JPH1180316A - 変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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JPH1180316A
JPH1180316A JP24753597A JP24753597A JPH1180316A JP H1180316 A JPH1180316 A JP H1180316A JP 24753597 A JP24753597 A JP 24753597A JP 24753597 A JP24753597 A JP 24753597A JP H1180316 A JPH1180316 A JP H1180316A
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健一 窪木
Yoshitaka Kajiwara
義孝 梶原
Katsuhiko Oshimi
克彦 押見
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高軟化点、高粘度のエポキシ樹脂を、軟化点を
低下させて作業性を損なう事なく、低粘度化した変性エ
ポキシ樹脂を得、エポキシ樹脂組成物製造の際の作業性
を向上させ、且つ充填材等をの含有量の増加を可能なら
しむること。 【解決手段】特定のフェノール類化合物に4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル及び、4,4’−ジヒドロキシビ
フェニルのアルキル置換体を添加し、この混合物をグリ
シジル化して得られた変性エポキシ樹脂、該変性エポキ
シ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体封止用を始め
とする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリン
ト配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を
始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用な変
性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に
関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は作業性及びその硬化物の
優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等
により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の
分野で幅広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年電気・電
子分野においてはその発展に伴い、高純度化をはじめ耐
熱性、耐湿性、密着性、フィラー高充填のための低粘度
性等の諸特性の一層の向上が求められている。その一方
では作業性の向上のために常温で固形であることが望ま
れている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャ
ー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優
れた材料であることと同時に、作業性の向上のためにや
はり低粘度の樹脂が求められている。これらの要求に対
しエポキシ樹脂組成物について多くの提案がなされては
いるが、未だ充分とはいえない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記のよう
な特性を持つエポキシ樹脂について鋭意研究の結果、本
発明を完成した。即ち、本発明は、(1)(a)式
(1)
【0005】
【化3】
【0006】(式中、Xは炭素数1〜14の炭化水素基
またはヒドロキシ炭化水素基を示す。aは1〜6の整数
を、bは1〜5の整数をそれぞれ示す。複数存在するR
はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または炭素
数1〜8の炭化水素基を表す。nは平均値で1〜10を
示す。)で表されるフェノール類化合物と(b)4,
4’−ジヒドロキシビフェニルと(c)式(2)
【0007】
【化4】
【0008】(式中複数存在するQはそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。但
し、全てのQが同時に水素原子を示すことはない。)で
表される化合物の混合物をグリシジル化して得られる変
性エポキシ樹脂、(2)成分(a)〜(c)の混合物中
の成分(b)と成分(c)の含有量がそれぞれ成分
(a)の25重量%以下であり且つ(b)>(c)であ
る前記(1)記載の変性エポキシ樹脂、(3)成分
(a)〜(c)の混合物中の成分(b)と成分(c)の
合計量が成分(a)の25重量%以下であり且つ(b)
>(c)である前記(1)記載の変性エポキシ樹脂、
(4)成分(a)がアルキルフェノールノボラックであ
る前記(1)、(2)及び(3)のいずれか1項に記載
の変性エポキシ樹脂、(5)成分(a)の(2核体成分
の重量)/(3核体成分の重量)の値が0.4以下であ
る前記(4)記載の変性エポキシ樹脂、(6)150℃
における溶融粘度が2.0ポイズ以下である前記
(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)のいずれか
1項に記載の変性エポキシ樹脂、(7)前記(1)、
(2)、(3)、(4)、(5及び(6)のいずれか1
項に記載の変性エポキシ樹脂を含んで成るエポキシ樹脂
組成物、(8)半導体封止用に調製された前記(7)記
