するアニオン取り込み能によりビスフェノール型エポキシ樹脂中の残存ビスフェノール類が捕捉される。また再水和したハイドロタルサイト類本来のアニオン交換能によってもビスフェノール類が吸着される。
【0010】
本発明では式(1)の焼成ハイドロタルサイト類のBET比表面積が100m2/g以上が好ましく、より好ましくは150m2/g以上であり、その形状は粉末状或いは顆粒状、円柱状、球状のものであり、例えばMg0.7Al0.3O1.15の化学式で示される商品名キョーワード2000(協和化学工業(株)製)等の一般に市販されているものを使用する事ができる。
【0011】
本発明に係わるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールC型、ビスフェノールS型、ビスフェノールE型、ビスフェノールB型及びこれらを2種以上共重合したエポキシ樹脂が挙げられがこれらに限定されるものではない。共重合したエポキシ樹脂としては、ビスフェノール類を2種以上任意の割合で混合し、エピハロヒドリンとアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させる一段法エポキシ樹脂或いは、1種或いは2種以上のビスフェノール型エポキシ樹脂と1種或いは2種以上のビスフェノール類とを触媒の存在下に反応させる二段法エポキシ樹脂が挙げられる。これらのなかではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型エポキシ樹脂が好ましい。分子量としては150乃試70,000の常温で液状のエポキシ樹脂から超高分子量のエポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)が挙げられる。本発明でビスフェノール型エポキシ樹脂と式(1)の焼成ハイドロタルサイト類とを水分の存在する液相の状態で接触させる際の温度は常温乃至300℃、好ましくは50℃乃至200℃である。
【0012】
また、液相を保つために、ビスフェノール型エポキシ樹脂に対する良溶媒を使用する事ができる。これら溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、 酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、ジオキサン、トリオキサン等の環状エーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は一種或いは二種以上を混合して使用することができる。
【0013】
本発明ではビスフェノール型エポキシ樹脂と式(1)の焼成ハイドロタルサイト類を水分の存在する液相の状態で接触させる際、ビスフェノール型エポキシ樹脂中のハロゲンイオン含有量を0.3ミリモル/100g以下としてから処理するのが本発明の重要な要件である。ビスフェノール型エポキシ樹脂は前述した「一段法」で製造する場合、その化学反応形態からエピハロヒドリン、特にエピクロルヒドリンの結合塩素分が反応過程で食塩として副生する。通常、水洗処理等の後工程で粗エポキシ樹脂から食塩を分離除去するが、本発明の精製方法を「一段法」の製造工程に適応する場合、後工程でハロゲンイオン含有量を0.3ミリモル/100g以下としてから実施するのが好ましい。
本発明で使用する式(1)で示される焼成ハイドロタルサイト類はポリマー生成過程中に混入するハロゲンの捕捉剤として知られている(特開昭59−209644号公報参照)。しかし、本発明ではハロゲンイオン含有量が0.3ミリモル/100g以下のビスフェノール型エポキシ樹脂と式(1)で示される焼成ハイドロタルサイト類とを接触させることにより選択的にエポキシ樹脂中のビスフェノール類を吸着除去するのである。このハロゲンイオン含有量は硝酸銀滴定法等公知の方法で定量する事ができる。前述したように、式(1)で示される焼成ハイドロタルサイト類のビスフェノール類の吸着効果は、式(1)の焼成ハイドロタルサイト類のアニオン取り込み能及び再水和したハイドロタルサイト類のアニオン交換能の双方によってもたらされるが、液相中にビスフェノール類よりも電気的陰性度の強いハロゲンイオンが多く存在するとビスフェノール類の選択的吸着効果が発現されないからである。
【0014】
ビスフェノール型エポキシ樹脂と式(1)の焼成ハイドロタルサイト類とを水分の存在する液相の状態で接触させる際、液相中に水分が存在する事も本発明の重要な要件であり、その水分量は0.1乃至50重量%の範囲が好ましい。水分量が0.1重量%未満であればビスフェノール類の吸着効果が著しく低下し、50重量%を越えるとビスフェノール型エポキシ樹脂の液相中での析出が起こり、ビスフェノール類の低減効果が得られないからである。より好ましい水分量は0.1乃至30重量%であり、更に好ましい水分量は0.1乃至10重量%である。
