JP2018104688A - 熱硬化性プラスチックおよびその製造方法 - Google Patents

熱硬化性プラスチックおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、難溶性のリグニンからエポキシ化合物との直接の反応により硬化物を得ることを目的とする。【解決手段】ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化した熱硬化性プラスチック。ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることにより得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性プラスチックおよびその製造方法に関する。
プラスチック材料は主に石油由来で合成されるが、近年の二酸化炭素排出削減のニーズに応えるため、各種バイオマス由来からの合成も試みられているところである。リグニンは木の20〜30%を占める成分であり、間伐材や製紙工程などから大量に得られるにもかかわらず、工業製品の基礎高分子原料としてはあまり使われてこなかった。これはリグニンが複雑な構造の巨大分子であり、木種による個体差を有しているため、分離精製の難しさにより大規模化学製品の原料としては高コストであることが主たる原因である。近年、従来法とは異なる、ポリエチレングリコールを溶媒とした木材原料の酸加水分解処理により、改質リグニンとして従来よりも比較的均質なリグニン成分を抽出しやすくして、粉体有機化合物原料として連続供給できることが可能な例が見出されている。
リグニンは、その水酸基を活用してエポキシ化合物との重合により熱硬化性のリグニン由来エポキシ樹脂が期待できる。これまでにもその作製は試みられているが、一般的なアルカリ蒸解法で木材から得られるリグニンや製紙工程で得られるリグニンスルホン酸は、平易に用いられる安全かつ汎用の有機溶剤への溶解はほぼ困難であり、熱によっても溶融はしにくく、プラスチック原料として抽出するために様々な原料の前処理や特殊な溶媒、および分離精製法の検討がなされている。 たとえば、水蒸気爆砕によってリグニンを細かく粉砕し低分子量のリグニンのみを抽出することで溶媒に溶けやすくしてからエポキシ化合物との重合を行っている(特許文献1)。さらに、アルカリ蒸解によって得られたリグニンをフェノールとの反応によりリグノフェノールを合成・分離して、エピクロロヒドリンとの反応によりエポキシ樹脂を作製している(特許文献2)。どちらもリグニンを液状化してエポキシ樹脂化を行っている例であるが、工程の複雑化や使用する化学物質の対環境負荷性などに大きな課題がある。
特開2013−221113号公報 特開2011−99083号公報
本発明は、木質バイオマスの素材としての有効利用のため、一般的に難溶性のリグニンからエポキシ化合物との直接の反応により硬化物を得ること、そのための平易なリグニン溶解手法とそれに続く硬化条件を見出すことを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の発明を提供する。
(1)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化した熱硬化性プラスチック。
(2)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解した液状物とエポキシ化合物とを混合してなる加熱硬化用組成物。
(3)さらに硬化促進剤を混合してなる上記(2)に記載の加熱硬化用組成物。
(4)ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることを特徴とする上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(5)改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化することを特徴とする上記(4)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(6)有機溶媒がポリエチレングリコール系溶媒であり、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、該ポリエチレングリコール系溶媒ごと硬化する上記(5)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(7)改質リグニンをポリエチレングリコール系溶媒中で溶解、液状化し、エポキシ化合物との混合後に、硬化促進剤を加えて加熱硬化させる上記(4)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(8)改質リグニンとポリエチレングリコール系溶媒の混合重量比が50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲である上記(6)または(7)に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(9)ポリエチレングリコール系溶媒およびエポキシ化合物として、エポキシ基を有するポリエチレングリコール化合物が用いられる上記(6)〜(8)のいずれかに記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
(10)改質リグニンを溶解する有機溶媒にエポキシ化合物とともに、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを溶解して鋳型に流し込み、乾燥により有機溶媒を除去して仮固化した後に、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化性プラスチック成形体の製造方法。
(11)80℃〜150℃、2〜60時間の硬化処理でHB以上の鉛筆硬度を有する上記(1)に記載の熱硬化性プラスチック。
(12)上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性熱硬化性プラスチック。
(13)上記(1)に記載の熱硬化性プラスチックと人工繊維からなる繊維強化熱硬化性プラスチック。