載のエポキシ樹脂組成物、(9)前記(7)または
(8)のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(10)前記(8)のエポキシ樹脂組成物を用いた半導
体装置に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の変性エポキシ樹脂は、式
(1)で表されるフェノール類化合物(成分(a)、以
下単に(a)という)と4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル(成分(b)、以下単に(b)という)と式(2)
で表される化合物(以下単に(c)という)の混合物
(以下、単にフェノール混合物という)とエピハロヒド
リン類とを反応させるグリシジル化反応により得ること
ができる。(c)を用いなくても高軟化点・低粘度の変
性エポキシ樹脂は出来うるが、4,4’−ジヒドロキシ
ビフェニルが多すぎると、合成途中で結晶が析出してし
まうことがある。従って、4,4’−ジヒドロキシビフ
ェニルの混合量には限度があり((a)の種類によって
混合量は異なるが)、成分(a)の粘度が高いと、低粘
度化が充分でないことがある。従って、低粘度のグリシ
ジル化物の得られるフェノール化合物を第3成分として
加えれば良いが、その構造によっては、変性エポキシ樹
脂中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルのグリシジル
化物の結晶化を阻害してしまい、高軟化点の樹脂が得ら
れずに、作業性(ブロッキング性等)を落としてしまう
こととなる。従って、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ルに構造が類似していて、且つ、合成中には結晶が析出
し難い(溶剤溶解性の良い)4,4’−ジヒドロキシビ
フェニルのアルキル置換体を使用することが必要とな
る。フェノール混合物中の(a)、(b)、(c)の混
合比は、特に制限されないが(b)は(c)よりも多
く、通常(b)、(c)それぞれ(a)の40重量%以
下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは(b)
と(c)の合計が(a)の25重量%以下10重量%以
上である。
【0010】用いうる(a)の具体例としては、1,1
−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサ
ン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、テルペンジフェノ
ール、フェノールノボラック、フェノール類・ジシクロ
ペンタジエン重合物、フェノール類・キシリレングリコ
ール重縮合物、フェノール類・ヒドロキシベンズアルデ
ヒド類重縮合物、アルキル基を有するフェノール類とホ
ルムアルデヒドを縮合したアルキルフェノールノボラッ
ク等が挙げられるがこれらに限定されることはない。前
記各重縮合物におけるフェノール類としてはフェノー
ル、クレゾール、キシレノール、tert−ブチル−ク
レゾール、ナフトールなどが挙げられるが、これらに限
定されることはない。
【0011】用いうる(c)の具体例としては3,3’
−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、3,3’,5,5’−テトライソプロピ
ル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,
5,5’−テトラtertブチル−4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキ
サメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げ
られるがこれらに限定されることはなく、2種以上併用
してもよい。
【0012】(a)としてアルキルフェノールノボラッ
クを選択した場合、アルキルフェノールノボラックの分
子中に含まれる芳香族環の数が少ない低核体成分(特に
2核体)が少ない方が耐熱性が高くて良い。従って、
(2核体成分の重量)/(3核体成分の重量)の値が
0.4以下であるアルキルフェノールノボラックを使用
することがより好ましい。尚、前記及び以下のアルキル
フェノールノボラックにおいてx核体とは、アルキルフ
ェノールノボラックの分子中に含まれる芳香族環の数が
x個の分子をいう。
【0013】前記のような低核体成分の少ないアルキル
フェノールノボラックは、例えば分子蒸留や水洗によっ
て低核体成分を除去したり、または、アルキルフェノー
ルの1核ジメチロール体や、2核ジメチロール体を一旦
合成し、これらと過剰のアルキルフェノールを縮合させ
る方法などにより得られる。しかしながら以上の方法は
工程が多く、コスト的には高くなる。この点を解決する
方法として、例えば特開平8−3257号公報に記載の
ように1分子中にアルコール性水酸基とカルボキシル基
を合わせ持つオキシカルボン酸を触媒として使用してア
ルキルフェノールとホルムアルデヒドを縮合する方法が
ある。通常の触媒を用いた場合に比べ、低核体成分の量
が少なく、分子量分布が狭いアルキルフェノールノボラ
ックを得ることが出来る。この反応で使用するオキシカ
ルボン酸としては、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石
酸、クエン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、
2種以上併用してもよい。更に、塩酸、硫酸、蓚酸、p
−トルエンスルホン酸、などを併用してもよい。オキシ
カルボン酸の使用量はホルムアルデヒド1.0モルに対
して、通常0.01〜5.0モル、好ましくは0.05
〜4.0モル、より好ましくは0.1〜3.0モルであ