【0015】
本発明では式(1)の焼成ハイドロタルサイト類の使用量は適宜に選択することができ、エポキシ樹脂中の残存ビスフェノールの量に基づいて、0.5乃至100倍、好ましくは1乃至50倍の重量が好ましい。
ビスフェノール類と式(1)焼成ハイドロタルサイト類と水分の存在する液相の状態で接触させる方法としては、固定床式、機械攪拌、ポンプ循環、窒素バブリング等の方法を採ることができ、接触時間としては通常10分乃至10時間、好ましくは1乃至5時間である。
【0016】
上記の方法でビスフェノール型エポキシ樹脂類と接触処理した後、焼成ハイドロタルサイト類を遠心分離、沈降、濾別、液体サイクロン等通常の方法により固液分離し、また、必要応じて使用した溶媒を蒸留等通常の方法で除去する事により、ビスフェノール類が1ppm以下の精製されたビスフェノール型エポキシ樹脂類を得る事ができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂中のビスフェノール類は逆相液体クロマトグラフィー蛍光検出器法、逆相液体クロマトグラフィー質量分析法、ガスクロマトグラフィー質量分析法等公知の高感度測定装置で定量する事ができる。
【0017】
本発明の精製されたビスフェノール型エポキシ樹脂類は、必要に応じて通常のエポキシ樹脂用の硬化剤を配合して食料品、飲料品、飲料水等人間が口腔より直接摂取する物質が直接、間接に接触する可能性の被塗物へ塗装すると、ビスフェノール類のこれら食品等への移行が少なく、衛生性の優れた塗料用樹脂組成物として有用である。本発明の塗料用樹脂組成物が塗装される食料品、飲料、飲料水等人が口腔より直接摂取する物質が直接、間接に接触する可能性のあるものとしては、食品缶、飲料缶等の食品容器の内外面、蓋、栓、食品工場の貯槽、配管、バルブ類、床、壁、調理器具、厨房器具、箸、上水道設備の貯槽、上水道管内面等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
本発明の塗料用樹脂組成物に使用する通常のエポキシ樹脂用の硬化剤としては脂肪族ポリアミン類、脂肪族ポリアミン類とダイマー酸類との縮重合物であるポリアミドアミン類、芳香族アミン類、酸無水物類、イソシアネート類、ブロックイソシアネート類、二塩基酸ジヒドラジッド類、酸末端ポリエステル類、メルカプト基末端ポリスルフィド類、イミダゾール類、三フッ化硼素アミンコンプレックス類、ジシアンジアミド、レゾールフェノール樹脂類、アミノ樹脂類、尿素樹脂類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
また、本発明の塗料用樹脂組成物は必要に応じて体質顔料、着色顔料等の充填材、希釈剤、硬化促進剤、流れ調整剤、消泡剤、表面調整剤等の添加剤を配合する事ができ、塗料形態としては無溶剤型塗料、溶剤型塗料、粉体塗料、また、アクリルグラフト化、乳化剤添加等の公知の方法で水性化する事により、水性塗料とする事もできる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本文中「部」「%」「ppm」「ppb」とあるのはそれぞれ重量部、重量%、重量ppm、重量ppbを意味する。
実施例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を装備したセパラブルフラスコに、ビスフェノールA360部及び10%水酸化ナトリウム水溶液1030部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら50℃まで加熱して溶解した。次に、エピクロルヒドリン220部を仕込み、95℃で1時間30分反応させた。反応終了後、反応混合物にメチルイソブチルケトン450部を加え粗製樹脂を溶解後静置し、下層の食塩水層を分離して脱食塩操作を行った。この時の塩素イオン量は樹脂分当たり1.2ミリモル/100g、ビスフェノールA量は樹脂分当たり147ppmであった。樹脂溶液層に80℃のイオン交換水500部を加え、30分間攪拌後静置して下層の水を除去した。この時の樹脂溶液層の水分は4.9%、塩素イオン量は樹脂分当たり0.006ミリモル/100g、ビスフェノールA量は89ppmであった。更にこの溶液にキョーワード2000(構造式Mg0. 7Al0.3O1.15の焼成ハイドロタルサイト 協和化学工業製)を0.5部添加して80℃で2時間攪拌し、処理後、濾過によりキョーワード2000を分離し、得られた濾液を150℃×5mmHgの減圧下で蒸留によりメチルイソブチルケトンを取り除きエポキシ当量478g/eq、軟化点66℃、重量平均分子量1,680のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中のビスフェノールA量は0.3ppmであった。
