JP2012167192A - 熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
天然のセルロース系材料から特別な前処理を必要とせず簡単かつ効率よくリグノセルロースを膨潤及びアシル化することにより熱可塑化リグノセルロース複合材料を製造することが、本発明の課題である。
【解決手段】
本発明は、セルロースとリグニンを含むリグノセルロース材料をイオン液体を含有する溶媒を用いて膨潤する工程、前記膨潤したリグノセルロース材料とアシル化剤とを反応させる工程と、イオン液体を含有する溶媒を除去する工程を有することを特徴とする熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、特別な前処理を必要とせず簡単かつ効率よくリグノセルロースを膨潤・アシル化することにより熱可塑化リグノセルロース複合材料を製造する方法に関する。
木材などのリグノセルロース材料は優れた性能を有する天然複合材料である。今までそのマトリクスとするヘミセルロースとリグニン成分を抽出した後セルロースは製紙やセルロース誘導体の原料として利用されている。一方、天然木質材料の直接利用は建設材や家具などの分野に限られている。木材はプラスチックのように形が自由に制御できないことがその原因の一つである。木質材料はプラスチックのように自由自在に加工できればその利用活用は更に広がる。そのためには、マトリクスとする非結晶性セルロース、ヘミセルロースやリグニンに溶融性や熱加工性を付与しなければならない。熱可塑化木材に関する先行文献(非特許文献1から5)があったが、いずれも、熱可塑性と機械特性や熱特性などの性能を両立することはできない。
更に特許文献1では、同じイオン液体と有機溶媒の混合液体を用いてフェノール化リグノセルロースバイオマス複合材料の製造方法を開示された。フェノール化の目的はリグノセルロース原料の非結晶性又は低結晶性成分をフェノール樹脂のような熱硬化性成分に変換することである。反応機構はアシル化修飾反応と異なり、フェノールはリグニン又はセルロースのエーテル結合を切断しながら反応することであるため、得られた生成物の中の可溶化成分の分子量は相当低いため、単独として利用することができない。成形の時、伝統のフェノール樹脂と同様にホルマリンやエポキシと混合し、反応することにより熱硬化性樹脂を調製する。
特開2010−150323
Thermoplasticization of Wood. I. Benylation of Wood. Journal of Polymer Science: PartA: Polymer Chemistry, Vol. 27, 2457-2482 (1989) CHEMICAL MODIFICATION OF AGRO-FIBER FORTHERMOPLASTICIZATION. Second Pacific Rim Bio-Based CompositesSymposium. Vancouver, Canada November 6-9, 1994 Thermoplasticization of cellulose andwood by graft-copolymerization and acylation. ACS Symposium Series. Vol. 489,321-348. Thermoplaticization ofwood-esterification. ACS Symposium Series. Vol. 489, 118-132. Thermoplasticization of wood. 4.Esterfication. Abstracts of Papers of the American Chemical Society. Vol. 199.53-Cell.
本発明は、イオン液体を含有する溶媒を用いてリグノセルロースを、特別な前処理を必要とすることなく、膨潤とアシル化することにより非結晶性又は低結晶性の成分を熱可塑化すると共に高結晶性のセルロースナノファイバーを補強剤として維持することを特徴とする熱可塑化リグノセルロース複合材料製造方法を提供する。本発明によると、熱可塑性と機械特性や熱特性などの性能を両立するリグノセルロース複合材料を製造することができる。またイオン液体と有機溶媒の比率を制御することにより得られた熱可塑化リグノセルロース複合材料の中のセルロースナノファイバーの含有量とサイズを制御することができる。更にフェノール化木材と異なる、分子量の低下問題を避けることもできる。さらに反応に長時間を要し、均一反応が難しいという従来の問題点を解決し、低コストや低エネルギー的な方法を提供するものである。
本発明は、以下に示すような特徴を有する熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法に関するものである
(1)セルロースを含むリグノセルロース材料を下記〔化1〕化学式で表されるイオン液体を含有する溶媒を用いて膨潤する工程、前記膨潤したリグノセルロース材料とアシル化剤とを反応させる工程と、イオン液体を含有する溶媒を除去する工程を有することを特徴とする熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
Figure 2012167192

式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。Xはハロゲン又は炭素数1〜4までのカルボキシル基である。
