JP6775160B2 - 疎水化セルロース系繊維用の解繊助剤、それを使用する樹脂組成物の製造方法並びに成形体 - Google Patents
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Description
項1.
セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤であって、
下記一般式(1):
R1−CO−N(R2)−R3 (1)
(式中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素原子、若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示すか、又はR1とR3とが一緒になって炭素数3〜11のアルキレン基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数2〜4のアシル基を示す。)で表されるアミド化合物を主成分とする、解繊助剤。
項2.
前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、δ−バレロラクタム、N−メチル−δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記項1に記載の解繊助剤。
項3.
前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記項1に記載の解繊助剤。
項4.
前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びε−カプロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記項1に記載の解繊助剤。
項5.
前記解繊助剤が、さらに、タルク、クレイ、ゼオライト、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、酸化マグネシウム、マイカ、塩化リチウム、N−メチルモルホリンN−オキシド及び尿素からなる群から選ばれる少なくとも一種の解繊副剤を含む、上記項1〜4のいずれかに記載の解繊助剤。
項6.
前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、上記項1〜5のいずれかに記載の解繊助剤。
項7.
前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、炭素数2〜5のアシル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、上記項1〜5のいずれかに記載の解繊助剤。
項8.
前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、アセチル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、上記項1〜5のいずれかに記載の解繊助剤。
項9.
解繊助剤により解繊される疎水化セルロース系繊維集合体が植物由来のセルロース系繊維集合体である、上記項1〜8のいずれかに記載の解繊助剤。
項10.
解繊助剤により解繊される疎水化セルロース系繊維集合体が植物由来のリグノセルロース繊維集合体である、上記項1〜9のいずれかに記載の解繊助剤。
項11.
(1)上記項1〜10のいずれかに記載の解繊助剤を使用して、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊して、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維を製造する第一工程と、
(2)第一工程で得られたミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを混合する第二工程とを含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。
項12.
上記項1〜10のいずれかに記載の解繊助剤、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体、及び、樹脂を混合し、この混合操作中に上記項1〜10のいずれかに記載の疎水化セルロース系繊維集合体を解繊してミクロフィブリル化する工程を含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。
項13.
(1)上記項1〜10のいずれかに記載の解繊助剤、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体、及び樹脂を混合し、この混合操作中に前記疎水化セルロース系繊維集合体を解繊してミクロフィブリル化する第一工程と、
(2)第一工程で得られた、解繊助剤、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維及び樹脂の混合物から解繊助剤を除去する第二工程とを含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。
項14.
上記項11の第一工程若しくは第二工程、上記項12の工程、又は上記項13の第一工程において、さらに相溶化剤を混合する、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維、樹脂及び相溶化剤を含有する樹脂組成物の製造方法。
項15.
前記樹脂が、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂である、上記項11〜14のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
項16.
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート−ABSアロイ(PC−ABSアロイ)及び変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、上記項15に記載の樹脂組成物の製造方法。
項17.
上記項11〜16のいずれかに記載の製造方法により製造された樹脂組成物からなる成形体。
本明細書において使用する以下の用語は、それぞれ次の意味を有する。
Acl:アシル基
Alkyl:アルキル基
Ac:アセチル基
Bz:ベンゾイル基
LP:リグノパルプ
AcP:パルプにおけるセルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子がアセチル化されたパルプ
AcPF:植物由来のセルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子がアセチルされた繊維MFC:ミクロフィブリル化セルロース系繊維
Acyl(A)MFC:セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A)で表されるアシル基でアシル化され、かつ、ミクロフィブリル化された繊維
Alkyl(B)MFC:セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(B)で表される置換基を有することもあるアルキル基でアルキル化され、かつ、ミクロフィブリル化された繊維
