JP5881202B2 - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 - Google Patents

フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、地球上の二酸化炭素を積極的に固定化して得られ、地球温暖化防止に期待がもたれる植物由来の骨格を主骨格とするフェノール樹脂、エポキシ樹脂を含む組成物とその成形体に関するものであり、本発明は特に電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である硬化性樹脂組成物を与えるエポキシ樹脂及び該組成物の硬化物に関する。
現在、植物を原料とする化学品や高分子材料が脚光を浴びている。
20世紀において石油資源は、プラスチックの原料やエネルギーとして採掘され限りなく使用されてきた。しかし、近年、石油を初めとする化石資源の枯渇化等が環境問題となっている。そこで、石油や石炭由来のような化石資源ではなく、天然物由来の資源(いわゆる非化石資源)を利用した環境破壊の恐れの少ないプラスチック材料の開発が盛んに進められている。
例えば、植物は太陽の光をエネルギーとして、水分と大気中の炭酸ガスを吸収することによって成長する。植物(もしくはそこから抽出される成分)を原料とする材料の場合、太陽エネルギーを原料の製造エネルギーとして有効に利用していることから、化石エネルギーの使用量が少なくてすむことになる。これにより、化石資源の使用を節約できることになる。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。このような分野においても植物由来の化合物を使用したエポキシ樹脂が検討されている。具体的には特許文献2においてはリグニンのエポキシ化物およびその硬化物が報告されている。しかしながら、植物より抽出されたリグニンをそのまま使用していることから、非常に高い分子量の化合物であり、成形性に問題が生じる場合がある。また、官能基も少なく、電気・電子材料の用途に耐えうる高度な信頼性を持たせることが難しい。
また、オイゲノールやチモールを使用したエポキシ樹脂としては特許文献3に記載されているが、その立体的な要因から多官能化が難しく、高い耐熱性が要求される基板材料等の分野においては使いづらいという問題があった。
特開2003−277615号公報 特開2006−066237号公報 特開2008−195843号公報
本発明の目的は植物由来の骨格を主骨格とするフェノール樹脂、エポキシ樹脂、およびそれらを含有するエポキシ樹脂組成物の提供であって、特に電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である、作業性、耐熱性、機械特性を有するフェノール樹脂、エポキシ樹脂、およびそのエポキシ樹脂組成物を提供すること。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、
(1)オイゲノール誘導体を30重量%以上含有するフェノール類(少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物)とホルムアルデヒド(もしくはその合成等価体)との反応により得られるフェノール樹脂、
(2)上記(1)に記載のフェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させることにより得られるエポキシ樹脂、
(3)(a)エポキシ樹脂および(b)上記(1)に記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(4)(c)上記(2)に記載のエポキシ樹脂及び(d)硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(5)(c)上記(2)に記載のエポキシ樹脂及び(b)上記(1)に記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(6)上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
に関する。
本発明のフェノール樹脂、エポキシ樹脂は、高度な硬化物性を有する硬化物を与え、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用であり、天然物由来の化合物であるため化石エネルギーの使用量の低減に寄与する。
本発明のフェノール樹脂は、オイゲノール誘導体を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70〜100重量%含有するフェノール類(少なくとも1つのフェノール性水酸基を有する化合物)をノボラック化することで得られる。以下、オイゲノールについて説明する。
<オイゲノール(eugenol)>
チョウジ油、ウイキョウ油、ケイヒ油の主成分の1つであり、シキミ酸経路で生合成されるフェニルプロパノイド系物質である。オイゲノールは医薬品として口腔内殺菌薬、虫歯の鎮痛などに用いるほか、バニリンの製造原料となる。例えば、チョウジ油からであれば、アルカリ水溶液を適量加え、浸透して他の油を除いてから希硫酸を加えてオイゲノールを析出させ、洗浄、乾燥後減圧蒸留によって精留するという手法が一般に知られている。
本発明においてオイゲノール誘導体とは、オイゲノールから派生される化合物を示し、具体的にはオイゲノールの転移反応により製造されるイソオイゲノールが挙げられる。
本発明においてオイゲノール誘導体と併用できるフェノール類について説明する。
フェノール類は、芳香環に少なくとも1個のフェノール性水酸基を有する化合物であれば使用できる。具体的には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、チモール等のフェノール類が挙げられるがフェノール性水酸基を有する限りこれらに限定されるものではない。また、これらフェノール類は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のフェノール樹脂は、オイゲノール誘導体、ホルムアルデヒド(およびその合成等価体、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。以下ホルムアルデヒド類と称する)、必要により溶媒の存在下、触媒を加えて加熱することにより得られる。また、オイゲノール誘導体及び/またはチモール並びに必要によりフェノール類及び溶媒の混合物と触媒の混合物を加熱しているところにホルムアルデヒド類を徐々に添加してもよい。反応時間は5〜150時間、反応温度は40〜150℃である。このようにして得られたフェノール樹脂は用途によって、精製せずに用いることもできるが、通常、反応終了後に反応混合物を中和してから、加熱減圧下において未反応原料及び溶媒類を除去する事で精製して各種用途に使用する。なお、この中和工程は、燐酸二水素ナトリウムを添加してもよいし、水洗などでも可能であるが、両者を併用するとより簡便で効果的である。
本発明のフェノール樹脂の合成において使用できる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、キシレンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、単独でも2種以上併用してもよい。溶媒を使用する場合、その使用量はフェノール類100重量部に対し、通常5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部の範囲である。
