JP7299577B2 - リグニンを含む熱硬化性樹脂組成物粉体 - Google Patents

リグニンを含む熱硬化性樹脂組成物粉体 Download PDF

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Description

本発明は、リグニンを含む熱硬化性樹脂組成物粉体、その製造方法、熱硬化プラスチック成型体の製造方法に関する。
プラスチック材料は主に石油由来で合成されるが、近年の二酸化炭素排出削減のニーズに応えるため、各種バイオマス由来からの合成も試みられているところである。リグニンは木の20~30%を占める成分であり、間伐材や製紙工程などから大量に得られるにもかかわらず、工業製品の基礎高分子原料としてはあまり使われてこなかった。これはリグニンが複雑な構造の巨大分子であり、木種による個体差を有しているため、分離精製の難しさにより大規模化学製品の原料としては高コストであることが主たる原因である。近年、従来法とは異なる、ポリエチレングリコールを溶媒とした木材原料の酸加水分解処理により、改質リグニンとして従来よりも比較的均質なリグニン成分を抽出しやすくして、粉体有機化合物原料として連続供給できることが可能な例が見出されている。
特許文献1においては、改質リグニンが環境負荷の小さいポリエチレングリコールの使用によって分離精製しやすく改質されたものであることを利用し、再び同じポリエチレングリコールあるいは類似構造を持つエチレングリコール系の安全性の高い有機溶剤に溶けやすいことに着目して液状化を行い、工業的に汎用のエポキシ化合物とともに硬化させて熱硬化性のプラスチックを作る例を見出している。
しかしながら、本方法では、ポリエチレングリコール系有機溶剤に改質リグニンを十分溶解させるために80℃以上の加熱を行い、かつ4時間以上攪拌する必要があった。また、エポキシ化合物との混合物を用いてハンドレイアップ法や真空含侵法などによって成型加工を行う際、混合物の流動性を維持するため、温度を80℃以上の温度に保持する必要があり、十分な流動性を得るため温度を上げすぎると成型加工の途中で硬化が進んでしまう工程上の困難さがあった。加えて、ポリエチレングリコールの沸点はエポキシ化合物との硬化温度よりも高いため蒸発操作によるポリエチレングリコールの除去は困難であり、未反応のポリエチレングリコールが硬化物に残留するため、硬化時間の長期化を招いて触媒無しでは60時間以上かかり、かつ、プラスチックの強度を下げる問題があった。さらに、ポリエチレングリコール溶媒が除去できないことにより、結果として溶媒を含んだままの硬化処理を余儀なくされ、相対的にリグニンのプラスチック内含有率を下げてリグニンの工業原料としての普及の妨げになってしまう大きな問題があった。
しかしながら、ジメチルホルムアミド(DMF)やNメチルピロリドン(NMP)などリグニンに対して良溶媒となる汎用の有機溶剤については、室温で容易に改質リグニンを溶解するものの高沸点の溶媒であり、溶媒を完全除去するためにはエポキシ化合物との硬化温度よりも高い150℃以上の乾燥温度が必要であり、溶媒除去と硬化が同時進行することによる樹脂の歪みなど成型上の困難さがあった。加えて、DMFなどについて対環境負荷性、安全性に問題があった。
さらに、改質リグニンとエポキシ化合物の均一な混合を行うためには、改質リグニンを高い温度で溶媒に溶かして粘性の低い液体にしてから長時間エポキシ化合物との混合を行う必要があるため、その最中に硬化反応が進んでしまい、混合液の状態の樹脂はすぐに硬化処理までのプロセスを進める必要があり、前駆体としてストックして硬化処理を後で行うことが難しく、工業現場での工程の柔軟性に欠ける難点があった。
以上のように、改質リグニンから熱硬化プラスチックを得るための従来技術においては、リグニンの高い溶解温度と高い溶媒除去温度による工程の複雑化や最終プラスチック中への溶媒の残留、使用する化学物質の対環境負荷性などに課題があった。
特開2018-104688号公報
本発明は、改質リグニンとエポキシ化合物を硬化温度以下で混合して得られ、改質リグニンとエポキシ化合物を含む硬化前原料樹脂として保管でき、加工現場で硬化処理に使用可能である、熱硬化性樹脂組成物粉体と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、少なくとも以下の態様を提供する。
(態様1)
ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体。
(態様2)
現場重合型の熱硬化性樹脂組成物粉体である、態様1に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
(態様3)
さらにアルコールを含み、アルコールの含有量が5重量%以下である、態様1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
(態様4)
アルコールを含まない、態様1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
(態様5)
ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンをアルコールで処理してアルコール含有改質リグニン固形物を作製し、該アルコール含有改質リグニン固形物をエポキシ化合物と加熱混合して改質リグニンとエポキシ化合物とアルコールを含む混合物とし、得られた混合物を乾燥処理してアルコールを除去又は減少させた後、粉砕して、改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体を得ることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
(態様6)
乾燥処理を減圧及び昇温下で行う、態様5に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
(態様7)
乾燥処理で前記混合物の残留アルコールを5重量%以下にする、態様5又は6に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
(態様8)
乾燥処理で前記混合物中に残留アルコールを残さない、態様5又は6に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
(態様9)
態様1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は態様5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、加熱溶融し、鋳型で成型し、加熱硬化して熱硬化プラスチック成型体を得ることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