(14)上記(13)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性繊維強化熱硬化性プラスチック。
(15)上記(13)または(14)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなるガスケット。
(16)上記(13)または(14)に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなる接着シート。
本発明は、使用する改質リグニンが環境負荷の小さいポリエチレングリコールの使用によって分離精製しやすく改質されたものであることを利用し、再び同じポリエチレングリコールあるいは類似構造を持つエチレングリコール系の安全性の高い有機溶剤に溶けやすいことに着目して液状化を行い、工業的に汎用のエポキシ化合物とともに溶剤ごと硬化させて熱硬化性のプラスチックを製造し得るものであり、先行技術と比べて省プロセス、対環境安全性に優位性がある。また、本発明は、改質リグニンと、溶媒機能と硬化機能を有する化合物とを混合し、加熱硬化させる熱硬化性プラスチックの製造方法を提供し得、先行技術と比べて省プロセス性に優位性がある。加えて、改質リグニンを工業的に汎用の有機溶剤、たとえばジメチルホルムアミド(DMF)等に溶かして液状化し、エポキシ化合物と混合し、乾燥により有機溶剤を除去して仮硬化した後に加熱硬化させることを特徴とする製造方法をも提供し得、先行技術と比べて省プロセス性に優位性があるものである。
以上のように、本発明では、従来法とは異なる抽出法による、この改質リグニンを直接プラスチック原料に用いることで、平易な操作法と薬剤により非石油由来の熱硬化性プラスチックおよびその製造方法を提供し得るものである。
本発明の熱硬化性プラスチックは、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化したものである。
本発明の熱硬化性プラスチックは、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解した液状物とエポキシ化合物とを混合してなる加熱硬化用組成物を加熱硬化して得られる。その加熱硬化用組成物は、好適には、さらに硬化促進剤を混合してなる。
本発明で用いる改質リグニンとしては、ポリエチレングリコール鎖がリグニンの骨格に結合したものが用いられる。ポリエチレングリコール鎖をリグニンに結合させる方法としては、エポキシ基を有するポリエチレングリコールを用いた誘導体化の方法、リグニンを含む黒液にポリエチレングリコールを溶解し処理する方法、ポリエチレングリコールを媒体とした酸加溶媒分解法などが例示されるが、本発明においては、酸加溶媒分解法により得られた改質リグニンが好適に用いられる。ここで反応に用いられるポリエチレングリコールの分子量は100〜1000、好ましくは200〜600である。改質リグニンを製造する原料となる植物バイオマスは特に限定されるものではないが、スギ、ヒノキ等の針葉樹材、カバ、ミズナラ等の広葉樹材、あるいは、稲わら、バガス、タケ等の草本系バイオマスが用いられる。酸加溶媒分解は、これら植物バイオマスのチップあるいは粉砕物に、好適には、約5重量倍のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールに対して0.1〜0.9%の硫酸を加え、約140℃で60〜90分間加温して行われる。反応物を好ましくは0.1〜0.2Mの薄い苛性ソーダ溶液で希釈した後、不溶解のパルプ成分を濾過により取り除き、濾液を硫酸等で酸性化することで沈澱物を生成させる。その沈殿物を濾過もしくは遠心分離で取り除いた物質が改質リグニンとして利用される。
ポリエチレングリコールにより修飾された改質リグニンは、さらに極性基を付加した改質リグニンも用いられ得る。極性基はカルボキシル基、アミノ基、水酸基が好適に用いられ、より好適にはカルボキシル基が用いられる。
本発明において用いられるエポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、アルキレン-1,6-ジエポキシ等の脂肪族系;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
本発明で用いる硬化促進剤は、エポキシ系樹脂の硬化促進剤であればいずれのものでもよく、例えば、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)-ノネンー5(通称DBN)や1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(通称DBU)等の三級アミンや三級アミン塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィンやホスホニウム塩を用いてよい。使用する際の硬化促進剤の全固体に対する重量割合は、20重量%未満であり、好ましくは0.1〜10重量%である。また、熱酸発生剤や熱塩基発生剤などの触媒を用いてもよい。これらは、DBUを有機酸で中和した化合物であり、所定の温度で熱により酸もしくは塩基がかい離し、触媒として機能するものである。
本発明で用いる有機溶媒としては、改質リグニンを溶解するものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレングリコール、無水フタル酸、無水マレイン酸、官能基としてエポキシ基を有するポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール系、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン等が例示される。また、官能基としてエポキシ基を有するポリエチレングリコールは、溶媒とエポキシ化合物の両機能を有するので、溶媒を用いることなく改質リグニン液状化しそのまま加熱硬化し得る。
本発明の熱硬化性プラスチックは、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることにより製造されるのが好適である。混合後に、上記硬化促進剤を加えて加熱硬化させるのが好適である。溶解、混合に際しては、攪拌翼を備えた攪拌装置、振とう攪拌装置、ホモジナイザー等を用いるのが好適である。