触媒としては酸性、塩基性いずれの触媒でも使用できる。用いうる酸性触媒の具体例としては塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類;シュウ酸、トルエンスルホン酸、酢酸等の有機酸類;タングステン酸等のヘテロポリ酸、活性白土、無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等、その他酸性を示す有機、無機酸塩類、等のノボラック樹脂製造用に通常使用される酸性触媒などが挙げられる。用いうる塩基性触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。またアミン系の触媒を使用することもでき、トリエチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。特にアミン系の触媒を使用する場合は溶媒として兼用することもできる。これら触媒は、前述に挙げた物に限定されるものではなく、単独でも2種以上を併用してもよい。触媒の使用量は、オイゲノール誘導体、必要により使用するフェノール類の総量に対し、通常0.005〜2.0倍モル、好ましくは0.01〜1.1倍モルの範囲である。なお、触媒を溶媒として使用する場合は、オイゲノール誘導体、必要により使用するフェノール類の総量に対し、30〜200重量%程度添加することが好ましい。
オイゲノール誘導体のノボラック化反応は、単純なホルムアルデヒド類との反応によるメチレン結合の生成だけでなく、オイゲノール誘導体に含まれるアリル基もしくはプロペニル基とフェノール核との結合、あるいはそれらの重合による結合が生成している可能性もあるが、同定が困難である。得られた樹脂は分子量分布を有する無定形の樹脂となる。
本発明のフェノール樹脂は、そのままで熱可塑性プラスチック(もしくはその原料)として使用したり、下記するようなエポキシ樹脂の原料やその硬化剤として使用したりすることもできる。
以下に本発明のエポキシ樹脂の合成方法の一例を記載する。
本発明のエポキシ樹脂は、本発明のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応させることで得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、エピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン、γ-メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が使用でき、本発明においては工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量はフェノール樹脂またはビスフェノール化合物の水酸基1モルに対し通常3〜20モル、好ましくは4〜10モルである。
上記反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加することは好ましい。4級アンモニウム塩の使用量としてはフェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
この際、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した原料フェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
ここで、本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂は多官能であれば、硬化が3次元的に進み易く、高耐熱性、機械的特性において高い特性が期待できるため、好ましい。具体的には、本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂において分子量分布を有する多量体に繋がった構造、すなわち数平均分子量が400以上であることが好ましい。
このようにして得られるエポキシ樹脂はその骨格に非化石燃料由来の骨格を有するばかりでなく、従来のたとえばリグニン由来の化合物等に比べ、取り扱い、および硬化性等にも優れ、電気電子材料に有用なエポキシ樹脂となる。また、本発明のエポキシ樹脂は、アクリル酸との反応により光硬化性を有するエポキシアクリレート、およびその誘導体とすることも可能である他、カーボネート化合物、オキサゾリドン樹脂等、多様な骨格への変換も可能であり、種々の用途に適用できる。
以下に本発明のエポキシ樹脂組成物について記載する。
本発明のエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂と硬化剤を含有し、少なくともエポキシ樹脂として本発明のエポキシ樹脂を含有するか、硬化剤として本発明のフェノール樹脂を含有する。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂または硬化剤として、他の成分を使用する場合、非石油原料由来のものが好ましい。
また、特に、本発明のエポキシ樹脂、フェノール樹脂は作業性が非常に改善されていることから、従来知られているリグニン由来の化合物と併用することで、エポキシ樹脂組成物の改質剤の役割に使用することも可能である。
上記(4)及び(5)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。ただし、本発明のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、エポキシ樹脂組成物中で1〜30重量%を占める割合で添加する。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂のとしては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記(3)及び(5)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂は、単独でまたは他の硬化剤と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のフェノール樹脂またはビスフェノール化合物の全硬化剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。ただし、本発明のフェノール樹脂またはビスフェノール化合物をエポキシ樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、エポキシ樹脂組成物中で1〜30重量%の割合となるよう添加する。
本発明のフェノール樹脂と併用し得る他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、本発明のフェノール樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記(3)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、(a)成分であるエポキシ樹脂としては、上記他のエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記(4)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において、(d)成分である硬化剤としては、上記他の硬化剤等が挙げられる。