(態様10)
態様1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は態様5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、そのまま加熱加圧成型し、加熱硬化して熱硬化プラスチック成型体を得ることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
(態様11)
態様1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は態様5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、繊維と混合し又は繊維構造物と組み合わせて、成型し、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
(態様12)
前記熱硬化性樹脂組成物粉体を硬化温度以下で加熱溶融して繊維織物に含浸、冷却によりプリプレグを作製し、その後、任意の形状で加熱プレス硬化させる、態様11に記載の熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
(態様13)
態様1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は態様5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、無機粉体と混合し、成型し、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
本発明によれば、改質リグニンとエポキシ化合物を含む硬化前原料樹脂として保管でき、加工現場で硬化処理に使用可能であり、かつ、粉体であるがゆえに使い勝手に優れる、リグニン含有熱硬化性樹脂組成物粉体が提供される。また、その熱硬化性樹脂組成物粉体を用いて熱硬化プラスチック成型体を製造することで、生産性に優れ、優れた特性を有するリグニン含有プラスチック成型体を得ることができる。
以下に、本発明の説明のために、本発明によって得られ得る好ましい追加の効果をやや詳しく記載するが、本発明は以下の効果が得られるものに限定されないことに留意されるべきである。
本発明によれば、使用する改質リグニンを、100~80℃以下程度の比較的低温でアルコール溶媒中で処理することで、改質リグニンが液状化され易く、工業的に汎用のエポキシ化合物と混合しやすい状態をつくりだすことができ、熱硬化性のプラスチック樹脂液の作製効率を大幅に向上される。また、従来の高沸点の有機溶媒に代えてアルコールで処理することで、改質リグニンとエポキシ化合物を含む混合物からの溶媒の除去温度を低くして、溶媒の除去温度と樹脂の熱硬化温度との間に大きな差を設けることができるので、溶媒除去を十分行ってから熱硬化のプロセスに移ることが可能にされ、リグニンを硬化前原料粉体として提供可能とすることで、成型現場での加工性を容易かつ多様にする。さらに、改質リグニンがアルコール中で液状化及び凝集する現象を利用することで、エポキシ化合物と混合しやすい状態となった改質リグニンを固形物として析出、分離することが可能であり、エポキシ化合物との混合前にあらかじめ過剰な溶媒の容易な回収と除去、再利用が行える。
本発明によれば、先行技術と比べて高沸点有機溶媒を必要とせず、また改質リグニンとアルコール、及びエポキシ化合物との混合は低温かつ短時間で完了するため、従来法から大幅な時間短縮が図れる。また、低温で低沸点有機溶媒を除去できるため、省プロセス、対環境安全性に優位がある。
また、本発明によれば、上記方法によりアルコールと混合後、同溶媒を含む改質リグニン固形物を得たのち、さらにエポキシの硬化温度より低温、例えば100℃以下でエポキシ化合物と混合させ未反応混合物の粉体として作製・保管できる。先行技術と比較して、高温、例えば100℃超で改質リグニン、溶剤、エポキシ化合物を混合する必要がなく、かつ、未硬化混合物を室温で保管可能であることから、加熱混合温度が高く樹脂液の混合後すぐに使い切らなければいけない従来法に対し省プロセス性に優位があり、粉体としての形態は工業原料としての現場への供給に極めて適している。
改質リグニンとエポキシ化合物の良好な混合を維持したままアルコールの分離除去が容易であるため、硬化後の製品に溶媒が残留せず、かつ、改質リグニンとエポキシ化合物の比を容易に調節が可能であり、結果、従来法では40%程度にとどまっていた改質リグニンの含有率を、硬度を落とさずに90%程度にまで高めた高リグニン含有エポキシ樹脂の作製を可能とする。
先行技術と比較して、エポキシの硬化温度よりも低い温度で溶媒の大部分を除去可能なため、硬化前の未反応混合物の固体を得ることが可能である。したがって、各種人工繊維に未反応混合物を含浸したものを繊維強化プラスチック用のプリプレグ原料として作製が可能である。また、このプリプレグ、または、未反応混合物固体と人工繊維織物との積層体を加熱成型により加工が可能であり、先行技術でのハンドレイアップ法や真空含侵法に比べて改質リグニンを使う繊維強化プラスチック製造の省プロセス性を有する。また粉体として得られることから、同じ粉体である難燃性無機物との混合が容易となり、難燃性プラスチックの容易な製造法にも資する。
本発明の製造方法により作製される熱硬化プラスチック成型体は、熱硬化した樹脂でありながら、熱可塑性を有することが見出されたので、熱硬化プラスチック成型体の硬化後の修正、変形ができる効果がある。
図1は、改質リグニンをエタノールで処理する様子を示す写真である。 図2は、改質リグニンを各種アルコールで処理したときの写真である。 図3は、アルコールに溶解前後の改質リグニンの赤外吸収分析チャートである。 図4は、実施例の熱硬化性樹脂組成物を硬化させたエポキシ硬化物の赤外吸収分析チャートである。 図5は、エタノールで処理した改質リグニン固形物から硬化性樹脂組成物粉体を製造するまでの写真である。 図6は、熱硬化性樹脂組成物粉体を鋳型に入れて加熱・硬化処理して得たプラスチック板を製造する様子を示す写真である。 図7は、改質リグニンの混入率の異なる熱硬化性樹脂組成物粉体から作製したプラスチックを示す写真である。 図8は、熱硬化処理をした後の熱硬化性樹脂組成物粉体の熱可塑性の状況を示す写真である。
(硬化性樹脂組成物粉体)
本発明は、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体を提供する。
