JP4086630B2 - 多価フェノール類化合物、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスティック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用なフェノール樹脂、これを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂は、半導体封止剤エポキシ樹脂の硬化剤やエポキシ樹脂の原料、接着剤、成形材料、塗料として有用な化合物であり、その硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0003】
しかし、近年特に電気・電子分野においてはその発展に伴い、樹脂への要求は一段と高度化し、多様化しており、高純度化を始め耐熱性向上、低吸湿化、密着性向上、フィラー高充填のための低粘度化、誘電特性の改良、硬化性の向上、難燃性の付与等の諸特性が一層強く求められている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途等において軽量で機械特性の優れた材料が求められている。これらの要求に対しフェノール樹脂(エポキシ樹脂用硬化剤)、及びそれを含有する熱硬化性樹脂組成物について多くの提案がなされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−237060号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、その硬化物において優れた耐熱性、耐湿性(耐水性)、接着性を示すエポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物用の硬化剤として有用なフェノール樹脂を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
(1)下記式(2)
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、複数存在するRは独立して水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。複数存在するQは独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはヒドロキシメチル基を示す。jは1〜4の整数を示す。nは平均値であり、1〜15の実数を示す。また複数存在するi及びyは独立して1〜6、1〜2の整数をそれぞれ示す。)で表されるフェノール樹脂、
(2)全てのyが1で、全てのR及びQが水素原子である上記(1)記載のフェノール樹脂、
(3)フェノール類と下記式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、複数存在するQは独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ホルミル基、ヒドロキシメチル基を示す。またj=1〜4である。)で表される化合物を縮合することにより得られるフェノール樹脂、
(4)式(1)の化合物がピリジン骨格中のN原子に対して2位にホルミル基を1つ有する化合物である上記(3)記載のフェノール樹脂、
(5)触媒として、アミン誘導体またはアミノアルコール誘導体を使用し得られる上記(3)または(4)記載のフェノール樹脂、
(6)エポキシ樹脂及び硬化剤として少なくとも上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(7)エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量となる割合で硬化剤を含有する上記(6)記載のエポキシ樹脂組成物、
(8)上記(6)または(7)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(9)上記(6)または(7)記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール樹脂は例えば下記式(1)で表されるピリジン誘導体とフェノール化合物とを反応させることによって得られる。
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、複数存在するQは独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ホルミル基、ヒドロキシメチル基を示す。またj=1〜4である。)
式(1)におけるQにおいて炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−,i−プロピル基、n−,i−,tert−ブチル基、n−,i−,ネオ−ペンチル基等が、また、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等がそれぞれ好ましい基として挙げられる。
【0014】
式(1)で表されるピリジン誘導体は、式(1)で表される限り特に制限はないが、具体的な例としては2−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−ピリジンカルボキシアルデヒド等のQが水素原子である化合物;3−ヒドロキシピリジンカルボキシアデヒドピリドキサール等のQとして少なくともヒドロキシル基を有する化合物、2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド等のQとして少なくともホルミル基を有する化合物、5−ブロモ−2−ピリジンカルボキシアルデヒド等のQとして少なくともハロゲン原子を有する化合物、3−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド等のQとして少なくとも炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは1〜3のアルキル基を有する化合物等の化合物が挙げられ、Qが水素原子である化合物が好ましく、中でもピリジン骨格中のN原子に対して2位にホルミル基を1つ有する化合物が特に好ましい。本発明において式(1)で表されるピリジン誘導体であるならば、これらに限定されるものではない。なお、式(1)の化合物としてQとして少なくともホルミル基を有する化合物を使用する場合、反応基であるホルミル基が2つあるので、本発明のフェノール樹脂は、式(2)のような直線状の分子構造ではなく枝分かれ状の分子構造となる。
【0015】
本発明に用いるフェノール化合物とは、芳香環に少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物であれば特に制限はない。具体例としては、フェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の無置換フェノール類、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、アリルフェノール、アミノフェノール等の置換フェノール類、臭素化フェノール等のハロゲン原子を有する置換フェノール類、ナフトール、メチルナフトール等のナフトール類、ビフェノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ビスフェノール−S、チオジフェノール等のビスフェノール類等が挙げられる。なお、フェノール類としてビフェノールまたはビスフェノール類を使用した場合の本発明のフェノール樹脂は式(2)で表されない。本発明においては、これらのうちフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、フェノールが特に好ましい。また、これらフェノール化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
式(1)の化合物に対するフェノール化合物の使用量は式(1)の化合物1モルに対して通常1.0〜10モル、好ましくは1.2〜7.0モルである。
【0016】
本発明においては、必要により酸触媒もしくは塩基性触媒を用いる。
酸触媒としては種々のものが使用できるが硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のフリーデルクラフツ型触媒等が挙げられる。なかでも塩化第二錫、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(1)の化合物に対して0.01〜1.1重量%の範囲内で適正量を添加すれば良い。
【0017】
塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソブチルアミン、ピリジン、ピペリジン等のアミン誘導体、およびジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコールなどアミノアルコール誘導体を用いることができるが、なかでも水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ジメチルアミノエチルアルコール、ジエチルアミノエチルアルコールが好ましい。金属水酸化物を用いる場合は固体のまま用いてもその水溶液を用いてもかまわないが、固体のままで用いることがより好ましい。これら塩基性触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(1)の化合物のホルミル基に対して0.1〜2.0当量、より好ましくは0.3〜1.2当量の範囲内で適正量を添加すれば良い。
【0018】