上記(3)〜(4)記載の本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体の封止剤用途に使用する場合はエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面からエポキシ樹脂組成物中で20重量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、40〜95重量%を占める割合で使用するのがさらに好ましい。
更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネート樹脂(もしくはそのプレポリマー)、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラス不織布または、カーボン繊維等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。そして、本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物は場合により溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含むエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)はガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とすることができる。このエポキシ樹脂ワニスの溶剤含量は、内割りで通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%程度である。該溶剤としては例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級アルキレングリコールモノ又はジ低級アルキルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよいジ低級アルキルケトン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。これらは単独で合っても、また2以上の混合溶媒であってもよい。
また、剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得ることが出来る。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
作業性、成形性の観点から本発明で得られる硬化物の軟化点は20〜170℃であることが好ましく、40〜120℃であることがより好ましい。この範囲より軟化点が低いとタック性、べた付きがあり、取り扱いが困難となる。また、この範囲より軟化点が高いと流動性が悪く、成形性が悪くなる。
本発明で得られる硬化物は各種用途に使用できる。具体的にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量はJIS K−7236、軟化点はJIS K−7234に準じた方法で測定した。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)の測定においては以下の通りである。
カラムは、Shodex SYSTEM−21カラム(KF−803L、KF−802.5(×2本)、KF−802)、連結溶離液はテトラヒドロフラン、流速は1ml/min.カラム温度は40℃、また検出はUV(254nm)で行い、検量線はShodex製標準ポリスチレンを使用した。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンスターク管を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、イソオイゲノール164部、キシレン100部、トルエン100部、p−トルエンスルホン酸3部を加え、70℃でホルマリン105部を1時間かけて滴下し、そのまま1時間撹拌した。その後、水を抜きながら30時間反応を行った。
反応終了後、90℃まで冷却し、無水燐酸水素2ナトリウム15部を加え、そのまま30分撹拌し、系中の酸をクエンチした。ここに水200部を加え、水洗後、さらに水100部/回で廃水が中性になるまで水洗を繰り返し、得られた有機層をロータリーエバポレータで加熱減圧下、トルエン、キシレン等の低沸分を留去することで、本発明のフェノール樹脂(PA1)162部が得られた。得られた樹脂は赤褐色であり、軟化点83.2℃、150℃における溶融粘度(ICI コーン#3)は0.08Pa・sであった。また重量平均分子量は724、数平均分子量は587であった。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂(PA1)80部、エピクロロヒドリン280部、メタノール50部を加え、70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン200部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液5部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP1)を97部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は223g/eq.、軟化点が59.5℃、150℃における溶融粘度(ICI コーン#3)は0.05Pa・sであった。また重量平均分子量は1022、数平均分子量は667であった。
実施例3
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンスターク管を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、オイゲノール164部、キシレン100部、トルエン100部、p−トルエンスルホン酸3部を加え、70℃でホルマリン105部を1時間かけて滴下し、そのまま1時間撹拌した。その後、水を抜きながら30時間反応を行った。
反応終了後、90℃まで冷却し、無水燐酸水素2ナトリウム15部を加え、そのまま30分撹拌し、系中の酸をクエンチした。ここに水200部を加え、水洗後、さらに水100部/回で廃水が中性になるまで水洗を繰り返し、得られた有機層をロータリーエバポレータで加熱減圧下、トルエン、キシレン等の低沸分を留去することで、本発明のフェノール樹脂(PA1)162部が得られた。得られた樹脂は赤褐色であり、軟化点48℃、150℃における溶融粘度(ICI コーン#1)は0.20Pa・sであった。また重量平均分子量は1024、数平均分子量は733であった。

Claims (6)

  1. イソオイゲノールとホルムアルデヒド(もしくはその合成等価体)との反応物であるフェノール樹脂。
  2. 請求項1 に記載のフェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応物であるエポキシ樹脂。
  3. (a)エポキシ樹脂および(b)請求項1に記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
  4. (c)請求項2に記載のエポキシ樹脂及び(d)硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
  5. (c)請求項2に記載のエポキシ樹脂及び(b)請求項1に記載のフェノール樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか1 項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化し硬化物。
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