従来、リグニンとエポキシ化合物を含む固形組成物を得るためには、ジメチルホルムアミド(DMF)やポリエチレングリコールなどの有機溶剤で溶解又は融解して液状化する必要があったので、リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体は存在していなかった。本発明者らは、先に、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンと、有機溶媒としてアルコールを用いることで、改質リグニンとエポキシ化合物とアルコールを含む熱硬化性樹脂組成物の固形物を製造することに成功している(特願2017-243121号)。しかし、この熱硬化性樹脂組成物の固形物はアルコールを33重量%程度含み、ぶよぶよの非常に柔らかい弾性体であり、粉体にされていなかった。今回、本発明者は、その熱硬化性樹脂組成物の固形物は、減圧乾燥などにより高度に乾燥処理することでアルコールを除去又は減少させることができること、またその結果、得られる熱硬化性樹脂組成物の固形物は粉砕して熱硬化性樹脂組成物粉体とすることができること、さらにこの熱硬化性樹脂組成物粉体はアルコール溶媒が含まれていないかその含有量が少ないので、リグニンとエポキシ化合物から熱硬化プラスチック成型体を作製するための溶融、成型及び熱硬化工程の自由度が向上すること、硬化体のリグニン含有率を従来より高くできることを見出し、本発明を完成した。
(改質リグニン)
本発明で用いる改質リグニンとしては、ポリエチレングリコール鎖がリグニンの骨格に結合したものが用いられる。ポリエチレングリコール鎖をリグニンに結合させる方法としては、エポキシ基を有するポリエチレングリコールを用いた誘導体化の方法、リグニンを含む黒液にポリエチレングリコールを溶解し処理する方法、ポリエチレングリコールを媒体とした酸加溶媒分解法などが例示されるが、本発明においては、酸加溶媒分解法により得られた改質リグニンが好適に用いられる。ここで反応に用いられるポリエチレングリコールの分子量は100~1000、好ましくは200~600である。改質リグニンを製造する原料となる植物バイオマスは特に限定されるものではないが、スギ、ヒノキ等の針葉樹材、カバ、ミズナラ等の広葉樹材、あるいは、稲わら、バガス、タケ等の草本系バイオマスが用いられる。スギ、ヒノキ等の針葉樹材、特にスギが好ましい原料である。酸加溶媒分解は、これら植物バイオマスのチップあるいは粉砕物に、好適には、約5重量倍のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールに対して0.1~0.9%の硫酸を加え、約140℃で60~90分間加温して行われる。反応物を好ましくは0.1~0.2Mの薄い苛性ソーダ溶液で希釈した後、不溶解のパルプ成分を濾過により取り除き、濾液を硫酸等で酸性化することで沈澱物を生成させる。その沈殿物を濾過もしくは遠心分離で取り除いた物質が改質リグニンとして利用される。
ポリエチレングリコールにより修飾された改質リグニンは、さらに極性基を付加した改質リグニンも用いられてよい。極性基はカルボキシル基、アミノ基、水酸基が好適に用いられ、より好適にはカルボキシル基が用いられる。
(エポキシ化合物)
本発明において用いられるエポキシ化合物としては、改質リグニンに含まれる水酸基と反応して熱硬化し得るエポキシ化合物であればよい。例えば、エポキシ化大豆油、アルキレン-1,6-ジエポキシ等の脂肪族系;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体における改質リグニンとエポキシ化合物の配合割合は、熱硬化して熱硬化プラスチックを生成できればよく、重量比で、1:99~99:1の範囲でよいが、熱硬化後に実用的な硬度を有するために、好ましくは40:60~94:6、さらには60:40~90:10の範囲である。
(硬化促進剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体では、エポキシ化合物とともに任意に硬化促進剤を含んでよい。用いる硬化促進剤は、エポキシ化合物と改質リグニンとの硬化反応を促進するものであればよく、エポキシ化合物とエポキシ系樹脂の水酸基との硬化反応を促進する硬化促進剤は公知である。例えば、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-ノネンー5(通称DBN)や1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(通称DBU)等の三級アミンや三級アミン塩、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィンやホスホニウム塩を用いてよい。使用する際の硬化促進剤の全固体(組成物)に対する重量割合は、20重量%未満であり、好ましくは0.1~10重量%である。
(アルコール)
本発明において用いられるアルコールとしては、エポキシ樹脂の硬化反応温度より低い温度、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、さらには80℃以下の沸点を有しているものが好ましい。メタノール(沸点:約64℃)、エタノール(沸点:約78℃)、1-プロパノール(沸点:約97℃)、2-プロパノール(沸点:約82℃)、1-ブタノール(沸点:約117℃)、2-ブタノール(沸点:約100℃)、イソブタノール(沸点:約108℃)、t-ブタノール(沸点:約83℃)、ヘキサノール(沸点:約157℃)、シクロヘキサノール(沸点:約161℃)等が挙げられる。アルコールは混合物でもよい。ただし、上記の沸点は大気圧下での沸点であるが、本発明では、改質リグニンとエポキシ化合物とアルコールを含む固形物からアルコールを除去又は減量する乾燥処理を減圧下で行ってよいので、減圧下で乾燥処理する場合には、上記の沸点はその減圧下の沸点であってよい。炭素数5以下のアルコールがより好ましい。特に溶融性、除去の容易さの点から炭素数3以下のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール)が好適であり、安全性から特にエタノールが好適である。従来技術のジメチルホルムアミド、Nメチルヒドリドン、ポリエチレングリコールなどの高沸点有機溶媒では、常圧ではエポキシ硬化温度以下での溶媒の除去が困難または不可能である。また、減圧下であっても高沸点ゆえにエポキシ硬化温度以下での速やかな溶媒除去は難しく、さらに、一旦硬化温度以上での溶解を必要とするこれらの溶媒においては、硬化反応が起こらない条件下で乾燥操作によって溶媒を除去または減量することはできていない。