加熱により、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化する。加熱は、通常50〜200℃、好適には80℃〜150℃、2〜60時間程度から選ばれる。このような80℃〜150℃、2〜60時間の硬化処理でHB以上の鉛筆硬度を有する熱硬化性プラスチックが得られる。
有機溶媒がポリエチレングリコール系溶媒であるとき、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基は直接反応して重合し、ポリエチレングリコール系溶媒ごと硬化する。
改質リグニンとポリエチレングリコール系溶媒等の有機溶媒の混合重量比は、50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲であるのが好適である。
また、熱硬化性プラスチックに無機酸化物の粉体を混合することにより、難燃性を向上させることができる。ここで無機酸化物としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。含有量は、樹脂部に対して5から40重量部である。
本発明の1実施態様において、エポキシ化合物とともに、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを、DMF、NMP、ジオキサン、無水フタル酸、等の改質リグニンを溶解する有機溶媒に溶解して鋳型に流し込み、乾燥により有機溶媒を除去して仮固化した後に、加熱硬化させること熱硬化性プラスチック成形体を製造し得る。
本発明の熱硬化性プラスチックは、ガラス繊維、炭素繊維、ポリプロピレン繊維等の人工繊維に加熱硬化用組成物を含浸して固化し、繊維強化熱硬化性プラスチックとし得る。また難燃性物質、好適には上記の無機酸化物、を添加することにより難燃性繊維強化プラスチックを得ることもできる。さらに、繊維強化熱硬化性プラスチックを用いた、シール性に優れたガスケット(ガスパッキン)、接着シート等を提供し得る。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
改質リグニンとして、分子量200のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加水溶媒分解法で得られたものを用いた。
実施例1
改質リグニン50gと分子量200のポリエチレングリコール(以下、PEG200)を改質リグニンに対し、表1記載の割合でそれぞれ加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、エポキシ化合物としてビスフェノールA (RE-310S : 日本化薬株式会社)50gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機でさらに1時間撹拌した。得られた混合物をホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
得られた硬化物について、JIS K5600-5-4に基づく鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験を行った。また、JIS K6253に基づくショア硬度試験を行った。この際、JIS K7215タイプD デュロメータを用いた。さらに、JIS K7017に基づく曲げ強度試験を行った。試験機械として株式会社東京試験機の小型卓上試験機(リトルセンスター)LSCシリーズを用いた。幅7mm、厚さ1.5〜3mmの試験片を作製し、試験速度1mm/min、支点間距離40mmの条件で50Nのセンサーを用いて測定した。
加えて、改質リグニン50g、PEG200 40g、ビスフェノールA 50gの配合条件からなる硬化物について、CIII型燃焼試験機(東京精機)を用いてコーンカロリーメーター試験を行った。縦10cm×横10cmの試験片を作製し、輻射熱50Kw/m2、試験時間20分間で行った。得られた着火時間、最大発熱速度、総発熱量を表2に示す。
Figure 2018104688
Figure 2018104688
実施例2
改質リグニン50gにPEG200 30gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、ビスフェノールA 50gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間の撹拌をした。その後、DBN(ジアザビシクロノネン)を下表の割合で加え、さらにオイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で10秒の撹拌後、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
各作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、ショア硬度、曲げ強度試験を行った。その結果を表3に示す。硬化物は触媒添加により、触媒無しの条件(実施例1)と比較して短時間で硬化することが分かった。
Figure 2018104688
実施例3
改質リグニン 50gと「エポライト」(商標)400E(共栄社化学株式会社製ポリエチレングリコールジグリシエーテルジル)を改質リグニンに対し、下表の割合でそれぞれ加え、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で6時間の撹拌をした。次に、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
各作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、ショア硬度、曲げ強度試験を行った。その結果を表4に示した。
Figure 2018104688
実施例4
改質リグニン50gと「エポライト」400E 40gを混ぜ、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で6時間の撹拌をした。次に、DBN 0.63gを加え、オイルバス内で80℃に加熱しながら、攪拌機で10秒撹拌し、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