(2)前記イオン液体を含有する溶媒に、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、アセトニトリル、ピリジンの中から選ばれる一つ以上の溶媒を含有することを特徴とする前記(1)に記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(3)前記イオン液体を含有する溶媒に、イオン液体の重量比は20〜95%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(4)前記アシル化剤はカルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、酢酸ビニルのいずれかの1つ以上であることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(5)前記膨潤したリグノセルロース材料とアシル化反応化剤との反応は、酸性又はアルカリ性触媒存在下で行なうことを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(6)前記アシル化剤のアルキル基の炭素数は1つ以上であることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(7)前記リグノセルロース材料を膨潤及びアシル化反応の後に解繊することを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(8)前記リグノセルロース材料はリグニンの含有量は0%から50%であることを特徴とする前記(1)から(7)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
(9)前記膨潤・アシル化反応させた後の反応混合物を水、アルコールなどの溶媒を用いて洗浄することを特徴とする前記(1)から(8)のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
本発明の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法では、特別な前処理を必要とせずリグノセルロース材料からセルロースナノファイバーを含有し、熱可塑性と機械特性や熱特性などの性能を両立できるリグノセルロース複合材料を製造することが出来る。本発明の製造方法により得られた熱可塑化リグノセルロース複合材料は通常のプラスチックの加工方法で成形することは可能であり、プラスチックの代替品として利用できる。例えば、電気製品の框体、自動車の内装材、汎用プラスチック製品などが挙げられる。
また、本発明の熱可塑化リグノセルロース複合材料は他のポリマーと混合することもできる。更に場合によって可塑剤を添加してから利用することもある。
実施例に用いた熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造プロセス。 実施例1得られたリグノセルロース複合材料の粉、シートの外観と偏光顕微鏡の映像。 実施例2で得られたリグノセルロース複合材料の粉、シートの外観と偏光顕微鏡の映像。 実施例3で得られたリグノセルロース複合材料の粉末、シートの外観と偏光顕微鏡の映像。 実施例1から3まで得られたリグノセルロース複合材料のIRスペクトル。 実施例1と3で調製したリグノセルロース複合材料のTMAカーブ。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明では、下記〔化1〕化学式で表させるイオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いて、リグノセルロース材料を膨潤、アシル化及び解繊させることによりセルロースナノファイバーを含む熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法を提供する。
Figure 2012167192

式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素1〜4のアルキル基である。Xはハロゲン又は炭素数1〜4までのカルボキシル基である。
これらのイオン液体としては、例えば、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、が挙げられる。イオン液体のみで繊維原料を処理することも出来るが、溶解力が高すぎでナノファイバーまで溶解してしまう恐れがある場合、有機溶媒を添加して使用することが好ましい。添加する有機溶媒種はイオン液体との相溶性、セルロースとの親和性、混合溶媒の溶解性、粘度などを考慮し適宜選択すればよいが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、メタノール、エタノールの内のいずれかの一つ以上を使用することが好ましい。これらの有機溶媒の共存によりイオン液体はセルロースナノファイバー間への浸透が促進されるが、ナノファイバーの結晶構造の破壊を防ぐことができる。そのため、非結晶性又は低結晶性成分をアシル化により熱可塑性を付与できるが、セルロースナノファイバーの結晶性や構造を維持できる。
有機溶媒の適切添加量はリグノセルロースの原料、イオン液体、有機溶媒などの種類に依存する。これらの影響因子に応じて適宜調整すればよい。しかし溶液中のイオン液体の含有量は重量比で20%未満の場合、膨潤・溶解能力は不十分となり十分な解繊が出来ない。処理溶媒の溶解力をより高くするためイオン液体含有量は20%以上であることがより好ましい。より好ましくは30%である。又、セルロースの場合にはイオン液体の比率は95%より大きくなるとナノファイバーまで溶解する恐れがあるため好ましくない。
本発明に使用するリグノセルロース材料の種類は特に限定されることはない。セルロースを含有する木質系や草系のバイオマス、製材工業の廃材、建築廃材、林業や農業の廃材などが挙げられる。
これらのリグノセルロース系バイオマス材料の形状は特に限定するものではないが、処理の容易さ及び溶媒の浸透促進の目的から、適宜粉砕してから用いるのがよい。例えば、0.1mmから数cmまでのサイズに粉砕すればよい。