本発明は、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基(以下、「アシル基(A)」という場合もある)、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基(以下、「置換基を有することもあるアルキル基(B)」ということもある)で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤であって、
下記一般式(1):
R1−CO−N(R2)−R3
(式中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素原子、若しくは炭素数1〜4アルキル基を示すか、又はR1とR3とが一緒になって炭素数3〜11のアルキレン基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数2〜4のアシル基を示す。)で表されるアミド化合物を主成分とする解繊助剤(以下、本発明の解繊助剤という)である。
以下、本件解繊原料について説明する。
以下、本件解繊原料(化学修飾セルロース系繊維集合体)の製造方法について説明する。
本件解繊原料の解繊は、本件解繊原料を本発明の解繊助剤と共に解繊用媒体(水若しくは水と水に可溶な有機溶媒との混合溶媒、又は化学修飾セルロース繊維及び複合すべき熱可塑性樹脂が不溶な有機溶媒)に加え、解繊用媒体中に本件解繊原料が分散した状態で攪拌、混練等の解繊処理をすることにより行うことができる。
(1)前記の本発明の解繊助剤を使用して前記の疎水化セルロース系繊維集合体(本件解繊原料)を解繊して、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維(化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、又は化学修飾MFCともいう)を製造する第一工程、及び
(2)第一工程で得られた化学修飾MFCと樹脂とを混合する第二工程
を含む、化学修飾MFCと樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法である。
(1)本発明の解繊助剤、疎水化セルロース系繊維集合体(前記の本件解繊原料)及び樹脂を混合し、この疎水化セルロース系繊維集合体(前記の本件解繊原料)を解繊してミクロフィブリル化する第一工程、及び
(2)第一工程で得られた、本発明の解繊助剤、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維(化学修飾MFC)、及び樹脂の混合物から解繊助剤を除去する第二工程
を含む、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維(化学修飾MFC)と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法である。
本発明の製造方法で製造した溶融混練組成物を用いて、本発明の成形体を製造することができる。成形体を製造する際には、溶融混練組成物を、例えば、ペレット状、粉末状、シート状、板状、フィルム状等の各種形状に加工したものを成形材料として使用することができる。
Ac:アセチル基
NBKP:針葉樹漂白クラフトパルプ
NUKP:針葉樹未漂白クラフトパルプ
TUKP:トドマツ由来の未漂白クラフトパルプ
AcNBKP:NBKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換されたNBKP
AcNUKP:NUKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換されたNUKP
AcTUKP:TUKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換されたTUKP
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
NMP:N−メチルピロリドン
AcMFNBKP:NBKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換され、かつ、ミクロフィブリル化された繊維
AcMFNUKP:NUKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換され、かつ、ミクロフィブリル化された繊維
AcMFTUKP:TUKP中の一部の水酸基の水素原子がアセチル基で置換され、かつ、ミクロフィブリル化された繊維
AO:酸化防止剤
・パス:二軸混練機に被混練物(試験材料)を供給し、混練機にかける回数を「パス」と呼ぶ。したがって、例えば、「1パス」は1回混練機にかけたことを意味し、「1パス目」は、最初に(1回目として)試験材料を混練にかけたことを意味し、「2パス目」は、1回混練機にかけた材料を次いで、2回目として混練機にかけたことを意味する。
・押出:混練機(押し出し機ともいう)に被処理物(試験材料)を供給し、混練処理を行うことを意味する。
・冷間:0〜約30℃の温度で処理することを意味する。
以下の実施例及び比較例において、原材料として以下のものを使用した。
(1)樹脂
・ポリプロピレン(以下、「PP」という):日本ポリプロ製、ノバテックMA04A、MI=40、ペレット
・ポリプロピレン粉(以下、「PP粉」という):日本ポリプロ製、ノバテックMA04A、MI=40、粉状
・ポリ乳酸粉砕物(以下、「PLA粉」という):ネイチャーワークス、ingeo i3251D:MI=80、粉砕物
・ポリアミド6粉砕物(以下、「PA6粉」という):ユニチカ製、A1020 LP、モル質量12000g/mol、粉砕物
・ポリアミド6ペレット(以下、「PA6ペレット」という):ユニチカ製、A1020BRL
・ポリアセタール粉(以下、「POM粉」という):三菱エンジアニリングプラスチックス製、ユピタールF30、MI=27
・高密度ポリエチレンペレット(以下、「HDPEペレット」という):旭化成製、サンテック J320、MI=12
なお、本明細書において、高密度ポリエチレン(HDPE)を単にPEと記載することもある。
(2)相溶化剤
・マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、「MAPP」という):東洋紡製、トーヨータックH1000P、MI=110、粉状
(3)解繊副剤
・クレイ:白石カルシウム製、ORBEN-M、ポリアミド用有機化処理済
・汎用タルク:日本タルク製、ミクロエースMSZ-C、平均粒径12.8μm、アミノ系表面処理済
(4)添加物
・酸化防止剤(以下「AO」という):BASF製、イルガノックス1010、フェノール系酸化防止剤
・二軸混練機:テクノベル製、スクリュ径φ15mm、L/D(スクリュ長さ(L)とスクリュ径(D)との比)45
・射出成形機:日精樹脂工業製、NPX 7型、型締め力7トン
(1)セルロース系繊維(以下、単に「繊維」と記載する。)の顕微鏡観察
繊維の状態、又は組成物中の繊維の解繊若しくは分散状態を、以下の偏光顕微鏡及び電子顕微鏡で観察した。
(a)観察用試料の作成