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、残留アルコールを含まないことが最も望ましいが、アルコールの残留量は、組成物の重量を基準にして、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、5重量%以下、さらに1重量%以下であってよい。アルコールの含有量は少ないほど、溶融、成型、加熱硬化の工程管理及び得られる硬化物の物性の点で好ましいが、1つの態様では、アルコールの含有量が1重量%以上、さらに3重量%以上であってもよい。組成物における有機溶媒の含有量は、乾燥前においてはアルコールで処理する前後の改質リグニンの重量変化から測定することができ、乾燥・粉砕後は熱重量分析におけるエポキシ硬化温度以下での重量減少分として見積もることができる。アルコールの残留量は1重量%以下、特に0重量%であることが最も好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、アルコール以外の有機溶媒は、含む必要がなく、含まれないことが好ましい。しかし、本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体の特性を損なわない範囲で、他の有機溶媒が含まれていてもよい。アルコール以外の有機溶媒の含有量は、できるだけ少ないことが好ましく、組成物の15重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、特に0重量%であることが好ましい。
(熱硬化性樹脂組成物粉体)
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、未硬化物であり、再加熱することで、改質リグニンとエポキシ化合物の硬化反応温度より低い温度でも再び溶融状態にすることができる。溶融温度は、好ましくは改質リグニンとエポキシ化合物の硬化反応温度より低い温度であり、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下の温度であってよいが、溶融後十分短時間で成型加工ができる場合は、エポキシ硬化温度と同等以上の温度で再溶融させても問題はない。熱硬化性樹脂組成物粉体は、加熱溶融し成型後に、硬化反応温度以上に加熱して熱硬化プラスチック成型体を製造することができる。また、この熱硬化性樹脂組成物粉体を直接に加熱加圧成型して熱硬化プラスチック成型体を製造することもできる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体(未硬化物)は、粉体の粒度は限定されないが、例えば、平均粒径が1μm~10mm、5μm~5mm、あるいは10μm~2mmであってよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、リグニン原料としてポリエチレングリコールで化学修飾された改質リグニンを用い、一旦アルコールで処理することで、重合させるエポキシ化合物との混合性が増し、その混合が均一かつ簡単に行われている。改質リグニンとエポキシ化合物は液相混合されて、分子レベルで混合されている。混合物中に原料である固形のエポキシ化合物は残っていない。また、簡便な成型方法を妨げ、硬化体の物性を低下させる樹脂原料中の溶媒の除去が既に行われている。さらに、硬化直前の樹脂前駆体の形で保管可能であることで、エポキシ化合物との混合プロセスと硬化反応プロセスとを完全に分離し、プラスチック成型品製造の現場で最終の成型加工の段階で同時重合処理が可能な樹脂原料粉体である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、アルコールの大部分又は全部を除去した改質リグニンとエポキシ化合物との未硬化混合物であり、エポキシ化合物の硬化温度には達していないため、成型・加熱硬化の直前までストックできる原料(保管可能な樹脂原料粉)であり、加熱混合と硬化のプロセスを別にできるため、プラスチック製造のプロセスを効率的にすることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、溶媒であるアルコールを含まないか、その含有量が少ないので、硬化の前の溶融及び成型段階において、大量の溶媒を蒸発させるための余分な工程が必要ないので、生産効率が優れるのみならず、プラスチック成型体を製造する工程管理も容易になる効果がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、粉体であるから、プラスチック成型体を製造する際に、その製造現場で、成型用型に充填して加熱することで硬化させて、プラスチック成型体を容易に製造することができる。また、繊維強化プラスチックを作製する際に、当該組成物をガラス繊維などの人工繊維に混合あるいは人工繊維と積層させて、加熱溶融させて繊維中に樹脂を含浸し、プリプレグなどの硬化前繊維樹脂複合体を作製することができる。また、プラスチックへの添加物としての無機粉体と粉体同士として簡単な粉体混合後に加熱硬化させて、無機添加物粉体を含むその機能を付加したプラスチック成型体を製造することができる。このように、本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体は、プラスチック成型体を製造する際の成型及び硬化の工程において、樹脂原料として使い勝手がよく、生産効率にも優れる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体がアルコールを含まないか、その含有量が少ないこと、さらには上記のような工程上の有利さの結果と考えられるが、本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体を原料として製造される熱硬化プラスチック(成型体)では、硬度に優れ、リグニンの含有量を従来の対応する製品より増加することが可能であった。
(熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法)
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法では、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンをアルコールで処理してアルコール含有改質リグニン固形物を作製し、アルコール含有改質リグニン固形物をエポキシ化合物と加熱混合して改質リグニンとエポキシ化合物とアルコールを含む混合物とし、得られた混合物を乾燥処理してアルコールを除去又は減少させた後、粉砕して、改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体を得る。
