JP2018104688A - 熱硬化性プラスチックおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化した熱硬化性プラスチック。
(2)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解した液状物とエポキシ化合物とを混合してなる加熱硬化用組成物。
(3)さらに硬化促進剤を混合してなる上記(2)に記載の加熱硬化用組成物。
(4)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることを特徴とする上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(5)改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化することを特徴とする上記(4)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(6)有機溶媒がポリエチレングリコール系溶媒であり、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、該ポリエチレングリコール系溶媒ごと硬化する上記(5)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(7)改質リグニンをポリエチレングリコール系溶媒中で溶解、液状化し、エポキシ化合物との混合後に、硬化促進剤を加えて加熱硬化させる上記(4)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(8)改質リグニンとポリエチレングリコール系溶媒の混合重量比が50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲である上記(6)または(7)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(9)ポリエチレングリコール系溶媒およびエポキシ化合物として、エポキシ基を有するポリエチレングリコール化合物が用いられる上記(6)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(10)改質リグニンを溶解する有機溶媒にエポキシ化合物とともに、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを溶解して鋳型に流し込み、乾燥により有機溶媒を除去して仮固化した後に、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化性プラスチック成形体の製造方法。
(11)80℃〜150℃、2〜60時間の硬化処理でHB以上の鉛筆硬度を有する上記(1)に記載の熱硬化性プラスチック。
(12)上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性熱硬化性プラスチック。
(13)上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックと人工繊維からなる繊維強化熱硬化性プラスチック。
(14)上記(13)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性繊維強化熱硬化性プラスチック。
(15)上記(13)または(14)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなるガスケット。
(16)上記(13)または(14)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなる接着シート。
改質リグニン50gと分子量200のポリエチレングリコール(以下、PEG200)を改質リグニンに対し、表1記載の割合でそれぞれ加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、エポキシ化合物としてビスフェノールA (RE-310S : 日本化薬株式会社)50gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機でさらに1時間撹拌した。得られた混合物をホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
改質リグニン50gにPEG200 30gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、ビスフェノールA 50gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間の撹拌をした。その後、DBN(ジアザビシクロノネン)を下表の割合で加え、さらにオイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で10秒の撹拌後、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
改質リグニン 50gと「エポライト」(商標)400E(共栄社化学株式会社製ポリエチレングリコールジグリシエーテルジル)を改質リグニンに対し、下表の割合でそれぞれ加え、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で6時間の撹拌をした。次に、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
改質リグニン50gと「エポライト」400E 40gを混ぜ、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で6時間の撹拌をした。次に、DBN 0.63gを加え、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で10秒撹拌し、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
改質リグニン25gとPEG200 20gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、シリカ30gを手で撹拌しながら少しずつ加えた。加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表6に示す。シリカの添加により総発熱量は低下した。
改質リグニン36gとPEG200 29gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、ビスフェノールA 36gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。得られた混合物を、ハンドレイ成型によりガラスクロス2層に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、成形体を得た。各作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表7に示した。また、作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表8に示す。
改質リグニン1に対して、ジメチルホルムアミドを下表の各割合で用意し、モルタルミキサーを用いて改質リグニンを5時間で溶解・分散させた。その後、改質リグニンに対して混合比1となるビスフェノールAを加え、モルタルミキサーを用いて3時間で混合・分散させたのち、ハンドレイアップまたは真空含浸により、繊維に流し込み、100℃以下で乾燥固化/脱型を行った。その後、120℃で5〜15時間、熱硬化させ、繊維強化リグニン複合材を作製した。作製物に対し、引張強度試験と曲げ強度試験を行った。得られた結果を表9に示す。
改質リグニン25gとPEG200 20gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、常温内でシリカ 30gを手で撹拌しながら加えた。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌し、ハンドレイ成型によりガラスクロス2層に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。防爆オーブンから取り出し、作製物を得た。作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表10に示す。また、作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表11に示す。