上記のイオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いてリグノセルロース材料を膨潤、アシル化反応させる方法は、特に限定することではなく、公知な処理方法及び装置を使用することが出来る。例えば、リグノセルロース系物質をイオン液体含有の溶液に分散させ、攪拌下で原料を膨潤してからアシル化剤を添加し、反応することができる。反応温度や時間は公知なアシル化反応条件を利用することができるが、イオン液体の融点とリグノセルロース材料の分解温度を考慮すると30から150℃の温度範囲が好ましい。より好ましくは50から120℃である。反応時間は特に限定することではなく、リグノセルロースの原料種、イオン液体と有機溶媒の比率、反応温度などの因子に依存する。一般的には10分から500分の範囲は好ましい、より好ましくはが30分から300分である。
アシル化修飾率は、特に限定しないが、熱可塑性を付与するためリグノセルロース材料の全体の水酸基に対して30から90%の水酸基をアシル化することが好ましい。好ましくは50から85%である。30%より低くなると得られたリグノセルロース材料の熱可塑性と耐水性は悪いため好ましくない。また90%より大きくなるとセルロースナノファイバーの結晶構造を破壊する恐れがあるため好ましくない。
膨潤するための処理温度は特に限定するものではなく、繊維材料を膨潤しナノファイバー間の結合物を軟化・溶解できるための適切な温度を選択すればよいが、通常は20〜120℃がよい。20℃以下であると処理速度が低いと共に処理液の粘度が高いため、膨潤効果が低くなる。そのため、セルロースナノファイバーのサイズはばらつきの恐れがあるため好ましくない。120℃以上であるとナノファイバーまで溶解してしまい、ナノファイバーにダメージを与えると共にナノファイバーの含有率は低くなる傾向がある。
また、熱可塑化リグノセルロース複合材料の中のナノファイバーのサイズを制御するため、リファイナー、ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミルなどの処理により解繊を行なうことができる。これらのせん断力処理によりセルロースナノファイバーの均一性、分散性を更に改善することができる。
本発明でいうアシル化反応はリグノセルロース材料の非結晶性成分または低結晶成分、及びセルロースナノファイバーの表面の水酸基をアシル基で修飾することを指す。アシル化反応によって非結晶成分又は低結晶性成分の融点を低下し、熱加工性を付与することができる。
前記アシル化剤のアルキル基の炭素数は1から12の何れかの1つ以上であることが好ましい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アルキル基の炭素数は12以上であると反応性の低下や物性の低下の恐れがあるため好ましくない。
本発明のアシル化剤は特に限定することはないが、酸塩化物又は酸無水物であるものが好ましい。
酸塩化剤としては、例えば、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化オクタノイル、塩化ステアロイル、塩化ベンゾイル、パラトルエンスルホン酸クロライド等が挙げられる。なお、酸塩化物の反応においては、触媒として働くと同時に、副生物である酸性物質を中和する目的でアルカリ性化合物を添加してもよい。具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物やピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられるが、この限りではない。
また、酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族の酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の二塩基酸無水物が挙げられる。なお、酸無水物の反応においては触媒として、硫酸、塩酸、燐酸などの酸性触媒であるもの或いはトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を添加してもよい。
本発明におけるアシル化反応温度に関しては、何れにおいても120℃以下にて反応を行うことがリグノセルロース材料の熱分解を抑制できるので好ましい。
前記膨潤及びアシル化反応の後、水又はアルコールを用いて洗浄することによりリグノセルロース複合材料を固体として回収できる。即ち、水又はアルコール類等の溶媒に前記処理したリグノセルロース混合物を析出してから、同じ溶媒で洗浄することによりイオン液体、反応化剤、触媒、反応副生成物などの成分を除くことができる。
前記洗浄したリグノセルロース複合材料を乾燥させてから固体として回収できる。回収したリグノセルロース複合材料はそのまま後熱混練により加工成形させることがきるし、場合によりポリオリフィン、ポリ乳酸、ナイロンなどのポリマーと混合することも可能である。また可塑剤を添加し、加工性をさらに向上することもできる。
以下は実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。本発明ではリグノセルロース材料の解繊を促進するためにM TECHNIQUE社のクレアミックスホモジナイザーを用いた。回転速度は15000rpmである。処理時間は30分である。また本発明に用いたリグノセルロース原料は米松の木粉である。以下に実施例は図1にしめすプロセスで熱可塑化リグノセルロース複合材料を調製した。アシル化修飾率はFTIRでNICOLETのMAGNA−IR760 Spectrometerを用いた評価した。また、(株)リガクのThermo plus TMA8310を用いて、5℃/分の加熱速度、空気雰囲気でTMA分析を行ないました。曲げ強度は3点曲げ試験で評価した。
実施例1
米松の木材を粉砕機で平均径1mmの木粉に粉砕したもの10gを300mlの三つ口フラスコに入れ、それにN,N−ジメチルアセトアミド40gとイオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gを加えた。冷却管と攪拌機をつけてから、90℃で30分攪拌した後、無水酪酸45gを加えてから同じ温度で90分反応した。得られた反応混合液を室温まで冷却してからM TECHNIQUE社のクレアミックスを用いて解繊を行った。