る。縮合反応は、還流温度以下で1〜10時間行えばよ
い。反応が終了したら、そのまま或はトルエン、キシレ
ン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解して、水洗
を繰り返して触媒のオキシカルボン酸を除去後、溶剤ま
たは未反応のアルキルフェノール、ホルムアルデヒドを
加熱減圧下で除去する。
【0014】本発明の変性エポキシ樹脂を得る際のグリ
シジル化反応に使用されるエピハロヒドリン類の用いう
る具体例としては、エピクロルヒドリン、β−メチルエ
ピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β−メチルエ
ピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−エチルエ
ピクロルヒドリン等が挙げられるが、工業的に入手し易
く安価なエピクロルヒドリンが好ましい。このグリシジ
ル化反応自体は従来公知の方法に準じて行うことが出来
る。
【0015】例えば上記のフェノール混合物とエピハロ
ヒドリン類の混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括添加または
徐々に添加しながら通常20〜120℃で0.5〜10
時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物はその水
溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸
化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧
下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類
を留出せしめ、得られた留出液を分液し水は除去しエピ
ハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法でも
よい。
【0016】上記の方法においてエピハロヒドリン類の
使用量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して通常
0.5〜10モル、好ましくは1.0〜6.0モルであ
る。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール混合物
中の水酸基1当量に対し通常0.5〜1.5モル、好ま
しくは0.7〜1.2モルである。また、ジメチルスル
ホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロト
ン性極性溶媒を添加することにより下記に定義する加水
分解性ハロゲン濃度の低い変性エポキシ樹脂が得られ、
この変性エポキシ樹脂は電子材料封止用の用途に適す
る。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン
類に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜10
0重量%である。上記の溶媒以外にもメタノール、エタ
ノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン等の環状
及び鎖状エーテル類を添加することによっても反応が進
み易くなり、加水分解性ハロゲン濃度も非プロトン性極
性溶媒を使用した場合よりは高いが、これら溶媒を使用
しないときよりは低くなる。またトルエン、キシレン等
も使用することができる。ここで加水分解性ハロゲン濃
度とは、例えば変性エポキシ樹脂をジオキサンと1N−
KOH/エタノール溶液に入れ、数十分間還流した後、
硝酸銀溶液で滴定することにより測定することができ
る。
【0017】またフェノール混合物と過剰のエピハロヒ
ドリン類の混合物にテトラメチルアンモニウムクロライ
ド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチル
ベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニ
ウム塩を触媒として使用し、通常50〜150℃で1〜
10時間反応させ、得られるフェノール混合物のハロヒ
ドリンエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どのアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、
20〜120℃で1〜10時間反応させてハロヒドリン
エーテルを閉環させて本発明の変性エポキシ樹脂を得る
こともできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用
量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して0.00
1〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルであ
る。アルカリ金属水酸化物の使用量は、フェノール混合
物の水酸基1当量に対し通常0.8〜1.5モル、好ま
しくは0.9〜1.1モルである。
【0018】通常、これらの反応生成物は水洗後、また
は水洗無しに加熱減圧下過剰のエピハロヒドリン類や、
溶媒等を除去した後、トルエン、メチルイソブチルケト
ン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の
水溶液を加えて再び反応を行うことにより加水分解性ハ
ロゲン濃度の低い本発明の変性エポキシ樹脂を得ること
が出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はフ
ェノール混合物の水酸基1当量に対して0.01〜0.