反応温度は通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃である。反応時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。反応は、全原料を一括投入して昇温しながら行っても、フェノール化合物を予め一定の温度に保った状態でピリジン誘導体を逐次添加して行っても良い。また、反応は無溶媒でも実施できるが、反応に直接関与しないトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、あるいはメタノール、エタノールのような低級アルコール等の有機化合物を溶媒として用いることもできる。
【0019】
また、反応を確実なものとするため、反応中生成する水はディーンスターク管を備えた器具を使用し、水と共沸可能な溶媒を用い、共沸脱水により系外へ除去するか、反応に直接関与しない脱水剤を反応系内に共存させても構わない。
【0020】
反応終了後、酸、もしくは塩基性触媒等の不純物を水洗することによって取り除く。この時、酸もしくは塩基性触媒を中和した後、水洗を行うことが好ましい。その後、未反応フェノール化合物や溶媒を回収することにより目的とするフェノール樹脂を得ることができる。なお、塩基性触媒としてアミン誘導体またはアミノアルコール誘導体等の下記する工程で回収可能な化合物を用いた場合、反応終了後、未反応フェノール化合物等と共に回収できるので、上記中和・水洗工程が必要ないので好ましい。未反応フェノール化合物や溶媒の回収は常圧下または減圧下で留去するのが好ましい。水蒸気を吹き込んで、水蒸気蒸留で留去することも可能である。フェノール化合物の蒸留回収の温度は100〜180℃であり、減圧度は0.1kPa〜25kPa程度とするのがよい。
以上のようにして得られる本発明のフェノール樹脂は、例えば式(2)で表される。式(2)におけるnは平均値であり、通常n=1〜15、好ましくは1.5〜5.0の値をとる。なお、nの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定可能である。式(2)で表されるフェノール樹脂は、フェノール類として好ましくは、無置換フェノール類、置換フェノール類、ハロゲン原子を有する置換フェノール類またはナフトール類を使用する。
【0021】
本発明のフェノール樹脂は、多種の用途に使用が可能であり、特に耐熱性・粘着性が求められる分野において極めて有用である。具体的にはそれ自身熱硬化性樹脂として使用できるし、下記するようにエポキシ樹脂の硬化剤としても使用できるし、各種プラスティック材料としても応用可能である。
【0022】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と本発明のフェノール樹脂を含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の具体例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用し、この場合本発明のフェノール樹脂を単独でまたは他の硬化剤と併用することができる。併用する場合、本発明のフェノール樹脂の全硬化剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂と併用しうる他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0026】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0027】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら充填剤は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの面から、エポキシ樹脂組成物中で50〜90重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。そして、本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と本発明のフェノール樹脂、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。本発明の半導体装置は前記の本発明のエポキシ樹脂組成物で封止されたもの等の本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
【0029】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の各成分をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に溶解または分散させることにより混合することもできる。そしてそのエポキシ樹脂組成物をガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。
【0030】
この際用いる希釈溶剤の使用量は本発明のエポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の合計重量に対し通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成例、実施例、比較例において部は重量部を意味する。なお、軟化点、溶融粘度は以下の条件で測定した。
・軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定し、単位はg/eqである。
【0032】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノール1106部、ジエチルエタノールアミン258部を仕込み、撹拌、溶解させた。その後、加熱還流下(約110〜120℃)、2−ピリジンカルボキシアルデヒド321部を90分かけて滴下し、さらに130℃で12時間攪拌した。反応終了後、過剰のフェノールおよびジエチルエタノールアミン等を減圧留去することで630部の下記式(3)
【0033】
【化6】
【0034】
(nは平均値でありn=4.0である。)
で表される本発明のフェノール樹脂(A)が得られた。得られたフェノール樹脂(A)の軟化点は121℃、水酸基当量は166g/eq.であった。
【0035】
実施例2、比較例1
エポキシ樹脂としてオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬(株)製 EOCN−1020 エポキシ当量198g/eq. 軟化点65℃)100部、実施例1で得られた本発明のフェノール樹脂(A)を83部、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン0.5部を配合し、二軸ロールにより混練し、粉砕、タブレット化後、175℃180秒の条件でトランスファー成型機により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間かけて硬化させた。また比較例1としてフェノール樹脂(A)の代わりにフェノールノボラック(OH当量105g/eq.軟化点82℃)を53部用いた以外は、実施例2と同様にして硬化物を得た。このようして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
【0036】
・ガラス転移温度(TMA):真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度 2℃/min.
・吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で24時間煮沸した後の重量増加率(%)
・銅箔剥離強度:JIS C−6481(引き剥がし強さ)に記載の方法に準拠して行った。
【0037】
【0038】
表1より本発明の硬化物はガラス転移温度が高く耐熱性に優れるだけではなく、吸湿性、接着性に優れた樹脂であることが明らかとなった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物はその硬化物において優れた耐熱性を持つだけでなく、優れた接着性を有するため、電気・電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に極めて有用である。
Claims (8)
- 全てのyが1で、全てのR及びQが水素原子である請求項1記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- フェノール類と下記式(1)
- 式(1)の化合物がピリジン骨格中のN原子に対して2位にホルミル基を1つ有する化合物であることを特徴とする請求項3記載のフェノール樹脂の製造方法。
- 触媒として、アミン誘導体またはアミノアルコール誘導体を使用することを特徴とする請求項3または4記載のフェノール樹脂の製造方法。
- エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量となる割合で硬化剤を含有する請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1、2及び6のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項1、2及び6のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置。
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