改質リグニンをアルコールの存在において、特に加熱して、処理することで、液体のアルコール中に、アルコールを取り込んだ改質リグニンの固形物(凝集体)が生成し、このアルコール含有改質リグニン固形物は、エポキシ化合物と混合すると、アルコール処理しない改質リグニンと比べて、低温でも容易に液相混合しやすい状態となる。
メタノールを例外として、アルコールは室温では改質リグニンと反応せず、液相混合あるいは上記凝集体の生成をしないが、改質リグニンをアルコールの存在下で昇温することで、特に改質リグニンとエポキシ化合物との硬化反応温度より低い温度、好ましくは100℃以下、さらに80℃以下の加熱によっても、改質リグニンの粉末原料がアルコールによって表面から徐々に異性化されて一旦高い粘性で液状化し、ついで液状化した改質リグニンは次第に凝集しはじめ、最後は過剰のアルコール中から分離して粘性の高い、または、固形状の改質リグニン組成物を生成する。この組成物中にはアルコールが一部取り込まれて残留している。メタノールは加温せずとも室温で同じ作用が進み、改質リグニンは液状化後にメタノール中で分離・沈降して粘性の高い凝集体が得られる。任意に室温以下に冷却して凝集を促進してもよい。
このアルコール処理は恒温槽中大気中での操作で行ってよいが、攪拌翼を備えた攪拌装置、振とう攪拌装置、ホモジナイザー等を用いるのが好適である。
改質リグニンをアルコール処理して製造される改質リグニンの固形物(凝集体)の生成メカニズムは明らかではないが、最終的には投入した改質リグニン原料はほぼ全量凝集して取り出せることから、液状にはなるが、あくまでアルコールとの相互作用による改質リグニンの異性化反応により、エポキシ化合物のような異種物質との混合性が増すなど、改質リグニンの性質が変わったと解釈される。したがって、改質リグニン分子とアルコール溶媒分子の相互作用とその過程で起こる膨潤、溶融などの複合的な作用機序と解される。
得られる凝集体は、残りのアルコ-ル(上澄み液)から分離できる。この凝集体は、改質リグニンと残留アルコールを含んでいる固形改質リグニン組成物である。アルコール含有固形改質リグニン組成物では、改質リグニンとアルコールとが化学反応していないことは赤外吸収分析によって確認された。理論に拘束される意図はないが、アルコールによる吸着、配位、膨潤などにより、改質リグニンが異性化、すなわち、改質リグニンの骨格及び分岐や官能基の各原子又は原子団の空間配置が変化して、改質リグニンエポキシ化合物との混合時にアルコール処理前より低い温度で液相混合しやすい性状になっていると考えられる。
改質リグニンをアルコール処理する際の改質リグニンとアルコールの混合重量比は、限定されず、余分なアルコールは改質リグニンの凝集後に上澄み液として分離できるので、改質リグニンに対してアルコールが大過剰であってよいが、例えば、50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲であってよく、50重量部対50重量部から50重量部対20重量部の範囲であってもよい。
改質リグニンとアルコールの均一混合物(凝集体)である固形改質リグニン組成物は、上澄み液から分離後、エポキシ化合物と混合する際に、任意に硬化促進剤を同時に混入して混合し、冷却すれば、改質リグニンとエポキシ化合物、残留アルコールと任意に硬化促進剤とを含む固形の熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)を得ることができる。エポキシ化合物と溶融混合するための温度は、改質リグニンとエポキシ化合物の硬化反応温度より低い温度、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度であってよい。溶融混合に際しては、攪拌翼を備えた攪拌装置、振とう攪拌装置、ホモジナイザー等を用いるのが好適である。この固形の熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)において、改質リグニンとエポキシ化合物と任意に硬化促進剤とは、液相混合状態である。液相混合状態とは、分子レベルで混合されていることをいうが、混合に用いた原料エポキシ化合物粉体が固形物のまま残っていないことによって確認することができる。
こうして得られる固形の熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)は、そのままでは残留アルコール溶媒を多量に含み、熱硬化処理時に残留アルコールの蒸発による発泡痕がプラスチック中に生じてプラスチックの品質を低下させてしまうため、アルコールの除去に工程管理と長時間を要する。本発明では、この熱硬化性樹脂組成物に、さらに乾燥処理(アルコール蒸発処理)を施して、熱硬化性樹脂組成物に含まれるアルコールを除去し、少なくとも減少させる。この乾燥処理は、減圧(沸点低下のための減圧乾燥)、加熱、通風等、又はこれらの組合せのいずれでもよい。減圧することで、蒸発させるべきアルコールの沸点を低下させ、あるいは飽和蒸気圧を増加させて、硬化反応温度より低い温度でのアルコールの蒸発を容易にし、あるいは促進し、硬化反応温度より低い温度でのアルコールの除去又は減少を容易にするので、減圧を伴う乾燥処理が好ましい。乾燥処理の温度は、改質リグニンとエポキシ化合物の硬化反応温度より低い温度、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の温度であってよい。硬化反応温度より低い温度であれば、硬化反応が進行しないので、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることなく、アルコールを除去又は減少させることができる。乾燥処理(アルコール蒸発処理)は、減圧及び昇温下、エポキシ化合物の硬化温度より低い温度で行うことが好ましい。この乾燥処置は、上記のように熱硬化性樹脂組成物を一旦製造(冷却)後に行うのではなく、上記の熱硬化性樹脂組成物を製造する過程において、上澄み液から分離した固形改質リグニン組成物をエポキシ化合物と溶融混合する段階で、冷却する前に、そのまま加熱を継続して、任意に減圧等と組み合わせて、実施してもよい。
熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)の乾燥処理は、アルコールを除去又は減少させ、結果として得られる乾燥固形物が粉砕でき、粉体を製造することができればよく、乾燥処理後のアルコール含有量は限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物の重量を基準にして、20重量%以下、さらには5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下であり、含有量が0重量%であることが特に好ましい。
