JP3907140B2 - 変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用な変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年電気・電子分野においてはその発展に伴い、高純度化をはじめ耐熱性、密着性、フィラー高充填のための低粘度性等の諸特性の一層の向上が求められている。その一方では作業性の向上のために常温で固形であることが望まれている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料であることと同時に、作業性の向上のためにやはり低粘度の樹脂が求められている。これらの要求に対しエポキシ樹脂組成物について多くの提案がなされてはいるが、未だ充分とはいえない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような特性を持つエポキシ樹脂について鋭意研究の結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)(a)式(1)
【0005】
【化4】
【0006】
(式(1)中、複数存在するZはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を示す。複数存在するYはそれぞれ独立して水素原子または式(2)
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、Zは式(1)におけるのと同じ意味を表す前出と同意。)複数存在するXはそれぞれ独立して炭素数1〜15の炭化水素基、炭素数1〜15のハロゲン化炭化水素基、酸素原子、硫黄原子または下記式(3)
【0009】
【化6】
【0010】
(式(3)中、Wはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を示す。Y及びZは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)で表される構造から選ばれる1種以上、または単結合を示す。但し、全てのXが単結合であることはない。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表す。複数存在するmはそれぞれ独立して、4〜8の整数を示す。nは平均値で0.1〜20を示す。)で表される化合物と
(b)4,4’−ジヒドロキシビフェニル
の混合物をグリシジル化して得られる軟化点70℃以上、130℃以下の変性エポキシ樹脂、
(2)軟化点が70℃以上、130℃以下である前記(1)記載の変性エポキシ樹脂。
(3)成分(a)と成分(b)の混合物における成分(a)と成分(b)の配合量の比率が重量比で(b)/(a)が0.25以下0.05以上である前記(1)または(2)記載の変性エポキシ樹脂、
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
(5)前記(4)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の変性エポキシ樹脂は、前記式(1)で表されるフェノール類化合物(成分(a)、以下単に(a)という)と4,4’−ジヒドロキシビフェニル(成分(b)、以下単に(b)という)の混合物(以下、単に原料混合物という)とエピハロヒドリン類とを反応させるグリシジル化反応により得ることができる。これにより、式(1)の化合物単独のグリシジル化物が半固形であっても、4、4’−ジヒドロキシビフェニルとの混合物としてグリシジル化することにより、同一粘度以下でありながら軟化点の高い変性エポキシ樹脂を得ることが出来、且つブロッキング(樹脂の溶着)が発生し難い特徴を有する。混合物中の(a)と(b)の混合比は、特に制限されないが重量比で(b)/(a)の値として好ましくは0.25以下、0.05以上である。(a)と(b)の配合量が前記した範囲をはずれると、変性エポキシ樹脂合成中に結晶が析出する、低分子の(a)を用いて合成した変性エポキシ樹脂が結晶性を帯びず固形化しない、低粘度化が充分でない等の問題点がでてくる場合がある。
【0012】
用いうる式(1)の化合物の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、テルペンジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、フェノール類・ジシクロペンタジエン重合物、フェノール類・キシリレングリコール重縮合物、フェノール類・アルデヒド類重縮合物、ビスフェノールS、4,4’−オキシビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、4,4’−(ジメチルシリレン)ビスフェノール、4,4’チオジフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキル置換体やハロゲン置換体とエピハロヒドリン類の重縮合物、または上記ビスフェノール類のジグリシジル化物と上記ビスフェノール類の重合物等が挙げられるがこれらに限定されることはない。前記各重縮合物におけるフェノール類としてはフェノール、クレゾール、キシレノール、tert−ブチル−クレゾール、アリルフェノール、ナフトールなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0013】
本発明の変性エポキシ樹脂を得る際のグリシジル化反応に使用されるエピハロヒドリン類の用いうる具体例としては、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等が挙げられるが、工業的に入手し易く安価なエピクロルヒドリンが好ましい。このグリシジル化反応自体は従来公知の方法に準じて行うことが出来る。
【0014】
例えば上記の原料混合物とエピハロヒドリン類の混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括添加または徐々に添加しながら通常20〜120℃で0.5〜10時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、得られた留出液を分液し水は除去しエピハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
【0015】
上記の方法においてエピハロヒドリン類の使用量は原料混合物100重量部に対して通常200〜2000重量部、好ましくは250〜1500重量部である。アルカリ金属水酸化物の使用量は原料混合物中の水酸基1当量に対し通常0.05〜5.0モル、好ましくは0.2〜3.0モルである。また、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を添加することにより下記に定義する加水分解性ハロゲン濃度の低い変性エポキシ樹脂が得られ、この変性エポキシ樹脂は電子材料封止用の用途に適する。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン類に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%である。上記の溶媒以外にもメタノール、エタノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン等の環状及び鎖状エーテル類を添加することによっても反応が進み易くなり、加水分解性ハロゲン濃度も非プロトン性極性溶媒を使用した場合よりは高いが、これら溶媒を使用しないときよりは低くなる。またトルエン、キシレン等も使用することができる。ここで加水分解性ハロゲン濃度とは、例えば変性エポキシ樹脂をジオキサンと1N−KOH/エタノール溶液に入れ、数十分間還流した後、硝酸銀溶液で滴定することにより測定することができる。