2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。反応
温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2
時間である。反応終了後副生した塩をろ過、水洗などに
より除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブ
チルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒を留去するこ
とにより加水分解性ハロゲン濃度が低い本発明の変性エ
ポキシ樹脂を得ることができる。こうして得られた本発
明の変性エポキシ樹脂は、(a)と(b)、(b)と
(c)、あるいは(a)と(b)が−CH2 CH(O
H)CH2 −で結合した成分を微量に含有する。このた
め、(a)、(b)、(c)それぞれ単独のグリシジル
化物を混合した物に比較して、各エポキシ樹脂成分の馴
染みが良くなり、後述する本発明のエポキシ樹脂組成物
に配合した場合、他の材料との接着性が向上する。本発
明の変性エポキシ樹脂の軟化点は60℃〜120℃であ
るのが好ましい。軟化点が60℃未満であると粉状或は
フレーク状、マーブル状である変性エポキシ樹脂が溶着
してしまい、大きな塊となってしまう。120℃を超え
ると、ニーダーなどを用いてエポキシ樹脂組成物を混練
する際に、作業性が低下したり、混練ムラが生じたりす
る。また、本発明の変性エポキシ樹脂の150℃におけ
る溶融粘度は2.0ポイズ以下であるのが好ましい。
【0019】以下、本発明のエポキシ樹脂組成物につき
説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明
の変性エポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と
併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明
の変性エポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は
30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ま
しい。
【0020】本発明の変性エポキシ樹脂と併用しうる他
のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類、
フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、
ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベ
ンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド
との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重
合物、フェノール類と芳香族ジメチロール類との重縮合
物、ビフェノール類、アルコール類等をグリシジル化し
たグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ
樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエ
ステル系エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定さ
れるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を用いてもよい。
【0021】本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を
含有するのが好ましい。硬化剤としてはアミン系化合
物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系
化合物などが使用できる。用いうる硬化剤の具体例とし
ては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスル
ホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレ
ン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリ
アミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水
ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フ
タル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチル
ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類、フェノール類
(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、
アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒ
ドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合
物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェ
ノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノ
ール類及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3 −ア
ミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。硬化剤
の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して
0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が
特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量
に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、い
ずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない
恐れがある。