こうして得られる熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)は、それ自体、そのまま再加熱することで、改質リグニンとエポキシ化合物の硬化反応温度より低い温度で再び溶融状態にすることができるものであるが、本発明によれば、乾燥処理後に得られる熱硬化性樹脂組成物(未硬化物)は、溶媒、すなわち、アルコールの殆ど又は全部が除去されて、乾燥しているので、脆い固体となり、容易に粉砕が可能であることが見出された。粉砕によって熱硬化性樹脂組成物粉体が得られる。粉砕処理方法は、特に制限されず、ミキサーや乳鉢で軽く粉砕する程度の手法で可能であり、摩砕機やボールミルなどから選択してよい。減圧乾燥をしない場合は、未硬化物が溶融しない温度で温風を流通させた回転ポットミル、ロータリキルンなどで乾燥と粉砕(粉体化)を効率的に行ってもよい。粉体の粒度は限定されないが、例えば、平均粒径が1μm~10mm、さらには10μm~1mmであってよい。
こうして得られる熱硬化性樹脂組成物粉体は、リグニン原料としてポリエチレングリコールで化学修飾された改質リグニンを用い、アルコール処理することで、重合させるエポキシ化合物との混合が均一(液相混合)かつ簡単に行われている。また、簡便な成型方法を妨げ、硬化体の物性を低下させる樹脂原料中の溶媒の除去が既に行われている。さらに、硬化直前の樹脂前駆体の形で保管可能であることで、エポキシ化合物との混合プロセスと硬化反応プロセスとを完全に分離し、プラスチック成型の現場で重合可能な樹脂原料粉体(現場重合型)である。
この熱硬化性樹脂組成物粉体は、アルコールの大部分又は全部を除去した改質リグニンとエポキシ化合物との未硬化混合物であり、エポキシ化合物の硬化温度には達していないため、成型・加熱硬化の直前までストックできる原料(保管可能な樹脂原料粉)であり、加熱混合と硬化のプロセスを別にできるため、プラスチック製造のプロセスを効率的にすることができる。
(熱硬化プラスチック成型体の製造方法)
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体を加熱することで、粉体は一旦溶融し、残留有機溶媒があれば除去され、ついで硬化させることにより、熱硬化プラスチック成型体を製造することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体を加熱すると、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化する。加熱は、通常、65~200℃、好適には80℃~150℃あるいは100℃~150℃、2~60時間程度から選ばれてよい。また、硬化反応を促進する触媒をあらかじめ混入した粉体を使うことで、特にプレス成型中に硬化を同時に行わせる場合など、数分程度の短い時間であってもよい場合もある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体を加熱すると、このように65~200℃、特に80℃~150℃、2~60時間程度の硬化処理で、HB以上、あるいはショア硬度50以上、好ましくはショア硬度70以上の硬度を有する熱硬化プラスチック成型体(熱硬化性プラスチックとも呼ばれる)を得ることができる。熱硬化プラスチックのショア硬度は、加熱硬化後のプラスチック試料に対し、プラスチック用デュロメータを使用して円錐状圧子(Dタイプ)を用いて測定することができる。本発明によれば、プラスチック成型体はリグニン含有率が90重量%のように高濃度においても、溶媒としてポリエチレングリコールを用いた従来品と同等の硬度(例えばショア硬度73)を有する優れた熱硬化プラスチックを得ることができた。
熱硬化性樹脂組成物粉体に含まれるアルコールの含有量が少なければ、従来方法で必要だった残留溶媒を除去する工程が短縮され、あるいは不要になるので、熱硬化前の加熱溶融の時間を短縮できるのみならず、溶融、成型、硬化等の工程管理が容易であり、さらに得られるプラスチック成型体の品質も向上できる。
本発明の1つの態様において、熱硬化性樹脂組成物粉体を、成型用型に充填した後に、再度加熱溶融し、任意に徐々に加熱温度を上げて加熱硬化させることで、熱硬化プラスチック成型体を製造することができる。
本発明のもう1つの態様において、熱硬化性樹脂組成物粉体を、そのまま成型用型に充填し、加熱加圧成型することで成型と加熱硬化を同時に行って熱硬化プラスチック成型体、例えば、熱硬化プラスチック板を製造することができる。
本発明のもう1つの態様において、熱硬化性樹脂組成物粉体を、繊維と混合又は組み合わせて、成型し、加熱硬化させることで、熱硬化プラスチック成型体を製造することができる。
ガラス繊維、炭素繊維、プロピレン繊維等の人工繊維を含むプラスチック成型体は、繊維強化プラスチック(FRP)成型体として知られている。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体(未反応混合物)は各種人工繊維に含浸してプリプレグを作製することが可能である。また、このプリプレグ、または、未反応混合物固体と人工繊維織物との積層体は、加熱成型により加工が可能である。熱硬化性樹脂を用いてプリプレグまたは未反応混合物固体/人工繊維織物積層体を用いることができることは、熱硬化性樹脂を使うFRPの作製において、典型的なハンドレイアップ法や真空含侵法に比べて、省プロセス性を有する。繊維構造物として、ガラス繊維、炭素繊維、ポリプロピレン繊維等が好適である。
本発明のもう1つの実施態様において、熱硬化性樹脂組成物粉体を他の機能性無機粉体と混合し、成型し、加熱硬化させることで、無機粉体の機能を付加した熱硬化プラスチック成型体を製造することができる。例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモンなどの難燃剤無機粉体と粉体どうしの簡単な混合後に加熱硬化させることで、難燃性プラスチックを容易に製造することができる。無機粉体の混入量は、その物質の密度と難燃性の効果にもよるが、重量比で0~90%、特に望ましくは、10~50%の範囲が好まれる。溶媒に高温で改質リグニンを溶かす先行技術では、無機粉体を溶解直後の粘性の高い樹脂液体に混合する必要があり、沈降や凝集のほか、粉体含有量の調整が困難などの課題があったが、本発明では、あらかじめ粉体同士での十分な均一混合をポットミルなどで室温で行うことで分散性が向上できる。