改質リグニン42.9重量部に対して、N−メチル−2−ピロリドン40重量部、ビスフェノールA17.1重量部を混合して溶液を作製した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧した。加圧後、得られた複合品にPET系不織布を載せて溶液を含浸し、同様の条件にて加圧した。これを4回繰り返し、5枚積層品を作製した。得られた複合積層品を、トムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
改質リグニン100重量部と「エポライト」400E 50重量部を混合し、乾燥炉内で120℃、30分間静置した。その後、手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより攪拌した。
改質リグニン85gと「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)42.5gとポリエチレングリコール200 22.5gを混合し、乾燥炉内で100℃、30分間静置した。その後手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより更に攪拌した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、その含浸シートを5枚積み重ね、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧し、5枚積層品を作製した。
改質リグニン 100gと「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)50gを乾燥炉内で120℃、30分間静置した。その後、手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより攪拌した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、その含浸シートをベニヤ板で挟み込み、10kg/cm2で150℃、3時間、加圧することで一体化した板を得た。改質リグニン、「エポライト」400Eからなる硬化物の配合条件と接着成型条件を表15に示す。
改質リグニン50gと「エポライト」400E 30gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で4時間撹拌し、改質リグニン/「エポライト」混合物を作製した。次に、表面温度を100℃に保ったテフロン(登録商標)板上の、縦11cm、横11cm、深さ4mmの型に改質リグニン/「エポライト」混合物10gを流し込んだ。その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。防爆オーブンから取り出し、作製物を得た。作製物に対し、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表16に示す。
改質リグニン150gとPEG200 90gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次にビスフェノールA 150gを加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。その後、改質リグニン/PEG200/ビスフェノールA混合物を30g取り、水酸化アルミナ(和光純薬) 20gを手で撹拌しながら加え、オイルバスで100℃に加熱しながら、攪拌機で30分撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に混合物を10g 流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、テフロン(登録商標)型から取り出した。得られた硬化物に対し、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表17に示す。
改質リグニン25gとPEG200 15gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、表18に示す無機酸化物28gを手で撹拌しながら少しずつ加えた。加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表18に示す。
改質リグニン150gとPEG200 90 を混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次にビスフェノールA 150gを加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。その後、改質リグニン/PEG200/ビスフェノールA混合物を30g取り、水酸化アルミニウム(日本軽金属) 20 gを手で撹拌しながら加え、オイルバスで100℃に加熱しながら、攪拌機で30分撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に混合物を10 g 流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。得られた作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。結果を表19に示す。
改質リグニン25gにPEG200 15gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、ビスフェノールA 25 gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間の撹拌をした。その後、熱酸発生剤(TA-100、サンアプロ社)を下表の割合で加え、さらにオイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で10秒の撹拌後、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
各作製物に対し、曲げ強度と引張強度試験を行った。その際、幅5.5mm、厚さ1.1〜1.5mmの試験片を作製し、支点間距離40mmの条件で曲げ試験 50Nセンサー、引張試験 500Nセンサーを用いて行った。その結果を表20に示す。硬化物は触媒添加により、触媒無しの条件と比較して短時間で硬化することが分かった。
分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニン(PEG400タイプ)を用いた。同改質リグニンとフタル酸化合物(ナガセケムテックス 製品名XNH6830) を混ぜ、室温にて混合後、オイルバス内で90℃に加熱しながら、攪拌機にて0.5時間の撹拌を行い、改質リグニン/フタル酸化合物混合物を作製した。次に、50℃に加熱したオイルバス内でビスフェノールA型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス製品名XNR6830) を加え攪拌機で0.3時間撹拌した。攪拌後、「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブン中で 120℃、1時間の硬化処理を行うことで板状の硬化物を得た。本試料について、ショア硬度計(D)を使い硬さ試験を行った。改質リグニンを混合した作製物は、改質リグニンを混合しない作製物とほぼ同等の硬度を有していた(表21)。
分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニンPEG400を用いた。同改質リグニン34gとフタル酸化合物(ナガセケムテックス 製品名XNH6830) 66gを秤量後、室温にて攪拌機で0.5時間撹拌し、改質リグニン/フタル酸化合物混合物を作製した。次に、無機酸化物フィラーを、樹脂部総重量に対して、所定の添加含有量になる様に、計りとり改質リグニン/フタル酸化合物混合物中に手攪拌により添加混合を行った。最後にオイルバス内で90℃に加熱しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 を66g加え、攪拌機にて0.3時間撹拌し成形樹脂部の調整を行った。
調整した樹脂を、予め60℃に加熱された内寸11cm□、深さ3mmの「テフロン」(登録商標)型中に樹脂混合物を10g流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cm□のガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を含浸させた。この操作を3回繰り返した。全体的に伸ばした後、平らになるように整え、防爆オーブンで120℃、1時間の最終硬化処理を行った。その後室温にて、「テフロン」(登録商標)型から硬化を完了した成型体を取り出した。作製物について10cm□に切り出して、コーンカロリーメーター試験試料を作成し、試験を行った。成型体組成、積層ガラス繊維の構成及びコーンカロリーメーター試験結果を表22に示す。