a-1) 繊維含有組成物(繊維、PP、MAPP及びPLA含有組成物)の試料
キシレンとテトラクロロエタンとを1/1の比率で混合した混合溶媒を用い、繊維含有組成物から樹脂成分(PP、MAPP及びPLA)を抽出して除去し、試料を作成した。具体的には、繊維含有組成物(PP/MAPP/PLA/AO/セルロース複合体)を上記混合溶媒に投入して140℃で2時間程度加熱し、樹脂成分を抽出して除去し、繊維を主成分とする抽出残渣を得た。これをエタノールで洗浄し、得られた繊維を銅板上に置き、乾燥した後、スパッタリング装置(JEOL SEC-3000FC オートファインコーター)を用いてプラチナコートし、これを観察用試料とした。
N-メチルピロリドン(NMP)とキシレンとを順次用いて、繊維含有組成物から樹脂成分(PP、MAPP及びPA6)を抽出して除去し、試料を作成した。具体的には、まず、繊維、PP、MAPP、PA6及びAOを含むセルロース複合体をNMPに投入して190℃で2時間程度加熱し、PA6を抽出して除去した。次に、PA6が除去された組成物をキシレンに投入し、140℃で2時間程度加熱し、PPを抽出して除去し、繊維を主成分とする抽出残渣を得た。これをエタノールで洗浄し、得られた繊維を上記と同様にしてプラチナコートし、これを観察用試料とした。
繊維含有組成物(繊維、PE、MAPP及びPLA含有組成物)については、上記a-1)と同様の操作で処理し、観察用試料を作成した。
(a) 観察用試料の作成
(i) 繊維含有組成物より約2mm角の試験片を切り出した。
(ii)スライドグラス上に試験片をのせ、その上にカバーグラスを載せた。
(iii)220〜250℃に加熱したプレス機で加圧し、試験片を薄片化した。
(iv)薄片化したサンプルを氷水につけて急冷し、観察用試料を得た。
得られた観察用試料について、観察装置(システム偏光顕微鏡 OLYMPUS BX51)で、クロスニコル、温度23℃、相対湿度50%で観察した。
・試験片(成形体)の製造方法
射出成形機(日精樹脂工業製、NPX 7型、型締め力7トン)を用いて短冊形試験片(10×80×4mm)を作製した。射出成型機のシリンダー温度を、170℃(供給部)〜190℃(計量部)として樹脂組成物を融解し、温度35℃の金型に射出して成形体を調製した。得られた試験片を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下に2日間静置したのちに試験した。
試験片について、万能試験機(島津製作所製AG5000E型)を用いて強度試験を行った。試験条件は支点間距離64mm、試験速度10mm/minとして試験した。
・使用パルプ:針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)
日本製紙(株)製のNUKPをリファイナー処理してその濾水度(CSF)を105mlとした。このリファイナー済NUKPを抄紙してシート状NUKP(厚さ約0.2mm)を調製した。NUKPの成分(質量%):セルロース(78.3%)、ヘミセルロース(11.3%)、リグニン(10.4%)。
・AcNUKPの製造方法:上記NUKP(固形分として1620g、含水率15.07質量%)に酢酸カリウム15.3g及び無水酢酸2846mlを加え、100℃で6時間反応させた。反応混合物を50℃まで冷却し、デカンテーションにより液体を取り除いた後、減圧下、60℃で無水酢酸及び酢酸を留去した。50℃で26時間減圧乾燥して乾燥重量1990gのAcNUKPを得た。このAcNUKPのDSは、0.89であった。
・使用パルプ:トドマツ由来未漂白クラフトパルプ(TUKP)
日本製紙(株)製TUKPをリファイナー処理し、濾水度(CSF)が255mlのTUKPとし、これを抄紙して厚さ約0.2mmのシート状TUKPを得た。TUKP成分(質量%):セルロース(84.3%)、ヘミセルロース(13.7%)、リグニン(2%)。固形分含有量74質量%。
・AcTUKPの製造方法:上記シート状TUKP(固形分含有量2400g)に無水酢酸5600gを加え、120℃で5時間反応させた。反応混合物を50℃まで冷却し、デカンテーションにより液体を取り除いた後、減圧下60℃に加熱して無水酢酸及び酢酸を留去した。乾燥して乾燥重量で2200gのシート状AcTUKPを得た。このAcTUKPのDSは、0.59であった。このAcTUKPを、後述する解繊試験に使用した。
実施例1の製造方法を説明する模式図を図2に示す。なお、図2において、ラクタムはεカプロラクタムを示している。
(1パス目:冷間押出)
組成比が、AcNUKP(ロット番号(3)T008)/εカプロラクタム/水/AO=(2.27+10)/30/40/1の混合物を、シリンダーを水冷した二軸混練機を用いて冷間押出を行った。
(2.27+10):混合物の全質量中に占めるAcNUKPの質量割合を表記したものである。
ここで、上記(2.27+10)における2.27は、混合物の全質量中に占めるAcNUKPのアセチル基(Ac)の質量割合(これはAcNUKPのDS値から算出される)を意味する。また、上記(2.27+10)における10は、混合物の全質量中の繊維成分(すなわち、セルロース+ヘミセルロース)の質量割合を意味する。したがって、2.27+10=12.27が、混合物の全質量中に占めるAcNUKPの質量割合である。
30:混合物の全質量中のεカプロラクタムの質量割合
40:混合物の全質量中の水の質量割合
1:混合物の全質量中のAOの質量割合
押出機シリンダーを70℃(供給部、本明細書では「上流部」ということもある)〜130℃(計量部、本明細書では「下流部」ということもある)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に、1パスした混合物を通すことにより脱水押出を行った。2パス目押出後の混合物の組成は、AcNUKP/(εカプロラクタム+水)/AO=(2.27+10)/33.52/1(合計全質量部:46.79)であった。
2パスした混合物にPLA粉を添加し、PLA/2パス混合物=20/46.79混合物を調製し、PLAが融解するシリンダー温度(160℃)にて二軸混練機によるPLAとの溶融混練を行った。押出後の組成は、PLA/AcNUKP/(εカプロラクタム+水)/AO=20/(2.27+10)/14.32/1(合計全質量部:47.59)であった。
3パスした混合物にPP及びMAPPを添加し、組成比がPP/MAPP/3パス混合物=57.73/10/47.59の混合物を調製して、全ての混合樹脂が溶融するシリンダー温度(180-190℃)にて二軸混練機による溶融混練を行った。そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた組成物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/AO=57.73/10/20/(2.27+10)/1であった。
実施例2の製造方法を説明する模式図を図4に示す。
(1パス目:冷間押出)
組成比がAcNUKP(ロット番号(4)T001)/εカプロラクタム/水/AO=(3.96+10)/30/40/1の混合物を、シリンダーを水冷した二軸混練機を用いて冷間押出を行った。