【0022】また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を
併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例
としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダ
ゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミ
ダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノー
ル、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセ
ン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等
のホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物など
が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部
に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられ
る。
【0023】さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物に
は、必要に応じて溶融シリカ、結晶シリカ、多孔質シリ
カ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、
窒化アルミニウム、フォルステライト、ステアタイト、
スピネル、ムライト、チタニア、タルク等の粉体、また
はこれらを球形状あるいは破砕状にした無機充填材やシ
ランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤、
各種熱硬化性樹脂などを添加することができる。また、
特に半導体封止用のエポキシ樹脂組成物を得る場合、上
記の無機充填材の使用量はエポキシ樹脂組成物中、通常
80〜92重量%、好ましくは83〜90重量%、より
好ましくは85〜90重量%の範囲である。
【0024】本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成
分を前記したような割合で均一に混合することにより得
られ、半導体封止用として用いるのが好ましい。本発明
のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の
方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエ
ポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無
機充填材、配合剤、及び各種熱硬化性樹脂とを必要に応
じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで
充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、その
エポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスフ
ァ−成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法など
によって成型し、必要により80〜200℃で加熱する
ことにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0025】また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエ
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ
−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アル
ミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプ
リプレグを熱プレス成型して本発明の硬化物を得ること
もできる。
【0026】その際溶剤は本発明のエポキシ樹脂組成物
と溶剤の合計重量に対し溶剤の占める割合が、通常10
〜70重量%、好ましくは15〜65重量%となる量使
用するのが好ましい。
【0027】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。また、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点は以下の条
件で測定した。 エポキシ当量 JIS K−7236に準じた方法で測定し、単位はg
/eqである。 溶融粘度 150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度 測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計(RESE
ARCH EQUIPMENT(LONDON)LTD. 製) コーンNo.:3(測定範囲0〜20ポイズ) 試料量:0.15±0.01g 軟化点 JIS K−7234に準じた方法で測定
【0028】実施例1 軟化点90℃のo−クレゾールノボラック90重量部、
4,4’−ヒドロキシビフェニル(以下BP)18.6
重量部、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’
−ジヒドロキシビフェニル(以下TMBP)6.1重量
部、ECH400重量部、ジメチルスルホキシド(DM
SO、以下同様)100重量部を反応容器に仕込、加
熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、反応
系内を45Torrに保って、40%水酸化ナトリウム
水溶液100重量部を4時間かけて連続的に滴下した。
この際共沸により留出してくるECHと水を冷却、分液
した後、有機層であるECHだけを反応系内に戻しなが
ら反応を行った。水酸化ナトリウム水溶液滴下完了後、
45℃で2時間、70℃で30分更に反応を行った。つ
いで水洗を繰り返し、副成塩とジメチルスルホキシドを
除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピク
ロルヒドリンを留去し、残留物に300重量部のメチル
イソブチルケトンを添加し溶解した。このメチルイソブ
チルケトンの溶液を70℃に加熱し30重量%水酸化ナ