「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)1250gとポリエチレングリコール200 650gを金属製容器にて混合し、120℃になるまで加熱した120℃になったところで改質リグニン2500gを少量ずつ混合し、スクリューミキサーにて攪拌した。得られた溶液をPET系不敷布に含侵し、その含侵シートを5枚積み重ね、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧し、5枚積層品を作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
また、同様の複合積層品を、分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニンを用いて作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型した後、150℃、20時間焼成した。
加えて、同様の複合積送品を、ポリエチレングリコールを溶媒として用いず、「エポライト」400E 60重量部と改質リグニン90重量部を用いて作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型した後、150℃、4時間焼成した。
得られた2種類のガスケット材の物性を表23に示す。
改質リグニン50gと分子量200のポリエチレングリコール(以下、PEG200)15gをガラスフラスコ内で加えた後、ガラス蓋で密閉し、オイルバス内で120℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。次に、エポキシ化合物としてビスフェノールA (RE-310S : 日本化薬株式会社)50gを加え、オイルバス内で120℃に加熱しながら、攪拌機でさらに30分撹拌した。得られた混合物をホットプレートで110℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
得られた硬化物について、JIS K7017に基づく曲げ強度試験を行った。幅6mm、厚さ3mmの試験片を作製し、試験速度1mm/min、支点間距離40mmの条件で50Nのセンサーを用いて測定したところ、曲げ弾性率、引張弾性率は2009MPaと939MPaであった。
改質リグニン(10.03g)をエチレングリコール(8.09g)に混合し、さらにエポキシ樹脂(「エピコート」(登録商標)828、三菱ケミカル製、10.25g)を加えた。さらに、DBUをオルトフタル酸を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA810、サンアプロ社製、0.1931g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ180℃で硬化した。
改質リグニン(10.05g)をエチレングリコール(8.07g)に混合し、さらにエピコート828(10.31g)を加えた。さらに、DBUをフェノール樹脂を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA841、サンアプロ社製、0.2077g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ160℃で硬化した。
改質リグニン(9.93g)をエチレングリコール(8.20g)に混合し、さらに「エピコート」828(10.10g)を加えた。さらに、DBUのテトラフェニルボレート塩から成る熱塩基発生剤(U-CAT 5002、サンアプロ社製、0.2015g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ200℃で硬化した。
改質リグニン(9.91g)をエチレングリコール(7.97g)に混合し、さらに「エピコート」828(10.06g)を加えた。さらに、DBUをフェノール樹脂を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA841、サンアプロ社製、0.0510g、エピコート828に対して0.2%)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したが硬化しなかった。
改質リグニン(10.00g)をエチレングリコール(8.03g)に混合し、さらにエピコート828(10.03g)を加えた。さらに、DBUをオルトフタル酸を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA810、サンアプロ社製、0.506g、「エピコート」828に対して5%)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ140℃で硬化した。
Claims (16)
- ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化した熱硬化性プラスチック。
- ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解した液状物とエポキシ化合物とを混合してなる加熱硬化用組成物。
- さらに硬化促進剤を混合してなる請求項2に記載の加熱硬化用組成物。
- ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- 改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化することを特徴とする請求項4に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- 有機溶媒がポリエチレングリコール系溶媒であり、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、該ポリエチレングリコール系溶媒ごと硬化する請求項5に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- 改質リグニンをポリエチレングリコール系溶媒中で溶解、液状化し、エポキシ化合物との混合後に、硬化促進剤を加えて加熱硬化させる請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- 改質リグニンとポリエチレングリコール系溶媒の混合重量比が50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲である請求項6または7に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- ポリエチレングリコール系溶媒およびエポキシ化合物として、エポキシ基を有するポリエチレングリコール化合物が用いられる請求項6〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
- 改質リグニンを溶解する有機溶媒にエポキシ化合物とともに、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを溶解して鋳型に流し込み、乾燥により有機溶媒を除去して仮固化した後に、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化性プラスチック成形体の製造方法。
- 80℃〜150℃、2〜60時間の硬化処理でHB以上の鉛筆硬度を有する請求項1に記載の熱硬化性プラスチック。
- 請求項1に記載の熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性熱硬化性プラスチック。
- 請求項1に記載の熱硬化性プラスチックと人工繊維からなる繊維強化熱硬化性プラスチック。
- 請求項13に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性繊維強化熱硬化性プラスチック。
- 請求項13または14に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなるガスケット。
- 請求項13または14に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなる接着シート。
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