押出機シリンダーを70℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に、1パスした混合物を通すことにより脱水押出を行った。2パス目押出後の混合物の組成比は、AcNUKP/(εカプロラクタム+水)/AO=(3.96+10)/32.93/1(合計全質量部:47.89)であった。
2パスした混合物にPLA粉を添加し、組成比がPLA/2パス混合物=20/47.89の混合物を調製し、PLAが融解するシリンダー温度(150-160℃)にて二軸混練機による溶融混練を行った。押出後の組成物の組成比は、PLA/AcNUKP/(εカプロラクタム+水)/AO=20/(3.96+10)/7.02/1(合計全質量部:41.98)であった。
組成比がPP/クレイ=51.04/5(組成物合計質量部:56.04)の混合物を二軸混練(シリンダー温度170℃)であらかじめ混練しておいて、PP/クレイ混合物と、MAPP及び上記の3パスした混合物とを、(PP/クレイ混合物)/MAPP/(3パス混合物)=56.04/10/41.98の組成比にて、二軸混練機(シリンダー温度180-190℃)で溶融混練した。そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた組成物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/クレイ/AO=51.04/10/20/(3.96+10)/5/1であった。
市販ペレット状PPを、射出成形機(日精樹脂工業製、NPX7型、型締め力7トン)によりシリンダー温度190℃にて成形体(幅10mm×長さ80mm×厚み4mm)に加工した。
PP粉、PLA粉、MAPP及びAOを、PP/PLA粉/MAPP/AO=70/20/10/1の組成比にて混合し、二軸混練機(φ15mm、L/D45:テクノベル製)を用いて、混練シリンダー設定温度を170℃として溶融混練した。得られた組成物を前記と同様の方法で射出成形体に加工した。
イソプロピルアルコール(IPA)中でAcNUKP(ロット番号(1)EY262)をスラリー化し、そこにPLA粉及びMAPPを添加した。その後、撹拌し、ろ過することにより、ろ過ケーキを得た。これを撹拌乾燥機(TX5:井上製作所製、内容量5L)にAOとともに投入し、撹拌乾燥した。得られた混合物の組成比は、PLA粉/MAPP/AcNUKP/AO=20/10/(3.5+10)/1であった。この混合物を「粉MB1」と呼ぶ。粉MB1とPPとを、PP/粉MB1=56.5/44.5の比率で混合し、二軸混練機を用いて、シリンダー設定温度を170℃として溶融混練した。得られた溶融混練物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/AO=56.5/10/20/(3.5+10)/1であった。
イソプロピルアルコール(IPA)中にてAcNUKP(ロット番号(1)EY262)をスラリー化し、PLA粉を添加した。その後、撹拌し、ろ過することにより、ろ過ケーキを得た。これを撹拌乾燥機(TX5:井上製作所製、内容量5L)にAOとともに投入し撹拌乾燥した。得られた混合物の組成比は、PLA粉/AcNUKP/AO=20/(3.4+10)/1であった。この混合物を「粉MB2」と呼ぶ。粉MB2を、二軸混練機を用いて、シリンダー設定温度160℃で溶融混練し、溶融混練物(「MB2」と呼ぶ)を得た。PP、MAPP及びMB2をPP/MAPP/MB2=56.6/10/34.4の比率で混合し、二軸混練機を用いて、シリンダー設定温度180℃で溶融混練した。得られた溶融混練物の組成比は、比較例3と同じく、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/AO=56.5/10/20/(3.5+10)/1である。なお、この組成比は、前述の実施例1と同じである。
イソプロピルアルコール(IPA)中にてAcNUKP(ロット番号(2)NT297)をスラリー化し、PLA粉を添加した。その後、撹拌し、ろ過することにより、ろ過ケーキを得た。これを撹拌乾燥機(TX5:井上製作所製、内容量5L)にAOとともに投入し撹拌乾燥した。得られた組成物の組成比は、PLA粉/Ac-NUKP/AO=20/(3.5+10)/1であった、この混合物を「粉MB3」と呼ぶ。粉MB3を、二軸混練機を用いて、シリンダー設定温度160℃で溶融混練し、混練組成物(これを、「MB3」と呼ぶ)を得た。
上記実施例2においてεカプロラクタム及びクレイを使用して調製した組成物の成形体では、飛躍的に曲げ特性、及び、樹脂中でのミクロフィブリル化したAcNUKPの分散性の向上がみられことから、実施例3では、樹脂組成物の含有割合は変えずに、実施例2の製造プロセスについて検討した。
(1パス目:脱水押出)
AcNUKP(ロット番号(5)T011)/PLA粉/εカプロラクタム/水/AOの混合比が(3.1+10)/20/20/40/1の混合物を、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。押出機のシリンダー温度は80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱した。この加熱温度はPLAの融点(約160℃)よりも低温であるが、PLAがεカプロラクタムにより膨潤され、その他の組成成分と混練され、一体化した状態で吐出された。
押出機シリンダーを80℃に設定した二軸混練機に、上記の1パスした混合物を通すことにより混練押出を行った。上記の1パス目に水が大体取り除かれ、2パス目では、εカプロラクタムとPLAの膨潤物とその他の組成成分とが混練された。
上記の2パスした混合物を、PLAが融解するシリンダー温度160℃にて二軸混練機にで溶融混練した。押出後の組成物の組成比は、AcNUKP/PLA粉/(εカプロラクタム+水)/AO=(3.1+10)/20/5.8/1(組成物合計質量部:39.9)であった。
予めPP/MAPP/クレイ=51.9/10/5(合計質量部:66.9)の組成にて二軸混練(シリンダー温度170℃)して得られたPP/MAPP/クレイ混練物及び上記の3パス済の混練物を、組成比(PP/MAPP/クレイ)/(3パス済混練物)=66.9/39.9にて二軸混練機(シリンダー温度180℃-190℃)で溶融混練した。そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた混練物の最終組成比は、実施例2と同様のPP/MAPP/PLA/AcNUKP/クレイ/AO=51.9/10/20/(3.1+10)/5/1であった。
図10に実施例4の製造方法を示す。この製造方法は、実施例3において、解繊副剤としてのクレイを汎用タルク(ミクロエースMSZ-C:日本タルク製、平均粒径12.8μm、アミノ系表面処理済、以下、単にタルクと記載する)に変更した以外は、実施例3と同様である。
組成比がAcNUKP(ロット番号(6)T014)/PLA粉/εカプロラクタム/水/AO=(3.07+10)/20/20/40/1の混合物を、押出機シリンダー設定温度が80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱させて、かつ、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。