上記のようにして、本発明に従って熱硬化性樹脂組成物粉体を用いて加熱硬化させて製造された熱硬化プラスチックは、熱硬化プラスチックでありながら、再度加熱硬化温度と同等の温度まで加熱することで、熱可塑性を示すことが観察された。
本発明の熱硬化プラスチック成型体は、家電、自動車、OA機器用プラスチック部材として、さらには配管用シール材、接着シート等として、木質バイオマス資源の有効利用に供され得る。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下では、改質リグニンとして、分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加水溶媒分解法で得られたものを用いた。改質リグニンを溶かす溶媒として、市販のメタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、シクロヘキサノール、1―ヘキサノール(いずれも特級)を用い、エポキシ化合物としては市販のビスフェノールA型を用いた。
(参考例1)
メタノール、エタノール、1-プロパノールなどの各種アルコールにそれぞれ改質リグニン粉末を混合したところ、メタノールを除き室温では全く反応が起こらないが、70℃に加温すると改質リグニンは徐々に液状化し始めた。メタノールでは加温しなくても同様に液状化が始まった。流動性の上がった液状のものは次第に凝集し、アルコールと分離が始まった。室温まで冷却したところ、アルコールと分離した団子状の塊を得ることができた。エタノールを使って作製した団子状の塊について、以後詳細を検討した。団子状の塊に占めるアルコールの割合を投入した改質リグニンと回収した凝集後の改質リグニンとの重量差から求めたところ、アルコール含有量は約30重量%であった。例えば、改質リグニン49.99gから75.16gの団子状の塊が得られた。
図1にエタノールを用いた場合について様子を写真で示す。エタノールに改質リグニンを添加しても改質エタノールがエタノールに溶けないが(図1(a))、70℃のオイルバスで加温すると徐々に黒ずんで沈殿が生じ始め(図1(b))、ねっとりしたリグニンの団子状凝集物が得られ(図1(c))、エタノールの上澄みを除去すると、異性化されたリグニンの固形物を取り出すことが可能である(図1(d))。図2に、各種アルコールを用いた場合について同様の様子をまとめて写真で示す。
また、改質リグニンと、改質リグニンの団子状の塊のそれぞれについて、汎用の赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum 100)を用いて測定した赤外吸収分光チャートを図3に示すが、改質リグニンの団子状の塊のチャートでは、原料の改質リグニンの吸収とアルコール(エタノール)の吸収がそれぞれ観測され、凝集処理後の改質リグニンは基本化学構造に変化がないことが確認された。
(参考例2)
参考例1のうち、代表してエタノールを使ったものについて、残余のエタノールをデカンテーションにより除去して塊を取り出し、ビスフェノールAと改質リグニンとの重量比1:1で混合し、80℃程度で加熱したところ流動性の高い液状の混合物を数分で再び得ることができた。この液状の混合物をアルミニウム製の型に流し込み、120℃で一昼夜加熱すると、ショア硬度70の硬いエポキシ硬化物を得ることができた。
(参考例3)
参考例1と同様に作製したエタノールを含む改質リグニンの団子状の塊を改質リグニンとの重量比1:1でビスフェノールAと混合し、80℃で加熱し続けると、残留しているエタノールが徐々に蒸発し、徐々に流動性が下がって改質リグニンとビスフェノールAからなる固形混合物が得られた。この固形物のアルコール含有量は約1~5重量%であった。この固形物を一旦冷やして取り出し、その後アルミニウム製の型に入れ、120℃で一昼夜加熱すると、溶融した後に、アルミニウム型の形になってから硬化した。硬化した改質リグニン樹脂(エポキシ硬化物)は、赤外吸収分析の結果、図4(a)の波数700~1000cm-1付近の拡大チャートである図4(b)に見られるように、エポキシド基に基づく吸収(波数914cm-1)が顕著に減少しており、十分に硬化反応が進行したことを確認できた。また、エポキシ硬化物はデュロメータで測定して、ショア硬度70を有していた。
(実施例1)
参考例1と同様に作製したエタノールを含む改質リグニンの団子状の塊を改質リグニンとの重量比1:1でビスフェノールAと混合し(図5(a))、80℃で加熱し続けると、残留しているエタノールが徐々に蒸発し、徐々に流動性が下がって改質リグニンとビスフェノールAからなる固形混合物が得られた。この固形物をさらに80℃で油回転ポンプを使った真空デシケータ中で減圧乾燥させると固形混合物が発泡を伴って溶融し(図5(b))、エタノールがほぼ除去されると発泡が収まって固化し、発泡体の固形物ができた(図5(c))。この発泡体はもろく、乳鉢で容易に粉砕が可能で加熱硬化前の改質リグニン/エポキシ混合粉として得ることができた(図5(d))。この粉体も、参考例2と同様にアルミニウム型内で120℃で加熱することで、溶融した後に、型の形になって硬化した。図6に、粉体を鋳型に入れ(図6(a))、ホットプレートで110℃に加熱すると溶融して、型の形状になり(図6(b))、130℃で12時間の加熱後に型の形の硬化樹脂が得られた(図6(c))。
(実施例2)
実施例1と同様の手法で、改質リグニンとビスフェノールの比を改質リグニンが60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、100重量%となるように調整して実施したところ、改質リグニン含有率90重量%までは光沢感のある均質の樹脂(プラスチック)を得ることができ、ショア硬度は72~76にまで達した。改質リグニン95重量%以上になると、粒分が露出して均質性が失われた脆い樹脂となり硬度が低下した。ショア硬度はデュロメータによって測定した。図7(a)~(f)に、実施例2で作製された改質リグニンの混入率(図中に表示)が異なる熱硬化性樹脂組成物粉体から作製したプラスチックのそれぞれの写真を示す。
(比較例1~6)
比較のために、ビスフェノールAと無水フタル酸を使用した市販エポキシ樹脂(比較例1)、参考例1~3と同様にして、ビスフェノールA/改質リグニン=1.3(重量比)でPEG溶媒に溶解して作製したエポキシ硬化物(比較例2)、アクリル樹脂市販品(比較例3)、テフロン市販品(登録商標)(比較例4)、ポリエチレンテレフタレート(PET)市販品(比較例5)、ポリプロピレン(PP)市販品(比較例6)について、デュロメータで測定した。PET市販品(比較例5は、厚さ0.4mmの板を15枚重ねて測定し、PP市販品(比較例6)は厚さ1mmの板を7枚重ねて測定した。