解繊後、前記混合液を過剰の蒸留水に沈殿、濾過、洗浄によりリグノセルロース複合材料を粉末として回収した。回収した粉末を235℃で加圧成形によりシートに成形した。得られたシートの偏光顕微鏡映像は図2に示す。偏光顕微鏡映像からブチレート化木材が結晶性成分を有することを確認した。その結晶性成分はセルロースファイバーである。さらに得られたシートは平滑性と半透明性を有することはブチレート化処理した木材は熱可塑性を持つことを示唆した。また、その曲げ強度とTMAの分析結果は表1と図6に示す。TMAの分析結果から実施例1から得られた熱可塑化リグノセルロース複合材料の熱変形温度は200℃以上であることが分った。プチレート化修飾率はIR分析により評価され、結果は図5に示す。
実施例2
酪酸の代わりに無水酢酸を用いた以外は実施1と同様に実施した。得られたシートの偏光顕微鏡映像は図3に示す。偏光顕微鏡映像からアセチル化木材が結晶性成分を有することを確認した。また得られたシートは平滑性と半透明性を有することはアセチル化処理した木材は熱可塑性を持つことを示唆した。曲げ強度の分析結果は表1に示す。IRの分析結果は図5に示すように修飾率は実施例とほぼ同様であった。
実施例3
酪酸の代わりにヘキサン酸無水物を用いた以外は実施1と同様に実施した。得られたシートの偏光顕微鏡映像は図4に示す。偏光顕微鏡映像からヘキサノイル化木材が結晶性成分を有することを確認した。また得られたシートは平滑性と半透明性を有することはヘキサノイル化処理した木材は熱可塑性を持つことを示唆した。曲げ強度とTMA分析結果は図6と表1に示す。修飾率の評価結果は図5に示す。
〔表1〕実施例1と2で調製したリグノセルロース複合材料の曲げ強度
Figure 2012167192

比較例1
N,N−ジメチルアセトアミド40gとイオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gの混合液の代わりにN,N−ジメチルアセトアミド100gを用いた以外に実施例1と同様に米松粉末を膨潤、アシル化、解繊などの処理を行った。得られたリグノセルロース材料の粉を実施例と同様に250℃で加圧成形するとシートにならず。更にアシル化の不充分で耐熱性が低いため、焼けた木粉の様子が見られた。この結果からN,N−ジメチルアセトアミドで処理した木材の熱可塑性を持たないことが分った。原因はイオン液体が存在しない場合にアシル化剤は木材の細胞壁に浸透しにくいためリグノセルロース材料の解繊とアシル化反応が難しいためと思われる。
実施例の結果から以下のことが分った。
(1)木材の結晶性を維持して不定形成分のアシル誘導体化と熱可塑化することが可能であった。
(2)得られたアシル化リグノセルロース複合材料の寸法安定性が高いことはセルロースナノファイバーの補強効果を示唆した。
本発明は、特別な前処理を必要とせず木質バイオマス効率よく熱可塑性と物性を両立する熱可塑化リグノセルロース複合材料を製造することが出来る。本発明の製造方法により得られた熱可塑化リグノセルロース複合材料は電気製品の框体、自動車の内装材、汎用プラスチック、建築材として利用できる。
また、地球温暖化や環境汚染、さらに化石資源の枯渇やエネルギー問題が世界的に深刻化してきている中、熱可塑化リグノセルロース材料は、環境に優しい特性と再生資源の利用などの利点を生かして、多方面の材料分野でこれまで以上の応用展開が大きく期待できる。

Claims (9)

  1. セルロースを含むリグノセルロース材料を下記〔化1〕化学式で表されるイオン液体を含有する溶媒を用いて膨潤する工程、前記膨潤したリグノセルロースとアシル化剤とを反応させる工程と、イオン液体を含有する溶媒を除去する工程を有することを特徴とする熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
    Figure 2012167192

    式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。Xはハロゲン又は炭素数1〜4までのカルボキシル基である。
  2. 前記イオン液体を含有する溶媒に、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、アセトニトリル、ピリジンの中から選ばれる一つ以上の溶媒を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  3. 前記イオン液体を含有する溶媒に、イオン液体の重量比は20〜95%であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  4. 前記アシル化剤はカルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、酢酸ビニルのいずれかの1つ以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  5. 前記膨潤したリグノセルロース材料とアシル化反応化剤との反応は、酸性又はアルカリ性触媒存在下で行なうことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  6. 前記アシル化剤のアルキル基の炭素数は1つ以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  7. 前記リグノセルロース材料を膨潤及びアシル化反応の後に解繊することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  8. 前記リグノセルロース材料はリグニンの含有量は0%から50%であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
  9. 前記膨潤・アシル化反応させた後の反応混合物を水、アルコールなどの溶媒を用いて洗浄することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑化リグノセルロース複合材料の製造方法。
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