各作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、ショア硬度、曲げ強度試験を行った。その結果を表5に示す。触媒添加により短時間で硬化できることが分かった。
Figure 2018104688
実施例5
改質リグニン25gとPEG200 20gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、シリカ30gを手で撹拌しながら少しずつ加えた。加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表6に示す。シリカの添加により総発熱量は低下した。
Figure 2018104688
実施例6
改質リグニン36gとPEG200 29gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、ビスフェノールA 36gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。得られた混合物を、ハンドレイ成型によりガラスクロス2層に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、成形体を得た。各作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表7に示した。また、作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表8に示す。
Figure 2018104688
Figure 2018104688
実施例7
改質リグニン1に対して、ジメチルホルムアミドを下表の各割合で用意し、モルタルミキサーを用いて改質リグニンを5時間で溶解・分散させた。その後、改質リグニンに対して混合比1となるビスフェノールAを加え、モルタルミキサーを用いて3時間で混合・分散させたのち、ハンドレイアップまたは真空含浸により、繊維に流し込み、100℃以下で乾燥固化/脱型を行った。その後、120℃で5〜15時間、熱硬化させ、繊維強化リグニン複合材を作製した。作製物に対し、引張強度試験と曲げ強度試験を行った。得られた結果を表9に示す。
Figure 2018104688
実施例8
改質リグニン25gとPEG200 20gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、常温内でシリカ 30gを手で撹拌しながら加えた。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌し、ハンドレイ成型によりガラスクロス2層に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。防爆オーブンから取り出し、作製物を得た。作製物に対し、鉛筆硬度(ひっかき硬度(鉛筆法))試験、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表10に示す。また、作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表11に示す。
Figure 2018104688
Figure 2018104688
実施例9
改質リグニン42.9重量部に対して、N−メチル−2−ピロリドン40重量部、ビスフェノールA17.1重量部を混合して溶液を作製した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧した。加圧後、得られた複合品にPET系不織布を載せて溶液を含浸し、同様の条件にて加圧した。これを4回繰り返し、5枚積層品を作製した。得られた複合積層品を、トムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
得られたガスケットの平均圧縮率と平均復元率は、13.7%、67.7%であった。既存ガスケット製品の平均圧縮率と平均復元率(6.6%、39.1%)に比べて圧縮復元性に優れていた。また、最大締付面圧216MPaで圧壊試験を実施したところ、圧壊することはなかった。また、耐水圧試験について内部水圧3MPaで行ったところ、締付面圧10MPaにおいてリークはなかった。既存ガスケット製品の耐水圧試験では締付面圧10MPaにおいてリークが発生したことから高いシール性があることが確認された。改質リグニン、NMP、ビスフェノールAからなる硬化物の配合条件と得られたガスケット材の物性を表12に示す。
Figure 2018104688
実施例10
改質リグニン100重量部と「エポライト」400E 50重量部を混合し、乾燥炉内で120℃、30分間静置した。その後、手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより攪拌した。
得られた溶液をPET系不織布に含浸し、その含浸シートを5枚積み重ね、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧し、5枚積層品を作製した。
得られた複合積層品を、トムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
得られたガスケットの平均圧縮率と平均復元率は、150℃、8時間の焼成なしで11.6%、57%であり、焼成ありで12.1%、47.2%であった。既存ガスケット製品の平均圧縮率と平均復元率(6.6%、39.1%)に比べて圧縮復元性に優れていた。また、最大締付面圧216MPaで圧壊試験を実施したところ、焼成ありのガスケットについては圧壊することはなかった。また、耐水圧試験について内部水圧3MPaで行ったところ、締付面圧20MPaにおいてリークはなかった。改質リグニン、「エポライト」400Eからなる硬化物の配合条件と得られたガスケット材の物性を表13に示す。
Figure 2018104688
実施例11