トリウム水溶液5重量部を添加し、1時間反応させた
後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返し
た。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチ
ルケトンを留去することにより本発明の変性エポキシ樹
脂(E1)154重量部を得た。得られた変性エポキシ
樹脂(E1)のエポキシ当量は191、軟化点91℃、
溶融粘度0.8ポイズであった。
【0029】実施例2 実施例1において軟化点90℃のo−クレゾールノボラ
ックを軟化点100℃のo−クレゾールノボラック84
重量部に、TMBPを12.1重量部に変えた以外は実
施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性
エポキシ樹脂(E2)152重量部を得た。得られた変
性エポキシ樹脂(E2)のエポキシ当量は193、軟化
点92℃、溶融粘度1.5ポイズであった。
【0030】実施例3 実施例1において軟化点90℃のo−クレゾールノボラ
ックを軟化点110℃のo−クレゾールノボラック78
重量部に、TMBPを18.6重量部に変えた以外は実
施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性
エポキシ樹脂(E2)151重量部を得た。得られた変
性エポキシ樹脂(E3)のエポキシ当量は197、軟化
点96℃、溶融粘度3.3ポイズであった。
【0031】実施例4 実施例1において軟化点90℃のo−クレゾールノボラ
ックを軟化点120℃のフェノール・サリチルアルデヒ
ド重縮合物75重量部に、BPを17重量部に、TMB
Pを6重量部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行
った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E4)1
50重量部を得た。得られた変性エポキシ樹脂(E4)
のエポキシ当量は172、軟化点90℃、溶融粘度1.
2ポイズであった。
【0032】実施例5 実施例1において軟化点90℃のo−クレゾールノボラ
ックを軟化点113℃のナフトール・クレゾール・ホル
ムアルデヒド重縮合物(日本化薬(株)製カヤハードN
HN)98重量部に、BPを18.6重量部に、TMB
Pを12.1重量部に変えた以外は実施例1と同様の操
作を行った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E
5)173重量部を得た。得られた変性エポキシ樹脂
(E5)のエポキシ当量は212、軟化点92℃、溶融
粘度2.0ポイズであった。
【0033】比較例1 実施例1において、軟化点90℃のo−クレゾールノボ
ラックを120重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル及びTMBPを使用しない以外は実施例1と同様の
操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R1)156
重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(R1)のエポキ
シ当量は196、軟化点65℃、溶融粘度2.3ポイズ
であった。
【0034】比較例2 比較例1において、軟化点90℃のo−クレゾールノボ
ラック120重量部を、軟化点100℃のo−クレゾー
ルノボラック120重量部に変えた以外は比較例1と同
様の操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R2)1
55重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(R2)のエ
ポキシ当量は198、軟化点74℃、溶融粘度5.6ポ
イズであった。
【0035】比較例3 比較例1において、軟化点90℃のo−クレゾールノボ
ラック120重量部を、軟化点110℃のo−クレゾー
ルノボラック120重量部に変えた以外は比較例1と同
様の操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R3)1
50重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(R3)のエ
ポキシ当量は202、軟化点86℃、溶融粘度17ポイ
ズであった。
【0036】比較例4 比較例1において、軟化点90℃のo−クレゾールノボ
ラック120重量部を、軟化点120℃のフェノール・
サリチルアルデヒド重縮合物97重量部に変えた以外は
比較例1と同様の操作を行った。その結果、エポキシ樹
脂(R4)148重量部を得た。得られたエポキシ樹脂
(R4)のエポキシ当量は168、軟化点70℃、溶融
粘度2.9ポイズであった。
【0037】比較例5 比較例1において、軟化点90℃のo−クレゾールノボ
ラック120重量部を、軟化点113℃のナフトール・
クレゾール・ホルムアルデヒド重縮合物(日本化薬
(株)製 カヤハードNHN)140重量部に変えた以
外は比較例1と同様の操作を行った。その結果、エポキ
シ樹脂(R5)184重量部を得た。得られたエポキシ
樹脂(R5)のエポキシ当量は220、軟化点95℃、
溶融粘度12ポイズであった。
【0038】以上のように、各実施例で得られた本発明
のの変性エポキシ樹脂は、各比較例で得られた未変性エ
ポキシ樹脂に比べ、高軟化点化(あるいは高軟化点を維
持)と低粘度化を同時に実現させている。
【0039】実施例6〜10、比較例6〜10 実施例1〜5で得られた変性エポキシ樹脂(E1)〜
(E5)及び比較例で得られたエポキシ樹脂(R1)〜
(R5)を使用し、これらエポキシ樹脂のエポキシ基1
当量に対して硬化剤(フェノールノボラック樹脂(日本
化薬(株)製、PN−80、150℃におけるICI粘
度1.5ポイズ、軟化点86℃、水酸基当量106g/
eq)を1水酸基当量配合し、更に硬化促進剤(トリフ
ェニルフォスフィン)をエポキシ樹脂100重量部当り
1重量部配合し、トランスファー成型により樹脂成型体
を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間で
硬化させた。
【0040】このようにして得られた硬化物の物性を測
定した結果を表1、2に示す。尚、物性値の測定は以下
の条件にて行った。 ・銅箔剥離強度:JIS C−6481(引き剥し強
さ)に記載に準拠して測定した。 ・吸水率:直径50mm×厚み4mmの円盤状の試験片