シリンダー温度を80℃に設定した二軸混練機に、上記1パス済の混合物を通すことにより混練押出を行った。上記の1パス目に水が大体取り除かれ、2パス目では、εカプロラクタムとPLAの膨潤物とその他の組成物とが混練された。
上記2パス済の混合物を、PLAが融解するシリンダー温度(160℃)に設定した二軸混練機で溶融混練を行った。押出後の混練物の成分組成比は、AcNUKP/PLA粉/εカプロラクタム+水/AO=(3.07+10)/20/3.77/1(混練物合計質量部:37.84)であった。
成分組成比PP/MAPP/タルク=51.93/10/5(合計66.93)の組成にて二軸混練(シリンダー温度170℃)で予め混練して得られたPP/MAPP/タルク混練物及び上記の3パス済の混練物を、(PP/MAPP/タルク)/3パス混練物=66.93/37.84の組成比にて二軸混練(シリンダー温度180℃)を行った。そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた混練組成物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/タルク/AO=51.93/10/20/(3.07+10)/5/1であった。
実施例3において、押出機1パス目に脱水を行い、2パス目においてεカプロラクタム/PLA膨潤混練が効果的であること、実施例4では汎用タルクがクレイ以上の補強効果を示すことが示唆された。そこで、さらなる物性改善及び製造工程の簡略化を目指し、下記実施例5を実施した。
原材料混合物(スタート材料)の調製:
AcNUKP(ロット番号(7)TO25、DS0.64)を水中でスラリー化し、ろ過した後、εカプロラクタム、PLA粉、MAPP、タルク及びAOを添加し、家庭用ミキサーにより、組成比AcNUKP/PLA/MAPP/タルク/εカプロラクタム/水/AO=(3.01+10)/20/10/5/20/40/1の混合物を作製した。実施例5及び6においては、この混合物をスタート材料として最初の工程に使用した。
上記の原材料混合物を、シリンダーを80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。上記加熱温度は、PLAの融点(約160℃)よりも低温であるが、PLAがεカプロラクタムにより膨潤されて、原材料混合物が混練されて一体化した状態で吐出された。
シリンダーを80℃に設定した二軸混練機に、1パスした混合物を通すことにより混練押出を行った。1パス目に水が大体取り除かれεカプロラクタムとPLAの膨潤物により、それ以外の材料が混練された。
上記の2パス済の混練物をPLAが融解するシリンダー温度160℃にて二軸混練機による溶融混練を行った。押出後の組成は、AcNUKP/PLA/MAPP/タルク/εカプロラクタム+水/AO=(3.01+10)/20/10/5/19.36/1(組成合計質量部:68.37)であった。
上記の3パス済の溶融混練物にPPを混合し、組成物混合比が、(上記3パス済の混合物)/PP=68.37/51.99の混合物とし、これを二軸混練機で溶融混練した(シリンダー温度180℃)。そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた樹脂組成物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/タルク/AO=51.99/10/20/(3.01+10)/5/1であった。
図14に実施例6の製造方法を説明する模式図を示す。
(1パス目:脱水押出)
実施例5と同様にして調製した、組成比が、AcNUKP(ロット番号(7)T025)/PLA/MAPP/タルク/εカプロラクタム/水/AO=(3.01+10)/20/10/5/20/40/1の混合物を、シリンダー温度を80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。PLAの融点(約160℃)よりも低温であるが、PLAがεカプロラクタムにより膨潤され、上記混合物が混練され一体化した状態で吐出された。
シリンダー温度を80℃に設定した二軸混練機に、上記1パス混合物を通すことにより混練押出を行った。1パス目に水が大体取り除かれ。2パス後の混練物の組成比は、AcNUKP/PLA/MAPP/タルク/(εカプロラクタム+水)/AO=(3.01+10)/20/10/5/20.36/1(組成合計質量部:69.37)であった。
上記2パス済の混練物にPPを加えて、組成比が、(上記2パス済混練物)/PP=69.37/51.99の混合物とし、これを二軸混練機で溶融混練(シリンダー温度180℃)し、そして、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた樹脂組成物の組成は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/タルク/AO=51.99/10/20/(3.01+10)/5/1であった。
実施例7では、PLAの代わりにPA6を用い、化学修飾MFC、PA6及びPPを含有する樹脂組成物の製造を行った。使用材料は、前記の通りである。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、シリンダー設定温度を80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。
シリンダーを130℃(上流部)〜180℃(下流部)に傾斜加熱した二軸混練機に、上記1パス済の混合物を通すことにより混練押出を行った。1パス目に水が大体取り除かれ、εカプロラクタムとPA6の膨潤物により、それ以外の材料が混練された。
得られた2パス済の混練物を、シリンダー温度が170〜180℃の二軸混練機で溶融混練した。混練後の組成比は、AcNUKP/PA6/MAPP/εカプロラクタム+水/AO=(3.1+10)/20/10/6.72/1(組成合計質量部:50.82)であった。
得られた3パス済の混練物にPPを混合し、(3パス済混合物)/PP=50.82/56.9の組成物を調製し、シリンダー温度180℃〜190℃で二軸混練を行い、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くために真空ベントにより脱気を行った。得られた樹脂組成物の組成比は、PP/MAPP/PA6/AcNUKP/AO=56.9/10/20/(3.01+10)/1であった。
実施例8の製造方法は、実施例6で使用したPLAの代わりにPA6を用いた以外は、実施例6と同様である。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、混練機シリンダーを80℃(上流部)〜180℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。上記の設定温度はPA6の融点(約225℃)よりも低温であるが、PA6がεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料の混合物が混練され、一体化した状態で吐出された。