改質リグニン85gと「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)42.5gとポリエチレングリコール200 22.5gを混合し、乾燥炉内で100℃、30分間静置した。その後手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより更に攪拌した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、その含浸シートを5枚積み重ね、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧し、5枚積層品を作製した。
得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
得られたガスケットの平均圧縮率と平均復元率は、150℃8時間の焼成なしで12.5%、65%であり、焼成ありで13.5%、50.0%であった。既存ガスケット製品の平均圧縮率と平均復元率(6.6%、39.1%)に比べて圧縮復元性に優れていた。また、最大締付面圧216MPaで圧壊試験を実施したところ、焼成ありのガスケットについては圧壊することはなかった。また耐水圧試験について内部水圧3MPaで行ったところ、締付面圧20MPaにおいてリークはなかった。改質リグニン、「エポライト」400E、PEG200からなる硬化物の配合条件と得られたガスケット材の物性を表14に示す。
Figure 2018104688
実施例12(接着シートの製造)
改質リグニン 100gと「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)50gを乾燥炉内で120℃、30分間静置した。その後、手で2回攪拌した。さらに沸騰したウォーターバス中でホモジナイザーにより攪拌した。得られた溶液をPET系不織布に含浸し、その含浸シートをベニヤ板で挟み込み、10kg/cm2で150℃、3時間、加圧することで一体化した板を得た。改質リグニン、「エポライト」400Eからなる硬化物の配合条件と接着成型条件を表15に示す。
Figure 2018104688
実施例13 改質リグニンと「エポライト」400Eの繊維強化プラスチック
改質リグニン50gと「エポライト」400E 30gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で4時間撹拌し、改質リグニン/「エポライト」混合物を作製した。次に、表面温度を100℃に保ったテフロン(登録商標)板上の、縦11cm、横11cm、深さ4mmの型に改質リグニン/「エポライト」混合物10gを流し込んだ。その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。防爆オーブンから取り出し、作製物を得た。作製物に対し、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表16に示す。
Figure 2018104688
実施例14 改質リグニン/PEG/ビスフェノール/水酸化アルミニウム
改質リグニン150gとPEG200 90gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次にビスフェノールA 150gを加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。その後、改質リグニン/PEG200/ビスフェノールA混合物を30g取り、水酸化アルミナ(和光純薬) 20gを手で撹拌しながら加え、オイルバスで100℃に加熱しながら、攪拌機で30分撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に混合物を10g 流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、テフロン(登録商標)型から取り出した。得られた硬化物に対し、引張強度試験、曲げ強度試験を行った。その結果を表17に示す。
Figure 2018104688
実施例15
改質リグニン25gとPEG200 15gを混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次に、表18に示す無機酸化物28gを手で撹拌しながら少しずつ加えた。加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で2時間撹拌した。その後、ビスフェノールA 25gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。その結果を表18に示す。
Figure 2018104688
実施例16
改質リグニン150gとPEG200 90 を混ぜ、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で3時間撹拌し、改質リグニン/PEG200混合物を作製した。次にビスフェノールA 150gを加えた後、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。その後、改質リグニン/PEG200/ビスフェノールA混合物を30g取り、水酸化アルミニウム(日本軽金属) 20 gを手で撹拌しながら加え、オイルバスで100℃に加熱しながら、攪拌機で30分撹拌した。攪拌後、ホットプレートで100℃に加熱していた「テフロン」(登録商標)型に混合物を10 g 流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cmのガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を浸潤させた。さらに縦横11cmのガラス繊維をもう1枚載せて、ローラーで同じ作業を繰り返した。全体的に伸ばした後、平になるように整え、防爆オーブンで 120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、「テフロン」(登録商標)型から取り出した。得られた作製物に対して、コーンカロリーメーター試験を行った。結果を表19に示す。
Figure 2018104688
実施例17