【0021】
実施例2
仕込量をビスフェノールA360部、水酸化ナトリウム水溶液825部、エピクロルヒドリン177部とした以外は実施例1と同様の反応を行い粗製樹脂を得た。この粗製樹脂を850部のメチルイソブチルケトンに溶解後、80℃で静置、分液を行い脱食塩を行った。この時の塩素イオン量は樹脂分当たり0.4ミリモル/100g、ビスフェノールA量は345ppmであった。樹脂溶液層に80℃のイオン交換水500部を加え、30分間攪拌後静置して下層の水を除去した。この時の樹脂溶液層の水分は5.1%、塩素イオン量は樹脂分当たり0.008ミリモル/100g、ビスフェノールA量は340ppmであった。更にこの溶液にキョーワード2000を1.0部添加して80℃で3時間攪拌し、濾過によりキョーワード2000を分離、濾液を180℃×5mmHgの減圧下で蒸留によりメチルイソブチルケトンを取り除きエポキシ当量963g/eq、軟化点97℃、重量平均分子量3,640のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中のビスフェノールA量は0.2ppmであった。
【0022】
実施例3
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を装備したセパラブルフラスコに、フェノトート YP−50(東都化成(株)製超高分子量エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂) 重量平均分子量62,000 塩素イオン0.008ミリモル/100g、ビスフェノールA量53ppm)300部、トルエン600部、n−ブタノール600部及び水30部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃まで昇温して溶解した。次に、キョーワード2000を1.5部を添加して80℃でさらに2時間攪拌を行った。終了後、濾過によりキョーワード2000を分離し、濾液を2000℃×5mmHgの減圧下で蒸留によりトルエンとn−ブタノールを取り除き精製されたフェノキシ樹脂を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中ビスフェノールA量は0.5ppmであった。
【0023】
実施例4
実施例3と同様の装置にエポトート YD−011(東都化成(株)製一段法BPA型固形エポキシ樹脂 エポキシ当量478g/eq 重量平均分子量1,650 塩素イオン0.0002ミリモル/100g、ビスフェノールA量28ppm)300部、トルエン300部及び水12部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃まで昇温して溶解した。次に、キョーワード2000(協和化学工業(株)製 酸化マグネシウム系固溶体)0.2部を仕込み80℃でさらに2時間攪拌を行った。その後、濾過によりキョーワード2000を分離し、濾液を150℃×5mmHgの減圧下で蒸留によりトルエンを取り除き精製されたBPA型固形エポキシ樹脂を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中のビスフェノールA量は0.2ppmであった。
【0024】
実施例5
実施例3と同様の装置にエポトート YDF−2001(東都化成(株)製BPF型エポキシ樹脂 エポキシ当量475g/eq、重量平均分子量1,900、塩素イオン0.001ミリモル/100g、ビスフェノールF量53ppm)300部とした以外は実施例4と同様の操作を行い、精製されたBPF型固形エポキシ当量を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中ビスフェノールF量は0.8ppmであった。
【0025】
実施例6
実施例3と同様の装置に市販のBPA型半固形エポキシ樹脂(エポキシ当量250g/eq、重量平均分子量730、塩素イオン0.001ミリモル/100g、ビスフェノールA量2.0ppm)300部とした以外は実施例4と同様の操作を行い、精製されたBPA型半固形エポキシ樹脂を得た。逆相液体グラフィー蛍光検出器法で測定した樹脂中ビスフェノールF量は0.8ppmであった。樹脂中のビスフェノールA量は0.1ppmであった。