を100℃の水中で24時間煮沸した前後の重量増加率
(%)。
【0041】
【表1】 表1 実施例 6 7 8 9 10 変性エポキシ樹脂 E1 E2 E3 E4 E5 銅箔剥離強度(Kg/cm) 2.3 2.1 1.7 2.5 2.3 吸水率(%) 1.1 1.1 1.2 1.8 0.9
【0042】
【表2】 表2 比較例 6 7 8 9 10 エポキシ樹脂 R1 R2 R3 R4 R5 銅箔剥離強度(Kg/cm) 2.1 1.9 1.6 2.2 2.1 吸水率(%) 1.2 1.2 1.3 2.0 1.0
【0043】実施例11〜15、比較例11〜15 エポキシ樹脂として、実施例の変性エポキシ樹脂(E
1)〜(E5)及び比較例としてエポキシ樹脂(R1)
〜(R5)、硬化剤(フェノールノボラック樹脂(日本
化薬(株)製、PN−80、軟化点86℃)、硬化促進
剤(トリフェニルホスフィン)、シランカップリング剤
(信越化学工業株式会社製 KBM403)、離型剤
(東亜化成株式会社製 微粉カルナバ)、三酸化アンチ
モン、臭素化エポキシ樹脂(日本化薬(株)製 BRE
N−S)、無機充填材として球状シリカ(平均粒径30
μm)及び破砕シリカ(平均粒径5μm)を表3に示す
割合(重量部)で配合し、2軸ロールにより混練し、粉
砕、タブレット化後、スパイラルフローを以下の条件で
測定した。結果を表3、4に示す。 ・スパイラルフロー 金型:EMMI−1−66に準拠したもの 金型温度:170℃ トランスファー圧力:70kg/cm2
【0044】
【表3】 表3 実施例 11 12 13 14 15 エポキシ樹脂 E1 E2 E3 E4 E5 130 130 131 125 134 硬化剤 71 71 70 67 70 硬化促進剤 2 2 2 2 2 シランカップリング剤 6 6 6 6 6 離型剤 4 4 4 4 4 三酸化アンチモン 11 11 11 11 11 臭素化エポキシ樹脂 26 26 26 26 26 球状シリカ 525 525 525 525 525 破砕シリカ 225 225 225 225 225 スパイラルフロー 62 60 57 61 57
【0045】
【表4】 表4 比較例 11 12 13 14 15 エポキシ樹脂 R1 R2 R3 R4 R5 131 131 132 123 136 硬化剤 70 70 69 78 65 硬化促進剤 2 2 2 2 2 シランカップリング剤 6 6 6 6 6 離型剤 4 4 4 4 4 三酸化アンチモン 11 11 11 11 11 臭素化エポキシ樹脂 26 26 26 26 26 球状シリカ 525 525 525 525 525 破砕シリカ 225 225 225 225 225 スパイラルフロー 52 47 40 50 45
【0046】以上実施例及び比較例から明らかなよう
に、式(1)の化合物のみをエポキシ化した比較用のエ
ポキシ樹脂に比較して、本発明の変性エポキシ樹脂のほ
うが溶融粘度が低く、硬化物の密着性が向上し、吸水性
が低下している。また、特に半導体封止用エポキシ樹脂
組成物に用いた場合、表3,4から明らかなように、未
変性のエポキシ樹脂と比較して低粘度であるため、従来
フィラーの高充填が不可能であった樹脂系でもこれが可
能となる。
【0047】
【発明の効果】本発明の変性エポキシ樹脂は、軟化点が
高くて且つ溶融粘度も低い。従って、本発明の変性エポ
キシ樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体
封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やC
FRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使
用する場合に極めて有用である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)式(1) 【化1】 (式中、Xは炭素数1〜14の炭化水素基またはヒドロ
    キシ炭化水素基を示す。aは1〜6の整数を、bは1〜
    5の整数をそれぞれ示す。複数存在するRはそれぞれ独
    立して水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8の炭
    化水素基を表す。nは平均値で1〜10を示す。)で表
    されるフェノール類化合物と(b)4,4’−ジヒドロ
    キシビフェニルと(c)式(2) 【化2】 (式中複数存在するQはそれぞれ独立して水素原子また
    は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、全てのQが
    同時に水素原子を示すことはない。)で表される化合物
    の混合物をグリシジル化して得られる変性エポキシ樹
    脂。
  2. 【請求項2】成分(a)〜(c)の混合物中の成分
    (b)と成分(c)の含有量がそれぞれ成分(a)の2
    5重量%以下であり且つ(b)>(c)である請求項1
    記載の変性エポキシ樹脂。
  3. 【請求項3】成分(a)〜(c)の混合物中の成分
    (b)と成分(c)の合計量が成分(a)の25重量%
    以下であり且つ(b)>(c)である請求項1記載の変
    性エポキシ樹脂。
  4. 【請求項4】成分(a)がアルキルフェノールノボラッ
    クである請求項1、2及び3のいずれか1項に記載の変
    性エポキシ樹脂。
  5. 【請求項5】成分(a)の(2核体成分の重量)/(3
    核体成分の重量)の値が0.4以下である請求項4記載
    の変性エポキシ樹脂。
  6. 【請求項6】150℃における溶融粘度が2.0ポイズ
    以下である請求項1、2、3、4及び5のいずれか1項
    に記載の変性エポキシ樹脂。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5及び6記載の変
    性エポキシ樹脂を含んで成るエポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】半導体封止用に調製された請求項7記載の
    エポキシ樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載のエポキシ樹脂組成
    物を硬化してなる硬化物。
  10. 【請求項10】請求項8記載のエポキシ樹脂組成物を用
    いた半導体装置。
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