改質リグニン25gにPEG200 15gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で24時間撹拌した。次に、ビスフェノールA 25 gを加え、オイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で1時間の撹拌をした。その後、熱酸発生剤(TA-100、サンアプロ社)を下表の割合で加え、さらにオイルバス内で100℃に加熱しながら、攪拌機で10秒の撹拌後、ホットプレートで100℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、5時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
各作製物に対し、曲げ強度と引張強度試験を行った。その際、幅5.5mm、厚さ1.1〜1.5mmの試験片を作製し、支点間距離40mmの条件で曲げ試験 50Nセンサー、引張試験 500Nセンサーを用いて行った。その結果を表20に示す。硬化物は触媒添加により、触媒無しの条件と比較して短時間で硬化することが分かった。
Figure 2018104688
実施例18
分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニン(PEG400タイプ)を用いた。同改質リグニンとフタル酸化合物(ナガセケムテックス 製品名XNH6830) を混ぜ、室温にて混合後、オイルバス内で90℃に加熱しながら、攪拌機にて0.5時間の撹拌を行い、改質リグニン/フタル酸化合物混合物を作製した。次に、50℃に加熱したオイルバス内でビスフェノールA型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス製品名XNR6830) を加え攪拌機で0.3時間撹拌した。攪拌後、「テフロン」(登録商標)型に流し込み、防爆オーブン中で 120℃、1時間の硬化処理を行うことで板状の硬化物を得た。本試料について、ショア硬度計(D)を使い硬さ試験を行った。改質リグニンを混合した作製物は、改質リグニンを混合しない作製物とほぼ同等の硬度を有していた(表21)。
Figure 2018104688
実施例19
分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニンPEG400を用いた。同改質リグニン34gとフタル酸化合物(ナガセケムテックス 製品名XNH6830) 66gを秤量後、室温にて攪拌機で0.5時間撹拌し、改質リグニン/フタル酸化合物混合物を作製した。次に、無機酸化物フィラーを、樹脂部総重量に対して、所定の添加含有量になる様に、計りとり改質リグニン/フタル酸化合物混合物中に手攪拌により添加混合を行った。最後にオイルバス内で90℃に加熱しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 を66g加え、攪拌機にて0.3時間撹拌し成形樹脂部の調整を行った。
調整した樹脂を、予め60℃に加熱された内寸11cm□、深さ3mmの「テフロン」(登録商標)型中に樹脂混合物を10g流し込み、その混合物を金属ヘラで延ばし、縦横11cm□のガラス繊維を1枚載せてローラーで延ばすことにより、ガラス繊維に混合物を含浸させた。この操作を3回繰り返した。全体的に伸ばした後、平らになるように整え、防爆オーブンで120℃、1時間の最終硬化処理を行った。その後室温にて、「テフロン」(登録商標)型から硬化を完了した成型体を取り出した。作製物について10cm□に切り出して、コーンカロリーメーター試験試料を作成し、試験を行った。成型体組成、積層ガラス繊維の構成及びコーンカロリーメーター試験結果を表22に示す。
Figure 2018104688
実施例20
「エポライト」400E(共栄社化学株式会社)1250gとポリエチレングリコール200 650gを金属製容器にて混合し、120℃になるまで加熱した120℃になったところで改質リグニン2500gを少量ずつ混合し、スクリューミキサーにて攪拌した。得られた溶液をPET系不敷布に含侵し、その含侵シートを5枚積み重ね、加圧プレスで10kg/cm2の面圧で150℃、3時間加圧し、5枚積層品を作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型し、150℃、8時間焼成した。
また、同様の複合積層品を、分子量400のポリエチレングリコールを溶媒とした酸加溶媒分解法で得られた改質リグニンを用いて作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型した後、150℃、20時間焼成した。
加えて、同様の複合積送品を、ポリエチレングリコールを溶媒として用いず、「エポライト」400E 60重量部と改質リグニン90重量部を用いて作製した。得られた複合積層品をトムソン抜き加工にてガスケット状に成型した後、150℃、4時間焼成した。
得られた2種類のガスケット材の物性を表23に示す。
Figure 2018104688
実施例21
改質リグニン50gと分子量200のポリエチレングリコール(以下、PEG200)15gをガラスフラスコ内で加えた後、ガラス蓋で密閉し、オイルバス内で120℃に加熱しながら、攪拌機で1時間撹拌した。次に、エポキシ化合物としてビスフェノールA (RE-310S : 日本化薬株式会社)50gを加え、オイルバス内で120℃に加熱しながら、攪拌機でさらに30分撹拌した。得られた混合物をホットプレートで110℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン(「テフロン」(登録商標))製の型に流し込み、防爆オーブンで120℃、60時間の硬化処理を行った。その後、防爆オーブンから取り出し、型から取り外した。
得られた硬化物について、JIS K7017に基づく曲げ強度試験を行った。幅6mm、厚さ3mmの試験片を作製し、試験速度1mm/min、支点間距離40mmの条件で50Nのセンサーを用いて測定したところ、曲げ弾性率、引張弾性率は2009MPaと939MPaであった。
実施例22(DBUオルトフタル酸塩による硬化)
改質リグニン(10.03g)をエチレングリコール(8.09g)に混合し、さらにエポキシ樹脂(「エピコート」(登録商標)828、三菱ケミカル製、10.25g)を加えた。さらに、DBUをオルトフタル酸を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA810、サンアプロ社製、0.1931g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ180℃で硬化した。