それぞれのショア硬度は、84(比較例1)、72(比較例2)、76(比較例3)、54(比較例4)、73(比較例5)、54(比較例6)であった。比較例2の従来法では改質リグニンを増量してビスフェノールA/改質リグニンの重量比を1以下にすると、改質リグニンとビスフェノールAとの液相混合が十分進まず、硬化反応が不十分で極めて脆い固形物のみがえられ、硬度測定中に割れてしまい、測定不可能であった。
(実施例3)
実施例1と同様に作製した粉体を80℃で加熱して得られた液体をガラス繊維織物に染み込ませて、120℃で一昼夜加熱すると、ガラス繊維複合エポキシ硬化物が得られた。また、改質リグニンとビスフェノールAからなる固体混合物をガラス繊維織物に重ね、上から加熱プレスすると、ガラス繊維複合エポキシ硬化物が得られた。
(実施例4)
実施例1と同様にして作製したシート状の熱硬化改質リグニン樹脂成型体は、熱硬化していることが確認されたが、硬化後に120℃に加熱すると、シートを円筒状に変形することができ、室温に冷却すると円筒状のままで硬化した。したがって、この熱硬化改質リグニン樹脂成型体は、熱硬化プラスチックでありながら、熱可塑性を有していた。図8(a)(b)に、熱硬化性樹脂組成物粉体を熱硬化処理をして得られた樹脂シートの熱可塑性の状況を示す写真で示す。
(実施例5)
エタノールに代えて、メタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、シクロヘキサノール、1―ヘキサノールを用いて、実施例と同様に、改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体を作製し、熱硬化改質リグニン樹脂成型体を作製する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物粉体及び熱硬化プラスチック成型体は、家電、自動車、OA機器用プラスチック部材として、さらには配管用シール材、接着シート等として、木質バイオマス資源の有効利用に供され得る。

Claims (13)

  1. ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを含み、ロジン誘導体及びテルペンフェノール樹脂を含まず、改質リグニンとエポキシ化合物との硬化反応温度以下の温度における加熱によって液状化できる、熱硬化性樹脂組成物粉体。
  2. 現場重合型の熱硬化性樹脂組成物粉体である,請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
  3. さらに改質リグニンとエポキシ化合物とから得られるエポキシ樹脂の硬化反応温度より低い沸点を有するアルコールを含み、アルコールの含有量が5重量%以下である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
  4. アルコールを含まない、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体。
  5. ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを、改質リグニンとエポキシ化合物とから得られるエポキシ樹脂の硬化反応温度より低い沸点を有するアルコールで処理して液状化し、液状混合物中に凝集して得られるアルコール含有改質リグニン凝集体を残りのアルコール液体から分離して、アルコール含有改質リグニン固形物を作製し、該アルコール含有改質リグニン固形物をエポキシ化合物と加熱混合して改質リグニンとエポキシ化合物とアルコールを含む混合物とし、該混合物を乾燥処理してアルコールを除去又は減少させた後、粉砕して、改質リグニンとエポキシ化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物粉体を得ることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
  6. 乾燥処理を減圧及び昇温下で行う、請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
  7. 乾燥処理で前記混合物の残留アルコールの含有量を5重量%以下にする、請求項5又は6に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
  8. 乾燥処理で前記混合物中に残留アルコールを残さない、請求項5又は6に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体の製造方法。
  9. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、鋳型中で加熱溶融し、硬化して熱硬化プラスチック成型体を得ることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
  10. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、鋳型中に充填してそのまま加熱加圧成型し、加熱硬化して熱硬化プラスチック成型体を得ることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
  11. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、繊維と混合し又は繊維構造物と組み合わせて、成型し、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
  12. 前記熱硬化性樹脂組成物粉体を硬化温度以下で加熱溶融して繊維織物に含浸、冷却によりプリプレグを作製し、その後、任意の形状で加熱プレス硬化させる、請求項11に記載の熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
  13. 請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物粉体又は請求項5~8のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された熱硬化性樹脂組成物粉体を、無機粉体と混合し、成型し、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化プラスチック成型体の製造方法。
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