【0016】
また原料混合物と過剰のエピハロヒドリン類の混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用し、通常50〜150℃で1〜10時間反応させ、得られる原料混合物のハロヒドリンエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、20〜120℃で1〜10時間反応させてハロヒドリンエーテルを閉環させて本発明の変性エポキシ樹脂を得ることもできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用量は原料混合物の水酸基1当量に対して0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は、原料混合物の水酸基1当量に対し通常0.05〜5.0モル、好ましくは0.2〜3.0モルである。
【0017】
通常、これらの反応生成物は水洗後、または水洗無しに加熱減圧下過剰のエピハロヒドリン類や、溶媒等を除去した後、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行うことにより加水分解性ハロゲン濃度の低い本発明の変性エポキシ樹脂を得ることが出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量は原料混合物の水酸基1当量に対して0.01〜0.2モル、好ましくは0.02〜0.15モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。反応終了後副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒を留去することにより加水分解性ハロゲン濃度が低い本発明の変性エポキシ樹脂を得ることができる。
こうして得られた本発明の変性エポキシ樹脂はその軟化点が70℃〜130℃であるものが好ましい。
【0018】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物につき説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明の変性エポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明の変性エポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0019】
本発明の変性エポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロール類との重縮合物、ビフェノール類、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その好ましい実施態様において硬化剤を含有する。硬化剤としてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが使用できる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0021】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物などが挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0022】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて溶融シリカ、結晶シリカ、多孔質シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、フォルステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク等の粉体、またはこれらを球形状あるいは破砕状にした無機充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂などを添加することができる。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を前記したような割合で均一に混合することにより得られ、好ましい用途は半導体封止用である。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無機充填材、配合剤、及び各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファ−成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、必要により80〜200℃で加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0024】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して本発明の硬化物を得ることもできる。
【0025】
その際溶剤は本発明のエポキシ樹脂組成物と溶剤の合計重量に対し溶剤の占める割合が、通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%となる量使用する。
【0026】
【実施例】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点は以下の条件で測定した。
▲1▼エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定し、単位はg/eqである。
▲2▼溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計(RESEARCH EQUIPMENT( LONDON)LTD. 製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜20ポイズ)
試料量:0.15±0.01g
▲3▼軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定
▲4▼耐ブロッキング性
直径5mm前後のマーブル状の(変性)エポキシ樹脂を1.5リットルのPETボトルに1Kg入れ、35℃の恒温槽の中に72時間放置した後のエポキシ樹脂の溶着具合いを見た。尚、表1及び2における耐ブロッキング性の欄には下記の基準で評価結果を示した。
◎:マーブル同士が溶着していない
○:若干溶着しているが、手でバラバラに出来る
△:かなり溶着している。マーブルの形跡は見られる
×:完全に1個の樹脂の塊になった
【0027】
実施例1
エピコート828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ(株)製)37.8重量部、ビスフェノールA68.4重量部を反応容器に仕込み、160℃に加熱、撹拌、溶解後、トリフェニルホスフィン0.5重量部を添加後、160℃で4時間重合反応を行った。反応終了後、反応系内に4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.3重量部、エピクロルヒドリン500重量部、メタノール50重量部を加え、均一な溶液とした。次いで、温度を70℃に保持しながら、40%水酸化ナトリウム水溶液72重量部を4時間かけて連続的に滴下した。水酸化ナトリウム水溶液滴下完了後、70℃で2時間反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副生塩とメタノールを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に400重量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。
このメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより本発明の変性エポキシ樹脂(E1)165重量部を得た。
【0028】
実施例2
実施例1においてエピコート828を37.8重量部に、ビスフェノールAを45.6重量部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを18.6重量部に、40%水酸化ナトリウム水溶液44重量部変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E2)122重量部を得た。
【0029】
実施例3
実施例1においてエピコート828を56.7重量部に、ビスフェノールAを54.7重量部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを21.4重量部に、40%水酸化ナトリウム水溶液45重量部変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E3)152重量部を得た。
【0030】
実施例4
実施例1においてエピコート828を37.8重量部に、ビスフェノールAを22.8重量部に変え、更にビスフェノールS25重量部を加えて重合反応を行い、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを18.6重量部に、40%水酸化ナトリウム水溶液44重量部変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E3)125重量部を得た。
【0031】
実施例5
エポミックR−301(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井石油化学工業(株)製;溶融粘度3.1、軟化点63℃)128重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル14.1重量部、エピクロルヒドリン500重量部、メタノール50重量部を反応容器に仕込み、70℃に加熱、撹拌、溶解後、温度を70℃に保持しながら、40%水酸化ナトリウム水溶液16重量部を4時間かけて連続的に滴下した。水酸化ナトリウム水溶液滴下完了後、70℃で2時間反応を行った。ついで水洗を繰り返し、副生塩とメタノールを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に400重量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。
このメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30%水酸化ナトリウム水溶液10重量部を添加し、1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより本発明の変性エポキシ樹脂(E5)145重量部を得た。
【0032】
実施例6
実施例4においてエポミックR−301を120重量部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを18.7重量部に、40%水酸化ナトリウム水溶液を22重量部変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、本発明の変性エポキシ樹脂(E6)146重量部を得た。
【0033】
比較例1
実施例1において、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを加えず、40%水酸化ナトリウム水溶液を45重量部に変えた以外は同様の操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R1)122重量部を得た。
【0034】
比較例2
実施例2において、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを加えず、40%水酸化ナトリウム水溶液を22重量部に変えた以外は同様の操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R2)91重量部を得た。
【0035】
比較例3
実施例3において、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを加えず、40%水酸化ナトリウム水溶液を20重量部に変えた以外は同様の操作を行った。その結果、エポキシ樹脂(R3)118重量部を得た。
【0036】
以上の実施例及び比較例で得られた本発明の変性エポキシ樹脂、比較用のエポキシ樹脂の物性を表1〜3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
実施例7〜9、比較例4〜6
実施例の変性エポキシ樹脂(E1)〜(E3)及び比較例のエポキシ樹脂(R1)〜(R3)を使用し、これらエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤(フェノールノボラック樹脂(日本化薬(株)製、PN−80、150℃におけるICI粘度1.5ポイズ、軟化点86℃、水酸基当量106g/eq)を1水酸基当量配合し、更に硬化促進剤(トリフェニルフォスフィン)をエポキシ樹脂100重量部当り1重量部配合し、ミキシングロールにより混練し、タブレット化後、トランスファー成型により樹脂成型体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間で硬化させた。
【0040】
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表3に示す。
尚、物性値の測定は以下の条件にて行った。
【0041】
【表3】
【0042】
表1、2から明らかなように、比較用のエポキシ樹脂と、本発明の変性エポキシ樹脂の硬化物の物性はほぼ同等であるが、本発明の変性エポキシ樹脂は軟化点が高く、作業性及び組成物の保存性(耐ブロッキング性)に優れていることが明らかである。また、その硬化物においては、表3から明らかなように、未変性のエポキシ樹脂と比較して低粘度であるため密着性に優れ、且つビフェニル骨格を有するため、耐熱性が向上する。
【0043】
【発明の効果】
本発明の変性エポキシ樹脂は、軟化点が高くて、作業性、保存性(ブロック化しない)が良く、溶融粘度も低い。従って、本発明の変性エポキシ樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に極めて有用である。
Claims (5)
- (a)式(1)
- 軟化点が70℃以上、130℃以下である請求項1記載の変性エポキシ樹脂。
- 成分(a)と成分(b)の混合物における成分(a)と成分(b)の配合量の比率が重量比で(b)/(a)が0.25以下0.05以上である請求項1または2記載の変性エポキシ樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項4記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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