実施例23(DBUフェノール樹脂塩による硬化)
改質リグニン(10.05g)をエチレングリコール(8.07g)に混合し、さらにエピコート828(10.31g)を加えた。さらに、DBUをフェノール樹脂を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA841、サンアプロ社製、0.2077g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ160℃で硬化した。
実施例24(DBUテトラフェニルボレート塩による硬化)
改質リグニン(9.93g)をエチレングリコール(8.20g)に混合し、さらに「エピコート」828(10.10g)を加えた。さらに、DBUのテトラフェニルボレート塩から成る熱塩基発生剤(U-CAT 5002、サンアプロ社製、0.2015g)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ200℃で硬化した。
実施例25(DBUフェノール樹脂塩による硬化)
改質リグニン(9.91g)をエチレングリコール(7.97g)に混合し、さらに「エピコート」828(10.06g)を加えた。さらに、DBUをフェノール樹脂を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA841、サンアプロ社製、0.0510g、エピコート828に対して0.2%)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したが硬化しなかった。
実施例26(DBUオルトフタル酸塩による硬化)
改質リグニン(10.00g)をエチレングリコール(8.03g)に混合し、さらにエピコート828(10.03g)を加えた。さらに、DBUをオルトフタル酸を用いて中和した熱塩基発生剤(U-CAT SA810、サンアプロ社製、0.506g、「エピコート」828に対して5%)を加え100℃で溶融、混合した後、加熱したところ140℃で硬化した。
本発明の熱硬化性プラスチックは、家電、自動車、OA機器用プラスチック部材として、さらには配管用シール材、接着シート等として、木質バイオマス資源の有効利用に供され得る。

Claims (16)

  1. ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンとエポキシ化合物とを加熱硬化した熱硬化性プラスチック。
  2. ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解した液状物とエポキシ化合物とを混合してなる加熱硬化用組成物。
  3. さらに硬化促進剤を混合してなる請求項2に記載の加熱硬化用組成物。
  4. ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを有機溶媒で溶解して液状化し、エポキシ化合物との混合、加熱によって硬化させることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  5. 改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、硬化することを特徴とする請求項4に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  6. 有機溶媒がポリエチレングリコール系溶媒であり、改質リグニン分子中の水酸基とエポキシ化合物分子中のエポキシ基が直接反応して重合し、該ポリエチレングリコール系溶媒ごと硬化する請求項5に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  7. 改質リグニンをポリエチレングリコール系溶媒中で溶解、液状化し、エポキシ化合物との混合後に、硬化促進剤を加えて加熱硬化させる請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  8. 改質リグニンとポリエチレングリコール系溶媒の混合重量比が50重量部対50重量部から50重量部対10重量部の範囲である請求項6または7に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  9. ポリエチレングリコール系溶媒およびエポキシ化合物として、エポキシ基を有するポリエチレングリコール化合物が用いられる請求項6〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性プラスチックの製造方法。
  10. 改質リグニンを溶解する有機溶媒にエポキシ化合物とともに、ポリエチレングリコールにより化学修飾された改質リグニンを溶解して鋳型に流し込み、乾燥により有機溶媒を除去して仮固化した後に、加熱硬化させることを特徴とする熱硬化性プラスチック成形体の製造方法。
  11. 80℃〜150℃、2〜60時間の硬化処理でHB以上の鉛筆硬度を有する請求項1に記載の熱硬化性プラスチック。
  12. 請求項1に記載の熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性熱硬化性プラスチック。
  13. 請求項1に記載の熱硬化性プラスチックと人工繊維からなる繊維強化熱硬化性プラスチック。
  14. 請求項13に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックに無機酸化物を含有させてなる難燃性繊維強化熱硬化性プラスチック。
  15. 請求項13または14に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなるガスケット。
  16. 請求項13または14に記載の繊維強化熱硬化性プラスチックまたは難燃性繊維強化熱硬化性プラスチックからなる接着シート。
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