混練機シリンダーを155℃に設定した二軸混練機に、上記1パス済の混練物を通して、混練押出を行った。上記1パス目では水が大体取り除かれ、εカプロラクタムとPA6との膨潤物及びその他の成分が混練されたが、2パス目では残存する水及びεカプロラクタムが排出された。2パス後の混練物の組成比は、AcNUKP/PA6/MAPP/タルク/(εカプロラクタム+水)/AO=(3.15+10)/20/10/5/12.94/1(組成合計質量部は62.09)であった。
上記2パス済の混練物にPPを混合し、(2パス混合物)/PP=62.09/51.85の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度200℃の二軸混練機で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、PP/MAPP/PA6/AcNUKP/タルク/AO=51.85/10/20/(3.15+10)/5/1であった。
市販のPA6ペレットをそのまま使用し、射出成型機のシリンダー温度を230℃とし、あとは前記と同様にして射出成形体に加工した。
イソプロピルアルコール(IPA)中にてAcNBKP(ロット番号(8)Mb-c73-77)をスラリー化し、PA6粉、MAPP及びPP粉を添加した。その後、撹拌し、ろ過して、ろ過ケーキを得た。これを撹拌乾燥機(TX5:井上製作所製、内容量5L)に投入し、撹拌乾燥して組成比がPA6粉/MAPP/PP粉/AcNBKP=10/10/1.6/(1.73+10)の混合物(これを「粉MB4」という)を得た。粉MB4、PP及びPA6粉を、PP/PA6粉/粉MB4=56.1/9.9/33の比率で混合し、シリンダー温度を170℃に設定した二軸混練機を用いて溶融混練した。このように全ての原材料を一括して混合して調製した混合物を二軸混練機で溶融混練した。得られた混練物の組成比は、PP/MAPP/PA6/AcNBKP=57.7/10/20/(1.73+10)であった。
解繊助剤(εカプロラクタム)を使用しないこと以外は実施例2と同様にして、AcNUKPと熱可塑性樹脂(PP及びPLA)を含有する溶融混練組成物及びそれからなる成形体を製造した。
AcNUKP(ロット番号(10)NT298)/水/AO=(3.86+10)/40/1混合物を、シリンダーを水冷した二軸混練機を用いて冷間押出を行った。
押出機シリンダーを70℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に、1パスした混合物を通すことにより脱水押出を行った。2パス目押出後の混合物の組成は、AcNUKP/水/AO=(3.86+10)/0/1(合計全質量部14.86)であった。
2パスした混合物にPLA粉を添加し、組成比がPLA/2パス混合物=20/14.86の混合物を調製し、PLAが融解するシリンダー温度(150-160℃)にて二軸混練機による溶融混練を行った。押出後の組成比は、PLA/AcNUKP/水/AO=20/(3.86+10)/0/1(合計全質量部:34.86)であった。
組成比がPP/クレイ=51.14/5(組成物合計質量部:56.14)の混合物を二軸混練(シリンダー温度170℃)であらかじめ混練してPP/クレイ混練物を得た。この混練物、MAPP及び3パスした混合物を、(PP/クレイ混練物)/MAPP/(3パス混合物)=56.14/10/34.86の組成比にて二軸混練(シリンダー温度180℃)で溶融混練した。そして、残存する水を除くために真空ベントにより脱気を行った。得られた組成物の組成比は、PP/MAPP/PLA/AcNUKP/クレイ/AO=51.14/10/20/(3.86+10)/5/1であった。
実施例9の製造方法は、樹脂として実施例8で使用したPA6を使用しないこと、及び化学修飾パルプとしてAcNUKPの代わりにAcTUKPを使用したこと以外は、実施例8と同様である。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、混練機シリンダーを90℃(上流部)〜150℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。上記の設定温度はMAPPの加工温度として低温であるが、MAPPがεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料の混合物が混練され、一体化した状態で吐出された。
混練機シリンダーを130℃に設定した二軸混練機に、上記1パス済の混練物を通して、混練押出を行った。上記1パス目では水が大体取り除かれ、εカプロラクタムとMAPPとの膨潤物及びその他の成分が混練されたが、2パス目では残存する水及びεカプロラクタムが排出された。2パス後の混練物の組成比は、AcTUKP/MAPP/タルク/(εカプロラクタム+水)/AO=(2.13+10)/10/5/17.38/1(組成合計質量部は45.51)であった。
上記2パス済の混練物にPPを混合し、(2パス混合物)/PP=45.51/72.87の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度180℃の二軸混練機で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、PP/MAPP/AcTUKP/タルク/AO=72.87/10/(2.13+10)/5/1であった。
AcNBKP(ロット番号(12) Mb-c6-3)/PP/MAPP=(1.51+10)/78.49/10の組成比にて混合し、二軸混練機を用いて、混練シリンダー設定温度を170℃として溶融混練した。
一方、実施例9の偏光顕微鏡観察像(図24)と、比較例9に示す組成(εカプロラクタムを使用しないで製造した組成物)の偏光顕微鏡観察像(図25)とを比較すると、実施例9の観察像の方が、繊維の分散性が向上していることが観察された。これより、解繊助剤としてεカプロラクタムを使用して作製した実施例9の組成物における繊維の分散性は、通常の混練法で作製した組成物(比較例9)のそれよりも優れていることが確認された。
実施例10の製造方法を説明する模式図を図26に示す。
(1パス目:εカプロラクタム/PA6混合物の混練)
上記のスタート材料を、混練機シリンダーを165℃に設定した二軸混練機に通すことにより混練押出を行った。この設定温度はPA6の加工温度として低温であるが、PA6がεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料の混合物が混練され、一体化した状態で吐出された。混練物の組成比は、AcTUKP/PA6/εカプロラクタム=(1.41+10)/21.92/10(組成合計質量部は43.33)であった。これを50℃の温水で洗浄してεカプロラクタムを除去した。
上記1パス洗浄済の混練物にPA6を混合し、(1パス洗浄済混合物)/PA6=33.33/66.66の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度200〜215℃の二軸混練機で溶融混練した。得られた溶融混練物の組成比は、PA6/AcTUKP=88.59/11.41である。
出発材料として非含水AcTUKP及びPA6とを、AcTUKP(ロット番号(13)日本製紙株式会社製)/PA6=(1.41+10)/21.92の組成比にて混合し、二軸混練機の混練シリンダー設定温度を200℃として溶融混練した。これをPA6で3倍に希釈し混練して、溶融混練物(組成比PA6/AcTUKP=88.59/11.41、セルロース繊維として10%を含有)を得た。