【0026】
実施例7
実施例3で得られたフェノキシ樹脂100部をキシレン140部及びシクロヘキサノン160部を加え溶解して樹脂濃度25%の溶液とした。この溶液にヒタノール4010(日立化成工業社製レゾール型フェノール樹脂 樹脂濃度50%)48部及び85%燐酸0.6部を加えて攪拌し、均一なエポキシフェノール塗料組成物を得た。
得られた塗料を厚さ0.3mmのアルミニウム板にバーコーターに塗布し200℃で10分間焼き付けて厚さ10μmの塗膜試験板を得た。
試験板を耐圧ガラス容器に入れ、塗膜表面積と水との接触比が1cm2/1mlとなるようにイオン交換水を加え密閉した後、レトルト殺菌器にて125℃で30分抽出処理を行った。冷却後の抽出水をガスクロマトグラフィー質量分析法で測定したところ、ビスフェノールA量は0.5ppbであった。
【0027】
比較例1
実施例1と同様の仕込量、反応条件でビスフェノールA型エポキシ樹脂の合成を行った。脱食塩操作後の樹脂溶液の水分は4.5%、塩素イオン量は1.1ミリモル/100g、ビスフェノールA量は樹脂分当たり127ppmであった。この溶液にキョーワード2000を0.5部添加して80℃で2時間攪拌し、濾過によりキョーワード2000を分離し、濾液を150℃×5mmHgの減圧下で蒸留によりメチルイソブチルケトンを取り除きエポキシ当量475g/eq、軟化点66℃、重量平均分子量1,630のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を得た。エポキシ樹脂中の塩素イオン量は0.005ミリモル、ビスフェノールA量は120ppmであった。
【0028】
比較例2
キョーワード2000の代わりに活性炭10gとした以外は実施例3と同様の操作を行った。回収されたフェノキシ樹脂中のビスフェノールA量は53ppmと全く変わらなかった。
【0029】
比較例3
実施例3で得られたフェノキシ樹脂の代わりにフェノトートYP−50とした以外は実施例7と同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィー質量分析法で測定した抽出水のビスフェノールA量は25ppbであった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によるビスフェノール型エポキシ樹脂の精製方法は、簡単な方法でエポキシ樹脂中の残存ビスフェノール類を選択的に除去する事ができ極めて工業的に有利である。また、この精製方法で処理されて得られたエポキシ樹脂中のビスフェノール類は1ppm以下に低減される。更にこの精製エポキシ樹脂を含んでなるエポキシ樹脂塗料組成物の硬化塗膜からのビスフェノール類の溶出量は極めて小さく、また塗膜に接触するものへのビスフェノール類の移行が少なく、衛生性に優れており、工業的に極めて有用なものである。
Claims (4)
- ハロゲンイオン含有量が0.3ミリモル/100g以下のビスフェノール型エポキシ樹脂と下記の一般式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類とを水分の存在する樹脂溶液相中で接触させて、エポキシ樹脂中に含有されるビスフェノール類を吸着により除去することを特徴とするエポキシ樹脂の精製方法。
(Mg1 -X AlX )O1 + 1 / 2 X (1)
但し、式中0<x<0.4 - 樹脂溶液相中の水分含有量が0.1乃至50重量%である事を特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂の精製方法。
- ビスフェノール型エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、またはビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型エポキシ樹脂の何れかである事を特徴とする請求項1〜2項の何れかの項記載のエポキシ樹脂の精製方法。
- 一般式(1)で表される焼成ハイドロタルサイト類のBET比表面積が100m2 /g以上、より好ましくは150m2 /g以上であり、粉末状、顆粒状、円柱状、球状のいずれかの形状である事を特徴とする請求項1〜3項の何れかの項記載のエポキシ樹脂の精製方法。
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