実施例11の製造方法は、実施例9の製造方法と比べて、MAPP及びPPの代わりにPOMを使用すること、そして、AO及びタルクを使用しない点が異なる。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、混練機シリンダーを90℃(上流部)〜140℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。この工程でPOMがεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料の混合物が混練されて一体化した状態で吐出された。
混練機シリンダーを140℃に設定した二軸混練機に、上記1パス済の混練物を通して、混練押出を行った。上記1パス目では水が大体取り除かれたが、2パス目では残存する水及びεカプロラクタムが排出された。2パス後の混練物の組成比は、AcTUKP/POM/(εカプロラクタム+水)=(2.1+10)/21.23/19.81(組成合計質量部は53.14)であった。
上記2パス済の混練物にPOMを混合し、(2パス混合物)/PP=53.14/66.66の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度160〜170℃に傾斜加熱された二軸混練機で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、POM/AcTUKP=87.89/(2.1+10)であった。
AcTUKP(ロット番号(15)T073)/POM=(1.97+10)/88.02の組成比にて、AcTUKP及びPOMを混合し、二軸混練機を用いて、混練シリンダー設定温度を160〜170℃に設定し溶融混練した。
化学修飾パルプとして、AcTUKP(ロット番号(11)T081)の代わりにAcTUKP(ロット番号(15)T073)を用いるほかは、実施例9と同様のスタート材料を用いた。そして、3パス目でPPの代わりに高密度ポリエチレン(HDPE)を用いる以外は、実施例9と同様の工程で、実施例12の組成物を製造した。
(1パス目:脱水押出)
スタート材料として、混合比が、AcTUKP(ロット番号(15)T073)/MAPP/タルク/εカプロラクタム/水/AO=(1.97+10)/10/5/20/25/1の混合物を使用した。このスタート材料を、実施例9と同一の温度条件でベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。MAPPがεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料が混練されて一体化した状態で吐出された。
上記1パス済の混練物を実施例9と同一の条件で二軸混練機に通して混練押出を行い、混練物中の水及びεカプロラクタムを排出した。2パス後の混練物の組成比は、AcTUKP/MAPP/タルク/(εカプロラクタム+水)/AO=(1.97+10)/10/5/17.25/1(組成合計質量部は45.22)であった。
上記2パス済の混練物にHDPEを混合し、(2パス済混合物)/HDPE=45.22/73.03の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度140℃の二軸混練機で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、HDPE/MAPP/AcTUKP/タルク/AO=73.03/10/(1.97+10)/5/1であった。
スタート材料の各成分を、AcTUKP(ロット番号(15)T073)/HDPE/MAPP/タルク/AO=(1.97+10)/72.03/10/5/1の組成比にて混合し、二軸混練機を用いて、混練シリンダー設定温度を140℃として溶融混練した。
実施例12の場合と同様の工程で、タルクを含まない高密度ポリエチレン(HDPE)組成物を調製した。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、実施例12と同一温度条件でベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。
実施例12と同一条件で上記1パス済の混練物を通して、混練押出を行った。2パス後の混練物の組成比は、AcTUKP/MAPP/(εカプロラクタム+水)/AO=(2.1+10)/10/17.85/1(組成合計質量部は40.95)であった。
上記2パス済の混練物にHDPEを混合し、(2パス混合物)/HDPE=40.95/77.9の組成比の混合物とし、これを実施例12と同一条件で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、HDPE/MAPP/AcTUKP/AO=77.9/10/(2.1+10)/1であった。
実施例12のスタート材料にPLAを添加したものを実施例14のスタート材料とし、実施例12と類似の操作で、樹脂としてPLAと高密度ポリエチレン(HDPE)を含む樹脂組成物を製造した。
(1パス目:脱水押出)
上記のスタート材料を、混練機シリンダーを80℃(上流部)〜130℃(下流部)に傾斜加熱し、ベントを設けた二軸混練機に通すことにより脱水押出を行った。上記の設定温度はPLAの加工温度として低温であるが、PLAがεカプロラクタムにより膨潤され、上記スタート材料の混合物が混練され、一体化した状態で吐出された。
混練機シリンダーを80℃に設定した二軸混練機に、上記1パス済の混練物を投入し混練押出を行った。2パス目では残存する水及びεカプロラクタムが排出された。2パス後の混練物の組成比は、AcTUKP/MAPP/PLA/タルク/(εカプロラクタム+水)/AO=(2.13+10)/10/20/5/17.77/1(組成合計質量部は65.9)であった。
上記2パス済の混練物にHDPEを混合し、(2パス混合物)/HDPE=65.9/52.87の組成比の混合物とし、これをシリンダー温度180℃の二軸混練機で溶融混練し、残存する水及びεカプロラクタムを取り除くため、真空ベントにより脱気を行った。得られた溶融混練物の組成比は、HDPE/MAPP/PLA/AcTUKP/タルク/AO=52.87/10/20/(2.13+10)/5/1であった。
有機溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、アセトン、及びイソプロピルアルコール(IPA)を使用し、繊維の解繊試験を行った。具体的には、製造例2で製造したAcTUKP(ロット番号(16)NT-353)乾燥重量換算30mgを、上記の各種有機溶媒2mlに加え、室温下、マグネチックスターラー(500rpm)で20時間撹拌した。攪拌終了後、偏光顕微鏡(オリンパスシステム偏光顕微鏡BX53-31P-OC-1 10倍の対物レンズを使用)で観察し、幅1〜200μmの繊維の数(A)のうちで幅1〜10μmの繊維の数(B)を数えた。
結果を表19に示す。
Claims (19)
- セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤であって、
下記一般式(1):
R1−CO−N(R2)−R3 (1)
(式中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素原子、若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示すか、又はR1とR3とが一緒になって炭素数3〜11のアルキレン基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数2〜4のアシル基を示す。)で表されるアミド化合物を主成分とし、
さらに、タルク、クレイ、ゼオライト、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、酸化マグネシウム、マイカ、塩化リチウム、N−メチルモルホリンN−オキシド及び尿素からなる群から選ばれる少なくとも一種の解繊副剤を含む、解繊助剤。 - 前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、δ−バレロラクタム、N−メチル−δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の解繊助剤。
- 前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の解繊助剤。
- 前記アミド化合物が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びε−カプロラクタムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の解繊助剤。
- セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤であって、
下記一般式(1):
R 1 −CO−N(R 2 )−R 3 (1)
(式中、R 1 及びR 3 は、同一又は異なって、水素原子、若しくは炭素数1〜4のアルキル基を示すか、又はR 1 とR 3 とが一緒になって炭素数3〜11のアルキレン基を示す。R 2 は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数2〜4のアシル基を示す。)で表される、常温で固体のアミド化合物を主成分とする、解繊助剤。 - 前記常温で固体のアミド化合物がε−カプロラクタムである、請求項5に記載の解繊助剤。
- 前記解繊助剤が、さらに、タルク、クレイ、ゼオライト、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、酸化マグネシウム、マイカ、塩化リチウム、N−メチルモルホリンN−オキシド及び尿素からなる群から選ばれる少なくとも一種の解繊副剤を含む、請求項5又は6に記載の解繊助剤。
- 前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の解繊助剤。
- 前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、炭素数2〜5のアシル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の解繊助剤。
- 前記解繊助剤が、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、アセチル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊するための解繊助剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の解繊助剤。
- 解繊助剤により解繊される疎水化セルロース系繊維集合体が植物由来のセルロース系繊維集合体である、請求項1〜10のいずれかに記載の解繊助剤。
- 解繊助剤により解繊される疎水化セルロース系繊維集合体が植物由来のリグノセルロース繊維集合体である、請求項1〜11のいずれかに記載の解繊助剤。
- (1)請求項1〜12のいずれかに記載の解繊助剤を使用して、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体を解繊して、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維を製造する第一工程と、
(2)第一工程で得られたミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを混合する第二工程とを含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の解繊助剤、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体、及び、樹脂を混合し、この混合操作中に前記疎水化セルロース系繊維集合体を解繊してミクロフィブリル化する工程を含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。 - (1)請求項1〜12のいずれかに記載の解繊助剤、セルロース系繊維の一部の水酸基の水素原子が、一般式(A):Ra−CO−(式中、Raは炭素数1〜4のアルキル基、又は、電子供与性の置換基を有してもよいフェニル基を示す。)で表されるアシル基、又は、一般式(B):Rb−(式中、Rbは炭素数1〜4のアルキル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基又はアリル基を示す。)で表される、置換基を有することもあるアルキル基で置換された疎水化セルロース系繊維集合体、及び樹脂を混合し、この混合操作中に前記疎水化セルロース系繊維集合体を解繊してミクロフィブリル化する第一工程と、
(2)第一工程で得られた、解繊助剤、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維及び樹脂の混合物から解繊助剤を除去する第二工程とを含む、
ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維と樹脂とを含有する樹脂組成物の製造方法。 - 請求項13の第一工程若しくは第二工程、請求項14の工程、又は請求項15の第一工程において、さらに相溶化剤を混合する、ミクロフィブリル化された疎水化セルロース系繊維、樹脂及び相溶化剤を含有する樹脂組成物の製造方法。
- 前記樹脂が、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂である、請求項13〜16のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート−ABSアロイ(PC−ABSアロイ)及び変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項17に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項13〜18のいずれかに記載の製造方法により製造された樹脂組成物からなる成形体。
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